JP3637248B2 - 地盤撹拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤撹拌装置に係わり、特に、地盤を掘削するインナーと、このインナーを取り囲んで設けられる筒状のアウターとを備え、このアウターまわりの地盤を撹拌するようにした地盤撹拌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地盤改良等を目的として、地盤を撹拌することが行われている。
そして、このような地盤撹拌を行う装置の一例として、たとえば、特公昭56−46010号公報において示されている。
【0003】
この撹拌装置は、掘削ロッドの先端部に、この掘削ロッドの軸線を通る面内で拡閉自在に撹拌羽根を装着するとともに、前記掘削ロッドに、その長さ方向に沿って摺動自在に外ケーシングを装着し、この外ケーシングと前記撹拌羽根との間に、前記外ケーシングと掘削ロッドとの摺動に伴って、前記撹拌羽根を拡閉させるリンク機構を設け、また、前記外ケーシングと掘削ロッドとの間に、これらを軸方向に相対移動させる油圧シリンダを設け、この油圧シリンダによって前記外ケーシングを前記掘削ロッドに対して軸方向に相対移動させることにより、前記撹拌羽根を鉛直面内において揺動させて、この撹拌羽根を、前記掘削ロッドに沿う位置と、この掘削ロッドの軸線と直交した突出位置とに選択的に位置させるような構成となっている。
【0004】
一方、この撹拌装置にあっては、まず、撹拌羽根を掘削ロッドに沿わせる位置に保持した状態で、掘削ロッドと外ケーシングおよび撹拌羽根を回転させつつ前進させることにより、地盤の掘削を行い、この掘削深さが所定深さに至った際に、前述した回転を保持しつつ、油圧シリンダによって、前記外ケーシングを掘削ロッドに対して摺動させることにより、前記撹拌羽根を掘削ロッドの軸方向と直交するように突出させて、この撹拌羽根によって前記掘削ロッドのまわりの地盤を円柱状に撹拌するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来の掘削装置にあっては、つぎのような改善すべき問題点が残されている。
すなわち、撹拌羽根を拡閉させるために、外ケーシングと、この外ケーシングと撹拌羽根とを連結するリンクと、前記外ケーシングを掘削ロッドに対して摺動させる油圧シリンダとを必要とすることから、構造が大掛かりになり、かつ、装置の重量が大きくなるといった問題点である。
また、これらの大きな重量物を一体に回転させなければならないことから、掘削あるいは撹拌に大きな動力を必要とするといった問題点もある。
さらに、回転する油圧シリンダに作動油を供給しなければならないことから、その供給系の構造も複雑なものとなる。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡便な構成によって撹拌翼の突出収納を行って、装置の簡素化および軽量化を図ることの可能な地盤撹拌装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の地盤撹拌装置は、地盤を掘削するインナーと、このインナーを取り囲んで設けられるケーシング用の筒状のアウターとを備え、前記アウターの先端部側壁には、当該アウターが逆回転するとアウターの軸線と直交する面内において地盤の抵抗により拡がり、当該アウターが正回転すると地盤の抵抗により収まる撹拌翼が設けられ、前記アウターの側壁内部には、前記地盤に注入される安定処理剤を送り込む注入管が設けられ、前記アウターの、前記撹拌翼の装着部近傍に、前記注入管に連通させられ、先端が外面に向けて開口したノズルが形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の地盤撹拌装置は、請求項1に記載の前記撹拌翼が、前記アウターの軸方向に間隔をおいた2箇所に設けられて撹拌翼群が構成され、この撹拌翼群が、前記アウターの軸線まわりに間隔をおき、かつ、軸線方向にずれた状態で複数箇所に設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の地盤撹拌装置は、請求項1または請求項2に記載の前記ノズルが、前記アウター内面にも向けて開口されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の地盤撹拌装置は、請求項1ないし請求項3の何れかに記載の前記インナーが、オーガであることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、符号1は本実施形態に係わる地盤撹拌装置を示す。
