JP3639423B2 - 半導体熱拡散層の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の拡散層を熱拡散により形成する方法、及び半導体集積回路の素子を構成するトランジスタのコレクタ領域下部に形成する埋め込み層の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の素子を構成するNPNトランジスタにおいて、トランジスタ動作に必要な真性コレクタ領域は、ベース領域直下の部分だけで、あとの部分は、コレクタ電極の引き出しの役目を負っている。この引き出し部分のコレクタ濃度は、真性コレクタ濃度と同じである必要はなく、コレクタ抵抗低減のため高濃度であることが望まれる。このため真性コレクタ領域からコレクタ電極まで高濃度N+層を埋め込む構造が採用されている。
【0003】
図3は、半導体集積回路中に形成したNPNトランジスタを示す。図中、1はP型Si基板、2は、N+埋め込み層、3は、SiO2膜、4は、N型エピタキシャル層を用いたN真性コレクタ領域、5はP+ベース領域、6はN+エミッタ領域、7はP+アイソレーション、8はコレクタ、ベース、エミッタを外部と接続する配線を示す。
【0004】
このN+埋め込み層2は、P+Si基板に、一般的に拡散材としてのAsまたはSbを拡散することにより形成する。このAsまたはSbの拡散は、拡散源を気相あるいは固相とした熱拡散法により行われるが、これらの熱拡散法の内、気相ー固相拡散は、AsあるいはSbの封管法による拡散であるが、Si基板表面状態に対する敏感さ、アンプル取扱の作業性の悪さなどのためあまり用いられない。
【0005】
固相からの拡散法は、不純物を含んだ塗布ガラスをウエファーにスピン塗布し、熱処理によって半導体基板中に拡散する方法や、酸化雰囲気中に不純物の酸化物を流し、開管法で加熱してSiウエファー上に不純物を含んだガラスを形成して、これを拡散源とする方法、CVD法で不純物を含んだガラスあるいは多結晶Siを堆積させ、これを拡散源とする方法がある。
【0006】
これらの熱拡散技術で形成したAs及びSbのSi基板表面の拡散層不純物表面濃度は、図2に示した拡散温度における固溶度によって決まり、それよりも低濃度の拡散では、制御性が極端に低くなったり、また固溶度以上の不純物の導入は難しい。
【0007】
Sbの蒸気圧は高いが、拡散濃度もSiに対し最大で1019/cm3以下で、Asと比較し低い濃度となるが、製造工程中の温度加熱によるオートドーピングはAsより少なくトランジスターのHfeの制御が容易である。Asは、Siに対し最大1021/cm3の拡散濃度を得ることが出来るが、製造工程中の温度加熱によりオートドーピングを生じ易く、Hfeの制御がSbと比較して難しい。
【0008】
またSbのSiへの拡散は、格子ひずみが少なく、Sbを拡散したエミッターとBを拡散したベースの組合せでは、エミッターとベース間の格子欠陥が著しく減少する。
【0009】
従来、Sbを用いた埋め込み層を形成する方法として、拡散材入りSOG(spin on glass)法すなわちSOD(spin on dopant)法で、Si基板表面に形成した固相中の不純物を拡散源としSi表面に熱拡散する方法と、Sb2O3の蒸気でSi基板表面にSb2O3ガラス層を形成、熱拡散し表面濃度を設定する方法が一般的である。
【0010】
SOD法により熱拡散源を形成する方法は、以下の手順が一般的である。
【0011】
(1)シラノールのアルコール溶液、即ちイソプロピルアルコール+ブタノール+酢酸エステルにシラノールを溶解する。
【0012】
(2)拡散源としてのSbを含有したアンチモントリプロポロキシド(antimony triーiーpropoxide)に代表される拡散源の溶液即ち、アンチモンアルコキシドを、基板表面にSi酸化膜を選択的に形成し埋め込み層形成部分のSiを露出したSi基板表面にスピンナーを用いて回転塗布する。
【0013】
(3)熱処理を施し、溶剤の蒸発および脱水・重合反応を進行させSb含有ガラス層を形成する。
【0014】
この後、所定の熱処理を行い、Si基板内にSbを熱拡散させる。
【0015】
