JPH06313802A - 赤外域多層膜 - Google Patents

赤外域多層膜

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JPH06313802A
JPH06313802A JP5102580A JP10258093A JPH06313802A JP H06313802 A JPH06313802 A JP H06313802A JP 5102580 A JP5102580 A JP 5102580A JP 10258093 A JP10258093 A JP 10258093A JP H06313802 A JPH06313802 A JP H06313802A
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layer
film
infrared
zns
substrate
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JP5102580A
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Makoto Seta
誠 瀬田
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Topcon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 赤外光学用基板に形成された赤外域多層膜に
おいて、基板側からの最外層にY2O3からなる耐磨耗性強
化層を設けたことを特徴とする赤外域多層膜。 【効果】 最外層がY2O3層である本発明の赤外反射防止
膜は、分光特性が劣化することなく、耐磨耗性が向上し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤外線領域の光学部材
として用いられる赤外域多層膜、特に赤外反射防止膜及
びフィルターに関する。
【従来技術】最近、赤外光を用いた光学機器の開発が盛
んに行われ、特に8〜14μm 領域の赤外光の利用が注
目されている。これに伴い、この領域の赤外光に有効な
赤外反射防止膜が種々提案されている。例えば、ZnSe基
板にPbF2膜とThF4膜からなる2層膜を積層した赤外反射
防止膜 (特公昭61-28962号公報) 、 ZnS又はZnSe基板に
YF3 、ZnS 、YF3 の3層膜を積層した赤外反射防止膜
(特開昭64-15703号公報) 、Ge基板にZnS 、Ge、ZnS 、
BaF2、ZnS のそれぞれの膜を形成してなる赤外反射防止
膜 (特公平2-11121 号公報) 、或いはGe基板にZnS 又は
ZnSe、Ge、ZnS 、BaF2のそれぞれの膜を形成してなる赤
外反射防止膜 (特公平2-13761 号公報) 等が知られてい
る。しかしこれら従来の赤外反射防止膜は、耐磨耗性が
低い。これは、中間屈折率層、低屈折率層を構成する例
えば、CaF2、BaF2、SrF2、ZnSe、ZnS 、BK7(ガラ
ス)、Ge、Siなどの物性に起因するものである。これら
の物質の耐磨耗性の指標となるヌープ硬度は以下のとお
りである。 種類 CaF2 BaF2 SrF2 ZnSe ZnS BK7 Ge Si 硬度 158 82 130 105 160 570 190 1150 また、"Optical Coating for High Energy ZnSe Laser
Windows" Appl. Opt.,30, 2075-2080 の Table IV.に
も、ZnS やZnSeを基板とする赤外反射防止膜の耐磨耗性
が低いことが示されている。また、これらの ZnSやZnSe
を基板とする赤外反射防止膜においては、膜全体の内部
応力が不均衡であるため、膜の剥離が起こり、耐久性が
低いという問題もあった。例えばYF3 、ZnS 、YF3 の3
層膜を積層した ZnS基板の反射防止膜では、YF3 膜の引
っ張り応力が大きいため、膜全体の内部応力が緩和され
ず、膜剥離等が生じる原因となっていた。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分光
特性を劣化させることなく、膜表面を硬化させ、耐磨耗
性に優れた赤外域多層膜、特に赤外反射防止膜及びフィ
ルターを提供することである。本発明の他の目的は、膜
全体の内部応力の不均衡を緩和し、膜剥離等を生じるこ
とのない、耐久性に優れた赤外域多層膜、特に赤外反射
防止膜及びフィルターを提供することである。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、赤外光学用基
板に形成された赤外域多層膜において、基板側からの最
外層にY2O3からなる耐磨耗性強化層を設けたことを特徴
とする赤外域多層膜を提供するものである。本発明はま
た、Al2O3 、Y2O3、Ti2O3 、TiO 及びTiO2からなる群か
ら選ばれる密着力強化層を有する赤外域多層膜を提供す
るものである。本発明の赤外域多層膜に使用される赤外
光学用基板は、好ましくはZnS 、ZnSe、Ge、Si又はカル
コゲナイドガラスである。本発明の赤外域多層膜の成分
の例としては、CaF2、BaF2、SrF2、ZnSe、ZnS 、YF3
TiO2、PbF2、ThF4、Ge、Si等が挙げられる。これらの膜
の形成方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング
等の、従来公知の真空薄膜堆積技術が用いられる。最外
層に設けられるY2O3又はAl2O3 からなる耐磨耗性強化層
の膜厚は、300nm以下、好ましくは160〜200nm
