JP3645400B2 - 旋回式建設機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油圧ショベル等の旋回式建設機械に関し、特に、小さな旋回半径を可能にした旋回式建設機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、旋回式建設機械としては油圧ショベル等が知られており、この油圧ショベルは、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前側に設けられた作業装置とから構成されている。
【0003】
そして、上部旋回体は、骨組み構造をなす旋回フレームと、該旋回フレームの上側に設けられた運転席と、該運転席の後側に位置して前記旋回フレーム上に搭載されたエンジンと、該エンジンを冷却するためにエンジンに隣接して設けられたラジエータと、前記旋回フレームの後部上側に取付けられ、該エンジン、ラジエータを覆ったエンジンカバーとから大略構成され、前記旋回フレームの後側には作業装置とバランスをとるためのカウンタウェイトが取付けられ、前記運転席の上方には該運転席を覆う屋根カバーが設けられている。
【0004】
また、油圧ショベルには、車幅内旋回型、超小旋回型の旋回式油圧ショベル(以下、小旋回式油圧ショベルという)があり、この小旋回式油圧ショベルでは、エンジンを左右方向に延在する横置き状態に配置すると共に、カウンタウェイトを旋回半径に沿った円弧状に形成している。これらにより、小旋回式油圧ショベルは、上部旋回体を上方からみた場合、該上部旋回体が旋回中心に対して略円形状に形成され、上部旋回体が旋回するときに、少なくともカウンタウェイト側が旋回半径内に収まるように構成されている。
【0005】
一方、前述した屋根カバーとしては、運転席の上方に位置して前後方向に延びるように設けられたキャノピと、運転席を覆う箱形状をしたキャビンカバーとがある。
【0006】
このような小旋回式油圧ショベルでは、エンジンカバーのうち運転席の背面側に位置する部分を、複数枚の鋼板を溶接することにより高い剛性を有する高剛性カバーとして形成し、この高剛性カバーにキャノピ等の屋根カバーを取付ける構成としている。これにより、エンジンカバーの一部に屋根カバーを支持する支持部材としての機能を持たせている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による小旋回式油圧ショベルでは、屋根カバーを支持するためにエンジンカバーの一部を鋼板から形成された高剛性カバーとしているから、エンジンカバーの製造、組立作業に手間がかかる上に、重量が増大してしまうという問題がある。
【0008】
しかも、高剛性カバーはエンジン等の前側を覆うように配設されるから、高剛性カバー側からのエンジンの点検、整備作業に伴う工具の挿入、部品の着脱作業を容易に行なうことができず、メンテナンス性が悪いという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、支持部材の構成を簡略化して重量を軽減すると共に、エンジンのメンテナンス性を向上することができるようにした旋回式建設機械を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、支持部材によってラジエータを支持することにより、旋回フレーム上のスペースを有効的に利用できるようにした旋回式建設機械を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の旋回式建設機械は、骨組み構造をなし、前側に作業装置が設けられた旋回フレームと、該旋回フレームの上側に設けられた運転席と、該運転席の後側に位置して前記旋回フレーム上に左右方向に延在する横置き状態に搭載されたエンジンと、該エンジンを冷却するために該エンジンの左右方向のいずれかの端部側に設けられたラジエータと、前記旋回フレームの後部上側に取付けられ、前記エンジン、ラジエータを覆ったエンジンカバーと、エンジンカバー内に位置して前記旋回フレームに設けられた支持部材と、該支持部材上に設けられ、少なくとも前記運転席の上方を覆う屋根カバーとからなる。
【0012】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記支持部材を、前記エンジンの上方に位置し前記エンジンに沿って左右方向に延在して設けられたサポートと、該サポートの左端部側に前記エンジンをまたぐように設けられ前記エンジンよりも前側位置で前記旋回フレームに取付けられた左前脚体と、前記サポートの右端部側に前記エンジンをまたぐように設けられ前記エンジンよりも前側位置で前記旋回フレームに取付けられた右前脚体と、前記左前脚体と右前脚体との間に位置して前記エンジンをまたぐように前記サポートのほぼ中央部に設けられ前記エンジンよりも後側位置で前記旋回フレームの最後部に取付けられた中央後脚体とにより構成し、前記屋根カバーは前記サポート上に設ける構成としたことにある。