Sb2O3の蒸気により拡散源を形成する方法は、低濃度拡散物Sbcl5(5塩化アンチモン)を純水中でバブリングし、窒素雰囲気の窒素流量、バブリングの液面高さを制御し、Sb2O3の蒸気を管中に発生させ、Si基板表面にSb2O3ガラス層を形成する。この後、所定の熱処理を行い、Si基板内にSbを熱拡散させる。或いはSb2O3をボートに乗せ所定の温度で加熱し、蒸気としてSi基板表面に供給することもあるが、制御性に乏しい上に外来不純物の混入を招くことがある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなSOD法によるSi基板表面への熱拡散源を形成する方法では、アルコキシドは、空気中の水分と結合し、加水分解し易く、また濃度が高ければ高い程加水分解し易いこと及びアルコキシドは、SiO2と反応し、SiO2上即ちSi基板上のSi酸化膜に欠陥を生じ易く、このためアルコキシドの濃度を薄めた溶液で上記の回転塗布を行えば酸化膜欠陥を抑制することができるが、濃度が薄いために多数回、溶液を回転塗布して所定の膜厚に形成する必要があるため、Si基板表面に所定のSb拡散源を形成する上で製造上の効率が低下するという問題点があった。
【0017】
上記のようなSb2O3の蒸気を用いる方法では、バブリングの液面高さのばらつきや、雰囲気ガスの流量による影響等により、Sb2O3蒸気圧の制御が難しく、熱拡散による不純物濃度の再現性が難しいという問題点があった。
【0018】
また所定の拡散温度における固溶度以下の低濃度の拡散では、その濃度の制御性が難しく再現性を出しにくいという問題点があった。
【0019】
本発明は、上記問題点を解決し、Si基板上にSi酸化膜欠陥を抑制し、Sb拡散源を効率良く形成し安定した熱拡散を行う製造方法を提供するとともに、Sbを用いた埋め込み層形成に関する製造方法を提供することを目的とするものである。
【0020】
また本発明は、所定の拡散温度における固溶度以下の低濃度の拡散に対しても安定した再現性を出すことができる制御性の高い熱拡散方法を提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は基板表面に形成したマスク層を選択的に除去した第一導電型半導体基板表面に、第二の導電型拡散層を熱拡散により形成する半導体熱拡散層の形成方法において、第二導電型不純物拡散源として該第二導電型不純物含有ガラスのスパッタ薄膜を上記基板表面に形成し、その上面に同一の第二導電型不純物含有ガラス層を形成し、加熱を行い、上記半導体基板内に上記不純物を拡散し、第二導電型拡散層を形成するものである。
【0022】
また、前記同一の第二導電型不純物の溶解液を塗布、乾燥して前記同一の第二導電型不純物含有ガラス層を形成し、半導体基板内に同不純物を熱拡散するものである。
【0023】
また、前記第二導電型不純物の酸化物を供給しながら加熱し、前記スパッタ薄膜上面に気相成長による前記同一の第二導電型不純物含有ガラス層を形成し、半導体基板内に同不純物を熱拡散するものである。
【0024】
また、前記第二導電型不純物をSbとするものである。
【0025】
また、前記第二導電型不純物の酸化物をSb2O3とするものである。
【0026】
また、前記第一導電型基板表面に形成した前記第二導電型層を半導体集積回路を構成するトランジスタの埋め込み層とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の方法を用いた製造方法は、
(1)基板表面に埋め込み層形成領域に相当する、マスク層としてのSi酸化膜3を選択的に除去した領域を形成したP型Si基板1を準備する。(図1(a))
(2)上記Si基板1をSb含有ガラスを拡散ターゲットとするスパッタ装置中に装着し、Ar雰囲気中でスパッタし、Si基板1表面に厚さ2000〜3000オングストロームのSb含有ガラススパッタ薄膜9を形成する。(図1(b))
(3)スパッタ装置よりSi基板1を取り出し、次に従来のSODにより、高濃度のSbを溶解したアルコキシドを用いたSODによる方法でSi基板1表面にSb含有ガラス層10を形成する。(図1(c))
(4)所定の時間、雰囲気、温度で熱処理し、SbをSi基板上のSi酸化膜を除去した部分に熱拡散させ、Sb拡散埋め込み層2を形成する。(図1(d))(5)Si酸化膜3、Sb含有ガラススパッタ薄膜9及びSb含有ガラス膜10を除去し、以後公知の方法でSb拡散埋め込み層を用いた構造のnpnトランジスタを有する半導体集積回路を形成する。(図3)
【0028】
スパッタで形成したSb含有ガラススパッタ薄膜9の厚さを、2000〜3000オングストロームとした理由は、これ以下の厚さでは、外来不純物例えばBに対するバリヤとしての効果がなく、またこれ以上の厚さでは、SOD法で積層したSb含有ガラス膜10よりの高濃度Sb熱拡散が阻害されるためである。
【0029】
また同時に所要のSb拡散濃度を得るのに必要なSb量を確保するのに必要な膜厚でもある。
【0030】
