JP3640494B2 - トランスミッションの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、トランスミッションの取付構造に係り、特にトランスミッションとの取付け剛性を向上し、騒音の発生を低減し得るトランスミッションの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、トランスミッションのトランスミッションケースにミッション用取付ボルトで取付けられるミッション側マウントブラケット、車体に車体用取付ボルトで取付けられる車体側マウントブラケット、そして、ミッション側マウントブラケットと車体側マウントブラケットとの間に介在されるゴムマウント等の部材を設け、トランスミッションを車体に弾性支持している。
【0003】
このようなトランスミッションの取付構造としては、例えば、特開昭62−64623号公報、特開昭58−149824号公報に開示されている。特開昭62−64623号公報に記載のものは、弾性体を車体上下方向に対して車体前後方向に傾斜させて設けるとともに、弾性体の厚さを一端部と他端部との間で異ならしめたことにより、路面側からの振動入力によりパワーユニットの上下振動を、車体前後振動に確実に達成させ、振動エネルギを確実に分散させてエンジンシェイクを改善するものである。特開昭58−149824号公報に記載のものは、横置きエンジンのパワーユニットの支持装置において、マウントブラケットとベアリングブラケットを一体に結合するとともに、この一体に結合された両ブラケットに共通の取付部を形成し、取付部をパワーユニットに装着することにより、両ブラケットの装着を1回の組付作業で行なわせることができ、作業能率の向上を図るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のトランスミッションの取付構造にあっては、トランスミッションが受ける回転方向の力はミッション側マウントブラケット等に作用する等の理由で、トランスミッションとの取付け剛性が低下してしまい、このため、トランスミッションで発生したギヤ音が車体に伝達して騒音が大きく発生するという不都合があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述の不都合を除去するために、トランスミッションを車体に弾性支持して取付けるトランスミッションの取付構造において、前記トランスミッションのトランスミッションケースの下部には前記トランスミッションの前後方向に傾斜するオイルパン取付面を形成し、このオイルパン取付面にミッションオイルを貯留するオイルパンを設け、前記車体にはゴムマウントが備えられた車体側マウントブラケットを三点支持して設け、前記トランスミッションケースには前記トランスミッションの前後方向に指向して前記車体側マウントブラケットと連結するミッション側マウントブラケットを設け、このミッション側マウントブラケットは、取付側部材と、この取付側部材の端部位に連設した上側部材と、この上側部材の内面に重合し且つ前記取付側部材に固着され、中央部位にV字形状の補強用折曲部が形成された補強部材とからなり、前記取付側部材の前端部が前記トランスミッションの前後方向に並んで位置する複数の前側ミッション用取付ボルトによって前記トランスミッションケースに取付けられるとともに前記取付側部材の後端部が前記トランスミッションの上下方向に並んで位置する複数の後側ミッション用取付ボルトによって前記トランスミッションケースに取付けられたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明において、トランスミッションが受ける回転方向の力は、複数の前側ミッション用取付ボルトを取付けるトランスミッションケースの前側ボルトボスと複数の後側ミッション用取付ボルトを取付けるトランスミッションケースの後側ボルトボスとによって受けられる。これにより、トランスミッションとの取付け剛性を向上し、よって、トランスミッションで発生したギヤ音が車体に伝達するのを回避させ、騒音の発生を低減することができる。
【0007】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。図1〜14は、この発明の実施例を示すものである。図1、2において、2は車両のエンジン(図示せず)に連結されるギヤ式のトランスミッション、4はトランスミッションケース、6はオイルレベルゲージ、8は車体である。トランスミッション2は、車体8に弾性支持されるものである。
