JP3642978B2 - 光ファイバールースチューブ用樹脂組成物および光ファイバールースチューブ - Google Patents

光ファイバールースチューブ用樹脂組成物および光ファイバールースチューブ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐加水分解性に優れ、着色による特性のバラツキが少ない光ファイバールースチューブ用樹脂組成物および光ファイバールースチューブに関し、さらに製造条件を変えることなく、着色、非着色にかかわらず、同一の特性を有する光ファイバールースチューブの製造を可能とする光ファイバールースチューブ用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバルースチューブ(以下、ルースチューブということがある。)は、ルースチューブ内に、ルースに、光ファイバーを収容し、その空隙をジェリー状の混和物で充填した構造として使用するものであり、これを数本束ねて光ファイバーケーブルとする。
従来、ルースチューブには、機械強度、耐薬品性が優れるという点からポリブチレンテレフタレートが広く使用されている。
一般に、光ファイバーケーブルを構成するルースチューブを識別する目的で、ルースチューブには着色がなされる。ルースチューブの着色方法としては、例えば、特開平2−242210号公報に開示された方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、光ファイバーケーブル内には、着色された光ファイバールースチューブ(以下、着色ルースチューブということがある。)と、着色されていない、通常はナチュラル色の、光ファイバールースチューブ(以下、非着色ルースチューブということがある。)とが共存している。着色ルースチューブおよび非着色ルースチューブについて、それらが収容するガラスファイバーの余長が同一であることが望ましい。そして、着色ルースチューブおよび非着色ルースチューブについて、後収縮が同一であることが望ましい。
【0004】
着色ルースチューブと非着色ルースチューブを同一の製造条件で製造すると、それらに収容されるガラスファイバーの余長が異なり、さらにルースチューブの後収縮が異なる。
【0005】
この余長の相異および後収縮の相異は、着色ルースチューブと非着色ルースチューブとのあいだで、特に無機系顔料により着色された着色ルースチューブと非着色ルースチューブとのあいだで顕著に認められ、さらに、配合する着色剤およびその配合量の異なる着色ルースチューブ相互の間でも認められる。
【0006】
なお、余長とは、ルースチューブを切断したときに、ルースチューブからはみ出るガラスファイバーの長さをいう。余長が短いと光ファイバーケーブルに束ねた状態でファイバーに伸びの応力がかかり、静疲労が進行し、一定期間の後に破断に至ることがある。余長が長いとルースチューブの構造を持ってしてもガラスファイバーに曲げ応力がかかり、伝送損失が大きくなる。
【0007】
そして、後収縮とは、高温高湿の環境でルースチューブの構成樹脂が結晶化することに伴うルースチューブの収縮をいう。後収縮が大きいと、ルースチューブの寸法が変化して内部のガラスファイバーに曲げ応力を与えることになり、さらに、光ファイバーケーブル自体に内部歪みを発生させ、性能が大幅に低下する。
【0008】
このような問題は、ルースチューブの製造工程で、樹脂温度、冷却水槽の温度、ルースチューブの引取り速度等の製造条件を最適にコントロールすることで、回避することができる。しかし、その場合には、生産管理工程が増大し、生産性が低下する。すなわち、ルースチューブの製造において、ルースチューブに含有される着色剤に応じて製造条件を変更すると、生産管理が煩雑になり、生産効率が著しく低下する。
【0009】
本発明は、着色ルースチューブ、非着色ルースチューブともに、同一の製造条件で製造することができ、その場合にも同一品質、特に、余長および後収縮において同一品質、のルースチューブを製造することができる、耐加水分解性に優れた光ファイバールースチューブ用樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ポリブチレンテレフタレート(a)100重量部および結晶核剤(b)0.1〜5重量部からなる樹脂組成物を熔融混練して製造されたマスターバッチ(A)を、該マスターバッチの10〜100倍量のポリブチレンテレフタレート(B)に、ブレンドして得た光ファイバールースチューブ用樹脂組成物であって、該樹脂組成物全量に対する結晶核剤の量が0.01〜0.5重量%であり、ポリブチレンテレフタレート(B)が、末端カルボキシル基濃度30eq/ton以下、固有粘度1.0〜1.2のポリブチレンテレフタレートである、光ファイバールースチューブ用樹脂組成物である。
【0011】
本発明はまた、上記樹脂組成物を押出成形してなる光ファイバールースチューブであって、光ファイバールースチューブを構成するポリブチレンテレフタレートが、末端カルボキシル基濃度30eq/ton以下、固有粘度1.0〜1.2のポリブチレンテレフタレートである、光ファイバールースチューブである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
[ポリブチレンテレフタレート(a)]
