JP3641561B2 - コイル製造装置の工具作動機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイル製造装置の工具作動機構に係り、さらに詳しくは、コイルばねなどのコイル製造装置においてピッチを付与するピッチ工具、コイルを切断する切断工具、この切断工具と協働でコイルを切断する芯金工具などの工具作動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術としては、例えば、ススリング製造装置に係る特開平10−58075号公報に開示された発明が知られている。
このものは、図9に示すように成形テーブル上に上下移動可能な基部(ベース)201と、この基部201をラック208を介して上下移動させる手動調節ハンドルとが設けられ、この基部201には、切断位置と待機位置に移動可能な切断ツール202と、中央部に固設した芯金203と、進退移動可能なウエッジツール204(本願発明の楔ピッチ工具に相当)と、進退移動可能なプッシュツール(本願発明の押し出しピッチ工具に相当)と、切断ツール202,ウエッジツール204,プッシュツールを進退移動させるそれぞれの駆動手段205,206,207とを備える装置である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明においては,巻回するコイル径と対応するように、手動調整ハンドルによりベースを移動させて切断対応位置を調節すると、ベースに設けられた切断ツール,芯金,ウエッジツール,プッシュツールなどが一体に移動し相対的位置を維持して調節されるので、クイル軸線と所定の位置関係であるべきウエッジツールの待機位置も移動される。このために、切断ツールと芯金との切断対応位置を調節するたびに、クイル軸線に対するウエッジツール204の待機位置を調節するか、または、ウエッジツールを進退移動させるカムの作用位置を調節しなければならないなどの無駄な段取り時間を要するという問題があった。
【0004】
また、切断対応位置を調節する手段は、手で操作する調節ハンドルであるから、例えば鼓形コイルのように、巻き終わりコイルの切断部よりも小さいコイル径を有する違径コイルを加工する際に、巻き終わりコイルよりもコイル径が小さくなる加工領域においてそのコイルが芯金に干渉するが、小さいコイル径に対応して芯金203を待避させるために、切断作用軸線に沿って移動させることができない。このために、芯金203がコイル成形の阻害になって、違径コイルを容易に加工できないという問題があった。
【0005】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、巻回するコイル径と対応するように芯金工具を移動させても、他の工具との関連位置を維持するようにして無駄な段取り時間を要することなく、また、右巻きコイルと左巻きコイルとの段取り替えを容易にして生産能率の向上が図れるとともに、違径コイル成形時に芯金との干渉がなく容易に加工でき、かつ、装置の構成が簡素にできるコイル製造装置の工具作動機構を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために請求項1の発明のコイル製造装置の工具作動機構は、線材を案内するクイルと、送り出された線材を巻回してコイルを形成する成形工具と、コイルにピッチを付与するピッチ工具と、コイルの終端部を切断する切断工具と、この切断工具と協働でコイルの終端部を切断する芯金工具とをコイル成形空間近傍の基板に備えるコイル製造装置の工具作動機構であって、クイル軸線と直交する切断作用軸線に沿って移動可能に設けられ前記芯金工具を前記基板の前面から突出して着脱可能な芯金工具作動体と、成形コイル径に対応すべく前記芯金工具作動体と随時一体に前記基板の前面で移動可能に設けられ前記切断工具が着脱可能な切断工具作動体と、一体となった該切断工具作動体とともに前記芯金工具作動体を移動制御させる工具作動体移動手段と、前記切断工具作動体上で切断工具を待機位置とコイルの終端部を切断可能な切断位置との間を移動制御させる切断工具移動手段と、前記芯金工具と前記切断工具との切断作用位置が成形するコイル径と対応するように位置決めすべく前記工具作動体移動手段を制御するとともに、前記切断工具を待機位置から切断位置に移動させてコイルの終端部を切断すべく前記切断工具移動手段を制御する制御手段とを備えるようにしたものである。
【0007】
この請求項1の発明によれば、切断工具と芯金工具との待機位置が巻回するコイル径と対応するように切断工具作動体とともに芯金工具作動体を随時一体に進退位置決め可能にしたので、コイル径が相違する異種のコイルを加工する際に、切断工具と芯金工具とは相対位置を維持してそれぞれの切断工具待機位置を位置決めできる。
さらに、切断工具作動体と芯金工具との着脱位置を調整する段取り替えが不要であるから、生産能率の向上を図ることができる。
【0008】
また、請求項2のコイル製造装置の工具作動機構は、前記芯金工具作動体で切断位置と待機位置との間をコイル成形軸線と平行に移動可能であるようにしたものである。
【0009】
