JP2001179403A - 冷却長辺壁と短辺壁を備えた漏斗状先細鋳込み範囲を有する金属連続鋳造モールド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 浴面変動と浴面での乱流の減少により、非
金属的な介在物によるスラブ表面の欠陥被害を大幅に低
下させる、連続鋳造用モールドを提供する。 【解決手段】 本発明は、鋳込み範囲を備え、この鋳
込み範囲が冷却される長辺壁１，１′と短辺壁２，２′
を備え、かつ上下に位置する水平面内で鋳造ストランド
のフォーマットに向かって鋳造方向に漏斗状に先細にな
っており、鋳込み範囲が長辺壁１，１′の湾曲した輪郭
範囲によって形成されている、金属を連続鋳造するため
のモールドに関する。この場合、モールドの少なくとも
１つの高さ区間において、長辺壁１，１′の漏斗輪郭
が、短辺の中心を結ぶ線ｘ−ｘに関して非対称に形成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋳込み範囲を備
え、この鋳込み範囲が冷却される長辺壁と短辺壁を備
え、かつ上下に位置する水平面内で鋳造ストランドのフ
ォーマットの鋳造方向に漏斗状に先細になっており、鋳
込み範囲が長辺壁の湾曲した輪郭範囲によって形成され
ている、金属を連続鋳造するためのモールドに関する。

【０００２】

【従来の技術】鋳込み範囲の寸法は実質的に、鋳造すべ
きストランドの横断面、鋳造管の寸法および溶鋼内への
鋳造管の浸漬深さによって決定される。

【０００３】鋳込み範囲の漏斗状の形状は、できるだけ
薄いストランドを鋳造しようとするものである。この薄
いストランドは鋳造装置を出た後でスラブに分断され、
炉を通過した後で圧延熱を少なくとも部分的に利用しな
がら仕上げ圧延される。

【０００４】鋼製造で一般的である、鋳造時間、鋳造温
度および鋳造されたストランドの装入速度の値を維持す
るためには、小さなストランド横断面に基づいて、鋳造
速度を高めなければならない。従来の連続鋳造時の約２
５０ｍｍのストランド厚さを、薄スラブ鋳造時の例えば
約５０ｍｍに低減する場合には、鋳造速度を約５倍、例
えば約５〜６ｍ／分の値に高める必要がある。

【０００５】長辺壁の湾曲した輪郭範囲を有するモール
ドの漏斗状の形状と、薄いストランド厚さと、比較的に
速い引抜き速度に基づいて、モールドを通過する溶鋼内
に強い流れが生じる。モールド内のこのような流れ状態
は、循環する運動を発生する。なぜなら、モールドに供
給された溶鋼の一部が、浸漬鋳造管から外側に向けて短
辺壁の方に流れ、そこで浴面の方に変向され、そして浴
面の高さ位置でストランド中心の方に流れるからであ
る。この循環は、上側側方範囲において許容されないほ
ど強い溶鋼の冷却を防止するために必要である。しか
し、循環流れが強すぎると、ストランド凝固殻へのスラ
グ粒子と粉末粒子とその介在物の巻き込みを一層促進す
る。これは、鋳造製品の表面品質を大きく損なうことに
なる。

【０００６】漏斗状の鋳込み範囲と長辺壁の湾曲した輪
郭範囲を有するモールド内では、小さなストランド横断
面と速い鋳造速度に基づいて、上述の循環流れの強さ
を、溶鋼の均一な温度を維持するために必要な程度に調
節することはきわめて困難である。経験によれば浴面の
強すぎる冷却の欠点を克服するために、一般的に、短辺
壁からストランド中央へのはっきりした流れが生じるよ
うに、鋳造パラメータが設計される。この流れは短辺壁
の範囲内の浴面がはっきりと上昇することによって認め
られる。

【０００７】いろいろな連続鋳造装置の運転の際の実際
の経験により、漏斗状の鋳込み範囲と湾曲形成された輪
郭を有するモールドの中央でのこの循環流れの衝突の際
に、乱流または振動の形態の不所望な付加的な浴面運動
が生じることが判った。これにより例えば、仕上げ圧延
された帯状体が中央ウェブの表面欠陥を有する。この表
面欠陥は、粉末粒子やスラグ粒子を、モールド内の浴面
に形成されるストランド凝固殻に封じ込めることに起因
する。

