JP3648990B2 - 光分岐結合器の製造方法、これに用いる樹脂組成物および光分岐結合器 - Google Patents

光分岐結合器の製造方法、これに用いる樹脂組成物および光分岐結合器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光分岐結合器の製造方法に関し、さらに詳しくは、光の伝送損失の小さい光分岐結合器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信社会の発展による伝達情報量の巨大化に伴って、遠距離の通信手段として光ファイバーが使用されている。一方、家庭やオフィスなどの屋内における通信手段としても光ファイバーが使用されつつある。
しかして、光ファイバーによって伝送される光信号を分岐させたり、複数の光信号を結合させたりするための手段(光スイッチ手段)として、導波部(高屈折率部)と、このまわりに形成された被覆層(低屈折率部または光不透過部)とからなる光分岐結合器が使用されている。
【0003】
ここに、光分岐結合器を構成する導波部(光透過路)としては、樹脂組成物を光硬化させて得られる硬化物からなるものが知られている。
このような構成の光分岐結合器を製造する方法として、フォトリソグラフィー法によって導波部を形成する方法が紹介されている(米国特許第4,878,727号明細書参照)。
【0004】
しかしながら、フォトリソグラフィー法による製造方法では、形成される導波部の断面(横断面)が方形状になり、円形状の断面を有する光ファイバーと接続する場合に光学的損失を招くという問題がある。また、フォトマスクを作製し、これを使用して行う露光工程は煩雑である。
【0005】
一方、光分岐結合器を製造する方法として、接続されるべき光ファイバーの端面から出射される光を利用して樹脂組成物を硬化させて導波部を形成する方法が紹介されている(特開昭60−90312号公報、特開昭62−5205号公報参照)。
【0006】
しかしながら、上記公報に記載の製造方法では、導波部を形成するための樹脂組成物が十分な光硬化性(硬化速度)を有するものでないために、光ファイバーの端面から出射された光によっては、所期の光学的特性を有する硬化物を得ることができない、という問題がある。
また、永久導波部を形成するためには、後処理(熱または化学薬品による外方/内方拡散)によって屈折率を安定化させなければならず、この方法では、導波部と被覆層との間の屈折率の差を精密に制御することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、光の伝送特性に優れた光分岐結合器を、簡便な操作でかつ短い時間で製造することができる光分岐結合器の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の光分岐結合器の製造方法は、光分岐結合器の導波部を形成するための未硬化の光硬化性樹脂組成物(i)を、形成される導波部に接続されるべき、固定された光ファイバーの各々の端面から出射される光を利用して硬化させ、未硬化の樹脂組成物(i)を除去することにより、前記光ファイバーに接続された導波部を形成し、
次いで、当該導波部のまわりに硬化性の樹脂組成物(ii)を供給し、これを硬化させることにより、前記導波部のまわりに硬化樹脂による被覆層を形成する工程を含むことを特徴とする。
未硬化の光硬化性樹脂組成物(i)は、光量500mJ/cm2 の紫外線を照射して、厚さ200μmのフィルム状の硬化物を形成したときに、当該フィルム状の硬化物をメチルエチルケトンで抽出したときの残分が90重量%以上のものであることが好ましい。
導波部のまわりに供給される樹脂組成物(ii)が光硬化性の組成物であることが好ましい。
被覆層を構成する硬化樹脂の屈折率が、導波部を構成する硬化物の屈折率(nw)よりも低いものであることが好ましい。
【0011】
【作用】
〔1〕本発明の樹脂組成物に対し、光量500mJ/cm2 の紫外線を照射して厚さ200μmのフィルム状の硬化物を形成し、当該硬化物をメチルエチルケトンで抽出したときの残分が90重量%以上であり、本発明の樹脂組成物は、光照射による硬化速度がきわめて大きいものである。
従って、本発明の樹脂組成物を使用すれば、光分岐結合器の導波部に要求される諸特性を有する硬化物を短い時間で形成することができる。
そして、当該硬化物からなる導波部を備えた光分岐結合器は、光の伝送損失が小さくて光スイッチ手段として好適であり、しかも、当該光分岐結合器を高温・高湿環境下で使用しても、所期の伝送特性を長期にわたって発揮することができる。
【0012】
〔2〕25℃における粘度が10,000cps以下であることにより、光分岐結合器の製造過程における作業性に優れているとともに、得られる導波部(硬化物)に気泡などが残留することはない。