【0013】
このように構成したことにより、支持部材は複数本の脚体とサポートとから形成され、構成が簡略化されるから、該支持部材の重量を軽減することができる。また、エンジンの周囲には、複数本の脚体が配設されるだけであるから、各脚体間からエンジンを露出させることができ、該エンジンの点検、整備作業に伴う工具の挿入、部品の着脱作業を容易に行なうことができる。
【0015】
さらに、屋根カバーを、支持部材のサポートに取付けることにより、左前脚体、右前脚体、中央後脚体によって旋回フレームに対して屋根カバーを安定して支持することができる。また、サポートに取付けられた左前脚体、右前脚体、中央後脚体は、エンジンをまたぐように配設されているから、該左前脚体、右前脚体、中央後脚体の間からエンジンを露出させることができ、エンジンの点検、整備作業に伴う工具の挿入、部品の着脱作業を容易に行なうことができる。特に、エンジンの点検、整備作業が多く行なわれる後側は、中央後脚体のみにしているから、エンジンを大きく露出させることができる。
【0016】
請求項2の発明は、支持部材の各脚体のうちラジエータが配置される一方側の脚体にはラジエータを固定することにより、該一方側の脚体をラジエータ支持部材として用いる構成としたことにある。
【0017】
このように構成したことにより、一方側の脚体によってラジエータを支持することができるから、この脚体によってラジエータの揺れを防止でき、ラジエータを支持するための部材を省略することができる。
【0018】
請求項3の発明は、支持部材にはエンジンカバーの一部が取付けられる取付ブラケットを設ける構成としたことにある。
【0019】
このように構成したことにより、支持部材に取付ブラケットを介してエンジンカバーの一部を取付けることができるから、支持部材を基準にしてエンジンカバーの一部を位置決め状態で取付けることができる。
【0020】
また、請求項4の発明は、屋根カバーは運転席の上方に位置して前後方向に延びたキャノピとしたことにあり、支持部材によってキャノピを支持することができる。
【0021】
さらに、請求項5の発明は、屋根カバーは箱形状をしたキャビンカバーとしたことにあり、支持部材によってキャビンカバーを支持することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による旋回式建設機械として小旋回式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0023】
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施例を示し、1は下部走行体、2は該下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体で、該上部旋回体2は、後述する旋回フレーム3、運転席4、エンジン7、支持部材15、エンジンカバー20、キャノピ22等から大略構成され、上部旋回体2を上方からみた場合、図2に示すように旋回中心に対して略円形状に形成されている。
【0024】
3は骨組み構造をなし、上部旋回体2のベースを構成する旋回フレームで、該旋回フレーム3は、図3に示す如く、平板状の底板3Aと、該底板3Aの上面側に立設された左右一対の縦板3B,3Bと、該各縦板3Bの先端側に固着された上板3Cと、前側に位置して左右方向に延びた前梁3Dと、前後方向の中間部に位置して左右方向に延びた中梁3Eと、後側に位置して左右方向に延び後述するカウンタウェイト14等が取付けられる後梁3Fとから大略構成されている。また、前記底板3A、縦板3B、上板3Cの前端側は、後述する作業装置23を支持するブラケット3Gとなっている。さらに、旋回フレーム3は、その前面から左側面にかけて床板3Hによって覆われている。
【0025】
4は旋回フレーム3の床板3H上に設けられた運転席で、該運転席4の上方はキャノピ22によって覆われている。また、運転席4の周囲には下部走行体1、作業装置23を動作させるための操作レバー5,6等が配設されている。
【0026】
7は旋回フレーム3の底板3A後部に搭載されたエンジン(図3、図4参照)で、該エンジン7は左右方向に延在する横置き状態に配置されている。ここで、エンジン7には旋回フレーム3の左側に位置して出力軸が配置され、右側に位置して冷却ファン(いずれも図示せず)が配置されている。
【0027】
