JP4622878B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物を自己形成的に光硬化させてコアを形成し、その外周をクラッド材で覆うことによる光導波路の製造方法に関する。
本願出願人は、「光硬化性樹脂組成物を自己形成的に光硬化させる」ことで、光導波路のコアとして用いることができる軸状の硬化物を開発し、現在に至るまで様々な提案を行ってきた。例えば下記特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献2の技術は次の通りである。直方体の上面が開口となった形のアクリル製の透明容器に第1の硬化性樹脂液を充填し、プラスチック光ファイバを浸漬する。プラスチック光ファイバを通してレーザ光を第1の硬化性樹脂液に照射すると、第1の硬化性樹脂液1は照射されたレーザ光により徐々に硬化し、自己集光性によって軸状のコアが形成される。次に透明容器の開口部から、未硬化の第1の硬化性樹脂液を除去する。尚、コア表面及び透明容器の内面に未硬化の第1の硬化性樹脂液が一部付着し、残存する。次に第2の硬化性樹脂液を透明容器に充填し、未硬化の第1の硬化性樹脂液を第2の硬化性樹脂液の中に分散させる。この後、第2の硬化性樹脂液を紫外光を用いて光硬化させてクラッドを形成する。
特許第3444352号公報 特開2005−062364号公報
特許文献2の技術は、コア材料とクラッド材料の入れ替え工程の間に洗浄工程を必要としない条件を検討したものである。しかし更に検討を加えた結果、実用上重要な0.2dB/cm以下程度の低伝送損失を実現するためには光硬化性樹脂を選定する必要があることがわかった。また、高温環境下に保存されたときの光伝送特性の劣化の抑制や、コア材料の硬化時間、クラッド材料の硬化時間の短縮のためにも光硬化性樹脂を選定する必要があることがわかった。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、自己形成光導波路の製造方法において、低伝送損失、高温環境下での劣化の抑制、更には製造時間の短縮を達成することである。
請求項1に係る発明は、光硬化性樹脂組成物を自己形成的に硬化させてコアを形成し、その後にクラッド材で覆う光導波路の製造方法において、前記光硬化性樹脂組成物が、変性ビスフェノールAジアクリレートから成る第1のラジカル重合性材料と、ポリプロピレングリコールジアクリレートから成る第2のラジカル重合性材料とを含み、第1のラジカル重合性材料と第2のラジカル重合性材料との重量比が9:1乃至3:7であり、重量平均分子量が400以上1200以下であり、前記クラッド材として、共役カルボニル1個あたりの分子量が300以上で、粘度が100mPa・s以下のモノ又はジ(メタ)アクリレートを用い、当該クラッド材を重合させてコア周囲のクラッドを形成することを特徴とする光導波路の製造方法である。
尚、(メタ)アクリレートの表記は、アクリレートとメタクリレートとを包括的に表記するものである。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光導波路の製造方法において、前記クラッド材は、ポリオキシエチレン第2級アルキルエ−テルアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、イソステアリルアクリレートのうちの一つであることを特徴とする。
コアを形成するための光硬化性樹脂組成物は、2つのラジカル重合性材料から成る。第1のラジカル重合性材料は、少なくとも芳香環とポリアルキレンオキシド鎖を有する2価有機基のジ(メタ)アクリレートであるので高屈折率である。第2のラジカル重合性材料は、アルキレンの炭素数が3以上であるポリアルキレンオキシドのジ(メタ)アクリレートであるので、低粘度である。これを混合した光硬化性樹脂組成物は、高屈折率であって低粘度となる。これらの2つの特徴を導き出すためには、第1のラジカル重合性材料と第2のラジカル重合性材料の重量比は9:1乃至3:7とすることが必要である。第1のラジカル重合性材料と第2のラジカル重合性材料の重量比は7:3乃至5:5とするとより好ましい。
第1のラジカル重合性材料と第2のラジカル重合性材料はいずれもポリアルキレンオキシド鎖を有し、両末端が(メタ)アクリルエステル構造であって構造が極めて類似している。このため、相溶性が優れ、コア形成時である硬化中も相分離することがない。よって硬化物であるコアが均一組成となり、光散乱が少なく、低伝送損失のコアを形成できる。
コアを形成するための光硬化性樹脂組成物は、ジ(メタ)アクリレートの混合物であって、重量平均分子量が400以上であるので、硬化後において架橋密度が高過ぎない。その結果、硬化時に誘起される密度揺らぎが少なくなり、密度揺らぎに起因する光散乱が少なく低伝送損失となる。
