JP3639822B2 - 赤外反射防止膜 - Google Patents

赤外反射防止膜 Download PDF

Info

Publication number
JP3639822B2
JP3639822B2 JP2002203545A JP2002203545A JP3639822B2 JP 3639822 B2 JP3639822 B2 JP 3639822B2 JP 2002203545 A JP2002203545 A JP 2002203545A JP 2002203545 A JP2002203545 A JP 2002203545A JP 3639822 B2 JP3639822 B2 JP 3639822B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
film
zns
substrate
infrared
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002203545A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003149406A (ja
Inventor
誠 瀬田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Topcon Corp
Original Assignee
Topcon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Topcon Corp filed Critical Topcon Corp
Priority to JP2002203545A priority Critical patent/JP3639822B2/ja
Publication of JP2003149406A publication Critical patent/JP2003149406A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3639822B2 publication Critical patent/JP3639822B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、赤外線領域の光学部材として用いられる赤外域多層膜、特に赤外反射防止膜及びフィルターに関する。
【0002】
【従来技術】
最近、赤外光を用いた光学機器の開発が盛んに行われ、特に8〜14μm 領域の赤外光の利用が注目されている。これに伴い、この領域の赤外光に有効な赤外反射防止膜が種々提案されている。例えば、ZnSe基板にPbF2膜とThF4膜からなる2層膜を積層した赤外反射防止膜 (特公昭61-28962号公報) 、 ZnS又はZnSe基板にYF3 、ZnS 、YF3 の3層膜を積層した赤外反射防止膜(特開昭64-15703号公報) 、Ge基板にZnS 、Ge、ZnS 、BaF2、ZnS のそれぞれの膜を形成してなる赤外反射防止膜 (特公平2-11121 号公報) 、或いはGe基板にZnS 又はZnSe、Ge、ZnS 、BaF2のそれぞれの膜を形成してなる赤外反射防止膜 (特公平2-13761 号公報)等が知られている。
【0003】
しかしこれら従来の赤外反射防止膜は、耐磨耗性が低い。これは、中間屈折率層、低屈折率層を構成する例えば、CaF2、BaF2、SrF2、ZnSe、ZnS 、BK7(ガラス)、Ge、Siなどの物性に起因するものである。これらの物質の耐磨耗性の指標となるヌープ硬度は以下のとおりである。
種類 CaF2 BaF2 SrF2 ZnSe ZnS BK7 Ge Si
硬度 158 82 130 105 160 570 190 1150
また、“Optical Coating for High Energy ZnSe Laser Windows" Appl. Opt.,30, 2075-2080 の Table IV.にも、ZnS やZnSeを基板とする赤外反射防止膜の耐磨耗性が低いことが示されている。
また、これらの ZnSやZnSeを基板とする赤外反射防止膜においては、膜全体の内部応力が不均衡であるため、膜の剥離が起こり、耐久性が低いという問題もあった。例えばYF3 、ZnS 、YF3 の3層膜を積層した ZnS基板の反射防止膜では、YF3 膜の引っ張り応力が大きいため、膜全体の内部応力が緩和されず、膜剥離等が生じる原因となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、分光特性を劣化させることなく、膜表面を硬化させ、耐磨耗性に優れた赤外域多層膜、特に赤外反射防止膜及びフィルターを提供することである。
本発明の他の目的は、膜全体の内部応力の不均衡を緩和し、膜剥離等を生じることのない、耐久性に優れた赤外域多層膜、特に赤外反射防止膜及びフィルターを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、赤外光学用基板に形成された赤外域多層膜において、基板側からの最外層にY2O3からなる耐磨耗性強化層を設けたことを特徴とする赤外域多層膜を提供するものである。
本発明はまた、Al2O3 、Y2O3、Ti2O3 、TiO 及びTiO2からなる群から選ばれる密着力強化層を有する赤外域多層膜を提供するものである。
本発明の赤外域多層膜に使用される赤外光学用基板は、好ましくはZnS 、ZnSe、Ge、Si又はカルコゲナイドガラスである。
本発明の赤外域多層膜の成分の例としては、CaF2、BaF2、SrF2、ZnSe、ZnS、YF3 、TiO2、PbF2、ThF4、Ge、Si等が挙げられる。これらの膜の形成方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング等の、従来公知の真空薄膜堆積技術が用いられる。
最外層に設けられるY2O3又はAl2O3 からなる耐磨耗性強化層の膜厚は、300nm以下、好ましくは160〜200nmが適当である。分光特性を変化させないという点からはY2O3の方が好ましい。これらの膜の形成方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング等の、従来公知の真空薄膜堆積技術が用いられる。
