JP3642040B2 - 歪補償回路および歪補償方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力増幅器の歪みを補償する歪補償回路および歪補償方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係る補償器は、特に電力増幅器の歪みを補償するために用いられている。このような歪み補償器は、一般的に製造過程で使用する電力増幅器の特性に合わせてその伝達関数を設定するものが一般的である。近年、歪み補償器の補償精度に対する要求が強まりつつある。そのため、装置の周囲温度変化などにより引き起こされる電力増幅器の特性変化に追従して非線形歪補償手段の特性を変化させる必要がある。
【0003】
これに関連する従来技術として、特開平10−145146号公報は、電力増幅器の非線形歪みを、歪補償用の近似式によって、補償する手法を開示している。この従来技術の構成を図11を参照しながら具体的に説明する。図11に示された非線形歪補償装置は、パワー計算部で求めた送信直交ベースバンドの信号のパワーを用いて、補償係数計算部で近似式により非線形歪補償データを算出し、そのデータを用いて非線形歪補償部で非線形歪補償を行う。係数更新部は、変調出力を復調した信号と送信直交ベースバンド信号とから近似式の係数を更新し、補償係数計算部に供給している。
【0004】
しかしながら、上記特開平10−145146号公報は、補償係数計算部における歪補償用の近似式の係数の決定方法等につき、なんら具体的記載がなく、ましてや統計的手法により、当該係数を求める手法について全く示唆されていない。従って、高精度な非線形歪補償ができるという効果が、いかにしてもたらされるかについて何ら示されていないことになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、誤差成分に統計的処理を行い、最小二乗法を用いて、補償される系の伝達関数を複素多項式で近似することにより、補償量が大きく、かつ安定した特性を有する歪補償回路および歪補償方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有することとする。
本発明にかかる歪補償回路は、入力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償手段と、非線形歪補償手段の出力信号を直交変調する直交変調手段と、直交変調手段の出力信号をアナログ変換するD/A変換手段と、D/A変換手段の出力信号の一部を取り出す方向性結合手段と、方向性結合手段の取り出した信号をディジタル変換するA/D変換手段と、A/D変換手段の出力信号を直交復調する直交復調手段と、直交復調手段の出力信号の線形歪み成分を取り除き、出力信号の線形歪を補償する線形歪補償手段と、入力信号を所定の時間遅延させる遅延手段と、線形歪補償手段の出力信号と遅延手段の出力信号との差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出手段と、遅延手段の出力信号の振幅値を出力する振幅検出手段と、振幅検出手段の出力する振幅値と、誤差検出手段の出力する振幅値と位相差と、を入力して非線形歪補償手段を制御する統計的処理手段と、誤差検出手段の出力する振幅値と位相差と、を入力して線形歪補償手段の伝達関数を制御し、誤差検出手段により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、出力信号の線形歪を線形歪補償手段で補償させる線形歪補償制御手段と、を有し、統計的処理手段は、誤差検出手段の出力する帰還信号の振幅値と位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、振幅検出手段の出力する振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から非線形歪補償手段の補償伝達関数の係数を推定し、該推定した補償伝達関数の係数を非線形歪補償手段に設定する、ことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明にかかる歪補償回路は、入力信号の線形歪み成分を取り除き、入力信号の線形歪みを補償する線形歪補償手段と、線形歪補償手段の出力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償手段と、非線形歪補償手段の出力信号を直交変調する直交変調手段と、直交変調手段の出力信号をアナログ変換するD/A変換手段と、D/A変換手段の出力信号の一部を取り出す方向性結合手段と、方向性結合手段の取り出した信号をディジタル変換するA/D変換手段と、A/D変換手段の出力信号を直交復調する直交復調手段と、入力信号を所定の時間遅延させる遅延手段と、直交復調手段の出力信号と遅延手段の出力信号との差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出手段と、遅延手段の出力信号の振幅値を出力する振幅検出手段と、振幅検出手段の出力する振幅値と、誤差検出手段の出力する振幅値と位相差と、を入力して非線形歪補償手段を制御する統計的処理手段と、誤差検出手段の出力する振幅値と位相差と、を入力して線形歪補償手段の伝達関数を制御し、誤差検出手段により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、入力信号の線形歪を線形歪補償手段で補償させる線形歪補償制御手段と、を有し、統計的処理手段は、誤差検出手段の出力する帰還信号の振幅値と位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、振幅検出手段の出力する振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から非線形歪補償手段の補償伝達関数の係数を推定し、該推定した補償伝達関数の係数を非線形歪補償手段に設定する、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