JP3737643B2 - 成形工具の作動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコイルを加工する成形工具の作動装置に係り、さらに詳しくは、クイルから送り出される線材にクイル側成形工具を衝合させてその線材を湾曲に形成し、この湾曲に形成された線材に更にコイル成形工具を衝合させてその線材を所定の湾曲に形成することで、少なくとも1巻回のコイルを加工する、例えばリング製造装置やコイルばね製造装置に供用される2個の成形工具の作動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術としては、例えば、コイルばねを加工する装置に係る特開平4−89148号公報の発明が知られている。この発明は、図9に示されたように2個のコイリングピンt1,t2によって、線材を湾曲成形することでコイルばねを加工する装置であって、摺動部材イのコイリングピンt1(本発明のコイル成形工具に相当)は、カム201の回動でレバー202が揺動され、このレバー202の揺動でレバー203が揺動され、このレバー203の揺動によってスライダ204を介してコイリングピンt1が進退移動するとともに、スライダ204に設けられた板カム205の進退移動で旋回レバー206が揺動される。摺動部材ロのコイリングピンt2(本発明のクイル側成形工具に相当)は、前記旋回レバー206の揺動によって旋回軸207を中心に、ベース208を介してコイリングピンt2がコイリングピンt1と関連的に揺動するように構成されている。
【0003】
また、他の従来技術として特開平11−738号公報の発明が知られている。この発明は、図10に示されたように2個のポイントツールt3(本発明のコイル成形工具に相当)、t4(本発明のクイル側成形工具に相当)によって、線材を湾曲成形することでコイルばねを加工する装置であって、ポイントツールt3,t4は、前後方向移動テーブル210のX軸作動で連動アーム211が進退移動され、この連動アーム211の進退移動によって、第1傾斜スライドレール212,第2傾斜スライドレール213に沿って傾斜して進退移動するツール固定ブロック214,215を介してポイントツールt3,t4が進退移動し、二つの工具のX座標位置とY軸方向の衝合距離とが位置決めされるとともに、上下方向移動テーブル216のY軸作動でポイントツールt3,t4が、前記X軸座標位置とY軸方向の衝合距離とを維持した状態で進退移動し、二つの工具のY座標位置が位置決めされるように構成されているので、右巻きまたは左巻きのコイルに対して関連部材を取り外した後、クイル軸線に対して対称位置に取り付け、位置調整する必要のないように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した前者の発明においては、コイル径の増減に対応してコイリングピンt1,t2を進退移動または揺動させる成形工具の作動機構は、右巻きまたは左巻きのコイルに対して、前記コイリングピンt1とt2とを選択的に進退移動または揺動させることはできないものである。
すなわち、図9と逆巻きのコイルを巻回する際には、レバー202,レバー203および旋回レバー206と、これらの関連部材とを取り外した後、クイル軸線に対して対称位置に取り付け、位置調整しなければならないので、右巻きまたは左巻きのコイルを適宜選択的に加工する際に、無駄な段取り替え時間を要し、生産性の向上を図る阻害となる問題があった。
【0005】
また、後者の発明においては、増減するコイル径、若しくは、右巻きまたは左巻きのコイルに対して、この線材に衝合するポイントツールt3とt4との座標位置をX,Yテーブルの2軸制御によって得るものであるから、X,Y軸作動で二つの工具の座標位置は関連的に位置決めされ、独立して位置決めすることはできない問題があった。
このために、線材の材質やD/d(コイル径と線材径との比)などによって変化するスプリングバックに対して、例えば、二つの工具の制御系に設定係数を付加して位置決め制御することができない問題があった。