【0006】
本発明はまた、赤外光学用基板に形成された赤外反射防止膜において、基板がZnSe基板であり、基板側から数えて第1層に中間屈折率の ZnS膜、第2層に低屈折率の YF3膜、第3層に中間屈折率の ZnS膜、第4層に低屈折率の YF3膜を積層してなる赤外反射防止膜を提供するものである。さらに本発明は、赤外光学用基板に形成された赤外反射防止膜において、基板が ZnS基板であり、基板側から数えて第1層に中間屈折率の ZnS膜、第2層に低屈折率の YF3膜、第3層に中間屈折率の ZnS膜、第4層に低屈折率の YF3膜を積層してなる赤外反射防止膜を提供するものである。これらの赤外反射防止膜において、第1層〜第4層の各層の光学膜厚は、以下の条件を満足することが好ましい。
0.05λ0 ≦4n1d1≦10.0λ0
0.04λ0 ≦4n2d2≦0.25λ0
0.25λ0 ≦4n3d3≦0.65λ0
0.75λ0 ≦4n4d4≦1.25λ0
式中d1、d2、d3及びd4は各層の光学膜厚であり、n1、n2、n3及びn4は各層の屈折率であり、λ0 は設計基準波長である。
これらの赤外反射防止膜は、Al2O3 、Y2O3、Ti2O3 、TiO 及びTiO2からなる群から選ばれる密着力強化層を有することが好ましい。
またこれらの赤外反射防止膜の最外層にY2O3からなる耐磨耗性強化層を設けることによりその耐磨耗性を改善することができる。
【0007】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【実施例】
〔実施例1〕(赤外反射防止膜)
基 板 ZnSe
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 BaF2 光学膜厚 0.135 λ0
第2層 ZnS 光学膜厚 0.055 λ0
なお、基準となる波長λ0 は、10.6μm である。TiO2は基準波長に拘らず100nmであれば、分光特性を劣化させることなく、密着性を向上させることができる。
【0008】
〔比較例1〕(赤外反射防止膜)
密着力強化層を設けなかったほかは実施例1と同じ。
上記試料について、密着性及び耐磨耗性を以下の試験方法により調べた。
密着性テスト (MIL-C-13508C 4.4.6): セロテープ(登録商標)をはりつけ、これを剥がした ときに膜が剥がれるかどうかを目視により観察する。
耐磨耗性テスト(MIL-C-13508C 4.4.5): チーズクロスを用い500gの圧力を掛けて50ストロークテストを行い膜面に傷ができるかどうかを目
視により観察する。
結果を以下に示す。
Figure 0003639822
上記結果は、TiO2からなる密着力強化層を設けることにより密着性が著しく向上することを示している。
【0009】
〔実施例2〕(赤外反射防止膜)
基板 ZnSe
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 YF3 〃 0.038 λ0
第2層 ZnS 〃 0.130 λ0
第3層 YF3 〃 0.250 λ0
なお、基準となる波長λ0 は9.0μmである。
【0010】
〔実施例3〕(赤外反射防止膜)
基 板 ZnSe
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 BaF2 光学膜厚 0.135 λ0
第2層 ZnS 光学膜厚 0.055 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 光学膜厚 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は、10.6μm である。Y2O3は基準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
【0011】
〔実施例4〕(赤外反射防止膜)
耐磨耗性強化層をAl2O3 としたほかは実施例3と同じ。
上記試料について、密着性及び耐磨耗性を調べた。結果を以下に示す。
Figure 0003639822
上記実施例3及び実施例4の試料の分光特性を図1に示す。最外層がY2O3層である実施例3の赤外反射防止膜は、最外層がAl2O3 層である実施例4の赤外反射防止膜と比較して、分光特性が劣化することなく、耐磨耗性が向上することがわかる。すなわち、実施例3の赤外反射防止膜は、赤外線をほぼ完全に透過させていることがわかる。図1において太い実線は耐磨耗性強化層を設ける前の赤外反射防止膜の分光特性を示す。
【0012】
〔実施例5〕
基板 ZnSe
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 YF3 〃 0.038 λ0
第2層 ZnS 〃 0.130 λ0
第3層 YF3 〃 0.250 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は9.0μmである。
【0013】
〔実施例6〕(赤外反射防止膜)
基板 ZnSe
密着力強化層 Y2O3 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.25λ0
第2層 YF3 〃 0.25λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は、10μmである。Y2O3は基準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
【0014】
〔実施例7〕(赤外反射防止膜)
基板 ZnS
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.25λ0
第2層 YF3 〃 0.25λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 300 nm
なお、基準となる波長λ0 は10μmである。Y2O3は基準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
【0015】
〔実施例8〕(フィルター)
基板 Ge
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.25λ0
第2層 Ge 〃 0.25λ0