また、硬化物(厚さ1mm)における波長500〜1000nmの光の透過率が90%以上であることにより、光の伝送損失を抑制することができる。
【0013】
〔3〕光分岐結合器に接続される光ファイバーの屈折率(nf)に対する硬化物の屈折率(nw)の比(nw/nf)の値が1.001〜1.200の範囲にあることにより、当該光分岐結合器において優れた伝送特性が発現される。
【0014】
〔4〕光ファイバーの端面からの出射光によって樹脂組成物(i)を硬化させて導波部を形成した後、当該導波部のまわりに供給された樹脂組成物(ii)を硬化させて被覆層を形成する工程を含む本発明の製造方法によれば、光の伝送特性に優れた光分岐結合器を、簡便な操作で、かつ短い時間で製造することができる。
すなわち、本発明の製造方法によれば、導波部を形成するための樹脂組成物(i)が優れた光硬化性(大きな硬化速度)を有するものであるために、光ファイバーの端面から出射される光によって、短い時間で、所期の光学的特性を有する硬化物を得ることができる。
また、当該硬化物からなる導波部は、三次元的でなめらかな形状を有することから、散乱損失が低く、この点からも光の伝送特性に優れている。
さらに、樹脂組成物(i)の硬化物である導波部を、樹脂組成物(ii)の硬化物により被覆することにより、導波部および被覆層の間の屈折率の差を容易かつ精密に制御することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、少ない光量の紫外線照射によって硬化が完結する光硬化性に優れた樹脂組成物である。具体的には、本発明の樹脂組成物に、光量500mJ/cm2 の紫外線を照射して、厚さ200μmのフィルム状の硬化物を形成し、当該硬化物をメチルエチルケトン(MEK)で抽出したときの残分(MEK抽出残分)が90重量%以上とされ、好ましくは95重量%以上とされる。ここに、MEKによる抽出条件としては、抽出温度80℃、抽出時間12時間とされる。
【0016】
本発明の樹脂組成物によれば、光分岐結合器の導波部に要求される諸特性(光学的特性・物理的特性)を有する硬化物を短い時間で形成することができる。
そして、このような硬化物からなる導波部を備えた光分岐結合器(本発明の光分岐結合器)は、光の伝送損失が小さくて光スイッチ手段として好適であるとともに、当該光分岐結合器を高温・高湿環境下で使用する場合であっても、所期の伝送特性が長期にわたり安定的に維持される。
【0017】
本発明の樹脂組成物の粘度(25℃)は10,000cps以下であることが好ましく、更に好ましくは8,000cp以下とされる。ここに、樹脂組成物の粘度は、B型粘度計により測定される値を採用することができる。
樹脂組成物の粘度(25℃)が10,000cpsを超える場合には、光分岐結合器の製造過程(例えば、硬化工程終了後における未硬化樹脂の除去工程)における作業性が損なわれるとともに、樹脂組成物内に混入した気泡を除去することが困難となり、得られる導波部(硬化物)に気泡が残留することがある。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、透明性に優れた硬化物を形成するものであることが好ましい。具体的には、得られる硬化物(厚さ1mm)における波長500〜1000nmの光の透過率が90%以上であることが好ましく、更に好ましくは95%以上とされる。
得られる硬化物(厚さ1mm)における波長500〜1000nmの光の透過率が90%未満である場合には、光の伝送特性が損なわれることがある。
【0019】
本発明の樹脂組成物には、不飽和化合物(a)と、光重合開始剤(b)とが含有されていることが好ましい。
これにより、硬化速度を更に大きくすることができ、諸特性(光学的特性・物理的特性)に優れた硬化物を、更に短い時間で形成することができる。
【0020】
不飽和化合物(a)としては、下記〔1〕〜〔14〕に示す(メタ)アクリロイル基含有化合物、および下記〔15〕〜〔19〕に示すビニル化合物を挙げることができ、これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
〔1〕メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類。
【0022】
〔2〕ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類。
【0023】
〔3〕フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類。
【0024】
〔4〕メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類。
【0025】
〔5〕ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類。
【0026】