明にかかる歪補償回路は、入力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償手段と、非線形歪補償手段の出力信号の線形歪み成分を取り除き、出力信号の線形歪みを補償する線形歪補償手段と、線形歪補償手段の出力信号を直交変調する直交変調手段と、直交変調手段の出力信号をアナログ変換するD/A変換手段と、D/A変換手段の出力信号の一部を取り出す方向性結合手段と、方向性結合手段の取り出した信号をディジタル変換するA/D変換手段と、A/D変換手段の出力信号を直交復調する直交復調手段と、入力信号を所定の時間遅延させる遅延手段と、直交復調手段の出力信号と遅延手段の出力信号との差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出手段と、遅延手段の出力信号の振幅値を出力する振幅検出手段と、振幅検出手段の出力する振幅値と、誤差検出手段の出力する振幅値と位相差と、を入力して非線形歪補償手段を制御する統計的処理手段と、誤差検出手段の出力する振幅値と位相差と、を入力して線形歪補償手段の伝達関数を制御し、誤差検出手段により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、入力信号の線形歪を線形歪補償手段で補償させる線形歪補償制御手段と、を有し、統計的処理手段は、誤差検出手段の出力する帰還信号の振幅値と位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、振幅検出手段の出力する振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から非線形歪補償手段の補償伝達関数の係数を推定し、該推定した補償伝達関数の係数を非線形歪補償手段に設定する、ことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明にかかる歪補償方法は、入力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償工程と、非線形歪補償工程により非線形歪みが補償された信号を直交変調する直交変調工程と、直交変調工程により直交変調された信号をアナログ変換するD/A変換工程と、D/A変換工程によりアナログ変換された信号の一部を取り出す方向性結合工程と、方向性結合工程により取り出された信号をディジタル変換するA/D変換工程と、A/D変換工程によりディジタル変換された信号を直交復調する直交復調工程と、直交復調工程により直交復調された信号の線形歪み成分を取り除き、直交復調された信号の線形歪を補償する線形歪補償工程と、線形歪補償工程により線形歪みが補償された信号と、入力信号を所定の時間遅延させた信号と、の差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出工程と、入力信号を所定の時間遅延させた信号の振幅値を検出する振幅検出工程と、誤差検出工程により出力された帰還信号の振幅値と位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、振幅検出工程により検出された振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から非線形歪補償工程において入力信号の非線形歪を補償するための補償伝達関数の係数を推定する統計的処理工程と、誤差検出工程により出力された振幅値と位相差と、を基に、線形歪補償工程の伝達関数を制御する線形歪補償制御工程と、を有し、非線形歪補償工程は、統計的処理工程により推定された補償伝達関数を基に入力信号の非線形歪を補償し、線形歪補償工程は、線形歪補償制御工程による伝達関数の制御により、誤差検出工程により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、直交復調された信号の線形歪を補償することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明にかかる歪補償方法は、入力信号の線形歪み成分を取り除き、入力信号の線形歪みを補償する線形歪補償工程と、線形歪補償工程により線形歪が補償された信号の非線形歪を補償する非線形歪補償工程と、非線形歪補償工程により非線形歪が補償された信号を直交変調する直交変調工程と、直交変調工程により直交変調された信号をアナログ変換するD/A変換工程と、D/A変換工程によりアナログ変換された信号の一部を取り出す方向性結合工程と、方向性結合工程により取り出された信号をディジタル変換するA/D変換工程と、A/D変換工程によりディジタル変換された信号を直交復調する直交復調工程と、直交復調工程により直交復調された信号と、入力信号を所定の時間遅延させた信号と、の差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出工程と、入力信号を所定の時間遅延させた信号の振幅値を検出する振幅検出工程と、誤差検出工程により出力された帰還信号の振幅値と位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、振幅検出工程により検出された振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から、非線形歪補償工程において線形歪補償工程により線形歪が補償された信号の非線形歪を補償するための補償伝達関数の係数を推定する統計的処理工程と、誤差検出工程により出力された振幅値と位相差と、を基に、線形歪補償工程の伝達関数を制御する線形歪補償制御工程と、を有し、線形歪補償工程は、線形歪補償制御工程による伝達関数の制御により、誤差検出工程により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、入力信号の線形歪を補償し、非線形歪補償工程は、統計的処理工程により推定された補償伝達関数を基に、線形歪補償工程により線形歪が補償された信号の非線形歪を補償することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明にかかる歪補償方法は、入力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償工程と、非線形歪補償工程により非線形歪が補償された信号の線形歪み成分を取り除き、非線形歪が補償された信号の線形歪みを補償する線形歪補償工程と、線形歪補償工程により非線形歪が補償された信号を直交変調する直交変調工程と、直交変調工程により直交変調された信号をアナログ変換するD/A変換工程と、D/A変換工程によりアナログ変換された信号の一部を取り出す方向性結合工程と、方向性結合工程により取り出された信号をディジタル変換するA/D変換工程と、A/D変換工程によりディジタル変換された信号を直交復調する直交復調工程と、直交復調工程により直交復調された信号と、入力信号を所定の時間遅延させた信号と、の差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出工程と、入力信号を所定の時間遅延させた信号の振幅値を検出する振幅検出工程と、誤差検出工程により出力された帰還信号の振幅値と位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、振幅検出工程により検出された振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から、非線形歪補償工程において入力信号の非線形歪を補償するための補償伝達関数の係数を推定する統計的処理工程と、誤差検出工程により出力された振幅値と位相差と、を基に、線形歪補償工程の伝達関数を制御する線形歪補償制御工程と、を有し、非線形歪補償工程は、統計的処理工程により推定された補償伝達関数を基に、入力信号の非線形歪を補償し、線形歪補償工程は、線形歪補償制御工程による伝達関数の制御により、誤差検出工程により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、非線形歪が補償された信号の線形歪を補償することを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、図1を参照して本発明の概要を説明する。本発明は、無線通信に用いる電力増幅器5の歪みを補償する歪補償回路において、入力信号であるベースバンドのI、Q信号に、電力増幅器5の伝達関数の逆関数である伝達関数を有する非線形歪補償手段1は、電力増幅器5と逆の歪みを付加する。その後、補償された入力信号を直交変調手段2は、中間周波数の信号に直交変調し、直交変調された信号をD/Aコンバータ3は、アナログ信号に変換する。アナログ信号となった入力信号を第1周波数変換器31は、所望の周波数に変換した後、電力増幅器5は、所望の電力に増幅する。
【0019】
一方、方向性結合器8は、電力増幅器5の出力の一部を取り出し、第2周波数変換器32は、再び中間周波数に変換する。中間周波数に変換された出力信号を直交復調手段11はベースバンドのI、Q信号に直交復調する。
【0020】
誤差検出手段13は、直交復調された信号から線形歪補償手段12により線形歪が取り除かれた信号と、入力信号を遅延させた信号との誤差を検出することで、信号の歪み成分を検出する。統計的処理手段14は、検出された歪み成分と、上記入力信号を遅延させた信号との振幅とに統計的処理を行うことで、非線形歪補償手段1の伝達関数を制御する。線形歪補償制御手段15は、誤差検出手段13により検出された歪み成分を基に、線形歪補償手段12の伝達関数を制御する。ここで、非線形歪補償手段1の伝達関数は、入力信号の振幅の複素多項式で近似される伝達関数である。
【0021】
統計的処理手段14は、非線形である電力増幅器5の伝達関数が入力振幅に依存して決定されることに着目し、誤差成分を入力信号の振幅に対する関数ととらえ、入力信号の振幅の複素多項式で近似することにより、電力増幅器5の伝達関数を推定している。
【0022】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施の形態における歪補償回路の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る歪補償回路は、非線形歪補償手段(前置歪発生器)1、直交変調手段2、D/Aコンバータ3、第1周波数変換器31、第1BPF(帯域通過ろ波器)4、電力増幅器5、遅延手段6、振幅検出手段7、方向性結合器8、第2BPF(bandpass filter )9、A/Dコンバータ10、直交復調手段11、線形歪補償手段12、誤差検出手段13、統計的処理手段(非線形歪補償制御手段)14、線形歪補償制御手段15、第1局部発振器(搬送波発振器)16、および第2局部発振器17を有する。ここで、非線形歪補償手段1、直交変調手段2、D/Aコンバータ3、第1周波数変換器31、および第1BPF4は、増幅系を構成する。方向性結合器8、第2周波数変換器32、第2BPF9、A/Dコンバータ10、直交変調手段11、線形歪補償手段12、誤差検出手段13、統計的処理手段14および線形歪補償制御手段15は、帰還系を構成する。
【0024】
非線形歪補償手段1は、入力信号である2系統の複素数ベースバンドのI、Q信号に、電力増幅器5の伝達関数と逆関数である伝達関数により、電力増幅器5と逆の歪みを付加する。直交変調手段2は、非線形歪補償手段1の出力信号を、第1局部発振器16が発生させた搬送波を用いて、中間周波数に直交変調する。D/Aコンバータ3は、直交変調手段2の出力信号であるデジタル信号をアナログ信号に変換する。第1周波数変換器31は、D/Aコンバータ3の出力信号であるアナログ信号を、第2局部発振器17が発生させた搬送波を用いて、所望の周波数に変換する。第1BPF4は、第1周波数変換器31の出力信号から、必要な成分のみを取り出す。電力増幅器5は、非線形の特性を有しており、第1BPF4から入力された信号を所望の電力に増幅する。図1には、1段しか示されていないが、通常、複数段の増幅器が連ねられる。電力増幅器5により増幅された信号は、アンテナから送信される。
【0025】