また、装置の構成が煩雑で高価になるという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、右巻きまたは左巻きのコイルを適宜選択的に加工する際に、無駄な段取り替え時間を必要とせず、生産性の向上を図ることができるとともに、スプリングバックの変化に対応でき、かつ、装置の構成が簡素にできる成形工具の作動装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために請求項1の発明は、クイルより送り出される線材がクイルに近い側の成形工具とクイルより遠い側の成形工具とに順次衝合して右巻きコイルおよび左巻きコイルを選択的に加工する2個の成形工具の作動装置であって、成形工具が着脱可能に装着されて進退可能なスライダを右巻きコイル成形時および左巻きコイル成形時に進退移動させる工具進退作動機構を有し前記成形工具とともに揺動可能に枢支された工具スライド機構と、右巻きコイル成形時および左巻きコイル成形時に前記工具スライド機構とともに成形工具を揺動させる工具揺動作動機構とから構成されクイル軸線を挟む略対称位置に前記工具スライド機構と前記工具揺動作動機構とをそれぞれ一対に設け、右巻きコイルまたは左巻きコイルのコイル径の増減に対応してクイルに近い側の成形工具はコイル中心に略対向するようにクイル側衝合軌跡に沿って揺動させる前記工具揺動作動機構をまたクイルより遠い側の成形工具は前記コイル中心に略対向するように遠方側衝合軌跡に沿って進退移動させる工具進退作動機構をコイル径の増減に対応して関連的に位置決め制御可能な制御手段を設け、右巻きコイル成形時および左巻きコイル成形時にはクイルに近い側の成形工具とクイルより遠い側の成形工具が前記それぞれの衝合軌跡に沿うように配置を変更して行うものである。
【0009】
これら請求項1の発明によれば、コイル径の増減に対応して、一方のクイルに近い側の成形工具と他方のクイルに遠い側の成形工具とをそれぞれの衝合軌跡に沿って関連的に位置決め可能にしたので、コイル径が相違する異種のコイルを適宜選択的に加工できるとともに、巻初めから巻き終りまでの間に相違するコイル径を有する違径コイルを容易に加工することができる。 また、線材の材質やD/dなどによって変化するスプリングバックに対応して、2個の成形工具の制御系に設定係数を付加して制御することが容易であるから、異種のコイルを加工する際に各コイルの品質向上を図ることができる。 さらに、2個の成形工具が装着される一対の工具スライド機構をクイル軸線を挟む略対称位置に設けたので、右巻き,左巻きのコイルを適宜選択的に加工する際に、無駄な段取り替え時間を必要とせず、生産性の向上を図ることができる。
【0010】
また、請求項2の発明は、前記一対の工具スライド機構の工具保持部は、巻回される線材と衝合可能な前記クイルに近い側の成形工具と前記クイルに遠い側の成形工具とが、クイル軸線と平行な基軸線を挟んで対称に45度傾斜して着脱可能に構成するようにしたものである。
【0011】
この発明によれば、二つの成形工具の成形溝がコイル中心にそれぞれ対向して収束し相互の位置角度が直角をなすようになっているので、湾曲の曲率が安定し正確な円弧のコイルを形成できる。
【0012】
また、請求項3の発明は、前記揺動する工具スライド機構の揺動中心位置は、前記クイルに近い側の成形工具の成形溝部が成形可能な最小コイル径のコイルに衝合する最小径衝合位置と、成形可能な最大コイル径のコイルに衝合する最大径衝合位置とを通る直線に近似する円弧軌跡の円弧中心位置に設けるようにしたものである。
【0013】
この発明によれば、クイルに近い側の成形工具は、コイル径の増減に際して最小径衝合位置と最大径衝合位置との間の位置変位量がクイルに遠い側の成形工具に比べて小さく、その間の成形溝の変位軌跡を直線に近似する円弧軌跡に沿って揺動するようにしたので、進退移動可能なスライド機構に比べて単純な機構に構成できるとともに、他の機構部との干渉を防止することができる。 また、位置変位量がコイル成形工具に比べて小さいので、揺動作用によっても成形溝がコイル中心に対向するように、クイル軸線と平行な基軸線に対して略45度の傾斜角度を維持することができる。
【0014】
また、請求項4の発明は、前記工具スライド機構の前記揺動中心位置は、クイル軸線に対して、コイル径の増大につれて遠ざかるように傾斜する22.5度の直線に近似する円弧軌跡の円弧中心位置に設けるようにしたものである。
【0015】
この発明によれば、クイルに近い側の成形工具は、コイル径の増減に際して最小径衝合位置と最大径衝合位置との間の位置変位量がクイルに遠い側の成形工具に比べて小さく、その間の成形溝の変位軌跡をクイル軸線に対して22.5度の直線に近似する円弧軌跡に沿って揺動するようにしたので、進退移動可能なスライド機構に比べて単純な機構に構成できるとともに、他の機構部との干渉を防止することができる。 また、位置変位量がクイルに遠い側の成形工具に比べて小さいので、揺動作用によっても成形溝がコイル中心に対向するように、クイル軸線と平行な基軸線に対して略45度の傾斜角度を維持することができる。
【0016】
