JP3648946B2 - 画像読み取り装置及びそのフォーカス調整方法 - Google Patents

画像読み取り装置及びそのフォーカス調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿を光学的に読み取る画像読み取り装置およびそのフォーカス調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、原稿からの光を集光レンズによりCCD等の光電変換素子を配列してなるラインセンサに集光し、ラインセンサにより集光レンズからの光を電気信号に変換する画像読み取り装置が知られている。
【0003】
このような画像読み取り装置のフォーカス調整方法として、集光レンズとラインセンサとの間の距離を一定とし、集光レンズとラインセンサとを搭載したレンズキャリッジを移動させるなどの方法で原稿から集光レンズまでの光路長を所定の間隔で変更して原稿を読み取り、ラインセンサからの出力信号のコントラストが最も大きいときにフォーカスが最も合っていると判断するものが知られている。コントラストの大きさを示す値としては、読み取り画像の中の輝度の最大値と最小値の差、または、隣接する画素による読み取り値の差の絶対値の合計などが用いられ、その値が大きいものほどコントラストが大きいと判断していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように原稿から集光レンズまでの光路長を変更すると、、変更前と変更後とでラインセンサの同一の素子で読み取る原稿の位置がずれることがあり、光路長の変更前と変更後とでは画像の読み取り範囲が異なるという問題がある。特にフォーカス調整時において、単純にラインセンサの同じ範囲の画素からの出力信号によってコントラストの大きさを求めた場合、原稿の上で主走査方向に異なる範囲の画像についてコントラストの大きさを比較していることになる。したがって、正確にフォーカスを合わせることができないことがあるという問題があった。
【0005】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、原稿上を常に主走査方向の同じ範囲で読み取ることができ、より正確にフォーカスを合わせることのできる画像読み取り装置およびそのフォーカス調整方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の画像読み取り装置によれば、原稿からの光を集光する集光レンズと、集光レンズからの光を電気信号に変換する複数の光電変換素子からなるラインセンサとを備える画像読み取り装置であって、原稿と集光レンズとの間の光路長を調整可能な光路長調整手段と、光路長の変化量に応じて読み取りに用いるラインセンサの光電変換素子の位置を補正する手段とを備える。これにより、光路長の変更前後においてラインセンサの主走査方向に同一範囲の画像を読み取ることができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の画像読み取り装置によれば、請求項1に記載の画像読み取り装置はさらに、原稿をラインセンサの補正後の位置の光電変換素子により読み取り、複数の光路長で合焦の度合いを示す値を計算する手段と、前記合焦の度合いを示す値の合計が最大になるように前記光路長調整手段に指令を出す制御手段とを備える。これにより、フォーカス調整時に原稿と集光レンズとの間の光路長を変更した場合でも、原稿上を主走査方向に同じ範囲で読み取り、より正確にフォーカスを合わせることができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載のフォーカス調整方法によれば、集光レンズにより原稿からの光を集光し、複数の光電変換素子からなるラインセンサにより集光レンズからの光を電気信号に変換する画像読み取り装置のフォーカス調整方法であって、a)集光レンズと原稿との間の光路長を調整する工程と、b)光路長に応じて読み取りに用いるラインセンサの光電変換素子の位置を補正する工程と、c)ラインセンサの補正後の位置の光電変換素子により原稿を読み取り、合焦の度合いを示す値を計算する工程と、d)複数の光路長でa)、b)、c)工程を繰り返す工程と、e)合焦の度合いを示す値が最大となる光路長を求める工程と、f)集光レンズと原稿との間の光路長をe)工程で求めた光路長にする工程とを含む。これにより、フォーカス調整時に原稿と集光レンズとの間の光路長を変更した場合でも、原稿上を主走査方向に同じ範囲で読み取り、より正確にフォーカスを合わせることができる。
【0009】