この請求項2の発明によれば、芯金工具は、芯金工具作動体上で切断位置と芯金工具待機位置との間をコイル成形軸線と平行に進退移動可能であるようにしたので、鼓形コイルのように,巻き終わりコイルの切断部よりも小さいコイル径を有する違径コイルを加工する際に、巻き終わりコイルよりもコイル径が小さくなる加工領域において芯金工具を後退させることで、芯金工具がコイル成形の阻害になること容易に防止できる。
【0010】
また、請求項3の発明の前記芯金工具は、前記芯金工具作動体に設けられ芯金工具移動手段によってコイル成形軸線と平行に移動され、前記芯金工具を切断位置と待機位置との間で位置決めすべく前記制御手段によって前記芯金工具移動手段を制御するようにしたものである。
【0011】
この請求項3の発明によれば、芯金工具を切断位置と芯金工具待機位置との間で位置決め可能に芯金工具移動手段を制御するようにしたので、前記鼓形コイルのような違径コイルを加工する際に、少なくともコイル巻き終わり後の切断時期にのみ芯金工具を切断位置に進出させることができる。
【0012】
また、請求項4の発明の前記ピッチ工具は、押し出しピッチ工具であって、前記芯金工具作動体との共通基体部に設けられた押し出しピッチ工具作動体に前記芯金工具の近傍位置で着脱可能に設けられており、前記押し出しピッチ工具作動体上で押し出しピッチ工具を待機位置とコイルにピッチを付与可能なピッチ付与位置との間をコイル成形軸線と平行に移動可能にしたものである。
【0013】
この請求項4の発明によれば、押し出しピッチ工具は、押し出しピッチ工具作動体上で押し出しピッチ工具待機位置とコイルにピッチを付与可能な押し出しピッチ付与位置との間をコイル成形軸線と平行に進退移動可能であるようにしたので、コイル径が相違する異種のコイルを加工する際に、切断工具と芯金工具とに対する相対的位置を維持して移動させることができ、押し出しピッチ工具の突出量を調整する段取り替えが不要になり、生産能率の向上を図ることができる。
【0014】
また、請求項5の発明の前記押し出しピッチ工具は、前記押し出しピッチ工具作動体に設けられた押し出しピッチ工具移動手段によって進退移動され、この押し出しピッチ工具を待機位置とピッチ付与位置との間で位置決め可能に、かつ、必要に応じてコイル成形中にピッチ付与位置を変位可能に前記制御手段によって前記押し出しピッチ工具移動手段を制御するようにしたものである。
【0015】
この請求項5の発明によれば、押し出しピッチ工具を待機位置と押し出しピッチ付与位置との間で位置決め可能に押し出しピッチ工具移動手段を制御するようにしたので、ピッチ付与時期にのみ押し出しピッチ工具をピッチ付与位置に進出させることができるとともに、コイルの巻初めから巻き終わりまでの間に相違するピッチを付与することが容易にできる。
【0016】
また、請求項6の発明の前記ピッチ工具は、楔ピッチ工具であって、前記基板のクイル軸線を挟んで前記切断工具の反対側に設けられた楔ピッチ工具作動体に着脱可能に設けられており、前記楔ピッチ工具作動体上で待機位置とコイルにピッチを付与可能なピッチ付与位置との間を前記切断作用軸線に沿って移動可能であるようにしたものである。
【0017】
この請求項6の発明によれば、楔ピッチ工具は、楔ピッチ工具作動体上で待機位置とコイルにピッチを付与可能な楔ピッチ付与位置との間を切断作用軸線に沿って進退移動可能であるようにしたので、コイル径が相違する異種のコイルを加工する際に、切断工具作動体および芯金工具作動体の前記進退位置決めとは無関係に、クイル軸線との相対的位置を楔ピッチ工具作動体上で維持することができ、楔ピッチ工具の位置を調整する段取り替えが不要になり、生産能率の向上を図ることができる。
【0018】
また、請求項7の発明の前記楔ピッチ工具は、楔ピッチ工具作動体に設けられた楔ピッチ工具移動手段によって進退移動され、この楔ピッチ工具を待機位置とピッチ付与位置との間で位置決め可能に、かつ、必要に応じてコイル成形中にピッチ付与位置を変位可能に前記制御手段によって前記楔ピッチ工具移動手段を制御するようにしたものである。
【0019】
この請求項7の発明によれば、楔ピッチ工具を待機位置とピッチ付与位置との間で位置決め可能に楔ピッチ工具移動手段を制御するようにしたので、ピッチ付与時期にのみ楔ピッチ工具をピッチ付与位置に進出させることができるとともに、コイルの巻初めから巻き終わりまでの間に相違するピッチを付与することが容易にできる。
【0020】
また、請求項8の発明の前記押し出しピッチ工具作動体は、前記芯金工具の中心軸線を挟んで上下略対称位置のいずれかの位置に前記押し出しピッチ工具を取り付け替え可能に設けられ、前記切断工具作動体は、前記芯金工具作動体と係脱可能、かつ、前記基板に止着可能で、前記切断工具と前記楔ピッチ工具とを取り替え可能に設けられ、前記楔ピッチ工具作動体は、クイル軸線を挟んで前記切断工具作動体と対向する略対称位置で前記芯金工具作動体と係脱可能、かつ、前記基板に止着可能で、前記楔ピッチ工具と切断工具とを取り替え可能に設けられ、前記制御手段は、前記切断工具作動体または楔ピッチ工具作動体に取着された前記切断工具と前記楔ピッチ工具との切断工具待機位置が右巻きまたは左巻きコイルの成形するコイル径と対応するように前記切断工具作動体とともに前記芯金工具作動体を位置決めすべく前記工具作動体移動手段を制御するようにしたものである。
【0021】