また、請求項5の発明は、前記進退移動する工具スライド機構の進退移動軸線は、前記クイルに遠い側の成形工具の成形溝部が成形可能な最小コイル径のコイルに衝合する最小径衝合位置と、成形可能な最大コイル径のコイルに衝合する最大径衝合位置とを通る直線に平行であるようにしたものである。
【0017】
この発明によれば、クイルに遠い側の成形工具は、その成形溝がコイル中心に対向するように、クイル軸線と平行な基軸線に対して略45度の傾斜角度を維持して、最小径衝合位置と最大径衝合位置とを通る直線に平行に進退移動できるので、湾曲の曲率が安定し正確な円弧のコイルを形成できる。
【0018】
また、請求項6の発明は、前記工具スライド機構の前記進退移動軸線の傾斜角度は、クイル軸線と直交するコイル中心軌跡に対して、コイル径の増大につれて遠ざかるように傾斜する22.5度であるようにしたものである。
【0019】
この発明によれば、クイルに遠い側の成形工具は、その成形溝がコイル中心に対向するように、クイル軸線と平行な基軸線に対して略45度の傾斜角度を維持して、コイル中心軌跡に対して22.5度の傾斜直線に沿って進退移動できるので、湾曲の曲率が安定し正確な円弧のコイルを形成できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の成形工具の作動装置に係る実施の形態は、クイルより送り出された線材を2個の成形工具に順次衝合させて湾曲させコイルを成形する装置で、2個の成形工具が常にコイル中心に対向すべく一対の工具スライド機構をクイル送り出し線材の軸芯に対して上下にハ字形に配しそれぞれの成形工具の成形溝が後述する所定の方向に移動するように構成し、成形工具を進退移動させる工具進退作動機構及び成形工具を揺動させる工具揺動作動機構に二つの実施例を開示するものである。
【0031】
その第1実施例に係る成形工具の作動装置は、図1乃至図3に示すように一対の工具スライド機構が、クイルに近い側の成形工具(以下クイル側成形工具と称す)T1とクイルより遠い側の成形工具(以下コイル成形工具と称す)T2とでコイルを加工する際に成形溝部を進退移動または揺動させる作動機構にカム機構を介在して構成したものである。
また第2実施例は、図4乃至図6に示すように一対の工具スライド機構が、クイル側成形工具T1とコイル成形工具T2とでコイルを加工する際に成形溝部を進退移動または揺動させる作動機構にクランク機構を介在して構成したものである。
【0032】
〔第1実施例〕
本発明の右巻きコイル成形時における線材送り出しと工具の配置を示す正面説明図の図1、図1の工具スライド機構のA−A線断面図を示す図2、図1の工具揺動作動機構のB−B線断面図を示す図3、及び成形コイルの変化するコイル径に対応する2個の成形工具の位置を示す図7にもとづき説明する。先ず本機の工具等の配置を説明する。
【0033】
上下一対の線材送り出しローラ2A,2Bは基板1上に直立して軸承された支軸で回転可能に枢支されており、図示しないNC制御装置で回転制御されるサーボモータで適宜回転される。この線材送り出しローラ2A,2Bの前面には線材案内筒に続くクイル3が送り出し線上に配置されている。
クイル3の前方右斜め下方にはクイル3の前面に向かう成形工具T1(右巻き成形時はクイル側成形工具)の工具スライド機構4が、同じく右斜め上方にはクイル3の前面に向かう成形工具T2(右巻き成形時はコイル成形工具)の工具スライド機構5が配置され横向きのハ字形を形成している。
【0034】
また、クイル3の下位置で生成されるコイルと係合可能にピッチ工具6が上下移動制御並びにコイル巻き方向に対応して取り付け替え可能に配置されている。さらにクイル3の前端面の真上に切刃面が位置する切断工具7が上下移動制御並びにコイル巻き方向に対応して取り替え可能に配置している。
さらにまた、切断工具7の切刃面に対応する相手側切刃がクイル前端面の直上に位置する芯金工具8が成形コイル径並びにコイル巻き方向に対応して上下位置調整可能に配置されている。
【0035】
次いで本発明の特徴の一つである一対の工具スライド機構のうち、右巻きコイルの場合におけるクイル側成形工具の工具スライド機構4を説明する。
【0036】
基板1上にスライド台11がそのスライド案内面11aをクイル3から送り出される線材Wの線材軸線方向Xと直交する上下線Yに対して、下側に開く22.5度の線を挟んで揺動可能に、スライド台11の下隅において基板1に植設された支軸10に枢支状態に設置されている。
【0037】
