JP3646509B2 - 光触媒を用いた水処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、産業廃水、生活排水、飲料水、プール水、浴槽水、冷却水、洗浄水、貯留水などの水処理装置および水処理方法に関し、さらに詳しくは光触媒を用いた高度な水処理装置および水処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体物質である酸化チタン等の光触媒に波長が400nm以下の紫外光が照射されると、価電子帯に正孔が発生するとともに伝導帯に電子が生じる。この正孔の酸化電位は、フッ素、オゾン、過酸化水素等の酸化電位よりも高く、有機物は光触媒により完全に酸化分解されて最終的には二酸化炭素ガスと水、硫酸、硝酸などに完全酸化される。光触媒による酸化反応のメカニズムは、まだ十分に解明されていないが、光触媒に紫外光が照射された際に生じる正孔またはこの正孔と水が反応して生じる極めて反応活性に富むヒドロオキシルラジカル(OHラジカル)により、完全酸化反応が起こると考えられている。この際、照射された際に生じる正孔と同時に発生する電子と酸素ガス等との還元反応が並行して進行する。
【0003】
光触媒の作用は、このような強力な酸化反応にとどまらず、従来のオゾンや過酸化水素、塩素等の殺菌剤よりも強い殺菌能力を有するという特徴がある。また、光照射により生じた正孔やOHラジカルの寿命はミリ秒以下と短いので、オゾンや過酸化水素等の酸化剤のように処理後に残留がなく、残留酸化剤を処理する装置が不要であるという利点がある。このようなことから、これまでに光触媒を用いた多くの水処理装置が考案されている(例えば、特公昭62−19240号公報、特公昭63−49540号公報、特開平2−251241号公報など)。
【0004】
しかしながら、光触媒による作用は光が照射される光触媒表面のみで起こるため、効率良く処理を行うには光触媒の表面積を大きくして被処理水との接触効率を高める必要がある。また、光触媒に紫外光が照射された際に生じる正孔またはOHラジカルは寿命が短いので短時間で反応させる必要がある。また、紫外光は水に吸収されやすく、水中で減衰しやすいという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば特開平8−47687号公報において、図7の構成図に示すような装置が考案されている。本従来例では、酸化チタンを塗布したガラス玉(径が数mm〜数cmで光透過率65%)からなる光触媒体72が固定床光触媒反応器70に充填され、光触媒の表面積を大きくして被処理水との接触効率を高めている。71は波長域が300〜400nmの紫外線ランプ(ブラックライト)、73は送液ポンプである。光触媒体72の充填層の厚みは照射する光の進行方向に50mmとされ、固定床光触媒反応器70の内壁面には光反射用のミラーが張られている。
【0006】
次に動作について説明する。固定床光触媒反応器70の内部に設けられた紫外線ランプ71が点灯されたのち、送液ポンプ73により被処理水が固定床光触媒反応器70に送られ、紫外光が照射された光触媒体72により被処理水の脱臭、殺菌および有機物の除去が行われる。
【0007】
また、特開平8−89725号公報において、図8(a)の構成図および図8(b)の断面図に示すような装置が考案されている。本従来例では、石英ガラス管からなる反応容器85の水の流路83に光触媒(酸化チタン)が表面に溶射された多孔体の網84が設けられている。80は殺菌手段、81は光源である紫外線ランプ、82は紫外線ランプ81の光が透過可能な壁、86は紫外線ランプ81の光を反射する光反射板、87は入口、88は出口である。矢印は紫外線光を示す。89は網84の孔を示す。
【0008】
次に動作について示す。細菌が存在する水が入口87から入り、網84の隙間を通って出口88から出るときに、紫外線ランプ81から放射された紫外線は網84に照射される。一方、網84の孔89を貫通した紫外線は反応容器85の内面に構成された鏡86で反射され、その反射光は網84に照射される。それぞれ紫外線が照射された光触媒の表面においては酸化還元作用が行なわれる結果、反応容器85の流路83を流れる水の細菌が殺菌される。