遅延手段6は、入力信号であるベースバンドのI、Q信号が増幅系、帰還系を介して誤差検出手段13に戻る時間に対応させるために、所定時間、入力信号を遅延させる。振幅検出手段7は、遅延手段6の出力であるI、Q信号の振幅を検出する。
【0026】
方向性結合器8は、電力増幅器5の出力の一部を取り出す。第2周波数変換器32は、電力増幅器5の出力の一部を、第2局部発振器17が発生させた周波数を用いて、再び中間周波数に変換する。第2BPFは、第2周波数変換器32の出力信号から、必要な成分のみを取り出す。A/Dコンバータ10は、第2BPF9の出力であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。直交復調手段11は、A/Dコンバータ10の出力信号を、第1局部発振器16が発生させた周波数を用いて、ベースバンドのI、Q信号に直交復調する。線形歪補償手段12は、直交復調手段11の出力信号の線形歪みを、線形歪補償制御手段15から取得する線形歪補償係数を基に補償する。
【0027】
誤差検出手段13は、線形歪補償手段12において線形歪を取り除いた信号と、入力信号を遅延手段6により遅延された信号との誤差を検出する。当該検出により、電力増幅器5からの帰還信号の歪み成分を検出する。統計的処理手段14は、誤差検出手段13が検出した歪み成分と、入力信号を遅延手段6により遅延させた信号の振幅とを基に統計的処理を行う。当該統計的処理により、非線形歪補償手段1の伝達関数の係数を得る。線形歪補償制御手段15は、誤差検出手段13が検出した歪み成分から線形歪補償係数を決定し、線形歪補償手段12を制御する。
【0028】
以下、本実施の形態の動作について説明する。図1を参照すると、誤差検出手段13は、直交復調した信号を線形歪補償手段12により線形歪みを取り除いた信号と、入力された信号を遅延させた信号との誤差を検出することにより、信号の歪み成分を検出して、統計的処理手段14に出力する。統計的処理手段14は、検出された歪み成分と、入力信号を遅延させた信号とを基に統計的処理を行うことで、非線形歪補償手段1の伝達関数を制御する。ここで、非線形歪補償手段1の伝達関数を、入力信号の振幅の複素多項式で近似する。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施の形態における非線形歪補償手段の構成を示すブロック図である。図2は、電力増幅器5の伝達関数の逆関数を5次の複素多項式とした例を示している。非線形歪補償手段1は、極座標変換部18、AM/AM歪補償部19、AM/PM歪補償部20、および直交座標変換部21を備える。
【0030】
極座標変換部18は、ベースバンドの入力信号I、Qを極座標変換してR、θ(振幅、位相角)に変換する。ところで、電力増幅器5の歪み成分には、AM/AM変換による歪みと、AM/PM変換による歪みとがある。AM/AM歪補償部19は、電力増幅器5のAM/AM変換による歪みを補償する。AM/PM歪補償部20は、電力増幅器5のAM/PM変換による歪みを補償する。
【0031】
極座標変換部18により変換されたR(振幅データ)は、5次の信号に変換される。AM/AM歪補償部19は、5つの乗算器と1つの加算器とを備える。5次に変換された信号の各々は、対応する乗算器で、統計的処理手段14から伝達される伝達係数と乗算される。乗算後の信号は、加算器で加算され、直交座標変換部21に出力される。
【0032】
AM/PM歪補償部20は、AM/AM歪補償部19と同様に5つの乗算器と1つの加算器とを備える。上述した5次に変換された信号の各々は、上記と同様に、対応する乗算器で、統計的処理手段14から伝達された伝達係数と乗算される。ただし、極座標変換部18により変換されたθ(位相データ)は、乗算器を通過せずに直接加算器に印加される。上記乗算後の信号(振幅データ)と極座標変換部18の出力信号θは、加算器で加算され、直交座標変換部21に出力される。
【0033】
直交座標変換部21は、AM/AM歪補償部19、AM/PM歪補償部20からの出力信号を直交座標値に変換する。以上の説明において、必要な次数は、使用する電力増幅器5の特性と所望の歪み補償量とによって決定される。複素多項式の係数は、後述する統計的処理手段14によって決定される。
【0034】
電力増幅器で発生する非線形歪み成分の多くは、入力信号の振幅に依存する。そこで、図2に示されるように非線形歪補償手段1は、振幅と位相成分とに変換する。上述したように、電力増幅器5の歪み成分には、AM/AM変換による歪みと、AM/PM変換による歪みとがある。非線形歪補償手段1は、電力増幅器5のAM/AM変換に相当する入力振幅によって決定される出力の振幅と、電力増幅器5のAM/PM変換に相当する入力振幅によって決定される入力と出力との位相差を合成することによって歪み信号を得る。そして、位相は、入力信号の位相と加算することで、非線形歪補償手段1の出力信号となる。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態における線形歪補償手段の構成を示すブロック図である。線形歪補償手段12は、可変遅延手段22と可変減衰手段23と可変位相手段24とから構成されており、電力増幅器5で発生する線形歪みを補償する。
【0036】
図1に示す誤差検出手段13により検出される誤差信号には、電力増幅器5の遅延、振幅、位相の周波数特性、並びに符号間干渉によって生じる線形歪成分と、電力増幅器5の非線形特性によって生じる非線形歪み成分と、その双方とが複合した歪み成分が含まれる。
【0037】
線形歪補償手段12は、直交復調手段11の出力信号から線形歪み成分を取り除き、誤差検出手段13により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように補償する。線形歪補償制御手段15は、誤差検出手段13の出力電力が最小となるように、線形歪補償手段12の伝達関数を制御するものである。この制御アルゴリズムには、LMS(least mean square )などの手段を用いるとよい。また、線形歪補償手段12には、複素トランスバーサルフィルタなどを用いても構成できる。