この地盤撹拌装置1は、地盤を掘削するインナー2と、このインナー2を取り囲んで設けられる筒状のアウター3とを備え、前記アウター3の先端部側壁には、このアウター3が逆回転すると、このアウター3の軸線と直交する面内において地盤の抵抗により拡がり、正回転すると地盤の抵抗によりアウター3内に収まる撹拌翼4が設けられた基本構成となっている。
【0009】
ついで、これらの詳細について説明すれば、前記インナー2は、本実施形態においてはオーガが用いられており、正方向の回転によって掘進が行われて地盤の掘削を行いつつ、掘削土を前記アウター3内に取り込みつつ上方へ搬送するようになっている。
【0010】
前記アウター3は、前述したように筒状に形成されているとともに、その先端には、前記インナー2によって掘削された掘抗の内壁面を掘削してアウター3の前進を円滑にするビット5が一体に設けられている。
【0011】
前記撹拌翼4は、図2(a)に示すように略円弧状に形成されており、前記アウター3の側壁に周方向に沿って穿設された収納溝3a内に収納されるようになされている。
また、前記撹拌翼4は、その一端部において、前記収納溝内に設けられたピン6を介して前記アウター1に回動自在に取り付けられ、その断面形状が、図2(b)に示すように、アウター3の逆方向(すなわち、図2(b)における矢印方向で、図2(a)における反時計方向)前方へ向けて鋭利となるように形成されており、アウター3が逆回転させられて地盤の撹拌を行う際に、前記撹拌翼4が地盤に食い込むような形状となされている。
【0012】
一方、前記撹拌翼4は、アウター3内に収納される位置およびアウター3から突出させられた位置へそれぞれ回動させられた際に、一部が前記収納溝3aの内面に当接させられることによって、それぞれの位置に保持されるようになっている。
【0013】
さらに、前記撹拌翼4は、前記アウター3の軸方向に間隔をおいた2箇所に設けられて撹拌翼群が構成され、この撹拌翼群が、図1に示すように、前記アウター3の軸線まわりに間隔をおき、かつ、軸線方向にずれた状態で複数箇所に設けられており、本実施形態においては、前記撹拌翼4が、前述した位置関係の下に4箇所に設けられている例を示した。
なお、図1においては、左半分を収納状態とし、右半分を突出状態として示した。
【0014】
一方、本実施形態においては、前記アウター3の側壁内部には、前記地盤に注入される安定処理剤を送り込む注入管7が設けられているとともに、前記アウター3の、前記撹拌翼4の装着部近傍に、前記注入管7に連通させられ、先端が外面に向けて開口したノズル8が形成されている。
このノズル8は、適宜、前記アウター3の内側にも向けて開口される。
【0015】
このように構成された本実施形態に係わる地盤撹拌装置1の作用を、たとえば、図3ないし図5に示すように、有道床軌道を支持するバラスト9の地盤撹拌を行う例に基づいて説明する。
【0016】
まず、図3(a)に示すように、各撹拌翼4をアウター3内に収納した状態に保持して、撹拌装置1の先端をまくらぎ10間に位置させる。
これより、撹拌装置1を、図3(a)に矢印で示すように正方向に回転させつつ掘進を行う。
そして、この掘進深さが所定深さ、図3(b)に示す例においては、最上部に位置する撹拌翼4が、前記まくらぎ10よりも下方に位置させられる深さまで掘進する。
このような掘進操作により、インナー2によって掘削されたバラスト9は、このインナー2によってアウター3内の上方へ送られるが、アウター3によってケーシングをしながら掘削されることから、周囲への影響が小さくてすむ。
【0017】
これより、アウター3を逆(図2(a)および図4(b)における反時計回りに)回転させると、各撹拌翼4の先端がバラスト9へ食い込むことによってその先端に抵抗が加わることにより、これらの撹拌翼4がアウター3の外側へ突出するように回動させられる。
このような撹拌翼4の回動は、この撹拌翼4がアウター3の収納溝3aの内面に当接させられるまで行われ、この内面に当接させられた時点で、図4に示すように、各撹拌翼4がアウター3の半径方向に略沿うように固定される。
【0018】
このようにして各撹拌翼4が突出させられた位置においてその回動を停止させた後に、前記インナー2の回転を停止させるとともに、前記アウター3を逆方向に回動させることにより、前記撹拌翼4によって、図4(b)に示すように、前記まくらぎ10の下方のバラスト9の撹拌・混合が行われる。
