JP3635628B2 - 音声情報記録媒体及び音声情報の再生方法 - Google Patents

音声情報記録媒体及び音声情報の再生方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、CD−ROM、DVD、DAT等の媒体に少なくとも音声情報を含む種々の情報が記録された音声情報記録媒体と、このような音声情報記録媒体に予め記録された音声情報を再生する再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、英会話等の語学の独習用、詩吟の練習用、法律の独習用、その他の目的のために、磁気テープ、CD−ROM、DVD、DAT等の記録媒体に音声情報が記録された教材が種々提供されている。ここで、英会話の独習用の教材を例に説明すると、従来の主な記録媒体は、例えば一連の英語の発声(音声情報)が記録されてたカセットテープ(又はCD等)であり、学習者はこのテープ教材とテキストとを組み合せて使用していた。なお、このような教材には、初級用から上級用まで種々のレベルが用意されている。
【0003】
上述のような教材であっても、テープを聴いているときに聴き取れない部分が出てくると、テープを巻き戻して再度聴き直すことはできる。また、何度も繰り返し聴くことも可能である。しかしながら、特に外国語学習などの場合、例え何度聴き直したとしても、聴き取れない部分はあくまで聴き取れない場面に遭遇してしまうのも事実である。そこで、日本国特許第2581700号には、複数の区画に区分された上級者学習用に適した第1音声情報列が記録された第1領域と、これら各区画に対応した等価な区画からなる初級者学習用に適した第2音声情報列が記録された第2領域と、該上級者学習用及び初級者学習用の第1及び第2音声情報列の対応する各区画の関係を、これら第1及び第2音声情報列の各区画の記録媒体における記録位置で示す情報が記録された第3領域とを、少なくとも備えたCD−ROM等の音声情報記録媒体、及びこのような構造を備えた音声情報記録媒体の切替え再生等を含む再生方法が提案されている。
【0004】
一方、磁気テープ、CD−ROM、DVD、DAT等に記録された人物音声や音楽を含む音響情報を再生する再生装置には、該CD−ROM等のドライブ機構や該音響情報の再生機構を一体化し、小型かつ軽量の携帯型再生装置がある。このような携帯型再生装置では、携帯性に優れた再生部により再生された音響情報が、コード付きあるいはコードレスのイヤホンを介して操作者に提供され、また、イヤホン側に該再生部を遠隔制御するための操作部が設けられる場合がある。
【0005】
一般に、遠隔制御用の操作部には、再生開始、再生停止、再生早送り、及び再生巻戻し等を指示する複数のボタンが設けられており、上記操作者によるボタン操作に応じた制御信号が該操作部から再生部に送出されることにより、該再生部の遠隔制御が行われる。この操作部には、上記操作指示用の複数のボタンの他、視覚的情報を表示するための液晶ディスプレイ等のフラット・ディスプレイが設けられる場合もある。また、この操作部に適用された液晶ディスプレイには、例えば、再生状態(動作モード)や再生されている音楽の曲番などが表示される。
【0006】
なお、上記再生部と操作部とが一体的に構成された携帯型再生装置の場合、当該装置自体をカバンに収納した状態で移動している操作者は、再生制御を指示しようとする度にカバンから当該装置を取り出さなければならなくなる。このことは操作者の行動を制限し、再生指示動作に煩わしさを与えてしまう。逆に、再生部とそれを遠隔制御する操作部とが別体として構成された携帯型再生装置では、操作者の行動を制限することなく再生制御を可能にしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、上述のように再生部と操作部が分離され、かつ携帯性に優れた再生装置の普及により、その利用方法も、該再生装置を携帯して移動などの空き時間中に音楽CD等を再生するのが一般的になってきた。また、該携帯型再生装置を、上記空き時間中の語学学習等に利用するケースも増加してきた。このような現状から、上記日本国特許第2581700号に開示された音声情報記録媒体は、パーソナル・コンピュータ(デスクトップ・タイプやノートタイプを含む)や携帯型の再生装置(CDプレイヤー等)などを利用した、種々の再生形態が考えられるようになった。
【0008】
特に、上記日本国特許第2581700号に開示された音声情報記録媒体上の音声情報を携帯型再生装置で再生する場合、該音声情報記録媒体としては上記第1及び第2音声情報が記録されたCD−ROMやDVDの利用が容易に考えられる。しかしながら、このような携帯型再生装置を利用して、上記第1音声情報列と第2音声情報列とを区画単位で切り替えながら再生しようとする場合、以下のような課題を解決する必要がある。
【0009】