第3層 ZnS 〃 0.25λ0
第4層 Ge 〃 0.50λ0
第5層 ZnS 〃 0.25λ0
第6層 Ge 〃 0.25λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は11μmである。Y2O3は基準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
【0016】
〔実施例9〕(赤外反射防止膜)
基板 Ge
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.055 λ0
第2層 Ge 〃 0.109 λ0
第3層 ZnS 〃 0.270 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は7.5μmである。Y2O3は基準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
【0017】
〔実施例10〕(赤外反射防止膜)
基板 Ge
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.089 λ0
第2層 Ge 〃 0.123 λ0
第3層 ZnS 〃 0.293 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
第5層 ZnS 〃 0.041 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は5.6μmである。Y2O3は基準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。図2に反射率特性を示す。
【0018】
〔実施例11〕(赤外反射防止膜)
基板 Ge
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.033 λ0
第2層 Ge 〃 0.210 λ0
第3層 ZnS 〃 0.098 λ0
第4層 Ge 〃 0.150 λ0
第5層 ZnS 〃 0.180 λ0
第6層 Ge 〃 0.048 λ0
第7層 ZnS 〃 0.243 λ0
第8層 YF3 〃 0.083 λ0
第9層 ZnS 〃 0.125 λ0
第10層 YF3 〃 0.400 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は3.3μmである。Y2O3は基準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
【0019】
上記実施例11の赤外反射防止膜は反射防止域の広帯域化を図ったものであり、図2に示すように、3〜12μmの広い範囲で反射防止の効果を有する。
実施例9〜11はGe基板の反射防止膜であるが、密着力強化層と第1層との間にGeを任意の膜厚で積層しても反射防止効果にはほとんど影響を及ぼさない。
実施例6〜11の赤外反射防止膜について、密着性テスト(MIL-C-13508C 4.4.6) 及び耐磨耗性テスト(MIL-C-13508C 4.4.5) を行った。結果を以下に示す。
Figure 0003639822
密着力強化層としてY2O3又はTiO2、耐磨耗性強化層としてY2O3を積層することで、密着力が強化され、耐磨耗性が向上することがわかる。なお、密着力強化層として、TiO を積層することによっても同様に密着力を向上できる。
【0020】
また、基板としてZnSeを使用した赤外反射防止膜について、以下に実施例12〜実施例14を示す。
〔実施例12〕(赤外反射防止膜)
基板 ZnSe
第1層 ZnS 光学膜厚 0.116 λ0
第2層 YF3 〃 0.030 λ0
第3層 ZnS 〃 0.109 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
なお、基準となる波長λ0 は9.5μmである。
【0021】
〔実施例13〕
基板 ZnSe
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.116 λ0
第2層 YF3 〃 0.030 λ0
第3層 ZnS 〃 0.109 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
なお、基準となる波長λ0 は9.5μmである。密着力強化層TiO2により、密着力を向上させることができる。
【0022】
〔実施例14〕
基板 ZnSe
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.116 λ0
第2層 YF3 〃 0.030 λ0
第3層 ZnS 〃 0.109 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は9.5μmである。密着力強化層TiO2および耐磨耗性強化層Y2O3により、密着力を強化させ、耐磨耗性を向上させることができる。図3に反射率特性を示す。
【0023】
実施例2、5、13及び14の赤外反射防止膜を温度50℃、湿度95%の雰囲気中に48時間放置し(MIL-C-13508C 4.4.7) 、その後、−62℃に10時間、次いで85℃に10時間放置する温度サイクルを1サイクルとして、5サイクル繰り返す強制テストに付した後、密着性及び耐磨耗性を調べた。結果を以下に示す。
Figure 0003639822
これから、ZnSe基板に3層膜を設けた実施例2及び5の赤外反射防止膜に比較し、ZnSe基板に4層膜、すなわち基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS 膜、第2層に低屈折率のYF3 膜、第3層に中間屈折率のZnS 膜、第4層に低屈折率のYF3 膜を積層して膜全体の内部応力を緩和した実施例13及び14の赤外反射防止膜は、強制条件下でも膜剥がれ等がなく、耐磨耗性も高いより優れた膜であることがわかる。
【0024】
〔実施例15〕
この実施例は、ZnSe基板に4層膜を積層した赤外反射防止膜において、第4層と耐磨耗性強化層Y2O3との間に中間屈折率のZnS 膜を挿入した例で、反射防止効果を変化させず、耐磨耗性を強化させる効果を示すものである。
基板 ZnSe
