JP3643312B2 - マグネシウム脱硫剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熔鉄の脱硫方法に関し、そしてさらに詳しくは熔融銑鉄を脱硫するのに使用する脱硫剤に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
仕上がり鋼の硫黄含量仕様書は、高強度低合金鋼、そして低硫黄含量を必要とするその他の適用例のなかで水素誘起疵に対して抵抗性を有する鋼を製造するために極めて低いレベルに低減されつつある。硫黄含量が増加している熔融銑鉄を製造する溶鉱炉の経済上の利益と相俟って、熔融銑鉄が製鋼炉に入る前に溶鉱炉の外で熔融銑鉄を脱硫することが実際に必要となってきた。多年にわたり様々な材料および混合物が銑鉄を脱硫するのに使用されてきた。様々なカルシウム化合物が良好な脱硫剤であることが長い間知られていた。マグネシウムも単独または様々なアルカリ金属酸化物と組合わされて良好な脱硫剤であることが知られている。主要な脱硫剤として酸化カルシウムおよびマグネシウムの使用を開示している特許が何件か存在している(Skach,USP 4,765,830;Skach 4,708,737;Green 4,705,561;Kandler 4,139,369;Kawakami 4,137,072;Koros3,998,625を参照)。更に、主要な脱硫剤として炭化カルシウムの使用を開示している脱硫剤も知られていて、刊行物で示されている(Freissmuth,USP 3,598,573;Todd 3,929,464;Braun 4,395,282を参照)。
【0003】
マグネシウムおよび炭化鉄または高炭素フェロマンガンを包含する脱硫剤の使用は、発明者Axel Thomasの1999年1月3日付けルクセンブルグ特許第88,252号に開示されている。Thomasの特許第88,252号に開示されている脱硫剤は大部分が炭化鉄または高炭素フェロマンガンを包含している。炭化鉄または高炭素フェロマンガンの粒子は、マグネシウムの粒子とサイズガ同じであるかまたは若干大きめである。炭化鉄または高炭素フェロマンガンおよびマグネシウムの粒子径は0.5乃至1mmの範囲にある。結果として、炭化鉄または高炭素フェロマンガンの粒子はマグネシウムの粒子を被覆しないし、この逆もまた同様である。炭化鉄または高炭素フェロマンガンおよびマグネシウムは酸化チタンで被覆して粒子の流動性を改善し、また粒子の熔融速度を遅くすることができる。炭化鉄または高炭素フェロマンガンおよびマグネシウムは銑鉄に注入する前に一緒に混合するかまたは別個に銑鉄に注入することができる。
【0004】
ガス生成化合物と組み合わせてカルシウム化合物および/またはマグネシウムを使用することによっても、硫黄の除去量を増加させていた。ガス生成化合物は熔融銑鉄と接触するとガスが放出されて熔融銑鉄内に乱流環境を創製することが判った。放出されたガスは、主に脱硫剤の塊状化物を破壊し、そして脱硫剤を熔融銑鉄全体に分散させる。ガス生成剤は典型的には熔融銑鉄と接触すると様々の量でガスを放出する傾向を有する炭化水素、炭酸塩またはアルコールである。これらの種々のガス生成剤の使用は十分に文献に示されている。(TamuraUSP 3,876,421;Meichsner 4,078,915;Gmohling 4,194,902;Koros 4,266,969;Freissmuth 4,315,773;Koros 4,345,940;Green 4,705,561;Rellermeyer 4,592,777;Meichsner 4,764,211;Meichsner 4,832,739およびLuyckx 5,021,086を参照)。
【0005】
脱硫剤は様々のスラグ形成剤を含有することができる。スラグ剤の重要性は一般には脱硫剤の様々な成分を用いる経済性に対する直接の関心により見落とされている。スラグの組成はスラグ内に除去された硫黄を保持し、そして硫黄が熔融銑鉄に再び戻らないようにするのに重要である。種々のスラグ剤が様々の目的のために使用されて来た。米国特許第4,315,773号には、炭化カルシウム、ガス包含化合物および蛍石からなる脱硫剤が開示されている。蛍石はスラグの性質を変性して脱硫の過程で炭素粉塵生成物が発火しないようにするのに使用される。米国特許第5,021,086号では、蛍石をスラグの特性を変性して脱硫の過程でスラグの流動性を増大するのに使用する。
【0006】
最低の可能なコストで銑鉄での硫黄の除去を最大とする重大な必要性がある。マグネシウムは硫黄との反応性が極めて高いために優れた脱硫剤ではあるが、銑鉄中のマグネシウムも多くは銑鉄と接触すると直ちに気化し、銑鉄の表面に泡立つことによって銑鉄から急速に逃げ去り、硫黄との反応時間が極めて僅かになる。マグネシウムは硫黄と効率良く反応するために、銑鉄の溶解して溶液を形成しなければならない。マグネシウムは脱硫剤のコストが一層かかる成分の一つであるので、脱硫剤のコストを低減させるために、主要脱硫剤として、マグネシウム以外の成分、例えば酸化カルシウムおよび炭化カルシウムを用いて銑鉄から硫黄を除去するための様々の脱硫剤が開発されている。マグネシウムに比較して、これらの脱硫剤は銑鉄中の硫黄を除去するのにより多くの量を必要とし、このために脱硫プロセスのコストを上昇させることになる。加えて、大量の脱硫剤の使用によって、大量のスラグが形成されることとなり、これが次にスラグ中の鉄を著しく喪失させることになる。スラグ中の鉄の喪失によって、脱硫プロセスに伴うコストが更に高騰することになる。結果として、鉄鋼工業では、効率がよくかつコスト面で有効な方法で銑鉄を脱硫し、そして脱硫プロセスの過程での鉄の損失を低減させる必要性がのこされている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、改善された脱硫剤および溶融鉄材料例えば熔融銑鉄を脱硫効率を改善する脱硫剤で処理する方法を提供する詳しくは、本発明は、溶融鉄から硫黄を除去するための脱硫剤であって、該脱硫剤は熱吸収性化合物によって少なくとも部分的に被覆されている反応性脱硫剤を包含し、該熱吸収性化合物は該反応性脱硫剤が該溶融鉄中で気化する速度を減少するように処方され、該反応性脱硫剤が該熱吸収性化合物の粒子サイズの少なくとも2倍の粒子サイズをもち、そして該熱吸収性化合物がカルシウム化合物以外の化合物を包含することを特徴とする脱硫剤、および該脱硫剤で溶融銑鉄を処理する方法を提供する