この請求項8の発明によれば、押し出しピッチ工具作動体には略対称位置に押し出しピッチ工具が着脱可能で、切断工具作動体には切断工具または楔ピッチ工具を着脱可能にし、楔ピッチ工具作動体はクイル軸線を挟んで切断工具作動体と対向する略対称位置で略同一の機構に構成するようにしたので、例えば楔ピッチ工具でピッチを付与するようにして、右巻きコイルを加工する際には、切断工具が取着された切断工具作動体は芯金工具作動体と一体的に進退移動させ、楔ピッチ工具が取着された楔ピッチ工具作動体は基板に止着し、また、左巻きコイルを加工する際には、切断工具が取着された楔ピッチ工具作動体は芯金工具作動体と一体的に進退移動させ、楔ピッチ工具が取着された切断工具作動体は基板に止着することで,各工具作動体を交換することなく、右巻きと左巻きとのコイル加工が容易にできる。
【0022】
さらに、押し出しピッチ工具でピッチを付与するようにして,右巻きコイルを加工する際には、切断工具が取着された切断工具作動体は、押し出しピッチ工具が切断工具作動体側に取着された芯金工具作動体と一体的に進退移動させ、楔ピッチ工具作動体は基板に止着し、また、左巻きコイルを加工する際には、切断工具が取着された楔ピッチ工具作動体は、押し出しピッチ工具が楔ピッチ工具作動体に取着された芯金工具作動体と一体的に進退移動させ、切断工具作動体は基板に止着することで、各工具作動体を交換することなく、右巻きと左巻きとのコイル加工が容易にできる作用をする。
【0023】
また、請求項9の発明の前記切断工具作動体は、切断時の切断工具先端軌跡が円弧となるように切断工具保持部材を前記基板と平行な平面上で揺動可能に設け、前記切断工具移動手段には切断工具の進退移動と関連的に前記切断工具保持部材を切断のタイミングに合わせて揺動させる駆動手段を含むようにしたものである。
【0024】
この請求項9の発明によれば、スイングカット式によるコイル内側への切断バリを防止する線材切断が容易にできる。 特にこのスイングカット式では、切断工具がスイングする直前における切断工具の切刃先端部と芯金工具の切刃先端部との対向位置関係が重要であるが、前記のように、切断工具と芯金工具との相対位置関係を維持してコイル径の変化に容易に対応できる。 また、切断工具によって亀裂が入ったコイルを工具揺動方向に引き裂くのでバリがコイル内方に突出せず軸状体を挿入する場合に支障が生じない。
【0025】
【発明の実施の形態】
コイル製造装置で右巻きコイル巻回時の切断工具作動体,楔ピッチ工具作動体等の配置を示す図1、図1の要部拡大図を示す図2、図1のA−A矢視断面を示す図3、図3のB−B矢視断面を示す図4、図3のC−C矢視断面を示す図5にもとづき説明する。
【0026】
先ず工具作動体の大要を述べる。コイル製造装置の機台に鉛直方向に設立された基板1の前面には上下一対の線材送り出しローラ2A,2Bが直立した図示しない支軸に回動可能に軸承されており、図示しないNC装置で回動制御されるサーボモータで適宜回動される。この線材送り出しローラ2A,2Bの前面には線材案内筒に続くクイル3が線材送り出し線上に配置されている。
【0027】
クイル3真上でクイル軸線Xと直交する切断作用軸線となるY方向に切断工具T1を有する切断工具作動体4が配置されている。またクイル3の前面直下で、切断工具T1に対向しクイル軸線Xと直交するY方向で楔ピッチ工具T2を有する楔ピッチ工具作動体5が配置されている。
そしてクイル軸線X方向及びX方向に直交するY方向のそれぞれに直交するZ方向で基板1の後方に向かって切断工具T1の相手側の切刃を有する芯金工具T3を有する芯金工具作動体6が配置されている。この芯金工具作動体6の作動部と背中合わせに、先端に押し出しピッチ工具T4を有する押し出しピッチ工具作動体7が配置されている。そしてこれらの芯金工具作動体6と押し出しピッチ工具作動体7とをクイル軸線Xと直交するY方向に移動位置決めする工具作動体移動手段10が設けられている。
さらにクイル3の軸線Xを挟んで上下に八字状に配置され下側にクイルに近いクイル側成形工具T5を有するクイル側成形工具作動体8が、上側にクイルに遠いコイル成形工具T6を有するコイル成形工具作動体9が設けられている。
【0028】
次いで個々の工具作動体について説明する。
図示のように、右巻きコイルを巻回する切断工具作動体4は、スライド台11が直立しした基板1の前面のY方向の案内に沿って移動可能に装着されている。
このスライド台11の上端ボス部には基板1の切欠部1aより後方に延在して減速機21付サーボモータ22が取り付けられており、減速機21の出力軸21aにカム軸23がキー着されている。このカム軸23の前端段部にスイングカット用円板カム24とカラーを介して進退用円板カム26が固着されている。
【0029】
またスライド台11のクイル3側端部には、後述するノックブッシュを挿着自在とするブッシュ穴11aが基板1に直交する方向に穿設されている。
またスライド台11には、切断工具T1のクイル側の側面に接近して後述する押し出しピッチ工具T4取付軸が挿通されてる穴11bが穿設されている。
さらにこのスライド台11の前面には、Y方向に案内面を有する揺動台12が、スライド台11に軸受で基板1に直交する方向に軸承された揺動軸13の端面に締着されて揺動可能とされている。
そして揺動台12のY方向案内面には、下端に切断工具T1を着脱自在に締着したスライダ14が移動可能に装着されている。スライダ14の上端面には円板カム26に接触するカムフオロア16を、基板1に直交する軸で枢支したフオロアホルダ17が位置調整可能に設けられていてスライダの段部に螺装した調整ボルト18で長手位置が調整される。