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.155 λ0
第2層 YF3 〃 0.030 λ0
第3層 ZnS 〃 0.139 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
第5層 ZnS 〃 0.022 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は8.0μmである。
【0025】
以下の実施例16〜20は、ZnS 基板を使用した赤外反射防止膜の例を示すものである。
〔実施例16〕(赤外反射防止膜)
基板 ZnS
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 YF3 〃 0.044 λ0
第2層 ZnS 〃 0.103 λ0
第3層 YF3 〃 0.250 λ0
なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。
〔実施例17〕(赤外反射防止膜)
基板 ZnS
第1層 ZnS 光学膜厚 0.250 λ0
第2層 YF3 〃 0.044 λ0
第3層 ZnS 〃 0.103 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。
【0026】
〔実施例18〕(赤外反射防止膜)
基板 ZnS
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.250 λ0
第2層 YF3 〃 0.044 λ0
第3層 ZnS 〃 0.103 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。密着力強化層TiO2により、密着力を向上させることができる。
〔実施例19〕(赤外反射防止膜)
基板 ZnS
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 YF3 〃 0.044 λ0
第2層 ZnS 〃 0.103 λ0
第3層 YF3 〃 0.250 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。
【0027】
〔実施例20〕(赤外反射防止膜)
基板 ZnS
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.250 λ0
第2層 YF3 〃 0.044 λ0
第3層 ZnS 〃 0.103 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。密着力強化層TiO2および耐磨耗性強化層Y2O3により、密着力を強化させ、耐磨耗性を向上させることができる。図4に反射率特性を示す。
【0028】
上記実施例16、18、19及び20の赤外反射防止膜の密着性および耐磨耗性を上述の強制試験方法により調べた。その結果を以下に示す。
Figure 0003639822
これから、ZnS 基板に3層膜を設けた実施例16及び19の赤外反射防止膜に比較し、ZnS 基板に4層膜、すなわち基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS 膜、第2層に低屈折率のYF3 膜、第3層に中間屈折率のZnS 膜、第4層に低屈折率のYF3 膜を積層して膜全体の内部応力を緩和した実施例18及び20の赤外反射防止膜は、強制条件下でも膜剥がれ等がなく、耐磨耗性も高いより優れた膜であることがわかる。
【0029】
〔実施例21〕
この実施例は、ZnS 基板に4層膜を積層した赤外反射防止膜において、第4層と耐磨耗性強化層Y2O3との間に中間屈折率のZnS 膜を積層しても分光特性を変化させることなく、耐磨耗性を強化させる効果を奏することを示すものである。
基板 ZnS
密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm
第1層 ZnS 〃 0.750 λ0
第2層 YF3 〃 0.047 λ0
第3層 ZnS 〃 0.134 λ0
第4層 YF3 〃 0.250 λ0
第5層 ZnS 〃 0.017 λ0
耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm
なお、基準となる波長λ0 は9.0μmである。
【0030】
【発明の効果】
最外層がY2O3層である本発明の赤外反射防止膜は、分光特性が劣化することなく、耐磨耗性が向上している。
また、ZnS 又はZnSe基板の赤外反射防止膜において、基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS 膜、第2層に低屈折率の YF3膜、第3層に中間屈折率の ZnS膜、第4層に低屈折率の YF3膜を積層して膜全体の内部応力を緩和した赤外反射防止膜は、強制条件下でも膜剥離等がなく、耐磨耗性も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ZnSe基板の赤外反射防止膜、この赤外反射防止膜の最外層にY2O3の耐磨耗性層を設けた本発明の実施例3の赤外反射防止膜、及びこの赤外反射防止膜の最外層にAl2O3 の耐磨耗性層を設けた実施例4の赤外反射防止膜の分光特性を示す図面である。
【図2】本発明の実施例10の赤外反射防止膜の分光特性(点線)と、ZnS 膜とGe膜を交互に積層することにより赤外反射防止域を広帯域化した本発明の実施例11の赤外反射防止膜の分光特性(実線)を示す図面である。
【図3】 ZnSe基板に、基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS 膜、第2層に低屈折率の YF3膜、第3層に中間屈折率の ZnS膜、第4層に低屈折率の YF3膜を積層して膜全体の内部応力を緩和した本発明の実施例14の赤外反射防止膜の分光特性を示す図面である。
【図4】 ZnS 基板に、基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS 膜、第2層に低屈折率の YF3膜、第3層に中間屈折率の ZnS膜、第4層に低屈折率の YF3膜を積層して膜全体の内部応力を緩和した本発明の実施例20の赤外反射防止膜の分光特性を示す図面である。