8はエンジン7のヘッドカバー7A上に設けられたエアクリーナで、該エアクリーナ8は空気を清浄化し、この清浄空気をエンジン7に供給するものである。また、9はエンジン7に取付けられた排気管で、該排気管9の途中にはエンジン7のヘッドカバー7A上に位置して排気音を低減するための消音装置10が設けられている。
【0028】
11はエンジン7の左端部側に位置して出力軸に接続された油圧ポンプで、該油圧ポンプ11はエンジン7によって駆動されることにより、後述する作動油タンク21から供給される作動油を下部走行体1や作業装置23に供給するものである。
【0029】
また、12はエンジン7の右端部側に位置して冷却ファンの前側に配設されたラジエータで、該ラジエータ12は旋回フレーム3の底板3A上にボルト(図示せず)によって固定されている。しかも、ラジエータ12は、その右側部が後述する支持部材15の右前脚体18に支持され、これによりラジエータ12は厚さ方向への揺れが防止されている。そして、ラジエータ12はエンジン7のウォータジャケット(図示せず)を流通する冷却水の熱を外部に放出し、エンジン7を冷却するものである。さらに、ラジエータ12の前面には下部走行体1や作業装置23から戻される作動油の熱を放出するためのオイルクーラ13が一体的に取付けられている。
【0030】
14は旋回フレーム3の後梁3Fに取付けられたカウンタウェイトで、該カウンタウェイト14は作業装置23とバランスをとるものである。また、カウンタウェイト14は円弧状に形成され、エンジンカバー20等と共にエンジン7等を覆っている。この際、カウンタウェイト14の後面円弧形状を所定の旋回半径内(下部走行体1の車幅内)に収める構成とし、運転席4から見通しの悪いカウンタウェイト14側が障害物に衝突するのを防止している。
【0031】
15は旋回フレーム3の後側に取付けられた支持部材で、該支持部材15はエンジンカバー20内に位置して設けられ、図5に示すように、後述するサポート16、左前脚体17、右前脚体18、中央後脚体19等から大略構成されている。
【0032】
16はエンジン7の上方に設けられたサポートで、該サポート16は、エンジン7のヘッドカバー7A、消音装置10を覆うように該エンジン7に沿って左右方向に延在し、その右端側には右前脚体18が取付けられる取付プレート16Aが溶接等の固着手段によって一体的に固着されている。
【0033】
また、サポート16の上面側には、左右方向に離間して配置されたキャノピ取付台座16B,16Bと、該各キャノピ取付台座16Bよりも左右方向の外側に位置して取付ブラケットをなすカバー取付台座16C,16C,…とが設けられ、各キャノピ取付台座16Bにはキャノピ22の各支柱22Aが取付けられ、各カバー取付台座16Cにはエンジンカバー20の背カバー20Aが取付けられている。さらに、サポート16の後面側には左右方向に離間して取付ブラケットをなすカバー取付ブラケット16D,16Dが設けられ、該各カバー取付ブラケット16Dにはエンジンカバー20の後カバー20Bが開閉可能に取付けられている。
【0034】
17はサポート16の左端部側に設けられた左前脚体で、該左前脚体17は、図6に示すように、上端部がサポート16に溶接等の固着手段によって一体的に固着され、下側が前方に向けて斜めに伸長し、その下端部が旋回フレーム3の中梁3Eにボルトによって着脱可能に取付けられている。
【0035】
18はサポート16の右端部側に設けられた右前脚体で、該右前脚体18は、断面コ字状の鋼材をほぼ逆L字状に折曲げて形成され、その上端部がサポート16の取付プレート16Aにボルトによって取付けられ、下端部が旋回フレーム3の底板3A上にボルトによって着脱可能に取付けられている。
【0036】
ここで、右前脚体18は断面コ字状に形成され、このコ字状に沿ってラジエータ12の右側部が侵入している。そして、ラジエータ12はボルトによって右前脚体18に固定されている。これにより、右前脚体18は、ラジエータ12を支持して厚さ方向への揺れを防止するラジエータ支持部材を兼ねている。
【0037】
19は左前脚体17と右前脚体18との間に位置してサポート16のほぼ中央部に設けられた中央後脚体で、該中央後脚体19は、上端部がサポート16に溶接等の固着手段によって固着され、下側が後方に向けてく字状に屈曲し、その下端部が旋回フレーム3の後梁3Fにボルトによって着脱可能に取付けられている。
【0038】
ここで、支持部材15は、左前脚体17と右前脚体18がエンジン7よりも前側に位置して旋回フレーム3に取付けられ、中央後脚体19がエンジン7よりも後側に位置して旋回フレーム3に取付けられている。このように、前側を左右に離間した左前脚体17、右前脚体18とし、後側を中央部に位置する中央後脚体19とすることにより、旋回フレーム3の最後部に中央後脚体19を配置することができ、左前脚体17、右前脚体18と中央後脚体19との間にエンジン7を配置するのに十分なスペースを確保することができる。