【0030】
そしてスライダ14の段部のばね掛けピン27,27とスライド台11の上端のばね掛けピン28,28との間に張設された引張ばね29,29によって進退用円板カム26とカムフオロア16とが常時圧接されている。したがって円板カム26の回動でスライダ14を介して切断工具T1は切断位置と待機位置に進退移動される。さらに揺動台12に取り付けた突片12aに基板1に直交する支軸で枢支されスイングカット用円板カム24と接触するカムフオロア31が設けられている。
【0031】
基板1の前面には押圧子ホルダ32が取り付けられていて、この押圧子ホルダ32には先端を突片12aに当接すべく、X方向に進退可能な押圧子33が挿通されていて、留め板との間に介挿されたばね34によってカムフオロア31がスイングカット用円板カム24に常時圧接されている。
なお押圧子33は押圧子ホルダ32内の鍔部で、カムフオロア31を取り外したときの前進端が規定される。
【0032】
円板カム24は、切断工具T1が下降して切断位置直前からカムフオロア31に作用して、揺動台12を揺動軸13を中心として揺動させ切断工具T1先端がスイングカットするようにタイミングが調整されている。
さらに基板1には、揺動台12を揺動させない切断時及び左巻きコイル成形時に切断工具T1に替えて楔ピッチ工具T2装着したときに揺動台12を基板1に固定するため、基板1の凹部1bにX方向に位置調節可能に押さえ板36が挿入されていて、ボルトにより揺動台12が固定可能とされている。
【0033】
次に右巻きコイルを巻回する楔ピッチ工具作動体5は、その基準構成は切断工具作動体4と同じであるので、同じ部品には100番を付して説明を省略する。
楔ピッチ工具作動体5は、クイル軸線を挟んで切断工具作動体4と対向して対称に配置されていて、切断工具T1と互換可能な楔ピッチ工具T2を取り付けるようにしたものである。そして押さえ板136は、揺動台112を固定する前進位置に調節されボルトにより締着される。
またスイングカット用円板カム124と接触されるカムフオロア131は、突片112aとともに揺動台112から取り外される。
切断工具作動体4と楔ピッチ工具作動体5とは、右巻きコイル成形時と左巻きコイル成形時で作用体は図示の上下逆となる。
【0034】
次に芯金工具作動体6は、図3,図4に示すように、基板1にクイル3の前面からZ方向後方に延在して、Y方向(図3の上下方向)に幅広の両面を取付面とする芯金保持体41が、基板1上でY方向に移動可能に案内されている。この芯金保持体41の前面の基板1に図4に示す開口部が形成されていて、切断工具作動体4のスライド台11と楔ピッチ工具作動体5のスライド台111との間で、中央部Z方向に芯金軸43の挿通穴42aを穿設した芯金ホルダ42が、芯金保持体41の前端にボルトで締着されている。また、芯金保持体41の前端の芯金ホルダ42の図3に示す上下位置には中心にねじ穴を有するブッシュ穴41a,41bが穿設されている。したがってスライド台11又は111のブッシュ穴11a又は111aからブッシュ穴41a又は41bにブッシュ37が挿入され、ボルト38で締着されて芯金保持体41と切断工具作動体4とが一体になりうるようになっている。
【0035】
芯金軸43の前端は、切断工具T1の相手方切刃になる切刃面を形成した半月形の芯金工具T3となっていて、挿通穴42aに軸方向移動可能に挿通されている。芯金保持体41のY方向の幅広面の一方には、スライダ44がZ方向移動可能に案内されており、その前端は芯金軸43の後端とピン46により連結されている。スライダ44の後端には、カムフオロア47をX方向のピンで枢支したフオロアホルダ48が位置調整可能に取り付けられていて、フオロアホルダ48は、スライダ44の段部に螺装した調整ボルト49により位置が調整される。
【0036】
芯金保持体41の後端部には、減速機51付でNC制御されるサーボモータ52が取り付けられており、減速機51の出力軸51aにカムフオロア47に接触する円板カム53を固定したカム軸54がキー着されている。
そしてスライダ44の段部に設立したばね掛けピン56,56と芯金保持体41に設立したばね掛けピン57,57との間に張設したばね58,58によって円板カム53とカムフオロア47とは常時圧接されている。したがってばね成形時に芯金工具T3がコイルと干渉する場合は、サーボモータ52をNC制御で駆動制御して円板カム53の回動で芯金工具T3を芯金ホルダ42内に後退させることができる。
【0037】
次に押し出しピッチ工具作動体7は図2,図4,図5に示すように、芯金保持体41のY方向幅広の裏側面(前記芯金工具作動体6の反対側)に、スライダ71がZ方向に移動可能に案内されている。このスライダ71の前端には、押し出しピッチ工具ホルダ72が取り付けられており、図5に示すようにクイル軸線を挟んで上位置には右巻きコイル成形時に、また下位置には左巻きコイル成形時にそれそれ押し出しピッチ工具T4を取り付け固定する割り穴72a,72bが穿設されている。そして割り穴72aに固定された押し出しピッチ工具軸76は、スライド台11の穴11bに案内されて前方へ突出して、その先端の押し出しピッチ工具T4は、図2に示すように成形コイルに係合する長さを有して成形コイルの中心に向けられている。