〔6〕ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類。
【0027】
〔7〕シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート類。
【0028】
〔8〕ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、および下記式(1)〜(3)で表される化合物などの(メタ)アクリレート類。
【0029】
【化1】
Figure 0003648990
【0030】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基を示し、R2 は炭素数2〜6のアルキレン基を示し、R3 は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。mは0〜12の整数である。)
【0031】
【化2】
Figure 0003648990
【0032】
(式中、R4 は水素原子またはメチル基を示し、R5 は炭素数2〜8のアルキレン基を示す。nは1〜8の整数である。)
【0033】
【化3】
Figure 0003648990
【0034】
(式中、R6 は水素原子またはメチル基を示し、R7 は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、R8 水素原子またはメチル基を示す。pは1〜8の整数である。)
【0035】
〔9〕アクリロイルモルフォリン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、tert−オクチル(メタ)アクリルアミド、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類。
【0036】
〔10〕エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類。
【0037】
〔11〕トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリヒドロキシエチルトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類。
【0038】
〔12〕イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどのイソシアヌレートのポリ(メタ)アクリレート類。
【0039】
〔13〕トリシクロデカンジイルジメチルジ(メタ)アクリレートなどのシクロアルカンのポリ(メタ)アクリレート類。
【0040】
〔14〕ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸から得られる(メタ)アクリレートなどのビスフェノールAの(メタ)アクリレート誘導体類。
【0041】
〔15〕酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸などのカルボン酸ビニルエステル類。
【0042】
〔16〕N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタムなどのビニルラクタム類。
【0043】
〔17〕メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類およびシクロアルキルビニルエーテル類。
【0044】
〔18〕2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニルエーテル類。
【0045】
〔19〕グリシジルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類。
【0046】
これらのうち、硬化速度の大きい樹脂組成物を調製することができ、得られる硬化物の物理的特性を容易に調整することができる観点から、(メタ)アクリレート類が好ましく、特に、芳香族基を含有する(メタ)アクリレート、2個以上の(メタ)アクリル基を分子中に含有する多官能性の(メタ)アクリレート類が好ましい。
本発明の樹脂組成物中における不飽和化合物(a)の含有割合は20〜99.9重量%であることが好ましく、更に好ましくは80〜95重量%とされる。
【0047】
光重合開始剤(b)の具体例としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4‘−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[ 4−(メチルチオ)フェニル] −2−モリフォリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−[ 4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル] −2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなどを挙げることができ、これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[ 4−(メチルチオ)フェニル] −2−モリフォリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ジエチルチオキサントンが好ましい。