Claims (2)

  1. 赤外光学用基板に形成された赤外反射防止膜において、基板がZnSe基板であり、TiO 2 またはY 2 3 からなる密着力強化層を有し、最外層にY 2 3 からなる耐磨耗性強化層を有し、基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS膜、第2層に低屈折率のYF3膜、第3層に中間屈折率のZnS膜、第4層に低屈折率のYF3膜を積層してなる赤外反射防止膜であって、第1層〜第4層の各層の各光学膜厚をd 1 、d 2 、d 3 、d 4 、各層の屈折率をn 1 、n 2 、n 3 、n 4 、設計基準波長をλ 0 とするとき、
    0.05λ 0 ≦4n 1 1 ≦10.0λ 0
    0.04λ 0 ≦4n 2 2 ≦0.25λ 0
    0.25λ 0 ≦4n 3 3 ≦0.65λ 0
    0.75λ 0 ≦4n 4 4 ≦1.25λ 0
    であることを特徴とする赤外反射防止膜。
  2. 赤外光学用基板に形成された赤外反射防止膜において、基板がZnS基板であり、TiO 2 またはY 2 3 からなる密着力強化層を有し、最外層にY 2 3 からなる耐磨耗性強化層を有し、基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS膜、第2層に低屈折率のYF3膜、第3層に中間屈折率のZnS膜、第4層に低屈折率のYF3膜を積層してなる赤外反射防止膜であって、第1層〜第4層の各層の各光学膜厚をd 1 、d 2 、d 3 、d 4 、各層の屈折率をn 1 、n 2 、n 3 、n 4 、設計基準波長をλ 0 とするとき、
    0.05λ 0 ≦4n 1 1 ≦10.0λ 0
    0.03λ 0 ≦4n 2 2 ≦0.30λ 0
    0.10λ 0 ≦4n 3 3 ≦0.70λ 0
    0.70λ 0 ≦4n 4 4 ≦1.30λ 0
    であることを特徴とする赤外反射防止膜。
JP2002203545A 2002-07-12 2002-07-12 赤外反射防止膜 Expired - Fee Related JP3639822B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002203545A JP3639822B2 (ja) 2002-07-12 2002-07-12 赤外反射防止膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002203545A JP3639822B2 (ja) 2002-07-12 2002-07-12 赤外反射防止膜

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5102580A Division JPH06313802A (ja) 1993-04-28 1993-04-28 赤外域多層膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003149406A JP2003149406A (ja) 2003-05-21
JP3639822B2 true JP3639822B2 (ja) 2005-04-20

Family

ID=19195708

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002203545A Expired - Fee Related JP3639822B2 (ja) 2002-07-12 2002-07-12 赤外反射防止膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3639822B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009142238A1 (ja) 2008-05-23 2009-11-26 住友電気工業株式会社 焼結体およびその製造方法ならびに光学部品
US9575216B2 (en) 2011-05-24 2017-02-21 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Infrared-transmitting film, method for producing infrared-transmitting film, infrared optical component, and infrared device