【０００８】ドイツ連邦共和国特許出願公開第４４３５
２１８号公報は、薄スラブまたは鋼帯を連続鋳造するた
めのモールドを開示している。冷却される各々２個の長
辺壁と短辺壁とから形成され、浸漬鋳造管を収容するた
めの拡張した鋳込み範囲を有するモールドキャビティの
場合、第１の長辺壁の成形壁が鉛直線に対して２〜１０
°の角度αで延び、第２の長辺壁の成形壁が第１の成形
壁の傾斜と反対向きに広がるように湾曲しているとき
に、製作が簡単化され、鋳造されたストランドの表面が
改善され、ストランドに穴が形成される危険が回避され
る。

【０００９】ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７１
０７９１号公報は、鋳造粉末を使用して、特に４０〜１
５０×５００〜３３００ｍｍの寸法の薄スラブやスラブ
を、１０ｍ／分以下の鋳造速度で、鋳造するための振動
するモールドを開示している。浸漬注ぎ口を備えたモー
ルドは鋳造方向に、中心に関して対称で凹形の平らな長
辺壁を備えている。この長辺壁には、漏斗が中心に関し
て部分的に対称に重ね合わされる。この漏斗は所定の浸
漬注ぎ口形状の場合モールド幅全体にわたって均一な熱
の流れを保証する。このモールドの特徴は自由に選択可
能な浸漬注ぎ口の特徴と関連して、所望な最大鋳造出力
と、速い鋳造速度および割れやすい鋼品質の場合でさえ
も欠陥のないスラブ表面と、例えば５００〜１８００ｍ
ｍの大きな幅調節を、１種類のモードルで実現すること
ができる。

【００１０】ドイツ連邦共和国特許第４４２６９９０号
公報は、縦辺と長辺に溶鋼を供給するための浸漬鋳造管
を備えた連続鋳造モールドに関する。溶鋼内に浸漬され
た浸漬鋳造管の部分とモードル縦側との間の範囲におけ
る、流れる鋼の運動エネルギーを低減し、浴表面範囲内
にけるモールド内の液体鋼の流れ形成に所定の影響を与
える、構造が簡単な浸漬鋳造管を形成するために、この
発明では、浸漬鋳造管の管外壁がモールド縦辺に向いた
その縦辺側の範囲が、連続鋳造モールド内にある溶鋼内
への浸漬鋳造管の浸漬深さとは関係なく、モールド縦辺
に対してほぼ一定の間隔を有する形に形成されている。
更に、浸漬鋳造管の管外壁はモールド長辺の方に向いた
その長辺範囲内に、成形要素を備えている。この成形要
素は溶鋼の水平な流れや溶鋼上に浮遊する鋳造粉末に最
小の抵抗を有する。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】モールド内の溶鋼の循
環流れの形成に関する上記の認識と、上記の技術水準か
ら出発して、本発明の根底をなす課題は、浴面変動と浴
面での乱流の減少により、非金属的な介在物によるスラ
ブ表面の欠陥被害を大幅に低下させる、請求項１の上位
概念に記載した種類のモールドを提供することである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】この課題は、冒頭に述べ
た種類のモールドにおいて、本発明に従い、請求項１記
載の特徴によって解決される。

【００１３】本発明では、鋳込み範囲を備え、この鋳込
み範囲が冷却される長辺壁１，１′と短辺壁２，２′を
備え、かつ上下に位置する水平面内で鋳造ストランドの
フォーマット（所定寸法部、成形部）に向かって鋳造方
向に漏斗状に先細になっており、鋳込み範囲が長辺壁
１，１′の湾曲した輪郭範囲によって形成されている、
金属を連続鋳造するためのモールドにおいて、モールド
の少なくとも１つの高さ区間において、長辺壁１，１′
の漏斗輪郭が、短辺の中心を結ぶ線ｘ−ｘに関して非対
称に形成されていることを特徴とする。

【００１４】それにより、溶鋼が湾曲した輪郭範囲を有
する長辺壁の形成によって浴面範囲内で浸漬鋳造管の回
りに回転運動させられることにより、両短辺から来る分
岐流れの衝突が回避される。従って、浴面変動および乱
流の低減によって、不所望な介在物によるスラブ表面の
欠陥被害が大幅に低減されるように、流れ状態全体が改
善される。

【００１５】それによって、漏斗状の鋳込み範囲は、長
辺壁の最大漏斗開口を有する点を結ぶ線Ａ−Ａ′が少な
くとも１つの水平面上で、短辺壁の中心を結ぶ線ｘ−ｘ
に対して垂直ではなく、傾斜するように形成されてい
る。