【0039】
また、支持部材15は、左前脚体17、右前脚体18および中央後脚体19によってサポート16をエンジン7上に支持しているから、各脚体17,18,19の間からエンジン7、油圧ポンプ11等がほとんど露出した状態となり、エンジン7の点検、整備作業に伴う工具の挿入、部品の着脱を容易に行なうことができる。
【0040】
20は運転席4を後側から囲むように旋回フレーム3の後部上側に設けられたエンジンカバーで、該エンジンカバー20は、運転席4の背面側に設けられた背カバー20Aと、該背カバー20Aの後側に位置して開閉可能に設けられ、通常ボンネットと呼ばれる後カバー20Bと、前記背カバー20A、後カバー20Bの左側に設けられた左カバー20Cと、前記背カバー20A、後カバー20Bの右側に設けられた右カバー20Dとから大略構成され、前記右カバー20D内には作動油タンク21(図4中に図示)が収容されている。また、前記背カバー20Aはサポート16のカバー取付台座16Cに取付けられ、前記後カバー20Bはサポート16のカバー取付ブラケット16Dに蝶番(図示せず)を介して開閉可能に取付けられている。なお、エンジンカバー20は、軽量化、断熱効果、遮音効果を得るために、例えば樹脂製カバーが用いられている。
【0041】
22は運転席4の上方を覆うように設けられた屋根カバーをなすキャノピで、該キャノピ22は、図6、図7に示す如く、上下方向に伸長した左右一対の支柱22A,22Aと、該各支柱22Aの上端部に取付けられ、前後方向に延びた天井板22Bと、該天井板22Bの下側に位置して前記各支柱22Aに亘って取付けられた後面板22Cとから大略構成されている。そして、キャノピ22は、前記支柱22A,22Aが支持部材15のサポート16に設けられたキャノピ取付台座16B,16Bにボルトによって取付けられている。
【0042】
一方、23は上部旋回体2の前側に設けられた作業装置で、該作業装置23は、旋回フレーム3のブラケット3Gに回動可能に取付けられている。
【0043】
本実施例による小旋回式の油圧ショベルは上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0044】
まず、油圧ショベルの運転時には、操作レバー5,6を操作して油圧ポンプ11からの圧油を下部走行体1に給排することにより、該下部走行体1を所望の方向、速度で走行させる。また、油圧ポンプ11からの圧油を作業装置23に給排することにより、該作業装置23によって土砂の掘削作業等を行なう。
【0045】
一方、エンジン7、油圧ポンプ11等の点検、整備を行なう場合には、エンジンカバー20の後カバー20Bを開く。このときには、支持部材15の中央後脚体19が存在するだけで、エンジン7、油圧ポンプ11のほとんどの部分が露出した状態となるから、エンジン7、油圧ポンプ11等の点検、整備作業に伴う工具の挿入、部品の着脱を容易に行なうことができる。
【0046】
また、エンジン7の前側部分の点検、整備を行なう場合には、エンジンカバー20の背カバー20Aを取外すことにより、左前脚体17と右前脚体18の間からエンジン7を露出させることができ、点検整備作業を行なうことができる。
【0047】
従って、本実施例によれば、支持部材15をキャノピ22が取付けられるサポート16およびエンジン7をまたぐように配設された左前脚体17、右前脚体18、中央後脚体19から構成しているから、従来技術による支持部材に比較して支持部材15の重量を大幅に軽減することができる。また、各脚体17,18,19の間からエンジン7、油圧ポンプ11等のほとんどの部分を露出させることができるから、エンジン7、油圧ポンプ11等の点検、整備作業に伴う工具の挿入、部品の着脱を容易に行なうことができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0048】
特に、エンジン7の前側に左前脚体17、右前脚体18の2本の脚体を配設し、エンジン7の後側に中央後脚体19の1本を配設する構成としている。これにより、左右方向の中央部分が後方に突出した旋回フレーム3(上部旋回体2)の最後部に中央後脚体19を配設することができるから、該中央後脚体19と左前脚体17、右前脚体18との間にエンジン7等を配置するのに十分なスペースを確保でき、設計の自由度を高めることができる。
【0049】
また、支持部材15の右前脚体18によってラジエータ12を支持しているから、右前脚体18によってラジエータ12が厚さ方向に揺れるのを防止でき、ラジエータ12の損傷を防止することができる。