【0008】
図1に示す如く、トランスミッションケース4の下部には、トランスミッション2の前後方向に傾斜するオイルパン取付面10が形成される。このオイルパン取付面10は、前方側が水平線HLに対して大きく傾斜する一方、後方側が水平線HLに対して小さく傾斜し、水平線HLに対して所定の角度θで傾いて形成されている。
【0009】
この傾斜したオイルパン取付面10には、ミッションオイルを貯留するオイルパン12が取付けられる。
【0010】
このように、傾斜したオイルパン取付面10にオイルパン12を取付けることにより、オイルパン12の容量を大きくすることができるものである。
【0011】
また、トランスミッションケース4の側面には、トランスミッション2の前後方向に指向して延設するミッション側マウントブラケット14が取付けられる。このため、トランスミッションケース4の側面には、前方側において水平方向に並んだ第1、第2前側取付ボルトボス16−1、16−2が側方に突出して設けられるとともに、後方側において垂直方向に並んだ第1、第2後側取付ボルトボス18−1、18−2が側方に突出して設けられている。
【0012】
ミッション側マウントブラケット14は、図4〜6に示す如く、取付側部材20と、この取付側部材20の端部位に略直角に連設した上側部材22と、この上側部材22の内面に重合し且つ取付側部材20に溶接で固着された補強部材24とからなる。この補強部材24には、中央部位にV字形状の補強用折曲部24aが形成されている。
【0013】
取付側部材20には、トランスミッション2の前方側の前端部26に、トランスミッション2の前後方向で、且つ水平方向に位置する複数の、例えば2つの第1、第2前側ボルト孔28−1、28−2が並んで形成されるとともに、トランスミッション2の後方側の後端部30に、トランスミッション2の上下方向で、且つ垂直方向に位置する複数の、例えば2つの第1、第2後側ボルト孔32−1、32−2が並んで形成される。第1、第2前側ボルト孔28−1、28−2は、第1、第2前側取付ボルトボス16−1、16−2に対応して形成されている。また、第1、第2後側ボルト孔32−1、32−2は、第1、第2後側取付ボルトボス18−1、18−2に対応して形成されている。2つの第1、第2前側ボルト孔28−1、28−2の各中心を通る前側ボルト孔中心線28Cと2つの第1、第2後側ボルト孔32−1、32−2の各中心を通る後側ボルト孔中心線32Cとは、直交して配置される。
【0014】
これにより、ミッション側マウントブラケット14は、前端部26が水平方向に並んで第1、第2前側ボルト孔28−1、28−2に挿通した複数の、例えば第1、第2前側ミッション用取付ボルト34−1、34−2によってトランスミッションケース4に締着して取付けられるとともに、後端部30が垂直方向に並んで第1、第2後側ボルト孔32−1、32−2に挿通した複数の、例えば第1、第2後側ミッション用取付ボルト36−1、36−2によってトランスミッションケース4に締着して取付けられる。よって、第1、第2前側ミッション用取付ボルト34−1、34−2の並列方向と第1、第2後側ミッション用取付ボルト36−1、36−2との並列方向とは、直交するものである。
【0015】
また、重合した上側部材22と補強部材24とには、図5に示す如く、上下方向に貫通する第1、第2ボルト用長孔38−1、38−2が形成される。
【0016】
ミッション側マウントブラケット14には、トランスミッション2を車体8に弾性支持するように、車体側マウントブラケット40が連結して設けられる。
【0017】
この車体側マウントブラケット40は、図7〜14に示す如く、第1車体側部材42と、第2車体側部材44と、第1車体側部材42と第2車体側部材44間に介在されるゴムマウント46とからなる。
【0018】
第1車体側部材42は、ミッション側マウントブラケット14の第1、第2ボルト用長穴38−1、38−2に挿通する第1、第2挿通ボルト48−1、48−2が固定された支持体50と、この支持体50に立設した第1マウント保持体52と、支持体50に対峙して立設した左右の係止体54−1、54−2とからなる。
【0019】
第2車体側部材44は、第1マウント保持体52に対峙する第2マウント保持体56と、この第2マウント保持体56に連設した上方支持体58と、第2マウント保持体56に連設した左右の側方支持体60−1、60−2とからなる。この側方支持体60−1、60−2の途中には、湾曲部62−1、62−2が夫々形成されている。