また、特開平9−155337号公報においては、図9の構成図に示すように、光反応ユニット91の外管94の入口95に導かれた被処理水が酸化チタン光触媒を構成する酸化チタン被覆ガラス繊維織布93の間隙を縫ってかつ内管92を構成する紫外線ランプからの紫外線を浴びつつ出口側に流通するように構成されている。本従来例では外管94の径は50mm、内管92の径は34mm、酸化チタン被覆ガラス繊維織布93の厚さは0.2〜0.6mmとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示す特開平8−47687号公報における固定床光触媒反応器70においては、紫外線ランプ71から照射された光の大部分は紫外線ランプ71のごく近傍にある光触媒体72にのみ吸収され、全体の光触媒体72に紫外光が照射されないため、十分な浄化効果が得られないという問題があった。そこで、光の進行方向に対する光触媒体72の充填層の厚みをさらに薄くすることが容易に考えられるが、反応器70に光触媒体72が密に充填された場合、反応器70の空隙率が極めて小さく、処理水量を大きくすることができないという問題がある。また、反応表面積を大きくするために、微小の粉体状に形成した光触媒材を被処理水に混合することが考えられるが、粉体状の光触媒材と処理水を分離するのは極めて困難で装置が複雑になるという問題がある。
【0010】
また、図8に示す特開平8−89725号公報においては、酸化および殺菌作用は紫外線が照射された光触媒の表面のみで起こり、酸化チタン等の光触媒が表面に溶射された多孔体の網84の表面に接触するごく一部の被処理水のみしか処理されないという問題がある。また、紫外光は水に吸収されやすいため、紫外線ランプ81から照射された紫外光は殺菌手段80の内部に設けた多孔体の網84に照射される前に減衰し、効率が悪く効果が十分でないという問題があった。
【0011】
また、特開平9−155337号公報の構成においても、厚さは0.2〜0.6mm程度の酸化チタン被覆ガラス繊維織布93の間隙を流れる被処理水は処理されるが、酸化チタン被覆ガラス繊維織布93と内管92の間を流れる被処理水を処理することができないという問題があった。
【0012】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、光触媒と被処理水が接触する反応部において、強力な混合攪拌作用を生じさせて、被処理水を光触媒に効率良く接触させると共に十分な酸素を供給し、被処理水に含まれる有害有機物、細菌等の微生物、臭気物質や難分解物質などを効率良く分解除去する高度な水処理装置および水処理方法を得ることを目的とする。また、多量の被処理水を簡易に処理できる工業的な水処理装置および水処理方法を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光触媒を用いた水処理装置は、上記の目的を達成するために、被処理水を噴射する噴射口と、酸素含有気体を吸引する気体吸引口と、噴射された被処理水と吸引された気体を混合攪拌する反応部と、この反応部の表面に光の照射により正孔と電子を発生する光触媒を有する光反応面、この光反応面に光を照射する光源とを設けたものである。
【0014】
また本発明に係る光触媒を用いた水処理装置は、反応部における圧力損失を抑えるために、被処理水の流れ方向に対して断面積を段階的に大きくした反応部を設けたものであっても良い。
【0015】
また本発明に係る光触媒を用いた水処理装置は、反応部の表面の光触媒が酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物を含むものであっても良い。
【0016】
また、この発明に係る光触媒を用いた水処理装置は、光触媒の光吸収効率を高めるために、マンガン、ニッケル、銅、クロム、鉄などの微粒子を更に添加したものであっても良い。
【0017】
また本発明に係る光触媒を用いた水処理装置は、さらに光触媒の反応効果を高めるために、反応部の表面の光触媒が上記金属酸化物または上記微粒子を添加した金属酸化物にゼオライト、アルミナ、活性炭などの多孔質材料を更に添加したものであっても良い。
【0018】
また本発明に係る光触媒を用いた水処理装置は、反応部において被処理水と光触媒との接触面積を高めるために、反応部の内部に酸化チタンなどの光触媒を塗布した網を設けたものであっても良い。