【0050】
しかも、右前脚体18にラジエータを支持する機能を持たせることにより、別途ラジエータを支持する部材を設ける必要がなくなるから、取付スペースを小さくでき、部品点数を削減することができる。さらに、右前脚体18とラジエータ12との間の隙間を実質的になくすことができるから、ラジエータ12に冷却風を効率よく供給することができ、冷却効率を向上することができる。これにより、ラジエータ12を小型化することもできる。
【0051】
また、支持部材15のサポート16をエンジン7のヘッドカバー7A上に設けられた消音装置10を覆うように設けているから、エンジン7、消音装置10から発生する騒音、熱等をサポート16によって遮ることができるから、この騒音、熱等が運転席4側に放出されるのを防止でき、作業環境を良好にすることができる。
【0052】
さらに、支持部材15のサポート16にエアクリーナ8を取付ける構成としているから、該エアクリーナ8をエンジン7の近傍に簡単な作業によって取付けることができ、組立作業性を向上することができる。
【0053】
また、支持部材15のサポート16にエンジンカバー20の背カバー20A、後カバー20Bを取付ける構成としているから、該背カバー20A、後カバー20Bをサポート16に位置決め状態で取付けることができ、組付け精度、組立作業性を向上することができる。
【0054】
一方、支持部材15を旋回フレーム3に対して着脱可能に取付けているから、エンジン7のオーバホール等のように大規模な整備を行なう場合には、支持部材15を取外すことにより、容易に整備作業を行なうことができ、この点においてもメンテナンス性を向上することができる。
【0055】
次に、図8および図9は本発明の第2の実施例を示すに、本実施例の特徴は、屋根カバーとしてキャビンカバーを用いたことにある。なお、本実施例では、前述した第1の実施例と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0056】
31は第1の実施例による上部旋回体2に代えて用いられた本実施例による上部旋回体、32は該上部旋回体31の旋回フレーム3上に設けられた屋根カバーをなすキャビンカバーで、該キャビンカバー32は、天井部32A、前面部32B、後面部32C、左側面部32Dおよび右側面部32E(図9中に図示)から運転席4を覆う箱形状に形成されている。そして、キャビンカバー32は、その後部側、即ち後面部32Cの下端部が支持部材15のサポート16に取付けられている。
【0057】
かくして、このように構成された本実施例においても、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
なお、各実施例では、支持部材15のサポート16にエアクリーナ8を取付けるものとして述べたが、これに替えて、例えばエアクリーナをエンジン側に取付ける構成としてもよい。
【0060】
さらに、各実施例では、右前脚体18をラジエータ支持部材として用いた場合を例示したが、本発明はこれに限らず、ラジエータがエンジンの左端部側に配設された場合には、左前脚体をラジエータ支持部材として用いる構成とするればよい。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、支持部材を、エンジンの上方に位置し該エンジンに沿って左右方向に延在したサポートと、該サポートの左端部側に前記エンジンをまたぐように設けられ前記エンジンよりも前側位置で旋回フレームに取付けられた左前脚体と、前記サポートの右端部側に前記エンジンをまたぐように設けられ前記エンジンよりも前側位置で前記旋回フレームに取付けられた右前脚体と、前記左前脚体と右前脚体との間に位置して前記エンジンをまたぐように前記サポートのほぼ中央部に設けられ前記エンジンよりも後側位置で前記旋回フレームの最後部に取付けられた中央後脚体とにより構成しているので、3本の脚体とサポートとにより支持部材の構成を簡略化でき、該支持部材の重量を軽減することができると共に、支持部材を着脱するときの作業性を向上することができる。また、エンジンの周囲には、該エンジンをまたぐように左前脚体、右前脚体および中央後脚体からなる3本の脚体が配設されるだけであり、各脚体間からエンジンを露出させることができるから、エンジンの点検、整備作業に伴う工具の挿入、部品の着脱作業を容易に行なうことができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0062】
