JP3636455B2 - 菌類プロテアーゼ - Google Patents
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Description
本発明は、スブチリシン型のアスペルギラス ニガーセリンプロテアーゼをコードする新規DNA配列、スブチリシン型のアスペルギラスセリンプロテアーゼ自体及びそれらの調製方法に関する。本発明はさらに、非相同タンパク質の発現のために有用である、スブチリシン型のセリンプロテアーゼにおいて欠陥性の新規アスペルギラス変異体株、及びそのような変異体株の調製方法に関する。
【0002】
発明の背景
アスペルギラス種及び特にアスペルギラス ニガーは、食品加工産業において使用される酵素の産業的製造のために使用される。A.ニガーは、タンパク質の分泌のための高い能力のために、及びシステムはその分子遺伝子操作のために利用できるので、組換えタンパク質の生成のための宿主として好都合である。しかしながら、培養流体におけるプロテアーゼの存在は、A.ニガーにおける非相同タンパク質の発現に対して有害であることがわかっており;実際、アスペルギラスはプロテアーゼを生成するために商業的には使用される。アスペルギラスからの多くの細胞外プロテアーゼは文献にこれまで記載されて来た〔Barthomeufなど. 、Biotech.Tech. 2:29−34 (1988) ;Barthomeufなど. 、Chem.Pharm Bull.(Tokyo) 37:1333−1336 (1986) ;Bosmann,H.B., Biochim.Biophys.Acta 293: 476−489 (1973);Ichishima,E., Biochim.Biophys.Acta 258: 274−288 (1972); Chopra,S.,and Mehta,P., Folia Microbiol. 30: 117−125 (1985);Krishnan and Vijayalakshimi,J. Chromatogr. 329: 165−170 (1985)〕。アスペルギラス アワモリ(Aspergillus awamori)からのアスペルギロペプシンAをコードする遺伝子pepAが最近クローン化されている〔 Berkaなど. 、 Gene 86: 153〜162 (1990)〕。そのpepA遺伝子生成物は、A.ニガーの分泌された酸プロテアーゼの主要部分を占め、そしてpepA遺伝子が欠失した株は、A.ニガー var. アワモリにおける非相同タンパク質の高められた発現を可能にした〔Dunn-Colemanなど. 、Biotechnology 9: 976〜981 (1991)〕。他のプロテアーゼ遺伝子はまた最近、アスペルギラスからクローン化されており、そしてこれらはA.オリザエ(A.oryzae) のアルカリセリンプロテアーゼ〔 Tatsumiなど. 、Mol.Gen.Genet. 219:33〜38 (1989) 〕、A.フミガタス(A.fumigatus ) のアルカリセリンプロテアーゼ〔Jaton-Ogayなど. 、 FEMS Microbiol Letts 92: 163〜168 (1992)〕、A.ニガー var. マクロスポラス (A.niger var. macrosporus) からの非ペプシンタイプ型プロテアーゼ〔 Inoueなど. 、J.Biol.Chem. 266: 19484〜89 (1991) 〕及びA.オリザエからの中性プロテアーゼIIと呼ばれるメタロプロテラーゼ〔 Tatsumiなど. 、Mol.Gen.Genet. 228:97〜103 (1991)〕を包含する。
【0003】
A.ニガーの単離され、そして変異誘発されたプロテアーゼ遺伝子は、遺伝子破壊実験、すなわち対応する天然の遺伝子が破壊される変異体株の調製のために使用され得る。たとえば、アスペルギラス アワモリからのpepA遺伝子は、アスペルギロペプチンA欠陥株を調製するために遺伝子破壊により破壊されて来た(Berkaなど. 、上掲書)。
【0004】
しかしながら、上記のように、アスペルギラスは多数の異なったプロテアーゼを生成し、そして従って、タンパク質の産業的な製造のために他のプロテアーゼにおける欠陥性のアスペルギラス株のための連続した必要性が存在する。このために、インビトロ変異誘発、たとえば遺伝子破壊によるプロテアーゼ欠陥性株の調製のために使用され得る他のプロテアーゼ遺伝子のための必要性がまた存在する。さらに、タンパク質プロセッシングのために産業的に適用され得る組換えプロテアーゼタンパク質のための必要性がまた存在する。
【0005】
A.ニガーにおける分泌されたプロテアーゼ活性の他の主要構成成分はセリンプロテアーゼである〔 Sakkaなど. 、 J.Ferment.Technol. 63: 479〜483 (1985)〕。菌類からのセリンプロテアーゼは、カビ、T.アルブム(T.album ) 及び酵母、サッカロミセス セレビシアエ (Saccharomyces cerevisiae) において広範に特徴づけられている。T.アルブムはたぶん、3種の関連するセリンプロテアーゼを分泌し、そのうち最良に特徴づけられているものはプロテイナーゼKであり〔Janyなど. 、FEBS 199: 139〜144 (1986)〕、ところが酵母における相同タンパク質は液胞に局在する〔Wolf and Ehmann, Eur.J.Biochem. 98: 375〜384 (1979)〕。それらのT.アルブム及びS.セレビシアエタンパク質のすべてのための遺伝子はクローン化されており、そして特徴づけられている〔 Gunkel and Gassen, Eur.J.Biochem. 179: 185〜194 (1989), Samalなど.、 Gene 85: 329〜333 (1989), Samal など.、 Molec.Microbiol 4:1789〜1792 (1990) 及びMoehleなど. 、Molec.Cell.Biol. 7:4390〜99 (1987) 〕。アルカリセリンプロテアーゼはまた、A.オリザエ、A.フミガタス及びアクレモニウム クリソゲナム(Achremonium chrysogenum) においてクローン化され、そして特徴づけられている〔 Tatsumiなど. 、Mol.Gen.Genet. 219:33〜38 (1989) ;Jaton-Ogayなど. 、FEMS Microbiol.Letts. 92: 163〜168 (1992);Isogaiなど. 、 Agric Biol.Chem. 55: 471〜477 (1991)〕。
アスペルギラスはまた、プロテアーゼのスブチリシン科に相同のセリンプロテアーゼを生成することが見出された。本発明はこのタイプのプロテアーゼに関する。
【0006】
本発明の目的
スブチリシン型のアスペルギラスセリンプロテアーゼをコードするDNA分子を供給することが本発明の目的である。
さらなる目的は、スブチリシン型の組換えアスペルギラスセリンプロテアーゼ及びまた、その生成のための形質転換されたアスペルギラス株を供給することである。
もう1つの目的は、株が非相同タンパク質のより効果的な生成のために使用され得る、スブチリシン型のセリンプロテアーゼ遺伝子において欠陥性のアスペルギラス株を供給することである。
【0007】
発明の要約
本発明は、スブチリシン型のアスペルギラスセリンプロテアーゼに関する。そのようなプロテアーゼは、本明細書においては、“アスペルギラス−スブチリシン”と命名される。本発明の“アスペルギラス−スブチリシン”は、(a)アスペルギラス spec.に由来し、(b)活性部位での触媒性セリン残基によるプロテアーゼ活性を示し、そして(c)スブチリシン科に分類されるために既知のセリンプロテアーゼと相同の十分なアミノ酸配列を有するものとして理解される。しかしながら、本発明に使用されるようなアスペルギラス−スブチリシンはまた、セリンプロテアーゼ活性を保持するような酵素のフラグメントもまた前記用語の意味するところであるが、しかしながら、十分な長さの酵素が好ましい態様である。追加のアミノ酸、ペプチド又はタンパク質に結合される本発明の“アスペルギラス−スブチリシン”を含む融合タンパク質もまた本発明の一部であることが理解される。
【0008】
好ましい態様において、アスペルギラス−スブチリシンは、アスペルギラス ニガーに由来するプロテアーゼ又はその活性フラグメント、より好ましくは配列番号1及び6にそれぞれ示されるアミノ酸配列又はその配列の一部を有するプロテアーゼ又はその活性フラグメントを意味する。
【0009】
本発明はまた、本発明のアスペルギラス−スブチリシンをコードする単離されたDNA配列、及びそのようなDNAのクローニング及び操作のためのハイブリッドベクターにも関する。本発明はさらに、適切な宿主細胞におけるアスペルギラス−スブチリシンの発現のために適切な調節領域により機能的に結合されたそのようなDNA配列を含んで成る、アスペルギラス−スブチリシンの生成のための発現ハイブリッドベクターに関する。本発明はまた、アスペルギラス−スブチリシンを発現できる形質転換された宿主細胞、たとえば形質転換の後、高められた遺伝子のコピー数によりアスペルギラス−スブチリシンを過剰発現できるアスペルギラス株にも関する。
【0010】
本発明はまた、アスペルギラス−スブチリシン遺伝子における欠陥性のアスペルギラス株、及び変異誘発、たとえば遺伝子破壊により機能的タンパク質をもはや発現できないアスペルギラス−スブチリシンをコードするDNA配列によるその生成のための方法にも関する。
【0011】
さらに、本発明は、本発明のDNA配列、ハイブリッドベクター、発現ベクター及びアスペルギラス−スブチリシンの調製方法、並びにアスペルギラス−スブチリシン遺伝子における欠陥性のアスペルギラス株及びアスペルギラス−スブチリシンを過剰生成する宿主株の発現方法にも関する。
【0012】
発明の特定の記載
クローニング及び発現のためにアスペルギラス−スブチリシンハイブリッドベクターをコードするDNA
本発明は、アスペルギラス−スブチリシン、好ましくはアスペルギラス ニガーをコードするDNA配列を含んで成るDNA分子に関する。そのDNA配列は、ゲノムDNAライブラリィーから単離できるDNA分子を有する場合、たとえば配列番号1に示されるpepC遺伝子又は配列番号6に示されるpepD遺伝子として1又は複数のイントロンを含むことができる。しかしながら、本発明はまた、たとえばcDNAクローニングにより、又は変異誘発の後、PCR技法の適用により単離できるようなDNA配列のイントロンを含まない変異体にも関する。そのようなイントロンを含まない遺伝子は特に、非アスペルギラス宿主、好ましくは原核生物又は酵母における発現のために有用である。
【0013】
本発明は好ましくは、配列番号1で示されるアミノ酸配列又はセリンプロテアーゼ活性を保持するそのフラグメントを有するA.ニガー−スブチリシンPEPCをコードするDNA配列を含んで成るDNA分子に関する。本発明のDNA配列は好ましくは、配列番号1を有するヌクレオチド配列で示される成熟PEPCプロテアーゼのためのコード領域である。しかしながら、本発明はまた、PEPCをコードする変性DNA配列、又はそのフラグメント、すなわちヌクレオチドがコードされたアミノ酸配列を変えないで置換されている配列にも関する。そのようなDNA配列は、たとえば種々の宿主への好ましいコドン利用における差異により又は制限酵素のための新規認識部位の存在により、有用である。
【0014】
本発明のもう1つの好ましい態様は、配列番号6で示されるアミノ酸配列又はセリンプロテアーゼ活性を保持するそのフラグメントを有するA.ニガー−スブチリシンPEPDをコードするDNA配列を含んで成るDNA分子である。従って、本発明のもう1つの好ましいDNA配列はまた、配列番号6を有するヌクレオチド配列で示される成熟PEPDプロテアーゼのためのコード領域である。しかしながら、本発明はまた、PEPDをコードする変性DNA配列又はそのフラグメント、すなわちヌクレオチドがコードされたアミノ酸配列を変えないで置換されている配列にも関する。
【0015】
本発明はまた、本発明のアスペルギラス−スブチリシン、好ましくはその好ましい形をコードするDNA配列を挿入体として含んで成るハイブリッドベクターにも関する。そのような本発明のハイブリッドベクターは、本発明のDNA配列の拡張及び操作のために有用である。本発明はまた、本発明のアスペルギラス−スブチリシン、好ましくはその好ましい形の生成のために適切な発現ベクターにも関する。そのような発現ベクターは、アスペルギラス−スブチリシンをコードするDNA配列が所望する宿主細胞においてそのようなDNA配列の発現の制御のために適切な調節領域により機能的に結合されている“発現カセット”を含んで成る。
【0016】
発現ベクターを含む本発明のハイブリッドベクターは、遺伝子工学の業界において有用ないづれかのベクター、たとえばウィルス、ファージ、コスミド、プラスミド又は染色体DNA、たとえばSV40、ヘルペスウィルス、乳頭腫ウィルス、レトロウィルス、バキュロウィルス、ファージλ、たとえばNM989又はEMBL4、又はファージM13、たとえばM13mp8の誘導体、細菌プラスミド、たとえばpBR322,pUC18又は酵母プラスミド、たとえば酵母2μプラスミド、又は欠陥ウィルス、ファージ又はプラスミドの複製を可能にするヘルパーウィルス、ファージ又はプラスミドの存在下での欠陥ウィルス、ファージ又はプラスミド、たとえばM14K07ヘルパーファージの存在下でのM13(+)KSベクター、又は糸状菌、たとえばアスペルギラス spec.、たとえばA.ニガーに由来する染色体DNA、たとえばEP184438により供給されるものに由来する。S.セレビシアエ又は糸状菌、より好ましくはアスペルギラス spec.、さらにより好ましくはA.ニガーのためのベクターが好ましい。
【0017】
発現ベクターを含む本発明のハイブリッドベクターは、染色体外要素として、又は宿主染色体における組込みにより適切な宿主における所望するDNAの複製を提供する。いくつかの可能なベクターシステムが、本発明のクローン化されたDNAの組込み及び発現のために利用できる。原則的に、選択された宿主において複製し、そして安定して維持されるすべてのベクターが適切である。従って、ベクターは、形質転換のために予想される宿主細胞に依存して選択される。一般的に、そのような宿主細胞は、原核又は真核微生物、たとえば細菌、菌類、たとえば酵母、好ましくはS.セレビシアエ、又は糸状菌として、好ましくはアスペルギラス spec.、より好ましくはA.ニガー、又は高等真核生物起源の細胞、たとえば脊椎動物、たとえば哺乳類細胞であり得る。適切な宿主細胞は、下記に詳細に論ぜられるであろう。染色体外要素として維持される、発現ベクターを含む本発明のハイブリッドベクターは、複製の起点(ori) 又は自立的に複製する配列(ARS)、選択可能マーカー配列、及び場合によっては、追加の制限部位を含んで成る。宿主染色体中への組込みのために向けられるベクターは、染色体に関連してそれは細胞において複製されるので、ori又はARSを含む必要はない。
【0018】
複製又は自立的に複製する配列の起点(染色体外要素に自立的に複製する能力を付与するDNA要素)は、たとえばSV40又は他のウィルス源に由来する外因性起点を含むベクターの構成により、又は宿主細胞染色体機構により供給される。
【0019】
発現ベクターを含む本発明のハイブリッドベクターはまた、形質転換され、選択され、そしてクローン化される宿主に依存して選択マーカーを含むことができる。マーカーの表現型発現により形質転換体の選択を促進するいづれかのマーカー遺伝子が使用され得る。適切なマーカーは特に、テトラサイクリン又はアンピシリンに対しての抗生物質耐性、又は栄養要求性菌類変異体の場合、宿主損傷を補う遺伝子を発現するものである。その対応する遺伝子は、たとえば抗生物質シクロヘキシミドに対しての耐性を付与し、又は栄養要求性酵母、好ましくはS.セレビシアエにおける原栄養性に、変異体、たとえばura3,leu2,his3又はtrp1遺伝子を供給する。形質転換されるべき宿主がマーカーにより発現される生成物のために栄養要求性である場合、自立的に複製するセグメントに関連するマーカー構造遺伝子として使用することもまた可能である。
【0020】
A.ニガーのためのハイブリッドベクター、特に発現ベクターに関して、A.ニガー宿主損傷を補足するマーカー遺伝子、たとえばA.ニガー又はA.ニジュランス(A.nidulans) (EP184,438号)、又はN.クラサ(N.crassa) pyr4遺伝子に相同のA.ニジュランスDNAフラグメントに由来するオルニチンカルバモイルトランスフェラーゼをコードするargB遺伝子が特に重要である。他の適切なマーカー遺伝子は、本発明の形質転換された宿主の記載に関して、この後に説明される。
【0021】
E.コリにおけるアスペルギラス−スブチリシンをコードするDNAの操作のために適切な本発明のハイブリッドベクターは、たとえば本発明の例にこの後、記載されるプラスミドpTZPEPC又はpTZPEPDである。
【0022】
本発明の発現ベクターに関して、用語“発現カセット”とは、アスペルギラス−スブチリシンを発現できるDNA配列を意味し、そしてアスペルギラス−スブチリシンにより操作可能的に結合されるプロモーター及び場合によっては、シグナル配列、転写ターミネーター、転写エンハンサー、リボソーム結合部位、効果的なRNAプロセッシングのための配列、効果的なタンパク質プロセッシングをコードする配列及び正しいタンパク質局在化をコードする配列から成る群からの1又は複数の追加の調節要素を含んで成る。本発明の発現カセットにおいては、アスペルギラス−スブチリシンコード領域は、相同調節要素、すなわちそれらにより天然において結合されるもの、又は非相同調節要素、すなわち他の遺伝子に由来するものと共に組合され得る。
【0023】
広範囲の種類のプロモーター配列が、宿主細胞の性質に依存して使用され得る。強く且つ同時に、十分に調節されているプロモーターが最っとも有用なものである。
【0024】