【0020】
ゴムマウント46は、第1マウント保持体52と第2マウント保持体56とに固着されるマウント本体部64と、このマウント本体部64に連設されて挿通溝66−1、66−2を有する折曲部68−1、68−2とからなる。
【0021】
第2車体側部材44には、上方支持体58と側方支持体60−1、60−2とが略三角形に配設し、これら上方支持体58と側方支持体60−1、60−2に第1〜3車体側ボルト孔70−1〜70−3が形成されるとともに、第1〜3固着ナット72−1〜72−3が溶接によって固着されている。この第1〜3固着ナット72−1〜72−3には、第1〜3車体用取付ボルト74−1〜74−3が螺着される。
【0022】
また、第2車体側部材44の湾曲部62−1、62−2には、図11、12に示す如く、上下方向から挾持するC字形状の嵌合体76−1、76−2が設けられる。
【0023】
また、ゴムマウント46のマウント本体部64には、上方から、カバー部材78が取付けられる。このカバー部材78には、係止体54−1、54−2に係合する係合片80−1、80−2が設けられている。
【0024】
図9に示す如く、第1マウント保持体52と第2マウント保持体56間にゴムマウント46が保持され且つ挿通溝66−1、66−2に係止体54−1、54−2が挿着されることにより、空間部82−1、82−2が形成される。なお、図1において、符号84−1、84−2は、第1、ミッション側マウントブラケット14と車体側マウントブラケット40とを連結するように、第2挿通ボルト48−1、48−2に螺着する第1、第2取付用ナットである。
【0025】
次に、この実施例の作用を説明する。
【0026】
トランスミッションケース4の第1、第2前側ボルトボス16−1、16−2には、ミッション側マウントブラケット14の第1、第2前側ボルト孔28−1、28−2に挿通した第1、第2前側ミッション用取付ボルト34−1、34−2を取付ける。また、トランスミッションケース4の第1、第2後側ボルトボス18−1、18−2には、第1、第2後側ボルト孔32−1、32−2に挿通した第1、第2後側ミッション用取付ボルト36−1、36−2を取付ける。これにより、ミッション側マウントブラケット14は、トランスミッションケース4に取付けられる。このとき、第1、第2前側ボルト孔28−1、28−2の各中心を結ぶ前側ボルト孔中心線28Cと、第1、第2後側ボルト孔32−1、32−2の各中心を結ぶ後側ボルト孔中心線32Cとは、直交している。
【0027】
このミッション側マウントブラケット14は、車体側マウントブラケット40の第1、第2挿通ボルト48−1、48−2が第1、第2ボルト用長穴38−1、38−2に挿通され、第1、第2挿通ボルト48−1、48−2に第1、第2取付用ナット84−1、84−2が螺着されることにより、車体側マウントブラケット40と連結される。
【0028】
この車体側マウントブラケット40は、第1〜3固着ナット72−1〜72−3に螺着した第1〜3車体用取付ボルト74−1〜74−3により、車体8に三点支持される。
【0029】
この結果、この実施例にあっては、ミッション側マウントブラケット14をトランスミッションケース4の側面に取付ける場合に、第1、第2前側ミッション用取付ボルト34−1、34−2上の前側ボルト孔中心線28Cと第1、第2後側ミッション用取付ボルト36−1、36−2上の後側ボルト孔中心線32Cとが直交しているので、その取付部位の強度・剛性が向上し、トランスミッション2が受ける回転方向の力を前側、後側ボルトボス16、18で受けさせることができ、これにより、トランスミッション2で発生したギヤ音が車体8に伝達しにくくなり、騒音の発生を低減することができる。
【0030】
また、トランスミッション2のオイルパン取付面10を前後方向に傾斜させたことにより、オイルパン12の容量を大きくし、多くのミッションオイルを貯留させることができる。
【0031】