【００１６】それによって形成された、モールドキャビ
ティの横断面の非対称に基づいて、短辺から来る流れが
それぞれ両長辺壁の近くで変向される。従ってよって、
長辺壁と浸漬鋳造管の間の両中間室内に、浸漬鋳造管の
回りに回転する反対向きの流れが生じる。この回転運動
は、中間室を出た後で流れが浸漬鋳造管の各々の側で短
辺から来る溶鋼によって方向を変更されることによって
生じる。

【００１７】本発明に従い、最大漏斗幅を有する両点を
結ぶ線ｙ−ｙが、短辺の両中心を結ぶ線ｘ−ｘに対して
垂直でないように、漏斗状の鋳込み範囲が形成可能であ
る。

【００１８】本発明の他の実施形では、最大漏斗ばねの
点Ａ，Ａ′が或る間隔範囲だけ互いにずれているよう
に、漏斗状の鋳込み範囲が形成可能である。

【００１９】本発明では更に、浸漬鋳造管の外側輪郭が
浴面範囲において丸められた角を有する平行四辺形であ
る。これは浸漬鋳造管回りの溶鋼の回転運動を促進す
る。

【００２０】

【発明の実施の形態】本発明の他の詳細と特徴は、図に
示した実施の形態の次の説明から明らかになる。

【００２１】図１，２，３に示した連続鋳造モールドそ
れぞれ、互いに向き合う２個の長辺壁１，１′と、この
長辺壁１，１′の間に挟持固定された２個の短辺壁２，
２′を備えている。長辺壁１，２′はその上側縁部の範
囲において湾曲した漏斗状の鋳込み範囲を備えている。
この鋳込み範囲は短辺の方におよび鋳造されたストラン
ドのフォーマットの鋳造方向に縮小している。

【００２２】図１に示すように、本発明の実施の形態で
は、モールドの高さ区間において、各々の長辺板１，
１′内の漏斗状鋳込み範囲の水平輪郭が、異なる長さ
Ｋ，Ｌを有する湾曲した２つの異なる輪郭部分３，４ま
たは３′，４′によって形成されている。この場合、同
一でない輪郭部分３，４または３′，４′は最大漏斗幅
の点ＡまたはＡ′で接続している。このモールドの重要
な特徴は、最大漏斗幅の両点Ａ，Ａ′を接続する線ｙ−
ｙが、短辺の中心を接続する線ｘ−ｘに対して垂直に延
びていない点にある。

【００２３】図２は、技術水準に対応して最大漏斗幅の
両点Ａ，Ａを接続する線ｚ−ｚが短辺の中心を接続する
線ｘ−ｘに対して垂直に延びているときにも、漏斗状鋳
込み範囲の本発明による形成が可能であることを示して
いる。本発明では、点Ａ，Ａ′がそれぞれ、異なる湾曲
と異なる長さＫ，Ｌを有する等しくない２つの輪郭部分
３，４または３′，４′の境を形成していることだけが
必要である。

【００２４】図１，２に示した漏斗範囲の形状は、比較
的に軟らかい炭素鋼や珪素合金鋼を鋳造する際に有利に
使用可能である。

【００２５】図３に示したモールドの形状では、長辺壁
１，１′が同一の輪郭部分４を使用することによって、
幅Ｔ＝２Ｋを有する同一の水平漏斗輪郭と、点Ａ，Ａ′
における最大漏斗幅とを有する。間隔範囲Ａ′−Ａだけ
両漏斗輪郭を水平にずらすことにより、モールド室の横
断面は、溶鋼の回転運動が浸漬鋳造管の回りに生じるよ
うに形成されている。

【００２６】この解決策の利点は、両長辺壁の漏斗輪郭
が反対方向にずれていることにより、ストランド凝固殻
の均一な形成が保証されることにある。これは特に、比
較的に硬い鋼、例えばオーステナイトステンレス鋼を鋳
造する際および比較的に遅い鋳造速度で鋳造する際に有
利である。

【００２７】図１，２で使用された同一でない輪郭範囲
３，４または３′，４′によってあるいは図３に示した
同一の漏斗輪郭によって漏斗状の鋳込み範囲を形成する
と、浸漬鋳造管５または８の回りに回転する溶鋼流れが
驚くほど簡単に形成された。それによって、技術水準に
おいて不利であった、欠陥のあるスラブ表面を生じる非
金属介在物を有する溶鋼の反対向きの流れの衝突が回避
される。溶鋼の回転運動は、浸漬鋳造管５または８の各
々の側で流れが短辺から来る溶鋼によって方向を変えら
れることによって生じる。これは図１〜３に記入した溶
鋼運動の方向矢印によって示してある。