【0008】
本発明の主な特徴によれば、熔融鉄例えば熔融銑鉄中の硫黄と積極的に反応する反応性脱硫剤を包含する脱硫剤が提供される。好ましくは、反応性脱硫剤は熔融銑鉄から除去し得る硫黄との化合物を形成し、例えば熔融銑鉄の表面または底部でスラグ中に移動するかおよび/またはガス中に形成しそして熔融銑鉄から泡立つ。反応性脱硫剤は少なくとも一部分が熱吸収剤で被覆されている。熱吸収性化合物を処方して反応性脱硫剤の周りの熱を吸収する。一つの態様では、熱吸収性化合物を処方して反応性脱硫剤の周囲および/またはこれに密に隣接する熱を吸収し、反応性脱硫剤が硫黄との反応のために熔融銑鉄に残留している時間を増大させるかそして/または反応性脱硫剤の反応速度を増大させる。
【0009】
本発明の一つの特徴によれば、反応性脱硫剤は少なくとも一部分または全体が熱吸収剤で被覆されている。反応性脱硫剤は熱吸収性混合物で予備被覆されていてもよいし、または熔融銑鉄に添加する直前に熱吸収性混合物で被覆されていてもよい。本発明の一つの特別な特徴では、反応性脱硫剤は熱吸収性化合物で十分に被覆して、反応性脱硫剤が銑鉄中の硫黄の有意な量と反応する前に反応性脱硫剤の気化速度を低減させるかまたはその気化を阻害する。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、反応性脱硫剤は少なくとも周囲の温度(すなわち70゜F)では固体の材料である。反応性脱硫剤は単一の材料又は多数の材料で作られていてよい。好ましくは、反応性脱硫剤は、少なくとも熔融鉄例えば熔融銑鉄と組み合わせる直前までその固体形態を維持するよう選択される。反応性脱硫剤はまた硫黄と反応するかそして/または鉄から硫黄を除去するよう選択されてもよい。さらに、反応性脱硫剤は脱硫プロセス過程で望ましくない材料例えば硫黄が銑鉄中に導入されるのを最小限とするように選定される。本発明の一つの特別な態様では、反応性脱硫剤は、マグネシウム、マグネシウム合金および/またはマグネシウム化合物を包含するマグネシウム剤である。別の特別な態様では、マグネシウム剤は主にマグネシウム金属からなる。明らかに、その他のまたは追加の反応性脱硫剤を使用することができ、例えば、限定されるものではないが、カルシウム、酸化カルシウムおよび/または炭化カルシウムがあげられる。本発明のさらに他の特徴によれば、熱吸収性化合物粒子で被覆される反応性脱硫剤の重量%は前記反応性脱硫剤粒子上に直接存在する熱吸収性化合物の粒子の重量%よりも大きい。好ましくは、反応性脱硫剤の粒子サイズは熱吸収性化合物の平均粒子サイズよりも大きい。一つの好ましい態様では、被覆される反応性脱硫剤の平均粒子サイズは、反応性脱硫剤の粒子に被覆される熱吸収性化合物の平均粒子サイズよりも少なくとも2倍大きい。一つの特別な態様では、反応性脱硫剤の平均粒子サイズは熱吸収性化合物の最大粒子サイズの約2−1000倍である。
【0011】
一つの態様では、反応性脱硫剤の平均粒子サイズは約1.5mmまで、そして好ましくは約0.2−1mm,そしてさらに好ましくは約0.5−1mmである。別の態様では、反応性脱硫剤の粒子を被覆するのに使用する熱吸収性化合物の平均粒子サイズは、約0.5mmまで、そして好ましくは約0.25mmまで,そしてさらに好ましくは約0.18mmまで、そしてよりさらに好ましくは約0.15mmまで、そしてそれよりもさらに好ましくは約0.11mmまでである。さらに他の態様では、熱吸収性化合物の粒子で被覆される反応性脱硫剤粒子の重量%は反応性脱硫剤および熱吸収性化合物の重量の総和の約50−99重量%である。明らかに、反応性脱硫剤粒子は熱吸収性化合物の粒子で部分的にまたはは全体に被覆されている。反応性脱硫剤粒子が少なくとも約10%部分的にのみ被覆されていて、そして好ましくは反応性脱硫剤粒子の表面の大部分が覆われている。好ましくは、熱吸収性化合物は被覆された粒子の少なくとも約1重量%、さらに好ましくは、少なくとも約2重量%そしてよりさらに好ましくは、約2−30重量%を構成している。熱吸収性化合物の粒子は、単独または多数の反応性脱硫剤粒子との配合物または団塊を形成している。このような配合物または団塊において、熱吸収性化合物の重量%は、非団塊被覆反応性脱硫剤粒子をもとにして熱吸収性化合物の重量%よりも大である。団塊での熱吸収性化合物の粒子の重量%は約70重量%までであり得る。
【0012】
さらに他の本発明の特徴によれば、熱吸収性化合物は固体の炭化物化合物および/またはフェロアロイを包含している。炭化物化合物および/またはフェロアロイは好ましくは周囲の温度で固体であり、そしてさらに好ましくは、少なくとも熔融鉄例えば熔融銑鉄と組み合わせる直前まで固体のままである。炭化物化合物および/またはフェロアロイは反応性脱硫剤か熱を吸収除去するように選択し、それによって、熔融銑鉄中の反応性脱硫剤の滞留時間を増加させるようにする。炭化物化合物および/またはフェロアロイはまた硫黄と反応性脱硫剤との硫黄反応のための触媒としても作用する。好ましくは、炭化物化合物および/またはフェロアロイは反応性脱硫剤よりも高い融点を有している。別の態様では、炭化物化合物および/またはフェロアロイは熔融銑鉄中で吸熱的に反応および/または解離し、これによって熱を吸収する。一層高い融解温度の炭化物化合物および/またはフェロアロイおよび/または炭化物化合物および/またはフェロアロイの吸熱的反応および/または解離は炭化物化合物および/またはフェロアロイの周りの熱を取り込みそして/または吸収する。