コアを形成するための光硬化性樹脂組成物は、ジ(メタ)アクリレートの混合物であって、重量均分子量が1200以下でるので、硬化後において架橋密度が低過ぎない。その結果、コア材料とクラッド材料の置換作業時において、自己形成光導波路コアが自重によってたわんでしまうことを妨げる程度の硬度を有するものとなる。
本発明では、コアを形成するための光硬化性樹脂組成物を、上述した材料に含まれる材料のうち、変性ビスフェノールAジアクリレートから成る第1のラジカル重合性材料と、ポリプロピレングリコールジアクリレートから成る第2のラジカル重合性材料とを含む組成物としているので、上記効果を奏する。
クラッド材は、重合性官能基の濃度が低いため、クラッド硬化時の発熱量が少ない。よって発熱による自己形成光導波路コアの変形を誘起しない。さらに、硬化時に誘起される歪みが少ないため、作製した自己形成光導波路が例えば70℃程度の高温環境下に保存されたときも歪みの緩和に伴う変形量が少なく、高温環境下に保存されたときの光伝送特性の劣化が少ない。
クラッド材は、重合性官能基の濃度が低いため、硬化による体積収縮が小さく、屈折率の上昇が少ない。そのため、重合性官能基の濃度が高いものと比べると相対的に低い屈折率のものが得られる。このことは、コアを形成するための光硬化性樹脂組成物の硬化物の屈折率をより低いものとすることを可能とする。実際、光硬化性樹脂組成物は粘度を低減するために第2のラジカル重合性材料を含有するが、第1のラジカル重合性材料の硬化物よりも、混合物の硬化後の屈折率は低くなっている。クラッドはコアよりも十分低い屈折率を有する必要があるが、硬化による屈折率上昇が少ないことは有効である。
クラッド材は、重合性官能基の濃度が低いため、硬化時の発熱量や誘起される歪み量が少ないため、高強度の光で短時間に硬化させることができる。そのため生産性を高めることが可能である。重合性官能基の濃度が高いものは、発熱量や歪み量を低減するためにゆっくりと硬化させることが必要であり、生産性が低くなってしまう。クラッド材とコアを形成するための光硬化性樹脂組成物材料はともに(メタ)アクリル系樹脂であり、硬化時間を短時間にすることができる。そのため生産性を高めることが可能である。
以上の構成により、下記に示す通り伝送損失として0.2dB/cm以下の優れた値を有する光導波路を形成できる。また、コアの材料となる光硬化性樹脂組成物の導入から、コアの自己形成(光硬化)、未硬化樹脂の除去、クラッド材の導入、クラッド材の硬化までの時間を5分間程度と短時間にすることができ、高い生産性を有する光導波路の製造方法となる。また、本発明により形成された光導波路は、高温環境下に保存されたときの硬化歪みの緩和に伴う変形量が少なく、高温環境下に保存されたときの光伝送特性の劣化が少ない。
コアを形成するための光硬化性樹脂組成物を構成する第1のラジカル重合性材料は、高屈折率のものが採用される。芳香環としてはベンゼン環が好ましく、いわゆるビスフェノールA系の化合物が好ましい。例えばポリエトキシ化ビスフェノールAのジアクリレートが挙げられる。この際、オキシエチレン単位は合計4乃至20個が望ましい。
コアを形成するための光硬化性樹脂組成物を構成する第2のラジカル重合性材料は、低粘度のものが採用される。例えばポリオキシプロピレンジアクリレートやポリオキシテトラメチレンジアクリレートが挙げられる。この際、オキシアルキレン単位は3乃至12個が望ましい。尚、第2のラジカル重合性材料は、第1のラジカル重合性材料と相溶性が良く、且つそれらの混合物は液状となることが重要である。この点で、構成単位の構造が同一又は類似であることが好ましい。
クラッド材としては低屈折率且つ重合性官能基濃度が少ないことが求められる。モノアクリレートとしてはポリエトキシ化アルキルのアクリルエステル又はアルキルアクリルエステルが挙げられ、ジアクリレートとしてはポリオキシプロピレンジアクリレートが挙げられる。尚、クラッド材は比較的低粘度で、コアを形成するための光硬化性樹脂組成物を構成する第1及び第2のラジカル重合性材料と相溶性が良いことが重要である。この点で、クラッド材とコアを形成するための光硬化性樹脂組成物とは、構成単位の構造が同一又は類似であることが好ましい。尚、クラッド材の硬化方法は任意であるが、光硬化性の樹脂を用いると、コアを形成するために用いた光硬化性樹脂組成物の残余の未硬化物をも硬化できるので好ましい。この点で、クラッド材は、コアを形成するために用いる光硬化性樹脂組成物と硬化機構が同一又は同系統であることが好ましい。