この支軸10の位置は図7において、成形する最小径のコイルA成形時のクイル側成形工具T1の衝合点P1と、成形する最大径のコイルB成形時のクイル側成形工具T1の衝合点P2を結ぶ軌跡線の二等分位置で直交する線上で、かつ、クイル軸線と直交する線Yに対し略22.5度の線上に位置するスライド台11の軸線と平行な線上の最下点である。したがってコイル成形時の衝合点Pnはスライド台11の揺動によってP1,P2を通る直線に近似する円弧上に位置する。 なお、この円弧は、必ずしも衝合点P1,P2を通る必要はなく、衝合点P1,P2を結ぶ軌跡線に近似するように構成すればよい。
【0038】
スライド案内面11aにはスライダ12が摺動可能に載置され、そのクイル側前端部にクイル側成形工具T1をクイル3の線材送り出し軸線Xに対して下方に略45度に向け、その成形溝T1aが、形成されるコイルの図7に示すコイル中心O1〜O2に対向するように着脱可能に固定された工具ホルダ13が角度調整可能に取り付けられている。
スライダ12の後端部には、カムフオロア14を基板1面に垂直な軸で枢支したフオロアホルダ16が移動方向位置調整可能に取り付けられている。そしてスライダ12上に固着したばね掛けブロック17に螺装した調整ボルト18によって、クイル側成形工具T1の前後位置の微調整が可能である。この微調整によってクイル側成形工具T1の成形溝T1aを所定のコイル径の衝合点に正確に一致させることができる。
【0039】
基板1を貫通して背面に突出する減速機20の出力軸20aをスライド台11の窓11bから突出し、図示しないNC制御装置で駆動制御される減速機20付サーボモータ19がスライド台11に設けられている。そして出力軸20aに円板カム22のカム軸21がキー着されている。この円板カム22はカムフオロア14と当接し、ばね掛けブロック17に左右対称に植設されたばね掛けピン23,23と、このばね掛けピン23,23に対向してスライド台11に植設されたばね掛けピン24,24との間に張設された引張りばね26,26によって円板カム22とカムフオロア14が常時圧接されている。
【0040】
更にスライド台11は支軸10を中心として揺動させるために、クイル3より送り出される線材の軸線Xに対してクイル3前端より下方略22.5度の線上の位置に、基板1を貫通して背面に突出し、NC制御で駆動制御される減速機30付のサーボモータ27が、減速機の出力軸30aを取付板28の窓より突出して取り付けられている。出力軸30aには円板カム31のカム軸29がキー着されている。
一方スライド台11には、工具ホルダ13近くのクイル3の軸線寄りにフロアホルダ32が円板カム31に対向するように設けられており、先端に基板1面に対して直交する軸で枢支されたカムフオロア33が板カム31と当接しうるようになっている。
【0041】
またフロアホルダ32のクイル側にはばね掛けブロック34が締着されていて、フロアホルダ32の後面に当接する調整ボルト36が螺合されていて、フロアホルダ32の位置を微調整可能としている。さらにばね掛けブロック34には2本のばね掛けピン37,37が植設され、取付板28には2本のばね掛けピン38,38が植設されていて、ピン37,37と38,38との間に引張ばね39,39が張設されていて円板カム31とカムフオロア33とが常時圧接されている。
なおスライド台11は基板1から浮き上がることなく安定して揺動可能なように基板1に圧着させるばねを設ける場合もある。
【0042】
次に右巻きコイルの加工を示す第1実施例ではクイルより遠方側になる、コイル成形工具の工具スライド機構5を説明する。
この基本構成はクイル側成形工具の工具スライド機構4と同じであり、クイル送り出し線に対して対称となる上位置に配置されている。したがって同じ部分に100番を加えた番号で表示して説明を省略する。
【0043】
スライド台111は、上隅で支軸10とクイル送り出し線に対し対称となる位置の支軸110により枢支されており、コイル成形工具T2は図1で左斜め下向きの成形溝が、コイル中心に対向する45度の方向に配置されている。従ってクイル側成形工具T1,コイル成形工具T2とは90度をなし、クイルの送り出し軸線と平行な基軸線を挟んで互いに45度をなす。
そしてスライド台111を揺動させるサーボモータ,円板カム131はクイル送り出し軸線に対してクイル側成形工具の工具スライド機構4のスライド台11を揺動させるサーボモータ27,円板カム31と対称位置に配置されている。
【0044】
図7は、上述のように配置されたクイル側成形工具の工具スライド機構4、および、クイルより遠いコイル成形工具の工具スライド機構5のクイル側成形工具T1,コイル成形工具T2及びその各成形溝の衝合点がコイル径に対応して変位する移動軌跡を説明したものである。