【0038】
LMSアルゴリズムについては、例えば、文献(「適応フィルタ入門」108頁〜 サイモン・ヘイキン著 現代工学社刊)に記載されているようなアルゴリズムを適用できる。
【0039】
次に、非線形歪補償手段1の係数を決定する方法について説明する。誤差検出手段13は、入力信号(I、Q)と、線形歪補償手段12の出力信号(I’、Q’)とをサンプルする。これらのデータには、雑音や線形歪補償手段12で除去できなかった線形歪み成分が残留している。したがって、電力増幅器5の非線形歪み特性による誤差を検出するには、これらの不要な成分を除去する必要がある。
【0040】
雑音と線形歪は、入力信号の振幅と無関係に発生するので、多項式で近似することで低減できる。多項式の係数は、最小二乗法により算出する。
【0041】
【数1】
Figure 0003642040
【数2】
Figure 0003642040
【数3】
Figure 0003642040
【0042】
誤差検出手段13は、上記式2、3で算出した帰還信号の振幅R’位相差Δθを統計的処理手段14と、線形歪補償制御手段15とに出力する。
本発明の第1の実施の形態では、統計的処理手段14は、誤差検出手段13から入力されたR’と、振幅検出手段7から入力された入力信号の振幅Rとを多項式で近似する。また、統計的処理手段14は、誤差検出手段13から入力されたΔθと、振幅検出手段7から入力された入力信号の振幅Rとを多項式で近似する。
【0043】
図7は、本発明の第1の実施の形態におけるR対R’を多項式で近似した曲線を示す図である。図8は、本発明の第1の実施の形態におけるR対Δθを多項式で近似した曲線を示す図である。これらの曲線は、電力増幅器5の特性を推定するためのものである。統計的処理手段14は、図7、8に示す近似曲線を用いて、非線形歪を補償するよう非線形歪補償手段1を制御する。
【0044】
次に、曲線を多項式で近似する手法を説明する。本実施の形態においては、一例として、5次の関数で近似することとする。図7、図8の縦軸であるR’、Δθ、をyとし、横軸であるRをxとすると、xが増加するとき、対応するyの値が曲線的に変化するので、回帰曲線を用いて近似する。
【0045】
本実施の形態においては、それらの曲線を5次の関数で表すことから、以下に示す式4のようになる。
【0046】
【数4】
Figure 0003642040
【0047】
式4における回帰係数であるa、b、c、d、e、fは、最小2乗法によって、以下に示す式5において最小の値になるように決定される。
【0048】
【数5】
Figure 0003642040
【0049】
式5におけるa、b、c、d、e、fを求めるには、以下の式6に示す正規方程式を解けばよい。
【0050】
【数6】
Figure 0003642040
【0051】
統計的処理手段14は、このようにして推定した関数の逆関数を算出する。そして、この逆関数の係数を非線形歪補償手段1に出力する。これにより、所望する非線形歪補償手段1の特性を決定する。このようにして非線形歪補償手段1の特性を決定した後も、周期的に当該特性の非線形歪補償手段1への再設定を繰り返す。
【0052】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は、入力信号の振幅と、極座標データであるR’、Δθとの関係を多項式で近似した。これに対し、本実施の形態は、入力信号の振幅と、直交データであるR’cos(Δθ)、R’sin(Δθ)との関係を多項式で近似する。
【0053】
統計的処理手段14は、誤差検出手段13から入力されたR’、Δθを直交データに変換する。そして、統計的処理手段14は、変換したR’cos(Δθ)と、振幅検出手段7から入力された入力信号の振幅Rとを多項式で近似する。また、統計的処理手段14は、変換したR’sin(Δθ)、振幅検出手段7から入力された入力信号の振幅Rとを多項式で近似する。そして、得られた関数を極座標変換し、その逆関数を算出する。そして、この逆関数の係数を、非線形歪補償手段1に出力する。図2の伝達関数の係数(実部のb’、c’、d’、e’、f’、虚部のb”、c”、d”、e”、f”)は、それぞれ式4の逆関数の、右辺のb乃至fの実部と虚部である。
【0054】
図9は、本発明の第2の実施の形態におけるR対R’cos(Δθ)を多項式で近似した曲線を示す図である。図10は、本発明の第2の実施の形態におけるR対R’sin(Δθ)を多項式で近似した曲線を示す図である。図7、図8との相違点は、縦軸がR’cos(Δθ)、R’sin(Δθ)となる点である。
【0055】
ここで、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを比較すると、第2の実施の形態は、統計的処理手段14において直交データに変換するための演算が必要となるため、処理が複雑化する。しかしながら、第2の実施の形態は、図9、図10から読み取れるように、原点付近の小振幅領域での誤差が小さいため、入力信号のレベルが小さい用途でも、より高精度な補償が可能である。
【0056】
以上の説明においては、5次関数の例を説明した。当然のことながら、5次関数に限定されることなく、任意に設定可能である。必要な次数は、使用する電力増幅器の特性と所望の歪み特性によって決定されるものだからである。
【0057】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、非線形歪補償手段1を記憶素子で構成する形態である。図4は、本発明の第3の実施の形態における非線形歪補償手段の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、図2に示した機能を別の構成で実現するものである。本実施の形態にかかる非線形歪補償手段1は、極座標変換部25、第1デュアルポートRAM(dual port random access memory)26、第2デュアルポートRAM27、プロセッサ28、加算器29および直交座標変換部30を有する。デュアルポートRAM26、27は、アドレスポート、データポートを2組有している。