合焦の度合いを示す値としては、横軸に原稿の主走査方向の読み取り位置、縦軸に出力値をとった折れ線グラフを考えたときの折れ線の道のりの全長や、原稿を読み取った信号のコントラストの大きさなどの値を用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
(第1実施例)
本発明の第1実施例によるフラットベッド型の画像読み取り装置100を図2に示す。
【0012】
箱型の筐体1の上面に読み取る原稿を載せるための透明な原稿ガラス11が設けられている。筐体1の内部には、第1キャリッジ20、第2キャリッジ30およびレンズキャリッジ40が収容されている。
【0013】
第1キャリッジ20は、図示しない駆動装置により原稿ガラス11に対して平行に速度Vで移動可能である。この第1キャリッジ20には光源21と反射鏡22とが設けられている。第2キャリッジ30は、反射鏡31と反射鏡32とを備える。レンズキャリッジ40は原稿からの光を読み取るラインセンサ41と、原稿からの光をラインセンサ41に集光する集光レンズ42とを備える。ラインセンサ41は、CCDのような多数の光電変換素子を配列したものである。
【0014】
画像を読み取るときは、原稿ガラス11に置かれた原稿に光源21から光を照射し、原稿からの光を集光レンズ42によりラインセンサ41に集光し、第1キャリッジ20および第2キャリッジ30を移動させつつ検出して原稿の輝度を電気信号に変換する。ここで、ラインセンサ41の光電変換素子が並んでいる方向を主走査方向、キャリッジが移動する方向を副走査方向という。
【0015】
光源21により原稿ガラス11上の原稿面に照射された光は、第1キャリッジ20の反射鏡22、第2キャリッジ30の反射鏡31、反射鏡32を反射し、レンズキャリッジ40の集光レンズ42を通してラインセンサ41に集光される。第2キャリッジ30は、第1キャリッジ20の移動速度Vの半分の速度V/2で第1キャリッジ20と同じ方向に移動可能である。したがって、第1キャリッジ20と第2キャリッジ30が移動しても、原稿から集光レンズ42までの光路長を同一に保つことができる。原稿から集光レンズ42までの光路長は、制御装置3からレンズモータ制御手段6に指令を出し、図示しないモータによってレンズキャリッジ40の位置を水平方向に微調整することによって変更可能であり、制御装置3、レンズモータ制御手段6およびレンズキャリッジ40は光路長調整手段を構成している。
【0016】
データ検出部2は、ラインセンサ41からのデータをデジタル信号に変換して制御装置3へ送るものである。制御装置3は、CPU、RAMおよびROM等からなるマイクロコンピュータにより構成され、画像読み取り装置100全体の制御を行い、インターフェイス4を介して外部の画像処理装置、例えばパソコン200に接続される。制御装置3には、第1キャリッジ20、第2キャリッジ30を駆動させるミラーモータ制御部7やレンズキャリッジ40を駆動させるレンズモータ制御部6を制御するプログラムが格納されている。
【0017】
図3はパソコン200を用いた原稿上のフォーカス位置指定画面の例を示す。まず、使用者がパソコン200を操作して、パソコン200から画像読み取り装置100にプレビュー信号を送信する。画像読み取り装置100がインターフェイス4からプレビュー信号を受信すると、制御装置3が、ミラーモーター制御部7に制御信号を送り第1キャリッジ20を原稿ガラス11の先頭ライン位置から最終ライン位置まで移動させ、原稿ガラス11の全面を低解像度で走査し、原稿ガラス11上の原稿から得られた低解像度画像データをプレビューデータとして、インターフェイスからパソコンに送信する。
【0018】
パソコン200は画像読み取り装置100から受け取ったプレビューデータを処理し、原稿全体のプレビュー画面91をディスプレイ90上に表示する。
【0019】
使用者はパソコン200に接続されたマウスなどの入力装置を操作してプレビュー画面91内の所望の取り込み領域92を指定し、さらにオートフォーカスの指定をすると、パソコン200は使用者が指定した取り込み領域92から特定の位置のラインをオートフォーカスライン(以下、AFライン)93として決定し、その座標データおよびオートフォーカス指示信号を画像読み取り装置100のインターフェイス4に送信する。AFライン93は、例えば図3に示すように取り込み領域92の中で副走査方向に1/2の位置、主走査方向の中心部分の1/3の範囲にすることができる。また、使用者は取り込み領域92を指定した後、レンズキャリッジ40の移動距離を指定することにより原稿から集光レンズ42までの光路長を変更し、マニュアルでフォーカスを調整することもできる。したがって、原稿を意図的にぼやけた画像として読み取ることが可能である。
【0020】