即ち、クイル側成形工具T1はクイル前端より立ち上がる垂直線Yの線上に位置する最小径コイルAのコイル中心O1に対向する方向である。そしてクイル軸線と平行な基軸線に対して下方45度の方向に設けられ、線材との衝合点はP1である。
【0045】
成形すべきコイルのコイル径が増大することにより、コイル中心Onは垂直線Y上を移動し最大径コイルBの中心O2に変位する。これに伴い衝合点Pnは、クイル先端をS点とすると、コイルAの円の中心角S・O1・P1=45度であるので二等辺三角形S・O1・P1の底角は67.5度。従ってクイル軸線と線S・P1とのなす角は22.5度となり、コイル径の変化につれて移動する衝合点Pnはこの22.5度の線上に位置し、最大径コイルBの衝合点P2に到達する。
【0046】
本第1実施例および後述する第2実施例では、クイル側成形工具T1の衝合位置を揺動によって衝合点P1・・・Pn・・・P2に移動させるもので、円弧P1・P2をほぼ直線P1・P2に近似させるものである。従って回動半径が大きい程直線に近くなる。
コイル成形工具T2は最小径のコイルAの中心O1を向く方向で、クイル軸線と平行な基軸線に対して上方45度の方向に設けられ、線材との衝合点はQ1である。コイル径が増大することによりその衝合点Qnは、コイルAの円の中心角Q1・O1・O2=45度であるので、その円周角Q1・S・O1は22.5度となり、衝合点Qnはこの22.5度の線上を移動して最大径のコイルBの衝合点Q2に変位する。そこでコイル成形工具T2のスライド台111はこの22.5度の線と平行な軸線上を移動させるものである。
【0047】
次に、上述した一対の工具スライド機構4,5により右巻きコイルの成形動作について説明する。
【0048】
図7において、最小径のコイルAを成形するものとする。
クイル側成形工具の工具スライド機構4は、サーボモータ19により円板カム22の回動でクイル側成形工具T1を線材Wと衝合する前進位置とする。また、工具揺動作動機構のサーボモータ27により円板カム31を回動させ、円板カム31に圧接されているカムフオロア33を介してスライド台11が支軸10を中心として揺動される。
そしてクイル側成形工具T1の成形溝T1aとコイルAのコイル径位置となる線材衝合点P1に回動位置決めする。
【0049】
さらにクイルより遠いコイル成形工具の工具スライド機構5は、図示しないサーボモータにより円板カム131を回動させて、支軸110を揺動中心にスライド台111を揺動させて、スライダ112の軸線を垂直線Yに対して22.5度に位置決めした後、図示しないサーボモータにより円板カム122を回動させてスライダ112を前進させ、コイルAのコイル径位置となる線材衝合点Q1にコイル成形工具T2の成形溝を位置決めする。このように2個の成形工具T1,T2の位置決めの準備が終了すると、NC制御のサーボモータで回転駆動される上下一対の送り出しローラ2A,2Bが寸転され線材Wがクイル3より少し送り出される。成形の最初においては送り出された線材の先をクイル側成形工具T1,コイル成形工具T2のそれぞれの成形溝に手作業で係合させる(なお、加工されるコイルが2個目以後はこの操作は不要である)。 このようにして線材が係合した後、送り出しローラ2A,2Bを連続回転させる。
【0050】
送り出しローラ2A,2Bで送り出された線材Wは、クイル側成形工具T1の成形溝T1aに衝合されつつ、上方に湾曲される。湾曲された線材はコイル成形工具T2の成形溝に更に衝合されて、クイル3先端,クイル側成形工具T1,コイル成形工具T2の3点によって規定される円弧となりコイルが形成される。必要により一巻きのコイル成形と同期又はそれ以前に上昇したピッチ工具6がコイルの側面に係合してコイルに所定のピッチが形成される。所定長のコイルが形成されたとき線材Wの送り出しが停止され、切断工具7が下降して芯金工具8との共働により線材Wが切断され一個のコイルが形成される。
【0051】
さらに図7の最大径のコイルBを成形するものとする。
クイル側成形工具T1が前進位置においてサーボモータ27が円板カム31を回動して、スライド台11を支軸10を中心として回動させる。クイル側成形工具T1の成形溝T1aを図7のコイルBとの衝合点となる位置P2に位置決めする。またクイルより遠いコイル成形工具の工具スライド機構5のサーボモータ、円板カム122を回動して、コイル成形工具T2の成形溝をコイルBの衝合点Q2となるよう垂直線Yから22.5度の線に沿って後退させて位置決めする。
芯金工具8を真上に移動させコイルBに内接する位置とする。
このあとコイルAの場合と同様の手順で最大径のコイルBが成形される。