例えば、CD−ROMに記録された音響情報の再生は、該CD−ROMを回転させながら読出ヘッドを該回転するCD−ROMの半径方向に移動させ、該CD−ROM上に記録された所望の音響データを読み出すことにより行われる。このとき、上記第1及び第2音声情報列の各区画がCD−ROM上の異なるトラック上に記録されていると、切り替え再生の度に読出ヘッドの移動が発生する。携帯型再生装置では、消費電力及びモータ駆動音を低く抑えるため、上記CD−ROMの回転速度は2倍速程度に制限されているのが現状であり、第1及び第2音声情報列間の再生切り替えスピードには必然的に限界がある。また、この読出ヘッドの移動は不測の電力消費をもたらす。特に語学学習の場合、上記第1及び第2音声情報列の区画間での切り替え要求が頻繁に発生すると考えられ、携帯型再生装置の場合、この読出ヘッドの頻繁な移動に起因した電力消費は、当該携帯型再生装置の実質的な再生時間を著しく短縮させる可能性がある。
【0010】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、携帯型再生装置にも適した、切り替え再生が可能な複数種類の音声情報列が記録された音声情報記録媒体、及び該音声情報記録媒体を利用した音声情報の再生方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る音声情報記録媒体は、携帯型再生装置のように所定の音声再生手段で再生出力されるべき複数の単語列から構成された1又は2以上の文に対応する少なくとも2種類の第1及び第2音声情報列が記録された音声情報記録媒体であり、これら音声情報列間での切り替え再生を可能にする構造を備えている。このため、上記第1及び第2音声情報列のうち一方の音声情報列は、音声再生の一単位(切り替え再生の一単位でもある)として所定のタイミングで分割された複数の音声情報の区画から構成された音声情報列である。また、上記第1及び第2音声情報列のうち他方の音声情報列は、該一方の音声情報列と等価でかつ遅緩した発音で構成された音声情報列であって、該一方の音声情報列の各区画の音声情報と等価な音声情報の区画から構成された音声情報列である。
【0012】
この発明に係る音声記録媒体上には、少なくとも、上記第1音声情報列を構成する複数の区画から選択された区画のデータと、該第1音声情報列に属する区画と対をなし互いに切り替え対象となる上記第2音声情報列に属する区画のデータとから構成される複数の再生単位情報列が、音声再生の順に互いに隣接するよう配置されている。さらに、これら再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのには、第1音声情報列に属する区画のデータと、該第1音声情報列に属する区画と対をなす第2音声情報列に属する区画のデータとが順次配置されている。
【0013】
以上のように切り替え対象となる各音声情報列の区画同士を記録領域内に隣接して記録しておくことにより、CDプレーヤーのような再生・駆動機構を有する携帯型再生装置では、読出ヘッドの移動が発生しにくくなり、消費電力を効果的に節約することができる。
【0014】
なお、上記音声情報記録媒体に記録された音声情報の再生方法は、該音声情報記録に記録されたデータの読み込み動作と、該読み込まれたデータの再生動作が並行して行われる。すなわち、データ読み込み動作では、次に再生対象となる区画のデータを含む再生単位情報列をメモり等に読み込み、この間、既にメモり等に読み込まれている再生単位情報列から、第1及び第2音声情報列のうち予め指示された音声情報列に属する区画のデータを再生する。
【0015】
また、上記第1音声情報列を構成する区画の分割タイミングは、例えば発音の節目に設定してもよい。この場合、該第1音声情報列を構成する各区画は可変長の音声情報となり、上記第2音声情報列の各区画も該第1音声情報列の各区画に対応して分割される。
【0016】
しかしながら、上記第1及び第2音声情報列を発音の節目で分割すると、各区画のデータ長に著しい開きが生じる可能性があることは容易に想像できる。特に、比較的短い区画の音声情報に続いて比較的長い区画の音声情報を再生するケースも頻繁に生じるであろう。この発明に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報の再生は、上述のように、CDプレーヤー等の音声再生装置において、音声情報が記録された媒体から一旦メモりに再生用データを読み込んだ後に該読み込まれたデータの再生が行われるため、既にメモり等に読み込まれたデータの再生動作と、次に再生されるデータの読み込み動作とが並行して行われる。したがって、比較的短い区画の音声情報に続いて比較的長い区画の音声情報を再生するケースでは、この比較的短い区画の再生動作と比較的長い区画の読み込み動作が並行して行われることになる。この場合、再生動作が終了しても読み込み動作が終了してないという状況が発生する。これでは、連続した音声の再生は実現できない(音切れの発生)。