プロモーターのための例は、原核生物のλPL ,λPR ,E.コリのlac,trp又はtacプロモーターである。酵母、好ましくはS.セレビシアエにおける発現のために適切なプロモーターは、TRP1−,ADH1−,ADHII−,PHO3−,PHO5−,GAL10−、又は解糖性プロモーター、たとえばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、3−ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルベートキナーゼ、ホスホトリオースイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ及びグルコキナーゼ遺伝子のプロモーター、又はPHO5−GAPDHハイブリッドプロモーター(EP出願番号第EP−A213593号)である。真核生物プロモーターの他の例は、真核ウィルス、たとえばSV40、ラウス肉腫ウィルス、アデノウィルス2、ウシ乳頭腫ウィルス、パポーバウィルス、サイトメガロウィルス由来のプロモーター、又はたとえばアクチン、コラーゲン、ミオシン又はβ−グロビン遺伝子の哺乳類細胞由来のプロモーターである。真核生物プロモーターは、促進配列、たとえば酵母、好ましくはS.セレビシアエの上流の活性化配列(UAS)又はウィルス又は細胞性エンハンサー、たとえばサイトメガロウィルスIEエンハンサー、SV40エンハンサー、免疫グロブリン遺伝子エンハンサー又は他のものと共に組合され得る。
【0025】
エンハンサーは、たとえばウィルス、たとえばSV40、ポリオーマウィルス、ウシ乳頭腫ウィルス又は Moloney肉腫ウィルスに由来し、又はゲノム起源の転写刺激DNA配列である。エンハンサー配列はまた、フィサラム ポリセファラム(Physarum polycephalum)の染色体外リボソームDNAに由来する(PCT/EP8500278)。適切なエンハンサーはまた、酵母酸ホスファターゼPHO5遺伝子に由来する上流の活性化部位でもある。
【0026】
シグナル配列は、たとえばポリペプチドの分泌を方向づけるプレ配列又は分泌リーダー、又は同様のものであり得る。シグナル配列は、たとえばアスペルギラス−スブチリシンのシグナル又はリーダーペプチド、たとえば配列番号1に示されるシグナル配列であり得る。追加のシグナル配列は、文献、たとえばvon Heijne,G., Nucleic Acids Res. 14, 4683 (1986) に包含されるものから知られる。
【0027】
転写の開始及び停止、及びmRNAを安定化するために必要な配列は、たとえば発現宿主からのウィルス又は真核生物cDNAのそれぞれの非コード5′−領域及び3′−領域から通常利用できる。
【0028】
本発明の態様においては、たとえばプラスミド、pFBY138におけるようにGAL10プロモーターの制御下で、原核生物、たとえばE.コリ、好ましくは酵母、より好ましくはS.セレビシアエにおけるアスペルギラス−スブチリシンの発現のために配列番号1に示されるコード領域の2つのエキソン又は配列番号6に示されるコード領域の4つのエキソンから構成されるイントロンを含まないコード領域を含んで成る発現ベクターである。
本発明は好ましくは、アスペルギラス株におけるアスペルギラス−スブチリシンをコードするDNA配列の発現のために適切な発現ベクターに関する。
【0029】
本発明の1つのタイプの発現ベクターは、アスペルギラス−スブチリシン、好ましくはA.ニガーをコードするDNA配列を、そのDNA配列により天然において結合されるプロモーター、すなわちその相同プロモーターの制御下で含んで成る。より好ましくは、配列番号1に示されるプロモーター領域の制御下で配列番号1のPEPCをコードするDNA配列、最っとも好ましくは配列番号1に示されるDNA配列を含んで成る発現ベクター、又は配列番号6に示されるプロモーター領域の制御下で配列番号6のPEPDをコードするDNA配列、最っとも好ましくは配列番号6に示されるDNA配列を含んで成る発現ベクターが好ましい。しかしながら、配列番号1に示されるPEPC領域はまた、配列番号6に示されるPEPDプロモーターの制御下で発現され、そしてまた逆も真である。
【0030】
好ましくは、アスペルギラス−スブチリシンは、培地中に分泌される。これは、構造遺伝子により機能的に結合されるシグナル配列、好ましくは、たとえばPEPCシグナル配列及び配列番号1に示されるコード領域を含んで成るプラスミドpTZPEPCにおけるように、又はPEPDシグナル配列及び配列番号6に示されるコード領域を含んで成るプラスミドpTZPEPDにおけるように、アスペルギラス−スブチリシン構造遺伝子により天然において結合されるシグナル配列の使用により達成され得る。
【0031】
そのような発現ベクターがアスペルギラス−スブチリシン遺伝子が元来、由来される種の宿主株におけるアスペルギラス−スブチリシンの発現のために使用される場合、アスペルギラス−スブチリシンは、組換え及び元来のアスペルギラス−スブチリシン遺伝子の両者が同じ発現条件下で活性的であるので過剰発現される。
【0032】
本発明の他のタイプの発現ベクターは、アスペルギラス−スブチリシンをコードするDNA配列により天然において結合されない、アスペルギラスにおいて機能的なプロモーターの制御下で前記DNA配列を含んで成る。アスペルギラス spec.、特にA.ニガーにおけるアスペルギラス−スブチリシンの発現のための適切なプロモーターは、たとえばアスペルギラス spec.ペクチンリアーゼ遺伝子のプロモーター、好ましくはA.ニガーPLI(EP−A−0278355を参照のこと)、PLA,PLB,PLC,PLE又はPLF(EP−A−0353188を参照のこと)のプロモーター、アスペルギラス spec.ポリガラクツロナーゼ遺伝子のプロモーター、好ましくはA.ニガーPGI又はPGII遺伝子(EP−出願番号EP−A−421919を参照のこと)のプロモーター、アスペルギラス spec.ピルベートキナーゼ遺伝子のプロモーター、好ましくはA.ニガーpki遺伝子(EP出願番号EP−A−439997を参照のこと)のプロモーター、又は本発明のアスペルギラス−スブチリシン遺伝子のプロモーター、好ましくは配列番号1又は6に示されるアスペルギラス−スブチリシン遺伝子のプロモーターである。この場合、アスペルギラス−スブチリシンの分泌はまた、構造遺伝子により機能的に結合されるシグナル配列、たとえばアスペルギラス−スブチリシン構造遺伝子により天然において結合されるシグナル配列、たとえばPEPCの場合、配列番号1に示されるシグナル配列の使用により達成され得る。しかしながら、また、アスペルギラス−スブチリシンに対して非相同のシグナル配列、たとえばアスペルギラス spec.ペクチンリアーゼ遺伝子のシグナル配列、好ましくはA.ニガーPLI(EP−A−0278355を参照のこと)、PLA,PLB,PLC,PLE又はPLF(EP−A−0353188を参照のこと)遺伝子のシグナル配列、又はアスペルギラス spec.ポリガラクツロナーゼ遺伝子のシグナル配列、好ましくはA.ニガーPGI又はPGII遺伝子(EP−出願番号EP−A−421919を参照のこと)のシグナル配列が使用され得る。
【0033】
本発明の好ましい態様において、たとえばプラスミドpPKIPEPCAにおいては、A.ニガーのピルベートキナーゼプロモーターが、その相同のシグナル配列に結合されるアスペルギラス−スブチリシンをコードする、配列番号1に示されるコード領域により機能的に結合される。
【0034】
本発明のもう1つの好ましい態様において、たとえばプラスミドpPKIPEPDAにおいては、A.ニガーのピルベートキナーゼプロモーターは、その相同シグナル配列に組合されるアスペルギラス−スブチリシンをコードする、配列番号6に示されるコード領域により機能的に結合される。
【0035】
アスペルギラス−スブチリシン遺伝子の調製方法
本発明はまた、本発明のアスペルギラス−スブチリシンをコードする、好ましくは本発明のアスペルギラス−スブチリシンの好ましい形をコードするような本発明のDNA分子の調製方法又はそのようなDNA分子を含んで成るハイブリッドベクターの調製方法にも関し、ここで前記方法は、本発明の前記DNA分子又はハイブリッドベクターにより形質転換された宿主を培養することを含んで成る。本発明の他の態様において、本発明のDNA分子は、核酸縮合を通して化学合成により調製され得る。
【0036】
宿主の培養は、非形質転換体、すなわち所望するDNA分子を欠く宿主から、形質転換体、すなわち選択マーカーと共に所望するDNA分子を含む宿主の負の又は陽正選択を可能にする化合物により補充され得又はそれを除かれ得る従来の栄養培地において行なわれる。
【0037】
当業界において有用な形質転換可能宿主、たとえば細菌、たとえばE.コリ、菌類、たとえばサッカロミセス セレビシアエ、クルイペロミセス ラクチス(Kluyveromyces lactis) 、高等真核細胞、たとえば昆虫細胞又は哺乳類細胞、たとえばCHO細胞、又は特に糸状菌、たとえばアスペルギラス、たとえばA.ニジュランス(A.nidulans) 、A.オリザエ、A.カルボナリウス(A.carbonarius ) 、A.アワモリ及び特にA.ニガーが使用され得る。宿主の形質転換は、従来の方法により行なわれる。
【0038】
アスペルギラス−スブチリシンをコードするDNA配列は、アスペルギラス−スブチリシンを発現できるアスペルギラス株のゲノムから得られ、又はアスペルギラス−スブチリシンをコードするDNA配列を含んで成る組換えDNA分子により形質転換される宿主を培養し、そして必要な場合、所望するDNA配列をそれから単離することによって調製され得る。
【0039】
特に、そのようなDNAは:
a)適切なアスペルギラス細胞からゲノムDNAを単離し、そしてDNAプローブ又は適切な発現システムを用いて、所望するDNAを選択し、そして所望するポリペプチドの発現のためにスクリーニングし、
b)適切なアスペルギラス細胞からmRNAを単離し、所望するmRNAを、たとえばDNAプローブによるハイブリダイゼーション又は適切な発現システムにおける発現により選択し、そして所望するポリペプチドの発現についてスクリーニングし、前記mRNAに相補的な一本鎖cDNA、次にそれから二本鎖cDNAを調製し、
c)cDNAライブラリィーからcDNAを単離し、そして所望するcDNAを、たとえばDNAプローブ又は適切な発現システムを用いて選択し、そして所望するポリペプチドの発現のためにスクリーニングし、
d)A.ニガーpepC又はA.ニガーpepD又はスブチリシン型の他の既知のセリンプロテアーゼをコードする遺伝子から企画されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、全体のアスペルギラスDNAの二本鎖をPCR技法によりインビトロで合成し、又は
e)段階a),b),c)又はd)に従って得られる二本鎖DNAを適切なベクター中に組込み、適切な宿主を形質転換し、その宿主を操作し、そしてDNAを単離することから選択された段階を含んで成る方法により調製され得る。
【0040】
ゲノムDNAは、所望するDNAのために単離され、そしてスクリーンされ得る(段階a)。ゲノムDNAは、アスペルギラス−スブチリシンを発現できるアスペルギラス株から単離される。ゲノムDNAライブラリィーは、適切な制限エンドヌクレアーゼによる消化及び確立された方法に従って適切なベクター中への導入によりそれから調製される。そのゲノムDNAライブラリィーは、この後に記載されるようにDNAプローブによりスクリーンされ、又は適切な発現システムに発現され、そしてその得られたポリペプチドは従来の態様でスクリーンされる。
【0041】
ゲノムライブラリィーは、たとえばSau3AI又はMboIによるA.ニガー株、たとえばNW756又はN400のゲノムDNAの部分的消化、及び適切な宿主ベクター、たとえばE.コリプラスミドpUN121又はλベクター、たとえばEMBL4における高分子DNAフラグメントのクローニングにより調製され得る。
【0042】
所望するアスペルギラス−スブチリシンを生成する他の菌類株、たとえばA.ジャポニカス(A.japonicus ) 、A.ニジュランス、A.オリザエ、A.ニガーゲノムライブラリィーのための源とし作用し、そして他の適切なベクター、たとえば上記のものが前記フラグメントのための受容体として使用され得る。
【0043】
アスペルギラス−スブチリシンをコードするDNA配列のためのゲノムライブラリィーを好都合良くスクリーンするためには、ハイブリダイズするDNAプローブが必要である。これは、所望するアスペルギラス−スブチリシンのアミノ酸配列又はその一部が既知である場合、合成DNAプローブであり、又はアスペルギラス−スブチリシン遺伝子にハイブリダイズする、たとえば酵母からの他のスブチリシン遺伝子、又はその一部であり得る。
【0044】
ポリアデニル化mRNA(段階b)は、既知方法により適切な細胞から単離される。単離方法は、たとえば界面活性剤及びリボヌクレアーゼインヒビター、たとえばヘパリン、グアニジウムイソチオシアネート又はメルカプトエタノールの存在下での均質化、場合によっては、塩及び緩衝溶液、界面活性剤及び/又はカチオンキレート化剤の存在下での適切なクロロホルム−フェノール混合物によるmRNAの抽出、及び残る水性、塩含有相からエタノール、イソプロパノール又は同様のものによるmRNAの沈殿を包含する。単離されたmRNAは、塩化セシウムグラジェントによる遠心分離、続くエタノール沈殿及び/又はクロマトグラフィー処理方法、たとえばアフィニティークロマトグラフィー処理、たとえばオリゴ(dT)セルロース又はオリゴ(U)セファロース上でのクロマトグラフィー処理によりさらに精製され得る。好ましくは、そのような精製された全mRNAは、線状スクロースグラジェントでのグラジェント遠心分離により又は適切なサイズ分別カラム、たとえばアガロースゲル上でのクロマトグラフィー処理によりサイズに従って分別される。
【0045】
所望するmRNAは、DNAプローブによりmRNAを直接的にスクリーンし、又は適切な細胞又は細胞フリーシステムにおける翻訳により、そして得られたポリペプチドをスクリーンすることにより選択される。
【0046】
所望するmRNAの選択は好ましくは、この後記載されるようにしてDNAハイブリダイゼーションプローブを用いて達成され、それによって翻訳の追加の段階を回避できる。適切なDNAプローブは、既知のヌクレオチド配列のDNA、たとえば合成DNA、所望するポリペプチドをコードするmRNAに由来するcDNA、又はたとえば天然源又は遺伝子工学的に構成された微生物から単離される隣接DNA配列を含んで成るゲノムDNAフラグメントである。
【0047】
分別されたmRNAは、細胞、たとえばカエル卵母細胞、又は細胞フリーシステム、たとえば網状赤血球溶解物又は小麦胚抽出物において翻訳され得る。得られたポリペプチドは、たとえばイムノアッセイ、たとえばラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ又は螢光マーカーによるイムノアッセイにおいて、酵素活性又は生来のポリペプチドに対して生成された抗体との反応によりスクリーンされる。ポリクローナル及びモノクローナル抗体のそのようなイムノアッセイ及び調製は、当業界において十分に知られており、そして従って適用される。
【0048】
選択されたmRNA鋳型からの一本鎖相補的DNA(cDNA)の調製は、一本鎖DNAから二本鎖DNAの調製と同じように当業界において良く知られている。そのmRNA鋳型は、デオキシヌクレオシドトリホスフェート、場合によっては放射性ラベルされたデオキシヌクレオシドトリホスフェート(反応の結果をスクリーンできるために)、プライマー配列、たとえばmRNAのポリ(A)末端とハイブリダイズするオリゴ−dT残基及び酵素、たとえば鳥類骨髄芽球化ウィルス(AMV)からの逆転写酵素の混合物と共にインキュベートされる。たとえばアルカリ加水分解による鋳型mRNAの分解の後、cDNAは、二本鎖DNAを得るために、デオキシヌクレオシドトリホスフェート及び適切な酵素の混合物と共にインキュベートされる。適切な酵素は、たとえば逆転写酵素、E.コリDNAポリメラーゼI又はT4DNAポリメラーゼのクレノウフラグメントである。通常、一本鎖cDNAにより自発的に形成されるヘアピンループ構造は、第2鎖の合成のためのプライマーとして作用する。このヘアピン構造は、S1ヌクレアーゼによる消化により除去される。他方、一本鎖DNAの3′端は、mRNA鋳型の加水分解及び第2cDNA鎖の続く合成の前、ホモポリマーデオキシヌクレオチド端により拡張される。
【0049】
他方、二本鎖cDNAは、cDNAライブラリィーから単離され、そして所望するcDNAについてスクリーンされる(段階c)。そのcDNAライブラリィーは、適切な細胞からmRNAを単離し、そして上記のようにしてそれらから一本鎖及び二本鎖cDNAを調製することによって構成される。このcDNAは、適切な制限エンドヌクレアーゼにより消化され、そして確立された方法に従って、λファージ、たとえばλシャロン4A又はλgt11中に導入される。ニトロセルロース膜上で複製されるcDNAライブラリィーが、上記のようにしてDNAプローブを用いることによってスクリーンされ、又は適切な発現システムにおいて発現され、そして得られたポリペプチドは所望する化合物に対して特異的な抗体との反応のためにスクリーンされる。
【0050】
二本鎖DNAのもう1つの調製方法はPCR技法である(段階d)。この方法は特に、少なくとも一部既知の配列を有する少量DNA又はRNAから出発して多量の二本鎖DNAの調製のために使用され得る。既知のベクターを端に有する未知の配列を有するDNA挿入体がまた、出発材料として使用され得る。PCR技法においては、DNA分子、たとえばオリゴヌクレオチドが、DNAの酵素鋳型依存性合成のためのプライマーとして使用され得る。二本鎖DNAの変性、プライマーによるハイブリダイゼーション及び酵素的合成が連続的に反復され得るために、多量が調製され得る。合成されたDNA分子の数は、それが個々のラウンドで二倍になるために指数的に上昇する。PCR技法は当業界において既知であり、そして本発明に適用され得る。オリゴヌクレオチドプライマーは、スブチリシン型の既知のセリンプロテアーゼ間の比較に基づいて、保存されたスブチリシン型セリンプロテアーゼタンパク質配列をコードするDNAにハイブリダイズするように企画され得る。PCR技法は当業界において良く知られており、そして従来のPCR技法、たとえば M.A.Innisなど. (出版者)、PCR法、A guid to methods and applications, Academic Press, San Diego (1990)に記載される技法が本発明に適用され得る。