画像読み取り装置100は、オートフォーカス指示信号およびAFライン93の座標データをインターフェイス4から受信すると、制御装置3はミラーモータ制御部7に制御信号を送って第1キャリッジ20を座標データに対応するAFライン93の位置まで移動させる。
【0021】
初期状態では、原稿ガラス11上面にフォーカスが合うようにレンズキャリッジ40の位置が設定されている。この状態が基準の位置であり移動距離0mmとする。また、原稿から集光レンズ42までの光路長を短くする方向、すなわち原稿ガラス11上面よりも上でフォーカスが合うようにレンズキャリッジ40を移動させる方向を正の方向とし、光路長を長くする方向、すなわち原稿ガラス11上面よりも下でフォーカスが合うように移動させる方向をを負の方向とする。
【0022】
ここで、図1に示すように、原稿ガラス11上面のR1−R2線上にフォーカスが合っているとき、即ちレンズキャリッジ40が基準の位置にあるときに、R1−R2線から集光レンズ42の主点Mまでの距離をL1として、R1−R2線上のA点が集光レンズ42を通してラインセンサ41上のa点の素子で読み取られるとする。ラインセンサ41の全素子数をNとしたときに、a点はラインセンサ41の端からP1番目の素子、ラインセンサ41の中央からはN1番目の素子であり、N1=(N/2)−P1である。
【0023】
集光レンズ42とラインセンサ41とを搭載するレンズキャリッジ40を正方向にxmm移動させると、a点の素子に対応してフォーカスが合う位置は、A点から原稿ガラス11の上側にxmmの位置のA’点になる。したがって、ラインセンサ41のP1番目の素子でR1−R2線上を読み取る位置はA点からY1mmだけ離れたB点となる。
【0024】
このように、レンズキャリッジ40を移動させて原稿ガラス11上面から集光レンズ42までの距離を変更した場合、ラインセンサ41の同一の素子で読み取る原稿の位置が集光レンズ42の画角特性のために異なってしまう。レンズキャリッジ40を移動させた後にA点を読み取るためには、原稿ガラス11の上側にxmmの位置のR1'−R2'線上でA’点からY2mmだけ離れたC点を読み取るように補正する必要がある。すなわち、ラインセンサのP1番目の素子からΔPだけずれたP2番目の素子でR1−R2線上を読み取る必要がある。また、三角形OMAと三角形AA’Bは相似であり、線分OAの長さはN1に比例し、Y2の長さはΔPに比例し、かつL1に対してxは十分に小さくY2≒Y1とみなすことができるため、下記の式(1)が成り立つ。
【0025】
【数1】
Figure 0003648946
【0026】
したがって、補正後のラインセンサ41上での素子の位置P2は、下記の式(2)のように表すことができる。
【0027】
【数2】
Figure 0003648946
【0028】
上記のようにして、レンズキャリッジ40を移動させて原稿ガラス11上面から集光レンズ42までの距離を変更した場合でも、レンズキャリッジ40の移動距離xと、基準の位置での読み取り素子の位置P1に応じて、読み取りに用いる素子の位置P2を求めることにより、原稿の主走査方向に同一箇所を読み取ることができる。
【0029】
本実施例では、図4に示すようにラインセンサ41によりAFライン93上を読み取った出力値を、LS1、LS2、LS3、……とし、横軸に原稿の主走査方向の読み取り位置、縦軸に出力値をとった折れ線グラフを考え、この折れ線の道のりの全長LM1+LM2+……が大きいほどフォーカスが合っていると判断している。
【0030】
ラインセンサ41による読み取り位置間の距離を定数dとすると、例えば1番目の読み取り位置に対応する素子の出力値と2番目の素子の出力値との間の道のり長さLM1と、2番目の素子の出力値と3番目の素子の出力値との間の道のり長さLM2とは下記の式(3)、(4)で表され、以後同様である。すなわち、隣接する読み取り位置間の距離と出力値の差との平方和の平方根を計算している。
【0031】
【数3】
Figure 0003648946
【0032】
本実施例では、道のりの長さを相対的に比較するため、定数dの値は任意の値であってよく、ここではd=1とする。したがって、n個の素子についての道のり長さ全長LMTは下記の式(5)で表される。本実施例では、この道のり長さ全長LMTの値を合焦の度合いを示す値として用いている。
【0033】
【数4】
Figure 0003648946
【0034】
本実施例によりフォーカスが合う位置を検出する手順のフローチャートを図5に示す。
【0035】
フォーカスを合わせる時は、まずステップS1でレンズキャリッジ40を負の方向の限界まで、本実施例では基準の位置から−3.0mmの位置まで移動させる。