【0017】
そこで、上記第1音声情報列を発音の節目で複数の分割単位(第1分割単位)に分割するとともに、これら第1分割単位のおのおのを、さらに音声再生の一単位として複数の音声単位(第1音声単位)に分割するのが好ましい。この場合、該第1音声単位のおのおのが、上記第1音声情報列に属する音声再生の一単位である区画に相当する。一方、上記第2音声情報列も、それぞれが上記第1音声情報列を構成する第1分割単位と等価な複数の分割単位(第2分割単位)に分割し、さらにこれら第2分割単位を音声再生の一単位として複数の音声単位(第2音声単位)に分割する。ただし、互いに等価な第1分割単位と第2分割単位のおのおのを構成する区画の数は、第1及び第2音声情報列間での切り替え再生を可能にするため、同数である必要がある。各区画を構成する音声単位の数は各分割単位ごとに設定することができるため、比較的短い分割単位の音声情報に続いて比較的長い分割単位の音声情報を再生する場合であっても、分割単位間における音声単位のデータ長の差を低減することができる。換言すれば、各分割単位を構成する音声単位を音声再生の一単位とすることで、第1及び第2音声情報列における分割単位間の音声単位のデータ長の差、すなわち、データ読み込み時間とデータ再生時間の差が低減され、音切れのない連続した音声再生が可能になる。
【0018】
さらに、この発明に係る音声記録媒体では、互いに切り替え対象となる区画同士が隣接して配置されているので、上述の日本国特許第2581700号に開示された音声情報記録媒体のような切り替え対象である区画間の記録位置を対応付ける情報を記録するための第3領域を節約することも可能である。
【0019】
例えば、上記第3領域の省略が可能な第1の実施形態は、上記各再生単位情報列に属する区画(音声再生の一単位)が可変長データであることを特徴としている。すなわち、該各再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのに、上記第1音声情報列に属する可変長区画のデータと、該第1音声情報列に属する可変長区画と対をなす上記第2音声情報列に属する可変長区画のデータとの境界に区分コードが配置されていることを特徴としている。
【0020】
このような第1の実施形態に係る音声記録媒体に記録された音声情報の再生方法では、上記第1音声情報列の連続再生と上記第2音声の連続再生とで異なる区画再生動作が行われる。
【0021】
すなわち、第1音声情報列の連続再生では、音声再生の対象である再生単位情報列の先頭アドレスから区分コードが配置されたアドレスまでの該第1音声情報列に属する区画のデータ(可変長データ)を再生する区画再生動作が、該再生単位情報列のおのおのの先頭アドレス情報を管理するアドレス・テーブルに基づいて音声再生の対象となるべき再生単位情報列を順次特定しながら繰り返し行われる。一方、上記第2音声情報列の連続再生では、音声再生の対象である再生単位情報列の先頭アドレスから上記区分コードのアドレスまでに記録されている第1音声情報列に属する区画のデータを読み飛ばし、該区分コードのアドレスから次に音声再生の対象となるべき再生単位情報列の先頭アドレスまでの第2音声情報列に属する区画のデータを再生する区画再生動作が、上記アドレス・テーブルに基づいて音声再生の対象となるべき再生単位情報列を順次特定しながら繰り返される。
【0022】
なお、上述の再生方法では、第2音声情報列に属する各区画の音声再生が行われる度に隣接する第1音声情報列に属する区画のデータが読み飛ばされることになる。この第1の実施形態に係る音声情報記録媒体は、上記再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのに、上記第2音声情報列に属する区画のデータに続いて、次に音声再生されるべき再生単位情報列を構成している第2音声情報列に属する区画のデータが記録された先頭アドレスを示すアドレス情報が配置された構成であってもよい。
【0023】
このように、第2音声情報列に属する区画のデータに続いて次に音声再生されるべき再生単位情報列に含まれる第2情報列に属する区画のデータのアドレス情報を含めることで、第2音声情報列の連続再生は、先に音声再生の対象であった再生単位情報列に含まれるアドレス情報で示された先頭アドレスから第2音声情報列に属する区画のデータを再生する区画再生動作により、該再生中の音声データを含む再生単位情報列中のアドレス情報に基づいて次に音声再生されるべき第2音声情報列に属する区画のデータの先頭アドレスを順次特定しながら繰り返される。したがって、音声再生の対象である再生単位情報列に含まれる第1音声情報列に属する区画のデータを一旦読み込む必要がないので(区分コードを検出する必要がない)、再生中音声がとぎれることを極力回避することができる。
【0024】