【0019】
また本発明に係る光触媒を用いた水処理装置は、電子の還元反応を高めるとともに、光触媒の反応負荷を小さくするために、気体吸引口から酸化剤のオゾンを含有した気体を供給させるようにしたものであっても良い。
【0020】
この発明に係る光触媒を用いた水処理方法は、被処理水を噴射し、これに酸素含有気体またはオゾン含有気体を吸引させ攪拌混合する工程と、攪拌混合した被処理水と気体とを光の照射により正孔と電子を発生する光触媒に接触させる工程とを備えたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施例を図にもとづいて説明する。図1は、本発明の水処理装置の一実施の形態を示す縦断面図で、図2は図1のi−i′線断面図である。図1および図2において、10は本発明に係る水処理装置、11は被処理水、12は被処理水を高速で噴射する噴射口、13は石英管またはガラス管等からなる反応管、13aは反応管13の内周面に塗布された酸化チタン(TiO2 など)等の光触媒の薄膜、14は紫外線ランプ等の光源、14aは光源14を収納するランプ室、14bはランプ室14aの外周面で光反射材からなる。15は処理水の流速を徐々に減速するディフューザ、16は処理水、17は空気または酸素ガス、18は空気または酸素ガス17を吸引する気体吸引口、19は被処理水入口、20は出口である。
【0022】
次に、動作について説明する。被処理水11は送水ポンプにより加圧されて、水処理装置10の被処理水入口19に導かれて噴射口12に供給され、噴射口12から高速で噴射されたのち、反応管13に導かれる。被処理水11が噴射口12から高速で噴射されると同時に、気体吸引口18から酸素含有気体が吸引されて反応管13に導かれ、噴射口12から高速で噴射された被処理水11と強力に混合される。上記反応管13において、被処理水11は光触媒の薄膜13aにより処理されて処理水16となって、ディフューザ15を通って出口20から流出する。この際、反応管13において高い混合攪拌作用を維持するには、反応管13の内径を噴射口12の内径の1.2倍から2.5倍程度とするのが好ましい。
【0023】
このように、本発明による反応管13においては、噴射口12から高速で噴射された被処理水11と気体吸引口18から吸引された酸素含有気体の混合により強力な攪拌作用が発生し、被処理水11を酸化チタン等の光触媒の薄膜13aの表面に効率良く接触できるとともに十分な酸素が供給され、電子と酸素との還元反応が並行して進行し、正孔と電子が再結合することが無く、光触媒と被処理水との反応が効率良く行われる。なお、気体吸引口18から流入される空気または酸素ガス17は、フィルター等により空気中の細菌または微粒子が除去されたのち、反応管13に導かれる。また、噴射口12から噴射される被処理水11の流速は、送水ポンプ17の動力を出来るだけ少なくし、かつ光触媒の反応性を高めるために、数m/秒から数10m/秒とするのが好ましい。
【0024】
また、反応管13の長さについても、送水ポンプ17の動力を出来るだけ少なくし、かつ光触媒の反応性を高めるために、反応管13の内径の数倍から数10倍程度にするのが好ましい。また、気体吸引口18から流入される空気または酸素ガス17の流量は、被処理水11の容積流量の1/10〜1/100程度で十分な攪拌効果と酸素供給が可能である。
【0025】
なお、被処理水11の水量が多い場合でも、本発明においては噴射口12の内径および反応管13の内径をそれぞれ定められた流速になるように容易に大きくすることができ、簡易に工業的な水処理装置を実現することができる。
【0026】
上記の反応管13の内周面には、酸化チタン等の光触媒の薄膜13aが塗布されており、被処理水11が反応管13に導かれるとランプ室14aに設置された紫外線ランプ等の光源14が点灯され、反応管13の内周面に塗布された酸化チタン等の光触媒の薄膜13aに紫外光が照射される。本発明では紫外光が反応管13の外部から照射されるので、反応管13内での紫外光の損失はない。
【0027】
酸化チタン等の光触媒の薄膜13aに410nm以下の紫外光が照射されると、酸化チタンの価電子帯に正孔が生じるとともに伝導帯に電子が発生し、発生した正孔は水と迅速に反応して強力な酸化力を有するヒドロオキシルラジカル(OHラジカル)を生じる。このようにして、酸化チタン薄膜13aの表面に生成した正孔またはOHラジカルが被処理水11に含まれる有害有機物または細菌等の微生物や臭気物質と反応して、有害有機物または臭気物質は二酸化炭素ガスと水に分解され、細菌等の微生物は殺菌される。