【0036】
ステップS2では、光源21を点灯させて原稿を照射し、ラインセンサ41の所定の範囲の素子に集光された光を電気信号に変換する。ここで、原稿の読み取りに用いられるラインセンサ41上の素子の位置は、上述した式(2)によって補正された後の位置である。変換された信号はデータ検出部2でデジタル化され、制御装置3のメモリに記憶される。
【0037】
ステップS3では、ステップS2でデジタル化された読み取りデータに基づいて、制御装置3のCPUで道のり全長LMTを計算し、レンズキャリッジ40の位置と共に制御装置3のメモリに記憶する。
【0038】
次にステップS4では、レンズキャリッジ40の位置が正の方向で限界の位置、本実施例では3.0mmの位置にあるかどうかを判断し、限界の位置にあればステップS6に進み、そうでなければステップS5でレンズキャリッジ40を正の方向へ所定のピッチ、本実施例では0.5mm移動させ、ステップS2に戻って原稿の読み取りを繰り返す。
【0039】
ステップS6では、制御装置3のメモリに記憶されたLMTの値が最大となるときのレンズキャリッジ40の位置を求める。ステップS7ではステップS6で求めた位置にレンズキャリッジ40を移動させて、フォーカスの調整が完了する。
【0040】
(第2実施例)
第1実施例では、AFラインは1ラインであったが、レンズキャリッジ40の移動方向が光路に対して完全に平行でない場合には、レンズキャリッジ40の移動により読み取り位置が副走査方向にずれることがある。副走査方向の読み取り位置のずれによる誤差を緩和するために、複数のAFラインを読み取り各AFラインにおけるLMTの合計値LMTTを計算し、その大きさを比較することにより、フォーカスの合う位置を検出することもできる。例えば、AFラインは図3に示す取り込み領域92の中で副走査方向に1/2の位置から前後に5ラインずつの10ライン、主走査方向の中心部分の1/3の範囲とすることができる。
【0041】
本発明の第2実施例によりフォーカスが合う位置を検出する手順のフローチャートを図6に示す。
【0042】
フォーカスを合わせる時は、まずステップS11でレンズキャリッジ40を負の方向の限界まで、本実施例では基準の位置から−3.0mmの位置まで移動させる。
【0043】
ステップS12では、第1キャリッジをAFラインの最初の位置に移動させる。
【0044】
ステップS13では、光源21を点灯させて原稿を照射し、ラインセンサ41の所定の範囲の素子に集光された光を電気信号に変換する。ここで、原稿の読み取りに用いられるラインセンサ41上の素子の位置は、上述した式(2)によって補正された後の位置である。変換された信号はデータ検出部2でデジタル化され、制御装置3のメモリに記憶される。
【0045】
ステップS14では、ステップS13でデジタル化された読み取りデータに基づいて、制御装置3のCPUにより道のり全長LMTを計算し、制御装置3のメモリに記憶する。
【0046】
ステップS15では、読み取りラインがAFラインの最終位置、本実施例ではAFラインの最初の位置から10ライン目であるかを判断し、最終位置であればステップS17に進み、そうでなければステップS16で第1キャリッジを1ライン分移動させてステップS13に戻って次のラインで道のり全長LMTの計算を繰り返す。
【0047】
ステップS17では、各AFラインにおけるLMTを合計してLMTTを求め、レンズキャリッジ40の位置と共に制御装置3のメモリに記憶する。
【0048】
次にステップS18では、レンズキャリッジ40の位置が正の方向で限界の位置、本実施例では3.0mmの位置にあるかどうかを判断し、限界の位置にあればステップS20に進み、そうでなければステップS19でレンズキャリッジ40を正の方向へ所定のピッチ、本実施例では0.5mm移動させ、ステップS12に戻って道のり全長LMTの合計値LMTTの計算を繰り返す。
【0049】
ステップS20では、制御装置3のメモリに記憶されたLMTTの値が最大となるときのレンズキャリッジ40の位置を求める。ステップS21ではステップS20で求めた位置にレンズキャリッジ40を移動させて、フォーカスの調整が完了する。
【0050】
図7は、自然画の原稿について上記のようにして副走査方向に10ラインで主走査方向に640の点からなるAFラインを読み取った場合の、レンズキャリッジ40の移動距離に応じた、LMTTの値と、8lp/mm(1mm間に8ラインペアを含む)のラダーチャートを読み取り汎用評価試験を行って求めたMTF値とを比較したものである。MTF値は、ラダーチャートを読み取った信号の最大値Smaxと最小値Sminとから、下記の式(6)で求められる。
【0051】
【数5】