第1のラジカル重合性材料として、新中村化学工業社製A−BPE−10変性ビスフェノールAジアクリレート(硬化前屈折率1.516、硬化後屈折率1.531)を、第2のラジカル重合性材料として、同社製APG−400ポリプロピレングリコールジアクリレート(硬化前屈折率1.451、硬化後屈折率1.472)を用い、重量比6:4の混合物(重量平均分子量が約680)を調整した。ここに、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加した組成物を調整し、コア形成用の光硬化性樹脂組成物とした。また、クラッド材として、新中村化学工業社製A−SAL−9Eポリオキシエチレン第2級アルキルエ−テルアクリレート(重合性官能基1つあたりの分子量が約650、粘度46mPa・s、硬化前屈折率1.458、硬化後屈折率1.464)にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加した組成物を調整した。
特許文献1と同様に、直方体の上面が開口となった形のアクリル製の透明容器3に、上述した通りに調整したコア形成用の光硬化性樹脂組成物1を充填し、プラスチック光ファイバ4を浸漬した(図1.A)。プラスチック光ファイバ4はコア径0.98mm、開口数0.3のものを用いた。プラスチック光ファイバ4を通して波長λW=442nmのHe−Cdレーザ光を強度約0.5mWの条件で光硬化性樹脂組成物1に照射した。光硬化性樹脂組成物1はレーザ光により徐々に硬化し、自己集光性によって約1分間で長さ14mmの軸状のコア5(屈折率1.511)が形成された(図1.B)。
次に、透明容器3の開口部から、未硬化の光硬化性樹脂組成物1を除去した。このとき、コア表面及び透明容器の内面に未硬化の光硬化性樹脂組成物が付着し、残存した(図1.Cで符号11)。次に上記クラッド材2を透明容器3に充填し、紫外光UVを用いて約1分間で光硬化させてクラッド22を形成した(図1.D)。コア形成用の光硬化性樹脂組成物1の充填開始から、クラッド材2の硬化完了までは、約4分間で終了することができた。
このようにして形成された光導波路10に波長660nmの光を導入し、カットバック法により伝送損失を測定した。この結果を図2に示す。0.06dB/cmという値が得られ、極めて低損失の光導波路であることが分かった。同様に作製した長さ14mmの直線光導波路に関して、挿入損失の波長依存性を測定した。この結果を図3に示す。波長500nmから波長850nmまでの範囲において挿入損失が0.15dB以下という優れた伝送特性を示した。
実施例1において、第1のラジカル重合性材料と第2のラジカル重合性材料の混合比を5:5とし、光重合開始剤をチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE819を0.5重量%添加してコア形成用の光硬化性樹脂組成物(硬化後屈折率1.505)を形成した。また、クラッド材として新中村化学工業社製APG−700ポリプロピレングリコールジアクリレート(重合性官能基1つあたりの分子量が約410、粘度70mPa・s、硬化前屈折率1.451、硬化後屈折率1.466)にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加した組成物を調整した。
これらを用い、プラスチック光ファイバとして三菱レイヨン社製エスカミウを使用し、レーザー光として波長457nm、強度4mWの条件とすること以外は実施例と同様な手順で光導波路を作製した。カットバック法により伝送損失を測定したところ波長460nmから850nmまでの範囲において0.2dB/cm以下、500nm以上では0.13dB/cm以下であった。
実施例1において、光重合開始剤をチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製DAROCUR1173を0.2重量%添加したコア形成用の光硬化性樹脂組成物を用い、クラッド材も光重合開始剤としてDAROCUR1173を0.2重量%添加することとし、プラスチック光ファイバとして三菱レイヨン社製GHAN4001−OR1を使用し、レーザー光として波長408nm、強度30mWの条件とすること以外は実施例1と同様な手順で光導波路を作製した。カットバック法により伝送損失を測定したところ波長660nmにおいて0.09dB/cmであった。
同様に作製した長さ14mmの直線光導波路を100℃の環境に80時間保存した。保存後の波長650nmにおける挿入損失を測定したところ、実験誤差の範囲内で保存前の値と一致した。さらに、同様に作製した長さ14mmの直線光導波路を75℃95%RHの環境に600時間保存した。保存後の波長650nmにおける挿入損失を測定したところ、実験誤差の範囲内で保存前の値と一致した。