【0058】
図4において、極座標変換部25は、ベースバンドの入力信号I、Qを極座標変換してR、θとする。振幅Rは、デュアルポートRAM26、27のアドレスバスA、アドレスバスA’から各デュアルポートRAM26、27に入力される。位相θは、デュアルポートRAM27の出力データに、加算器29で加算される。
【0059】
第1デュアルポートRAM26は、電力増幅器5のAM/AM変換による歪みを補償するためのものである。第1デュアルポートRAM26は、アドレスバスB、及び、データバスBから、プロセッサ28が算出した補償後の振幅データ群がセットされる。アドレスバスAから振幅データRが入力されると、対応するアドレスに書き込まれている振幅データをデータバスAから直交座標変換部30に出力する。
【0060】
第2デュアルポートRAM27は、電力増幅器5のAM/PM変換による歪みを補償するためのものである。アドレスバスB’、及び、データバスB’から、プロセッサ28が算出した補償後の振幅データ群がセットされる。アドレスバスA’から振幅データRが入力されると、書き込まれている振幅データをデータバスA’から加算器29に出力する。加算器29は、第2デュアルポートRAM27から入力した振幅データと、極座標変換部25の位相データθとを加算し、加算後のデータを直交座標変換部30に出力する。
【0061】
プロセッサ28は、統計的処理手段14から入力される補償係数を基に、歪み発生器1の伝達関数を演算する。そして、演算結果をアドレスバスB、及び、データバスBからデュアルポートRAM26、27に書き込んでおく。こうした構成を採用したことにより、コストの高い乗算器を用いずに、非線形歪補償手段1を実現できる。
【0062】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、線形歪補償手段12を送信系(増幅系)に組み込む形態である。図5は、本発明の第4の実施の形態における歪補償回路の構成を示すブロック図である。図5において、線形歪補償手段12の位置は、図6のように構成してもよい。図6は、図5を変形したもので、図5の構成に対し、線形歪補償手段12を非線歪形補償手段1の前段に配置した点が異なる。
【0063】
上述した設計の違いにより、誤差検出手段13により入力される帰還信号に差異は生じない。したがって、本発明を実施するにあたり、設計者は、送信系および帰還系を構成する各素子の特性を考慮して、最適な設計を選択することができる。
【0064】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、一定量だけ遅延させたベースバンド入力信号と、電力増幅器の出力信号を直交復調し、線形歪補償手段で等化させた信号とを比較することで、線形歪補償手段の特性を制御し、なお残留する歪成分を多項式で近似し、非線形歪補償手段の伝達関数を電力増幅器の逆関数となるように与えることにより、非線形歪を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における歪補償回路の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態における非線形歪補償手段の構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態における線形補償手段の構成を示すブロック図である。
【図4】 本発明の第3の実施の形態における前置歪発生器の構成を示すブロック図である。
【図5】 本発明の第4の実施の形態における歪補償回路の構成を示すブロック図である。
【図6】 本発明の第4の実施の形態における歪補償回路の構成の変形例を示すブロック図である。
【図7】 本発明の第1の実施の形態におけるR対R’を多項式で近似した曲線を示す図である。
【図8】 本発明の第1の実施の形態におけるR対θを多項式で近似した曲線を示す図である。
【図9】 本発明の第2の実施の形態におけるR対R’cos(θ)を多項式で近似した曲線を示す図である。
【図10】 本発明の第2の実施の形態におけるR対R’sin(θ)を多項式で近似した曲線を示す図である。
【図11】 従来技術における非線形歪補償装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 非線形歪補償手段
2 直交変調手段
3 D/Aコンバータ
4 第1BPF
5 電力増幅器
6 遅延手段
7 振幅検出手段
8 方向性結合器
9 第2BPF
10 A/Dコンバータ
11 直交復調手段
12 線形歪補償手段
13 誤差検出手段
14 統計的処理手段
15 線形歪補償制御手段
16 第1局部発振器
17 第2局部発振器
18 極座標変換部
19 AM/AM歪補償部
20 AM/PM歪補償部
21 直交変換部
22 可変遅延部
23 可変減衰部
24 可変位相部
25 極座標変換部
26 第1デュアルポートRAM
27 第2デュアルポートRAM
28 プロセッサ
29 加算器
30 直交座標変換部
31 第1周波数変換器
32 第2周波数変換器

Claims (6)

  1. 入力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償手段と、
    前記非線形歪補償手段の出力信号を直交変調する直交変調手段と、
    前記直交変調手段の出力信号をアナログ変換するD/A変換手段と、
    前記D/A変換手段の出力信号の一部を取り出す方向性結合手段と、
    前記方向性結合手段の取り出した信号をディジタル変換するA/D変換手段と、
    前記A/D変換手段の出力信号を直交復調する直交復調手段と、
    前記直交復調手段の出力信号の線形歪み成分を取り除き、前記出力信号の線形歪を補償する線形歪補償手段と、
    前記入力信号を所定の時間遅延させる遅延手段と、
    前記線形歪補償手段の出力信号と前記遅延手段の出力信号との差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出手段と、
    前記遅延手段の出力信号の振幅値を出力する振幅検出手段と、