が適当である。分光特性を変化させないという点からは
Y2O3の方が好ましい。これらの膜の形成方法としては、
真空蒸着、イオンプレーティング等の、従来公知の真空
薄膜堆積技術が用いられる。
【0004】本発明はまた、赤外光学用基板に形成され
た赤外反射防止膜において、基板がZnSe基板であり、基
板側から数えて第1層に中間屈折率の ZnS膜、第2層に
低屈折率の YF3膜、第3層に中間屈折率の ZnS膜、第4
層に低屈折率の YF3膜を積層してなる赤外反射防止膜を
提供するものである。さらに本発明は、赤外光学用基板
に形成された赤外反射防止膜において、基板が ZnS基板
であり、基板側から数えて第1層に中間屈折率の ZnS
膜、第2層に低屈折率の YF3膜、第3層に中間屈折率の
ZnS膜、第4層に低屈折率の YF3膜を積層してなる赤外
反射防止膜を提供するものである。これらの赤外反射防
止膜において、第1層〜第4層の各層の光学膜厚は、以
下の条件を満足することが好ましい。 0.05λ0 ≦4n1d1≦10.0λ0 0.04λ0 ≦4n2d2≦0.25λ0 0.25λ0 ≦4n3d3≦0.65λ0 0.75λ0 ≦4n4d4≦1.25λ0 式中d1、d2、d3及びd4は各層の光学膜厚であり、n1
n2、n3及びn4は各層の屈折率であり、λ0 は設計基準波
長である。これらの赤外反射防止膜は、Al2O3 、Y2O3
Ti2O3 、TiO 及びTiO2からなる群から選ばれる密着力強
化層を有することが好ましい。またこれらの赤外反射防
止膜の最外層にY2O3からなる耐磨耗性強化層を設けるこ
とによりその耐磨耗性を改善することができる。
【0005】以下実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【実施例】
〔実施例1〕(赤外反射防止膜) 基 板 ZnSe 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 BaF2 光学膜厚 0.135 λ0 第2層 ZnS 光学膜厚 0.055 λ0 なお、基準となる波長λ0 は、10.6μm である。TiO2
は基準波長に拘らず100nmであれば、分光特性を劣化
させることなく、密着性を向上させることができる。 〔比較例1〕(赤外反射防止膜) 密着力強化層を設けなかったほかは実施例1と同じ。上
記試料について、密着性及び耐磨耗性を以下の試験方法
により調べた。 密着性テスト (MIL-C-13508C 4.4.6): セロテープをは
りつけ、これを剥がしたときに膜が剥がれるかどうかを
目視により観察する。 耐磨耗性テスト(MIL-C-13508C 4.4.5): チーズクロスを
用い500gの圧力を掛けて50ストロークテストを行
い膜面に傷ができるかどうかを目視により観察する。 結果を以下に示す。 上記結果は、TiO2からなる密着力強化層を設けることに
より密着性が著しく向上することを示している。 〔実施例2〕(赤外反射防止膜) 基板 ZnSe 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 YF3 〃 0.038 λ0 第2層 ZnS 〃 0.130 λ0 第3層 YF3 〃 0.250 λ0 なお、基準となる波長λ0 は9.0μmである。
【0006】〔実施例3〕(赤外反射防止膜) 基 板 ZnSe 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 BaF2 光学膜厚 0.135 λ0 第2層 ZnS 光学膜厚 0.055 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 光学膜厚 160 nm なお、基準となる波長λ0 は、10.6μm である。Y2O3
は基準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を
劣化させることなく、耐磨耗性を向上させることができ
る。 〔実施例4〕(赤外反射防止膜) 耐磨耗性強化層をAl2O3 としたほかは実施例3と同じ。
上記試料について、密着性及び耐磨耗性を調べた。結果
を以下に示す。 上記実施例3及び実施例4の試料の分光特性を図1に示
す。最外層がY2O3層である実施例3の赤外反射防止膜
は、最外層がAl2O3 層である実施例4の赤外反射防止膜
と比較して、分光特性が劣化することなく、耐磨耗性が
向上することがわかる。すなわち、実施例3の赤外反射
防止膜は、赤外線をほぼ完全に透過させていることがわ
かる。図1において太い実線は耐磨耗性強化層を設ける
前の赤外反射防止膜の分光特性を示す。 〔実施例5〕 基板 ZnSe 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 YF3 〃 0.038 λ0 第2層 ZnS 〃 0.130 λ0 第3層 YF3 〃 0.250 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は9.0μmである。
【0007】〔実施例6〕(赤外反射防止膜) 基板 ZnSe 密着力強化層 Y2O3 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.25λ0 第2層 YF3 〃 0.25λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は、10μmである。Y2O3
基準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣
化させることなく、耐磨耗性を向上させることができ