【0038】
スライダ71の後端には、カムフオロア77がX方向のピンに枢支されたフロアホルダ78が位置調整可能に締着されており、スライダ71の段部に螺装された調整ボルト79により位置が調整される。芯金保持体41の後部にはサーボモータ52に対向する位置に、減速機81付のNC制御されるサーボモータ82が設けられている。そして減速機81の出力軸81aには円板カム83を取り付けたカム軸84がキー着されている。カムフオロア77と円板カム83とは、スライダ71の段部に設立したばね掛けピン86と、芯金保持体41に設立したばね掛けピン87との間に張設したばね88によって常時圧接されている。したがってNC制御でサーボモータ82が駆動されると、円板カム83の回動により押し出しピッチ工具T4がコイル成形軸線の方向に移動され、その移動に伴って所定のピッチが形成される。
【0039】
芯金保持体41は図3,図5に示すように、基板1の後面に取り付けたブラケット60上に、Y方向に雄ねじの出力軸61aを有しZ方向に入力軸61bを有する減速機61が設けられている。その入力軸61bにはNC制御のサーボモータ62の出力軸と連結されている。そして芯金保持体41のY方向に貫通する穴41cと同心に設けた雌ねじ体63の雌ねじが、出力軸61aの雄ねじと螺合されていて、NC制御でサーボモータ62が駆動されることにより芯金保持体41、及び芯金工具作動体6並びにブッシュ37,ボルト38で一体に連結した切断工具作動体4,押し出しピッチ工具作動体7、或いは楔ピッチ工具作動体5をY方向に位置制御される。したがって、コイル径に対応した切断位置或いは右巻きコイル成形,左巻きコイル成形に対応してクイル軸線に対して上位置或いは下位置と移動制御することができるものである。
【0040】
次いで右巻き成形時のクイルに近い側の成形工具作動体8は、図1,図2示すようにクイル軸線の下側で上面に案内面を有するスライド台91が、クイル軸線Xと直交するY方向と略22,5度をなす右斜め下方で、且つ、図示しない支軸で回動可能に設けられている。上面の案内面にはスライダ92が移動可能に設けられている。スライダ92のクイル3側端には工具ホルダ93が取り付けられていてクイル側成形工具T5の成形溝部が右巻きコイルの中心を向く略45°の方向に着脱可能に設けられている。そして図示しないNC制御のサーボモータで駆動される円板カムによってスライダ92を介してクイル側成形工具T5は進退される。またコイル径の変更に伴って成形溝部がコイル中心を向く45度の点に回動される。
【0041】
次にクイルより遠い側の成形工具作動体9は、クイルに近い側の成形工具作動体8をクイル軸線と平行する軸線に対して対称状態に設けられており、基本構成は同じであるので同じものには100番を付して説明を省略する。
この場合クイル側形成工具T5と互換可能なコイル成形工具T6を取り付け、その成形溝部は右巻きコイルの中心を向く略45度となる。スライダ192の移動方向はY方向と略22.5度となる。
【0042】
次に本発明において、コイル径が変化しない等径の右巻きコイルに楔ピッチ工具T2で比較的小さいピッチを付与する際の作用を説明する。
【0043】
図1において、揺動台112の突片112aを取り外して、円板カム124と当接するカムフオロア131を除去する。そして楔ピッチ工具作動体5側の押さえ板136を前進させて揺動台112を固定し、切断工具作動体4側の押さえ板36は後退させて揺動台12を揺動可能とする。また、図1のナイフ形の切断工具T1に替え図6に示す山形状の山形切断工具T1を取り付ける。芯金工具T3も図6に示す切刃部を山形状の山形芯金工具T3を取り付ける。さらにこの成形では押し出しピッチ工具T4は作用させないので取り外しておくか、後退位置に待機させておくものである。
【0044】
楔ピッチ工具T2は、サーボモータ122の駆動によって円板カム126が回動されて前進させられ、楔面が成形されるコイルの側面に当接して所定のピッチが形成可能な位置とする。サーボモータ62をNC制御して出力軸61aを回動して、芯金保持体41を移動させ切断工具作動体4のブッシュ穴11aと芯金保持体41のブッシュ穴41aとを一致させる。そしてブッシュ37を挿入してボルト38で両者を一体に固定する。これにより芯金工具T3と切断工具T1との関係は変わらず一定の関係が保たれる。
【0045】
そしてサーボモータ62の駆動で芯金工具T3が成形されるコイルに内接する位置に移動させるとともに、サーボモータ52をNC制御して円板カム53を回動して芯金工具T3をコイル成形空間の切断位置とする。
クイル側成形工具T5は、成形されるコイルの中心を向く略45度の位置にその成形溝の衝合点が位置するようにスライダ92を移動および回動させる。またコイル成形工具T6も成形されるコイルの中心を向き、且つ、クイル側成形工具T5と略90度をなす位置にコイル成形工具6の成形溝の衝合点が位置するようにスライダ192を移動させる。
【0046】
このように準備が終われば線材送り出しローラ2A,2Bを回動させて線材Wを送り出し、クイル側成形工具T5,コイル成形工具T6のそれぞれの成形溝に順次衝合させることによりコイルが右巻きに巻回され、楔ピッチ工具T2で所定のピッチの等径コイルが成形される。成形されたコイルが所定の巻回数に達したとき、サーボモータ22が駆動されて円板カム26により、カムフオロア16を介してスライダ14が前進下降される。