【0013】
熱吸収性化合物の熱吸収特性は、一期間被覆された反応性脱硫剤に及ぼす熱量の低減をもたらす。この熱の低減の期間は反応性脱硫剤が気化しそして熔融銑鉄から泡立つ速度を低減させる。反応性脱硫剤がマグネシウム剤であるかまたは包含するときは、熱吸収性化合物は熔融銑鉄中のマグネシウムの滞留時間を増加させる働きをして、マグネシウムを熔融銑鉄に溶解させ、その結果マグネシウム熔融銑鉄中の硫黄と反応を続けることができる。マグネシウムが熔融銑鉄中で固体または液体の形態で長く滞留しているほど、マグネシウムの脱硫効率がより高くなる。熔融銑鉄は少なくとも1140℃の温度を有している。マグネシウムは約649℃の融点および約1107℃の沸点を有している。熱吸収性化合物を処方し被覆粒子での反応性脱硫剤例えばマグネシウムの溶融速度および反応性脱硫剤が沸騰し始め、そして最後には気化する速度を低下させる。熱吸収性化合物は反応性脱硫剤の周りの温度を一時期マグネシウムの少なくとも沸点に低下させることが見いだされた。反応性脱硫剤粒子の周りの低下された温度は、熱吸収性材料が反応性脱硫剤粒子の表面からそれ自体で解離した後でも生じる。低下した温度は熱吸収性材料が取り巻いている液体銑鉄から熱を吸収する結果であり、これにより、熱吸収性化合物に極めて接近した低下温度環境を生じる。炭化物化合物および/またはフェロアロイを熱吸収性化合物としてまたはその一部分として使用するときは、これらは好ましくは、限定するものではないが、炭化鉄および/または高炭素フェロマンガンを包含する。本発明のさらに他の特徴によれば、熱吸収性化合物の粒子は少なくとも部分的に結合剤によって反応性脱硫剤の粒子表面に結合されている。結合剤はまた被覆反応性脱硫剤粒子の流動性の助けをする。結合剤は熱吸収性化合物の反応性脱硫剤粒子表面に結合させる助けをし、そして/または熱吸収性粒子と反応性脱硫剤粒子との配合物および/または団塊を形成することのできる多くの化合物を包含することができる。一つの態様では、結合剤は銑鉄に不利な物質例えば硫黄を導入しないように選択される。結合剤は、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、多価アルコール誘導体および/またはケイ素化合物を包含する。
【0014】
本発明の別の態様によれば、銑鉄は脱硫プロセスの過程での雰囲気から遮蔽される。一つの態様では、遮蔽は、熔融銑鉄の周りの不活性および/または非酸化性環境を創製する形態を取る。不活性および/または非酸化性環境は、銑鉄を不活性および/または非酸化性ガスを満たした室に入れることにより、そして/または不活性および/または非酸化性ガスを脱硫プロセスの過程で銑鉄の上部を流すことにより形成される。不活性および/または非酸化性環境は、酸素が銑鉄と接触し、脱硫剤の種々の成分を酸化することを阻止または防止し、そして/または脱硫の過程で銑鉄と反応することを阻止または防止する。不活性および/または非酸化性環境を形成するのに使用される不活性および/または非酸化性ガスは、限定されるものではないが、ヘリウム、窒素、アルゴンおよび天然ガスを包含する。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、カルシウム化合物を被覆反応性脱硫剤と共に添加して銑鉄からの硫黄の除去の助けをする。カルシウム化合物は熔融銑鉄中で硫黄と反応するように選択する。様々なカルシウム化合物を使用することができ、例えば、限定されるものではないが、酸化カルシウム、炭化カルシウム、炭酸カルシウム、カルシウムシアナミド、よう化カルシウム、硝酸カルシウム、ジアミン石灰、および亜硝酸カルシウムがある。一つの態様では、カルシウム化合物は解離して、熔融銑鉄中でカルシウムイオンを形成して硫黄との反応に利用可能なものとする。カルシウム化合物は熔融銑鉄の温度よりも低い融点を有していてもよいし、また有していなくてもよい。別の態様では、カルシウム化合物は、予めカルシウムイオンと組合わされたイオンが脱硫プロセスに不利な影響を及ぼさないように選定される。カルシウム化合物を脱硫剤に使用する場合、カルシウム化合物は好ましくは酸化カルシウム、炭酸カルシウム、および/または炭化カルシウムを包含する。さらに他の態様では、カルシウム化合物の粒子サイズは、カルシウム化合物の熔融銑鉄中の硫黄との必要な反応性または活性を提供するように選択される。粒子サイズが大きすぎると、カルシウムイオンがより少なく形成され、結果として脱硫効率がより貧弱となる。一つの特定の態様では、カルシウム化合物の粒子サイズを約0.18mm未満に(80メッシュ)維持する。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、炭化物化合物を被覆反応性脱硫剤と共に添加して銑鉄からの硫黄の除去の助けをする。炭化物化合物は、反応性脱硫剤粒子の表面に被覆される熱吸収性化合物と同一であるか、包含するか、または異なった化合物であってよい。非被覆炭化物を使用する場合、炭化物粒子は約1.5mmまでのサイズ、好ましくは、約0.18mm未満(80メッシュ)のサイズを有している。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、ガスを被覆反応性脱硫剤と共に添加して熔融銑鉄での混合および分散の助けをする。この混合作用によって熔融銑鉄での硫黄の反応速度が増大される結果となる。一つの態様では、ガスはガス生成化合物から形成される。一つの特別な態様では、ガス生成化合物は、熔融銑鉄との接触によってガスが生成されるように選択される。生成したガスは銑鉄中で脱硫剤の様々な成分と混合して脱硫剤の脱硫効率を増大させる。ガスは硫黄との反応に利用し得る活性部位を最大とするように脱硫剤を分散させて、これにより銑鉄からの硫黄の除去効率をさらに増大させる。銑鉄に加えられるガスおよび/またはガス生成化合物からのガスは好ましくは脱硫プロセスおよび/または脱硫プロセスの周囲の環境に有害なものではない。 一つの態様では、ガス生成化合物は周囲の温度で固体の化合物である。 使用しうるガス生成化合物は、限定されるものではないが、石炭、プラスチック、ゴム、固体の炭化水素、固体のアルコール、固体の窒素含有化合物、固体のエステルおよび/または固体のエーテルを包含する。