ポリブチレンテレフタレート(a)は、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,4−ブタンジオールを主たるグリコール成分としてなるポリエステルである。
ここで、「主たる」とは、全ジカルボン酸成分又は全グリコール成分に対して80モル%以上を言い、好ましくは90モル%以上である。
【0013】
ポリブチレンテレフタレートには、共重合成分を共重合することができる。共重合成分が共重合される場合、共重合成分部の割合は、全ジカルボン酸成分または全グリコール成分に対して20モル%、好ましくは10モル%以下である。
【0014】
共重合可能な酸成分としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等;脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等;脂環族ジカルボン酸、例えばシクロヘキサンジカルポン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸等が例示される。
【0015】
ブタンジオール以外の共重合可能なグリコール成分としては、エチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール、キシリレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスヒドロキシエトキシビスフェノールA等が例示される。
【0016】
また、ポリエステルが実質的に成形性能を失わない範囲で、三価以上の官能化合物、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、トリシン酸、ピロメリット酸等を共重合してもよい。
【0017】
[結晶核剤(b)]
結晶核剤(b)としては、有機物の結晶核剤、無機物の結晶核剤のいずれも使用することができ、双方を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0018】
結晶核剤は、メヤニを発生しない結晶核剤が好ましい。メヤニは、ダイス部に付着した昇華物や揮発物であり、メヤニが発生すると、メヤニがダイス部から剥落して熔融樹脂に付着し、ルースチューブの品質を多いに損ねる。
【0019】
有機物の結晶核剤としては、カルボン酸の周期律表第I族もしくは第II族から選ばれる1種以上の金属の塩;ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の高分子;高分子の架橋物などを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0020】
例えば、カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、メタアクリル酸、アクリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、テレフタル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸を例示することができる。これらの金属塩としては、Na、K、Li等の周期律表第I族の金属塩;Mg、Ca、Ba、Zn等の金属塩が好適である。さらにこれらのカルボン酸の金属塩は、全てのカルボキシル基が塩である必要はなく、一部のカルボキシル基が中和され、残りが酸またはエステルの形で残存していてもよい。
【0021】
無機物の結晶核剤としては、タルク、カオリン、クレーなどの粘土類;酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、シリカゲルなどの金属酸化物;窒化珪素、窒化チタンなどの窒化物;Zn粉末、Al粉末、グラファイト、カーボンブラック等の単体;が好適である。
【0022】
結晶核剤の添加により、着色ルースチューブと非着色ルースチューブの、それぞれを構成するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の結晶化速度を、結晶化速度の速いほうのポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の結晶加速度に近づけることができ、同一の製造条件を用いてルースチューブを製造しながらも、同一の結晶化速度を達成することが可能となる。他方、結晶核剤を添加しないと、着色ルースチューブと非着色ルースチューブとのあいだで、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の収縮挙動を実質的に同一にすることができず、余長および後収縮をそろえることができない。
【0023】
結晶核剤(b)の添加量は、ポリブチレンテレフタレート(a)100重量部に対して0.1〜5重量部であり、かつ光ファイバールースチューブ用樹脂組成物の0.01〜0.5重量%である。結晶核剤の添加量が、光ファイバールースチューブ用樹脂組成物の0.01重量%未満であると、着色ルースチューブと、非着色ルースチューブとの、結晶化速度の差を、余長および後収縮をそろえるまでに少なくすることが困難であり、0.5重量%を超えると光ファイバールースチューブの伸度等の機械的物性を損なう。