    前記振幅検出手段の出力する振幅値と、前記誤差検出手段の出力する前記振幅値と前記位相差と、を入力して前記非線形歪補償手段を制御する統計的処理手段と、
    前記誤差検出手段の出力する前記振幅値と前記位相差と、を入力して前記線形歪補償手段の伝達関数を制御し、前記誤差検出手段により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、前記出力信号の線形歪を前記線形歪補償手段で補償させる線形歪補償制御手段と、
    を有し、
    前記統計的処理手段は、前記誤差検出手段の出力する前記帰還信号の前記振幅値と前記位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、前記振幅検出手段の出力する振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から前記非線形歪補償手段の補償伝達関数の係数を推定し、該推定した補償伝達関数の係数を前記非線形歪補償手段に設定する、
    ことを特徴とする歪補償回路。
  2. 入力信号の線形歪み成分を取り除き、前記入力信号の線形歪みを補償する線形歪補償手段と、
    前記線形歪補償手段の出力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償手段と、
    前記非線形歪補償手段の出力信号を直交変調する直交変調手段と、
    前記直交変調手段の出力信号をアナログ変換するD/A変換手段と、
    前記D/A変換手段の出力信号の一部を取り出す方向性結合手段と、
    前記方向性結合手段の取り出した信号をディジタル変換するA/D変換手段と、
    前記A/D変換手段の出力信号を直交復調する直交復調手段と、
    前記入力信号を所定の時間遅延させる遅延手段と、
    前記直交復調手段の出力信号と前記遅延手段の出力信号との差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出手段と、
    前記遅延手段の出力信号の振幅値を出力する振幅検出手段と、
    前記振幅検出手段の出力する振幅値と、前記誤差検出手段の出力する前記振幅値と前記位相差と、を入力して前記非線形歪補償手段を制御する統計的処理手段と、
    前記誤差検出手段の出力する前記振幅値と前記位相差と、を入力して前記線形歪補償手段の伝達関数を制御し、前記誤差検出手段により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、前記入力信号の線形歪を前記線形歪補償手段で補償させる線形歪補償制御手段と、
    を有し、
    前記統計的処理手段は、前記誤差検出手段の出力する前記帰還信号の前記振幅値と前記位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、前記振幅検出手段の出力する振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から前記非線形歪補償手段の補償伝達関数の係数を推定し、該推定した補償伝達関数の係数を前記非線形歪補償手段に設定する、
    ことを特徴とする歪補償回路。
  3. 入力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償手段と、
    前記非線形歪補償手段の出力信号の線形歪み成分を取り除き、前記出力信号の線形歪みを補償する線形歪補償手段と、
    前記線形歪補償手段の出力信号を直交変調する直交変調手段と、
    前記直交変調手段の出力信号をアナログ変換するD/A変換手段と、
    前記D/A変換手段の出力信号の一部を取り出す方向性結合手段と、
    前記方向性結合手段の取り出した信号をディジタル変換するA/D変換手段と、
    前記A/D変換手段の出力信号を直交復調する直交復調手段と、
    前記入力信号を所定の時間遅延させる遅延手段と、
    前記直交復調手段の出力信号と前記遅延手段の出力信号との差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出手段と、
    前記遅延手段の出力信号の振幅値を出力する振幅検出手段と、
    前記振幅検出手段の出力する振幅値と、前記誤差検出手段の出力する前記振幅値と前記位相差と、を入力して前記非線形歪補償手段を制御する統計的処理手段と、
    前記誤差検出手段の出力する前記振幅値と前記位相差と、を入力して前記線形歪補償手段の伝達関数を制御し、前記誤差検出手段により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、前記入力信号の線形歪を前記線形歪補償手段で補償させる線形歪補償制御手段と、
    を有し、
    前記統計的処理手段は、前記誤差検出手段の出力する前記帰還信号の前記振幅値と前記位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、前記振幅検出手段の出力する振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から前記非線形歪補償手段の補償伝達関数の係数を推定し、該推定した補償伝達関数の係数を前記非線形歪補償手段に設定する、
    ことを特徴とする歪補償回路。
  4. 入力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償工程と、
    前記非線形歪補償工程により非線形歪みが補償された信号を直交変調する直交変調工程と、
    前記直交変調工程により直交変調された信号をアナログ変換するD/A変換工程と、
    前記D/A変換工程によりアナログ変換された信号の一部を取り出す方向性結合工程と、
    前記方向性結合工程により取り出された信号をディジタル変換するA/D変換工程と、
    前記A/D変換工程によりディジタル変換された信号を直交復調する直交復調工程と、