更に、車体側マウントブラケット40を車体2に三点支持させるので、その取付状態を堅固にすることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上詳細な説明から明らかなようにこの発明によれば、トランスミッションのトランスミッションケースの下部にはトランスミッションの前後方向に傾斜するオイルパン取付面を形成し、このオイルパン取付面にミッションオイルを貯留するオイルパンを設け、車体にはゴムマウントが備えられた車体側マウントブラケットを三点支持して設け、トランスミッションケースにはトランスミッションの前後方向に指向して車体側マウントブラケットと連結するミッション側マウントブラケットを設け、このミッション側マウントブラケットは、取付側部材と、この取付側部材の端部位に連設した上側部材と、この上側部材の内面に重合し且つ取付側部材に固着され、中央部位にV字形状の補強用折曲部が形成された補強部材とからなり、取付側部材の前端部がトランスミッションの前後方向に並んで位置する複数の前側ミッション用取付ボルトによってトランスミッションケースに取付けられるとともに取付側部材の後端部がトランスミッションの上下方向に並んで位置する複数の後側ミッション用取付ボルトによってトランスミッションケースに取付けられたことにより、トランスミッションが受ける回転方向の力を、複数の前側ミッション用取付ボルトを取付けるトランスミッションケースの前側ボルトボスと複数の後側ミッション用取付ボルトを取付ける後側ボルトボスとによって受けさせ、これにより、トランスミッションとの取付け剛性を向上し、よって、トランスミッションで発生したギヤ音が車体に伝達するのを回避させ、騒音の発生を低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トランスミッションの側面図である。
【図2】 トランスミッションの正面図である。
【図3】 図1のIII−III線による断面図である。
【図4】 ミッション側マウントブラケットの正面図である。
【図5】 ミッション側マウントブラケットの平面図である。
【図6】 ミッション側マウントブラケットの右側面図である。
【図7】 車体側マウントブラケットの正面図である。
【図8】 図7のVIII−VIII線による断面図である。
【図9】 図8のIX−IX線による断面図である。
【図10】 車体側マウントブラケットの平面図である。
【図11】 嵌合体の正面図である。
【図12】 嵌合体を湾曲部に嵌着した状態の平面図である。
【図13】 カバー部材の平面図である。
【図14】 カバー部材の正面図である。
【符号の説明】
2 トランスミッション
4 トランスミッションケース
8 車体
10 オイルパン取付面
12 オイルパン
14 ミッション側マウントブラケット
16 前側ボルトボス
18 後側ボルトボス
40 車体側マウントブラケット
42 第1車体側部材
44 第2車体側部材
46 ゴムマウント
Claims (2)
- トランスミッションを車体に弾性支持して取付けるトランスミッションの取付構造において、前記トランスミッションのトランスミッションケースの下部には前記トランスミッションの前後方向に傾斜するオイルパン取付面を形成し、このオイルパン取付面にミッションオイルを貯留するオイルパンを設け、前記車体にはゴムマウントが備えられた車体側マウントブラケットを三点支持して設け、前記トランスミッションケースには前記トランスミッションの前後方向に指向して前記車体側マウントブラケットと連結するミッション側マウントブラケットを設け、このミッション側マウントブラケットは、取付側部材と、この取付側部材の端部位に連設した上側部材と、この上側部材の内面に重合し且つ前記取付側部材に固着され、中央部位にV字形状の補強用折曲部が形成された補強部材とからなり、前記取付側部材の前端部が前記トランスミッションの前後方向に並んで位置する複数の前側ミッション用取付ボルトによって前記トランスミッションケースに取付けられるとともに前記取付側部材の後端部が前記トランスミッションの上下方向に並んで位置する複数の後側ミッション用取付ボルトによって前記トランスミッションケースに取付けられたことを特徴とするトランスミッションの取付構造。
- 前記ミッション側マウントブラケットは、前記取付側部材の前端部が水平方向に並んだ前記複数の前側ミッション用取付ボルトによって前記トランスミッションケースに締着して取付けられるとともに、前記取付側部材の後端部が垂直方向に並んだ前記複数の後側ミッション用取付ボルトによって前記トランスミッションケースに締着して取付けられたことを特徴とする請求項1に記載のトランスミッションの取付構造。
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1997
- 1997-02-19 JP JP05102397A patent/JP3640494B2/ja not_active Expired - Fee Related
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