る。 〔実施例7〕(赤外反射防止膜) 基板 ZnS 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.25λ0 第2層 YF3 〃 0.25λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 300 nm なお、基準となる波長λ0 は10μmである。Y2O3は基
準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化
させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
【0008】〔実施例8〕(フィルター) 基板 Ge 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.25λ0 第2層 Ge 〃 0.25λ0 第3層 ZnS 〃 0.25λ0 第4層 Ge 〃 0.50λ0 第5層 ZnS 〃 0.25λ0 第6層 Ge 〃 0.25λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は11μmである。Y2O3は基
準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化
させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。 〔実施例9〕(赤外反射防止膜) 基板 Ge 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.055 λ0 第2層 Ge 〃 0.109 λ0 第3層 ZnS 〃 0.270 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は7.5μmである。Y2O3は基
準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化
させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
【0009】 〔実施例10〕(赤外反射防止膜) 基板 Ge 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.089 λ0 第2層 Ge 〃 0.123 λ0 第3層 ZnS 〃 0.293 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 第5層 ZnS 〃 0.041 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は5.6μmである。Y2O3は基
準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化
させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
図2に反射率特性を示す。 〔実施例11〕(赤外反射防止膜) 基板 Ge 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.033 λ0 第2層 Ge 〃 0.210 λ0 第3層 ZnS 〃 0.098 λ0 第4層 Ge 〃 0.150 λ0 第5層 ZnS 〃 0.180 λ0 第6層 Ge 〃 0.048 λ0 第7層 ZnS 〃 0.243 λ0 第8層 YF3 〃 0.083 λ0 第9層 ZnS 〃 0.125 λ0 第10層 YF3 〃 0.400 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は3.3μmである。Y2O3は基
準波長に拘らず300nm以下であれば、分光特性を劣化
させることなく、耐磨耗性を向上させることができる。
【0010】上記実施例11の赤外反射防止膜は反射防
止域の広帯域化を図ったものであり、図2に示すよう
に、3〜12μmの広い範囲で反射防止の効果を有す
る。実施例9〜11はGe基板の反射防止膜であるが、密
着力強化層と第1層との間にGeを任意の膜厚で積層して
も反射防止効果にはほとんど影響を及ぼさない。実施例
6〜11の赤外反射防止膜について、密着性テスト(MI
L-C-13508C 4.4.6) 及び耐磨耗性テスト(MIL-C-13508C
4.4.5) を行った。結果を以下に示す。 密着性テスト 耐磨耗性テスト 実施例6 膜剥がれなし 膜面の傷なし 〃 7 〃 〃 〃 8 〃 〃 〃 9 〃 〃 〃 10 〃 〃 〃 11 〃 〃 密着力強化層としてY2O3又はTiO2、耐磨耗性強化層とし
てY2O3を積層することで、密着力が強化され、耐磨耗性
が向上することがわかる。なお、密着力強化層として、
TiO を積層することによっても同様に密着力を向上でき
る。
【0011】また、基板としてZnSeを使用した赤外反射
防止膜について、以下に実施例12〜実施例14を示
す。 〔実施例12〕(赤外反射防止膜) 基板 ZnSe 第1層 ZnS 光学膜厚 0.116 λ0 第2層 YF3 〃 0.030 λ0 第3層 ZnS 〃 0.109 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 なお、基準となる波長λ0 は9.5μmである。 〔実施例13〕 基板 ZnSe 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.116 λ0 第2層 YF3 〃 0.030 λ0 第3層 ZnS 〃 0.109 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 なお、基準となる波長λ0 は9.5μmである。密着力強