第1のラジカル重合性材料として、新中村化学工業社製A−BPE−4変性ビスフェノールAジアクリレート(硬化前屈折率1.537、硬化後屈折率1.556)を用い、第2のラジカル重合性材料として、APG−400ポリプロピレングリコールジアクリレートを用い、重量比5:5の混合物(重量平均分子量約520)を調整した。ここに、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加した組成物を調整し、コア形成用の光硬化性樹脂組成物とした(硬化後屈折率1.519)。クラッド材として、新中村化学工業社製S−1800Aイソステアリルアクリレート(重合性官能基1つあたりの分子量約320、粘度30mPa・s)にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加した組成物を調整した。
これらを用いること以外は実施例1と同様な手順で光導波路を作製した。カットバック法により伝送損失を測定したところ波長660nmにおいて0.18dB/cmであった。
第1のラジカル重合性材料として新中村化学工業社製A−B1206PE変性ビスフェノールAジアクリレート(硬化後屈折率1.493)を用い、第2のラジカル重合性材料としてAPG−200ポリプロピレングリコールジアクリレート(重合性官能基1つあたりの分子量約150、粘度12mPa・s、硬化前屈折率1.449、硬化後屈折率1.487)を用い、これらの重量比7:3の混合物(重量平均分子量約1000)を調整した。ここに、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加した組成物を調整し、コア形成用の光硬化性樹脂組成物とした(硬化後屈折率1.491)。これを使用すること以外は実施例1と同様な手順で光導波路を作製した。カットバック法により伝送損失を測定したところ波長660nmにおいて0.19dB/cmであった。
第1のラジカル重合性材料として新中村化学工業社製A−B1206PE変性ビスフェノールAジアクリレートを用い、第2のラジカル重合性材料としてAPG−400ポリプロピレングリコールジアクリレートを用い、これらの重量比6:4の混合物(重量平均分子量約990)を調整した。ここに、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加した組成物を調整し、コア形成用の光硬化性樹脂組成物とした(硬化後屈折率1.486)。これを使用すること以外は実施例1と同様な手順で光導波路を作製した。カットバック法により伝送損失を測定したところ波長660nmにおいて0.10dB/cmであった。
〔比較例1〕
コア材を第1のラジカル重合性材料のみとした場合を比較例として実験した。即ち、新中村化学工業社製A−BPE−10変性ビスフェノールAジアクリレートのみに、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加したものをコア形成用の光硬化性樹脂組成物としたことの他は実施例1と同様に実験した。この光硬化性樹脂組成物は粘度が高いため、光硬化性樹脂組成物の充填に要する時間や、未硬化の光硬化性樹脂組成物の除去に要する時間が非常に長くなってしまった。特に、軸状のコアの周辺に付着した未反応の光硬化性樹脂組成物をできるだけきれいに除去しないと、クラッド材の投入時に残余の光硬化性樹脂組成物がクラッド材に溶解する時間が長くなってしまう。結果として、コア形成用の光硬化性樹脂組成物の充填開始から、クラッド材の硬化完了までに要した時間は10分以上かかってしまった。
〔比較例2〕
コア材を第2のラジカル重合性材料のみとした場合を比較例として実験した。即ち、新中村化学工業社製APG−400ポリプロピレングリコールジアクリレートのみに、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加したものをコア形成用の光硬化性樹脂組成物としたことの他は実施例1と同様に実験した。作製した長さ14mmの直線光導波路に関して、波長660nmにおける挿入損失を測定したところ、3dB以上という大きな損失を示した。本比較例の光硬化性樹脂組成物は硬化後の屈折率が波長633nmにおいて1.472であり、クラッド(硬化後)の屈折率は、1.465であった。即ち、コアとクラッドとの屈折率差が小さいために光ファイバからの結合損失が大きくなったと考えられる。
〔比較例3〕