【0028】
この際、非常に活性な正孔またはOHラジカルと被処理水11に含まれる有害な有機物または細菌等の微生物の反応速度は、極めて速く数ミリ秒以内で反応が完了するため、被処理水の有害有機物などが除去される量は紫外線ランプ14の照射量に律速される。一方、紫外光照射時に正孔と同時に生成した電子は、酸素と迅速に反応してスーパーオキサイド(O2 - )が生成する。このとき、酸素が不足すると未反応の電子が正孔と再結合し、正孔の酸化反応を阻害することになるが、本発明では十分な酸素含有気体が光触媒表面に供給されるので、上記のような電子と正孔の再結合を防止でき、その結果、被処理水11と酸化チタン等の光触媒の薄膜13aの酸化反応効率を高めることができる。
【0029】
以上のように、本発明によれば、反応管13における強力な混合攪拌効果により、被処理水11を酸化チタン等の光触媒の薄膜13aの表面に効率良く接触できるとともに十分な酸素が供給され、酸化チタン等の光触媒の薄膜13aと被処理水11との反応効率を飛躍的に高めることができる。
【0030】
上記反応管13の内周面に塗布する光触媒薄膜13aの厚さは、被処理水11に含まれる有機物濃度や光源14の照射強度などにより異なるが、0.1μm(マイクロメータ)〜数10μmが好ましい。反応管13の厚さは、数mm程度で、紫外光を良く透過する石英ガラスが望ましいが、通常のガラス(例えば硬質ガラス)であってもよい。光源14は、酸化チタン等の光触媒が正孔および電子を効率良く生じさせる紫外光(波長が410nm以下)を多く含むことが望ましく、紫外線ランプや低圧または高圧水銀ランプ、または300〜400nmの波長をもつ蛍光ランプなどであってよい。
【0031】
この実施の形態においては、内表面に光触媒膜を塗布した反応部において、噴射口から高速で噴射された被処理水と酸素含有気体を混合させることにより、強力な混合攪拌作用を生じさせるため、被処理水を光触媒に効率良く接触させるとともに十分な酸素が供給でき、被処理水に含まれる有害有機物、細菌等の微生物、臭気物質や難分解物質などを効率良くかつ高度に分解除去できる。また、反応部に光触媒体が充填されないため、多量の水を処理でき、光触媒による工業的な高度水処理装置が得られる。また、光触媒に紫外光が照射される反応部へ酸素含有ガスが供給され、光触媒による酸化還元反応を効率良く進行させることができ、反応効率の高い光触媒による水処理装置が得られる。
【0032】
実施の形態2.
また、上記の実施の形態1では、反応管13が直管の場合について説明したが、被処理水11が反応管13を通過する際の圧力損失を小さくするために、図3に示したように、被処理水11の流れ方向に対して反応管13の径を段階的に大きくしてもよい。図3(a)および(b)は縦断面図で、図3(a)は被処理水11の流れ方向に対して反応管13の径を例えば10%程度毎に段階的に大きくしたもので、図3(b)は反応管13の径をテーパー状に連続的に大きくし、例えば反応管13の出口の径を入口の径の10%〜30%程度大きくしたものである。
【0033】
実施の形態3.
次に、図4は、本発明の他の実施の形態を示す縦断面図で、図1の反応管13において、被処理水と光触媒の接触面積を大きくするようにしたものである。図5は図4のi−i′線に沿った断面図である。図において、10は本発明に係る水処理装置、41は酸化チタン等の光触媒が表面に溶射された円筒状の網、42は円筒状の網41の孔である。
【0034】
図4および図5において、反応管13の内部に酸化チタン等の光触媒が表面に溶射された円筒状の網41を設け、被処理水11と光触媒の反応面積を大きくすることにより、反応効率を高めることができる。この際、円筒状の網41は被処理水11の流れ方向に対して反応管13の先端から数mmから数cm離し、かつ光照射方向に対して反応管13から数mm内部に設置するのが好ましい。なお、円筒状の網41は耐腐食性のチタン合金やステンレス等の金属金網または高分子樹脂の網であってよい。また、光触媒の薄膜13aは網の表面に形成したものでも良い。
【0035】
実施の形態4.