なお、各再生単位情報列にアドレス情報が含まれるか否かに関わらず、第1の実施形態に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報を再生する方法において、上記第1音声情報列の再生中における該第1音声情報列から上記第2音声情報列への切り替え再生は、まず、該切り替え要求の発生タイミングと上記アドレス・テーブルに基づいて該切り替え要求の対象となった第1音声情報列に属する区画と該第1音声情報に属する区画のデータを含む再生単位情報列を特定することにより行われる。続いて、特定された再生単位情報列の先頭アドレスから該再生単位情報列に含まれる区分コードまで特定された第1音声情報列に属する区画のデータが読み飛ばされ、該特定された再生単位情報列に含まれる区分コードに続く第2音声情報列に属する区画のデータが再生される。
【0025】
逆に、第2音声情報列から第1音声情報列への切り替え再生は、まず第2音声情報列の再生中に発生した第1音声情報列への切り替え要求の発生タイミングにより切り替え対象となる再生単位情報列が特定できるので、該特定された再生単位情報列の先頭アドレスを上記アドレス・テーブルから得、該特定された再生単位情報列の先頭位置から記録されている第1音声情報列に属する区画のデータを切り替え対象として再生することにより行われる。
【0026】
次に、上記第3領域の省略が可能な第2の実施形態は、上記第1音声情報列に属する区画のデータが、元の音声を一定時間ごとに区切った固定長データであるとともに、該第1音声情報列に属する各区画と対をなす上記第2音声情報列に属する区画のデータが、該第1音声情報に属する区画のデータの再生時間が所定倍になるよう編集された固定長データであることを特徴としている。したがって、上記各再生単位情報列が記録される当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのにおいて、上記第1音声情報列に属する区画おデータは、該第1音声情報列に属する区画のデータと同じサイズの第1固定長格納エリアに記録されるとともに、該第1音声情報列に属する区画と対をなす上記第2音声情報列に属する区画のデータは、該第1固定長格納エリアに続く格納エリアであって、該第2音声情報列に属する区画のデータと同じサイズの第2固定長格納エリアに記録されることになる。
【0027】
上述のような第2の実施形態に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報を再生する方法において、上記第1音声情報列の連続再生は、音声再生の対象である再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、上記第1固定長格納エリアに記録された第1音声情報列に属する区画のデータを再生する区画再生動作が、該再生単位情報列おのおのの先頭アドレス情報を管理するアドレス・テーブルに基づいて音声再生の対象となるべき再生単位情報列を順次特定しながら繰り返されることにより行われる。一方、上記第2音声情報列の連続再生は、音声再生の対象である再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、上記第2固定長格納エリアに記録された第2音声情報列に属する区画のデータを再生する区画再生動作が、上記アドレス・テーブルから得られる音声再生の対象となるべき再生単位情報列の先頭アドレスと上記第1音声情報列に属する区画のデータ長(第1固定長格納エリアの格納可能な最大データ長と一致)とに基づいてその先頭アドレスが算出される第2固定長格納エリアを順次特定しながら繰り返されることにより行われる。
【0028】
さらに、上記第3領域の省略が可能な第3の実施形態では、上記第1音声情報列及び上記第2音声情報列に属する各区画のデータは、いずれも可変長データである。そして、上記各再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのにおいて、上記第1音声情報列に属する可変長区画のデータは、予め確保された第1固定長格納エリアの先頭位置から記録されているとともに、該第1音声情報列に属する可変長区画のデータと対をなす上記第2音声情報列に属する可変長区画のデータは、予め確保された第2固定長格納エリアの先頭位置から記録されている。このとき、上記第1固定長格納エリアには、記録された上記第1音声情報列に属する可変長区画のデータの終了位置に終了コードが配置されているとともに、上記第2固定長格納エリアには、記録された上記第2音声情報列に属する可変長区画のデータの終了位置に終了コードが配置されている。
【0029】