山形切断工具T1が図6(a)に示すように線材Wに当接する寸前で、円板カム24がカムフオロア31を外方に押し出し、揺動台12を僅かに時計方向に揺動させる。図6に拡大して示すように山形切断工具T1先端を僅かにスイングさせながら前進させる。これにより図6(b)に示すように、線材Wにコイル外側から山形切断工具T1の頂上部T1aを喰い込ませコイル内側から山形芯金工具T3の頂上部T3aを喰い込ませて亀裂を発生させて、図6(c)に示すように引き裂く、所謂スイングカットを行わせる。このスイングカットによりバリがコイル内方に突出しない切断口が形成される。
【0047】
またスイングカットを行わず、図1,図2にナイフ形切断工具T1,半月形芯金工具T3で通常の切断動作を行わせる場合は、揺動台12のカムフオロア31とともに突片12aを取り外し、押さえ板36を前進させて揺動台12に掛け締め付けて固定しておくものである。線材Wはナイフ形切断工具T1の下降で半月形芯金工具T3とで剪断される。
【0048】
図7に示す右巻きの鼓形ばねを成形する場合は、図8に示すようにコイル径が両端の最大径以外の領域において、芯金工具T3が切断位置に待機していると、成形されるコイルがその側面に衝突してコイルが巻回不能となる。したがって鼓形ばね成形時は、サーボモータ52の駆動により円板カム53を回動させて、スライダ44を後方に移動させ芯金工具T3を芯金ホルダ42内に後退させておく。そして所定巻回数のコイルが成形された時点で、サーボモータ52の駆動により円板カム53を回動させて、芯金工具T3を切断位置に前進させる。そしてサーボモータ22の駆動で円板カム26を回動させ切断工具T1を下降させ前述のように線材を切断する。
【0049】
右巻きで比較的大ピッチのコイルを成形する場合は、楔ピッチ工具T2を取り外す。そして押し出しピッチ工具T4のピッチ工具軸76をスライド台11の穴11bに挿入して、その端部を押し出しピッチ工具ホルダ72の図5に示す上側の切り割り穴72aに挿通して、押し出しピッチ工具T4の先端部を成形するコイルの中心に向けボルトにより締め付け固定する。
【0050】
クイル3より送り出された線材Wは、クイル側成形工具T5,コイル成形工具T6に衝合されて1巻が成形される時点又はそれより前に、サーボモータ82をNC制御で駆動して円板カム83を回動させ、カムフオロア77,スライダ71を介して押し出しピッチ工具T4を所定量前方へ押し出し、コイルの側面を押し所定量のピッチを付与する。成形当初に一定量押し出した後は、押し出し量を変化させなければ一定な等ピッチのコイルが成形される。押し出し量を連続的に変化させれば不等ピッチのコイルが成形される。
【0051】
次に楔ピッチ工具T2を使用して左巻きコイルを成形する場合は、図1,図2において楔ピッチ工具作動体5から楔ピッチ工具T2を取り外し、先の切断工具作動体4に、切断工具T1と入れ替え、楔ピッチ工具T2を取り付け、楔ピッチ工具作動体5には切断工具T1を取り付ける。押さえ板136を弛めて後退させて揺動台112の固定を解除する。
先の切断工具作動体4と芯金工具作動体6とをブッシュ37,ボルト38とで連結した一体状態において、サーボモータ62を駆動してY方向に移動させ楔ピッチ工具T2を下げてクイル3の前面に位置させる。押さえ板36を前進させて切断工具作動体4の揺動台12を固定する。
【0052】
次いでボルト38,ブッシュ37を抜いて切断工具作動体4と芯金工具作動体6とを切り離す。サーボモータ62で芯金工具作動体6をさらに下げて穴41bと先の楔ピッチ工具作動体5のスライド台111の穴111aとを一致させて、ブッシュ37,ボルト38を挿入して一体に締着する。
先の楔ピッチ工具作動体5と芯金工具作動体6をさらに下げて、芯金工具T3を成形すべきコイルに内接する位置とする。カムフオロア131とともに突片112aを取り付ける。先のクイル側成形工具作動体8を下方に移動させて、左巻きコイルの成形すべきコイル径に対しコイル中心を向く略45度の位置に成形工具の成形溝を衝合点に一致させる。先のコイル成形工具作動体9を下方に移動前進、かつ、回動させてクイル3に近い位置で成形コイルの中心を向く略45度の位置に成形工具の形成溝を衝合点に位置決めする。
【0053】
このように準備が終われば右巻きコイル成形時と同様にしてコイルを成形することができる。スイングカットの場合も右巻き成形時と同様である。
比較的大ピッチ成形の場合は、押し出しピッチ工具T4を先の楔ピッチ工具作動体の穴111bにピッチ工具軸76を挿通し、押し出しピッチ工具ホルダ72の下位置の切り割り穴72bに挿入して、押し出しピッチ工具T4を成形すべきコイルの中心に向け固定して同様に成形することができる。
【0054】
なお、右巻きコイル成形時と左巻きコイル成形時は工具配置は図1を裏返した配置となり、切断工具作動体4は楔ピッチ工具作動体,楔ピッチ工具作動体5は切断工具作動体,クイルに近い側の成形工具作動体8はクイルに遠い側の成形工具作動体,クイルに遠い側の成形工具作動体9はクイルに近い側の成形工具作動体となる。
【0055】