【0018】
本発明のさらに他の態様では、スラグ改良剤を被覆反応性脱硫剤と共に添加してさらに多くの流体スラグを発生させ、そして/またはスラグ内に閉じ込められた液状銑鉄の量を低下させる。様々のスラグ改良剤を使用することができ、例えば、限定されるものではないが、冶金および/または酸等級の蛍石、ドロマイト性石灰、シリカ、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、カリ、クリオライト、クリオライトカリウム、コレマナイト、塩化カルシウム、アルミン酸カルシウム、フッ化ナトリウム、無水ほう砂、ネフェリンシエナイト、および/またはソーダ灰が挙げられる。一つの態様では、冶金および/または酸等級の蛍石、例えば、限定されるものではないが、フッ化カルシウムを使用する。冶金および/または酸等級の蛍石は、スラグの物理的性質に所望の変性をもたらす。スラグ改良剤の量はスラグの粘度を不当に低減させることなくスラグの特性を改善するように選択し、これにより、硫黄が熔融銑鉄に容易に送り返される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、脱硫剤は熔融鉄例えば銑鉄の表面下に注入される。 脱硫剤が注入され、その結果、被覆反応性脱硫剤がそれ自体で銑鉄中に注入されるか、脱硫剤の他の成分と共に注入されるか、または脱硫剤の他の成分と共注入される。一つの態様では、脱硫成分は銑鉄に注入される前に半濃厚な状態で流動化している。流動化された脱硫剤はキャリアガスにより銑鉄中に運ばれる。
【0020】
他の特別な態様では、キャリアガスは脱硫剤の成分に対して不活性であるか、そして/または非酸化性である。使用し得るキャリアガスは、限定されるものではないが、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム、天然ガスまたは様々なその他の不活性そして/または非酸化性ガスである。
【0021】
本発明の主要な目的は、鉄の脱硫効率を増大する脱硫剤を提供するにある。
【0022】
本発明の他の目的は、脱硫過程で形成される硫黄化合物を保持する脱硫剤を提供するにある。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、鉄、例えば銑鉄から硫黄を除去する反応性脱硫剤を包含する脱硫剤を提供するにある。
【0024】
本発明のさらに他の目的は、熔融銑鉄中の反応性脱硫剤の気化速度を低下させる熱吸収性化合物を包含する脱硫剤を提供するにある。
【0025】
本発明のさらに他の目的は、熱吸収性化合物の粒子で被覆されたを反応性脱硫剤の粒子を包含する脱硫剤を提供するにある。
【0026】
本発明の別の目的は、反応性脱硫剤の粒子サイズが実質的に反応性脱硫剤の粒子の表面に被覆されている熱吸収性化合物の粒子のサイズよりも大きい脱硫剤を提供するにある。本発明の他の目的は、反応性脱硫剤の粒子を被覆するのに用いる熱吸収性化合物が熔融銑鉄を処理する温度以下の融点を有する炭化物および/またはフェロアロイを包含する脱硫剤を提供するにある。
【0027】
本発明のさらに別の目的は、反応性脱硫剤粒子の重量が実質的に反応性脱硫剤の粒子の表面に被覆されている熱吸収性化合物の重量よりも大きい脱硫剤を提供するにある。
【0028】
本発明のさらに別の目的は、反応性脱硫剤粒子の表面に熱吸収性化合物粒子を結合する結合剤を包含する脱硫剤を提供するにある。
【0029】
本発明のさらに別の目的は、熔融銑鉄と接触するときにガスを放出するガス生成または揮発分生成化合物を包含する脱硫剤を提供するにある。
【0030】
本発明の別の目的は、銑鉄から硫黄を除去するためのカルシウムおよび/または炭化物化合物を包含する脱硫剤を提供するにある。
【0031】
本発明のさらに別の目的は、銑鉄の表面でのスラグのスラグ特性を改善するためのスラグ改良剤を包含する脱硫剤を提供するにある。
【0032】
本発明の他の目的は、銑鉄の表面下に注入される脱硫剤を提供するにある。
【0033】
これらの、またその他の本発明の目的は図面と共にみて以下の好ましい態様の詳しい記載を読み、理解すると当業者にとって明らかとなる。
【0034】
【発明の実施の態様】
本発明の好ましい実施態様のみを例示することを目的とし、その限定を目的としない開示をしている図面を参照するに、図1は熔融鉄から硫黄を除去するのに用いる先行技術による脱硫剤、例えばKoros4,345,940に開示されている脱硫剤を例示している。脱硫剤は、カルシウム化合物例えば酸化カルシウム(CaO)および/または炭化カルシウム(CaC2 )粒子20、炭化水素揮発分(HC),およびマグネシウム(Mg)の組み合わせである。カルシウム化合物粒子20は鉄30中の硫黄と反応してスラグ層中に硫化カルシウムを形成する。好ましくは、熔融鉄は銑鉄であるが;熔融鉄はその他のタイプの鉄であってよい。硫黄と反応しないカルシウム化合物粒子20はスラグ層40中に移動する。マグネシウムおよび炭化水素揮発分は、熔融銑鉄30と接触すると直ちに気化してマグネシウム蒸気気泡50および水素および/または炭化水素気泡60を形成する。気泡50および60は、気泡が銑鉄中およびスラグ層40中を上に移動するにつれて、銑鉄で乱流を生じる。気泡で生じる乱流は脱硫剤20による硫黄除去効率を増大させる。熔融銑鉄中のマグネシウムの滞留時間は、銑鉄30中のマグネシウムが直ちに気化するために、極めて短い。マグネシウムは、認めるに足る量の硫黄を除去し得る前に、銑鉄中にまず溶解しなければならないので、マグネシウムの大部分は銑鉄30で硫黄と反応しない。