次に、図6は本発明に係る水処理装置を適用した水処理のフローを示す説明図で、10は本発明に係る水処理装置、61は被処理水、62は水槽、63は循環ポンプである。なお、本発明に係る水処理装置10の内部構成は図1と同様である。
【0036】
次に、動作について説明する。紫外線ランプ14が点灯されたのち、被処理水61が循環ポンプ63により加圧されて本発明に係る水処理装置10に導かれる。そして、水処理装置10の反応管13において、噴射口12から高速で噴射された被処理水61が気体吸引口18から吸引された酸素含有気体と混合されながら光触媒により処理され、水槽62に戻される。このような循環動作を繰り返し、反応管13において紫外光が照射された酸化チタン薄膜13aの表面に被処理水61が効率良く接触し、被処理水61に含まれる有害な有機物または細菌等の微生物や臭気物質が効率良く除去される。
【0037】
この際、気体吸引口18から吸引する空気の供給流量17は容積比で被処理水11の流量の約1/20とし、噴射口12から噴射される被処理水61の流速は約10m/s、また反応管13の径は噴射口12の径の約1.5倍とした。なお、循環ポンプ63は揚程が数mで運転された。
【0038】
図6において、本発明の効果を実証するために、モデル難分解性有機物として約50ppm(mg/l)の酢酸(CH3 COOH)を含んだ被処理水(30l)の分解実験を行った。その結果、難分解性有機物である酢酸は迅速に分解して二酸化炭素と水に分解された。この際、被処理水61に含まれる酢酸を90%除去するのに必要な時間は、紫外線ランプ本数(照射電力)を同一にして、別途上記と同様に光触媒薄膜13aが塗布された反応管13に、直接に上記と同量の被処理水61を供給した場合と比較すると、約1/2に短縮された。
【0039】
循環ポンプ63の動力は被処理水61を噴射せずに直接反応管13に供給した場合の方が少なくてよいが、紫外線ランプの電力が大きく、全体の電力は本発明による方がかなり少なくてよい。このように、本発明によれば、水槽62の被処理水61を短時間にかつ省電力にて処理できる。
【0040】
実施の形態5.
上記の各実施の形態では、光触媒として酸化チタン(TiO2など)を用いた例を示したが、実験結果によると、酸化亜鉛などの金属酸化物でも酸化チタンとほぼ同様な効果が得られた。また、これらの金属酸化物の光触媒に0.1%〜1%程度の少量のマンガン、ニッケル、銅、クロム、鉄などの超微粒子(0.1ナノメータから数ナノメータ)を添加すると、紫外光または可視光の吸収効率を数10%高めることができた。また、上記金属酸化物または上記超微粒子を添加した金属酸化物にゼオライト、アルミナ、活性炭などの多孔質材料を数%から数10%添加した光触媒を用いると、さらに処理時間が短縮された。
【0041】
実施の形態6.
また、酸素含有気体17に少量のアルゴンガスを添加すると、電子と酸素の反応がさらに活性化され、被処理水と酸化チタンの反応効率がより高まることがわかった。
【0042】
また、上記の酸素含有気体17のかわりにオゾン含有気体(オゾンと空気、オゾンと酸素、オゾンと空気と酸素)を供給すると、電子は酸素よりも酸化性の高いオゾンと良く反応する。また、オゾン自身は酸化剤であり、オゾンにより被処理水61に含まれる有害有機物または細菌等の微生物の一部または大部分を除去でき、オゾンよりも強い酸化力をもつ正孔またはOHラジカルの負荷を小さくできるため、光触媒の反応負荷を小さくでき、効率的に高度な水処理が可能となる。着色した被処理水をオゾンで処理すると色が消えて紫外光が通過し易くなる効果もある。この際、反応管13を被処理水の流れ方向に対して複数に分割し、前段階でオゾン処理したのち、引き続き光触媒により処理するように構成すると、オゾンをより効果的に作用させることができる。
【0043】
【発明の効果】
この発明に係る光触媒を用いた水処理装置によれば、被処理水を噴射させる噴射口、酸素含有気体を吸引する吸引口、内周面に光の照射により正孔と電子を発生する光触媒を有する反応部、この反応部の表面に光を照射する光源を備えるようにしたので、被処理水と酸素含有気体の混合による強力な混合攪拌効果が得られ、被処理水に含まれる有害有機物、細菌、臭気物質、難分解有機物などを光触媒表面に効率良く接触させることができ、短時間に高度な水処理を行える。