本発明の樹脂組成物中における光重合開始剤(b)の含有割合は0.1〜20重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜10重量%とされる。
【0048】
本発明の樹脂組成物中には、その優れた特性が損なわれない範囲において種々の添加剤が含有されていてもよい。
かかる添加剤の具体例としては、
〔1〕ジ−tert−ブチルフェノール、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類、フェノチアジン、メルカプトベンズイミダゾール、2,2' −チオジエチル−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などの老化防止剤;
〔2〕フェニルサリシレートに代表されるサリチル酸系、ジヒドロキシベンゾフェノン、2ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系などの各種プラスチック添加に使用される紫外線吸収剤;
〔3〕メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ペンタエリスリトール、ポリフェノール、グリコールなどの架橋性化合物;
〔4〕各種脂肪族スルホン酸とその塩、安息香酸、フタル酸などの各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステルなどの熱酸発生剤;
〔5〕ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4’−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパンなどの熱重合禁止剤;
〔6〕各種アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤;
〔7〕各種オニウム塩、スルホン化合物、スルホン酸エステル類、下記式(4)で示されるスルホンイミド化合物、下記式(5)で示されるジアゾメタン化合物などの光酸発生剤;その他を挙げることができる。
【0049】
【化4】
Figure 0003648990
【0050】
(式中、Xはアルキレン基、アリレーン基、アルコキシレン基等の二価の基を示し、R9 はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の一価の基を示す。)
【0051】
【化5】
Figure 0003648990
【0052】
(式中、R10およびR11は、互いに同一でも異なっても良く、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。)
【0053】
さらに、本発明の樹脂組成物の構成成分として重合体が含有されていてもよい。これにより、当該樹脂組成物を硬化させる際の収縮(硬化収縮)を抑制することができるとともに、光ファイバーとの密着性を向上させることができる。
かかる重合体の具体例としては、アクリレート系(共)重合体、スチレン系(共)重合体などを例示することができる。
【0054】
<光分岐結合器>
本発明の光分岐結合器は、本発明の樹脂組成物を光硬化して形成される導波部を備えてなる点に特徴を有する。
本発明の光分岐結合器において、導波部を構成する硬化物は、その屈折率(nw)が、光分岐結合器に接続される光ファイバーの屈折率(nf)よりも大きいことが好ましく、特に、比(nw/nf)の値が1.001〜1.200の範囲にあることが好ましい。ここに、「屈折率(nw)」としては、エリプソメーターを用いて測定される、25℃における波長539nmの光の屈折率(n25)の値を採用することができる。また、「光ファイバーの屈折率(nf)」とは、コア−クラッド構造を有する光ファイバーにあっては、コアの屈折率をいうものとする。
【0055】
屈折率の比(nw/nf)の値が1.001未満である場合には、光分岐結合器の導波部の開口数が小さくなり、光ファイバーからの入射光を効率よく伝送することができにくくなる。
一方、比(nw/nf)の値が1.200を超える場合には、光分岐結合器の導波部と、光ファイバーとの界面を通過すべき光の一部が、当該界面で反射されてしまうことにより、伝送損失の増加を招きやすくなる。
【0056】