【0035】
図2はルクセンブルグ特許第88,252号に開示されている別の先行技術による脱硫剤を例示している。脱硫剤はフェロマンガン粒子100およびマグネシウム粒子110から作られている。マグネシウムは熔融銑鉄30に乱流を生じるのにも使用されている。脱硫剤100の主要成分は炭化鉄および/またはフェロマンガンンであり、そして脱硫剤の大部分を構成している。フェロマンガン粒子100はマグネシウムの粒子110とサイズが同じであるかまたは若干大きめである。結果として、フェロマンガン100はマグネシウム110を被覆していないし、また逆も真である。図示されているように、フェロマンガンは熔融銑鉄中の硫黄と反応してスラグ120で硫化マンガンを形成する。スラグ120はまた未反応のフェロマンガンをも包含している。フェロマンガン粒子は熔融銑鉄中で熔融しているので、これらの粒子は浴から熱を吸収する。この熱吸収が若干冷却されているフェロマンガン粒子100の周りに直後域を生じる。従って、熔融銑鉄30中のフェロマンガン100に極めて類似しているマグネシウム粒子110は熱がより低い環境にさらされることになる。これらの選択されたマグネシウム粒子は熱がより低い環境にさらされるが、認めるに足る量のマグネシウムがなお気化し、そして熔融銑鉄30で硫黄と反応することなくスラグ120を通って散逸する。
【0036】
図3を参照するに、マグネシウム粒子210の反応性脱硫剤および高炭素フェロマンガンおよび/または炭化鉄粒子220の熱吸収剤から形成される脱硫剤が例示されている。しかしながら、熱吸収剤は高炭素フェロマンガンおよび/または炭化鉄以外の元素または化合物を包含しているかまたはそれであってもよい。この一つの好ましい態様では、反応性脱硫剤はマグネシウム粒子210であり、そして熱吸収剤は高炭素フェロマンガンおよび/または炭化鉄220である。
【0037】
脱硫剤200はマグネシウム粒子210を高炭素フェロマンガンおよび/または炭化鉄粒子220で被覆することによって形成される。マグネシウム粒子210は一般には純粋なマグネシウムであるが、マグネシウム合金および/またはマグネシウム化合物を包含しているかまたは代わりにそれらであってよい。高炭素フェロマンガンおよび/または炭化鉄粒子がマグネシウム粒子の外表面を被覆している。明らかなように、マグネシウム粒子は高炭素フェロマンガンおよび/または炭化鉄粒子で被覆されている。図3で例示されているように、被覆粒子のサイズはんマグネシウム粒子のサイズよりも小さい。好ましくは、マグネシウムの平均粒子サイズは、少なくとも被覆粒子の最大粒子サイズよりも少なくとも2倍大きいものである。マグネシウムの平均粒子サイズは約0.5mmまでのサイズで変化し得る。被覆粒子の平均粒子サイズは約0.5mmまでのサイズで変化し得る。マグネシウム粒子は脱硫剤の少なくとも50%を構成している。被覆の重量%は約2−50重量%である。
【0038】
図4A及び4Bを参照するに、マグネシウム粒子210は熱吸収性化合物220、例えば、高炭素フェロマンガンおよび/または炭化鉄で被覆してマグネシウム粒子210が熔融銑鉄30中で気化する速度を低下させる。図4Aに例示しているように、熱吸収性化合物は熱を吸収し、これによって、一時期マグネシウム粒子を熔融銑鉄30でさらす温度または熱量を低減させる。熔融銑鉄30を銑鉄の融点以上に維持し、そして一般に約2200−2650°Fの温度に維持する。図4Aに示すように、熱吸収性化合物はマグネシウム粒子の周りに擬熱遮蔽230を形成し、それによって、マグネシウム粒子を一時期さらす温度はマグネシウムの沸点より低いかまたはほぼ等しい。熱吸収性化合物により形成される擬熱遮蔽230により、マグネシウムが図4Bに示すように液体形態240で保持することができる。結果として、マグネシウムがより長い時間液体形態で維持してマグネシウムを熔融鉄に溶解しそして熔融銑鉄で溶解硫黄と反応させ、硫化マグネシウムを形成させ、これが熔融銑鉄の表面に上昇してスラグ250を形成する。図4Bに示すように、熱吸収性化合物は炭化鉄および/または高炭素フェロマンガンである。炭化鉄および/または高炭素フェロマンガンは、熔融銑鉄にさらされると、溶液に溶解及び/または解離する。粒子が溶解するに連れて、粒子は粒子の周りの熱を吸収する。鉄での炭化鉄の解離は吸熱反応であり、これにより熱を吸収する。被覆粒子層と組合わされたこの熱吸収機構はマグネシウム粒子の周りに擬熱遮蔽を形成する。硫黄と非常に反応性の元素であるマグネシウムは、マグネシウムが熔融銑鉄に溶解すると速やかに硫化マグネシウムを形成する。形成された硫化マグネシウムはスラグ層250に上昇する。
【0039】
先行技術の脱硫剤でのマグネシウムの滞留時間と本発明の脱硫剤でのマグネシウムの滞留時間の例示的比較を図5Aおよび5Bに例示する。図5Aは、直ちに気化し、そしてガス気泡で形成した熔融鉄中のマグネシウム粒子を例示している。マグネシウム粒子は、一旦ガスに気化すると、ガス気泡が急速に銑鉄から速度Aで移動する。銑鉄中でマグネシウムが気化し、銑鉄から泡としてでる時間は極めて短い。図5Bは、熔融銑鉄中でより長い滞留時間を有するマグネシウム粒子を例示している。より長い滞留時間により、非常に反応性のマグネシウムが熔融銑鉄に溶解しそして熔融銑鉄中で硫黄と反応して硫化マグネシウムを形成する。
【0040】
マグネシウム粒子の表面の熱吸収性化合物の粒子サイズは、マグネシウム粒子の表面に被膜を形成するのに重要である。大きすぎる粒子はマグネシウムの表面を被覆する事ができないかまたはマグネシウム粒子の表面にそれら自体が付着して擬熱遮蔽を生成する。極めて微細な粒子はより良い結合およびより良い熱遮蔽効果を生じる。熱吸収性化合物の粒子の平均サイズが低減するにつれて、より多くの粒子を使用してマグネシウム粒子の表面を被覆する。この現象は図6に例示されている。図6に示すように、平均サイズ0.1mmを有するより多くの粒子が平均サイズ0.15mmを有する粒子よりもマグネシウム粒子の表面を被覆する。熱吸収性化合物の平均粒子サイズは好ましくは約0.18mm未満、好ましくは約0.15mm未満、そしてさらに好ましくは約0.11mm未満である。