    前記直交復調工程により直交復調された信号の線形歪み成分を取り除き、前記直交復調された信号の線形歪を補償する線形歪補償工程と、
    前記線形歪補償工程により線形歪みが補償された信号と、前記入力信号を所定の時間遅延させた信号と、の差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出工程と、
    前記入力信号を所定の時間遅延させた信号の振幅値を検出する振幅検出工程と、
    前記誤差検出工程により出力された前記帰還信号の前記振幅値と前記位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、前記振幅検出工程により検出された前記振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から前記非線形歪補償工程において前記入力信号の非線形歪を補償するための補償伝達関数の係数を推定する統計的処理工程と、
    前記誤差検出工程により出力された前記振幅値と前記位相差と、を基に、前記線形歪補償工程の伝達関数を制御する線形歪補償制御工程と、
    を有し、
    前記非線形歪補償工程は、前記統計的処理工程により推定された前記補償伝達関数を基に前記入力信号の非線形歪を補償し、
    前記線形歪補償工程は、前記線形歪補償制御工程による前記伝達関数の制御により、前記誤差検出工程により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、前記直交復調された信号の線形歪を補償することを特徴とする歪補償方法。
  5. 入力信号の線形歪み成分を取り除き、前記入力信号の線形歪みを補償する線形歪補償工程と、
    前記線形歪補償工程により線形歪が補償された信号の非線形歪を補償する非線形歪補償工程と、
    前記非線形歪補償工程により非線形歪が補償された信号を直交変調する直交変調工程と、
    前記直交変調工程により直交変調された信号をアナログ変換するD/A変換工程と、
    前記D/A変換工程によりアナログ変換された信号の一部を取り出す方向性結合工程と、
    前記方向性結合工程により取り出された信号をディジタル変換するA/D変換工程と、
    前記A/D変換工程によりディジタル変換された信号を直交復調する直交復調工程と、
    前記直交復調工程により直交復調された信号と、前記入力信号を所定の時間遅延させた信号と、の差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出工程と、
    前記入力信号を所定の時間遅延させた信号の振幅値を検出する振幅検出工程と、
    前記誤差検出工程により出力された前記帰還信号の前記振幅値と前記位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、前記振幅検出工程により検出された前記振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から、前記非線形歪補償工程において前記線形歪補償工程により線形歪が補償された信号の非線形歪を補償するための補償伝達関数の係数を推定する統計的処理工程と、
    前記誤差検出工程により出力された前記振幅値と前記位相差と、を基に、前記線形歪補償工程の伝達関数を制御する線形歪補償制御工程と、
    を有し、
    前記線形歪補償工程は、前記線形歪補償制御工程による前記伝達関数の制御により、前記誤差検出工程により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、前記入力信号の線形歪を補償し、
    前記非線形歪補償工程は、前記統計的処理工程により推定された前記補償伝達関数を基に、前記線形歪補償工程により線形歪が補償された信号の非線形歪を補償することを特徴とする歪補償方法。
  6. 入力信号の非線形歪を補償する非線形歪補償工程と、
    前記非線形歪補償工程により非線形歪が補償された信号の線形歪み成分を取り除き、前記非線形歪が補償された信号の線形歪みを補償する線形歪補償工程と、
    前記線形歪補償工程により非線形歪が補償された信号を直交変調する直交変調工程と、
    前記直交変調工程により直交変調された信号をアナログ変換するD/A変換工程と、
    前記D/A変換工程によりアナログ変換された信号の一部を取り出す方向性結合工程と、
    前記方向性結合工程により取り出された信号をディジタル変換するA/D変換工程と、
    前記A/D変換工程によりディジタル変換された信号を直交復調する直交復調工程と、
    前記直交復調工程により直交復調された信号と、前記入力信号を所定の時間遅延させた信号と、の差を歪成分として検出し、該歪成分を振幅値と位相差とに極座標変換し、帰還信号の振幅値と位相差とを出力する誤差検出工程と、
    前記入力信号を所定の時間遅延させた信号の振幅値を検出する振幅検出工程と、
    前記誤差検出工程により出力された前記帰還信号の前記振幅値と前記位相差とを、直交座標変換し、該変換した直交座標データを、前記振幅検出工程により検出された前記振幅値の多項式で近似する統計処理し、該処理により得られた関数を極座標変換し、該変換した極座標の逆関数から、前記非線形歪補償工程において前記入力信号の非線形歪を補償するための補償伝達関数の係数を推定する統計的処理工程と、
    前記誤差検出工程により出力された前記振幅値と前記位相差と、を基に、前記線形歪補償工程の伝達関数を制御する線形歪補償制御工程と、
    を有し、
    前記非線形歪補償工程は、前記統計的処理工程により推定された前記補償伝達関数を基に、前記入力信号の非線形歪を補償し、
    前記線形歪補償工程は、前記線形歪補償制御工程による前記伝達関数の制御により、前記誤差検出工程により検出される誤差成分に残留する線形歪み成分の電力が最小となるように、前記非線形歪が補償された信号の線形歪を補償することを特徴とする歪補償方法。
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