本発明の光分岐結合器は、本発明の樹脂組成物を光硬化して形成される導波部が、樹脂材料によって被覆されていることが好ましい。
導波部を被覆する樹脂材料としては、導波部内に伝送された光を吸収しないものであることが好ましく、導波部を構成する硬化物の屈折率(nw)よりも低い屈折率を有する硬化樹脂(光硬化性・熱硬化性・常温硬化性の樹脂組成物による硬化物)であることが好ましい。
【0057】
<光分岐結合器の製造方法>
本発明の製造方法は、本発明の樹脂組成物(i)を、光ファイバーの端面からの出射光(当該光ファイバーの内部を伝送させた光)を利用して硬化させ、未硬化の樹脂組成物(i)を除去することにより、前記光ファイバーに接続された導波部を形成し、次いで、当該導波部のまわりに硬化性の樹脂組成物(ii)を供給し、これを硬化させることにより、前記導波部のまわりに、硬化樹脂〔樹脂組成物(ii)に由来の硬化樹脂〕による被覆層を形成する工程を含む点に特徴を有するものである。
ここに、未硬化の樹脂組成物(i)の除去方法としては、特に限定されるものではなく、溶剤による流去、吸引による除去、空気などにより吹き飛ばすことによる除去などを例示することができる。
【0058】
ここに、樹脂組成物(ii)は、常温硬化性や熱硬化性の樹脂組成物であってもよいが、光硬化性の樹脂組成物であることが好ましい。また、樹脂組成物(ii)は、導波部を構成する硬化物の屈折率(nw)よりも屈折率の低い硬化樹脂を形成するものであることが好ましい。
樹脂組成物(ii)を構成する樹脂の具体例としては、熱硬化型シリコーン樹脂、低屈折率紫外線硬化型樹脂などを挙げることができ、樹脂組成物(ii)の市販品としては、「オプスターJM5020」(JSR(株)製,硬化物の屈折率=1.410)を例示することができる。
【0059】
以下、本発明の製造方法を図面を用いて説明する。図1は、本発明の製造方法の一例を示す説明図であり、同図において、11,12,13は光ファイバー、21および22はフェルール、30は底板である。
【0060】
〔1〕フェルール21によって光ファイバー11を固定するとともに、フェルール22によって光ファイバー12,13を固定する〔図1(1)参照〕。
〔2〕フェルール21,22および底板30により区画されたキャビティC内に、本発明の樹脂組成物(i)を充填する〔図1(2)参照〕。
〔3〕光ファイバー11,12,13の各々の外端面から内端面に向けて紫外線(UV)を伝送させ、光ファイバー11,12,13の各々の内端面から出射された紫外線によって樹脂組成物(i)を硬化させる〔図1(3)参照〕。
〔4〕キャビティC内における未硬化の樹脂組成物を除去する。これにより、三次元的でなめらかな形状を有する硬化物(導波部W)が形成される〔図1(4)参照〕。
〔5〕形成された導波部Wに対して、必要に応じて紫外線(UV)を照射することにより後硬化を行う〔図1(5)参照〕。
〔6〕形成された導波部Wのまわり(キャビティC内)に光硬化性の樹脂組成物(ii)を供給し、この樹脂組成物(ii)に紫外線(UV)を照射して硬化させる〔図1(6)参照〕。
【0061】
以上の工程〔1〕〜〔6〕により、樹脂組成物(ii)に由来の硬化樹脂により導波部Wが被覆されてなる光分岐結合器(本発明の光分岐結合器)が得られる。なお、本発明の製造方法に使用される樹脂組成物(i)は、光硬化速度が大きく、少ない光エネルギーによって硬化させることができるので、上記〔5〕の工程を行うことなく、所期の光学特性・物理的特性を有する硬化物(導波部W)を形成することも可能である。
【0062】
以上に説明したように、本発明の製造方法によれば、フォトマスクを使用する煩雑な露光処理を行う必要がない。
また、本発明の製造方法によれば、導波部を形成するための樹脂組成物(i)が、優れた光硬化性(十分に大きな硬化速度)を有するために、少ない光エネルギーにより、短い時間で、所期の光学的特性を有する硬化物(導波部)を形成することができる。
また、当該硬化物からなる導波部は、三次元的でなめらかな形状を有することにより、散乱損失が小さく、円形状断面を有する光ファイバーと接続する場合においても光学的損失を招くことはない。従って、これらの点からも光の伝送特性に優れている。
しかも、本発明の製造方法によれば、二段階の硬化工程を実施することにより、樹脂組成物(i)の硬化物である導波部を、樹脂組成物(ii)の硬化物により被覆する〔導波部の形成後に樹脂組成物(ii)を供給して硬化させる〕ので、導波部および被覆層の間の屈折率の差を容易かつ精密に制御することができる。
【0063】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」は「重量部」を意味する。
【0064】
<実施例1>
〔1〕重合体(樹脂組成物の構成成分)の調製:
冷却管、攪拌装置、温度計および三方コックが取り付けられた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコ内を窒素ガスで置換した後、このセパラブルフラスコ内に、N−ビニル−2−ピロリドン27部と、イソボルニルアクリレート63部と、テトラヒドロフルフリルアクリレート10部と、酢酸エチル(溶剤)150部とを仕込み、次いで、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)0.5部を添加して、この反応系を、窒素ガス雰囲気下50℃で4時間攪拌することにより重合させた。このようにして得られた生成系(重合体溶液)を大過剰のn−ヘキサン中に撹拌しながら徐々に投入して反応生成物を沈澱させて分離した。その後、当該反応生成物をメチルイソブチルケトンに溶解させ、得られた溶液を大過剰のn−ヘキサン中に撹拌しながら徐々に投入して反応生成物を再度沈澱させて分離し、これを乾燥することにより、共重合体〔以下、「重合体(I)」という〕を得た。
得られた重合体(I)について、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は82,000、 ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は243,000であった。
【0065】
〔2〕樹脂組成物の調製:
下記表1に示す処方に従って、攪拌機および加熱装置を備えた容器内に、不飽和化合物(a)として、N−ビニル−2−ピロリドン15.0g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート4.0g、トリメチロールプロパントリアクリレート40.0gおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート35.0g、光重合開始剤(b)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3.0g、上記の調製例により得られた重合体(I)6.0g、並びに添加剤として2,2' −チオジエチル−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス1035,チバスペシャルティケミカルズ(株)製)0.3gを仕込み、40〜50℃に加熱しながら2時間攪拌することにより、本発明の樹脂組成物を調製した。
【0066】
〔3〕光分岐結合器の製造:
図2(1)に示すような、光ファイバーを設置するための溝dと、光分岐結合器を形成するためのキャビティCとが上面に形成されたポリメチルメタクリレート(PMMA)製のホルダー1を水平面に配置した。
次いで、図2(2)に示すように、ホルダー1の上面に形成された溝dの各々に、PMMAからなる直径1mm、長さ1mの光ファイバー2a,2b,2c〔三菱レーヨン(株)製,屈折率(nf)=1.492〕をそれぞれ載置するとともに、キャビティC内に、樹脂組成物3〔樹脂組成物(i)〕として「デソライトZ9001」〔JSR(株)製〕を充填した。その後、光ファイバー2a,2b,2cの各々の外端面から内端面に向けて紫外線(UV)を伝送し、光ファイバー2a,2b,2cの各々の内端面から出射された紫外線によって樹脂組成物3を硬化させた。樹脂組成物3を硬化させるための紫外線の照射条件は、100mW/cm2 ×5秒間(積算照射量=500mJ/cm2 )とした。
【0067】
次いで、キャビティC内における未硬化の樹脂組成物を吸引・溶剤洗浄により除去することにより、図3(1)に示すような、樹脂組成物3に由来の硬化物からなる導波部4を形成した。
次いで、図3(2)に示すように、キャビティC内に、樹脂組成物5〔樹脂組成物(ii)〕として「オプスターJM5020」〔JSR(株)製,硬化物の屈折率=1.410〕を充填した。その後、当該樹脂組成物5に対し、上方から紫外線を照射して硬化させることにより、図3(3)に示すような、樹脂組成物5に由来の硬化樹脂6により導波部4が被覆されてなる光分岐結合器(本発明の光分岐結合器)を得た。
【0068】
<実施例2>
下記表1に示す処方に従って、攪拌機および加熱装置を備えた容器内に、不飽和化合物(a)として、N−ビニル−2−ピロリドン5.0g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート2.5g、トリメチロールプロパントリアクリレート15.0g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート12.5g、臭素含有アクリレート「BR−31」〔第一工業製薬(株)製〕38.0gおよびビスフェノールA系エポキシジアクリレート「VR−77」〔昭和高分子(株)製〕25.0g、光重合開始剤(b)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3.0g、重合体(I)2.0g、並びに添加剤として2,2' −チオジエチル−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3gを仕込み、40〜50℃に加熱しながら2時間攪拌することにより、本発明の樹脂組成物を調製した。