【0024】
結晶核剤(b)としては、タルクが好ましく、平均粒子径が10μm以下のタルクがさらに好ましく、50μmふるい全通かつ平均粒子径10μm以下のタルクが特に好ましい。このようなタルクであれば、結晶核剤効果が良好で、ポリブチレンテレフタレートの特性を損わず好ましい。50μmを超える粒子径のタルクが混入するとルースチューブの伸度が低下し、平均粒子径が10μm以上のタルクでは結晶核剤としての効果が劣り好ましくない。平均粒径は、島津製作所製の粒度分布測定器SA-CP3Lを用いて測定したときの値である。
【0025】
[ポリブチレンテレフタレート(B)]
ポリブチレンテレフタレート(B)は、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,4−ブタンジオールを主たるグリコール成分としてなるポリエステルである。
ここで、「主たる」とは、全ジカルボン酸成分又は全グリコール成分に対して80モル%以上を言い、好ましくは90モル%以上である。
【0026】
ポリブチレンテレフタレートには、共重合成分を共重合することができる。共重合成分が共重合される場合、共重合成分部の割合は、全ジカルボン酸成分または全グリコール成分に対して20モル%、好ましくは10モル%以下である。
【0027】
共重合可能な酸成分としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等;脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等;脂環族ジカルボン酸、例えばシクロヘキサンジカルポン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸等が例示される。
【0028】
ブタンジオール以外の共重合可能なグリコール成分としては、エチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール、キシリレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスヒドロキシエトキシビスフェノールA等が例示される。
【0029】
また、ポリエステルが実質的に成形性能を失わない範囲で、三価以上の官能化合物、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、トリシン酸、ピロメリット酸等を共重合してもよい。
【0030】
ポリブチレンテレフタレート(B)の末端カルボキシル基濃度は、30eq/ton以下、好ましくは20eq/ton以下、さらに好ましくは10eq/ton以下である。末端カルボキシル基濃度が30eq/tonを超えると光ファイバールースチューブが加水分解し易くなり、使用環境上十分な耐加水分解性が損なわれる。すなわち、末端カルボキシル基濃度が30eq/tonを超えると、プレッシャークッカー試験(試験条件:121℃×100%RH×80時間)による耐湿性の促進劣化試験において、固有粘度の保持率が50%以上の耐加水分解性を備えることができず、高温高湿条件下で使用される場合の機械強度の保持率が低く、僅かな外力により容易にクラックや割れを生じ易く、光ファイバーを保護する機能が失われる。
【0031】
ポリブチレンテレフタレート(B)の固有粘度は、1.0〜1.2、好ましくは1.1〜1.2である。固有粘度が1.0未満ではチューブを押出成形する際の成形性が劣り十分な賦形性を有さない。また、外力がかかった場合にクラックや割れを生じやすく、光ファイバーを保護する機能が損なわれる。固有粘度が1.2を超えると光ファイバールースチューブの押出成形性が劣り、さらにポリブチレンテレフタレートの製造コストも高くなる。
【0032】
かかるポリブチレンテレフタレート(B)は、固相重合により製造する方法により、好ましく製造することができる。さらに好ましくは、アルカリ金属化合物を添加したポリブチレンテレフタレートを固相重合による方法である。
【0033】
アルカリ金属化合物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、有機酸塩、例えば、酢酸塩、炭酸塩またはこれらの水和物、錯塩、アンモニウム塩等をいう。これらは、少なくとも1種を、望むらなば2種以上を併用することができる。
【0034】
アルカリ金属化合物として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化フランシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムを例示することができる。これらのうち、特にナトリウム化合物、カリウム化合物が好ましい。
【0035】
[着色剤]
光ファイバールースチューブ用樹脂組成物は、着色剤を含有することができる。着色剤としては、染料および顔料を使用することができ、従来から熱可塑性樹脂の着色に使用されている公知の染料および顔料を使用することができる。
【0036】
染料としては、300℃以下で昇華性および揮発性を有しない染料が好ましく、ペリノン系、アンスラキノン系の一部の染料が好ましい。
【0037】