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005298907A (ja) * 2004-04-13 2005-10-27 Oike Ind Co Ltd 鱗片状メタルフレークの製造方法及び鱗片状メタルフレーク
JP2005298905A (ja) * 2004-04-13 2005-10-27 Oike Ind Co Ltd 鱗片状メタルフレーク及び鱗片状メタルフレークの製造方法
JP4921725B2 (ja) * 2005-05-13 2012-04-25 一般財団法人石油エネルギー技術センター 耐圧防爆型赤外線カメラ及び耐圧防爆型容器
JP5854347B2 (ja) * 2009-12-23 2016-02-09 住友電工ハードメタル株式会社 光学部品
US9932663B2 (en) 2011-12-23 2018-04-03 Hong Kong Baptist University Sapphire thin film coated substrate
JP6080684B2 (ja) * 2013-05-21 2017-02-15 三菱電機株式会社 赤外光学膜、円偏光ミラー、円偏光ミラーを備えたレーザ加工機、および赤外光学膜の製造方法
WO2016174947A1 (ja) * 2015-04-28 2016-11-03 カーリットホールディングス株式会社 シリコン材料からなる光学部材及びそれを有する光学機器
KR102257878B1 (ko) * 2016-10-06 2021-05-27 홍콩 뱁티스트 유니버시티 사파이어 박막 코팅된 기판
CN109901247A (zh) * 2019-02-24 2019-06-18 西安应用光学研究所 一种10.6μm激光窗口抗磁可加热薄膜膜系结构
JP2023007511A (ja) * 2019-12-03 2023-01-19 コニカミノルタ株式会社 光学部材及びその製造方法
JP2023020448A (ja) * 2021-07-30 2023-02-09 日本電気硝子株式会社 膜付き基材及びその製造方法
CN114114475B (zh) * 2021-12-07 2023-01-03 湖北久之洋红外系统股份有限公司 一种用于硒化锌基片的高附着力高表面质量的增透膜及其制备方法和应用

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07107563B2 (ja) * 1986-10-31 1995-11-15 キヤノン株式会社 反射防止膜
JP2638806B2 (ja) * 1987-05-18 1997-08-06 ミノルタ株式会社 反射防止膜
JPS6415703A (en) * 1987-07-09 1989-01-19 Nikon Corp Optical thin film for infra red ray

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009142238A1 (ja) 2008-05-23 2009-11-26 住友電気工業株式会社 焼結体およびその製造方法ならびに光学部品
US8298975B2 (en) 2008-05-23 2012-10-30 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Sintered compact, process for production thereof, and optical element
US9575216B2 (en) 2011-05-24 2017-02-21 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Infrared-transmitting film, method for producing infrared-transmitting film, infrared optical component, and infrared device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003149406A (ja) 2003-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3639822B2 (ja) 赤外反射防止膜
WO2012073791A1 (ja) 赤外線用光学機能膜
US8668990B2 (en) Heat treatable four layer anti-reflection coating
CN103329013B (zh) 包括在紫外区和可见光区中具有低反射的抗反射涂层的光学制品
JP2009086533A (ja) 赤外用多層膜、赤外反射防止膜及び赤外レーザ用反射ミラー
JPH06313802A (ja) 赤外域多層膜
JPH05502311A (ja) 導電性、光減衰反射防止被覆
JPH06510382A (ja) 導電性光減衰型反射防止被膜
JPH0685002B2 (ja) プラスチツク光学部品の反射防止膜
CN107209285A (zh) 分层系统和包括分层系统的光学元件
CN106443841B (zh) 一种超低剩余反射率ZnS基底长波减反射薄膜
JP2017134404A (ja) 光学素子及び光学素子の製造方法
WO2018110017A1 (ja) 光学製品
JP2005165249A (ja) 反射防止膜及びこれを備える光学レンズ並びに光学レンズユニット
JP5308640B2 (ja) 反射防止膜及びそれを用いた光学部材
JP2004334012A (ja) 反射防止膜及び光学フィルター
JP2000111702A (ja) 反射防止膜
JPH1067078A (ja) 光学要素とその製造に用いられるフッ化物材料の多層積層体
JPH0296701A (ja) 多層反射防止膜
JP3012712B2 (ja) 反射防止膜を有する光学部材
JPH11281801A (ja) 赤外反射防止膜
JP2022072420A (ja) 光学素子、光学系、および、光学機器
JP6982951B2 (ja) 赤外線用機能性膜付シリコン基板
JPH03215803A (ja) 帯域フィルター
JP4763318B2 (ja) 赤外反射防止膜

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090121

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090121

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100121

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110121

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110121

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120121

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120121

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130121

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees