JP3643603B2 - 精製フラクトオリゴ糖の製造方法 - Google Patents

精製フラクトオリゴ糖の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フラクトオリゴ糖を製造するときに副生するグルコースを除去して、フラクトオリゴ糖濃度の高い精製フラクトオリゴ糖を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シュクロースにフラクトシルトランスフェラーゼを作用させることにより、フラクトオリゴ糖を主成分とする糖組成物の水溶液(通常シロップという)が得られるが、その際に相当量のグルコースが副生する。そこで用途によっては、この副生するグルコースを除去してフラクトオリゴ糖濃度を高めることが必要となる。
【0003】
シュクロースにフラクトシルトランスフェラーゼを作用させて得られた反応液からフラクトオリゴ糖を精製するには、一般的には活性炭クロマトグラフ法やイオン交換クロマトグラフ法が採用されるが、後述のように種々の問題点があるので、工業的な方法とは言いがたい。そのため、フラクトオリゴ糖の精製方法に関しいくつかの提案がなされている。
【0004】
たとえば、特開昭59−95895号公報には、単糖類、ショ糖(つまりシュクロース)およびフラクトオリゴ糖を含有する糖組成物からフラクトオリゴ糖を単離精製するに際し、当該糖組成物にα−グルコシダーゼを作用させてショ糖を単糖類に分解するようにしたフラクトオリゴ糖の精製法が示されている。実施例においては、糖組成物中のショ糖を単糖類に分解した後、先に述べた活性炭クロマトグラフ法を適用している。
【0005】
特開昭59−179100号公報には、アルカリ金属形またはアルカリ土類金属形の強酸性カチオン交換樹脂を充填した固定床に三糖類以上のフラクトオリゴ糖類と二糖類以下の糖類との混合原液を下降流あるいは上昇流で通液する循環方式により、三糖類以上のフラクトオリゴ糖と二糖類以下の糖類に分離する方法が示されている。
【0006】
特開昭60−149596号公報には、ニストース含有量が60%以上であるフラクトオリゴ糖液を固型分濃度75〜90%に濃縮し、結晶ニストースを含む種晶を添加・分散させ、結晶固化、熟成を行った後、これを粉末化させるようにしたフラクトオリゴ糖結晶粉末の製造方法が示されている。この場合、ニストース含有量の多いフラクトオリゴ糖液を得るのに、反応液を濃縮した後、活性炭、イオン交換樹脂等のカラムを用いて分画処理する方法を採用している。
【0007】
特開昭62−14792号公報には、ショ糖にフラクトース転移作用を持つ酵素を作用させるフラクトース転移反応によりフラクトオリゴ糖を主成分とする糖混合物を得るにあたり、副生するグルコースを減少させる操作を実施するようにしたフラクトオリゴ糖高含有物の製造法が示されている。ここで副生するグルコースを減少させる操作とは、具体的には次の操作である。
(a) 微生物によりグルコースを資化させる操作、微生物のショ糖およびフラクトオリゴ糖を分解する作用を阻害する試剤の共存下に微生物によりグルコースを資化する操作、または、微生物によりグルコースとショ糖を資化させる操作。ここで微生物とは酵母や細菌である。
(b) 酵素(たとえばグルコースオキシダーゼ)によりグルコースを変換させる操作。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
シュクロースにフラクトシルトランスフェラーゼを作用させて得られたフラクトオリゴ糖を主成分とする反応液からフラクトオリゴ糖を精製する方法のうち、従来より一般的に採用されている活性炭クロマトグラフ法は、展開液としてアルコール等の有機溶媒を含む液を用いるため、爾後の有機溶媒の除去が大変であり、操作も複雑となること、分離した溶出液中のフラクトオリゴ糖濃度が低いこと(数%)、基質に対してカラムヘッドが大きいこと(100〜500倍)、処理量に対して装置が大きくなることなどの問題点がある。
【0009】
特開昭59−95895号公報においては、糖組成物にα−グルコシダーゼを作用させてショ糖を単糖類に分解しているが、糖組成物からの単糖類の除去には上に述べた活性炭クロマトグラフ法を採用しているので、上記と同様の問題点がある。
【0010】
イオン交換クロマトグラフ法は、分離したフラクトオリゴ糖の濃度がたとえば10〜15%と低いこと、収率を上げようとするとますます濃度が低くなるため、その後の濃縮が大変であることなどの問題点がある。このような問題点は、アルカリ金属形またはアルカリ土類金属形の強酸性カチオン交換樹脂を充填した固定床に原液を循環方式により通液する特開昭59−179100号公報の改良方法によっても、本質的には解決しえない。特開昭60−149596号公報においては、前処理段階として反応液を濃縮した後、イオン交換樹脂等のカラムを用いて分画処理する方法を採用しているが、そのように濃縮して分画処理を行うとフラクトオリゴ糖の収率が低下することを免かれない。
【0011】
特開昭62−14792号公報に開示の副生グルコースを減少させる操作のうち、微生物(酵母や細菌)によりグルコースを資化させる方法は、短時間(約24時間以内)にグルコースを資化しようとすると初期に多くの菌体(基質に対し 0.5〜1倍)が必要となり、菌体の確保が大変であること、微生物の資化故に副生成物が多く、後処理の負荷が大きいことなどの不利がある。
【0012】
特開昭62−14792号公報に開示の副生グルコースを減少させる操作のうち、グルコースオキシダーゼ等の酵素によりグルコースを変換させる方法は、分離したフラクトオリゴ糖濃度が低く(10%)、濃縮が大変であること、グルコースオキシダーゼの生産が大変で、コストが高くなること、反応中通気が必要となることなどの問題点がある。
【0013】
そのほかゲルろ過クロマト法も考えられるが、この方法は、分離したフラクトオリゴ糖濃度が低く(10%程度)、濃縮が大変であること、回収率が低いこと(50〜70%)、純度を上げるに従い回収率が悪くなることなどの不利がある。
【0014】
本発明は、このような背景下において、フラクトオリゴ糖の製造に際し、副生するグルコースを従来とは全く別の機構に基いて分離除去することにより、フラクトオリゴ糖濃度の高い精製フラクトオリゴ糖を製造する工業的に有利な方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の精製フラクトオリゴ糖の製造方法は、
水溶液としたシュクロースに、シュクロースからのフラクトオリゴ糖の転移反応を行いうるフラクトシルトランスフェラーゼを作用させて酵素反応によりフラクトオリゴ糖を製造するにあたり、
その酵素反応の当初から系中にホウ酸またはその塩からなるホウ酸類を共存させることにより、副生グルコースを直ちにホウ酸類との錯体に変換させて、副生グルコースとホウ酸類との錯体を形成させること、
その際の副生グルコースとホウ酸類との量的割合を、実質的に、グルコースとホウ酸類との錯体形成反応における量的割合に見合う割合に設定すること、
ついで該錯体を分離除去すること
を特徴とするものである。
【0016】
以下本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明は、フラクトオリゴ糖にかかるものである。
【0018】
フラクトオリゴ糖は、水溶液としたシュクロースに、シュクロースからのフラクトオリゴ糖の転移反応を行いうるフラクトシルトランスフェラーゼを作用させることにより製造される。この反応は次式で表わされる。なお説明の簡略化のため、必要に応じ、グルコース単位をG、フラクトース単位をFで表わし、GFFの場合はGF2 、GFFFの場合はGF3 というように表わすこととする。
【0019】
実際の反応では、GF2 のほかにGF3 も多量に生成し、GF4 も少量生成する。GF5 以上の生成量はごくわずかである。フラクトオリゴ糖とは、GF2 からGF4 またはGF5 程度までを指す。
【0020】
上記の反応式から、相当量のグルコースが必然的に副生することがわかる。ところがグルコースは、整腸作用、ビフィズス菌増殖作用、乳酸菌増殖作用を有しないので、糖組成物中におけるグルコースの比率をできるだけ低減する方法が有利である。なお反応液中には未反応のシュクロースも相当量含まれるが、その存在はフラクトオリゴ糖の通常の用途には特に問題とならないことが多い。
【0021】
本発明においては、水溶液としたシュクロースに、シュクロースからのフラクトオリゴ糖の転移反応を行いうるフラクトシルトランスフェラーゼを作用させて酵素反応によりフラクトオリゴ糖を製造するにあたり、その酵素反応の当初から系中にホウ酸またはその塩からなるホウ酸類を共存させることにより、、副生グルコースを直ちにホウ酸類との錯体に変換させて、副生グルコースとホウ酸類との錯体を形成させる。
【0022】
酵素反応の当初からとは、シュクロースにフラクトシルトランスフェラーゼ(オーレオバシディウム属やアスペルギルス属の菌の菌体内に産生されるフラクトース転移酵素である)を作用させることによりフラクトオリゴ糖を生成させるときの原料仕込み時など反応前か、反応が実質的に始まるまでの段階を言う。
【0023】
ところで、副生グルコースは生成直後はα型であるが、間もなくβ型との間で平衡関係となる。ホウ酸類はα型のグルコースとのみ錯体を形成するので、転移反応の当初から系中にホウ酸類を共存させることにより、生成直後のα型の副生グルコースを直ちにホウ酸類との錯体に変換することが有利なのである。
【0024】
ホウ酸類としては、ホウ酸またはホウ砂が用いられる。ホウ酸類は酵素阻害を起こさないので、酵素反応の当初から系中に共存させてもよいのである。
【0025】
上述の錯体形成反応は下記の式で表わされる。また錯体の構造は下記の化1で表わされるものと考えられる。
【0026】
【化1】
【0027】
ホウ酸類の添加量は、上記の式(2) に従い副生グルコースの量に見合うように計算量に設定することが望ましいが、若干の増減は許容される。すなわち、副生グルコースとホウ酸類との量的割合を、実質的に、グルコースとホウ酸類との錯体形成反応における量的割合に見合う割合に設定する。錯体形成反応は酸性下に進むので、系のpHは4〜6程度に調節することが望ましい。形成した錯体は酸性物質であるので、錯体形成反応が進行すると系のpHが低下する。そこで適宜pH調節剤を添加して系のpHが4〜6程度に保たれるように留意する。
【0028】
錯体形成反応終了後は、その錯体を系から分離除去する。錯体分離方法としては種々の方法が採用されるが、本発明者らは上記錯体がアニオン交換樹脂にほぼ定量的にイオン交換吸着することを見い出したので、フラクトオリゴ糖および上記錯体を含む水溶液をアニオン交換樹脂と接触させる方法が推奨される。
【0029】
アニオン交換樹脂処理により錯体がほぼ完全に除去されるので、処理液を適宜pH調整し、さらには濃縮したり粉体化して製品とする。なおアニオン交換樹脂に吸着した錯体はアルカリ水溶液を通すなどすることによりアニオン交換樹脂から脱離させることができるので、アニオン交換樹脂を繰り返し使用することができる。なお脱離させた錯体は、必要に応じグルコースとホウ酸類とに分解することができる。
【0030】
【作用】
本発明においては、ホウ酸類のα型グルコースに対する錯体形成能力を利用して、フラクトオリゴ糖を主体とする糖組成物の水溶液から副生グルコースを除去している。錯体形成反応はイオン反応であるので、反応率が高くかつ反応速度が速い。
【0031】
ホウ酸類はフラクトオリゴ糖の製造工程における酵素反応の当初から系中に共存させるが、フラクトオリゴ糖を酵素反応により製造する場合、このように酵素反応の当初から系中にホウ酸類を添加してもその転移反応は何ら阻害されず、転移率はホウ酸無添加の場合と実質的に変らない。
【0032】
生成した錯体はアニオン交換樹脂との接触により容易かつ確実に除去することができるので、フラクトオリゴ糖濃度の高い精製フラクトオリゴ糖を製造することができる。
【0033】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。
【0034】
実施例1
下記のようにして、フラクトオリゴ糖シロップの製造およびそのシロップ中に含まれるグルコースの除去を行った。
【0035】
〈酵素の精製〉