クラッド材の共役カルボニル1個辺りの分子量が300未満の場合を比較例として実験した。即ち、クラッド材を、新中村化学工業社製A−TMPT−6POプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(重合性官能基1つあたりの分子量約215、粘度110mPa・s)に、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加したものとしたことの他は実施例3と同様に実験した。コア形成用の光硬化性樹脂組成物の充填開始から、クラッド材の硬化完了までは、約10分間で終了した。作製直後の直線光導波路に関して、カットバック法により伝送損失を測定したところ波長660nmにおいて0.2dB/cmと良好であった。
同様に作製した長さ14mmの直線光導波路を100℃の環境に80時間保存した。保存後の波長650nmにおける挿入損失を測定したところ、保存前の値より5dB以上損失が増加していた。さらに、同様に作製した長さ14mmの直線光導波路を75℃95%RHの環境に300時間保存した。保存後の波長650nmにおける挿入損失を測定したところ、保存前の値より3dB以上損失が増加していた。このように、比較例3で形成した光導波路は、高温環境下又は高温高湿環境下において、特性の劣化が著しかった。
〔比較例4〕
コア形成用の光硬化性樹脂組成物の充填開始から、クラッド材の硬化完了までを、5分間で終了したことを除き、比較例3と同様に実験した。作製した光導波路のコアは、クラッド硬化形成時の発熱により曲がりが生じていた。また、クラッド材中への未硬化のコア形成用の光硬化性樹脂組成物の溶解(拡散)が不十分だったことによる、密度揺らぎの様子が目視ではっきりと確認できた。
〔比較例5〕
クラッド材の共役カルボニル1個辺りの分子量が300未満の場合を比較例として実験した。クラッド材として新中村化学工業社製APG−200トリプロピレングリコールジアクリレートに、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加したものを使用することの他は実施例3と同様に実験した。コア形成用の光硬化性樹脂組成物の充填開始から、クラッド材の硬化完了までは、約10分間で終了した。クラッド材中への、未硬化のコア形成用の光硬化性樹脂組成物の溶解(拡散)は十分だったが、クラッド硬化形成時の発熱により、コアに曲がりが生じてしまった。
〔比較例6〕
クラッド材の粘度が100mPa・sよりも高い場合を示す。クラッド材として新中村化学工業社製A−PTMG−100(ポリテトラメチレングリコール#1000ジアクリレート(重合性官能基1つあたりの分子量500以上、粘度325mPa・s)に、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光重合開始剤を0.5重量%添加したものを使用することの他は実施例3と同様に実験した。コア形成用の光硬化性樹脂組成物の充填開始から、クラッド材の硬化完了までは、約10分間で終了した。クラッド材中への、未硬化のコア形成用の光硬化性樹脂組成物の溶解(拡散)が不十分だったことによる、密度揺らぎの様子が目視ではっきりと確認できた。
本願発明に係る光導波路の製造工程を示す工程図(断面図)。 実施例1において製造した光導波路の伝送損失を示すグラフ図。 実施例1において製造した光導波路の挿入損失の波長依存性を示すグラフ図。
1:光硬化性樹脂組成物(未硬化のもの)
11:残存する未硬化の光硬化性樹脂組成物
2:クラッド材(未硬化のもの)
22:クラッド(硬化したもの)
3:透明容器
4:プラスチック光ファイバ
5:コア(光硬化性樹脂組成物1が軸状に硬化したもの)

Claims (2)

  1. 光硬化性樹脂組成物を自己形成的に硬化させてコアを形成し、その後にクラッド材で覆う光導波路の製造方法において、
    前記光硬化性樹脂組成物が、
    変性ビスフェノールAジアクリレートから成る第1のラジカル重合性材料と、
    ポリプロピレングリコールジアクリレートから成る第2のラジカル重合性材料とを含み、
    第1のラジカル重合性材料と第2のラジカル重合性材料との重量比が9:1乃至3:7であり、
    重量平均分子量が400以上1200以下であり、
    前記クラッド材として、
    共役カルボニル1個あたりの分子量が300以上で、
    粘度が100mPa・s以下のモノ又はジ(メタ)アクリレートを用い、
    当該クラッド材を重合させてコア周囲のクラッドを形成することを特徴とする光導波路の製造方法。
  2. 前記クラッド材は、ポリオキシエチレン第2級アルキルエ−テルアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、イソステアリルアクリレートのうちの一つであることを特徴とする請求項1に記載の光導波路の製造方法。
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