【0041】
図7A−7Cを参照するに、熱吸収性化合物の量はマグネシウム粒子をもとにして変化させることができる。図7Aにおいて、熱吸収性化合物粒子100はマグネシウム粒子110の本質的に全表面を被覆している。図7Bでは、熱吸収性化合物粒子100が部分的にのみマグネシウム粒子110の表面を被覆していることを例示している。好ましくは、マグネシウム粒子は熱吸収性化合物粒子により少なくとも10%被覆している。図7Cでは、熱吸収性化合物粒子が多数のマグネシウム粒子との配合物および/または団塊を形成することを例示している。
【0042】
図8及び8Aを参照するに、脱硫剤の代替的態様を示していて、そこでは熱吸収性化合物粒子100を結合剤300によってマグネシウム粒子110の表面に結合させている。結合剤は、熱吸収性化合物粒子をマグネシウム剤粒子の表面に結合させる助けをしそして/または熱吸収性化合物粒子とマグネシウム剤粒子との団塊を形成させる多くの化合物を包含することができる。結合剤はまた熔融銑鉄に注入したときに被覆されたマグネシウム剤粒子の流動性の助けをする。結合剤は、限定されるものではないが、多価アルコール、それらの誘導体、および/またはシリコン化合物を包含する。しかしながら、その他の結合剤を使用することができる。図8Aに示すように、結合剤はグリコールを包含する。
【0043】
図9を参照するに、脱硫剤の別の態様を示していて、そこではカルシウム脱硫化合物310、例えば酸化カルシウムをマグネシウム粒子110の表面で熱吸収性化合物粒子100で被覆する。明らかなように、その他のまたは追加の化合物または元素をマグネシウム粒子に被覆して硫黄除去を助け、またスラグを改善することができる。これらの粒子はスラグ改良剤、揮発分生成化合物、等を包含する。被覆粒子の全部または若干を結合剤によってマグネシウム粒子に結合することができる。
【0044】
図10は、脱硫剤を熔融銑鉄に注入することができる一つの方法を例示している。図10において、容器400には石灰および/または炭化カルシウム粒子および炭化鉄および/または高炭素フェロマンガンで被覆されたマグネシウム粒子の混合物が入っている。容器400中のこの混合物は管420に入り、そこでキャリアガスによってランス500に運ばれ、そして次に熔融銑鉄に注入される。明らかなように、容器400は炭化鉄および/または高炭素フェロマンガンで被覆されたマグネシウムのみを含有していてもよい。
【0045】
図11は脱硫剤を熔融銑鉄30に注入することができる別の方法を例示している。図11において、マグネシウム粒子および熱吸収性化合物粒子を熔融銑鉄に注入する直前に一緒に組み合わせる。容器410には石灰および/または炭化カルシウム粒子およびマグネシウム粒子の混合物が入っていて、そして容器430には石灰および/または炭化カルシウム粒子および炭化鉄および/または高炭素フェロマンガン粒子の混合物が入っている。容器400中の粒子は管420に入り、そこでこれらは容器430からの粒子と混合される。粒子はキャリアガスによってランス500に運ばれる。管420およびランス500において、粒子は一緒に混合され、そして次に熔融銑鉄30に注入される。明らかなように、容器410にはマグネシウムのみが入り、容器430には炭化鉄および/または高炭素フェロマンガンのみが入れるだけである。
【0046】
図12は脱硫剤を熔融銑鉄30に注入することができる他の方法を例示している。図12において、熱吸収性化合物で被覆されたマグネシウム粒子を石灰および/または炭化カルシウムと共注入する。容器440には石灰および/または炭化カルシウムおよび脱硫を増進するかまたはスラグの性質を改善するその他の化合物の混合物が入っている。容器450には、熱吸収性化合物で被覆されたマグネシウム粒子が入っている。容器410中の粒子は管420に入る。容器450中の粒子は管420に入り、そこでこれらは容器440からの粒子と混合される。粒子はキャリアガスによってランス500に運ばれる。管420およびランス500において、粒子は一緒に混合され、そして次に熔融銑鉄30に注入される。
【0047】
本発明を好ましい態様について記載した。好ましい態様および本発明のその他の態様のこれらおよびその他の変更は本文の記載から自明であり、これによって、前述した記載内容は単に本発明を例示するだけであり、限定するものでないものと解すべきである。このような変更および改変は、特許請求の範囲に入る限り、すべて包含されることが企図されているものである。
【図面の簡単な説明】
本発明はある部分および部分の配列では物理的な形態を取り、これらの好ましい態様を詳述し、そして本文の一部を形成する添付図面で詳述する。
【図1】脱硫剤がカルシウム化合物、炭化水素揮発分およびマグネシウムを包含する熔融銑鉄中の先行技術の脱硫剤を例示する絵入り図。
【図2】脱硫剤がフェロマンガンおよびマグネシウムを包含する熔融銑鉄中の先行技術の脱硫剤を例示する絵入り図。
【図3】脱硫剤がマグネシウム粒子が炭化鉄および/または高炭素フェロマンガンで被覆されている本発明の脱硫剤を例示する絵入り図。
【図4】熔融銑鉄中の脱硫剤の状態を例示する絵入り図。
A:熔融銑鉄中の被覆マグネシウム粒子を取り巻く温度を例示する絵入り図。
B:熔融銑鉄中の本発明の脱硫剤の反応を例示する絵入り図。
【図5】熔融銑鉄中の脱硫剤のマグネシウム活性を例示する絵入り図。
A:先行技術の脱硫剤のマグネシウム活性。
B:本発明の脱硫剤のマグネシウム活性。
【図6】被覆剤の粒子サイズの関数としてのマグネシウム剤の粒子に被覆された粒子の数を例示するグラフ。