【００２８】この場合、モールドキャビティの本発明に
よる形成が、図１に示した、傾斜ウェブまたは壁範囲
６，６′を有する浸漬鋳造管５の外側輪郭６−７−６′
−７′の本発明による形成と協働作用すると、特に有利
であることが判った。この傾斜ウェブまたは壁範囲によ
り、浸漬鋳造管５回りの溶鋼の回転運動が強められる。

【図面の簡単な説明】

【図１】角が丸められた平行四辺形の形をした浸漬鋳造
管の外側輪郭と共に、左右が逆の同じ内側輪郭を有する
長辺壁１，１′と短辺壁２，２′を備えたモールドの横
断面図である。

【図２】左右が逆の同じ内側輪郭を有する長辺壁１，
１′と短辺壁２，２′を備えたモールドの他の横断面図
である。

【図３】或る寸法だけ水平方向に互いにずらされた同じ
輪郭を有する長辺壁１，１′と短辺壁２，２′を備えた
モールドの他の横断面図である。

【符号の説明】

１，１′ 長辺壁 ２，２′ 短辺壁 ３，４，３′，４′ 輪郭部分 ６，６′，７，７′ 壁 ８ 浸漬鋳造管 ９，９′ ウェブ １０，１０ 壁 Ａ，Ａ′ 点 Ｋ，Ｌ 輪郭部分の長さ ｘ−ｘ 線 ｙ−ｙ 線

フロントページの続き (72)発明者 ユルゲン・ズッカー ドイツ連邦共和国、40545デユッセルドル フ、シュテッフエンストラーセ、26 (72)発明者 ロメオ・カポトスチ イタリア国、05020マルヒ、ストラダ・デ レ・グラツィエ、10

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋳込み範囲を備え、この鋳込み範囲が冷
   却される長辺壁（１，１′）と短辺壁（２，２′）を備
   え、かつ上下に位置する水平面内で鋳造ストランドのフ
   ォーマットに向かって鋳造方向に漏斗状に先細になって
   おり、鋳込み範囲が長辺壁（１，１′）の湾曲した輪郭
   範囲によって形成されている、金属を連続鋳造するため
   のモールドにおいて、モールドの少なくとも１つの高さ
   区間において、長辺壁（１，１′）の漏斗輪郭が、短辺
   の中心を結ぶ線（ｘ−ｘ）に関して非対称に形成されて
   いることを特徴とするモールド。
2. 【請求項２】 最大漏斗幅の点（Ａ，Ａ′）が、長辺壁
   （１，１′）の輪郭をそれぞれ、等しくない２つの輪郭
   部分（３，４または３′，４′）に分割し、この輪郭部
   分が異なる長さ（Ｋ，Ｌ）およびまたは異なる湾曲形状
   を有することを特徴とする請求項１記載のモールド。
3. 【請求項３】 最大漏斗幅を有する両点（Ａ，Ａ′）を
   結ぶ線（ｙ−ｙ）が、短辺の中心を結ぶ線（ｘ−ｘ）に
   対して垂直であることを特徴とする請求項１記載のモー
   ルド。
4. 【請求項４】 最大漏斗幅を有する点（Ａ，Ａ′）が間
   隔範囲（Ａ′−Ａ）だけ水平方向に互いにずれているこ
   とを特徴とする請求項１記載のモールド。
5. 【請求項５】 長辺壁が値（Ａ′−Ａ）だけ水平方向に
   ずれている同一の漏斗輪郭を備えていることを特徴とす
   る請求項１記載のモールド。
6. 【請求項６】 長辺壁が左右逆の同一の漏斗輪郭を有す
   ることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一つに記載
   のモールド。
7. 【請求項７】 浸漬鋳造管（８）が少なくとも浴面の範
   囲内に、平行な２つの壁（１０，１０′）を備えた横断
   面形状を有し、この壁が弧状のウェブ（９，９′）によ
   って接続されていることを特徴とする請求項１〜６のい
   ずれか一つに記載のモールド。
8. 【請求項８】 浸漬鋳造管（８）が少なくとも浴面の範
   囲内に、対向する平行な壁または部分的に平行な壁
   （６，６′，７，７′）を有するほぼ平行四辺形の横断
   面を有することを特徴とする請求項１〜６のいずれか一
   つに記載のモールド。