JP3636450B2 - 往復動式モータのステータ及びその製造方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復動式モータのステータ及びその製造方法に係るもので、詳しくは、組立作業が簡単で組立時間を低減し得る往復動式モータのステータ及びその製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般に、往復動式モータは、ステ―タに形成される磁束（flux）の変化によってマグネットアセンブリが直線往復運動するモータであって、往復動式圧縮機に主に使用され、往復動式圧縮機のピストンとマグネットアセンブリとが連結されてピストンを往復運動させるように構成されている。
【０００３】
従来の往復動式モータの構成は、図8に示したように、支持フレーム（図示されず）により支持されたアウターステータ102と、アウターステータ102の内周面に所定のエアーギャップを置いて嵌合されてアウターステータ102との間で磁束を形成するインナーステータ104と、それらのアウターステータ102とインナーステータ104の何れか一つに巻線される巻線コイル106と、アウターステータ102とインナーステータ104との間に直線移動可能に配置されたマグネット108と、マグネット108と往復運動させるべき作動部（図示されず）との間に連結されてこの作動部にマグネット108の往復運動を伝達するマグネットパドル110と、を包含して構成されていた。
【０００４】
また、アウターステータ102は、図9に示したように、複数の薄い積層シート（lamination sheet）112が円筒状を成すように放射状に積層され、その内側面には巻線コイル106が巻線され、積層シート112の両側側面には支持リング118が夫々嵌合されることによって、それらの支持リング118により積層シート112が円筒状を維持するように構成されていた。
【０００５】
また、インナーステータ104は、図10に示したように、複数の薄板の積層シート116が放射状に積層されて円筒状に形成され、その両側の側面には、後述する支持リング120が嵌合されるグルーブ122が切削形成され、それらのグルーブ122に支持リング120が嵌合されて構成されていた。
【０００６】
即ち、インナーステータ104は、丸棒状の型枠の外周面に複数枚の帯状積層シート116を放射状に積層した後、その積層体の両側の側面にグルーブ122を夫々切削形成し、それらのグルーブ122に支持リング120を嵌合することによって、放射状に積層された積層シート116が円筒状をなすように構成される。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、このように構成された従来の往復動式モータのインナーステータにおいては、複数の積層シートを丸棒状の型枠の外周面に放射状に一枚ずつ揃えて円筒状に積層するために、組立時間が長くなり組立作業が煩雑であるという不都合な点があった。
【０００８】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたもので、インナーステータを直線状に積層した後、円筒状に屈曲形成して製造することによって、組立作業を単純化して組立時間を短縮することで生産性を向上し得る往復動式モータのステータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明に係る往復動式モータのステータにおいては、長方形薄板状の複数の積層シートが円筒状を成すように積層され、この円筒状に積層された積層シート体の両方の側壁面には、各前記積層シートが円筒状を維持するように支持する支持リングが嵌合され、前記の円筒状に積層された各積層シート体の内側壁面には、固定バンドが溶着されることによって、製造工程中、平板状に積層された積層シートから成る積層シート体を円筒状に屈曲形成するとき、前記各積層シート間の連結状態を良好に維持し得るようにし、前記固定バンドは、所定の長さを有する複数の平板状部分に分割され、該平板状部分の間が相互に連結される構造を有するように形成されることを特徴とする。
【００１０】
また、前記ステータの積層シートは、長方形の薄板状に形成され、長方形の短辺の両方の側面には、夫々前記支持リングが嵌合される溝が切削形成され、長辺の一方の側面には、前記固定バンドが嵌合される固定溝が切削形成されることを特徴とする。
【００１１】
また、前記ステータの前記固定バンドは、前記固定溝に嵌合された後、直線状の平板から曲線状の平板に容易に屈曲形成されるように形成されることを特徴とする。
【００１２】
また、前記ステータの固定バンドは、所定長さを有する複数の平板状に分割され、それらの平板の端同士が相互に連結される構造を有するように形成されることを特徴とする。
【００１３】
また、前記ステータの前記固定バンドは、前記積層シートの固定溝に熔接により溶着されることを特徴とする。
【００１４】
また、前記ステータの前記固定バンドは、前記積層シートの固定溝にコーキングを施して固定されることを特徴とする。
【００１５】
また、本発明に係る往復動式モータのステータの製造方法においては、複数の積層シートの側面が夫々相互に接するように平板状に積層する第1段階と、該第1段階で平板状に積層された積層シート間を連結するように、前記積層シートの一方の側面に固定溝を切削形成して該固定溝に複数の平板状部分に分割され、これらの平板状部分の間が相互に連結される固定バンドを溶接により嵌合する第2段階と、該平板状に積層されて前記固定バンドにより相互に連結された各積層シートを屈曲形成して円筒状に形成する第3段階と、前記円筒状に構成された積層シートの両方の側面に夫々支持リングを圧入する第4段階と、を有することを特徴とする。
【００１６】
また、前記ステータの製造方法の前記第1段階の前記積層シートは、薄板状に形成され、その短辺の両方の側面には、夫々前記支持リングが圧入されるグルーブが切削形成され、長辺の一方の側面には、前記支持リングが固定される固定溝が切削形成されることを特徴とする。
【００１７】
また、前記ステータ製造方法の前記第2段階の前記固定バンドは、各前記積層シートの固定溝に熔接またはコーキングにより固定されることを特徴とする。
【００１８】
また、前記ステータの製造方法の前記第3段階の前記複数の積層シートは、放射状の組立体に形成されることを特徴とする。
【００１９】
また、前記ステータの製造方法の第3段階の前記複数の積層シートは、一つの円筒体を成し得る単一体に形成されることを特徴とする。
【００２０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に対し、図面を用いて説明する。
【００２１】
本発明に係る往復動式モータは、図１に示したように、フレーム（図示されず）により支持されて電源が印加されると、磁束を形成するステータアセンブリ2と、ステータアセンブリ2と所定のエアーギャップ（air gap）を置いて配置されてステータアセンブリ2から発生する磁束との相互作用により往復運動するマグネットアセンブリ4と、を包含して構成されている。
【００２２】
また、ステータアセンブリ2は、図2に示したように、複数の積層シート（lamination sheet）10が放射状に積層されて円筒状に形成されたアウターステータ6と、アウターステータ6の内側壁面に所定のエアーギャップを置いて配置されてアウターステータ6との間で磁束を形成するインナーステータ8と、アウターステータ6とインナーステータ8のうちの何れ一つに巻線される巻線コイル12と、を包含して構成されている。
【００２３】
また、アウターステータ6は、所定の長さを有する積層シート10が円筒状を成すように放射状に積層され、その内側壁面には巻線コイル12が巻線され、両側の壁面には、支持リング14が嵌合されることによって、複数の積層シート10が円筒状を維持するように構成されている。
【００２４】
また、インナーステータ8は、アウターステータ6の内側壁面と所定のエアーギャップを有するように複数の積層シート16が放射状に積層されて円筒状に構成され、それらの積層シート16の両方の側面には、夫々グルーブ22が切削形成されてそれらのグルーブ22に複数の積層シート16が円筒状を維持するように支持する支持リング（supporting ring）18が嵌合され、各積層シート16の内周面には、固定溝24が切削形成されて、それらの各固定溝24に前記各積層シート16間を連結する固定バンド20が嵌合されることによって、積層シート16の積層体としてのインナーステータ8の内側の中央及び外側の両方の側面がそれぞれ固定バンド20及び支持リング18により締結されている。
【００２５】
このとき、積層シート16は、所定の長さを有し断面が長方形の平板状に形成される。
【００２６】
また、固定バンド20は、直線状から曲線状に容易に屈曲する弾性材により形成される。その一例として、固定バンド20は、所定の長さを有する複数に分割された各片が相互に連結される構造に形成されて、直線状に開放された状態から円形に変形させることができる。
【００２７】
また、マグネットアセンブリ4は、アウターステータ6とインナーステータ8の間の空間に配置されてアウターステータ6とインナーステータ8から発生する磁束との相互作用により直線移動するマグネット28と、マグネット28が装着されてマグネット28の直線移動力を所望の作動部（図示されず）に伝達するマグネットパドル30と、を包含して構成される。
【００２８】
また、上記のように構成された本発明に係るインナーステータの第1実施形態の製造方法の第1実施形態においては、先ず、図3(a)に示したように、以下のように形成された複数の積層シート16を平面状に順次接するように積層する段階を実行する。
【００２９】
即ち、上記の各積層シートは、長方形状の薄板に形成され、その長方形の短辺の両方の側面には、夫々グルーブ22が切削形成され、長方形の長辺の一方の中央側面上には、固定溝24が切削形成されて、積層シート16の各固定溝24が、上方側に向くように配列される。
【００３０】
このとき、積層シート16の積層枚数を、インナーステータ8を円筒状に形成する積層シートの一部として、総積層数の約1/4程度に相当する枚数にした組立体36に分割すると、4つの組立体36を相互に屈曲形成して組立てることによって、円筒状のインナーステータ8を構成することができる。
【００３１】
次いで、図3(b)に示したように、平板状に配列された各積層シート16を相互に連結させるために積層シート16の固定溝24に固定バンド20を嵌合した後、その固定バンド20に熔接を施して各積層シート16を相互に連結させるが、その代りにコーキングを施して相互に連結させることもできる。
【００３２】
即ち、このとき、固定バンド20は、積層シート16の固定溝24に嵌合された状態で溶接またはコーキングを施して固定される。
【００３３】
次いで、図3(c)に示したように、平板状に積層された積層シート16から成る組立体36の両側端を、固定バンド20が溶着された内側面を中心として、上方向に外周面と一緒にやや屈曲させると、外周面を成す各積層シート16の側面間が所定間隔を有するように開いて、上記の各積層シートが放射状になるように屈曲形成される。このとき、固定バンド20は、複数の片が相互に連結されているために、各積層シート16が円筒状に積層されるように組立体36が屈曲形成されるとき、円弧状に変形される。
【００３４】
次いで、図4(a)に示したように、上記の放射状の各組立体36を相互に揃えて1つの円筒状に屈曲形成する段階を行うために、もし、組立体36を45°を有するように予め形成して組立てると、4つの組立体36を積層した後、その積層体の内周面を相互に連結することによって、1つの円筒状に組立てることができる。
【００３５】
次いで、図4(b)に示したように、各積層シート16が円筒状に構成されると、積層シート16の両方の側面の各グルーブ22に夫々支持リング18を圧入して各積層シート16が円筒形状を維持するように支持する。
【００３６】
また、本発明に係るインナーステータ50の第2実施形態として、図5に示したように、前記の積層シート体の上面に切削形成される固定溝24及びその固定溝24の内部に嵌合される固定バンド20を省き、その他は、本発明に係るインナーステータの第1実施形態と同様な構造に複数の積層シート体50を形成し、それらの積層シート体50を屈曲形成して円筒状に構成することもできる。
【００３７】
即ち、各積層シート52は、所定の長さを有する薄い長方形の平板状に形成され、インナーステータ8の両方の側面を成す積層シート52の両側の短辺のみに、夫々溝(groove)22を切削形成し、各積層シート52の上面には前記の第1実施形態のように固定溝24を切削形成せずに、単にその上面に溶接を施すことによって各積層シート52が相互に連結された積層シート体50を形成する。
【００３８】
即ち、所定の個数の各積層シート52を積層した後、積層シート体50の内周面を成す部分である積層された積層シート52の上面に溶接を施して溶接層58を形成することによって各積層シート52を相互に連結させる。
【００３９】
また、本発明に係るインナーステータの第1実施形態の製造方法の第2実施形態として、図6(a）に示したように、複数の積層シート16を平板状に積層するが、このとき、積層される積層シート16は、一つの円筒状に構成し得る個数を準備して単一体40に積層した後、これを屈曲させる。
【００４０】
次いで、図6(b)及び図7(a)に示したように、上記の積層シート16の固定溝24に固定バンド20を挿入して単一体40の内周面を固定させた後、円筒状を成すように屈曲形成することによって単一体40の最も外側の両方の側端の積層シート16の内周面を相互に接触させて円筒状に構成する。
【００４１】
次いで、図7(b)に示したように、円筒状の積層シート16の両方の側面に形成されたグルーブ22に支持リング18を圧入することで、製造を終了することができる。
【００４２】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る往復動式モータのステータ及びその製造方法においては、複数の積層シートを平板状に積層させた後、円筒状にベンディングすることによって、インナーステータを構成するために、組立が簡便で、組立時間を短縮し得るという効果がある。
【００４３】
また、本発明に係る往復動式モータのステータ及びその製造方法においては、インナーステータの内側壁面に固定バンドを締結して各積層シート間を相互に連結するために、放射状に積層された積層シートの締結強度を向上し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る往復動式モータの構造を示した縦断面図である。
【図２】本発明に係る往復動式モータの構造を示した側面図である。
【図３】 (a)〜(c)は本発明に係る往復動式モータのインナーステータの第1実施形態の製造方法の第1実施形態を示した工程順序図(その1)である。
【図４】 (a)、(b)は本発明に係る往復動式モータのインナーステータの第1実施形態の製造方法の第1実施形態を示した工程順序図(その2)である。
【図５】本発明に係る往復動式モータのインナーステータ構造の第2実施形態を示した一部斜視図である。
【図６】 (a)、(b)は本発明に係る往復動式モータのインナーステータの第1実施形態の製造方法の第2実施形態を示した工程順序図(その1)である。
【図７】 (a)、(b)は本発明に係る往復動式モータのインナーステータの第1実施形態の製造方法の第2実施形態を示した工程順序図(その2)である。
【図８】従来の往復動式モータの構造を示した縦断面図である。
【図９】従来の往復動式モータの構造を示した側面図である。
【図１０】従来の往復動式モータの構造を示した分解斜視図である。
【符号の説明】
2…ステータアセンブリ
4…マグネットアセンブリ
6…アウターステータ
8…インナーステータ
10、16…積層シート
12…巻線コイル
14、18…固定リング
20…固定バンド
22…グルーブ
24…固定溝
28…マグネット
30…マグネットパドル
36…組立体
40…単一体

Claims (10)

1. 長方形薄板状の複数の積層シートが円筒状を成すように積層されて形成された積層シート体を含む往復動式モータのステータであって、該積層シート体の両側壁面には、前記積層シートが円筒状を維持するように支持する支持リングが嵌合され、前記積層シート体の内側壁面には、固定バンドを溶着することによって、製造工程中、平板状に積層された積層シートを円筒状に屈曲させるとき、前記各積層シート間の連結状態を維持し得るようにしてなり、該固定バンドは、所定の長さを有する複数の平板状部分に分割され、該平板状部分の間が相互に連結される構造を有するように形成されることを特徴とする往復動式モータのステータ。
2. 前記積層シートは、長方形の薄板状に形成され、前記長方形の短辺の両方の側面には、夫々前記支持リングが嵌合されるグルーブが形成され、前記長方形の長辺の一方の側面には、前記固定バンドが嵌合される固定溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の往復動式モータのステータ。
3. 前記固定バンドは、前記固定溝に嵌合された後、直線状の平板から曲線状の平板に容易に屈曲されるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の往復動式モータのステータ。
4. 前記固定バンドは、前記積層シートの固定溝に熔接を施して溶着されることを特徴とする請求項1に記載の往復動式モータのステータ。
5. 前記固定バンドは、前記積層シートの固定溝にコーキングを施して固定されることを特徴とする請求項1に記載の往復動式モータのステータ。
6. 複数の積層シートの側面が夫々相互に接するように平板状に積層する第1段階と、
   該第1段階で、平板状に積層された積層シート間を連結するように、前記積層シートの一方の側面に固定溝を形成して該固定溝に複数の平板状部分に分割され、該平板状部分の間が相互に連結される固定バンドを溶接により嵌合する第2段階と、
   前記平板状に積層されて前記固定バンドにより相互に連結された積層シートを屈曲形成して円筒状に構成する第3段階と、
   前記円筒状に構成された積層シートの両方の側面に夫々支持リングを圧入する第4段階と、を有することを特徴とする往復動式モータのステータ製造方法。
7. 前記第1段階で、前記積層シートは、薄板状に形成され、前記積層シートの短辺の両方の側面には、夫々前記支持リングが圧入されるグルーブが形成され、前記積層シートの長辺の一方の側面には、前記支持リングが固定される固定溝が形成されることを特徴とする請求項6に記載の往復動式モータのステータ製造方法。
8. 前記第2段階で、前記固定バンドは、各前記積層シートの固定溝にコーキングが施されて固定されることを特徴とする請求項6に記載の往復動式モータのステータ製造方法。
9. 前記第3段階で、前記複数の積層シートは、放射状の組立体に形成されることを特徴とする請求項6に記載の往復動式モータのステータ製造方法。
10. 前記第3段階で、前記複数の積層シートは、1つの円筒体を成し得る単一体に形成されることを特徴とする請求項6に記載の往復動式モータのステータ製造方法。

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