【図7】マグネシウム粒子が熱吸収性化合物と結合されている本発明の脱硫剤を例示する絵入り図。
A:全体皮膜の例。
B:部分的被覆の例。
C:マグネシウム粒子の大部分が熱吸収性化合物と配合されているかまたは団塊形成されている例。
【図8】本発明の脱硫剤の粒子を例示する絵入り図。
A:拡大絵入り図。
【図9】マグネシウム粒子が炭化物および酸化カルシウムで被覆されている本発明の脱硫剤の粒子を例示する絵入り図。
【図10】熔融銑鉄に注入されている本発明の脱硫剤を例示する絵入り図。
【図11】熔融銑鉄に注入される前にマグネシウム粒子が熱吸収性化合物の粒子と混合されている代替的態様を例示する絵入り図。
【図12】熔融銑鉄に注入される前に石灰および/または炭化カルシウムの粒子が熱吸収性化合物の粒子で被覆されたマグネシウム粒子と混合されている別の代替的態様を例示する絵入り図。
【符号の説明】
20・・・酸化カルシウムおよび/または炭化カルシウム粒子
30・・・溶融鉄
40・・・スラグ層
50・・・マグネシウム蒸気気泡
60・・・水素および/または炭化水素気泡
100・・フェロマンガン粒子
110・・マグネシウム粒子
120・・スラグ
210・・マグネシウム粒子
220・・炭化鉄粒子
230・・擬熱遮蔽
240・・液体形態
250・・スラグ層
300・・結合剤
310・・カルシウム脱硫化合物
400・・容器
410・・容器
420・・管
430・・容器
440・・容器
450・・容器
500・・ランス

Claims (49)

  1. 溶融鉄から硫黄を除去するための脱硫剤であって該脱硫剤は熱吸収性化合物によって少なくとも部分的に被覆されている反応性脱硫剤を包含し、該熱吸収性化合物は該反応性脱硫剤が該溶融鉄中で気化する速度を減少するように処方され、該反応性脱硫剤が該熱吸収性化合物の粒子サイズの少なくとも2倍の粒子サイズをもち、そして該熱吸収性化合物がカルシウム化合物以外の化合物を包含することを特徴とする脱硫剤
  2. 反応性脱硫剤がマグネシウム、固体マグネシウム化合物、マグネシウム合金、及びそれらの混合物からなる群から選択されるマグネシウム剤を包含する請求項1記載の脱硫剤。
  3. マグネシウム剤がマグネシウムである請求項2記載の脱硫剤。
  4. 熱吸収性化合物が反応性脱硫剤よりも高い融点をもつ請求項1〜3のいずれか1項記載の脱硫剤。
  5. 該熱吸収性化合物が該溶融鉄よりも低い融点をもつ請求項1〜4のいずれか1項記載の脱硫剤
  6. 該熱吸収性化合物が炭化物化合物、フェロアロイ、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を包含する請求項1〜5のいずれか1項記載の脱硫剤
  7. 該炭化物化合物が炭化鉄、高炭素フェロマンガン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を包含する請求項6記載の脱硫剤
  8. 該溶融鉄が溶融銑鉄である請求項1〜7のいずれか1項記載の脱硫剤
  9. 揮発分生成化合物を包含し、該揮発分生成化合物が該溶融銑鉄と接触した後にガス生成物を放出し、該ガス生成物が酸素化合物、窒素、窒素化合物、水素、炭化水素及びこれらの混合物からなる群から選択されるガスを包含する請求項1〜8のいずれか1項記載の脱硫剤
  10. スラグ改良剤を包含し、該スラグ改良剤が冶金蛍石、酸等級蛍石、ドロマイト性石灰、シリカ、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、カリ、クリオライト、クリオライトカリウム、コレマナイト、塩化カルシウム、アルミン酸カルシウム、フッ化ナトリウム、無水ホウ酸、ネフェリンシェナイト、ソーダ灰、又はこれらの混合物を包含する請求項1〜9のいずれか1項記載の脱硫剤。
  11. 該反応性脱硫剤が1.5mm未満の粒子サイズをもつ請求項1〜10のいずれか1項記載の脱硫剤
  12. 該反応性脱硫剤が0.2〜1mmの粒子サイズをもつ請求項11記載の脱硫剤
  13. 該熱吸収性化合物が0.18mm未満の粒子サイズをもつ請求項1〜12のいずれか1項記載の脱硫剤
  14. 該熱吸収性化合物が0.11mm未満の粒子サイズをもつ請求項13記載の脱硫剤
  15. 該熱吸収性化合物が該反応性脱硫剤の粒子の全表面領域よりも少ない領域を被覆する請求項1〜14のいずれか1項記載の脱硫剤
  16. 該熱吸収性化合物が該反応性脱硫剤の粒子の全表面領域を実質的に被覆する請求項1〜14のいずれか1項記載の脱硫剤
  17. 該熱吸収性化合物が該反応性脱硫剤の多数の粒子と配合物及び/又は団塊を形成する請求項1〜16のいずれか1項記載の脱硫剤
  18. 該熱吸収性化合物が結合剤によって該反応性脱硫剤に少なくとも部分的に結合される請求項1〜17のいずれか1項記載の脱硫剤
  19. 該結合剤が多価アルコール、多価アルコール誘導体、シリコン化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項18項記載の脱硫剤
  20. 該熱吸収性化合物が該熱吸収性化合物及び該反応性脱硫剤の重量の総和の少なくとも2重量%を構成する請求項1〜19のいずれか1項記載の脱硫剤
  21. 該熱吸収性化合物が該熱吸収性化合物及び該反応性脱硫剤の重量の総和の5〜90重量%を構成する請求項20記載の脱硫剤
  22. 炭化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシアナミド、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム、ジアミド石灰、亜硝酸カルシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるカルシウム化合物を包含する請求項1〜21のいずれか1項記載の脱硫剤