【0019】
このようにしてバラスト9の撹拌を行う際に、必要に応じて、前記注入管7やノズル8を介して安定処理剤が撹拌領域のバラスト9中に注入される。
【0020】
このような撹拌が完了すると、アウター3を再度正回転方向へ回転を変更する。
このようなアウター3の回転により、各撹拌翼4の先端部がバラスト9との接触抵抗によってアウター3側へ向けて回動させられて、このアウター3の収納溝3a内に収納される。
そして、前記アウター3を正回転させつつインナー2を逆回転させて、撹拌装置1全体を上昇させることにより、撹拌装置1を引き抜く。
このとき、前記アウター3の内部上方へ押し上げられているバラスト9が、埋め戻されて、図5に示すように、バラスト9の撹拌作業が完了する。
そして、埋め戻しに際して、アウター3によってケーシングしながら埋め戻しが行われることから、周囲への撹拌の影響が抑制される。
【0021】
このように、本実施形態によれば、アウター3の正逆回転動作によって、撹拌翼4の収納および突出を行わせることができ、よって、撹拌翼4の回動のための特別な駆動機構等を必要とせず、構成が簡素な地盤撹拌装置1を得ることができる。
そして、構成が簡素化される分、回転部分の重量も大きく軽減され、地盤撹拌装置1に要求される動力も少なくてすむ。
【0022】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、アウターの正逆回転動作によって、撹拌翼の収納および突出を行わせることができ、よって、撹拌翼の回動のための特別な駆動機構等を必要とせず、構成が簡素な地盤撹拌装置を得ることができる。
そして、構成が簡素化される分、回転部分の重量も大きく軽減され、地盤撹拌装置に要求される動力も少なくてすむ。
さらに、バラストの撹拌時に、注入管やノズルを介して安定処理剤を撹拌領域のバラスト9中に注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す要部の縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すもので、(a)は要部の横断面図、(b)は撹拌翼の縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すもので、地盤撹拌作業の初期段階を示すもので、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すもので、地盤撹拌作業の中間段階を示すもので、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すもので、地盤撹拌作業の終盤を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 地盤撹拌装置
2 インナー
3 アウター
3a 収納溝
4 撹拌翼
5 ビット
6 ピン
7 注入管
8 ノズル
9 バラスト
10 まくらぎ
Claims (4)
- 地盤を掘削するインナーと、このインナーを取り囲んで設けられるケーシング用の筒状のアウターとを備え、
前記アウターの先端部側壁には、当該アウターが逆回転するとアウターの軸線と直交する面内において地盤の抵抗により拡がり、当該アウターが正回転すると地盤の抵抗により収まる撹拌翼が設けられ、
前記アウターの側壁内部には、前記地盤に注入される安定処理剤を送り込む注入管が設けられ、
前記アウターの、前記撹拌翼の装着部近傍に、前記注入管に連通させられ、先端が外面に向けて開口したノズルが形成されていることを特徴とする地盤撹拌装置。 - 前記撹拌翼が、前記アウターの軸方向に間隔をおいた2箇所に設けられて撹拌翼群が構成され、この撹拌翼群が、前記アウターの軸線まわりに間隔をおき、かつ、軸線方向にずれた状態で複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の地盤撹拌装置。
- 前記ノズルが、前記アウター内面にも向けて開口されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地盤撹拌装置。
- 前記インナーが、オーガであることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の地盤撹拌装置。
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