【0052】
なおコイルAとコイルBとの中間のコイル成形に際してはクイル側成形工具T1の成形溝T1aの衝合点Pnへの移動はスライド台11を支軸10を中心として揺動させるため、P1・P2を結ぶ円弧はクイル軸線に対する22.5度の線より僅かにコイル中心側に出る。この量は極く僅かであるので一般には成形コイルの径は誤差範囲に入るのもであるが、正確なコイル径が要求される場合には、サーボモータ19,円板カム22を回動して、衝合点Pnが22.5度の線よりずれた分だけクイル側成形工具T1を後退させることによって補正することができる。一方のコイル成形工具T2は円板カム122の回動によって垂直線Yに対して22.5度の線に沿って移動させ中間衝合点Qnの位置に位置決めするものである。
【0053】
次に左巻きコイルを加工する際における成形工具の配置を示す図8にもとづき説明する。各構成要素について変わるところはなく工具の配置が変更されるだけである。またこの場合図7の成形コイルの変化するコイル径に対応した成形工具の移動軌跡は、クイル3の軸線に対して上下対称に形成される。即ち図7の裏返しとなる。
【0054】
ピッチ工具6,切断工具7,芯金工具8はそれぞれ上下対称位置に取付替えされる。 この左巻きコイルを加工する際には、先の右巻きコイルにおいて右巻きコイル成形工具T2であったものが、左巻きクイル側成形工具T2となる。即ち左巻きのAコイルの成形に際しては、クイルより遠い先の右巻きコイル成形工具の工具スライド機構5のサーボモータにより円板カム122を回動してスライダ112を大きく前進させるとともに、必要によりサーボモータ,円板カム131を回動してスライド台111を揺動させて、先の右巻きコイル成形工具T2の成形溝を衝合点P1のクイル送り出し軸線に対して対称な位置P´1(図示せず)に位置決めする。この時点で先の右巻きコイル成形工具T2は、この左巻きコイルを加工する際には左巻きクイル側成形工具T2となる。先の右巻きクイル側成形工具T1であったものは、この左巻きコイルを加工する際には左巻きコイル成形工具T1となる。即ち左巻きAコイルの成形で先の右巻きクイル側成形工具の工具スライド機構4のサーボモータ19,円板カム22を回動してスライダ12を大きく後退させるとともに、必要によりサーボモータ27,円板カム31を回動してスライド台11を回動し先の右巻きクイル側成形工具T1の成形溝を衝合点Q1のクイル軸線に対して対称な位置Q´1(図示せず)に位置決めする。この時点で先の右巻きクイル側成形工具T1は、左巻きコイル成形工具T1となる。
【0055】
芯金工具8をコイルA´に内接する位置とする。
このように準備が整ったあと同様にしてクイル3より送り出された線材を左巻きクイル側成形工具T2,左巻きコイル成形工具T1のそれぞれの成形溝に衝合させて、線材を連続して送り出せばコイルが形成される。このように左巻きのコイルA´も同様にして成形することができる。
【0056】
大径の左巻きコイルB´を成形するには同様にして、左巻きクイル側成形工具T2を円板カム131の回動でスライド台111を揺動させ成形溝をP2と対称点P´2に位置決めし、左巻きコイル成形工具T1を円板カム22の回動で大きく22.5度の線に沿って後退させQ2のクイル軸線に対する対称点Q´2に位置決めさせる。また芯金工具8をコイルB´に内接する位置に位置決めすることにより、同様に左巻きコイルB´が成形可能となる。
【0057】
〔第2実施例〕
ピッチ工具,切断工具,芯金工具、並びに、第1実施例においてはカム機構による開示をした成形工具の進退移動と揺動との作動機構に替え、偏心クランク機構を採用したクイルに近いクイル側成形工具の工具スライド機構4、および、クイルより遠いコイル成形工具の工具スライド機構5の平面図である図4、図4のC−C断面図の図5、図4のD−D断面図の図6にもとづき説明する。
【0058】
それぞれ先の第1実施例の変更のない部分は第1実施例と同じ部品番号を付して説明を省し、変更になった部分のみを説明する。
この第2実施例の工具スライド機構は、工具進退作動機構が、第1実施例で開示したクイル側成形工具の工具スライド機構4の円板カム22によるカム機構に替えて、クランク機構にしたものである。即ちサーボモータ19の減速機20の出力軸に円板41がキー着されていて、偏心位置に球継ぎ手の雄側の球体42が軸部において固着されている。一方スライダ12の後端部には球継ぎ手の雌側の球座46を保持した継ぎ手体47がボルトにより締着されている。そして球体42に嵌合枢結した継ぎ手の雌側の球座を有するロッド43と、球座46と嵌合枢結した球体44aを有するロッド44とが長さ調整可能に螺結されている。従ってクランク機構と球継ぎ手で駆動源とスライダを連結したので進退両方向に伝達作用が可能となり、第1実施例で張設した引張ばね26,26は不要となる。