【発明の効果】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の発明は、コイル径が相違する異種のコイルを加工する際に、切断工具と芯金工具とは相対位置を維持してそれぞれの切断工具待機位置を位置決めできる。さらに、切断工具作動体と芯金工具との着脱位置を調整する段取り替えが不要であるから、生産能率の向上を図ることができる。
【0056】
また、請求項2の発明は、鼓形コイルのように,巻き終わりコイルの切断部よりも小さいコイル径を有する違径コイルを加工する際に、巻き終わりコイルよりもコイル径が小さくなる加工領域において芯金工具を後退させることで、芯金工具がコイル成形の阻害になることを容易に防止できる。
【0057】
また、請求項3の発明は、鼓形コイルのような違径コイルを加工する際に、少なくともコイル巻き終わり後の切断時期にのみ芯金工具を切断位置に進出させることができる。
【0058】
また、請求項4の発明は、コイル径が相違する異種のコイルを加工する際に、切断工具と芯金工具とに対する相対的位置を維持して移動させることができ、押し出しピッチ工具の突出量を調整する段取り替えが不要になり、生産能率の向上を図ることができる。
【0059】
また、請求項5の発明は、ピッチ付与時期にのみ押し出しピッチ工具をピッチ付与位置に進出させることができるとともに、コイルの巻初めから巻き終わりまでの間に相違するピッチを付与することが容易にできる。
【0060】
また、請求項6の発明は、コイル径が相違する異種のコイルを加工する際に、切断工具作動体および芯金工具作動体の進退位置決めとは無関係に、クイル軸線との相対的位置を楔ピッチ工具作動体上で維持することができ、楔ピッチ工具の位置を調整する段取り替えが不要になり、生産能率の向上を図ることができる。
【0061】
また、請求項7の発明は、ピッチ付与時期にのみ楔ピッチ工具をピッチ付与位置に進出させることができるとともに、コイルの巻初めから巻き終わりまでの間に相違するピッチを付与することが容易にできる。
【0062】
また、請求項8の発明は、楔ピッチ工具でピッチを付与するようにして、右巻きコイルを加工する際には、切断工具が取着された切断工具作動体は芯金工具作動体と一体的に進退移動させ、楔ピッチ工具が取着された楔ピッチ工具作動体は基板に止着し、また、左巻きコイルを加工する際には、切断工具が取着された楔ピッチ工具作動体は芯金工具作動体と一体的に進退移動させ、楔ピッチ工具が取着された切断工具作動体は基板に止着することで,各工具作動体を交換することなく、右巻きと左巻きとのコイル加工が容易にできる。
【0063】
さらに、押し出しピッチ工具でピッチを付与するようにして,右巻きコイルを加工する際には、切断工具が取着された切断工具作動体は、押し出しピッチ工具が切断工具作動体側に取着された芯金工具作動体と一体的に進退移動させ、楔ピッチ工具作動体は基板に止着し、また、左巻きコイルを加工する際には、切断工具が取着された楔ピッチ工具作動体は、押し出しピッチ工具が楔ピッチ工具作動体に取着された芯金工具作動体と一体的に進退移動させ、切断工具作動体は基板に止着することで、各工具作動体を交換することなく、右巻きと左巻きとのコイル加工が容易にできる。
【0064】
また、請求項9の発明は、スイングカット式によるコイル内側への切断バリを防止する線材切断が容易にできる。 特にこのスイングカット式では、切断工具がスイングする直前における切断工具の切刃先端部と芯金工具の切刃先端部との対向位置関係が重要であるが、前記のように、切断工具と芯金工具との相対位置関係を維持してコイル径の変化に容易に対応できる。 また、切断工具によって亀裂が入ったコイルを工具揺動方向に引き裂くのでバリがコイル内方に突出せず軸状体を挿入する場合に支障が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】コイル製造装置の工具作動機構に係る右巻きコイル巻回時の切断工具作動体,楔ピッチ工具作動体,並びにクイル側成形工具,コイル成形工具等の配置を示す説明図で装置を正面から見た平面図である。
【図2】図1の主要部の拡大図を示す説明図である。
【図3】図1のA−A矢視断面を示す図である。
【図4】図3のB−B矢視断面を示す図である。
【図5】図3のC−C矢視断面を示す図である。
【図6】スイングカットの拡大説明図で、aは切断工具の切断開始位置を示す図、bは切断工具がスイングして頂上部が喰い込んだ図、cは切断工具の前進で線材に亀裂が入りコイルを引き裂いた図である。
【図7】成形コイルばねの一例で鼓形コイルばねを示す図である。
【図8】鼓形ばね成形時に縮径して成形されていくコイルと芯金工具との干渉を示す説明図で、aは2巻回分の正面図、bはその断面図である。
【図9】従来技術のツールアツセンブリの斜視図である。
【符号の説明】
1 基板
3 クイル
4 切断工具作動体
5 楔ピッチ工具作動体
6 芯金工具作動体
7 押し出しピッチ工具作動体
8 クイルに近い側の成形工具作動体
9 クイルより遠い側の成形工具作動体
11,111 スライド台
12,112 揺動台
13,113 支軸
14,114,44,71 スライダ
24,26,124,126,53,83 円板カム
16,116,47,77 カムフオロア
22,122,62,52,82 サーボモータ
T1 切断工具
T2 楔ピッチ工具
T3 芯金工具
T4 押し出しピッチ工具
T5 クイル側成形工具
T6 コイル成形工具