【0051】
適切なベクター中への二本鎖cDNA又はゲノムDNAの導入のための種々の方法が当業界において知られている(段階c)。たとえば、相補的ホモポリマー系統が、その対応するデオキシヌクレオシドトリホスフェート及び酵素、たとえばターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼの存在下でのインキュベーションにより二本鎖DNA及びベクターDNAに付加され得る。次に、ベクター及び二本鎖DNAが、相補的ホモポリマー末端間を塩基対合することによって連結され、そして最後に、特定の連結酵素、たとえばリガーゼにより連結される。他の可能性は、ブラント−又は付着末端連結による、二本鎖DNAの末端への合成リンカーの付加、又はベクター中への二本鎖DNAの導入である。適切なベクターはこの後に詳細に論ぜられるであろう。
【0052】
得られたハイブリッドベクターにより適切な宿主細胞を形質転換するための形質転換法及び形質転換された宿主細胞の選択及び操作は、当業界において良く知られている。そのような方法のための例は、下記にさらに与えられる。
【0053】
本発明による所望するDNA、変異体及びそのフラグメントの単離は、当業界において知られている方法、たとえばフェノール及び/又はクロロホルムによる抽出により達成される。場合によっては、DNAは、たとえば変異体を得るために変異誘発剤による処理により、又は制限酵素により消化し、フラグメントを得、1又は両端を変性し、ベクター中への導入を促進し、介在配列を除去し、そして同様のことを行なうことによって、さらに操作され得る。
【0054】
本発明のDNAのヌクレオチド配列は、それ自体既知の方法により、たとえば末端ラベルされたDNAを用いての Maxam-Gilbert法により又はSangerのジデオキシ鎖終結法により決定され得る。
【0055】
本発明のアスペルギラス−スブチリシン遺伝子配列はまた、従来の方法に従ってのインビトロ合成により調製され得る。そのインビトロ合成は、セリンプロテアーゼ活性を有するアスペルギラス−スブチリシンのフラグメントをコードするアスペルギラス−スブチリシン遺伝子のより小さなフラグメントの調製のために特に適用できる。インビトロ合成はまた、プロモーター又はシグナルペプチドをコードするDNAの合成のために特に適用できる。そのインビトロ合成は好ましくは、A.ニガーに由来するアスペルギラス−スブチリシン遺伝子又はそのフラグメント、最っとも好ましくは配列番号1に示されるpepC遺伝子又はそのプロモーター又はシグナル配列、又は配列番号6に示されるpepD遺伝子又はそのプロモーター又はシグナル配列に適用される。
【0056】
DNAの合成のための適切な方法は、S.A.Harang (Tetrahedron 39, 3, 1983)により要約形で示されている。既知合成技法は、長さ120塩基までのポリヌクレオチドの良好な収率、高い純度及び比較的短い時間での調製を可能にする。適切に保護されたヌクレオチドは、ホスホジエステル法(K.L.Agarwalなど. 、 Angew.Chemie 84, 489, 1972)、より効果的なホスホジエステル法(C.B.Reese, Tetrahedron 34, 3143, 1972) 、ホスフィットトリエステル法(R.L.Letsingerなど. 、 J.Am.Chem.Soc. 98, 3655, 1976) 又はホスホラミジット法 (S.L.Beaucage及びM.H.Carruthers, Tetrahedron 22, 1859, 1981) によりお互連結される。オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの合成の単純化は、ヌクレオチド鎖が適切なポリマーに結合される、固相法により可能にされる。実際の二本鎖DNAは、塩基対合により正しい配置で一緒に保持され、そして次に酵素DNAリガーゼにより化学的に連結される、両DNA鎖からの化学的に調製されたオーバーラップオリゴヌクレオチドから酵素的に構築される。他の可能性は、DNAポリメラーゼ、たとえばDNAポリメラーゼI、ポリメラーゼIのクレノウフラグメント又はT4DNAポリメラーゼと共に又はAMV(鳥類骨髄芽球化ウィルス)逆転写酵素と共に、4種の必要とされるデオキシヌクレオシドトリホスフェートの存在下で2種のDNA鎖からの1本のオーバーラップするオリゴヌクレオチドをインキュベートすることを含んで成る。それによって、それらの2種のオリゴヌクレオチドは塩基対合により正しい配置で一緒に保持され、そして酵素により必要とされるヌクレオチドにより補充され、完全な二本鎖DNAが得られる (S.A.Narangなど. 、Anal.Biochem. 121 , 356, 1982)。
【0057】
本発明を実施する場合、他の種、たとえば酵母のスブチリシン遺伝子又はそのフラグメントが、アスペルギラス spec.、たとえばA.ニガー、RNA画分におけるスブチリシンmRNA又はゲノム又はcDNAライブラリィーにおけるスブチリシンDNAを同定するためのプローブとして使用され得る。A.ニガー遺伝子の主要配列及び他のプロテアーゼとの比較から、プロテアーゼのコード領域が推定され、そしてスブチリシン遺伝子と前記遺伝子との関係が確認され得る。得られる遺伝子は、下記に詳細に概略されているように、組換えプロテアーゼの調製のために使用され得る。
【0058】
合成DNAプローブは、下記のようにして既知の方法に従って、好ましくは固相ホスホトリエステル、ホスフィットトリエステル又はホスホラミジット法を用いての段階的な縮合、たとえばホスホトリエステル法によるジヌクレオチド結合単位の縮合により合成される。これらの方法は、 Y.Ikeなど. (Nucleic Acids Research 11, 477, 1983)により記載されるようにして適切な縮合段階において、保護された形又は対応するジヌクレオチドカップリング単位で、2,3又は4種のヌクレオチドdA,dC,dG及び/又はdTの混合物を用いることによって所望するオリゴヌクレオチドの混合物の合成に適合される。
【0059】
ハイブリダイゼーションのためには、DNAプローブがラベルされ、たとえばキナーゼ反応により放射性ラベルされる。ラベルを含むDNAプローブによるサイズ分別されたmRNAのハイブリダイゼーションは、既知の方法に従って、すなわちアジュバント、たとえばカルシウムキレート化剤、粘度調節化合物、タンパク質、非相同性DNA及び同種のものを含む緩衝液及び塩溶液において、選択的ハイブリダイゼーションに好ましい温度、たとえば0℃〜80℃、たとえば25℃〜50℃又はハイブリッド二本鎖DNA溶融温度よりも約65℃、好ましくは約20℃低い温度で行なわれる。
【0060】
形質転換された宿主及びその調製
さらに、本発明は、好ましくは本発明のアスペルギラス−スブチリシンの好ましい形をコードするような、本発明のハイブリッド又は発現ベクターにより形質転換された宿主細胞に関する。
【0061】
特に本発明の組換えDNA分子の増幅のために適切な宿主の例は、制限酵素又は変性酵素を欠く又はそれを少々含む微生物、たとえば細菌、特にE.コリ、たとえばE.コリ×1776,E.コリY1090,E.コリW3110,E.コリHB101/LM1035,E.コリJA221,E.コリDH5α、又は好ましくはE.コリDH5αF′,JM109,MH1又はHB101、又はE.コリK12株である。適切な宿主はまた、他の原核細胞、たとえばバシラス サブチリス(Bacillus subtilis) 、バシラス ステアロサーモフィラス((Bacillus stearothermophilus) 、プソイドモナス (Pseudomonas ) 、ハエモフィラス (Haomophilus ) 、ストレプトコーカス (Streptococcus ) 及び他のもの及び酵母、たとえばサッカロミセス セレビシアエ、たとえばS.セレビシアエGRF18である。さらに適切な宿主細胞は、高等生物、特に確立された連続的ヒト又は動物細胞系、たとえばヒト胚の肺繊維芽細胞L132、ヒト悪性黒色腫 Bowes細胞、HeLa細胞、アフリカグリーンモンキーCOS−7のSV40ウィルス形質転換腎細胞又はチャイニースハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0062】
本発明のアスペルギラス−スブチリシン遺伝子の発現のための適切な細胞の例は、適切な発現ベクターにより形質転換された前記細胞及びさらに、バキューロウィルス発現ベクターにより形質転換された適切な昆虫細胞、並びに特に、適切な発現ベクターにより形質転換された、糸状菌、たとえばペニシリウム(Penicillium) 、セファロスポリウム (Cephalosporium) 又は適切にはアスペルギラス s pec.、たとえばA.カルボナリウス、A.アワモリ、A.ニジュランス、A.オリザエ又はより好ましくはA.ニガーである。
【0063】
本発明はまた、場合によっては選択マーカー遺伝子と共に本発明のDNA分子又はハイブリッドベクターによる形質転換条件下で適切な宿主細胞の処理も含んで成る形質転換体の調製方法及び場合によっては、形質転換体の選択にも関する。アスペルギラス−スブチリシン遺伝子はまた、特に真核細胞、たとえばアスペルギラス spec.が宿主として使用される場合、形質転換の後、宿主ゲノム中に組込まれ得る。
【0064】
微生物の形質転換は、たとえばS.セレビシアエ (A.Hinnenなど. 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 75, 1929, 1978) 、B.サブチリス(Anagnostopoulosなど.、 J.Bacteriol. 81, 741, 1961)、E.コリ (M.Mandelなど.、J.Mol.Biol. 53, 159, 1970)及びアスペルギラス〔F.Buxtonなど.、 Gene 37: 207〜14 (1985), D.J.Balanceなど. 、 Biochem.Biophys.Res.Commun. 112: 284〜9 (1983)〕のために、文献に記載されるような従来の方法に従って行なわれる。
【0065】
従って、E.コリ細胞の形質転換方法は、DNA摂取を可能にするために細胞のCa2+前処理及びハイブリッドベクターと共にインキュベーションを包含する。形質転換された細胞の続く選択は、たとえばベクターDNAのマーカー配列の性質に依存して親細胞から形質転換された細胞の分離を可能にする選択増殖培地に細胞を移すことによって達成され得る。好ましくは、ハイブリッドベクターを含まない細胞の増殖を可能にしない増殖培地が使用される。
【0066】
菌類、たとえば酵母又はアスペルギラス spec.の形質転換は、たとえばグルコシダーゼによる細胞壁の酵素的除去、ポリエチレングリコール及びCa2+イオンの存在下でハイブリッドベクターによるその得られたスフェロプラストの処理、及び寒天中へのそのスフェロプラストの固定化による細胞壁の再生の段階を含んで成る。好ましくは、再生寒天は、上記のようにして、形質転換された細胞の同時再生及び選択を可能にする手段で調製される。
【0067】
高等真核生物起源の細胞、たとえば哺乳類細胞系の形質転換は好ましくは、トランスフェクションにより達成される。トランスフェクションは、従来の技法、たとえばリン酸カルシウム沈殿、マイクロインジェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、すなわち、細胞膜の透過能力を一時的に高める短い電気パルスによる、又はヘルパー化合物、たとえばジエチルアミノエチルデキストラン、ジメチルスルホキシド、グリセロール又はポリエチレングリコールの存在下でのDNAの導入、及び同様の方法により行なわれる。トランスフェクション方法の後、トランスフェクトされた細胞が、たとえば選択マーカーの性質に依存して選択された選択培地、たとえば標準培養培地、たとえばダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)、最少必須培地、RPMI1640培地及び同様のもの(たとえば対応する抗生物質を含む)においての培養により同定され、そして選択される。
【0068】
形質転換された宿主細胞は、当業界において既知の方法により、同化できる炭素源、たとえば炭水化物、たとえばグルコース又はラクトース、窒素、たとえばアミノ酸、ペプチド、タンパク質又はそれらの分解生成物、たとえばペプトン、アンモニウム塩又は同様のもの、及び無機塩、たとえばスルフェート、ホスフェート及び/又はナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムのカーボネートを含む液体培地において培養される。その培地はさらに、たとえば増殖促進物質、たとえば微量元素、たとえば鉄、亜鉛、マンガン及び同様のものを含む。
【0069】
培地は好ましくは、選択圧力を付与し、そして形質転換されてなく、又はハイブリッドベクターを失なった細胞の増殖を妨ぐために選択される。従って、たとえばハイブリッドベクターがマーカーとして耐抗生物質遺伝子を含む場合、抗生物質が培地に添加される。たとえば必須アミノ酸において栄養要求性であるが、所ろがハイブリッドベクターが宿主欠陥を補足する酵素をコードする遺伝子を含む宿主細胞が使用される場合、前記アミノ酸を欠く最少培地が前記形質転換された細胞を培養するために使用される。
【0070】
高等真核生物起源の細胞、たとえば哺乳類細胞が、市販の培地、たとえば上記のようなダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)、最少必須培地、RPMI1640培地及び同様のもの(場合によっては、増殖促進物質及び/又は哺乳類血清により補充されている)を用いて組織培養条件下で増殖される。組織培養条件下での細胞培養のための技法は、当業界において十分知られており、そしてたとえばエアリフト反応器又は連続撹拌反応器における均質懸濁培養、又はたとえば中空繊維、マイクロカプセル、アガロースマイクロビーズ、多孔性ガラスビーズ、セラミックカートリッジ又は他の微小キャリヤー上での固定化された又は閉じ込められた細胞培養を包含する。
【0071】
培養は、当業界において知られている方法によりもたらされる。培養条件、たとえば温度、培地のpH値及び発酵時間は、本発明のポリペプチド又はその誘導体の最大力価が得られるように選択される。従って、E.コリ又は酵母株は好ましくは、約20℃〜40℃、好ましくは約30℃及び4〜8のpH、好ましくは約7のpHで、約4〜30時間、好ましくは本発明のポリペプチド又は誘導体の最大収率に達するまで、振盪又は撹拌しながら、含浸培養により好気性条件下で培養される。
【0072】
非形質転換細胞から形質転換細胞の選択を可能にするために、本発明のDNA分子は選択マーカーを担持し、又は他方、細胞がそのようなマーカーを含む第2ベクターにより同時形質転換される。他のシステムにおけるように、そのような選択マーカーは発現可能な構造遺伝子であり、その発現されたポリペプチド(酵素)は受容体生物に対して毒性の化合物に対して耐性を付与し、又はそのような必須ポリペプチドを欠く変異体の酵素システムを完全にする。形質転換された糸状菌細胞の選択のために適切なそのようなマーカー遺伝子は、たとえば既知のqa−2,pyrG,pyr4,trpC,amdS又はargB遺伝子である。
【0073】
EP−A−0278355に記載されるように、マーカー遺伝子、すなわちpyrAはA.ニガーのゲノムライブラリィーから単離され、これはA.ニジュランスのpyrG及びN.クラサ(N.crassa) のpyr4、すなわち酵素オロチジン5′−ホスフェートデカルボキシラーゼの生成に関連し、そしてそれと類似する機能を有する。この酵素は、オロチジン5′−ホスフェートのウリジル酸(ウリジン5′−ホスフェート)への脱炭酸化及び又は、フルオロ−オロト酸の毒性フルオロ−ウリジンへの脱炭酸化を触媒する。しかしながら、オロチジン−5′−ホスフェートデカルボキシラーゼをコードするいづれか他のpyr遺伝子のDNAが使用され得る。E.コリBJ5183/pCG59D7(DSM3968)と称する陽性クローンから、pyrA遺伝子を含むプラスミドpCG59D7が単離され、そしてA.ニガーpyr- 変異体の同時形質転換のために使用された。そのようなpyr- A変異体はオロチジン5′−ホスフェートデカルボキシラーゼ遺伝子を欠き、そして従って、その対応する酵素を生成できない。そのような変異体は、変異誘発UV照射下でA.ニガーN756の分生子柄を処理することによって調製され、そしてフルオロ−オロト酸及びウリジンの存在下で生存するコロニーが選択される。フルオロオロト酸の存在及びウリジンの不在下で生存するコロニーが排除される。残るウリジン要求変異体は、形質転換できるそれらの能力に従って、それぞれA.ニガー変異体An8及びAn10により表わされる2種の相補性グループpyrA及びpyrBに属する。それらは、pyrA含有プラスミドpCG59D7(DSM3968)による形質転換条件下で、そのプロトプラストの形で処理される。A.ニガーAn8(DSM3917)コロニーのみが、pUN121のDNAとのその消化されたDNAのハイブリダイズする能力により明らかなように、形質転換され、そしてpyrA遺伝子を含むことが見出された。
【0074】
アスペルギラス−スブチリシンの調製方法
本発明はまた、本発明のアスペルギラス−スブチリシン、好ましくはその好ましい形の調製方法にも関し、ここで前記方法は、本発明の発現ベクターにより形質転換された宿主を、アスペルギラス−スブチリシン遺伝子の発現のために適切な条件下で培養することを含んで成る。必要とされる場合、ポリペプチドは従来の手段で単離される。発現ベクターの構成に依存して、アスペルギラス−スブチリシンが、生成され、又はシグナル配列が存在する場合、生成され、そして分泌される。