このようにして調製された樹脂組成物を、導波部を形成するための樹脂組成物(i)として使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の光分岐結合器を製造した。
【0069】
<実施例3>
下記表1に示す処方に従って、攪拌機および加熱装置を備えた容器内に、不飽和化合物(a)として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート24.0g、トリメチロールプロパントリアクリレート45.0gおよびネオペンチルグリコールジアクリレート25.0g、光重合開始剤(b)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3.0g、並びに重合体(I)6.0gを仕込み、40〜50℃に加熱しながら2時間攪拌することにより、本発明の樹脂組成物を調製した。
このようにして調製された樹脂組成物を、導波部を形成するための樹脂組成物(i)として使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の光分岐結合器を製造した。
【0070】
<比較例1〜2>
下記表1に示す処方に従って、不飽和化合物、光重合開始剤、重合体および添加剤を容器内に仕込んだこと以外は実施例1と同様にして、比較用の樹脂組成物を調製した。
下記表1中、『重合体(II)』は、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体「KYNAR ADS」(エルフ・アトケム社製)である。
【0071】
上記のようにして調製された比較用の樹脂組成物の各々を、導波部を形成するための樹脂組成物(i)として使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較用の光分岐結合器を製造した。
【0072】
【表1】
Figure 0003648990
【0073】
実施例1〜3および比較例1〜2で使用した樹脂組成物(導波部を形成するための樹脂組成物)の各々について、下記の方法に従って、▲1▼ 粘度(25℃)、▲2▼ 硬化物(フィルム状)のMEK抽出残分、▲3▼ 硬化物の屈折率(nw)および▲4▼ 硬化物(1mm厚)における光透過率を測定した。結果を下記表2に示す。
【0074】
〔測定方法〕
(1)粘度(25℃):
JIS K 7117に準拠して、B型粘度計を使用して25℃における樹脂組成物の粘度を測定した。
【0075】
(2)硬化物(フィルム状)のMEK抽出残分:
アプリケーターを用いて樹脂組成物をガラス板上に塗布し、形成された塗膜に対し、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプにより光量500mJ/cm2 の紫外線を照射した後、塗膜をガラス板から剥離することにより、厚さ200μmのフィルム状の硬化物を得た。このようにして得られたフィルム状の硬化物の重量(w0 )を測定し、次いで、当該硬化物を、ソックスレー抽出器を用いてMEKで抽出し(抽出温度80℃、抽出時間12時間)、真空下に100℃で12時間加熱した後の重量(w)を測定し、MEK抽出残分〔(w/w0 )×100(%)〕を求めた。
【0076】
(3)硬化物の屈折率(nw):
スピンコーターを用いて樹脂組成物のMIBK溶液をシリコンウエハ上に塗布し、形成された塗膜に対し、窒素雰囲気下、光量500mJ/cm2 の紫外線を照射することにより、硬化物からなる塗膜(膜厚0.1μm)を形成した。
このようにして得られた試料(硬化物からなる塗膜が形成されたシリコンウエハ)について、エリプソメーターを用い、25℃における波長539nmの光の屈折率(n25)を測定し、併せて、光ファイバーの屈折率(nf=1.492)に対する比(nw/nf)を求めた。
【0077】
(4)硬化物(1mm厚)における光透過率:
厚さ1mmのガラス板からなるスペーサーを介して、2枚のスライドガラスを対向配置させ、当該スライドガラスにより形成された空隙間に樹脂組成物を注入した後、500mJ/cm 2の紫外線を照射して試料を作製した。得られた試料について、波長500〜1000nmの光の透過率を測定した。
【0078】
<光分岐結合器の評価(伝送損失の測定)>
実施例1〜2および比較例1〜2により得られた光分岐結合器〔図3(3)に示したような光ファイバー(2a,2b,2c)が接続された光分岐結合器〕の各々について、以下のようにして、波長660nmの光の伝送損失を測定した。また、光分岐結合器の各々を高温・高湿環境(温度60℃,相対湿度95%)の下に168時間放置した後、同様にして光の伝送損失を測定した。
