JP3637531B2 - 輸送車の荷台構造 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、積荷を輸送するトラック等の輸送車の荷台構造に関し、特に荷台の後部で荷物を積み降ろしする場合に、作業者が乗って作業を行うことができる荷役作業台を設けた輸送車の荷台構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラック等の輸送車の荷箱において、積み荷を満載した状態にすると、積み降ろしの際に作業者の足場が無くなる。そこで、従来から、荷台の後部に折り畳み可能な荷役作業台を設置し、使わないときには折り畳んで格納しておき、必要なときに引き出して使用するようにした荷台構造が知られている。
【0003】
図6は、上述した従来における輸送車の荷台構造の一例を示すものである。図6において、この輸送車の荷台構造は、荷台51上に荷箱52を形成しているとともに、荷台51の後部から下側に向かって延びる後枠53に、荷役作業台54を設けた構造になっている。すなわち、荷役作業台54は、荷箱52の下側に設けられている。
【0004】
さらに詳述すると、荷箱52の後部は、観音開きする左右一対の開閉扉55により開閉自在に閉じられている。その開閉扉55には、垂直方向を軸として回動可能なロッキングバー56が設けられている。そして、開閉扉55が荷箱52の後部開口を閉じた状態でロッキングバー56が回動されると、そのロッキングバー56の下端部に設けてある図示せぬロッキングバー爪が後枠53側に取り付けてあるロッキングバーキャッチ57に係合され、これにより開閉扉55を閉ロックする。一方、閉ロックを解除する場合は、図示せぬハンドルを介してロッキングバー56を回動させ、ロッキングバー爪をロッキングバーキャッチ57から外すとロックが解かれ、開閉扉55を開くことができる。
【0005】
上記荷役作業台54は、荷箱52の後部下方において、荷台51の後枠53に枢軸58を介して回転可能に取り付けられている。そして、使用しないときには回動先端側を上側に回転させ、後枠53に作業台上面が当接されて垂直な状態となる格納位置(図6中に実線で示す位置)に配置し、さらに後枠53に取り付けられているロック部材60を荷役作業台54の一部に掛け止めすると、荷役作業台54をその格納位置にロックしておくことができる。図6中に実線で示している状態は、そのロック状態を示している。
【0006】
次に、ロック部材60によるロックを解除すると、荷役作業台54を荷箱52の後側へ水平となる位置まで、すなわち使用位置(図6中に一点鎖線で示す位置)まで倒すことができる。なお、荷役作業台54が使用位置まで倒されると、荷役作業台54の回動基端側における上面の一部が後枠53に取り付けた固定ブラケット59aに当接するとともに、下面の一部が固定ブラケット59bに当接し、位置決めされる。この状態に荷役作業台54が位置決めされると、その荷役作業台54の上に作業者が乗って作業を行うことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の荷台構造では、荷役作業台54が格納位置と使用位置とに回転で切り換えられる方式を採用し、また回転支点となる枢軸58が荷台51の下側に、荷役作業台54の前後幅(約500mm)よりも大きく離れた位置に設けられている。このため、次の▲1▼〜▲4▼に述べるような問題点があった。
▲1▼ 荷役作業台54を水平にしたとき、すなわち図6中に一点鎖線で示す使用位置に配置したとき、荷台51の床面51aと荷役作業台54の上面54aとの段差H1が約500mm以上と大きく、作業がしづらい。
▲2▼ 荷役作業台54の左右の幅を、荷台51の左右の幅と略同じ幅だけ確保した場合、格納時に、法的に義務付けられている車両のテールランプを荷役作業台54が覆ってしまう。これを避けるのに、荷役作業台54に、テールランプが見えるようにする大きな長穴を開けておく必要があるが、大きな長穴が開けられていると、荷役作業台として作業がしずらい。
▲3▼ 荷役作業台54を車両の外面に露出した状態で取り付けているため、汚れ易い。