そして、支持部材のサポート上には屋根カバーを取付ける構成としているので、前記支持部材の左前脚体、右前脚体、中央後脚体によって旋回フレームに対し屋根カバーを安定して支持することができる。また、左前脚体、右前脚体、中央後脚体はエンジンをまたぐように配設しているから、該左前脚体、右前脚体、中央後脚体の間からエンジンを露出させて、エンジンの点検、整備作業に伴う工具の挿入、部品の着脱作業を容易に行なうことができ、メンテナンス性を向上することができる。特に、エンジンの点検、整備作業が多く行なわれる後側を中央後脚体のみにしているから、エンジンを大きく露出させることができ、より一層作業性を向上することができる。
【0063】
請求項2の発明によれば、一方側の脚体によってラジエータを支持することにより、この脚体によってラジエータの揺れを防止でき、ラジエータを支持するための部材を省略することができるから、取付スペース、部品点数を削減することができる上に、部材間の干渉を防止することができる。また、一方側の脚体とラジエータとの間の隙間を実質的になくすことができるから、ラジエータに冷却風を効率よく供給でき、冷却効率を向上することができる。
【0064】
請求項3の発明によれば、支持部材に取付ブラケットを介してエンジンカバーの一部を取付けることができるから、支持部材を基準にしてエンジンカバーの一部を位置決め状態で取付けることができ、エンジンカバーの組付け精度、組立作業性を向上することができる。
【0065】
請求項4の発明によれば、支持部材によってキャノピを安定して支持することができ、また、請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様に支持部材によってキャビンカバーを安定して支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを拡大して示す平面図である。
【図3】運転席、エンジンカバー、キャノピ等を取外した状態の上部旋回体を上方から拡大して示す平面図である。
【図4】旋回フレームにエンジン、ラジエータ、支持部材、キャノピ等を組み付けた状態を示す要部拡大の外観斜視図である。
【図5】支持部材を示す外観斜視図である。
【図6】支持部材にキャノピを取付けた状態を示す正面図である。
【図7】支持部材にキャノピを取付けた状態を示す右側面図である。
【図8】本発明の第2の実施例による油圧ショベルを示す正面図である。
【図9】支持部材にキャビンカバーを取付けた状態を示す右側面図である。
【符号の説明】
3 旋回フレーム
4 運転席
7 エンジン
12 ラジエータ
15 支持部材
16 サポート
17 左前脚体
18 右前脚体
19 中央後脚体
20 エンジンカバー
22 キャノピ(屋根カバー)
23 作業装置
32 キャビンカバー(屋根カバー)
Claims (5)
- 骨組み構造をなし、前側に作業装置が設けられた旋回フレームと、該旋回フレームの上側に設けられた運転席と、該運転席の後側に位置して前記旋回フレーム上に左右方向に延在する横置き状態に搭載されたエンジンと、該エンジンを冷却するために該エンジンの左右方向のいずれかの端部側に設けられたラジエータと、前記旋回フレームの後部上側に取付けられ、前記エンジン、ラジエータを覆ったエンジンカバーと、該エンジンカバー内に位置して前記旋回フレームに設けられた支持部材と、該支持部材上に設けられ、少なくとも前記運転席の上方を覆う屋根カバーとを備えてなる旋回式建設機械において、
前記支持部材は、前記エンジンの上方に位置し前記エンジンに沿って左右方向に延在して設けられたサポートと、
該サポートの左端部側に前記エンジンをまたぐように設けられ前記エンジンよりも前側位置で前記旋回フレームに取付けられた左前脚体と、
前記サポートの右端部側に前記エンジンをまたぐように設けられ前記エンジンよりも前側位置で前記旋回フレームに取付けられた右前脚体と、
前記左前脚体と右前脚体との間に位置して前記エンジンをまたぐように前記サポートのほぼ中央部に設けられ前記エンジンよりも後側位置で前記旋回フレームの最後部に取付けられた中央後脚体とにより構成し、
前記屋根カバーは前記サポート上に設ける構成としたことを特徴とする旋回式建設機械。 - 前記支持部材の各脚体のうち前記ラジエータが配置される一方側の脚体には前記ラジエータを固定することにより、該一方側の脚体をラジエータ支持部材として用いる構成としてなる請求項1に記載の旋回式建設機械。
- 前記支持部材には前記エンジンカバーの一部が取付けられる取付ブラケットを設ける構成としてなる請求項1または2に記載の旋回式建設機械。
- 前記屋根カバーは前記運転席の上方に位置して前後方向に延びたキャノピである請求項1,2または3に記載の旋回式建設機械。
- 前記屋根カバーは箱形状をしたキャビンカバーである請求項1,2または3に記載の旋回式建設機械。
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