化層TiO2により、密着力を向上させることができる。 〔実施例14〕 基板 ZnSe 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.116 λ0 第2層 YF3 〃 0.030 λ0 第3層 ZnS 〃 0.109 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は9.5μmである。密着力強
化層TiO2および耐磨耗性強化層Y2O3により、密着力を強
化させ、耐磨耗性を向上させることができる。図3に反
射率特性を示す。
【0012】実施例2、5、13及び14の赤外反射防
止膜を温度50℃、湿度95%の雰囲気中に48時間放
置し(MIL-C-13508C 4.4.7) 、その後、−62℃に10
時間、次いで85℃に10時間放置する温度サイクルを
1サイクルとして、5サイクル繰り返す強制テストに付
した後、密着性及び耐磨耗性を調べた。結果を以下に示
す。 密着性テスト 耐磨耗性テスト 実施例2 膜剥がれあり ────── 〃 5 〃 あり ────── 〃 13 〃 なし 膜面の傷あり 〃 14 〃 なし 〃 なし これから、ZnSe基板に3層膜を設けた実施例2及び5の
赤外反射防止膜に比較し、ZnSe基板に4層膜、すなわち
基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS 膜、第2層
に低屈折率のYF3 膜、第3層に中間屈折率のZnS 膜、第
4層に低屈折率のYF3 膜を積層して膜全体の内部応力を
緩和した実施例13及び14の赤外反射防止膜は、強制
条件下でも膜剥がれ等がなく、耐磨耗性も高いより優れ
た膜であることがわかる。
【0013】〔実施例15〕この実施例は、ZnSe基板に
4層膜を積層した赤外反射防止膜において、第4層と耐
磨耗性強化層Y2O3との間に中間屈折率のZnS 膜を挿入し
た例で、反射防止効果を変化させず、耐磨耗性を強化さ
せる効果を示すものである。 基板 ZnSe 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.155 λ0 第2層 YF3 〃 0.030 λ0 第3層 ZnS 〃 0.139 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 第5層 ZnS 〃 0.022 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は8.0μmである。
【0014】以下の実施例16〜20は、ZnS 基板を使
用した赤外反射防止膜の例を示すものである。 〔実施例16〕(赤外反射防止膜) 基板 ZnS 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 YF3 〃 0.044 λ0 第2層 ZnS 〃 0.103 λ0 第3層 YF3 〃 0.250 λ0 なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。 〔実施例17〕(赤外反射防止膜) 基板 ZnS 第1層 ZnS 光学膜厚 0.250 λ0 第2層 YF3 〃 0.044 λ0 第3層 ZnS 〃 0.103 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。 〔実施例18〕(赤外反射防止膜) 基板 ZnS 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.250 λ0 第2層 YF3 〃 0.044 λ0 第3層 ZnS 〃 0.103 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。密着力
強化層TiO2により、密着力を向上させることができる。 〔実施例19〕(赤外反射防止膜) 基板 ZnS 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 YF3 〃 0.044 λ0 第2層 ZnS 〃 0.103 λ0 第3層 YF3 〃 0.250 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。 〔実施例20〕(赤外反射防止膜) 基板 ZnS 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.250 λ0 第2層 YF3 〃 0.044 λ0 第3層 ZnS 〃 0.103 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は10.5μmである。密着力
強化層TiO2および耐磨耗性強化層Y2O3により、密着力を
強化させ、耐磨耗性を向上させることができる。図4に
反射率特性を示す。上記実施例16、18、19及び2
0の赤外反射防止膜の密着性および耐磨耗性を上述の強
制試験方法により調べた。その結果を以下に示す。 密着性テスト 耐磨耗性テスト 実施例16 膜剥がれあり ────── 〃 18 〃 なし 膜面の傷あり 〃 19 〃 あり ────── 〃 20 〃 なし 〃 なし これから、ZnS 基板に3層膜を設けた実施例16及び1
9の赤外反射防止膜に比較し、ZnS 基板に4層膜、すな
わち基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS 膜、第
2層に低屈折率のYF3 膜、第3層に中間屈折率のZnS
膜、第4層に低屈折率のYF3 膜を積層して膜全体の内部
応力を緩和した実施例18及び20の赤外反射防止膜