▲4▼ 荷役作業台54の取り出し・格納操作を回転式にしているので、使用位置から格納位置に持ち上げて回転させるときに重く、作業者が疲れる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、床面と作業台面との段差をなくして作業のし易い輸送車の荷台構造を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、格納時に荷役作業台を隠した状態にしておくことができる構造にした輸送車の荷台構造を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の他の目的は、操作性の良い荷役作業台を備えた輸送車の荷台構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、次の技術手段を講じたことを特徴とする。すなわち、観音開きする開閉扉で閉じられている荷箱の後部開口部分にパネル状をした長尺の荷役作業台を、前記荷箱の荷台床の後部端面で、かつ前記開閉扉が閉じられた時に前記開閉扉で外側から覆われる位置に形成されている開口を通して、前記荷台床の直下に略水平に寝かして格納される格納位置と、前記後部端面から略水平に引き出されて前記荷箱の後部に突出する使用位置とにスライド可能に設けているとともに、前記荷台床の下側に前記格納位置を覆って床下カバーを設けてなる構造としたものである。
【0012】
この構成のよれば、次のような作用がある。
・荷役作業台を荷箱の荷台床の直下に略水平に寝かしてスライド可能に設けているので、荷役作業台の使用時に、荷台床面と荷役作業台との段差が小さくなる。
・開閉扉により閉じられる荷台床の後部端面に設けた開口を通して、荷役作業台を水平に出し入れする構造を採っているので、開閉扉が閉じられたときには、荷役作業台が開閉扉によって外側から隠される。
・荷役作業台の格納・取り出しを、水平方向でのスライド操作で行うので、操作性が良い。
・荷役作業台を格納する時にも、その荷役作業台を荷台床の内部に水平にして格納する構造を採っているので、テールランプを覆って格納されるようにしている従来の構造で必要としていた、テールランプが見えるようにするための大きな穴は、荷役作業台には必要なくなる。
・格納位置には床下カバーが設けられていて、格納位置に配置された荷役作業台を床下カバーで覆っているので、車両走行時における埃や泥水のはね等を、その床下カバーにより遮断することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であり技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲は、この実施の形態に限られるものではない。
【0014】
図1及び図2は本発明の実施の形態として示す輸送車の荷台の要部構造を示すもので、図1は荷役作業台を格納して開閉扉が閉じられた状態で示す概略断面図、図2は開閉扉を開けて荷役作業台を使用可能に引き出した状態で示す斜視図である。図1及び図2において、この輸送車の荷台構造は、荷台1上に荷箱2を形成しており、荷箱2の後部開口部分は左右に観音開きする一対の開閉扉3,3により開閉自在に閉じられている。
【0015】
荷台1は、横根太(クロスメンバ)4上に取り付けた荷台床5を有している。その荷台床5の後端面は、開閉蓋3が閉じられた時に、その外側が開閉蓋3で覆われる構造になっており、その荷台床5の後端面には、荷台床5の左右の幅全体にわたってリヤカマチ6を取り付けている。また、リヤカマチ6の下面には、ブロック状をした複数(本実施の形態では6つ)のストッパー7を点在させて取り付けており、荷台床5の後端部をそのストッパー7及びリヤカマチ6を介して後枠部8上に載置し、ストッパー7,7の間に開口9を設けた構造になっている。その後部開口部分9には、荷役作業台10を前後方向にスライド自在に取り付けている。
【0016】
荷役作業台10は、作業台本体11と、引き手12、ストッパー13、滑り止め14等で構成されている。さらに詳述すると、作業台本体11は図5に単体で示しているように、開口9の高さよりも若干薄い厚みを有し、また左右の幅が荷台床5の左右の幅より若干小さい長さでパネル状をした長尺の板材として形成されている。なお、本実施の形態では、作業台本体11における左右方向の長さは2160mm、前後方向の長さは493mm、厚みは18mmである。また、リヤカマチ6側のストッパー7に各々対応して、前端から後端側に向かって約30mm幅のスリット15が、その後端の手前まで形成されている。なお、上記滑り止め14は、その作業台本体11の上面に貼着されていて、荷役作業台10上に乗った作業者が足を滑らすのを防ぐ。そして、作業台本体11は、スリット15をストッパー7に対応させて、そのスリット15で区分けされている部分11aを開口9内に、ストッパー7にスリット15の終端16がぶつかるまで水平に寝かせて差し込むことができる。このようにして差し込まれた作業台本体11は、荷台床5の下側に水平に配置された状態で保持される。
【0017】