オウレオバシディウム・プルランスのフラクトシルトランスフェラーゼ含有菌体2kgを細胞膜破砕し、フラクトシルトランスフェラーゼを30リットルの水中に遊離させた。このとき、フラクトシルトランスフェラーゼの力価を100ユニット/mlに調整し、粗フラクトシルトランスフェラーゼ水溶液を得た。なお1ユニットは、温度50℃、濃度50重量%のシュクロース水溶液において、1分間に1−ケストースを1マイクロモル生成する力価である。
【0036】
次に分画分子量20000の限外ろ過により、上記の粗フラクトシルトランスフェラーゼ水溶液を 1.5リットル、力価2000ユニット/mlまで濃縮精製し、精製フラクトシルトランスフェラーゼ水溶液を得た。
【0037】
〈フラクトオリゴ糖の製造〉
(参考例)
まず参考例として、ホウ酸類を添加しない場合の実験を行った。すなわち、シュクロース(グラニュー糖)100gを水100mlに溶かし、上記で得た力価2000ユニット/mlの精製フラクトシルトランスフェラーゼ水溶液 0.5mlを加えて、55℃で24時間撹拌反応を行い、反応終了後100℃で滅菌した。反応物であるフラクトオリゴ糖化グラニュー糖シロップ中の固形分の分析結果は次の表1の通りであった。なおニストースには、GF3 のほか、少量生成するGF4 やGF5 を含めてある。* 印で示したものがフラクトオリゴ糖であり、合計量は61.7重量%となる。
【0038】
【表1】
【0039】
(実施例)
次に実施例として、ホウ酸類を添加した場合の実験を行った。すなわち、シュクロース(グラニュー糖)100gを水100mlに溶かし、ホウ酸 4.2gを加えた後、少量の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH 5.0に調節し、上記で得た力価2000ユニット/mlの精製フラクトシルトランスフェラーゼ水溶液 0.5mlを加えて、55℃で24時間撹拌反応を行った。反応進行中にはpHが徐々に低下するので、時々水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHがほぼ5に維持されるように調節した。なおホウ酸添加量を 4.2gとしたのは、上記参考例で反応終了時にシロップ中に含まれる固形分のうちグルコース量が24.5重量%であるので、ホウ酸(分子量61.8)1モルに対しグルコース(分子量180)が2モルとなるようにするべく、24.5×61.8/(180×2)= 4.2%から設定したものである。
【0040】
〈フラクトオリゴ糖の精製〉
上記実施例の反応終了後、反応液を100℃で滅菌し、ついで反応液を、アニオン交換樹脂(オルガノ株式会社販売の「アンバーライトIRA−410−OH型」を250ml充填しかつジャケットに40℃の温水を通して保温した内径60mm、長さ350mmのカラムにアップフローにて空間速度 0.3、1サイクル12時間で通液すると共に、通過液を水酸化ナトリウム水溶液でpH 9.8〜10.0に調節しながらカラムに循環させた。「アンバーライトIRA−410」の充填量を250mlとしたのは、予備的実験により、該アニオン交換樹脂1ml当りの交換吸着可能なグルコース量が0.10〜0.11gであることを確認しているからである。
【0041】
上記操作の後、固形分濃度が70重量%になるまで濃縮して製品となした。得られた製品中の糖組成は次の通りであった。なおニストースには、GF3 のほか、少量のGF4 やGF5 を含めてある。
グルコース 2.7 wt%
シュクロース 16.0 wt%
1−ケストース GF2 51.3 wt%
ニストース GF3 30.0 wt%
【0042】
GF2 とGF3 との合計の割合は81.3重量%となる。なおグルコース除去率が100%とならないのは、上記参考例と実施例の場の違いによりホウ酸添加量が理論値より若干不足していたことによるものであり、ホウ酸添加量を理論値の100%とすればグルコース除去率はほぼ100%となる。
【0043】
図1の(イ)、(ロ)は、上記実施例における転移反応終了時点の糖組成およびアニオン交換樹脂充填カラムによる精製処理後の糖組成についての高速液体クロマトグラフのチャートである。