Figure 0003648946
【0052】
図7に示すように、LMTT値のグラフとMTF値のグラフは同様なグラフ波形となっており、ピーク位置の誤差は0.5mmであった。LMTT値のピーク位置におけるMTF値はMTF値の最大値にほぼ等しいため、LMTT値のピーク位置を検出することにより、ほぼフォーカスの合う位置を検出することができるということがわかる。
【0053】
(第3実施例)
第2実施例では、連続した複数のAFラインを読み取ってフォーカスを調整したが、間隔を開けて複数のAFラインを読み取ってフォーカスを調整することもできる。
【0054】
本発明の第3実施例では、第2実施例における10ラインのAFラインのうち、奇数ラインを読み取ることにより、1ラインおきに5つのAFラインを読み取っているため、読み取り時間を短縮しながら、10ライン分に近い読み取り範囲を確保している。
【0055】
図8は、自然画の原稿について副走査方向1ラインおきに5ライン、主走査方向に640の点からなるAFラインを読み取った場合のレンズキャリッジ40の移動距離に応じたLMTTの値と、8lp/mm(1mm間に8ラインペアを含む)のラダーチャートを読み取り汎用評価試験を行って求めたMTF値とを比較したものである。
【0056】
第2実施例と同様に、LMTT値のグラフとMTF値のグラフは同様なグラフ波形となっており、ピーク位置の誤差は0.5mmであった。LMTT値のピーク位置におけるMTF値はMTF値の最大値にほぼ等しいため、LMTT値のピーク位置を検出することにより、ほぼフォーカスの合う位置を検出することができるということがわかる。したがって、第2実施例と比べて読み取りラインの数を減らすことによりフォーカス調整にかかる時間を短縮しながら、第2実施例とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0057】
(第4実施例)
第1〜第3実施例では、レンズキャリッジ40を光路長が最も長くなる位置から最も短くなる位置まで所定のピッチで移動させて、それぞれの位置で原稿を読み取って道のり全長LMTまたは道のり全長の複数のラインにおける合計LMTTを計算し、その中からLMTまたはLMTTが最大になる位置を検出している。例えば、上記の例のように、レンズキャリッジ40を基準の位置に対して−3.0mmの位置から3.0mmの位置まで0.5mmのピッチで移動させた場合には、13回の読み取りおよび計算が必要である。
【0058】
本発明の第4実施例では、図9に示すように、まずレンズキャリッジ40を基準の位置に対して−3.0mmの位置から3.0mmの位置までを1.5mmのピッチで粗く移動させて▲1▼〜▲5▼の5つの位置で読み取りおよび計算を行う。次に、▲1▼〜▲5▼の5つの位置の中でLMTTの計算値が最も大きい位置と、その両隣のうち計算値が大きい位置を検出する。図10に示す例では、▲3▼と▲4▼が検出される。そして、レンズキャリッジ40を▲3▼と▲4▼との間の位置を0.5mmのピッチで細かく移動させて▲6▼と▲7▼の位置で読み取りおよび計算を行う。そして▲3▼、▲4▼、▲6▼および▲7▼の中でLMTTが最大となる位置、図9に示す例では▲6▼の位置が全体の中でLMTTが最大となる位置になる。したがって、7回の読み取りでフォーカスの合う位置を0.5mmのピッチで検出することができる。このようにして、第1〜第3実施例よりも、道のりが最大になる位置を検出するまでに原稿を読み取る回数および計算回数を低減することができる。したがって、フォーカスを調整するのに必要な時間を短縮することができる。
【0059】
上記の複数の実施例では読み取り値の道のり長さ全長を計算して、その計算値が最大値となるときにフォーカスが合っていると判断したが、隣接する読み取り位置における読み取り値の差の絶対値の合計を計算した値によりコントラストの大きさを求め、コントラストが最大となるときにフォーカスが合っていると判断する方法など、他の方法により合焦の度合い示す値を算出する場合でも、本発明は同様の効果を得ることができる。
【0060】
以上述べたフォーカス調整によれば、原稿ガラス面から離れた位置にもフォーカスを合わせることができ、最適な画像読み取りが可能となる。
【0061】
また、原稿から集光レンズまでの光路長が変わっても画像の読み取り範囲を同一にすることができるため、例えば、意図的にフォーカスをずらして、ぼやけた画像として読み取りたい際にも、フォーカスの調整されたピントの合った画像と同一範囲の画像を読み取ることができる。
【0062】