選択された宿主が発現のために適切か又は適切でないかは、発現ベクターを構成するために選択された調節配列、特にプロモーターに主に依存する。
【0075】
アスペルギラス、好ましくはA.ニガー遺伝子に由来するプロモーターが本発明のアスペルギラス−スブチリシン遺伝子の発現のために使用される場合、アスペルギラス株、好ましくはA.ニガーが適切な宿主である。しかしながら、アスペルギラスに由来しないプロモーターが本発明の発現ベクターの構成のために使用される場合、他の宿主、たとえば細菌、たとえばE.コリ、又は酵母、たとえばS.セレビシアエがその発現のために適切である。本発明のポリペプチドの調製のための適切な宿主及びプロモーターはまた、前記に与えられた形質転換のために適切なものでもある。
【0076】
特に本発明は、形質転換されたアスペルギラス宿主が、内因性アスペルギラス−スブチリシン遺伝子が活性的である条件下で外因性アスペルギラス−スブチリシン遺伝子を発現し、そして従って、高められた遺伝子用量のために天然量のアスペルギラス−スブチリシンよりも多く発現する方法に関する。このためには、アスペルギラス宿主、特にA.ニガーが、アスペルギラス−スブチリシン遺伝子を含む発現ベクターにより、その相同性の、すなわち天然において結合される発現制御配列、特にプロモーター及びシグナル配列の制御下で形質転換される。
【0077】
特に、本発明はまた、形質転換されたアスペルギラス宿主が、外因性アスペルギラス−スブチリシン遺伝子を、それは異なったプロモーターに融合されるので、より高いレベルに又は内因性遺伝子よりも異なった条件下で発現する方法にも関する。
【0078】
外因性遺伝子の最大発現のための条件は、選択された発現システムに依存する。たとえば、A.ニガーのペクチンリアーゼ(PL)又はポリガラクツロナーゼ(PG)遺伝子のプロモーターが使用される場合、それらと共に結合されるアスペルギラス−スブチリシン遺伝子の発現は、培養培地へのペクチン又はペクチン分解生成物の添加によりA.ニガー細胞において誘発できる。しかしながら、十分なグルコースの存在においては、プロモーターは、A.ニガー株、たとえばAn8(DSM3917)が宿主として使用される場合、誘発できない。これは、A.ニガーPL又はPGプロモーターの制御下でのアスペルギラス−スブチリシン遺伝子がA.ニガーにおいて“カタボライトリプレッション”されることを意味する。しかしながら、他のアスペルギラス株、好ましくはA.オリザエ又は最っとも好ましくはA.ニジュランスが使用される場合、A.ニガーPL又はPGプロモーターの制御下でのアスペルギラス−スブチリシン遺伝子が、構成的に、すなわち、またペクチンの不在及び/又はグルコースの存在下で発現される。従って、たとえばペクチンの代わりにグルコースが遺伝子の発現の間、エネルギー及び炭素源として栄養培地に添加され得るので、A.ニガー以外のアスペルギラス宿主、好ましくはA.オリザエ又は最っとも好ましくはA.ニジュランスにおいてA.ニガーPL又はPGプロモーターの制御下でアスペルギラス−スブチリシン遺伝子を発現することが好都合である。
【0079】
アスペルギラス、好ましくはA.ニガーのピルベートキナーゼプロモーターがアスペルギラス−スブチリシン遺伝子の発現のために使用される場合、その遺伝子は、炭素源及びエネルギー源としてグルコースを含む最少培地が使用される場合に発現される。
【0080】
アスペルギラス−スブチリシンを過剰発現することが現在可能であり、それによって、種々の方法が適用され得る。精製された単一のアスペルギラス−スブチリシンは、次の方法により調製され得、ここで前記方法とは、いづれのアスペルギラス−スブチリシンも発現できず、又はアスペルギラス−スブチリシンを低量で発現し、又は外因性アスペルギラス−スブチリシン遺伝子の発現のために使用される誘発条件下でアスペルギラス−スブチリシンを発現しない適切な宿主が、好ましくはA.ニガー、最っとも好ましくは配列番号1に示されるPEPC又はアスペルギラス−スブチリシンセリンプロテアーゼ活性のフラグメントからの、アスペルギラス−スブチリシンをコードする構造遺伝子を含んで成るハイブリッドベクターにより形質転換され、そして前記構造遺伝子が発現されることを含んで成る。いづれのアスペルギラス−スブチリシンも発現できない宿主が使用される場合、それぞれ単一のアスペルギラス−スブチリシンが純粋な形で得られ、このことはいづれか他のアスペルギラス−スブチリシンによって汚染されていないことを意味する。
【0081】
いづれのアスペルギラス−スブチリシンも発現できない宿主は、対応する遺伝子を有さない微生物、又は内因性アスペルギラス−スブチリシン遺伝子の発現が適切に条件づけられた増殖培地において抑制されるが、しかし所望するアスペルギラス−スブチリシン構造遺伝子、たとえばA.ニガー由来のプロモーターにより操作可能的に結合される外因性アスペルギラス−スブチリシンプロモーターがそれらの条件下で活性的であり、又はアスペルギラス−スブチリシン遺伝子が他のプロモーターに融合されているアスペルギラス株のいづれかである。
アスペルギラス−スブチリシンの調製のために適切な他のプロモーター及び株は、本発明の発現ベクターの記載に与えられる。
【0082】
アスペルギラス−スブチリシン及びその使用
本発明はまた、スブチリシン型自体の純粋なアスペルギラスセリンプロテアーゼ(この後、“アスペルギラス−スブチリシン”と称する)にも関する。そのようなプロテアーゼは、(a)アスペルギラス spec.に由来し、(b)活性部位での触媒性セリン残基によりプロテアーゼ活性を示し、そして(c)スブチリシン科へのグループ分けのために既知のセリンプロテアーゼとの十分なアミノ酸配列相同性を有するものとして理解されている。用語アスペルギラス−スブチリシンとはまた、セリンプロテアーゼ活性を保持するような酵素のフラグメントも包含する。
【0083】
本発明は好ましくは、アスペルギラス ニガーの純粋なアスペルギラス−スブチリシン、好ましくは配列番号1に列挙する配列に示されるアミノ酸配列を有するセリンプロテアーゼPEPC又は配列番号6に列挙する配列に示されるアミノ酸配列を有するセリンプロテアーゼPEPD及びセリンプロテアーゼ活性を保持するそれらのフラグメント及び変異体に関する。
【0084】
本発明はさらに、1又は複数のアスペルギラス−スブチリシン及び/又はセリンプロテアーゼ活性を有するそのフラグメント、及び/又は生物学的に許容できるその塩、及び場合によっては、アスペルギラス−スブチリシン活性以外の活性を有する1又は複数の適切な酵素を含んで成る酵素組成物にも関する。
【0085】
アスペルギラス−スブチリシンにおいて欠陥性のアスペルギラス株
本発明はまた、内因性アスペルギラス−スブチリシン遺伝子において欠陥性の、変異誘発されたアスペルギラス株、好ましくは変異誘発されたA.ニガー株にも関する。配列番号1に示されるpepC遺伝子又は配列番号6に示されるpepD遺伝子において欠陥性のA.ニガー株が好ましい。pepC及びpepD遺伝子の両者において欠陥性のA.ニガー株もまた好ましい。
【0086】
欠陥性アスペルギラス−スブチリシン遺伝子を有する本発明の変異誘発されたアスペルギラス株は、本発明の好ましい態様においては、遺伝子破壊により調製され得、すなわち破壊されることが所望される内因性アスペルギラス遺伝子に対応するDNA配列が欠陥遺伝子にインビトロ変異誘発され、そしてアスペルギラス宿主細胞が形質転換される。細胞における相同組換え出来事により、損なわれていない内因性遺伝子が欠陥性外因性遺伝子により置換される。通常、外因性遺伝子は、コード領域中にマーカー遺伝子を挿入することによって破壊される。これは、容易にモニターされ得、そして破壊されたその対応する内因性遺伝子による形質転換体の選択のために使用される欠陥性遺伝子を導びく。しかしながら、変異誘発のための他の方法もまた、内因性アスペルギラス−スブチリシン遺伝子が機能的なアスペルギラス−スブチリシンが発現され得ないような手段で変異誘発される、変異誘発されたアスペルギラス株、好ましくは変異誘発されてA.ニガー株の調製のためにも使用され得る。
【0087】
本発明の最っとも好ましい態様においては、A.ニガー株が、配列番号1に示されるpepC遺伝子の欠陥性変異体、たとえば添付例に記載されるプラスミドpPEPCPYRAに含まれるような、挿入される選択マーカー遺伝子を有する破壊されたpepC遺伝子を含んで成るハイブリッドベクターにより形質転換され、そして形質転換体が選択される。
【0088】
本発明のもう1つの最っとも好ましい態様においては、A.ニガー株が、配列番号6に示されるpepD遺伝子の欠陥性変異体、たとえば添付例に記載されるプラスミドpPEPCPYRAに含まれるような、挿入される選択マーカー遺伝子を有する破壊されたpepD遺伝子を含んで成るハイブリッドベクターにより形質転換され、そして形質転換体が選択される。
【0089】
本発明の第三の最っとも好ましい態様においては、A.ニガー株が、配列番号1に示されるpepC遺伝子の欠陥性変異体、たとえば添付例に記載されるプラスミドpPEPCPYRAに含まれるような、挿入される選択マーカー遺伝子を有する破壊されたpepC遺伝子により、及び配列番号6に示されるpepD遺伝子の欠陥性変異体、たとえば添付例に記載されるプラスミドpPEPCPYRAに含まれるような、挿入される選択マーカー遺伝子を有する破壊されたpepD遺伝子により形質転換され、そして両pepC及びpepDにおいて欠陥性の形質転換体が選択される。
【0090】
欠陥性アスペルギラス−スブチリシン遺伝子を有する本発明の変異誘発されたアスペルギラス株は、非相同性又は相同性タンパク質の改良された生成の細胞内又は細胞外発現のために有用である。
アスペルギラス spec.における非相同又は相同タンパク質の発現は、従来の方法に従って達成され得る。通常、アスペルギラスにおいて機能的な相同又は非相同プロモーター及び場合によっては、アスペルギラスにおいて機能的な他の発現制御配列、たとえば前記に定義されたものにより操作可能的に結合される相同又は非相同遺伝子を含んで成る発現ベクターが構成される。必要とされる場合、ポリペプチドは従来の手段で単離される。発現ベクターの構成に依存して、生成物は、宿主細胞に生成され、又はシグナル配列が存在する場合、細胞に生成され、そして分泌される。
【0091】
これに関しての構造遺伝子は、たとえばウィルス、原核細胞又は真核細胞に起因し、そしてゲノムDNA、又はmRNA路を通して調製されたcDNAに由来し、又は化学的に合成され得、そして広範囲の種類の有用なポリペプチド、たとえば特に高等真核生物、特に哺乳類、たとえば動物又は特にヒト起源のグリコシル化されたポリペプチド、たとえば栄養物の生成及び酵素反応を化学的に行なうために使用され得る酵素、又はヒト及び動物疾病の処置又はその予防のために有用且つ価値があるポリペプチド、たとえばホルモン、免疫調節、抗ウィルス及び抗腫瘍性質を有するポリペプチド、抗体、ウィルス抗原、ワクチン、血餅因子、食物及び同様のものをコードする。
【0092】
そのような構造遺伝子の例は、アスペルギラスポリガラクツロナーゼ、たとえばPGI又はPGII、又はアスペルギラスペクチンリアーゼ、たとえばPLI,PLA,PLB,PLC,PLE及びPLF、又はホルモン、たとえばセレクチン、チモシン、レラキシン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、副甲状腺ホルモン、アデノコルチコトロピン、メラニン細胞刺激ホルモン、β−リポトロピン、ウロガストロン又はインスリン、増殖因子、たとえば上皮増殖因子、インスリン様増殖因子(IGF)、たとえばIGF−I及びIGF−II、マスト細胞増殖因子、神経増殖因子、グリア由来の神経細胞増殖因子、又は形質転換増殖因子(TGF)、たとえばTGFβ、増殖ホルモン、たとえばヒト又はウシ増殖ホルモン、インターロイキン、たとえばインターロイキン−1又は2、ヒトマクロファージ遊走阻止因子(MIF)、インターフェロン、たとえばヒトα−インターフェロン、たとえばインターフェロン−αA,αB,αD又はαF,β−インターフェロン、γ−インターフェロン又はハイブリッドインターフェロン、たとえばαA−αD−又はαB−αD−ハイブリッドインターフェロン、特にハイブリッドインターフェロンBDBB、プロテイナーゼインヒビター、たとえばα1 −抗トリプシン、SLPI及び同様のもの、肝炎ウィルス抗原、たとえばB型肝炎ウィルス表面又はコア抗原又はA型肝炎ウィルス抗原、又は非A−非B型肝炎抗原、プラスミノーゲン活性化因子、たとえば組織プラスミノーゲン活性化因子又はウロキナーゼ、腫瘍壊死因子、ソマトスタチン、レニン、β−エンドロピン、免疫グロブリン、たとえば免疫グロブリンのL及び/又はH鎖、又はヒト−マウスハイブリッド免疫グロブリン、免疫グロブリン結合因子、たとえば免疫グロブリンE結合因子、カルシトニン、ヒトカルシトニン−関連ペプチド、血餅因子、たとえば第IX又は第VIIIc因子、エリトロポエチン、エグリン(eglin) 、たとえばエグリンC、ヒルジン、デスルファトヒルジン、たとえばデスルファトヒルジン変異HV1,HV2又はPA、ヒトスーパーオキシドジスムターゼ、ウィルスチミジンキナーゼ、β−ラクタマーゼ、グルコースイソメラーゼをコードするものである。好ましい遺伝子は、ヒトα−インターフェロン又はハイブリッドインターフェロン、特にハイブリッドインターフェロンBDBB、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)、B型肝炎ウィルス表面抗原(HBVsAg)、インスリン様増殖因子I及びII、エグリンC及びデスルファトヒルジン、たとえば変異HVIをコードするものである。
最っとも好ましい態様は、次の例に記載されるものである。
【0093】
【実施例】
次の例は本発明を例示するものであって、限定するものではない。
略語は次の意味を有する:
BSA:ウシ血清アルブミン
DTT:1,4−ジチオトレイトール
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩
IPTG:イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド
kbp :キロ塩基対
PEG:ポリエチレングリコール
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
Tris:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
X−gal:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガクラトシド
【0094】
【0095】
【0096】
例1:アスペルギラス ニガーのゲノムライブラリィーの構成例
1.1:A.ニガーN400から高分子量DNAの単離
アスペルギラス ニガー株N400の分生子柄を、200mlの最少培地に接種し、106 個の胞子/mlの最終胞子密度にし、そして1lの三角フラスコにおいて28℃で24時間、300rpm で振盪する。菌糸をブフナー漏斗上での Myraclothを通しての濾過により収穫し、冷たい滅菌塩溶液により洗浄し、液体窒素中で凍結し、そして−60℃で貯蔵し又は直接的に使用する。ゲノムライブラリィーを調製するためにDNAの単離に使用される方法は、Yeltonなど. 〔 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:1470〜1474 (1984) 〕に記載される方法に基づかれる。
【0097】
ライブラリィー構成のためには、10gの菌糸を、 Braunマイクロ−ディスメンブレーターにおいて、1gづつ液体窒素中で粉砕する。粉砕された菌糸を、200mlの抽出緩衝液(50mMのEDTA,pH8.5,0.2%のSDS)及び200μlのジエチルピロカーボネートを含む1lの滅菌三角フラスコに移す。その混合物をゆっくり室温に暖め、そして時々振盪しながら、68℃に20分間にわたって加熱する。その懸濁液を室温に冷却し、そして12,000×gで15分間、遠心分離する。8Mの酢酸カリウム溶液(pH4.2)の1/16体積を、前記上清液に添加し、そしてその混合物を氷上に1時間放置する。沈殿物を遠心分離(20分;16,000×g;4℃)により除去する。核酸を、氷上で15分間イソプロパノール0.6体積と共にインキュベーションすることにより上清液から沈殿せしめる。その沈殿された核酸を遠心分離(10分;6,000×g;4℃)により集め、70%エタノールにより洗浄し、そしてすぐに乾燥せしめる。ペレットを、20μg/mlのRNAse A (Boehringer, Mannheim) を含むTE10mlに懸濁し、そして37℃で15分間インキュベートする。DNAをヌクレアーゼを含まないプロナーゼ(1mg/mlの最終濃度)(Kochlight, Coinbrook) により37℃で1時間、処理する。
【0098】
8.5gのCsClを、得られたDNA溶液9mlに溶解し、10mg/mlの臭化エチジウム0.2mlを添加し、そしてこの溶液を、Beckman SW41ローターにより33,000rpm で60時間又はBeckman 50 Tiローターにより45,000rpm で40時間、遠心分離する。DNAバンドを集めし、そして臭化エチジウムを、水中、NaClの飽和溶液により平衡化されたイソプロパノールによる複数回の抽出により除去する。5体積のTEを添加し、そしてそのDNA溶液を、TE飽和フェノール、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール25:24:1及びクロロホルム/イソアミルアルコール24:1により連続的に処理する。そのDNAを、0.1体積の3Mの酢酸ナトリウムpH5.2、2.5体積のエタノールの添加及び−20℃での一晩のインキュベーションにより沈殿せしめる。沈殿物を遠心分離(1時間;30,000×g;4℃)により集め、70%エタノールにより洗浄し、乾燥せしめ、そして400μlのTEに溶解する。
【0099】