この第3の実施形態に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報の再生方法において、上記第1音声情報列の連続再生は、音声再生の対象である再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、上記第1固定長格納エリアの先頭アドレスから該第1固定長格納エリアに配置されている上記終了コードのアドレスまでの第1音声情報列に属する区画のデータを再生する区画再生動作が、該再生単位情報列おのおのの先頭アドレス情報を管理するアドレス・テーブルに基づいて音声再生の対象となるべき再生単位情報列を順次特定しながら繰り返されることにより行われる。一方、上記第2音声情報列の連続再生は、音声再生の対象である再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、上記第2固定長格納エリアの先頭アドレスから該第2固定長格納エリアに配置されている終了コードのアドレスまでの第2音声情報列に属する区画のデータを再生する区画再生動作が、上記アドレス・テーブルから得られる音声再生の対象となるべき再生単位情報列の先頭アドレスと上記第1固定長格納エリアの格納可能な最大データ長とに基づいてその先頭アドレスが算出される第2固定長格納エリアを順次特定しながら繰り返されることにより行われる。
【0030】
なお、第2及び第3の実施形態のいずれも場合も、第1音声情報列から第2音声情報列への切り替え再生では、まず、上記第1音声情報列の再生中に発生した切り替え要求の発生タイミングと上記アドレス・テーブルに基づいて該切り替え要求の対象となった第1音声情報列に属する区画と該第1音声情報に属する区画のデータを含む再生単位情報列が特定される。続いて、特定された再生単位情報列の先頭アドレスと上記第1固定長格納エリアの格納可能な最大データ長から、該特定された再生単位情報列が記録された当該音声情報記録媒体上の記録領域の一部を構成する第2固定長格納エリアの先頭アドレスが算出され、該算出された先頭アドレスから特定された第1音声情報に属する区画のデータと対をなす第2音声情報列に属する区画のデータが再生されることにより行われる。ただし、第2音声情報列から第1音声情報列への切り替え再生は、上述の第1の実施形態における切り替え再生動作と同様である。
【0031】
なお、この明細書において、当該音声情報記録媒体上の記録領域おのおのは、個々の再生単位情報列が記録される該音声記録媒体のデータ記録可能な有効領域のうちの一領域であって、読出ヘッドのトラック間移動が発生しないように連続して確保された領域をいう。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る音声情報記録媒体及び音声情報の再生方法の各実施形態を、図1〜図14を用いて説明する。なお、図中の同一要素、同一部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0033】
まず、この発明に係る音声情報記録媒体に記録されるべき音声情報列の典型的な構造を図1を用いて説明する。
【0034】
この発明に係る音声情報記録媒体で記録される情報は、映画における出演者の会話、日常の生活環境における会話等のように、長さの異なる複数のセンテンス(文)から構成され、また、各センテンス(各会話者の音声情報)の間に、音声が再生されていない状況、雑音のみが再生されている状況、音楽(BGM)のみが再生されている状況等のランダムに発生する無音声期間が存在し得る一連の音声情報列である。すなわち、当該音声情報記録媒体には、基本的に、所定の音声再生手段で再生出力されるべき複数の単語列から構成された1又は2以上の文に対応する音声情報列であって、発音の節目でそれぞれ分割された音声情報ごとに可変長の区画(以下、セグメントという)、元の音声を一定時間ごとに区切った固定長のセグメントに区分された音声情報列等が記録される。
【0035】
一般にネイティブスピーカーの英会話では、1センテンスは概ね3秒程度で発声されるため、記録されるべき音声情報列を構成するセグメントを決定する発音の節目を各センテンスの間に設定することで、図1(a)、(b)あるいは(d)に示されたように、音声情報列を構成する可変長セグメント621、622、799をそれぞれ構成するのが妥当である。なお、会話中のセンテンスの中には図1(c)に示されたように、極端に短いセンテンスも含まれるが、このセンテンスも1つのセグメント701を構成する。一方、図1(e)に示されたように、極端に長いセンテンスの場合には、接続詞や関係詞等の前が発音の節目となるため、図1(e)に示されたようなセンテンスでは、連続する2つのセグメント801、802で構成するのが妥当である。したがって、可変長セグメントで音声情報列を構成する場合、記録されるべき音声情報列のセグメントは、発声上の区切り(息継ぎ位置)又は言語上(文法上)のなんらかの区切りにもとづいて分割された音声情報の記録単位とするのが好ましい。
【0036】