顔料としては、有機顔料および無機顔料を使用することができる。無機系顔料として、酸化亜鉛、酸化チタン、弁柄、酸化クロム、硫酸バリウム、チタンイエロー、群青,コバルトブルー、コバルトグリーン、紺青、亜鉛黄、ベンガラ、黄鉛、鉛白、透明酸化鉄、アルミ粉、カーボンブラックを例示することができる。有機系顔料として、アゾ系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ペリレン系,イソインドリノン系,フタロシアニン系,ジオキサジン系,インダスレン系,ペリノン系,キノフタロン系,トリフェニルメタン系、キノリン系、チオインジコ系、ジオキサン系、金属錯塩系有機顔料を例示することができる。これらの顔料は、1種類または2種類以上を同時に用いてもよい。
着色剤は、ルースチューブの着色が可能である範囲で、適宜添加することができる。
【0038】
[添加剤]
本発明の光ファイバールースチューブ用樹脂組成物は、高温高湿条件における酸化劣化を防止する目的で、ヒンダードフェノール化合物、リン系化合物、チオエーテル系化合物を含有してもよい。
【0039】
ヒンダードフェノール化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tブチルフェニル)ブタン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを例示することができる。
【0040】
リン系化合物としては、フォスファイト系有機化合物、フォスフォナイト系有機化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸の金属塩および亜リン酸の金属塩を例示することができる。
【0041】
チオエーテル化合物としては、ジ−トリデシル−チオ−ジプロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、ビス[2−メチル−4−{3−n−アルキル(C12またはC14)チオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル]スルフィドを例示することができる。
【0042】
[その他の添加剤]
光ファイバールースチューブ用樹脂組成物は、更に、一般に繊維やフィルム、樹脂等で用いられる紫外線吸収剤、例えば各種のベンゾフェノン系化合物、トリアゾール化合物、サリシレート化合物等、その他易滑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤等を含有してもよい。
【0043】
[光ファイバールースチューブ]
光ファイバールースチューブを構成するポリブチレンテレフタレートの末端カルボキシル基濃度は、30eq/ton以下である。30eq/tonを超えると光ファイバールースチューブが加水分解し易くなる。
光ファイバールースチューブを構成するポリブチレンテレフタレートの固有粘度は1.0〜1.2である。1.0未満であるとチューブに外力がかかった場合にクラックや割れを生じ易くなる。
【0044】
[マスターバッチの製造方法]
マスターバッチ(A)は、一般的に用いられる方法を用いて製造することができる。例えば、あらかじめ各成分を、タンブラー、V型ブレンダー等でブレンドした後、押出機などにより熔融混合する方法で製造することができる。
結晶核剤を均一に分散させるために、二軸押出機などの混練能力の高い押出機を用いて溶融混練することが好ましい。着色剤を含有する場合には、着色剤と結晶核剤とを良好に樹脂組成物中に分散させる分散剤を適量添加して、溶融混連により、マスターバッチを製造することが好ましい。かかる分散剤としては、ポリエチレンワックス、モンタン酸等の脂肪族モノカルボン酸、そのエステル、およびそれらの塩を例示することができる。これらの添加量は着色剤の分散性に応じて、適宜決めることができる。
【0045】
[ルースチューブの製造方法]
本発明では、上述した方法により製造したマスターバッチ(B)を、該マスターバッチの10〜100倍量のポリブチレンテレフタレート(B)にブレンドして、光ファイバールースチューブ用樹脂組成物を得る。得られた光ファイバールースチューブ用樹脂組成物は、通常のチューブ押出成形装置を用いて溶融、混練し、リングダイを用いて押出、延伸して、ルースチューブとすることができる。
【0046】
押出の条件としては、樹脂温度250℃〜270℃が好ましい。これより低い温度では溶融粘度が高く、押出成形が困難であり、これより高い温度ではポリブチレンテレフタレートの劣化が促進されるため好ましくない。
【0047】
ポリブチレンテレフタレートの結晶化が進んでいる方が、機械的物性に優れ、後収縮の差の少ないルースチューブを得ることができるため、ルースチューブの冷却温度は、好ましくは40〜70℃、特に好ましくは50〜70℃である。
【0048】
ルースチューブは、通常のチューブ成形装置で製造することができる。
【0049】
マスターバッチ(A)をポリブチレンテレフタレート(B)にブレンドする方法としては、(A)および(B)をあらかじめタンブラー、V型ブレンダー等を用いて均一にブレンドして、押出成形機の供給口に投入する方法;(A)および(B)を別々のホッパーから一定の割合で同一の供給口に投入する方法;(A)および(B)を別々の供給口から投入し混合する方法等を用いることができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