また、上記工程の(2)の後に、SOD法によりSb含有ガラス層を形成するかわりに、Sb2O3の蒸気中にて加熱することによりSi基板表面のスパッタ薄膜上面に気相成長によるSb含有ガラス層であるSb2O3層を形成し、上記(4)の工程と同様に熱処理を行い、Sb拡散埋め込み層2を形成する方法でも良い。
【0031】
Sb2O3は、ボートに充填し所定の温度に加熱して供給するが、スパッタ膜を設けてあることにより部分的に過剰になったりすることを防ぎ、同時にスパッタ膜中の不足したSbをこのSb2O3の方から補うことが出来る。
【0032】
上記の製造方法を用いることにより、SOD法によるSb含有ガラス層の形成に際し、スパッタ膜がバリアとなり、製造工程中の吸湿による酸化膜欠陥の発生による耐湿性上の問題や、後工程の不純物(例えばB等)の汚染もなくなり、高濃度拡散を行うことができる。また比較的低濃度のスパッタガラス膜中のSbが先にSi基板内に拡散し、次にSOD法で形成した高濃度のSb含有ガラス層からSbがSi基板内に拡散し、拡散結晶欠陥も少なく、設計された濃度のSbを制御性良く拡散することが出来る。スパッタ時に生ずる欠陥は拡散のための熱処理時に固相エピタキシーの現象により修復される。
【0033】
この場合のSb拡散濃度は1010〜1011/cm3となり、所定温度におけるSiへの固溶度より低い濃度の熱拡散が再現性良く制御できる。またこのような埋め込み層として必要な範囲での低濃度拡散が可能になるため、半導体集積回路製造工程でその後に形成するエピタキシャル成長層の結晶欠陥は、大幅に減少する。
【0034】
上記の実施例では、集積回路を構成するトランジスタの埋め込み層を形成する例を示したが、埋め込み層のみではなく、半導体素子を形成する際の、熱拡散層を形成する方法としても用いられることは、いうまでもない。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体熱拡散層の形成方法では、製造工程中での吸湿によるSi酸化膜欠陥の発生や外来不純物例えばBによる汚染の防止が可能になり、且つ結晶欠陥の少ない高濃度拡散を行うことが可能になる。
【0036】
また、所定加熱温度におけるSiへの固溶度より低濃度のSb熱拡散が、再現性よく制御出来るようになり、製造性が著しく向上するとともに、低濃度拡散により埋め込み層上にその後に積層形成するエピタキシャル成長層の結晶欠陥を著しく減少させることが可能になる。
【0037】
また、Sb2O3蒸気により、Sbスパッタ膜上にSb含有ガラス膜を形成する場合には、Si基板内にマイルドな熱拡散が可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱拡散のよる拡散層の形成方法を示す。
【図2】Si基板表面のAs及びSbの固溶度のグラフを示す。
【図3】従来及び本発明により形成した埋め込み層を有する集積回路中のnpnトランジスタ構造を示す。
【符号の説明】
1 P+Si基板
2 N+埋め込み層
3 SiO2膜
4 Nエピタキシャル層を用いたN真性コレクタ領域
5 ベース領域
6 N+エミッタ領域
7 P+アイソレーション
8 コレクタ、ベース、エミッタを外部と接続する配線
9 Sb含有ガラススパッタ薄膜
10 Sb含有ガラス層
Claims (6)
- 基板表面に形成したマスク層を選択的に除去した第一導電型半導体基板表面に、第二の導電型拡散層を熱拡散により形成する半導体熱拡散層の形成方法において、第二導電型不純物拡散源として該第二導電型不純物含有ガラスのスパッタ薄膜を上記基板表面に形成し、その上面に同一の第二不純物含有ガラス層を形成し、加熱を行い、上記半導体基板内に上記不純物を拡散し、第二導電型拡散層を形成することを特徴とする半導体熱拡散層の形成方法。
- 前記同一の第二導電型不純物の溶解液を塗布、乾燥して前記同一の第二導電型不純物含有ガラス層を形成することを特徴とする請求項1記載の半導体熱拡散層の形成方法。
- 前記第二導電型不純物の酸化物を供給しながら加熱し、前記スパッタ薄膜上面に気相成長による前記同一の第二導電型不純物含有ガラス層を形成することを特徴とする請求項1記載の半導体熱拡散層の形成方法。
- 前記第二導電型不純物をSbとすることを特徴とする請求項1乃至3記載の半導体熱拡散層の形成方法。
- 前記第二導電型不純物の酸化物をSb2O3とすることを特徴とする請求項3乃至4記載の半導体熱拡散層の形成方法。
- 前記第一導電型基板表面内に形成した前記第二導電型層を半導体集積回路を構成するトランジスタの埋め込み層とすることを特徴とする請求項1乃至5記載の半導体熱拡散層の形成方法。
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