Claims (9)

  1. 線材を案内するクイルと、送り出された線材を巻回してコイルを形成する成形工具と、コイルにピッチを付与するピッチ工具と、コイルの終端部を切断する切断工具と、この切断工具と協働でコイルの終端部を切断する芯金工具とをコイル成形空間近傍の基板に備えるコイル製造装置の工具作動機構であって、クイル軸線と直交する切断作用軸線に沿って移動可能に設けられ前記芯金工具を前記基板の前面から突出して着脱可能な芯金工具作動体と、成形コイル径に対応すべく前記芯金工具作動体と随時一体に前記基板の前面で移動可能に設けられ前記切断工具が着脱可能な切断工具作動体と、一体となった該切断工具作動体とともに前記芯金工具作動体を移動制御させる工具作動体移動手段と、前記切断工具作動体上で切断工具を待機位置とコイルの終端部を切断可能な切断位置との間を移動制御させる切断工具移動手段と、前記芯金工具と前記切断工具との切断作用位置が成形するコイル径と対応するように位置決めすべく前記工具作動体移動手段を制御するとともに、前記切断工具を待機位置から切断位置に移動させてコイルの終端部を切断すべく前記切断工具移動手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするコイル製造装置の工具作動機構。
  2. 前記芯金工具は、前記芯金工具作動体で切断位置と待機位置との間をコイル成形軸線と平行に移動可能であるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコイル製造装置の工具作動機構。
  3. 前記芯金工具は、前記芯金工具作動体に設けられ芯金工具移動手段によってコイル成形軸線と平行に移動され、前記芯金工具を切断位置と待機位置との間で位置決めすべく前記制御手段によって前記芯金工具移動手段を制御するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル製造装置の工具作動機構。
  4. 前記ピッチ工具は、押し出しピッチ工具であって、前記芯金工具作動体との共通基体部に設けられた押し出しピッチ工具作動体に前記芯金工具の近傍位置で着脱可能に設けられており、前記押し出しピッチ工具作動体上で押し出しピッチ工具を待機位置とコイルにピッチを付与可能なピッチ付与位置との間をコイル成形軸線と平行に移動可能にしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコイル製造装置の工具作動機構。
  5. 前記押し出しピッチ工具は、前記押し出しピッチ工具作動体に設けられた押し出しピッチ工具移動手段によって進退移動され、この押し出しピッチ工具を待機位置とピッチ付与位置との間で位置決め可能に、かつ、必要に応じてコイル成形中にピッチ付与位置を変位可能に前記制御手段によって前記押し出しピッチ工具移動手段を制御するようにしたことを特徴とする請求項4に記載のコイル製造装置の工具作動機構。
  6. 前記ピッチ工具は、楔ピッチ工具であって、前記基板のクイル軸線を挟んで前記切断工具の反対側に設けられた楔ピッチ工具作動体に着脱可能に設けられており、前記楔ピッチ工具作動体上で待機位置とコイルにピッチを付与可能なピッチ付与位置との間を前記切断作用軸線に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコイル製造装置の工具作動機構。
  7. 前記楔ピッチ工具は、楔ピッチ工具作動体に設けられた楔ピッチ工具移動手段によって進退移動され、この楔ピッチ工具を待機位置とピッチ付与位置との間で位置決め可能に、かつ、必要に応じてコイル成形中にピッチ付与位置を変位可能に前記制御手段によって前記楔ピッチ工具移動手段を制御するようにしたことを特徴とする請求項6に記載のコイル製造装置の工具作動機構。
  8. 前記押し出しピッチ工具作動体は、前記芯金工具の中心軸線を挟んで上下略対称位置のいずれかの位置に前記押し出しピッチ工具を取り付け替え可能に設けられ、前記切断工具作動体は、前記芯金工具作動体と係脱可能、かつ、前記基板に止着可能で、前記切断工具と前記楔ピッチ工具とを取り替え可能に設けられ、前記楔ピッチ工具作動体は、クイル軸線を挟んで前記切断工具作動体と対向する略対称位置で前記芯金工具作動体と係脱可能、かつ、前記基板に止着可能で、前記楔ピッチ工具と切断工具とを取り替え可能に設けられ、前記制御手段は、前記切断工具作動体または楔ピッチ工具作動体に取着された前記切断工具と前記楔ピッチ工具との切断工具待機位置が右巻きまたは左巻きコイルの成形するコイル径と対応するように前記切断工具作動体とともに前記芯金工具作動体を位置決めすべく前記工具作動体移動手段を制御するようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコイル製造装置の工具作動機構。
  9. 前記切断工具作動体は、切断時の切断工具先端軌跡が円弧となるように切断工具保持部材を前記基板と平行な平面上で揺動可能に設け、前記切断工具移動手段には切断工具の進退移動と関連的に前記切断工具保持部材を切断のタイミングに合わせて揺動させる駆動手段を含むものである請求項1乃至8に記載のコイル製造装置の工具作動機構。
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