  23. 揮発性分含有化合物を包含し、該揮発性分含有化合物が該溶融銑鉄と接触した後にガス生成物を放出し、該ガス生成物が酸素化合物、窒素、窒素化合物、水素、炭化水素、及びこれらの混合物からなる群から選択されるガスを包含する請求項1〜23のいずれか1項記載の脱硫剤
  24. スラグ改良剤を包含し、該スラグ改良剤が冶金蛍石、酸等級蛍石、ドロマイト性石灰、シリカ、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、カリ、クリオライト、クリオライトカリウム、コレマナイト、塩化カルシウム、アルミン酸カルシウム、フッ化ナトリウム、無水ホウ酸、ネフェリンシェナイト、ソーダ灰、又はこれらの混合物を包含する請求項1〜23のいずれか1項記載の脱硫剤
  25. 溶融銑鉄に反応性脱硫剤及び熱吸収性化合物を加えることからなる溶融銑鉄を脱硫する方法であって、該反応性脱硫剤が該吸収性化合物によって少なくとも部分的に被覆され、該熱吸収性化合物が該溶融銑鉄中で該反応性脱硫剤が気化する速度を低下するように処方され、該反応性脱硫剤が該熱吸収性化合物の粒子サイズの少なくとも2倍の粒子サイズをもち、該反応性脱硫剤が該溶融銑鉄中で硫黄と反応するのを増進し、該熱吸収性化合物がカルシウム化合物以外の化合物を包含することを特徴とする溶融銑鉄を脱硫する方法。
  26. 該反応性脱硫剤が、マグネシウム、固体マグネシウム化合物、マグネシウム合金、及びそれらの混合物からなる群から選択されるマグネシウム剤を包含する請求項25記載の方法
  27. 該マグネシウム剤が本質的にマグネシウムである請求項26記載の方法
  28. 該熱吸収性化合物が該反応性脱硫剤よりも高い融点をもち且つ該溶融銑鉄よりも低い融点をもつ請求項25〜27のいずれか1項記載の方法
  29. 該熱吸収性化合物が炭化物化合物、フェロアロイ及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を包含する請求項25〜28のいずれか1項記載の脱硫剤
  30. 該炭化物化合物が炭化鉄、高炭素フェロマンガン及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を包含する請求項29記載の方法
  31. 該溶融鉄が溶融銑鉄である請求項25〜30のいずれか1項記載の方法
  32. 該反応性脱硫剤が該熱吸収性化合物の粒子サイズの少なくとも2倍の粒子サイズをもつ請求項25〜31のいずれか1項記載の方法
  33. 該反応性脱硫剤が1.5mm未満の粒子サイズをもつ請求項25〜32のいずれか1項記載の方法
  34. 該反応性脱硫剤が0.2〜1mmの粒子サイズをもつ請求項33記載の方法
  35. 該熱吸収性化合物が0.5mm未満の粒子サイズをもつ請求項25〜34のいずれか1項記載の方法
  36. 該熱吸収性化合物が0.11mm未満の粒子サイズをもつ請求項35記載の方法
  37. 該熱吸収性化合物が該反応性脱硫剤の粒子の全表面領域よりも少ない領域を被覆する請求項25〜36のいずれか1項記載の方法
  38. 該熱吸収性化合物が該反応性脱硫剤の粒子の実質的に全表面領域を被覆する請求項25〜37のいずれか1項記載の方法
  39. 該熱吸収性化合物が該反応性脱硫剤の多数の粒子と配合物及び/又 は団塊を形成する請求項25〜38のいずれか1項記載の方法
  40. 該熱吸収性化合物が結合剤によって該反応性脱硫剤に少なくとも部分的に結合されている請求項25〜39のいずれか1項記載の方法
  41. 該結合剤が多価アルコール、多価アルコール誘導体、シリコン化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項40項記載の方法
  42. 該熱吸収性化合物が該熱吸収性化合物及び該反応性脱硫剤の重量の総和の少なくとも2重量%を構成する請求項25〜41のいずれか1項記載の方法
  43. 該熱吸収性化合物が該熱吸収性化合物及び該反応性脱硫剤の重量の総和の5〜90重量%を構成する請求項42記載の方法
  44. 炭化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシアナミド、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム、ジアミン石灰、亜硝酸カルシウム及びこれらの混合物からなる群から選択されるカルシウム化合物を包含する請求項25〜43のいずれか1項記載の方法
  45. 揮発性分含有化合物を包含し、該揮発性分含有化合物が該溶融銑鉄と接触した後ガス生成物を放出し、該ガス生成物が酸素化合物、窒素、窒素化合物、水素、炭化水素及びこれらの混合物からなる群から選択されるガスを包含する請求項25〜43のいずれか1項記載の方法
  46. スラグ改良剤を包含し、該スラグ改良剤が冶金蛍石、酸等級蛍石、ドロマイト性石灰、シリカ、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、カリ、クリオライト、クリオライトカリウム、コレマナイト、塩化カルシウム、アルミン酸カルシウム、フッ化ナトリウム、無水ホウ酸、ネフェリンシェナイト、ソーダ灰、又はこれらの混合物を包含する請求項25〜45のいずれか1項記載の方法
  47. 該反応性脱硫剤及び該熱吸収性化合物が該溶融鉄の表面下に少なくとも一部注入される請求項25〜46のいずれか1項記載の方法
  48. 該反応性脱硫剤及び該熱吸収性化合物が硫黄を含有しない担体ガスを介して該鉄に注入される請求項47記載の方法
  49. 該反応性脱硫剤及び該熱吸収性化合物を該溶融鉄に注入するために組み合わせ、該注入の間中に該熱吸収性化合物が該反応性脱硫剤を少なくとも部分的に被覆している請求項25〜48のいずれか1項記載の方法
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