また、上記の実施例では原稿ガラス11の上に反射原稿を置いて原稿ガラス11の下側の光源21から原稿を照射する画像読み取り装置について説明したが、原稿ガラスの上側から透過原稿を照射する画像読み取り装置においても本発明は同様の効果を得ることができる。例えば、ネガフィルム等のフィルム82のような透過原稿を図10に示すようなフィルムホルダ81等によって保持し、原稿ガラス面から離れた位置にフィルム82が置かれた場合にも、本発明を適用できるのはもちろんのことである。
【0063】
従来のフラットベッドスキャナで透過原稿のフィルム82を読み取る際には、フォーカスを合わせるために原稿ガラス面に直接フィルム82をセットしなければならなかった。そのため、フィルム82と原稿ガラスとの間で光源の照射光による干渉が生じて、干渉縞(いわゆるニュートンリング)が発生してしまい読み取り画像の品質が劣化するという問題があった。また、フィルム面と原稿ガラス面とが接触して擦れるため、埃などによってフィルム82に傷をつけてしまうという問題もあった。本発明によれば、フィルムホルダ81等を採用することにより、上述の問題も解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の画像読み取り装置においてレンズキャリッジを移動させたときの読み取り位置のずれを説明する模式図である。
【図2】本発明の第1実施例による画像読み取り装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例による原稿上のフォーカス位置指定画面の例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施例によりラインセンサでAFライン上を読み取った出力値から道のりを求める説明図である。
【図5】本発明の第1実施例によりフォーカスを調整する方法のフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の第2実施例によりフォーカスを調整する方法のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の第2実施例によるキャリッジの移動距離とLMTT値およびMTF値との関係を示す特性図である。
【図8】本発明の第3実施例によるキャリッジの移動距離とLMTT値およびMTF値との関係を示す特性図である。
【図9】本発明の第4実施例によりフォーカスの合う位置を求める方法を説明する模式図である。
【図10】本発明実施例により透過原稿のフィルムを読み取る場合に用いるフィルムホルダの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 データ検出部
3 制御装置
4 インターフェイス
11 原稿ガラス
20 第1キャリッジ
21 光源
30 第2キャリッジ
40 レンズキャリッジ
41 ラインセンサ
42 集光レンズ
100 画像読み取り装置
200 パソコン

Claims (3)

  1. 原稿からの光を集光する集光レンズと、前記集光レンズからの光を電気信号に変換する複数の光電変換素子からなるラインセンサとを備える画像読み取り装置であって、
    前記原稿と前記集光レンズとの間の光路長を調整可能な光路長調整手段と、
    前記光路長に応じて読み取りに用いる前記ラインセンサの前記光電変換素子の位置を補正する手段とを備えることを特徴とする画像読み取り装置。
  2. 前記原稿を前記ラインセンサの補正後の位置の光電変換素子により読み取り、複数の前記光路長で合焦の度合いを示す値を計算する手段と、
    前記合焦の度合いを示す値の合計が最大になるように前記光路長調整手段に指令を出す制御装置とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
  3. 集光レンズにより原稿からの光を集光し、複数の光電変換素子からなるラインセンサにより前記集光レンズからの光を電気信号に変換する画像読み取り装置のフォーカス調整方法であって、
    a)前記集光レンズと前記原稿との間の光路長を調整する工程と、
    b)前記光路長に応じて読み取りに用いる前記ラインセンサの光電変換素子の位置を補正する工程と、
    c)前記ラインセンサの補正後の位置の光電変換素子により原稿を読み取り、合焦の度合いを示す値を計算する工程と、
    d)複数の光路長で前記a)、b)、c)工程を繰り返す工程と、
    e)前記合焦の度合いを示す値が最大となる光路長を求める工程と、
    f)前記集光レンズと前記原稿との間の光路長を前記e)工程で求めた光路長にする工程と、
    を含むことを特徴とする画像読み取り装置のフォーカス調整方法。
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