なお、この発明に係る音声情報記録媒体には、等価な意味内容であるがナチュラル・スピードで発声された第1音声情報列と、はっきりかつゆっくりと発声された第2音声情報列の、少なくとも2種類の音声情報列が記録されている。また、当該音声情報記録媒体には、その他の音声情報列、例えば上記音声情報列が英会話音声データであれば、その解説音声や文字情報を上記音声情報列に関連づけて記録されていてもよい。また、上述のように上記音声情報列を分割すると、該音声情報列を構成する各セグメントは可変長データとなるが、元の音声を一定時間ごとに区切った固定長のセグメントデータで第1音声情報列を構成するとともに、該第1音声情報列の各セグメントの再生時間が所定倍になるように編集された固定長のセグメントで第2音声情報列を構成してもよい。
【0037】
図2には、この発明に係る音声記録媒体に記録されるべき音声情報列のうち、それぞれ可変長セグメントに分割された上記第1音声情報列A及び第2音声情報列Bの構造が示されている。
【0038】
上記第1音声情報列Aは、例えばネイティブスピーカが自然な速さで話す英語の音声情報からなり、この音声情報列は上述されたように発音の節目(センテンスの終りやセンテンス中の一息つける、発生上あるいは文法上の区切り)で複数の可変長セグメント621a、622aに分割されている。上記第2音声情報列Bは、第1音声情報列Aの内容と等価な意味内容であるが別の音声情報であり、例えば単語を区切って話すゆっくりとした速さの英語の音声情報である。なお、この第2音声情報列Bも、複数の可変長セグメント621b、622bから構成されている。
【0039】
ここで重要なことは、上記第1及び第2音声情報列A、Bは、それぞれ複数の可変長セグメント621a、622a、621b、622bに区分されているが、互いにセグメントごとにその意味内容が対応していることである。例えば、第1音声情報列Aのt番目(図1(a)では621番目)のセグメントがネイティブスピーカの話す”It's not much of a problem.”であるときは、第2音声情報列Bのt番目のセグメントは各単語を区切って話す”It is not much of a problem.”となる。ただし、第2音声情報列Bと対応した内容でかつ別の音声情報からなるということは、言語上は同一の意味で発声の異なるものであることを示している。
【0040】
この発明に係る音声情報記録媒体は、携帯型再生装置のように所定の音声再生手段で再生出力されるべき複数の単語列から構成された1又は2以上の文に対応する少なくとも2種類の第1及び第2音声情報列が記録された音声情報記録媒体であり、これら音声情報列間での切り替え再生を可能にする構造を備えている。このため、上記第1音声情報列Aは、所定のタイミングで分割された各音声情報を音声再生の一単位(切り替え再生の一単位でもある)として、該分割された音声情報ごとにセグメントに区分された音声情報列であり、上記第2音声情報列Bは、該第1音声情報列と等価でかつ遅緩した発音で構成された音声情報列であって、該第1音声情報列の各セグメントの音声情報と等価な音声情報ごとに区画に区分された音声情報列である。
【0041】
この発明に係る音声記録媒体上には、少なくとも、上記第1音声情報列Aを構成するセグメントのうち1つのセグメントと、該第1音声情報列Aのセグメントと対をなし互いに切り替え対象となる上記第2音声情報列Bのセグメントとから構成される複数の再生単位情報列が、音声再生の順に互いに隣接するよう配置されている。さらに、各再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのには、上記第1音声情報列Aのセグメントと、該第1音声情報列Aの該セグメントと対をなす第2音声情報列Bのセグメントとが順次配置されている。なお、第1音声情報列のセグメントと第2音声情報列のセグメントの配置順序は逆でもよい。また、当該音声情報記録媒体には、記録されている上記各再生単位情報列それぞれの先頭アドレスを示すアドレス・テーブルが予め記録されている。
【0042】
次に、この発明に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報の再生装置、特に携帯型再生装置の構造を図3〜図5を用いて説明する。
【0043】
図3は、この発明に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報を再生するための携帯型再生装置の外観を示す図であり、図4は、図3に示された携帯型再生装置のうち操作部の詳細な外観を示す図である。
【0044】
図3に示されたように、携帯型再生装置は、CD−ROMのような再生専用の外部記録媒体に記録された音声等の情報を再生するための携帯型再生部10と、該携帯型再生部10とコード20を介して電気的に接続されるとともに、該携帯型再生部10における再生制御を遠隔からリアルタイムで指示するための操作部20を備えている。また、当該再生装置は、学習者が再生部を携帯しながら再生音声が聞けるよう、該携帯型再生部10の再生音声がコード30、31を介してイヤホン40に出力される。なお、イヤホン40は赤外線ポートを利用したコードレスのイヤホンであってもよい。