例1.2:MboIによるA.ニガーN400DNAの部分的消化及びフラグメントの単離
13.6〜23kbp のDNAフラグメントの最大量を付与するMboI濃度について試験するために、1μgのA.ニガーN400DNAを、供給者により推薦される適切な緩衝液において、低下する量のMboI(0.5〜0.001U)により37℃で1時間、10μlの体積で消化する。その反応を、0.25MのEDTA 1μlの添加により停止し、そしてサンプルを、1μg/mlの臭化エチジウムを含むTBE緩衝液において0.6%のアガロースゲル上に負荷する。高収率の所望する13.6〜23kbp フラグメントを得るために必要とされるMboI濃度は約0.02U/μg DNAである。従って、2mlの合計体積でのDNA 200μgを消化する。37℃で1時間後、EDTAを添加し、25mMの最終濃度にし、酵素を65℃で10分間、熱不活性化し、そしてDNAを沈殿せしめ、洗浄し、乾燥せしめ、そして400μlのTEに溶解する。フラグメント化されたDNAを、4℃及び40V(3V/cm)で0.4%の予備アガロース上で分離する。正しい大きさのフラグメントをゲルから切断し、そしてDNAを100Vで2〜3時間、2mlのTBEにおいて滅菌透析管においてゲルから電気溶離する。電流を30秒間、逆転し、そしてDNAを含む緩衝液を集める。次に、フラグメントをエタノール沈殿法により濃縮し、そして100μlのTEに溶解する。
【0100】
例1.3:ベクターDNAの調製
A.ニガー株N400のゲノムライブラリィーを、λベクターEMBL4で構成した。9〜23kbp のクローニング容量を有するベクターは、 Frischaufなど. 〔 J.Mol.Biol. 170: 827〜842 (1983)〕及びKarnなど. 〔 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:5172〜76 (1980) 〕により記載されており、そしてPromega Biotechnology Inc.から購入され得る。1つのファージ中にクローン化されるゲノムの異なった部分から由来する2種の挿入体を回避するために、13.6kbp の最少長さのフラグメントをクローニングのために使用する。
【0101】
λEMBL4のDNA 10μgを、供給者により推薦される緩衝液において、100μlの体積で37℃で2時間、50単位のBamHIにより完結まで消化する。酵素を65℃で10分間、不活性化する。NaCl濃度を150mMに高め、そして50単位のSalIを添加し、そして37℃でのインキュベーションをさらに2時間続ける。その後、EDTAを添加し、25mMの濃度にし、そして65℃で10分間、加熱することによって酵素を不活性化する。その溶液を、等体積のフェノール(TE飽和された)、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール25:24:1及びクロロホルム/イソアミルアルコール24:1により抽出する。小さなBamHI/SalIポリリンカーフラグメントを排除するために、DNAを、3Mの酢酸ナトリウム(pH5.2)0.1体積の添加後、イソプロパノール0.6体積により沈殿せしめる。氷上で15分間及び4℃及び12,000×gでの15分間の遠心分離の後、沈殿物を70%エタノールにより十分に洗浄し、乾燥せしめ、そして40μlのTEに溶解する。
【0102】
例1.4:ゲノムA.ニガーN400DNAフラグメントの連結及びインビトロパッケージング
例2.3に従って調製されたベクターのCOS部位を、連結反応の前、アニールすることが必須である。10mMのトリス−HCl(pH7.5)及び10mMのMgCl2 におけるベクターを、65℃で10分間加熱し、そして次に、42℃で1時間アニールする。試験連結から、約1:1(重量)のベクター:フラグメント比は、ほとんどの組換え体を付与することが見出される。連結は、50mMのトリスHCl(pH7.5),10mMのMgCl2 ,10mMのDTT及び1mMのATPにおいて、9.5μgのベクター及び10μgのDNAフラグメントを用いて、合計体積100μlで起こる。DNAリガーゼ(BRL)を、0.5U/μgのDNA濃度で添加し、そしてその連結混合物を14℃で一晩インキュベートする。連結について試験するために、連結されたDNAのサンプルをアガロースゲル上で実験する。また、対照として、0.5μgのベクターを、5μlの体積でフラグメントの添加を伴わないで連結する。
【0103】
連結混合物をエタノール沈殿法により濃縮し、そしてインビトロパッケージングの前、20μlのTEに溶解する。インビトロパッケージングは、1μgのDNAをパッケージするために10μlの部分を用いて製造業者の指示に従って、 Promega Packagene抽出物により行なう。抽出物により供給される、1μgの高分子量の対照ファージλcI857 Sam7を、対照として別々にパッケージする。パッケージングの後、500μlのファージ溶液緩衝液(PSB)及び5μlのクロロホルムを添加する。組換え体ファージストックを4℃で貯蔵する。
【0104】
例1.5:A.ニガー株N400ゲノムライブラリィーの滴定及び増幅
E.コリNM539の細胞を、0.2%マルトース、10mMのMgSO4 及び1mMのCaCl2 を含むLB培地上で、1.0の光学密度(600nm)に増殖する。この培養物の0.2mlのアリコートを、PSBにおける適切なファージ希釈溶液0.1mlに添加する。37℃で20分間のファージの吸着の後、45℃での0.6%LB上部寒天3mlを添加し、その混合物をLB寒天プレート上にプレートし、そしてそれらを37℃で一晩インキュベートする。ファージ懸濁液1ml当たりのプラーク形成単位(pfu) の数は、例1.4に従って調製された2種のファージストックのために12×105 及び4.2×105pfu/mlである。フラグメントを伴わないで(それぞれ17%及び40%)、対照連結から計算されるバックグラウンドを減じた後、組換え体の絶対数は6×105 である。組換え体に含まれるDNAは、200以上のアスペルギラス ニガーゲノムに等しい。
【0105】
ライブラリィーを増幅するために、両ファージストックの80μlアリコートを、LB寒天プレート上でのLB上部アガロースにプレートし、そして次に37℃で一晩インキュベートされるE.コリNM539細胞を感染せしめるために使用する。ファージを、室温で1時間、プレート当たり5mlのPSBを有するプレートを軽く振盪することによってアガロースから溶離する。PSBを集め、細菌を除去するために遠心分離し(6000×gで10分)、そしてクロロホルムを添加する(0.5%の最終濃度)。同じ程度にほぼ増幅される両ファージストックを、混合し(40μlのストック)、滴定し(8×109pfu/ml) 、そして4℃で貯蔵する。
【0106】
例2:酵母PRBプローブの調製例
2.1:酵母プローブの調製
プラスミドpGP202(DSM7018として寄託されている)は、HindIII 及びSauIにより便利に切断され得る、酵母PRB遺伝子をコードする、酵母DNAの3.2kbフラグメントを含む。このプラスミドをHindIII 及びSauIにより消化し、そしてフラグメントを0.8%アガロースゲル上で分離する。3.2kbのフラグメントを切断し、そしてDNAを電気溶離する。このフラグメント100ngを、ラベルされたヌクレオチドとして、32P−dATPによりニックトランスレーションし、そしてすぐに、サザンブロット又はプラークリフトプロービングのために使用する。
【0107】
例2.2:A.ニガーDNAのサザンブロット
上記ようにして調製されたA.ニガーDNAの2μgリコートを、BamHI又はHindIII のいづれかにより消化し、そして0.8%アガロースゲル上で分離する。臭化エチジウム染色ゲルの写真を撮った後、DNAを細管ブロッティングによりニトロセルロースフィルターに移し〔 Southern,E.M., J.Mol.Biol. 98: 503〜517 (1975)〕、そして例3に記載されているようにして、ラベルされた酵母PRBプローブによりハイブリダイズする。両消化物を含むニトロセルロースの別々のストリップを、種々の洗浄手段にゆだね、ノイズ比に対する最強のシグナルを付与する条件を決定する。6×SSCにおける47℃での予備洗浄、続く2×SSCにおける室温での2回の洗浄が最良の結果を付与した。
【0108】
例3:酵母PRBプローブによるA.ニガーN400ライブラリィーのスクリーニング
上記(例1)アスペルギラス ニガー株N400のゲノムライブラリィーの一部を、SMに希釈し、そしてそれぞれ約2000pfu を含む0.1mlの部分をプレートする。宿主細胞を、0.2%マルトースにより補充されたLB−培地50mlをLB−培地中、E.コリNM539の一晩の培養物0.5mlにより接種し、37℃,250rpm で4時間振盪し、続いて0.5mlの1M MgSO4 及び0.5mlの0.5M CaCl2 を添加することによって調製する。それぞれの細胞の0.2mlアリコートを、ファージ懸濁液0.1mlと共にそれぞれ混合し、そして室温で30分間インキュベートする。次に、47℃でのLM−培地中、0.7%アガロース3mlを添加し、短時間撹拌し、そしてすぐに、LM寒天プレート上にプレートする。そのプレートを37℃で一晩インキュベートし、そして4℃で2時間、急冷する。
【0109】
Benton and Davisプラークハイブリダイゼーション法〔 Benton,W.D. and Davis,R.W., Science 196: 180〜182 (1977)〕に従って、個々のプレートから2種のレプリカを製造する。第1のフィルター(Schleicher and Schuell BA85) をプレートの上部に1分間配置し、第2レプリカを2分間配置し、そしてレプリカの位置を Indiaインクを用いて印を付ける。フィルターの除去の後、それらを、変性溶液(1MのNaCl,0.5MのNaOH)100mlを含む皿に0.5分間配置し、そして次に中和溶液(0.5Mのトリス−HCl,pH7.5,1.5MのNaCl)100mlに1分間配置する。フィルターを3×SSCを含む皿に移し、手ぶくろをした手で軽くこすり、細菌残骸を除去し、そして3×SSCによりすすぐ。フィルターをブロットし、室温で10分間、乾燥せしめ、そしてWhatman 3MM紙上で80℃で2時間、オーブン中において焼付ける。
【0110】
焼付けられたフィルターを3×SSCにおいて湿潤し、室温で1時間その溶液により洗浄し、そして次に、250mlの予熱された(65℃)プレハイブリダイゼーション混合物(6×SSC,10×Denhardt's(0.2%BSA,Boehringer画分V;0.2% Ficoll 400, Pharmacia;0.2%ポリビニルピロリドン−10,Sigma),0.1%SDS及び0.1mg/mlの剪断され、そして新たに変性されたニシン精子DNA)を含む皿に移す。振盪水においての65℃での1時間のプレハイブリダイゼーションの後、フィルターを250mlの予熱された(65℃)ハイブリダイゼーション混合物に30分間、1度洗浄し、ここで前記混合物は前記プレハイブリダイゼーション混合物と同じであるが、但しニシン精子DNAを欠いている。次に、フィルターを、150mlの予熱された(65℃)ハイブリダイゼーション混合物を含む皿に移し、これに、前もってラベルされたプローブが新たに添加される。
【0111】
65℃で14時間のハイブリダイゼーションの後、フィルターを、250mlの予熱された(47℃)ハイブリダイゼーション混合物により47℃で30分間、1度洗浄し、続いて250mlの2×SSCにより2回、それぞれ45分間、室温で洗浄する。フィルターを乾燥せしめ、そして増感スクリーンを用いて、Kodak XAR5フィルムに−70℃で1〜3日間、感光する。
【0112】
この場合、3種の陽性シグナルがスクリーンされた6種のプレートから得られる。陽性プラークを、インクマーカーを用いてオートラジオグラム上のプレートを注意して位置決定することにより滅菌ピペットにより打抜く。陽性プラークを含む寒天の断片を、SM 1mlに添加し、そしてクロロホルム2.5μlを添加する。ファージを、室温で1時間、時々撹拌しながら、寒天から拡散せしめ、そして次に4℃で一晩インキュベートする。寒天及び細胞残骸を5分間の遠心分離により除去し、クロロホルム2.5μlを添加し、そしてファージストックを4℃で貯蔵する。
陽性クローンをλ1,λ2,λ4と命名する。ファージは高密度でプレートされるので、陽性プラークを、それらを低密度でプレートし、そしてレプリカプレーティング、ハイブリダイゼーション及び陽性プラークのピッキングの完全な方法をくり返すことによって2度精製する。
【0113】
例4:λクローンの特徴化例
4.1:λDNAの単離
組換えクローンからDNAを単離するために、ファージまず増幅する。このためには、E.コリLE392宿主細胞を、10mMのMgSO4 及び0.2%のマルトースにより補充されたLB−培地において1.0の光学密度(600nm)に増殖する。次に、精製されたファージのストック50μlを上記のようにして別々にプレートする。30℃での一晩のインキュベーションの後、ファージを、プレート上にSM 5mlを広げ、そして軽く振盪しながら、2時間インキュベートすることによって非集密性プレートから溶離する。溶離されたファージを収穫し、そしてクロロホルム0.1mlを添加する。その混合物を短時間撹拌し、そして細胞残骸を遠心分離により除去する。上清液を回収し、クロロホルムを添加し、0.3%にし、そして得られたプレート溶解物を4℃で貯蔵する。
【0114】
ファージDNAの単離のために出発材料としてほぼ集密性のプレートを得るために、プレート溶解物10mlを、E.コリLE392宿主細胞によりプレートする。37℃で一晩のインキュベーションの後、アガロース上部層を3種のほぼ集密的なプレートから削取る。それらの層を組合し、20mlのSM及び0.4mlのクロロホルムを添加し、そして得られた混合物を37℃で30分間振盪する。細胞残骸及びアガロースを遠心分離により除去し、上清液を回収し、そしてその体積をSMにより18mlに調整する。SM中、等体積の2MのNaCl,20%のPEG6000(BDH,Pooole, GB)を添加し、そしてその溶液を混合し、そして氷上にプレートする。75分後、ファージを、4℃及び1200×gで20分間の遠心分離によりペレット化する。上清液をデカントし、そして残る流体を Kleenexティシュにより除去する。ペレットを3mlのSMに再懸濁し、そして続いて3mlのクロロホルムにより抽出する。水性相を37℃で20分間、RNase A(67μg/ml)及びDNase I(33μg/ml)により処理する。次に、その混合物を、フェノール2mlを添加し、撹拌し、クロロホルム1mlを添加し、再び撹拌し、そして遠心分離により2つの相に分離することによって抽出する。水性相を、それぞれ3mlのフェノール/クロロホルム(1:1)及び3mlのクロロホルムにより2度以上抽出する。次に、DNAを、3Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)0.3ml及びエタノール6mlの連続的な添加により水性相から沈殿せしめる。この混合物を4℃で16時間放置し、そして次にDNAを遠心分離(10分、12000×g,4℃)により回収する。ペレットをTE緩衝液0.4mlに溶解し、RNase Aを添加し、200μg/mlにし、そして37℃で1時間インキュベートする。DNAを、3Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)38μl及びエタノール0.8mlの添加により4℃で1時間、沈殿せしめる。DNAを遠心分離により回収し、そして続いて、TE 100μlに溶解する。
【0115】
例4.2:A.ニガーN400pepCクローンの制限分析
すべての3種のファージがA.ニガーゲノムの同じ領域に由来する挿入体を含み、そしてλ1の部分的制限地図が構成されることは、制限分析により確立する。
ファージDNA2μgを、供給者により推薦される緩衝液(BRL)において20μlの体積でのEcoRI 20単位により37℃で1時間消化し、そして次に65℃で10分間加熱する。サンプルを0.7%アガロースゲル上で実験し、そして写真を撮る。DNAをニトロセルロース膜に移し、そしてラベルされた酵母PRBプローブによりハイブリダイズする。12kb及び2.7kbのEcoRIフラグメントを含むすべての3種のファージは同一であることがそれらの消化物から明らかである。12kbのフラグメントは、PRBプローブにハイブリダイズされる唯一のフラグメントであり、そして従って、対応するA.ニガー遺伝子のすべてではないが、ほとんどを含むことがまた明らかである。λ1を追加の分析のために選択する。
【0116】
λ1を種々の制限酵素によりさらに消化し、そして再びサザン分析にゆだねる。PRBプローブにハイブリダイズするすべてのバンドを含むと思われる最少バンドは、3.2kbのEcoRI BamHIフラグメントである。その結果、これはプラスミド中にサブクローン化される。
【0117】
例5:プラスミド中へのPEPCのクローニング及びその配列決定及び特徴化例5.1:pTZPEPCの構成
λ1DNAを上記のようにして、制限酵素BamHI及びEcoRIと共にインキュベートする。クロロホルムによる抽出の後、DNAを沈殿せしめ、遠心分離によりペレット化し、サンプル緩衝液に溶解し、そして1×TBE緩衝液中、0.6%アガロースゲル上での電気泳動にゆだねる。3.2kbp のBamHI−EcoRIフラグメントを含むゲルスライスを回収し、そしてDNAを電気溶離する。次に、それをクロロホルム100μlにより抽出し、そしてエタノール沈殿せしめ、そしてTE緩衝液40mlに再溶解する。DNA濃度を、アガロースゲル電気泳動、続くUV光下でのバンドの可視化により推定する。
【0118】
pTZ18Rベクターを、供給者(BRL)により推薦される条件下で、BamHI及びEcoRIによる消化により調製する。DNAをフェノール、フェノール/クロロホルム(1:1)及びクロロホルムにより抽出し、そしてDNAをエタノール沈殿せしめる。
上記個々のフラグメント100ngを、BRLにより推薦される緩衝液+ATP(1mM),1.5UのT4DNAリガーゼ(BRL)を含む反応体積25μlにおいて一緒に連結する。その反応混合物を16℃で16時間インキュベートし、そして次にE.コリDH5αF′を形質転換する。細胞を、25μg/mlのアンピシリン、0.005%のXgal,0.05mMのIPTGを含むLB寒天プレート上にプレートし、そして37℃で一晩インキュベートする。
【0119】
いくつかの単一の白色コロニーを用いて、0.1%のグルコース及び25mg/mlのアンピシリンにより補充されたLB培地において一晩の培養物を調製する。それらの培養物を、Holmes及びQuigley 〔 Holmes,P.S. and Quigley,M., Anal.Biochem. 114:193 (1981)〕のminiprep法を用いて、プラスミドを単離するために使用する。プラスミドを、供給者(BRL)の推薦に従って及びRNase A(0.5mg/ml)の存在下で、いくつかの制限酵素により消化し、そして生成物をアガロースゲル上で分析する。予測されるサイズのBamHI−EcoRI及びHindIII フラグメントを生ぜしめるプラスミドを選択し、そしてそれらを含むE.コリ細胞をグリセロール上で−20℃で維持する。このプラスミドを、pTZPEPC(DSM7017とし寄託された)と称する。
【0120】
例5.2:pepCのヌクレオチド配列
pepCサブクローン、すなわちpTZ18Rベクターにおける3.2kbp のBamHI−EcoRIフラグメントを、合成オリゴヌクレオチドプライマー及びSequenase (United States Biochemical Corp.)を用いて、ジデオキシ−鎖停止法〔Sangerなど. 、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463〜67 (1977) 〕により完全に配列決定する。
完全なヌクレオチド配列は、配列表に存在する。その読み取り枠を他の既知のスブチリシン科のセリンプロテアーゼとの比較により同定し、そしてこれを転写マッピングにより確かめる。
【0121】
例5.3:PEPCのRNAマッピング
全RNAを、炭素源としてグルコース及び窒素源としてアンモニアを含む最少培地上で増殖される粉砕凍結乾燥された菌糸体から Frederick及びKinsey〔Curr.Genet. 18:53〜58 (1990) 〕の方法により調製する。mRNAの5′端を、32−P末端ラベル化オリゴヌクレオチド、すなわちオリゴA(配列番号1のヌクレオチド433〜456に相補的)により全RNAをハイブリダイズし、そして同じオリゴヌクレオチドによるジデオキシ配列決定により生成される配列決定反応と比較することにより、配列決定ゲル上での逆転写酵素により生成される流出転写体をサイズ分類することによって同定する(Maniatisなど.、Molecular Cloning. A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1982)。イントロンの正確なスプライス部位を、pepC情報の一部のcDNAコピーをクローン化し、そして配列決定することによって同定する。第1の鎖合成を標準方法(Maniatisなど.、前記)により行なう。但し、プライミングオリゴヌクレオチドはオリゴC(配列番号1のヌクレオチド923〜944に相補的)である。このcDNAを、オリゴB(配列番号1のヌクレオチド631〜657に対応する)及びCを用いてPCRにゆだね、そしてpTZ18R中にクローン化する。(オリゴBはさらに、その5′端上にBamHI部位を有し、そしてオリゴCはさらにEcoRI部位を有することを注目すること)。2種の独立したクローンの両鎖を完全に配列決定する。pepC遺伝子により生成されるmRNAの全長さを、3.2kbのEcoRI−BamHIフラグメントをプローブとして用いて、ノザン分析により決定し(Maniatisなど.、前記)、そして1.5〜1.8kbの間であることが決定され、それは読み取り枠のサイズ及び転写開始部位の位置から予測されるものに相当する。
【0122】
例6:PEPCのゲノム破壊例
6.1:pTZPEPCEの構成
プラスミドpTZPEPCを、BamHIにより消化し、T4ポリメラーゼにより処理し、そして10モル過剰のリン酸化されていないEcoRIリンカー(5′GGAATTCC) の存在下で連結する。E.コリの形質転換の後、pepC遺伝子の両端を端に有するEcoRI部位を有する正しいプラスミドをミニスクリーンにより同定する。
【0123】
例6.2:pAXIの構成
E.コリBJ5138/pCG59D7(DSM3968)から得られるプラスミドpCG59D7をXbaIにより消化し、そしてA.ニガーpyrA遺伝子の全体を含むフラグメントを精製する。これを、pTZ18RのXbaI部位中にクローン化し、プラスミドpAXI(DSM7017として寄託される)を構築する。
【0124】
例6.3:pPEPCPYRAの構成
pyrA遺伝子を含む4kbのXbaIフラグメントを、pAXIから切断し、そしてそのベクター配列から精製する。
2μgのpTZPEPCEを製造業者の推薦に従ってBglIIにより切断し、そしてフェノール抽出し、エタノール沈殿せしめ、そして水20μlに再溶解する。このDNAを、製造業者により推薦されるようにして、細菌アルカリホスファターゼにより処理し、5′ホスフェト基を除去する。5kbのフラグメントをゲルから精製する。
【0125】
上記フラグメントの両者を、製造業者の指示に従って、T4ポリメラーゼにより処理し、そしてフェノール抽出し、そしてエタノール沈殿せしめる。それらの2種のフラグメントを一緒に混合し、そして連結する。E.コリの形質転換の後、正しいプラスミドを担持するコロニーを、ミニ−プラスミド調製物の制限消化物により同定する。
【0126】
pPEPCPYRAは、オロチジンモノホスフェートデカルボキシラーゼをコードするXbaI DNAフラグメントにより置換された、活性部位ヒスチジン及びセリンの両者をコードする、中央のBglIIフラグメントを有する、PEPC遺伝子を担持するEcoRIフラグメント上に含むpTZ18Rベクターから成る。
【0127】
例6.4:A.ニガーの形質転換
10μgのプラスミドpPEPCPYRAを、EcoRIにより完全に消化する。消化物の完全性を、ゲル上にアリコートを作用せしめることによって調べ、そして残りのDNAをフェノール抽出し、エタノール沈殿せしめ、そして20μlの滅菌水に再懸濁する。
【0128】
栄養要求性A.ニガーAn8(DSM3917)の分生胞子を、十分に胞子形成されるまで、完全培地上で28℃で4日間、増殖する。2×108 個の分生子柄を用いて、1g/lのアルギニン及びウリジンにより補充された最少培地200mlを接種する。
【0129】
28℃及び180rpm での20時間の増殖の後、菌糸体を Miraclothを通しての濾過により収穫し、0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液10mlにより2度洗浄し、そして0.8MのKCl,50mMのCaCl2 ,0.5mg/mlのNovozym 234(Novo Industries) の溶液20mlに再懸濁する。その混合物を、十分なプロトプラストが開放されるまで(90〜120分後、顕微鏡により検出される)、振盪水浴においてインキュベートする(30℃,50rpm )。プロトプラスト懸濁液を、菌糸体残骸を除去するために、漏斗におけるガラス羊毛プラグを通して濾過する。プロトプラストを室温で、軽い遠心分離(10分、2000rpm )によりペレット化し、そして0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液10mlにより2度洗浄する。最終的にプロトプラストを0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液200〜500μlに再懸濁し、1×108 個のスフェロプラスト/mlの濃度を付与する。
【0130】
形質転換のために、プロトプラスト懸濁液の200μlアリコートを、EcoRIにより消化されたpPEPCPYRA 5μg及び50μlのPCT(10mMのトリス−HCl,pH7.5,50mMのCaCl2 ,25%のPEG6000)と共にインキュベートする。そのインキュベーション混合物を20分間氷上に保持し、他の2mlのPCTを添加し、そしてその混合物を室温でさらに5分間インキュベートする。0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液4mlを添加し、そして最終形質転換溶液の1mlアリコートを、液体最少寒天培地(最少培地+1g/lのアルギニン+10g/lのBacto-Agar (Difco)) と共に混合し、0.8MのKClにより安定化する。その混合物をすぐに、同じ培地の寒天プレート上に注ぎ、そして30℃でインキュベートする。
28℃で2〜3日間の増殖の後、安定した形質転換体は激しく増殖し、そして数百の小さな、たぶん早産の形質転換体のコロニーをバックグラウンド増殖に対して胞子形成するように思われる。
【0131】
例6.5:遺伝子破壊の同定
安定コロニーから、個々の胞子懸濁液を製造し、そして新鮮な最少+アルギニンプレート上で画線培養する。単一のコロニーを選択し、そして再画線培養し、純粋な培養物を付与する。それらは、1g/lのアルギニンにより補充された液体最少培地200mlを接種するために使用される。30℃で24時間180rpm での振盪の後、菌糸体をフィルター紙上に収穫し、そしてパッドを凍結乾燥せしめる。乾燥の後、DNAを個々のパッドから、そのパッドを乳棒及び乳ばちを用いて細かな粉末に粉砕することによって調製する。この粉末60mgを、1%ドデシル硫酸ナトリウム、0.1%のTween 80,1Mの酢酸アンモニウムの溶液3mlに撹拌しながら再懸濁する。これを、時々混合しながら、65℃で20分間加熱する。細胞残骸を、15,000rpm での5分間の遠心分離によりDNA溶液から分離する。上清液をフェノールにより2度、クロロホルムにより2度抽出し、そしてエタノール沈殿せしめる。そのDNAを滅菌TE 100mlに再溶解する。
【0132】
個々のDNA 20μlを、 RNAase A 1μgの存在下で1時間、BalIIにより消化する。これをアガロース上で分離し、そしてニトロセルロース膜に移し、そして焼き付ける。PEPCを含むpTZPEPCからのEcoRIフラグメントを精製し、ニックトランスレーションによりラベルし、そしてフィルターをプローブするために使用する。pepC遺伝子の破壊を担持する株は、1.2kbのBglIIハイブリダイゼーションフラグメントを欠き、そして他の2つのフランキングフラグメントの変更された移動性を有することによって容易に認識される。
【0133】
それらの株の1つを、ウリジン及び5−フルオロ−オロト酸を含む培地上にプレートする。ピリミジン栄養要求性に対する変異体を、この培地上で最強の増殖により同定し、そして採取し、そして単一のコロニーのために画線培養することによって精製する。
【0134】
例6.6:pepC - A.ニガー株におけるインターフェロンの生成
例6.5で単離されたpepC- A.ニガーAn8株の1つを、pyrA+ 含有プラスミド及びインターフェロンのための非相同遺伝子を含む発現カセットによる続く形質転換のための宿主として使用する。
【0135】
A.ニガーAn8のウリジン栄養要求性pepC- 変異体の分生胞子を、十分に胞子形成されるまで、完全培地において28℃で4日間、培養する。2×108 個の分生子柄を用いて、1g/lのアルギニン及びウリジンにより補充された最少培地200mlを接種する。
【0136】
28℃及び180rpm での20時間の増殖の後、菌糸体を、 Miraclothを通しての濾過により収穫し、0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液10mlにより2度洗浄し、そして0.8MのKCl,50mMのCaCl2 ,0.5mg/mlのNovozym 234(Novo Industries) の溶液20mlに再懸濁する。その混合物を、十分なプロトプラストが開放されるまで(90〜120分後、顕微鏡により検出される)、振盪水浴においてインキュベートする(30℃,50rpm )。そのプロトプラスト懸濁液を漏斗におけるガラス羊毛プラグを通して濾過し、菌糸残骸を除去する。プロトプラストを室温で軽い遠心分離(10分、2000rpm )によりペレット化し、そして0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液10mlにより2度洗浄する。最後に、プロトプラストを、0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液200〜500μlに再懸濁し、1×108 /mlの濃度を得る。
【0137】
形質転換のために、プロトプラスト懸濁液の200μlアリコートを、5μgのpCG59D7(DSM3968)及び50μgのpGIIss−IFN AM19又はpGII−IFN AM119DNA(両プラスミドはEP−出願第0421919号に十分に開示される)、及び50μlのPCT(10mMのトリス−HCl,pH7.5,50mMのCaCl2 ,25%のPEG6000)と共にインキュベートする。そのインキュベーション混合物を20分間氷上に保持し、他の2mlのPCTを添加し、そしてその混合物を室温でさらに5分間インキュベートする。0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液4mlを添加し、そして最終形質転換溶液の1mlアリコートを、液体最少寒天培地(最少培地+1g/lのアルギニン+10g/lのBacto-Agar (Difco)) と共に混合し、0.8MのKClにより安定化する。その混合物をすぐに、同じ培地の寒天プレート上に注ぎ、そして30℃でインキュベートする。
28℃で2〜3日間の増殖の後、安定した形質転換体は激しく増殖し、そして数百の小さな、たぶん早産の形質転換体のコロニーをバックグラウンド増殖に対して胞子形成するように思われる。
【0138】
形質転換体を採取し、そしてインターフェロン発現について分析する。インターフェロン活性を、ヒトCCL−23細胞及び挑戦ウィルスとして水疱性口内炎ウィルス(VSV)を用いて、 Armstrongの方法(J.A.Armstrong, Appl.Microbiol. 21, 732 (1971)) に従って決定する。
【0139】
形質転換体からの分生胞子を、予備培養培地(Pectin Slow Set L (Unipectin, SA, Redon, France) 3g/l,NH4 Cl 2g/l,KH2 PO4 0.5g/l,NaCl 0.5g/l,MgSO4 ・7H2 O 0.5g/l,Ca2 SO4 ・2H2 O 0.5g/l,pH7.0,1%のアルギニン)50ml中で個々に予備培養する。その予備培養物を、250rpm 及び28℃で72時間インキュベートする。10%の予備培養物を用いて、主要培養培地(大豆粉20g/l、ペクチン Slow Set 5g/l,1%のアルギニン)50mlを接種する。その培養物を、250rpm 及び28℃で、72〜96時間、増殖せしめる。
【0140】
種々の時間(20時間ごとに)で、サンプルを採取し、細胞を遠心分離によりペレット化し、そして凍結乾燥及び乾燥粉砕により破壊する。上清液及び細胞抽出物を、記載のようにしてインターフェロン活性について両者とも試験する。大部分のインターフェロン活性は、pGIIss−IFN AM119を担持する形質転換体においては、培地中に分泌されることが見出され、そしてpGII−IFN AM119を担持する形質転換体においては、それは細胞抽出物に主に見出される。
【0141】
例7:A.ニガーにおけるpepCの過剰発現例
7.1:複数コピーの過剰発現
A.ニガーAn8を、1μgのpAXI+10μgのpTZPEPCにより形質転換し、ウリジンフォートフス(Photohuhs) を生成する。コロニーを精製し、そしてDNAを上記のようにして調製する。pTZPEPCのEcoRI−BamHIフラグメントを用いてのサザンブロットは、いくつかの形質転換体がそれらのゲノム中に組込まれたpTZPEPCの単一コピーを有し、ところが他はそれらのゲノム中に10までの及び10以上の余分なコピーを有することを示した。それらの株は、対応して一層のタンパク質分解活性を生成し、そして分裂的に安定する。
【0142】
例7.2:遺伝子融合体からpepCの過剰発現
プラスミドpGW1100(DSM5747として寄託される)をBamHI及びSacIにより切断する。ピルベートキナーゼプロモーター及び5′端を含む1.2kbp のフラグメントを精製し、T4ポリメラーゼにより処理し、そしてT4ポリメラーゼによりブラント末端化され、そしてアクリルホスファターゼにより処理される、pepCクローンの5′端でpTZPEPCのユニークBamHI部位中にクローン化する。
【0143】
正しいプラスミドを、ミニスクリーニングにより同定し、そして1つを選択し、そしてdut−,ung−E.コリ株BW313を形質転換する。これをMBK07により過剰感染せしめ、プラスミドからの一本鎖ウラシル−置換されたDNAを得る。
【0144】
オリゴヌクレオチド(配列番号3)は、37個のヌクレオチドから成る。初めの19個のヌクレオチドは、pepC読み取り枠の初めの19個のヌクレオチドに対して相補的であり、そして最後の18個はピルベートキナーゼ遺伝子のATGの前の最後の18個のヌクレオチドに対して相補的である。このプラスミドのインビトロ変異誘発のためには、5pMのオリゴヌクレオチド1を、供給者により推薦されるように、50μlのキナーゼ緩衝液中、T4ポリヌクレオチドキナーゼ10Uによりオリゴヌクレオチドを処理することによって、100pMのATPにより5′末端でリン酸化する。その反応を、65℃で10分間加熱することによって停止せしめる。
【0145】
0.2pMのウラシル含有一本鎖DNAを、20mMのトリス−HCl,pH7.5,10mMのMgCl2 ,20mMのNaCl中において、10μlの最終体積で、0.5pMのリン酸化されたオリゴヌクレオチド1と共に混合する。その混合物を65℃で5分間インキュベートし、ゆっくり室温に60分間にわたって冷却し、そして氷上に15分間置く。次に、500μMのtNTP 2μl、10mMのATP 1.5μl,T7DNAポリメラーゼ(12U/μl Pharmacia)1ml及びT4DNAリガーゼ(1.2U/μl BRL)1μlを前記混合物に添加し、そしてこの重合混合物を37℃で15分間インキュベートする。その反応を65℃で5分間加熱することによって停止し、そしてアリコートを用いて、E.コリDH5αF′を形質転換する。
【0146】
正しいプラスミドを、ミニプラスミド調製物を消化することによって同定する。3種を選択し、そしてEcoRIフラグメントを、合成オリゴヌクレオチドを用いて完全に配列決定する。pPKIPEPCAと呼ばれる、pepC読み取り枠へのピルベートキナーゼプロモーターの完全な融合体を含む1つのプラスミドを、pAXIと共に使用し、ウリジン原栄養性にA.ニガーAn8を同時形質転換する。
【0147】
pki−pepC融合体の存在は、個々の精製された形質転換体からDNAを製造し、そしてpki及びpepCからのプローブを用いてサザン分析のためにそれを使用することによって確認される。ゲノム中に組込まれる遺伝子融合体の1又は複数のコピーを有する株は、細胞がC源としてのグルコース上で急速に増殖される場合、より一層のタンパク質分解活性を生成することが示される。
【0148】
例8:他の生物におけるpepCの発現:酵母における発現
プラスミドpPKIPEPCAを、配列番号4及び5に列挙する配列に示される2種の合成オリゴヌクレオチドによりインビトロ変異誘発する。前者は、pepCのATGのすぐ前にEcoRI部位を構築し、そして他は全イントロンをループする。これは、その配列が完全な配列決定により確認されているプラスミドpPKIPEPCBを創造する。
【0149】
pepCのATGのすぐ前で開始し、そしてpepCターミネーターの後で終わる2.8kbのEcoRI−BamHIフラグメントを精製し、そして酵母GAL10プロモーターを含む、pFBY129(DSM7016として寄託される)の520bpのBamHI−EcoRIフラグメントと共に、酵母基材の2μmベクターpFBY25(DSM7020として寄託される)のSnaBI部位中に連結する。正しいプラスミドを、制限消化物により同定する。
このプラスミド、すなわちpFBY138を用いて酵母を形質転換し、そして遺伝子融合がガラクトースにより誘発される場合、pepCタンパク質を生成することが示される。
【0150】
例9:A.ニガースブチリシン株セリンプロテアーゼについてのスクリーニングのためのDNAプローブの単離
例9.1:変性PCR(ポリメラーゼ鎖反応)のプライマーの構成
ポリメラーゼ鎖反応(Saikiなど. 、 Science 230:1350〜1354 (1985))を用いて、このスクリーニングのためのプローブを単離する。それぞれ、活性部位残基ヒスチジン及びセリンを含む2つの領域は、スブチリシンクラスの異なったプロテアーゼ間に十分に保存される。コンセンサスアミノ酸配列がそれらの個々の領域のために誘導され、そしてそれらの2つのアミノ酸配列をコードできるDNA配列が推定される。縮重のレベルを減じるために、保存された領域の個々のための2つのプライマーを構成する。PCRオリゴ1及びPCRオリゴ2(それぞれ配列番号8及び9に示される)はHis活性部位領域に対応し、そしてPCRオリゴ3及びPCRオリゴ4(それぞれ配列番号10及び11に示される)は、Ser活性部位領域に対応する。PCR生成物の後でのサブクローニングを促進するためには、PCRオリゴ1及び2はBamHIを含み、そしてPCRオリゴ3及び4は、同様にそれらの5′端近くにEcoRI制限部位を含む。
【0151】
例9.2:A.ニガーゲノムDNAの増幅
A.ニガーゲノムDNAを、例1に記載されるようにして単離する。4種の増幅反応を、上記4種のPCRオリゴの対様組合せを用いて行なう。ポリメラーゼ鎖反応のための反応混合物は、100ngの完全なゲノムA.ニガーDNA、100pモルの個々のプライマー、10mMのトリス−HCl,50mMのKCl,1.5mMのMgCl2 ,1mg/mlのゼラチン(pH8.3)及び5単位のTaq DNAポリメラーゼを合計50μlで含む。そのDNAを94℃で30秒間変性し、次にプライマーを42℃で40秒間アニールし、そして拡張段階を72℃で60秒間行なう。それらの3段階を40回くり返す。
【0152】
例9.3:PCR生成物の単離及び特徴化
前記増幅反応の生成物を、1%アガロースゲル上で分離し、そしてDNAフラグメントを上記のようにして電気溶離によりゲルから単離する。単離されたフラグメント(200〜300ng)をフェノール及び次にクロロホルムにより抽出し、そしてエタノールにより沈殿せしめる。遠心分離の後、DNAペレットを乾燥せしめ、そして次に、10μlのTE緩衝液に溶解する。次に、このDNAを10単位のBamHI及びEcoRI制限酵素により20μlの体積で37℃で1時間、供給者(BRL)により推薦される緩衝液中で消化する。フェノール及びクロロホルムによる抽出及びエタノールによる沈殿化に続いて、消化されたDNAをペレット化し、乾燥せしめ、そして10μlのTE緩衝液に再溶解する。そのDNA濃度を、アガロースゲル電気泳動、続くUV光下でのDNAバンドの可視化により推定する。
【0153】
pTZ18Rベクターを、供給者(BRL)により推薦される条件下でBamHI及びEcoRIによる消化により調製し、そして次に上記のようにして抽出し、そしてエタノール沈殿せしめる。
100ngの単離されたPCRフラグメントを、上記調製されたpTZ18Rベクター100ngと共に20μlの体積で、1単位のT4DNAリガーゼにより連結する。使用される緩衝液条件は、供給者(BRL)により示唆される条件である。16℃で16時間、その反応混合物をインキュベートした後、それを用いて、E.コリDH5αF′株を形質転換する。細胞を、25μg/mlのアンピシリン、0.005%のXgal,0.05mMのIPTGを含むLB寒天プレート上にプレートし、そして37℃で一晩インキュベートする。
【0154】
いくつかの単一の白色コロニーが、0.1%のグルコース及び25μg/mlのアンピシリンにより補充された5mlのLB培地における一晩の培養物を調製するために使用される。これらの培養物は、Holmes及びQuigley (Holmes D.S. and Quigley,M., Anal Biochem. 114:193 (1981)) のミニプレ方法を用いて、プラスミドDNAを単離するために使用される。プラスミドを、供給者(BRL)の推薦に従ってBamHI及びEcoRI制限酵素により消化する。
【0155】
選択されたプラスミドの挿入体を、合成オリゴヌクレオチドプライマー及びSequenase (United States Biochemical Corp.) を用いて、ジデオキシ−鎖停止方法 (Sangerなど. 、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463〜67 (1977))により配列決定する。
【0156】
例9.4:PCR生成物の配列のコンピューター分析
上記挿入体のヌクレオチド配列を、組合された GenBank及びEMBLデータベースにおけるすべてのDNA配列に比較する。それらの中で、スブチリシン型プロテアーゼをコードするDNA配列に対して強い相同性を示すものをプローブとして選択し、そしてA.ニガーゲノムライブラリィーの続くスクリーニングのためにPCR−プローブと称する。このフラグメント(PCRプライマーを有さない)の配列は、配列番号6に示される配列におけるヌクレオチド1474〜2020間の配列である。
【0157】
例10:PCRプローブによるA.ニガーN400ライブラリィーのスクリーニング
上記アスペルギラス ニガーが株N400のゲノムライブラリィーのプラークハイブリダイゼーションのためのフィルター(例1)を調製し、そして例3に従ってプレハイブリダイズする。
65℃で14〜16時間のハイブリダイゼーションの後、フィルターを、室温で250mlの2×SSC,0.1%SDS中で30分間、1度洗浄し、続いて室温で250mlの0.2×SSC,0.1%SDS中でそれぞれ20分間、2度洗浄し、そして最後に、250mlの0.2×SSC,0.1%SDS中において65℃でそれぞれ20分間、2度洗浄する。フィルターを乾燥せしめ、そして増強スクリーンを用いて、Kodak XAR5フィルムに−70℃で1〜3日間、暴露する。
【0158】
この場合、5種の陽性シグナルが6種のスクリーンされたプレートから得られる。陽性プラークを、インクマーカーを用いてオートラジオグラム上のプレートを注意して位置決定することによって滅菌 Pasteurピペットにより打抜く。陽性プラークを含む寒天断片を、1mlのSMに添加し、そして2.5μlのクロロホルムを添加する。ファージを、時々撹拌しながら、室温で1時間、寒天からの拡散を可能にせしめ、そして次に4℃で一晩インキュベートする。寒天及び細胞残骸を5分間の遠心分離により除去し、2.5μlのクロロホルムを添加し、そしてファージストックを4℃で貯蔵する。
【0159】
例11:λクローンの特徴化
例11.1:λDNAの単離及びA.ニガーN400pepDクローンの制限分析
λDNAを、例4.1に記載しているようにして単離する。
すべての5種のファージλa〜λeは、A.ニガーゲノムの同じ領域に由来する挿入体を含むことは制限分析により確立され、そしてそのゲノム領域の部分的制限地図を構成する。
【0160】
2μgのファージDNAを、供給者(BRL)により推薦される緩衝液において37℃で1時間、20μlの体積で、20単位のEcoRI又はBamHIにより消化し、そして次に、65℃で10分間、加熱する。サンプルを0.7%アガロースゲル上で実験し、そして写真を撮る。そのDNAをニトロセルロース膜に移し、そしてラベルされたPCRプローブによりハイブリダイズせしめる。
【0161】
5つのファージは、PCR−プローブにハイブリダイズし、そして従って対応するA.ニガー遺伝子のほとんど(すべてではないが)を含む約5.5kbのオーバーラップ領域を含むことはそれらの消化物から明らかである。6.0kbp の長さのBamHIフラグメントがこの領域を含み、そして追加の分析のために選択する。
【0162】
例12:プラスミド中へのPEPDのクローニング及びその配列決定及び特徴化
例12.1:pTZPEPDの構成
6.0kbのBamHIフラグメントを、制限酵素HindIII と共にインキュベートする。クロロホルムによる抽出の後、DNAを沈殿せしめ、遠心分離によりペレット化し、サンプル緩衝液に溶解し、そして1×TBE緩衝液において0.6%アガロースゲル上での電気泳動にゆだねる。3.0kbp のBamHI−HindIII フラグメントを含むゲルスライスを回収し、そしてDNAを電気溶離する。次にこれを100μlのクロロホルムにより抽出し、そしてエタノール沈殿せしめ、そして40mlのTE緩衝液に再溶解する。そのDNA濃度を、アガロースゲル電気泳動、続くUV光下でのバンドの可視化により推定する。
【0163】
pTZ18Rベクターを、供給者(BRL)により推薦される条件下で、BamHI及びHindIII による消化により調製する。そのDNAを、フェノール、フェノール/クロロホルム(1:1)及びクロロホルムにより抽出し、そしてエタノール沈殿せしめる。
個々の上記フラグメント100ngを、BRLにより推薦される緩衝液+ATP(1mM),15UのT4DNAリガーゼ(BRL)を含む、25μlの反応体積において一緒に連結する。その反応混合物を16℃で16時間インキュベートし、そして次に、それを用いてE.コリDH5αF′を形質転換する。細胞を、25μg/mlのアンピシリン、0.005%のXgal,0.05mMのIPTGを含むLB寒天プレート上にプレートし、そして37℃で一晩インキュベートする。
【0164】
いくつかの単一の白色コロニーが、0.1%のグルコース及び25μg/mlのアンピシリンにより補充されたLB培地における一晩の培養物を調製するために使用される。これらの培養物は、Holmes及びQuigley (Holmes D.S. and Quigley,M., Anal Biochem. 114:193 (1981)) のミニプレ方法を用いて、プラスミドを単離するために使用される。プラスミドを、供給者(BRL)の推薦に従って及びRNase A(0.5mg/ml)の存在下でいくつかの制限酵素により消化し、そして生成物をアガロースゲル上で分析する。予測されるサイズのBamHI−HindIII フラグメントを生成するプラスミドを選択し、そしてそれらを有するE.コリ細胞を−20℃でグリセロール上に維持する。このプラスミドを、pTZPEPD(DSM7409として寄託されている)と称する。
【0165】
例12.2:pepDのヌクレオチド配列
pTZ18RベクターにおけるpepDサブクローン、すなわち3.0kbp のBamHI−HindIII フラグメントを、合成オリゴヌクレオチドプライマー及びSequenase (United States Biochemical Corp.) を用いて、ジデオキシ−鎖停止方法〔Sangerなど. 、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463〜67 (1977) 〕により完全に配列決定する。
【0166】
その完全なヌクレオチド配列は、配列番号6として配列表に存在する。その読み取り枠を、他の既知のスブチリシン型のセリンプロテアーゼとの比較により同定し、そしてこれを転写マッピングにより確かめる。
【0167】
例12.3:PEPDのRNAマッピング
全RNAを、炭素源としてグルコース及び窒素源としてアンモニアを含む最少培地上で増殖される粉砕された凍結乾燥菌糸体から Frederick及びKinsey〔Curr.Genet. 18:53〜58 (1990) 〕の方法により調製する。mRNAの5′端を、32−P末端ラベル化オリゴヌクレオチド、すなわちオリゴA(配列番号6のヌクレオチド851〜876に相当する)により全RNAをハイブリダイズし、そして同じオリゴヌクレオチドによるジデオキシ配列決定により生成される配列決定反応との比較により配列決定ゲル上で逆転写酵素により生成される流出転写体をサイズ分けすることによって同定する〔Maniatisなど.、Molecular Cloning. A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1982)。イントロンの正確なスプライス部位を、pepD情報の一部のcDNAコピーをクローン化し、そして配列決定することによって同定する。第1鎖の合成を、標準方法(Maniatisなど.、前記)により行なう。但し、プライミングオリゴヌクレオチドはオリゴC(配列番号6のヌクレオチド1914〜1941に対して相補的である)である。このcDNAを、オリゴB(配列番号6のヌクレオチド1102〜1129に対応する)及びCを用いてPCRにゆだね、そしてpTZ18R中にクローン化する。ヌクレオチド1107〜1109(GGT)はオリゴBにおいてATCにより置換され、従って新規のBamHI部位を創造することを注目すること。同様に、ヌクレオチド1932(A)及び1935(A)を、オリゴCにおいて、それぞれG及びTにより置換し、従って新規HindIII 部位を創造する。2種の独立したクローンの両鎖を完全に配列決定する。pepD遺伝子により生成されるmRNAの全長さを、プローブとして3.0kbのEcoRI−HindIII フラグメントを用いてノザン分析により決定(Maniatisなど.、前記)、そして読み取り枠の大きさ及び転写開始部位の位置から予測される長さに対応する1.4〜1.7kbの間であることが決定される。
【0168】
例13:PEPDのゲノム破壊
例13.1:pPEPCPYRAの構成
pyrA遺伝子を含む4kbのXbaIフラグメントを、pAXI(DSM7017)から切断し、そしてベクター配列から精製する。
2μgのpTZPEPDを、製造業者の推薦に従ってNheI及びNco1により切断し、そして次にフェノール抽出し、エタノール沈殿せしめ、そして水20μlに再溶解する。次に、このDNAを細菌アルカリホスファターゼにより処理し、5′ホスフェート基を除去する。His及びSer活性部位を含む0.6kbp のNheI−NcoIフラグメントを欠く5.3kbのフラグメントを、ゲルから精製する。
【0169】
上記両フラグメントを、製造業者の指示に従ってT4ポリメラーゼにより処理し、そしてフェノール抽出し、そしてエタノール沈殿せしめる。その2つのフラグメントを一緒に混合し、そして連結する。E.コリの形質転換の後、正しいプラスミドを担持するコロニーを、ミニ−プラスミド調製物の制限消化物により同定する。
pPEPDPYRAは、オロチジンモノホスフェートデカルボキシラーゼをコードするXbaI DNAフラグメントにより置換された、His及びSer活性部位をコードする、中心NheI−NcoIフラグメントを有する、pepD遺伝子を担持するBamHI−HindIII フラグメントを含むpTZ18Rベクターから成る。
【0170】
例13.4:A.ニガーの形質転換
10μgのプラスミドpPEPCPYRAを、EcoRIにより完全に消化する。消化物の完全性を、ゲル上にアリコートを作用せしめることによって調べ、そして残りのDNAをフェノール抽出し、エタノール沈殿せしめ、そして20μlの滅菌水に再懸濁する。
栄養要求性A.ニガーAn8(DSM3917)の分生胞子を、十分に胞子形成されるまで、完全培地上で28℃で4日間、増殖する。2×108 個の分生子柄を用いて、1g/lのアルギニン及びウリジンにより補充された最少培地200mlを接種する。
【0171】
28℃及び180rpm での20時間の増殖の後、菌糸体を Miraclothを通しての濾過により収穫し、0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液10mlにより2度洗浄し、そして0.8MのKCl,50mMのCaCl2 ,0.5mg/mlのNovozym 234(Novo Industries) の溶液20mlに再懸濁する。その混合物を、十分なプロトプラストが開放されるまで(90〜120分後、顕微鏡により検出される)、振盪水浴においてインキュベートする(30℃,50rpm )。プロトプラスト懸濁液を、菌糸体残骸を除去するために、漏斗におけるガラス羊毛プラグを通して濾過する。プロトプラストを室温で、軽い遠心分離(10分、2000rpm )によりペレット化し、そして0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液10mlにより2度洗浄する。最終的にプロトプラストを0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液200〜500μlに再懸濁し、1×108 個のスフェロプラスト/mlの濃度を付与する。
【0172】
形質転換のために、プロトプラスト懸濁液の200μlアリコートを、EcoRIにより消化されたpPEPCPYRA 5μg及び50μlのPCT(10mMのトリス−HCl,pH7.5,50mMのCaCl2 ,25%のPEG6000)と共にインキュベートする。そのインキュベーション混合物を20分間氷上に保持し、他の2mlのPCTを添加し、そしてその混合物を室温でさらに5分間インキュベートする。0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液4mlを添加し、そして最終形質転換溶液の1mlアリコートを、液体最少寒天培地(最少培地+1g/lのアルギニン+10g/lのBacto-Agar (Difco)) と共に混合し、0.8MのKClにより安定化する。その混合物をすぐに、同じ培地の寒天プレート上に注ぎ、そして30℃でインキュベートする。
28℃で2〜3日間の増殖の後、安定した形質転換体は激しく増殖し、そして数百の小さな、たぶん早産の形質転換体のコロニーをバックグラウンド増殖に対して胞子形成するように思われる。
【0173】
例13.5:遺伝子破壊の同定
安定コロニーから、個々の胞子懸濁液を製造し、そして新鮮な最少+アルギニンプレート上で画線培養する。単一のコロニーを選択し、そして再画線培養し、純粋な培養物を付与する。それらは、1g/lのアルギニンにより補充された液体最少培地200mlを接種するために使用される。30℃で24時間180rpm での振盪の後、菌糸体をフィルター紙上に収穫し、そしてパッドを凍結乾燥せしめる。乾燥の後、DNAを個々のパッドから、そのパッドを乳棒及び乳ばちを用いて細かな粉末に粉砕することによって調製する。この粉末60mgを、1%ドデシル硫酸ナトリウム、0.1%のTween 80,1Mの酢酸アンモニウムの溶液3mlに撹拌しながら再懸濁する。これを、時々混合しながら、65℃で20分間加熱する。細胞残骸を、15,000rpm での5分間の遠心分離によりDNA溶液から分離する。上清液をフェノールにより2度、クロロホルムにより2度抽出し、そしてエタノール沈殿せしめる。そのDNAを滅菌TE 100μlに再溶解する。
【0174】
個々のDNA 20μlを、 RNAase A 1μgの存在下で1時間、BalIIにより消化する。これをアガロース上で分離し、そしてニトロセルロース膜に移し、そして焼き付ける。PEPDを含むpTZPEPDからのHindIII −BamHIフラグメントを精製し、ニックトランスレーションによりラベルし、そしてフィルターをプローブするために使用する。pepD遺伝子の破壊を担持する株は、0.6kbのNheI−NhoIハイブリダイゼーションフラグメントを欠き、そして他の2つのフランキングフラグメントの変更された移動性を有することによって容易に認識される。
【0175】
それらの株の1つを、ウリジン及び5−フルオロ−オロト酸を含む培地上にプレートする。ピリミジン栄養要求性に対する変異体を、この培地上で最強の増殖により同定し、そして採取し、そして単一のコロニーのために画線培養することによって精製する。
【0176】
例13.6:pepD - A.ニガー株におけるインターフェロンの生成
例6.5で単離されたpepD- A.ニガーAn8株の1つを、pyrA+ 含有プラスミド及びインターフェロンのための非相同遺伝子を含む発現カセットによる続く形質転換のための宿主として使用する。
A.ニガーAn8のウリジン栄養要求性pepD- 変異体の分生胞子を、十分に胞子形成されるまで、完全培地において28℃で4日間、培養する。2×108 個の分生子柄を用いて、1g/lのアルギニン及びウリジンにより補充された最少培地200mlを接種する。
【0177】
28℃及び180rpm での20時間の増殖の後、菌糸体を、 Miraclothを通しての濾過により収穫し、0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液10mlにより2度洗浄し、そして0.8MのKCl,50mMのCaCl2 ,0.5mg/mlのNovozym 234(Novo Industries) の溶液20mlに再懸濁する。その混合物を、十分なプロトプラストが開放されるまで(90〜120分後、顕微鏡により検出される)、振盪水浴においてインキュベートする(30℃,50rpm )。そのプロトプラスト懸濁液を漏斗におけるガラス羊毛プラグを通して濾過し、菌糸残骸を除去する。プロトプラストを室温で軽い遠心分離(10分、2000rpm )によりペレット化し、そして0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液10mlにより2度洗浄する。最後に、プロトプラストを、0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液200〜500μlに再懸濁し、1×108 /mlの濃度を得る。
【0178】
形質転換のために、プロトプラスト懸濁液の200μlアリコートを、5μgのpCG59D7(DSM3968)及び50μgのpGIIss−IFN AM19又はpGII−IFN AM119DNA(両プラスミドはEP−出願第0421919号に十分に開示される)、及び50μlのPCT(10mMのトリス−HCl,pH7.5,50mMのCaCl2 ,25%のPEG6000)と共にインキュベートする。そのインキュベーション混合物を20分間氷上に保持し、他の2mlのPCTを添加し、そしてその混合物を室温でさらに5分間インキュベートする。0.8MのKCl,50mMのCaCl2 の溶液4mlを添加し、そして最終形質転換溶液の1mlアリコートを、液体最少寒天培地(最少培地+1g/lのアルギニン+10g/lのBacto-Agar (Difco)) と共に混合し、0.8MのKClにより安定化する。その混合物をすぐに、同じ培地の寒天プレート上に注ぎ、そして30℃でインキュベートする。
【0179】
28℃で2〜3日間の増殖の後、安定した形質転換体は激しく増殖し、そして数百の小さな、たぶん早産の形質転換体のコロニーをバックグラウンド増殖に対して胞子形成するように思われる。
形質転換体を採取し、そしてインターフェロン発現について分析する。インターフェロン活性を、ヒトCCL−23細胞及び挑戦ウィルスとして水疱性口内炎ウィルス(VSV)を用いて、 Armstrongの方法(J.A.Armstrong, Appl.Microbiol. 21, 732 (1971)) に従って決定する。
【0180】
形質転換体からの分生胞子を、予備培養培地(Pectin Slow Set L (Unipectin, SA, Redon, France) 3g/l,NH4 Cl 2g/l,KH2 PO4 0.5g/l,NaCl 0.5g/l,MgSO4 ・7H2 O 0.5g/l,Ca2 SO4 ・2H2 O 0.5g/l,pH7.0,1%のアルギニン)50ml中で個々に予備培養する。その予備培養物を、250rpm 及び28℃で72時間インキュベートする。10%の予備培養物を用いて、主要培養培地(大豆粉20g/l、ペクチン Slow Set 5g/l,1%のアルギニン)50mlを接種する。その培養物を、250rpm 及び28℃で、72〜96時間、増殖せしめる。
【0181】
種々の時間(20時間ごとに)で、サンプルを採取し、細胞を遠心分離によりペレット化し、そして凍結乾燥及び乾燥粉砕により破壊する。上清液及び細胞抽出物を、記載のようにしてインターフェロン活性について両者とも試験する。大部分のインターフェロン活性は、pGIIss−IFN AM119を担持する形質転換体においては、培地中に分泌されることが見出され、そしてpGII−IFN AM119を担持する形質転換体においては、それは細胞抽出物に主に見出される。
【0182】
例14:A.ニガーにおけるpepDの過剰発現
例14.1:複数コピーの過剰発現
A.ニガーAn8を、1μgのpAXI+10μgのpTZPEPDにより形質転換し、ウリジンフォートフス(Photohuhs) を生成する。コロニーを精製し、そしてDNAを上記のようにして調製する。pTZPEPDのHindIII フラグメントを用いてのサザンブロットは、いくつかの形質転換体がそれらのゲノム中に組込まれたpTZPEPDの単一コピーを有し、ところが他はそれらのゲノム中に10までの及び10以上の余分なコピーを有することを示した。それらの株は、対応して一層のタンパク質分解活性を生成し、そして分裂的に安定する。
【0183】
例14.2:遺伝子融合体からpepDの過剰発現
A.ニガーピルベートキナーゼプロモーター領域、及びA.ニガーpepD遺伝子のコード及びターミネーター領域から成る遺伝子融合体を構成する。その融合体は、組換えPCR(R.Higuchi:Recombinant PCR, 177〜183 ページ、 Innisなど. 、PCR Protocols, Academic Press,Inc. (1990))により構成される。 fusoligo 1,2及び3がそれぞれ配列番号12,13及び14に示されている4種のオリゴヌクレオチドプライマーを企画し、ところがここで fusoligo 4は配列番号1におけるヌクレオチド2858〜2874の間の配列に対して相補的である。 Fusoligo 1は、ATG開始コドンの0.75kbp 上流のpkiプロモーターにハイブリダイズする。 Fusoligo 2及び3は、相補的鎖上で一部オーバーラップし、両者は、ATG翻訳開始コドンからのすぐ上流のpkiプロモーターの配列、ATGコドン自体及びまた、ATGコドンのすぐ下流のpepDコード領域の配列を含む。 Fusoligo 4は、翻訳停止部位の0.65kbp 下流のpepD遺伝子下流領域にハイブリダイズする。2種のPCR反応は上記のようにして実質的に行なわれる。初めにおいては、0.75kbp のpkiプロモーターフラグメントを、鋳型として fusoligo 1及び2、及びpGW1100(DSM5747)を用いて増幅する。次に、pepDコード及び終結領域を含む2.0kbフラグメントを、鋳型として fusoligo 3及び4を用いて増幅する。それらの増幅生成物をアガロースゲルから精製し、組合し、変性し、そして再アニールする。それらの2種のフラグメントは、 fusoligo 2及び3によるそれらのオーバーラップ端のために再アニール反応の間、ホモ一及び又はホモ二本鎖を形成する。次にこのアニールされた混合物を、2種の“外部 (outside)”プライマー(fusoligo 1及び4)を用いてPCRにより再増幅する。この反応の生成物を、単離し、精製し、そしてプラスミドベクター中にサブクローン化する。
【0184】
正しいプラスミドを、ミニプラスミド調製物を消化することによって同定する。2種を選択し、そしてその挿入体を、合成オリゴヌクレオチドを用いて完全に配列決定する。pPKIPEPDAと呼ばれる、pepD読み取り枠へのピルベートキナーゼプロモーターの完全な融合体を含む1つのプラスミドを、pAXIと共に使用し、ウリジン原栄養性にA.ニガーAn8を同時形質転換する。
【0185】
pki−pepD融合体の存在は、個々の精製された形質転換体からDNAを製造し、そしてpki及びpepDからのプローブを用いてサザン分析のためにそれを使用することによって確認される。ゲノム中に組込まれる遺伝子融合体の1又は複数のコピーを有する株は、細胞がC源としてのグルコース上で急速に増殖される場合、より一層のタンパク質分解活性を生成することが示される。
【0186】
例8:他の生物におけるpepDの発現:酵母における発現
プラスミドpTZPEPDを、EcoRIにより切断し、T4ポリメラーゼによりブラント末端化し、そして連結し、従って、ポリリンカー領域からEcoRI部位を除去する。次に、その得られたプラスミドを、それぞれ、配列番号15,16,17及び18として配列表において示される4種の合成オリゴヌクレオチドオリゴ酵母1,2,3及び4によりインビトロ変異誘発せしめる。オリゴ酵母1は、pepDのATGのすぐ上流にEcoRI部位を構築し、そして他の3種は個々の3種の全イントロンをループする。これは、その配列が完全な配列決定により確認されているプラスミドpTZPEPDを創造する。
【0187】
pepDのATGのすぐ前で始まり、そしてターミネーター領域の後で終結する2.2kbのEcoRI−BamHIフラグメントを精製し、そして酵母GAL10プロモーターを含む、pFBY129(DSM7016として寄託される)の520bpのBamHI−EcoRIフラグメントと共に、酵母基材の2μmベクターpFBY25(DSM7020として寄託される)のSnaBI部位中に連結する。正しいプラスミドを、制限消化物により同定する。このプラスミド、すなわちpGAL10PEPDを用いて酵母を形質転換し、そして遺伝子融合がガラクトースにより誘発される場合、pepDタンパク質を生成することが示される。
【0188】
微生物の寄託
次の微生物を、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen, Mascheroder Wey 1b, D-3300 Braunschweig にブダペスト条約下で寄託する:
【0189】
【配列表】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
Claims (8)
- スブチリシン型のアスペルギラス・ニガー セリンプロテアーゼのための遺伝子における変異誘発による機能的タンパク質をもはや発現できない欠陥を有するアスペルギラス・ニガー株において、前記変異誘発前の遺伝子が、
(1)配列番号:2に記載の1位のアミノ酸から517位のアミノ酸までのアミノ酸配列を有するスブチリシン型セリンプロテアーゼをコードする遺伝子;
(2)配列番号:2に記載の1位のアミノ酸から517位のアミノ酸までのアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸の付加、欠失及び/又は置換により修飾されているアミノ酸配列を有するスブチリシン型セリンプロテアーゼをコードする遺伝子;
(3)配列番号:1に記載のヌクレオチド配列を有するDNAのコード領域に高スタリンジェント条件下でハイブリダイズし、スブチリシン型セリンプロテアーゼをコードする遺伝子;
(4)配列番号:7に記載のアミノ酸配列を有するスブチリシン型セリンプロテアーゼをコードする遺伝子;
(5)配列番号:7に記載のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸の付加、欠失及び/又は置換により修飾されているアミノ酸配列を有するスブチリシン型セリンプロテアーゼをコードする遺伝子;あるいは
(6)配列番号:6に記載のヌクレオチド配列を有するDNAのコード領域に高スタリンジェント条件下でハイブリダイズし、スブチリシン型セリンプロテアーゼをコードする遺伝子;
であることを特徴とするアスペルギラス・ニガー株。 - 配列番号1の配列のpepC遺伝子における欠陥を有するアスペルギラス・ニガー、配列番号6の配列のpepD遺伝子における欠陥を有するアスペルギラス・ニガー、又はそれぞれ配列番号1及び6の配列のpepC及びpepD遺伝子の両者における欠陥を有するアスペルギラス・ニガーから成る群から選択された請求項1記載のアスペルギラス・ニガー株。
- 前記変異誘発による欠陥が、インビトロ変異誘発による欠陥である、請求項1又は2に記載のアスペルギラス・ニガー株。
- 前記変異誘発による欠陥が、遺伝子の破壊である、請求項2に記載のアスペルギラス・ニガー株。
- 前記遺伝子の破壊が、セリンプロテアーゼ内因性遺伝子の欠陥のある外因性遺伝子による置換、又はセリンプロテアーゼ遺伝子へのマーカー遺伝子の挿入による破壊である、請求項4に記載のアスペルギラス・ニガー株。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の、スブチリシン型のアスペルギラス・ニガー セリンプロテアーゼのための遺伝子における欠陥を有するアスペルギラス・ニガー株の調製方法であって、スブチリシン型のセリンプロテアーゼのための内因性染色体アスペルギラス・ニガー遺伝子に変異を導入することを含んで成る方法。
- スブチリシン型のアスペルギラス・ニガー セリンプロテアーゼのための遺伝子における欠陥を有するアスペルギラス・ニガーの調製のための方法において、スブチリシン型のアスペルギラス・ニガー セリンプロテアーゼのための遺伝子のインビトロ変異、スブチリシン型のセリンプロテアーゼのための対応する内因性染色体遺伝子を担持するアスペルギラス・ニガー宿主の前記インビトロ変異された遺伝子による形質転換、及び前記内因性遺伝子が前記インビトロ変異された遺伝子により置換されている変異体の単離、を含んで成る請求項6記載の方法。
- 前記内因性遺伝子が、配列番号1を有する配列のアスペルギラス・ニガーpepC遺伝子、配列番号6を有する配列のアスペルギラス・ニガーpepD遺伝子、又は前記pepC及びpepD遺伝子の両者である請求項6又は7に記載の方法。
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