引き手12は、断面略L字状をした部材で、荷台床5の下側には差し込まれずに、常に開口9の外側に突き出している作業台本体11の引き出し側前端面11bに、その垂直面12aを沿わせた状態にして、作業台本体11の上面(荷台床面)に左右方向に横たえた状態にして取り付けられている。そして、この引き手12は、開口9内から荷役作業台10を引き出すときに、作業者が指を掛けて引くための部分として機能する。
【0018】
ストッパー13は、作業台本体11の後端側に左右方向に横たえた状態にして取り付けられており、一部13a(以下、これを「ストッパー片13a」という)は、作業台本体11の下面から下側に向かって垂直に折り曲げられている。なお、そのストッパー13は、開口9を通って荷台床5の下側に作業台本体11の差し込み先端側が差し込まれた後、荷台床5の下側、すなわち後枠部8の内側から取り付けている。そして、ストッパー13を取り付けた後は、作業台本体11を所定の位置まで引き出すと、後枠部8の内面にストッパー13のストッパー片13aがぶつかって、それ以上は引き出せなくなり、引き出し方向の引き出し量を規制する構造になっている。
【0019】
したがって、このように構成されている荷役作業台10は、使用しないときは、作業台本体11を荷台1側に押すと、ストッパー7にスリット15の終端16がぶつかるまでスライドされて、そのほとんどが後枠部8の内側、すなわち荷台床5の下側に配置した状態(以下、この状態の位置を「格納位置」という)にして格納することができる。なお、図1中に実線で示す荷役作業台10は、その格納位置に配置されている状態を示している。逆に使用する場合は、作業者が引き手12に指をかけて手前側に作業台本体11を引く。すると、作業台本体11は、ストッパー13のストッパー片13aが後枠部8の内面にぶつかって規制される位置(以下、この状態の位置を「使用位置」という)まで引き出すことができる。なお、図1中に一点鎖線で示す荷役作業台10は、その「使用位置」に配置された状態を示している。
【0020】
一方、荷台床5の下側には、荷役作業台10が格納される領域に対応して、作業台支え部材17と床下カバー18が取り付けられている。床下カバー18は、荷台床5の下側に格納された荷役作業台10に外から泥、埃、水等がかからないようにするためのもので、荷台床5下の、荷役作業台10が格納される領域の外側を覆って後枠部8と横根太4に支えられた状態にして取り付けている。また、床下カバー18内には、荷台床5下の上記領域内で荷役作業台10を水平に支え、この荷役作業台10を水平に保った状態で前後方向へのスライドを案内する上記作業台支え部材17を取り付けている。
【0021】
さらに、荷台1の左右の位置において、後枠部8と荷役作業台10との間には、ロック機構20が設けられている。各ロック機構20は、図3及び図4に詳細に示している。なお、図3はロック機構20をロック操作させた後の状態で示している平面図で、図4は図3のA−A線断面図である。図3及び図4において、ロック機構20は、荷役作業台10が「格納位置」に配置されると互いに対応し合うようにして、荷役作業台10側に取り付けたロック半体20aと後枠部8側に取り付けたロック半体20bとで構成されている。ロック半体20aは、作業台本体11の上面に取り付けられていて、ロック半体20b側に開口した係合孔21が設けられている。これに対して、ロック半体20bは、左右方向への移動と上下方向への回転が可能なロックピン22と、後枠部8に取り付けられてロックピン22の上記移動及び回転を可能に保持しているブラケット23とで構成されている。そして、このロック機構20では、荷役作業台10が「格納位置」に載置されている状態で、ロックピン22を荷役作業台10側に移動(スライド)させると、その先端がロック半体20aの係合孔21内に進入してロック半体20aと係合され、荷役作業台10が「格納位置」から引き出されるのをロックする。図3及び図4は、そのロック操作された状態を示している。反対に、ロック半体20aの係合孔21にロックピン22が係合されたロック状態において、そのロックピン22を荷役作業台10と離れる方向に移動(スライド)させると、ロックピン22が係合孔21内から抜けしてロックが外れる。これによりに荷役作業台10を「格納位置」から「使用位置」に向かって引き出すことができる。
【0022】
次に、本実施の形態における構造の動作を説明する。まず、荷役作業台10を使用しないとき、作業台本体11は、ストッパー7にスリット15の終端16がぶつかるまで、荷台床5の下側に押し込まれた「格納位置」に配置され、かつロック機構20でロックされている。また、この状態では開閉扉3を閉じることができ、閉じられると開閉扉3が荷役作業台10の引き出し面を覆い、荷役作業台10が開閉扉3によって外部から隠される。図1中の実線で示す状態は、この状態を示している。