なお、測定方法は下記の方法によった。
ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略することがある)は、帝人(株)製PBTを用いた。
【0051】
(1)固有粘度
ポリマーの固有粘度[η]は、オルソクロロフェノール溶媒中、25℃で測定した溶液粘度から算出した値である。
【0052】
(2)末端カルボキシル基濃度
末端カルボキシル(COOH)基濃度は、エイ・コニックス(A.Conix)の方法(Makromol.Chem,26,226(1958))によって測定したポリマー106g当たりの当量数である。
【0053】
(3)引張破断伸度
光ファイバールースチューブを5mm/minで引張ったときの破断伸度を次式により求めた。
引張破断伸度(%) =(L−L0)/L0×100
ここで、Lは破断時のはさみ具間の距離、L0は元のはさみ具間の距離である。
【0054】
(4)結晶化温度
光ファイバールースチューブを3〜5mg切り出し、JIS K7121に基づく示差熱分析法により、280℃で3分保持した後の降温速度20℃/minでの結晶化ピーク温度を測定した。
【0055】
(5)余長率
製造後1時間以内に光ファイバールースチューブを10mの長さに切断して内部のガラスファイバーの長さ(m)を測定し、次式により求めた。
余長率(%)=((ガラスファイバーの長さ−10)/10)×100
【0056】
(6)耐加水分解性
着色した光ファイバールースチューブの充填物、ファイバー、ジェリー状混和物を取り除き、さらにヘキサンで洗浄してフレーク状に切断した後121℃×100%RH相対湿度下でのプレッシャークッカーテストを80時間行った。プレッシャークッカー試験前後で固有粘度を測定し、その保持率を調べた。
【0057】
[参考例]マスターバッチの作成
表1に記載の組成(PBT、顔料および結晶核剤)で、赤と緑のマスターバッチ(表中、マスターという)を製造した。すわわち、表1に記載の成分を、V字ブレンダーを用いて均一にブレンドした後、44mmφの二軸押出機で、バレル温度260℃にて溶融混練し、ダイから吐出されるスレッドを冷却切断してマスターバッチを作成した。
【0058】
【表1】
Figure 0003642978
【0059】
[実施例1〜6、比較例1〜5]
参考例で作成したマスターバッチA〜GとPBT(帝人(株)製、固有粘度1.14、末端カルボシキル基濃度=4当量/106g)を用意した。
これらのマスターバッチとPBTとを、表2及び表3に記載の重量比で、V字ブレンダーを用いてブレンドした。ブレンドして得た樹脂組成物を、130℃で5時間乾燥させた後、40mmφのチューブ用押出成形機にて、シリンダー温度260℃、ダイス温度260℃、冷却バス水温50℃、引き取り速度150m/minの条件で、光ファイバールースチューブ(外径3mm、内径2mm)を成形した。
得られた光ファイバールースチューブを評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0003642978
【0061】
【表3】
Figure 0003642978
【0062】
【表4】
Figure 0003642978
【0063】
【表5】
Figure 0003642978
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、着色ルースチューブ、非着色ルースチューブともに、同一の製造条件で製造することができ、その場合にも同一品質の、特に、余長および後収縮において同一品質の、光ファイバールースチューブを製造することができる、耐加水分解性に優れた光ファイバールースチューブ用樹脂組成物および光ファイバールースチューブを提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリブチレンテレフタレート(a)100重量部および結晶核剤(b)0.1〜5重量部からなる樹脂組成物を熔融混練して製造されたマスターバッチ(A)を、該マスターバッチの10〜100倍量のポリブチレンテレフタレート(B)に、ブレンドして得た光ファイバールースチューブ用樹脂組成物であって、該樹脂組成物全量に対する結晶核剤の量が0.01〜0.5重量%であり、ポリブチレンテレフタレート(B)が、末端カルボキシル基濃度30eq/ton以下、固有粘度1.0〜1.2のポリブチレンテレフタレートである、光ファイバールースチューブ用樹脂組成物。
  2. 結晶核剤(b)が平均粒子径10μm以下のタルクである請求項1に記載の光ファイバールースチューブ用樹脂組成物。
  3. 結晶核剤(b)が50μmのふるい全通である請求項2に記載の光ファイバールースチューブ用樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物を押出成形してなる光ファイバールースチューブであって、光ファイバールースチューブを構成するポリブチレンテレフタレートが、末端カルボキシル基濃度30eq/ton以下、固有粘度1.0〜1.2のポリブチレンテレフタレートである、光ファイバールースチューブ。
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