【0045】
操作部20は、外部記録媒体に記録されていている学習用音声を再生している再生部10を学習者の手元で遠隔制御するため、入力手段(複数のボタン類)や出力手段(液晶ディスプレイ)が設けられている。
【0046】
図4に示されたように、操作部20には、上記入力手段として、イヤホン40から出力される再生音声のボリュームを制御するためのボタン21、再生される音声情報の選択等を指示するための選択ボタン22、特定音声の繰り返し再生を指示するためのリピート・ボタン23、既に再生された音声を再度聞いたり、再生されるべき音声をスキップするための操作ボタン24、25、再生動作を中断等するために再生部10に対して割込信号を送出するためのストップ・ボタン26、及び電源ボタン27が設けられている。また、上記出力手段としては、液晶ディスプレイ等のフラットパネル28が設けられており、フラットパネル28には再生中の音声や解説を文字(視覚情報)で示したり、記録されている音声情報のシーケンシャル・ナンバー280、セットされている外部記録媒体を特定するためのIDナンバー281等が表示される。なお、上述のボタン22〜26は、当該携帯型再生装置で再生される音声情報の種類、例えばナチュラルスピードの第1音声情報列、はっきりと発声された第2音声情報列、日本語による解説音声等の選択機能が割り当てられる。
【0047】
具体的に上記携帯型再生装置は、主に音声を主体とした継続的かつ変則的な繰り返し学習に好適な構造を備えているが、以下の説明では、外国語学習用のコンピュータ内蔵携帯型CDプレイヤーを指向した装置として説明する。
【0048】
図5は、上記携帯型再生装置の構造を示すブロック図である。
【0049】
図5に示されたように、携帯型再生装置の再生部10は、セットされた外部記録媒体としてのCD−ROM1から所望の音声データ(セグメント)を読み出すためのCDドライブ180を備えている。また、再生部10は、装置全体を制御するためのCPU100(制御部)、該CPU100で実行されるプログラムが格納させたROM110、CD−ROM1のTOC(Table of Contents:各再生単位情報列の先頭アドレスを示すアドレス・テーブルに相当)情報を展開して保持しておく記録手段であるとともにCD−ROM1から読み出される音声データのバッファでもあるRAM120、操作部20とCPU100とのデータ授受を行うためのハンドセット・インターフェース(以下、ディスクI/Fという)130、CDドライブ180から読み出された音声のディジタル・データをアナログ音声データに変換するためのD/Aコンバータ140、該D/Aコンバータ140から出力されたアナログ音声データを増幅してイヤホン40へ出力する増幅回路141(以下、AMPという)、AMP141からのアナログ音声データを外部スピーカ等へ出力するための出力ポート142、電源回路150、外部電源からの直流電圧を得るための電源ポート151、及びCPU100からCDドライブ180への制御信号の出力、該CDドライブ180からD/Aコンバータ140への音声データの出力を行うディスク・インターフェース170(以下、ディスクI/Fという)を備えている。
【0050】
なお、CPU100で実行されるプログラムは、必ずしもROM110に格納しておく必要はなく、予めCD−ROM1に記録しておいたプログラムを該CD−ROM1が装着された時点でRAM120へロードするような実施形態であってもよい。また、上記RAM120には、実際にセットされたCD−ROM1上における各再生単位情報列のアドレス情報が格納される。
【0051】
上記CDドライブ180には、CD−ROM1を回転させるためのモータ181と、読出ヘッド183、及び該読出ヘッド183をCD−ROM1の半径方向に移動させるための移動機構182が、少なくとも設けられている。
【0052】
一方、操作部20は、コード30により再生部10と電気的に接続されており、再生部10における再生制御を遠隔からリアルタイムで指示するための構造を備えている。具体的には、操作部20は、ハンドセットI/F130を介してCPU100に対して学習者等の操作内容を制御信号として伝達するための入力手段200(複数のボタン群)と、CPU100からの表示データをフラット・パネル28に表示させるための表示部210を含む出力手段とを備えている(図4参照)。さらに、この操作部20にはコード31を介してイヤホン40が接続されており、AMP142で増幅されたアナログ音声データがイヤホン40から出力されるよう構成されている。
【0053】