【0059】
また、工具揺動作動機構は、第1実施例で開示したクイル側成形工具の工具スライド機構4の円板カム31によるカム機構に替えて、クランク機構にしたものである。
即ちサーボモータ27の減速機30の出力軸に円板51がキー着されていて、偏心位置に球継ぎ手の雄側の球体52が軸部において固着されている。
一方スライド台11の側面に球継ぎ手の雌側の球座56が設けられている。そして球体52に嵌合枢結した継ぎ手の雌側の球座を有するロッド53と、球座56と嵌合枢結した球体54aを有するロッド54とが長さ調整可能に螺結されている。従ってクランク機構と球継ぎ手で駆動源とスライド台11とを連結したので進退両方向に伝達作用が可能となり、第1実施例で張設した引張ばね39,39は不要となる。
さらにこの第2実施例において、クイル3より遠いコイル成形工具の工具スライド機構5のクイル側成形工具の工具スライド機構4と同じ部分は100番を付加して番号として説明を省略する。
この第2実施例の作用も第1実施例と変わるところはないので特に説明しない。
【0060】
【発明の効果】
上述のようであるので本願発明は以下の効果を奏する。
請求項1の発明は、コイル径の増減に対応して、一方のクイル側成形工具と他方のコイル成形工具とをそれぞれの衝合軌跡に沿って関連的に位置決め可能にしたので、コイル径が相違する異種のコイルを適宜選択的に加工できるとともに、巻初めから巻き終りまでの間に相違するコイル径を有する違径コイルを容易に加工することができる。 また、線材の材質やD/dなどによって変化するスプリングバックに対応して、2個の成形工具の制御系に設定係数を付加して制御することが容易であるから、異種のコイルを加工する際に各コイルの品質向上を図ることができる。 さらに、2個の成形工具が装着される一対の工具スライド機構をクイル軸線を挟む略対称位置に設けたので、右巻き,左巻きのコイルを適宜選択的に加工する際に、無駄な段取り替え時間を必要とせず、生産性の向上を図ることができる。
【0061】
また、請求項2の発明は、クイル側成形工具とコイル成形工具との成形溝がコイル中心にそれぞれ対向して収束し相互の位置角度が直角をなすようになっているので、線材の湾曲の曲率が安定して正確な円弧のコイルを形成できる。
【0062】
また、請求項3の発明は、クイル側成形工具は、コイル径の増減に際して最小径衝合位置と最大径衝合位置との間の位置変位量がコイル成形工具に比べて小さく、その間の成形溝の変位軌跡を直線に近似する円弧軌跡に沿って揺動するようにしたので、進退移動可能なスライド機構に比べて単純な機構に構成できるとともに、他の機構部との干渉を防止することができる。 また、位置変位量がコイル成形工具に比べて小さいので、揺動作用によっても成形溝がコイル中心に対向するように、クイル軸線と平行な基軸線に対して略45度の傾斜角度を維持することができる。
【0063】
また、請求項4の発明は、クイル側成形工具は、コイル径の増減に際して最小径衝合位置と最大径衝合位置との間の位置変位量がコイル成形工具に比べて小さく、その間の成形溝の変位軌跡をクイル軸線に対して22.5度の直線に近似する円弧軌跡に沿って揺動するようにしたので、進退移動可能なスライド機構に比べて単純な機構に構成できるとともに、他の機構部との干渉を防止することができる。 また、位置変位量がコイル成形工具に比べて小さいので、揺動作用によっても成形溝がコイル中心に対向するように、クイル軸線と平行な基軸線に対して略45度の傾斜角度を維持することができる。
【0064】
また、請求項5の発明は、コイル成形工具は、その成形溝がコイル中心に対向するように、クイル軸線と平行な基軸線に対して略45度の傾斜角度を維持して、最小径衝合位置と最大径衝合位置とを通る直線に平行に進退移動できるので、湾曲の曲率が安定し正確な円弧のコイルを形成できる。
【0065】
また、請求項6の発明は、コイル成形工具は、その成形溝がコイル中心に対向するように、クイル軸線と平行な基軸線に対して略45度の傾斜角度を維持して、コイル中心軌跡に対して22.5度の傾斜直線に沿って進退移動できるので、湾曲の曲率が安定し正確な円弧のコイルを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】右巻きコイル成形時の工具の配置を示し、工具スライド機構を第1実施例とした説明正面図である。