【0023】
反対に、荷役作業台10を使用する場合は、開閉扉3を荷役作業台10の引き出しを邪魔しない位置まで開き、さらにロック機構20によるロックを外す。次いで、作業者が引き手12に指をかけて作業台本体11を引く。すると、荷役作業台10は、作業台支え部材17により水平にガイドされながら、ストッパー片13aが後枠部8の内面にぶつかって規制される「使用位置」までスライドされ、作業台本体11を荷台床5から大きく引き出すことができる。そして、この引き出した荷役作業台10に作業者が乗って作業をすることができる。なお、図2は荷役作業台10を引き出した状態を示しており、また図1中に一点鎖線で示す荷役作業台10は、その「使用位置」に配置された状態を示している。この実施の形態では、荷役作業台10が荷台床5の直ぐ下側から水平に引き出される構造にしているので、その引き出された荷役作業台11の作業上面と荷台床5の床面との間の段差H2(図1参照)が小さく、従来の構造に比べて作業がし易い。ちなみに、従来構造の段差H1(図6参照)は約500mmであるのに対して、本実施の形態の場合では約30mmであり、その段差は極めて小さくなる。
【0024】
また、再び荷役作業台10を格納する場合は、作業者が荷役作業台10を荷台1側に向かって押す。すると、荷役作業台10は、作業台支え部材17により水平にガイドされながら、ストッパー7にスリット15の終端16がぶつかって規制される「格納位置」まで移動(スライド)されて格納することができる。さらに、「格納位置」まで移動させたら、ロック機構20で荷役作業台10をロックすると格納作業が終了する。次いで、格納が終了したら開閉扉3を閉じる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の輸送車の荷台構造は、上記実施の形態より明かのように、次のような効果が期待できる。
・荷役作業台を、荷役作業台を荷箱の荷台床の直下に略水平に寝かしてスライド可能に設けているので、使用時における荷台床面と荷役作業台との段差が小さくなり、作業がし易くなる。
・開閉扉により閉じられる荷台床の後部端面に設けた開口を通して水平に出し入れする構造を採っているので、開閉扉が閉じられたときには、荷役作業台が開閉扉によって外側から隠され、見栄えを良くすることができる。
・荷役作業台の格納・取り出しをスライド操作で行うので、操作性が良く、作業がし易い。
・荷役作業台の格納を、荷台床の内部に水平な姿勢のままスライドさせて格納する構造を採っている。したがって、テールランプを覆って格納されるようにしている従来の構造で必要としていた、テールランプ用の大きな穴は必要としない。これにより、上記従来の構造に比べて作業がし易くなる。
・格納位置に配置された荷役作業台を床下カバーで覆っているので、車両走行時における埃や泥水のはね等を、その床下カバーにより遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における輸送車の荷台の要部構造を、荷役作業台を格納して開閉扉が閉じられた状態で示す概略断面図である。
【図2】 本実施の形態における輸送車の荷台の要部構造を、開閉扉を開けて荷役作業台を使用可能に引き出した状態で示す斜視図である。
【図3】 本実施の形態における荷台のロック機構の一例を示す平面図である。
【図4】 図3のA−A線断面矢視図である。
【図5】 本実施の形態における作業台本体単体での平面図である。
【図6】 従来における輸送車の荷台構造の一例を示す概略縦断側面図である。
【符号の説明】
1 荷台
2 荷箱
3 開閉扉
5 荷台床
7 ストッパー
8 後枠部
9 開口
10 荷役作業台
11 作業台本体
12 引き手
13 ストッパー
15 スリット
17 作業台支え部材
18 床下カバー
Claims (1)
- 観音開きする開閉扉で閉じられている荷箱の後部開口部分にパネル状をした長尺の荷役作業台を、前記荷箱の荷台床の後部端面で、かつ前記開閉扉が閉じられた時に前記開閉扉で外側から覆われる位置に形成されている開口を通して、前記荷台床の直下に略水平に寝かして格納される格納位置と、前記後部端面から略水平に引き出されて前記荷箱の後部に突出する使用位置とにスライド可能に設けているとともに、前記荷台床の下側に前記格納位置を覆って床下カバーを設けたことを特徴とする輸送車の荷台構造。
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