また、本発明においては、多量の水を処理する場合は噴射口および反応管を大きくすればよく、簡易に光触媒による工業的な水処理装置が得られる。
また、本発明においては、光触媒に光が照射される反応部へ酸素含有気体が供給され、光触媒による酸化還元反応を効率良く進行させることができ、反応効率の高い光触媒による水処理装置が得られる。
【0044】
また、反応部の断面積を被処理水の流れ方向に対して段階的に大きくすれば、反応部における圧力損失を抑えることができる。
【0045】
また、光触媒が酸化チタン、酸化亜鉛の少なくとも一つを含む場合には、光照射により発生した正孔により被処理水中の物質の分解および殺菌を行うことができる。
【0046】
また、光触媒が、マンガン、ニッケル、銅、クロムおよび鉄の少なくとも一つの微粒子を更に含む場合には、光触媒の光吸収効率を高めることが出来る。
【0047】
また、光触媒が、ゼオライト、アルミナおよび活性炭の少なくとも一つを更に含む場合は、光触媒の反応効率を高めることができる。
【0048】
また、反応部に光触媒を塗布した網を設ければ、被処理水と光触媒との接触面積を高めることができる。
【0049】
また、気体吸収口からオゾン含有気体を供給するようにすれば、電子の還元反応を高めるとともに光触媒の反応負荷を小さくできる。
【0050】
この発明に係る光触媒を用いた水処理方法は、被処理水を噴射し、これに酸素含有気体またはオゾン含有気体を吸引させ攪拌混合する工程と、攪拌混合した被処理水と気体を光の照射により正孔と電子を発生する光触媒に接触させる工程とを備えたので、被処理水と酸素含有気体またはオゾン含有気体が良く攪拌混合され、被処理水を光触媒に効率良く接触させると共に十分な酸素を供給し、被処理水に含まれる有害有機物、細菌等の微生物、臭気物質や難分解物質などを効率良く分解除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る光触媒を用いた水処理装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】 図1のi−i′線に沿った断面図である。
【図3】 この発明に係る光触媒を用いた水処理装置の他の実施の形態を示す断面図である。
【図4】 この発明に係る光触媒を用いた水処理装置の他の実施の形態を示す断面図である。
【図5】 図4のi−i′線に沿った断面図である。
【図6】 この発明に係る光触媒を用いた水処理装置を用いた水処理のフローの説明図である。
【図7】 従来の水処理装置の一例を示す構成図である。
【図8】 従来の水処理装置の他の一例を示す構成図である。
【図9】 従来の水処理装置の他の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
10 水処理装置、11 被処理水、12 被処理水の噴射口、13 反応管、13a 光触媒の薄膜、14 光源、15 ディフューザ、16 処理水、17 酸素含有気体、18 気体吸引口、19 被処理水入口、20 出口、41光触媒が表面に溶射された円筒状の網、42 網孔

Claims (4)

  1. 被処理水を噴射する噴射口と、酸素含有気体を吸引する気体吸引口と、噴射された被処理水と吸引された酸素含有気体とを混合する反応部と、この反応部の表面に光の照射により正孔と電子を発生する光触媒を有する光反応面と、この光反応面に光を照射する光源とを備え
    反応部の断面積を被処理水の流れ方向に対して段階的または連続的に大きくしたことを特徴とする光触媒を用いた水処理装置。
  2. 光触媒が、酸化チタンおよび酸化亜鉛の少なくとも一つと、マンガン、ニッケル、銅、クロムおよび鉄の少なくとも一つの微粒子と、ゼオライト、アルミナおよび活性炭の少なくとも一つとを含むことを特徴とする請求項1に記載の光触媒を用いた水処理装置。
  3. 光源が反応部の外部に配置され、反応部の内部に光触媒を塗布した網を更に設けたことを特徴とする請求項1記載の光触媒を用いた水処理装置。
  4. 酸素含有気体にアルゴンを添加したことを特徴とする請求項1に記載の光触媒を用いた水処理装置。
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