は、強制条件下でも膜剥がれ等がなく、耐磨耗性も高い
より優れた膜であることがわかる。
【0015】〔実施例21〕この実施例は、ZnS 基板に
4層膜を積層した赤外反射防止膜において、第4層と耐
磨耗性強化層Y2O3との間に中間屈折率のZnS 膜を積層し
ても分光特性を変化させることなく、耐磨耗性を強化さ
せる効果を奏することを示すものである。 基板 ZnS 密着力強化層 TiO2 光学膜厚 100 nm 第1層 ZnS 〃 0.750 λ0 第2層 YF3 〃 0.047 λ0 第3層 ZnS 〃 0.134 λ0 第4層 YF3 〃 0.250 λ0 第5層 ZnS 〃 0.017 λ0 耐磨耗性強化層 Y2O3 〃 160 nm なお、基準となる波長λ0 は9.0μmである。
【0016】
【発明の効果】最外層がY2O3層である本発明の赤外反射
防止膜は、分光特性が劣化することなく、耐磨耗性が向
上している。また、ZnS 又はZnSe基板の赤外反射防止膜
において、基板側から数えて第1層に中間屈折率のZnS
膜、第2層に低屈折率の YF3膜、第3層に中間屈折率の
ZnS膜、第4層に低屈折率の YF3膜を積層して膜全体の
内部応力を緩和した赤外反射防止膜は、強制条件下でも
膜剥離等がなく、耐磨耗性も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ZnSe基板の赤外反射防止膜、この赤外反射防止
膜の最外層にY2O3の耐磨耗性層を設けた本発明の実施例
3の赤外反射防止膜、及びこの赤外反射防止膜の最外層
にAl2O3 の耐磨耗性層を設けた実施例4の赤外反射防止
膜の分光特性を示す図面である。
【図2】本発明の実施例10の赤外反射防止膜の分光特
性(点線)と、ZnS 膜とGe膜を交互に積層することによ
り赤外反射防止域を広帯域化した本発明の実施例11の
赤外反射防止膜の分光特性(実線)を示す図面である。
【図3】ZnSe基板に、基板側から数えて第1層に中間屈
折率のZnS 膜、第2層に低屈折率の YF3膜、第3層に中
間屈折率の ZnS膜、第4層に低屈折率の YF3膜を積層し
て膜全体の内部応力を緩和した本発明の実施例14の赤
外反射防止膜の分光特性を示す図面である。
【図4】ZnS 基板に、基板側から数えて第1層に中間屈
折率のZnS 膜、第2層に低屈折率の YF3膜、第3層に中
間屈折率の ZnS膜、第4層に低屈折率の YF3膜を積層し
て膜全体の内部応力を緩和した本発明の実施例20の赤
外反射防止膜の分光特性を示す図面である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外光学用基板に形成された赤外域多層
    膜において、基板側からの最外層にY2O3からなる耐磨耗
    性強化層を設けたことを特徴とする赤外域多層膜。
  2. 【請求項2】 Al2O3 、Y2O3、Ti2O3 、TiO 及びTiO2
    らなる群から選ばれる密着力強化層を有する赤外域多層
    膜。
  3. 【請求項3】 赤外光学用基板がZnS 、ZnSe、Ge、Si又
    はカルコゲナイドガラスである請求項1又は2記載の赤
    外域多層膜。
  4. 【請求項4】 耐磨耗性強化層がY2O3からなり、その膜
    厚が、300nm以下である請求項1〜3のいずれか1項
    記載の赤外域多層膜。
  5. 【請求項5】 赤外光学用基板に形成された赤外反射防
    止膜において、基板がZnSe基板であり、基板側から数え
    て第1層に中間屈折率の ZnS膜、第2層に低屈折率の Y
    F3膜、第3層に中間屈折率の ZnS膜、第4層に低屈折率
    の YF3膜を積層してなる赤外反射防止膜。
  6. 【請求項6】 第1層〜第4層の各層の各光学膜厚が、
    各層の屈折率をn1、n2、n3、n4、設計基準波長をλ0
    するとき、 0.05λ0 ≦4n1d1≦10.0λ0 0.04λ0 ≦4n2d2≦0.25λ0 0.25λ0 ≦4n3d3≦0.65λ0 0.75λ0 ≦4n4d4≦1.25λ0 である請求項5記載の赤外反射防止膜。
  7. 【請求項7】 Al2O3 、Y2O3、Ti2O3 、TiO 及びTiO2
    らなる群から選ばれる密着力強化層を有する請求項5又
    は6記載の赤外反射防止膜。
  8. 【請求項8】 最外層にY2O3からなる耐磨耗性強化層を
    有する請求項5又は6又は7記載の赤外反射防止膜。
  9. 【請求項9】 赤外光学用基板に形成された赤外反射防
    止膜において、基板が ZnS基板であり、基板側から数え
    て第1層に中間屈折率の ZnS膜、第2層に低屈折率の Y
    F3膜、第3層に中間屈折率の ZnS膜、第4層に低屈折率
    の YF3膜を積層してなる赤外反射防止膜。
  10. 【請求項10】 第1層〜第4層の各層の各光学膜厚
    が、各層の屈折率をn1、n2、n3、n4、設計基準波長をλ
    0 とするとき、 0.05λ0 ≦4n1d1≦10.0λ0 0.03λ0 ≦4n2d2≦0.30λ0 0.10λ0 ≦4n3d3≦0.70λ0 0.70λ0 ≦4n4d4≦1.30λ0 である請求項9記載の赤外反射防止膜。
  11. 【請求項11】 Al2O3 、Y2O3、Ti2O3 、TiO 及びTiO2
    からなる群から選ばれる密着力強化層を有する請求項9
    又は10記載の赤外反射防止膜。
  12. 【請求項12】 最外層にY2O3からなる耐磨耗性強化層
    を有する請求項9又は10又は11記載の赤外反射防止
    膜。
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