JP3650655B2 - 押出加工用のフローガイド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイス孔各部への金属材料の流入比を調整することにより、ダイス孔から押し出される金属材料の流速を制御する押出加工用のフローガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料を押出加工する場合、ダイス孔各部の肉厚(ダイス孔の壁面間の距離)の違いによって、ダイス孔内における金属材料の流れやすさが異なるため、適当な対策をとらないと、最終的に押し出される金属材料に変形が生じる。
【0003】
そこで、一般的には、図12(a)〜同図(c)に示す様に、ダイス1にダイス孔3を形成するに当たって、ベアリング部5の押出方向の長さ(以下、ベアリング長さという)を、ダイス孔内での流速が早くなりがちな箇所で長く、遅くなりがちな箇所で短くしている。例えば、図示したダイス孔3の場合、最端部3aの流速は比較的遅くなるため、他の箇所に比べてベアリング長さは短くされている。また、中央部3bの流速はその両側に比べて早くなるため、ベアリング長さは長くされている。
【0004】
また最近、押出操業の省人化のためにプラーが設置され、これに伴い、ビレット(金属材料の塊)の継ぎ押しにて押出材を連続的に押し出すため、ダイス1の金属材料流入方向上流側にダイス孔3の形状に応じて形状が定められた開口部7を有するフローガイド9が設置されている。この様なフローガイド9を設置すると、ダイス孔各部における流速差は更に大きくなる傾向があるため、上述の様なベアリング長さの切替をより大きくする必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術によれば、上記の様なベアリング部5を有するダイス1で金属材料を押し出すと、ベアリング長さが切り替わる箇所(図12(b),同図(c)に例示する点Q1〜Q7等)において、押出材の表面に筋欠陥が発生しやすいという問題があった。
【0006】
また、ベアリング長さが複雑に変化するベアリング部5を、ダイス1に形成しようとすると、ダイス孔3の加工に手間がかかり、ダイス1の製造コストが増大するという問題もあった。
特に、これらの問題は、上記の様なフローガイド9を設置した場合には顕著になるため、連続的な押出加工を行うに当たって大きな問題となっていた。
【0007】
ところで、特公昭31−4920号公報には、このフローガイドの開口部の形状を調整して、ダイス孔各部における押出材の流速を調整できる旨が開示されている。この様にフローガイド開口部の形状によって、押出材の流速を調整できれば、上記の様なベアリング長さの切替が、不要となるか最小限で済むようになり、押出材表面の筋欠陥を防止できる上に、ダイス孔加工に手間がかからなくなるものと期待された。
【0008】
しかし、同公報によれば、フローガイド開口部の形状は、必ずしも容易な算術的処置の対象ではなく、ダイス設計者の適当な判断を必要とするとされ(同公報第3頁右欄参照)、実際、フローガイド開口部の形状は、試行錯誤で調整するしかなく、ダイス設計者に相当な知識と経験がなければ、適当に開口部を設けたフローガイドを使って押出実験を実施しても、その押出結果から開口部のどこをどの程度広げ、どこをどの程度狭めればよいかといったことは、容易には判断できなかった。しかも、ダイス設計者が相当な熟練者であっても、何度となく複雑な形状の開口部をフローガイドに形成して実験を繰り返していたのでは、多大な手間がかかるという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は、開口部の形状を容易に決定でき、該開口部によりダイス孔内部での金属材料の流速を最適化できるフローガイドを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、
ダイスに形成されたダイス孔の形状に応じて形状が定められる開口部を有し、前記ダイスの金属材料流入方向上流側に設置され、前記開口部の開口幅の広狭によって、ダイス孔各部への金属材料の流入比を調整する押出加工用のフローガイドにおいて、
ダイス孔の肉厚wi の箇所に対応する前記開口部の開口幅Ci が、下記の数式2に従って決定されていることを特徴とする。
【0011】
【数2】
【0012】
但し、w0 はダイス孔の基準肉厚であり、該基準肉厚は「ダイスの中心付近におけるダイス孔の肉厚」または「ダイス孔各部の肉厚の平均値」、wi はダイス孔の所定位置における相当肉厚、C0 はフローガイド開口部の基準開口幅、a1はダイス孔から金属材料を押出可能とするために確保すべき最小の肉厚、Yi はダイスセンタから距離が離れるほどダイス孔を通過する金属材料の流速が遅れる程度を表す係数である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、ダイス孔の肉厚とは、ダイス孔が平板状となる箇所では、ダイス孔をなす壁面間の距離である。
その内、上記基準肉厚w0 は、ダイスの中心付近におけるダイス孔の肉厚、または、ダイス孔各部の肉厚の平均値とする。一方、上記相当肉厚wi は、実測値に基づいて算出される値で、ダイス孔が平板状の箇所では、上記の通り、ダイス孔をなす壁面間の距離であるが、ダイス孔の端部、屈曲部、及び交差部等では、押出材の流れやすさに応じて、各部の肉厚を平板部相当の肉厚に換算したものである。
【0014】
具体例を示せば、図1に例示する様に、ダイス孔10を、平板部11、12、13、14と、端部15、16、17と、屈曲部18と、交差部19とに分割する。分割位置は、図中一点鎖線で示す様に、端部15、16、17、屈曲部18、及び交差部19の肉厚に応じて決定される。そして、各部の相当肉厚wi は、次式によって求められる。
【0015】
【数3】
【0016】
例えば、端部15であれば、下記の通り、平板部11の肉厚の2/3に相当するものと換算される。
【0017】
【数4】
【0018】
端部16、17、屈曲部18、及び交差部19についても、上記数式3により、同様にして相当肉厚wi が算出される。なお、平板部11〜14についても、上記数式3により相当肉厚wi を算出可能であるが、平板部の場合は、相当肉厚wi はいわゆる肉厚そのものとなる。
【0019】
また、本発明において、フローガイド開口部の開口幅とは、ダイス孔の輪郭線とその周囲を囲むフローガイド開口部の輪郭線との間の距離であり、フローガイドの開口部をなす壁面間の距離ではない。
その内、上記基準開口幅C0 は、基準肉厚w0 の箇所に対応したフローガイド開口部の開口幅で、実際に押出加工が可能な範囲内で任意に設定すればよい値である。この基準開口幅C0 は、他箇所の開口幅Ci の増減調整の基準となるので、基準肉厚w0 の箇所が、比較的流速の早くなる箇所であれば比較的小さな値でよいが、遅くなる箇所であれば比較的大きな値とする方が望ましい。
【0020】
また、上記「ダイス孔から金属材料を押出可能とするために確保すべき最小の肉厚a1(以下、最小肉厚a1と称する)」は、実測値に基づいて算出される値である。ダイス孔の肉厚は、薄くするほど流出側の押出速度が低下する傾向があるが、両者の関係は事前に測定可能であり、この関係から理論的に押出可能である最小肉厚を求めることができる。この最小肉厚a1を求める方法については、後で具体的な実施例を挙げて詳述する。
【0021】
また、上記「ダイスセンタから距離が離れるほどダイス孔を通過する金属材料の流速が遅れる程度を表す係数Y i (以下、遅れ係数Y i と称する)」は、実測値に基づいて算出される値である。金属材料の流速(押出速度)は、ダイスセンタ(ダイスの中心)で早くなる傾向があるが、この傾向は、ダイスセンタにおける押出速度に対する押出速度の比として、事前に測定可能であり、この測定された押出速度比を遅れ係数Yi とする。この遅れ係数Yi を求める方法についても、後で具体的な実施例を挙げて詳述する。
【0022】
上記請求項1記載の押出加工用のフローガイドによれば、上記数式2の中のダイス孔の基準肉厚w0、フローガイド開口部の基準開口幅C0、上記最小肉厚a1、及び遅れ係数Yi は、金属の材質、押出温度、及び流出側の押出速度を加工条件として任意に選定した上で、簡単な予備実験を実施すれば決定できるので、後は、上記数式2により、ダイス孔の所定位置における相当肉厚wi に応じて、ダイス孔の肉厚wi の箇所に対して設定すべきフローガイド開口部の開口幅Ci を算出することができる。
【0023】
したがって、事前に簡単な予備実験を行っておくだけで、如何なる形状のダイス孔であっても、上記数式2に基づいて、所期のフローガイドの開口部の形状を容易に決定することができる。よって、フローガイドの開口部の形状を、試行錯誤によって調整しなくてもよく、手間がかからない上に、熟練者でなくてもフローガイド開口部の設計ができる。
【0024】
特に、算出された開口幅Ci は、上記数式2によって最適な値が算出され、相当肉厚wi が基準肉厚w0より小となる箇所では基準開口幅C0よりも大となり、一方、相当肉厚wi が基準肉厚w0より大となる箇所では基準開口幅C0よりも小となる。その結果、ダイス孔内部における流速が早くなりがちな箇所では、金属材料の流入が抑制され、ダイス孔内部における流速が遅くなりがちな箇所では、金属材料の流入が促される。
【0025】
したがって、ダイス孔のベアリング長さの切替が、不要となるか最小限で済むようになり、押出材表面の筋欠陥を防止できる上に、ダイス孔加工に手間がかからなくなる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる変形が可能である。
【0026】
【実施例】
次に、本発明の実施の形態をより一層明確にするため、本発明を適用したフローガイドの一実施例について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の実施の形態の一例に過ぎず、本発明の実施の形態を、以下に例示する具体的な材料や形状等に制限するものではない。
【0027】
押出装置20は、図2に示す通り、コンテナ21、ステム22、フローガイド23、ダイス24、バッカー25、ボルスター26等を備え、コンテナ21内に収納されたビレット31をステム22により押圧し、ダイス24から長尺な押出材32を押し出すものである。
【0028】
次に、フローガイド開口部形状の設定手順について説明する。
まず、ダイス孔の肉厚とフローガイド開口部の開口幅が、押出流速に及ぼす影響を調べるため、図3に示す様に、2孔平板ダイスとそれに合わせたフローガイドとを用意した。
【0029】
ダイス孔各部の寸法は、ダイス孔幅M1=15mm,ダイス孔間隔M2=25mm,基準ダイス孔の肉厚w0 =2mmで、実験用ダイス孔の肉厚wi =1.9mm,2.4mm,3mm,3.7mmの4個を用意した。なお、いずれもダイス孔のベアリング長さは2mmである。
【0030】
また、フローガイド開口部の寸法は、基準開口幅C0 =7mmで、上記4個のダイスに対して実験用開口幅Ci =3mm,5mm,7mm,9mmとなる16個を用意した。これら4個のダイスにフローガイドを組み合わせて、全部で16回の押出しを行い、流出側で基準ダイス孔からの押出速度V0 と、実験用ダイス孔からの押出速度Vi とを測定した。なお、その他の押出条件は、コンテナ直径:100mm、ビレット材質:6063、押出温度:450℃、流出側の押出速度10m/minである。
【0031】
測定結果を、横軸に肉厚wi 、縦軸に押出速度比Vi /V0 をとってグラフ化すると、図4の通りである。また、横軸に開口幅Ci 、縦軸に押出速度比Vi /V0 をとってグラフ化すると、図5の通りである。
図4、図5のグラフから明らかな様に、ダイス孔の肉厚wi 、フローガイド開口部の開口幅Ci 、押出速度比Vi /V0 との間には、下記の数式5で近似可能な関係が認められる。
【0032】
【数5】
【0033】
上記数式5において、定数a1は、図4のグラフに描かれた直線と横軸との交点を示してるが、この値は、フローガイド開口部の開口幅Ci によらず一定であり、この場合、a1=0.7である。この定数a1=0.7は、理論上、押出速度Vi =0となる点であり、これより肉厚wi が大きい場合には押出可能となることを意味するので、最小肉厚a1と考えることができる。また、図5のグラフが原点を通ることから、フローガイド開口部の開口幅Ci をn倍にすれば、押出速度比Vi /V0 もn倍にできることが分かる。
【0034】
ところで、上記数式5からすれば、肉厚w0 の箇所と肉厚wi の箇所とで、押出速度比Vi /V0 を一定にするには、下記の数式6が成り立てばよいことが分かる。
【0035】
【数6】
【0036】
これを整理すると、下記の数式7となる。
【0037】
【数7】
【0038】
上記測定結果において、基準開口幅C0 =7mm、基準肉厚w0 =2mm、最小肉厚a1=0.7なので、後は、ダイス孔の肉厚wi が決まれば、当該箇所において、基準肉厚w0 の箇所と同じ押出速度となる様な、開口幅Ci が算出される。
【0039】
さて、図3に示した2孔平板ダイスでは、肉厚w0 の箇所と肉厚wi の箇所とが、ダイスセンタから同じ距離にあるが、通常は、ダイス孔各部のダイスセンタからの距離は一様ではなく、このダイスセンタからの距離も押出速度に影響することが知られている。そこで、次に、ダイスセンタからの距離が、押出流速に及ぼす影響を調べるため、図6に示す様に、多孔丸穴ダイスとそれに合わせたフローガイドとを用意した。
【0040】
ダイス孔各部の寸法は、各ダイス孔直径5mm、各ダイス孔のダイスセンタからの距離r0 =0mm,r1 =15mm,r2 =20mm,r3 =30mm、ダイス孔のベアリング長さは2mmで、ダイス半径R=50mmである。また、フローガイド開口部の開口幅Ci =3mmである。
【0041】
このダイスとフローガイドとを組み合わせて押出しを行い、流出側でダイスセンタのダイス孔からの押出速度V0 と、ダイスセンタから距離ri のダイス孔からの押出速度Vi とを測定した。なお、その他の押出条件は、コンテナ直径:100mm、ビレット材質:6063、押出温度:450℃、流出側の押出速度10m/minである。
【0042】
測定結果を、横軸にダイス半径Rに対する距離ri の比ri /R、縦軸に押出速度比Vi /V0 をとってグラフ化すると、図7の通りである。このグラフから明らかな様に、上記距離比ri /Rと押出速度比Vi /V0 との間には、ダイスセンタから離れるほど押出速度Vi が低下する傾向が見られ、この傾向は、図中に描くような曲線で近似でき、例えば下記の数式8で表すことができる。
【0043】
【数8】
【0044】
上記数式8において、図7に示した曲線の場合は、b1=0.7、b2=2.0である。したがって、ダイスセンタから距離ri の箇所での遅れ係数Yi は、上記数式8に基づいて求めることができる。なお、図7に示したグラフは、必ずしも数式化する必要はなく、例えば、グラフから値を直接読み取っても、遅れ係数Yi を求めることができる。
【0045】
この様なダイスセンタからの距離による遅れは、フローガイド開口部の開口幅Ci を広げることにより解消できる。図5にも示した通り、フローガイド開口部の開口幅Ci をn倍すれば、押出速度Vi もn倍になるので、例えば、遅れ係数が0.5となる箇所、即ち、押出速度が半減する箇所では、フローガイド開口部の開口幅Ci を2倍すればよいことになる。
【0046】
即ち、ダイスセンタから距離ri による押出速度の遅れも考慮すれば、上記数式7は、下記数式9に書き直すことができる。
【0047】
【数9】
【0048】
次に、上記数式9に基づいて、図8(a)に示すようなダイス孔51に対して、フローガイド開口部の設計を行った。
ダイス孔51は、図8(a)に示す様に、略コ字形の断面形状を有し、各部の寸法は、T1=4mm,T2=2.8mm,T3=2mm,T4=117mm,T5=55mmである。フローガイド開口部の形状を決定するための基準点P1〜P10は、図中二点鎖線の箇所S1〜S4で、ダイス孔51を端部、平板部、屈曲部に分割した上で、ダイスセンタからの距離も考慮して適当に選んである。
【0049】
基準点P1〜P10における相当肉厚wi 、ダイスセンタからの距離ri 、遅れ係数Yi は、下記表1の通りである。また、基準開口幅C0 =7mm、基準肉厚w0 =2mm、最小肉厚a1=0.7であり、これらを上記数式9に代入して計算すると、下記表1に併せて示す開口幅Ci が算出される。
【0050】
【表1】
【0051】
上記算出結果に基づいて決定したフローガイド開口部53を図8(b)に示す。同図において、図中両端矢印で示す箇所が、図8(a)に示した基準点P1〜P10に対応して算出された開口幅Ci となっており、開口幅Ci が大きく切り替わる箇所は、滑らかに曲線で結んである。なお、この様に開口幅Ci が大きく切り替わる箇所では、上記基準点を多数とることにより、より厳密に開口幅Ci を設定できるが、例示した程度の基準点をとって滑らかに結べば、実用上は問題がない。
【0052】
次に、図8に示したダイス孔51を有するダイスと、開口部53を有するフローガイドを、図2に示した押出装置20に装着して押出を行った。押出条件は、コンテナ直径:200mm、ビレット材質:6063、押出温度:480℃、流出側の押出速度25m/minである。なお、コンテナ直径は、上記予備実験と異なるが、遅れ係数Yi を算出する際に、上記数式8の右辺の変数Rに代入されることによって考慮されている。また、押出温度は、6063の実用的な押出温度(440〜480℃)の範囲内であれば、上記数式9の計算結果に影響を与えるような変化はない。更に、押出速度についても、6063の実用的な押出速度(10〜30m/分)の範囲内であれば、上記数式9の計算結果に影響を与えるような変化はない。
【0053】
そして、得られた押出材の寸法を確認するため、図8(a)中に示した長さT4に相当する箇所の長さを測定した。その結果を、図9に示す。図9からも明らかな様に、要求寸法を満たした押出材を、安定して20m以上押出すことができた。また、押出材の表面には、筋欠陥が認められなかった。
【0054】
この様に、上記数式9に基づいて形状が定められた開口部53を有するフローガイドによれば、ダイス孔のベアリング長さの切替が不要となり、押出材表面の筋欠陥を防止できる上に、ダイス孔加工に手間がかからなくなる。
また、数式に基づいて、開口幅を決定してあるので、事前に簡単な予備実験を行っておくだけで、開口部の形状を容易に決定することができる。したがって、フローガイドの開口部の形状を試行錯誤によって調整しなくてもよく、手間がかからない上に、熟練者でなくてもフローガイド開口部の設計ができる。
【0055】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明の具体的な構成については、上記実施例以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の種々なる態様を採用することができる。
例えば、実施例では、断面コ字形のダイス孔に対応したフローガイドを示したが、本発明は種々の断面形状のダイス孔に対して適用可能である。
【0056】
具体例を示せば、例えば、図10(a)に示すようなダイス孔D1に対しては、上記数式9に基づいて、図10(b)に示す様な形状のフローガイド開口部F1が決定できる。また、図11(a)に示すようなダイス孔D2に対しては、上記数式9に基づいて、図11(b)に示す様な形状のフローガイド開口部F2が決定できる。なお、図10、図11において、図中に示した数字は、ダイス孔D1,D2及びフローガイド開口部F1,F2の各部の寸法である。
【0057】
また、実施例では、ダイス孔のベアリング長さが一定にできる旨を説明したが、実際の押出によって更に厳密な調整が必要と判断されれば、ダイス孔のベアリング長さを微調整してもよい。この場合でも、ダイス孔のベアリング長さの切替は、最小限で済むので、従来技術に比べると、押出材表面の筋欠陥を防止できる。
【0058】
【発明の効果】
以上の如く、本発明のフローガイドによれば、開口部の形状を容易に決定でき、その開口部によりダイス孔内部での金属材料の流速を最適化できる。したがって、フローガイドの開口部の形状を、試行錯誤によって調整しなくてもよく、手間がかからない上に、熟練者でなくてもフローガイド開口部の設計ができる。また、ダイス孔のベアリング長さの切替が、不要となるか最小限で済むようになり、押出材表面の筋欠陥を防止できる上に、ダイス孔加工に手間がかからなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ダイス孔の分割方法を例示する説明図である。
【図2】 実施例の押出装置の概略を示す構成図である。
【図3】 2孔平板ダイスとそれに適合するフローガイドの正面図である。
【図4】 ダイス穴の肉厚と押出速度比との関係を表すグラフである。
【図5】 フローガイドの開口幅と押出速度比との関係を表すグラフである。
【図6】 多孔丸穴ダイスとそれに適合するフローガイドの正面図である。
【図7】 ダイス半径に対するダイスセンタからの相対距離と押出速度比との関係を表すグラフである。
【図8】 実施例のダイス穴及びフローガイド開口部を示し、(a)はダイス穴の正面図、(b)はダイス穴及びフローガイド開口部の正面図である。
【図9】 実施例のダイスを使って押出した押出材の押出長さと測定寸法との関係を表すグラフである。
【図10】 他の実施例としてのダイス穴及びフローガイド開口部を示し、(a)はダイス穴の正面図、(b)はダイス穴及びフローガイド開口部の正面図である。
【図11】 更に他の実施例としてのダイス穴及びフローガイド開口部を示し、(a)はダイス穴の正面図、(b)はダイス穴及びフローガイド開口部の正面図である。
【図12】 従来のダイス及びフローガイドを示し、(a)はその正面図、(b)はA−A線断面図、(c)はB−B線断面図である。
【符号の説明】
20・・・押出装置、21・・・コンテナ、22・・・ステム、23・・・フローガイド、24・・・ダイス、25・・・バッカー、26・・・ボルスター、31・・・ビレット、32・・・押出材。
Claims (1)
- ダイスに形成されたダイス孔の形状に応じて形状が定められる開口部を有し、前記ダイスの金属材料流入方向上流側に設置され、前記開口部の開口幅の広狭によって、ダイス孔各部への金属材料の流入比を調整する押出加工用のフローガイドにおいて、
ダイス孔の肉厚wi の箇所に対応する前記開口部の開口幅Ci が、下記の数式1に従って決定されていることを特徴とする押出加工用のフローガイド。
Priority Applications (1)
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JP22939795A JP3650655B2 (ja) | 1995-09-06 | 1995-09-06 | 押出加工用のフローガイド |
Applications Claiming Priority (1)
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JP22939795A JP3650655B2 (ja) | 1995-09-06 | 1995-09-06 | 押出加工用のフローガイド |
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JPH0970615A JPH0970615A (ja) | 1997-03-18 |
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JP22939795A Expired - Lifetime JP3650655B2 (ja) | 1995-09-06 | 1995-09-06 | 押出加工用のフローガイド |
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- 1995-09-06 JP JP22939795A patent/JP3650655B2/ja not_active Expired - Lifetime
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