【0044】
実施例2
実施例1に準じてホウ酸共存下の転移反応を行うと共に、実施例1に準じて転移反応終了後の反応液の「アンバーライトIRA−410−OH型」による精製を行った。シュクロース仕込み量は400g、転移反応時のホウ酸添加量はグルコース生成量25%として17.2g、酵素使用量は10u/シュクロース、pHは 5.0, 温度は50℃に設定し、精製条件としては、アニオン交換樹脂充填量1000ml、空間速度 0.8、温度40℃、1サイクル20時間、処理液循環方式を採用し、固形分濃度60重量%の反応液666gをアップフローで供給した。精製処理前の糖組成、精製処理中の糖組成の変化を系のpHと共に次の表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
20時間処理後のものにも少量のグルコースが検出されているが、これは転移反応終了後、シュクロースが分解されて生じたものと判断される。
【0047】
実施例3
フラクトシルトランスフェラーゼとしてオウレオバシディウム・プルランスまたはアスペルギルス・ジャポニクスを用い、実施例1および参考例に準じてホウ酸共存下または非共存下の転移反応を行い、1−ケストースGF2 とニストースGF3 (ただし少量のGF4 、GF5 を含む)の経時的な生成割合を測定した。転移反応条件は、シュクロース仕込み量は100g、転移反応時のホウ酸添加量はグルコース生成量25%として 4.3g、酵素使用量は10u/シュクロース、pHは 5.0, 温度は50℃に設定した。結果を図2に示す。
【0048】
図2から、ホウ酸の添加は何ら酵素障害を示さないこと、転移率もホウ酸添加の有無により事実上差がないことがわかる。
【0049】
【発明の効果】
本発明においては、ホウ酸類のα型グルコースに対する錯体形成能力を利用している。錯体形成反応はイオン反応であるので、反応率が高くかつ反応速度が速い。グルコースに対する除去の選択性が高いことは、回収率が高いことを意味する。また分離したフラクトオリゴ糖濃度を高く(たとえば50%以上)することができるので、濃縮が容易である。
【0050】
ホウ酸類はフラクトオリゴ糖の製造工程における酵素反応の当初から系中に共存させるが、フラクトオリゴ糖を酵素反応により製造する場合、ホウ酸類の存在は転移反応を阻害せず、また転移率はホウ酸類無添加の場合と変らない。
【0051】
生成した錯体は、アニオン交換樹脂との接触により容易かつ確実に除去することができる。
【0052】
そのほか、本発明の方法にあっては、ホウ酸類が安価であることも工業上有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 転移反応終了時点の糖組成と、アニオン交換樹脂充填カラムによる精製処理後の糖組成を示したグラフである。
【図2】 1−ケストースGF2 とニストースGF3 の経時的な生成割合を示したグラフである。

Claims (2)

  1. 水溶液としたシュクロースに、シュクロースからのフラクトオリゴ糖の転移反応を行いうるフラクトシルトランスフェラーゼを作用させて酵素反応によりフラクトオリゴ糖を製造するにあたり、
    その酵素反応の当初から系中にホウ酸またはその塩からなるホウ酸類を共存させることにより、副生グルコースを直ちにホウ酸類との錯体に変換させて、副生グルコースとホウ酸類との錯体を形成させること、
    その際の副生グルコースとホウ酸類との量的割合を、実質的に、グルコースとホウ酸類との錯体形成反応における量的割合に見合う割合に設定すること、
    ついで該錯体を分離除去すること
    を特徴とする精製フラクトオリゴ糖の製造方法。
  2. 副生グルコースとホウ酸類との錯体を含む水溶液をアニオン交換樹脂と接触させることにより、水溶液中の錯体を分離除去することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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