【図2】図1のクイルに近い、クイル側成形工具の工具スライド機構のA−A線断面図である。
【図3】図1のクイルに近い、クイル側成形工具の工具スライド機構のB−B線断面図である。
【図4】右巻きコイル成形時の工具の配置を示し、工具スライド機構を第2実施例とした説明正面図である。
【図5】図4のクイルに近い、クイル側成形工具の工具スライド機構のC−C線断面図である。
【図6】図4のクイルに近い、クイル側成形工具の工具スライド機構のD−D線断面図である。
【図7】成形コイルの変化するコイル径に対応するクイル側成形工具,コイル成形工具の位置関係を示す説明図である。
【図8】左巻きコイル成形時の工具の配置を示し、工具スライド機構を第1実施例とした説明正面図である。
【図9】従来技術の成形工具作動装置並びに関連部材を示す説明平面図である。
【図10】他の従来技術の成形工具作動装置並びに関連部材を示す説明平面図である。
【符号の説明】
1 基板
3 クイル
4 クイルに近いクイル側の成形工具の工具スライド機構
5 クイルより遠いコイル側の成形工具の工具スライド機構
10,110 支軸
11,111 スライド台
12,112 スライダ
21,31,121,131 円板カム
14,33,114,133 カムフオロア
41,51,141,151 円板
52,42 球体
43,44,53,54,143,144,153,154 ロッド
T1 右巻きクイル側成形工具(左巻きコイル成形工具)
T2 右巻きコイル成形工具(左巻きクイル側成形工具)
Claims (6)
- クイルより送り出される線材がクイルに近い側の成形工具とクイルより遠い側の成形工具とに順次衝合して右巻きコイルおよび左巻きコイルを選択的に加工する2個の成形工具の作動装置であって、成形工具が着脱可能に装着されて進退可能なスライダを右巻きコイル成形時および左巻きコイル成形時に進退移動させる工具進退作動機構を有し前記成形工具とともに揺動可能に枢支された工具スライド機構と、右巻きコイル成形時および左巻きコイル成形時に前記工具スライド機構とともに成形工具を揺動させる工具揺動作動機構とから構成されクイル軸線を挟む略対称位置に前記工具スライド機構と前記工具揺動作動機構とをそれぞれ一対に設け、右巻きコイルまたは左巻きコイルのコイル径の増減に対応してクイルに近い側の成形工具はコイル中心に略対向するようにクイル側衝合軌跡に沿って揺動させる前記工具揺動作動機構をまたクイルより遠い側の成形工具は前記コイル中心に略対向するように遠方側衝合軌跡に沿って進退移動させる工具進退作動機構をコイル径の増減に対応して関連的に位置決め制御可能な制御手段を設け、右巻きコイル成形時および左巻きコイル成形時にはクイルに近い側の成形工具とクイルより遠い側の成形工具が前記それぞれの衝合軌跡に沿うように配置を変更して行うことを特徴とする成形工具の作動装置。
- 前記一対の工具スライド機構の工具保持部は、巻回される線材と衝合可能な前記クイルに近い側の成形工具と前記クイルより遠い側の成形工具とが、クイル軸線と平行な基軸線を挟んで対称に45度傾斜して着脱可能に構成するようにした請求項1に記載の成形工具の作動装置。
- 前記揺動する工具スライド機構の揺動中心位置は、前記クイルに近い側の成形工具の成形溝部が成形可能な最小コイル径のコイルに衝合する最小径衝合位置と、成形可能な最大コイル径のコイルに衝合する最大径衝合位置とを通る直線に近似する円弧軌跡の円弧中心位置に設けるようにした請求項1または2に記載の成形工具の作動装置。
- 前記工具スライド機構の前記揺動中心位置は、クイル軸線に対して、コイル径の増大につれて遠ざかるように傾斜する22.5度の直線に近似する円弧軌跡の円弧中心位置に設けるようにした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の成形工具の作動装置。
- 前記進退移動する工具スライド機構の進退移動軸線は、前記クイルより遠い側の成形工具の成形溝部が成形可能な最小コイル径のコイルに衝合する最小径衝合位置と、成形可能な最大コイル径のコイルに衝合する最大径衝合位置とを通る直線に平行であるようにした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の成形工具の作動装置。
- 前記工具スライド機構の前記進退移動軸線の傾斜角度は、クイル軸線と直交するコイル中心軌跡に対して、コイル径の増大につれて遠ざかるように傾斜する22.5度であるようにした請求項1乃至5のいずれか1項に記載の成形工具の作動装置。
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