結果を併せて表2に示す。
【0079】
〔測定方法〕
図3(3)に示した光ファイバー(2a)の外端面から波長660nmの光を入射し、光分岐結合器の導波部(4)を通って、光ファイバー(2b)および光ファイバー(2c)の外端面から出射された光を検出器「光マルチメーター」〔安藤電気(株)製〕に取り込んで損失を測定した。伝送損失の値は、光ファイバー(2b)の外端面からの出射光における損失と、光ファイバー(2c)の外端面からの出射光における損失との平均値を採用した。
【0080】
【表2】
Figure 0003648990
【0081】
表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜3に係る光分岐結合器は、光の伝送損失が小さく、光の伝送特性に優れているものであった。しかも、このような優れた伝送特性は、高温・高湿環境下に放置した後においても損なわれることはなかった。
これに対して、比較例1に係る光分岐結合器は、導波部を形成するために使用した樹脂組成物の硬化物のMEK抽出残分が90重量%未満であり、当該硬化物の屈折率および光透過率も低いことから、伝送損失が大きいものであった。
また、比較例2に係る光分岐結合器は、導波部を形成するために使用した樹脂組成物の硬化物のMEK抽出残分が90重量%未満であることから、高温・高湿環境下に放置した後において、伝送損失が大きいものであった。
【0082】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物によれば、光分岐結合器の導波部に要求される諸特性(光学的特性・物理的特性)を有する光硬化物を短時間で形成することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、光分岐結合器の製造過程における作業性に優れている。
また、本発明の樹脂組成物によれば、光分岐結合器の導波部として好適な屈折率を有し、透明性にも優れた硬化物を得ることができる。
【0083】
本発明の光分岐結合器は、光学的特性および物理的特性に優れた導波部を備えており、光の伝送損失が小さくて光スイッチ手段として好適である。
また、本発明の光分岐結合器を高温・高湿環境下で使用しても、所期の伝送特性が損なわれることがない(小さい伝送損失が維持される)。
【0084】
本発明の製造方法によれば、光の伝送特性に優れた光分岐結合器を、精密な加工を必要とすることなく、簡便な操作で、かつ短い時間で製造することができ、この結果、安価な光分岐結合器を大量に生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一例を示す説明図である。
【図2】実施例1における光分岐結合器の製造過程を示す斜視図である。
【図3】実施例1における光分岐結合器の製造過程を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ホルダー
2a,2b,2c 光ファイバー
3 樹脂組成物(i)
4 導波部
5 樹脂組成物(ii)
6 硬化樹脂
d 溝
C キャビティ
11,12,13 光ファイバー
21,22 フェルール
30 底板

Claims (4)

  1. 光分岐結合器の導波部を形成するための未硬化の光硬化性樹脂組成物(i)を、形成される導波部に接続されるべき、固定された光ファイバーの各々の端面から出射される光を利用して硬化させ、未硬化の樹脂組成物(i)を除去することにより、前記光ファイバーに接続された導波部を形成し、
    次いで、当該導波部のまわりに硬化性の樹脂組成物(ii)を供給し、これを硬化させることにより、前記導波部のまわりに硬化樹脂による被覆層を形成する工程を含むことを特徴とする光分岐結合器の製造方法。
  2. 未硬化の光硬化性樹脂組成物(i)は、光量500mJ/cm2 の紫外線を照射して、厚さ200μmのフィルム状の硬化物を形成したときに、当該フィルム状の硬化物をメチルエチルケトンで抽出したときの残分が90重量%以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の光分岐結合器の製造方法。
  3. 導波部のまわりに供給される樹脂組成物(ii)が光硬化性の組成物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光分岐結合器の製造方法。
  4. 被覆層を構成する硬化樹脂の屈折率が、導波部を構成する硬化物の屈折率(nw)よりも低いことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光分岐結合器の製造方法。
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