特に、上記操作部20の入力手段200は、図4に示されたように、CD−ROM1内の各種音声情報列の再生指示を行うための複数種類の入力ボタンが設けられている。一方、上記操作部20の表示部210は、少なくとも再生部10において再生されている音声データを特定するための情報280等をフラット・ディスプレイ28へ表示する。
【0054】
以上のような構造を備えた再生装置により再生可能な第1音声情報列A及び第2音声情報列は、例えば発音の節目で分割された可変長データとすることができる。
【0055】
図6(a)には、可変長のセグメントa1、b1、c1、d1から構成された第1音声情報列Aと、可変長のセグメントa2、b2、c2、d2から構成された第2音声情報列Bの基本的なデータ構造が示されている。また、この発明に係る音声情報記録媒体には、図6(b)に示されたように、上記第1及び第2音声情報列A、Bの互いに切り替え対象となるセグメント同士が対にされた再生単位情報列A10、B10、C10、D10が順次再生順に配置される。
【0056】
このような構造を備えた再生単位情報列A10、B10、C10、D10が記録された音声情報記録媒体から、予め指示された情報列の音声を再生する場合、該音声情報記録に記録されたデータの読み込み動作と、該読み込まれたデータの再生動作が並行して行われる。すなわち、データ読み込み動作では、次に再生対象となる区画のデータを含む再生単位情報列をメモり等に読み込み、この間、既にメモり等に読み込まれている再生単位情報列から、第1及び第2音声情報列のうち予め指示された音声情報列に属する区画のデータを再生する。このように切り替え対象となる各音声情報列のセグメント同士(a1とa2)、(b1とb2)、(c1とc2)、(d1とd2)を記録領域内に隣接して記録しておくことにより、CDプレーヤーのような再生・駆動機構を有する携帯型再生装置では、読出ヘッドの移動が発生しにくくなり、消費電力を効果的に節約することができる。
【0057】
ただし、上記第2音声情報列Bは、上記第1音声情報列Aと同じ内容(等価)であって、該第1音声情報列Aよりも遅緩された音声情報列であるため、必然的に各セグメントのデータ長も対応する第1音声情報列Aに属するセグメントのデータ長よりも長くなる。したがって、これら可変長のセグメントの対で構成される再生単位情報列A10、B10、C10、D10間のデータ長の差は、第1音声情報列Aにおける各セグメントのデータ長の差や第2音声情報列Bにおける各セグメントのデータ長の差よりも大きくなってしまう。
【0058】
特に、比較的短いセグメントの音声情報に続いて比較的長いセグメントの音声情報を再生する場合、この比較的短いセグメントの音声再生動作と比較的長いセグメントの読み込み動作が並行して行われることとなり、音声再生動作が終了しても次に再生されるべきデータの読み込み動作が終了してないという状況が発生する。これでは、連続した音声の再生は実現できない(音切れの発生)。
【0059】
図7は、上述の音声再生の動作中に音切れが生じる状況について説明するための図である。なお、このケースでは第1及び第2音声情報列A、Bのおのおのにおいて、セグメントb1、b2のデータ長が続くセグメントc1、c2のデータ長に比較して著しく短くなっていると仮定する。この場合、セグメントb1、b2の対で構成された再生単位情報列B10のデータ長と次にメモり等に読み込まれる再生単位情報列C10のデータ長との差はさらに大きくなっている。また、予め操作者は再生対象として第1音声情報列を指示しているものとする。
【0060】
一般に、1つの音声データを再生する場合、読み込みに要する時間よりも再生に要する時間の方が長くなる傾向があるが、読み込んでいる音声データと再生している音声データが異なる場合には、各音声データのデータ長の差が音切れを発生させる場合がある。すなわち、図7に示されたように、先頭の再生単位情報列A10が読み込まれた後、該再生単位情報列A10に含まれる音声情報列のうち予め指示された第1音声情報列Aのセグメントa1が再生される。このセグメントa1の再生中に次の再生単位情報列B10が読み込まれる。この再生単位情報列B10の読み込みはセグメントa1の再生中に終了してしてしまうので、該セグメントa1の音声再生が終了し次第、次のセグメントb1の再生が行われる。ところが、このセグメントb1の音声再生中に再生単位情報列C10の読み込みが行われると、該セグメントb1のデータ長が著しく短いために、該セグメントb1の音声再生が終了しても再生単位情報列C10の読み込みが終了していないという事態が発生してしまう(音切れの発生)。
【0061】
そこで、上記第1音声情報列Aを発音の節目で複数のセグメントa1〜d1(分割単位)に分割するとともに、これらセグメントa1〜d1のおのおのを、さらに音声再生の一単位として複数のサブセグメントa1-1〜a1-3、b1-1〜b1-3(音声単位)に分割しておくのが好ましい。図8(a)には、それぞれ複数のサブセグメントから構成された第1及び第2音声情報列A、Bの構造が示されている。第1音声情報列Aは、セグメントa1がサブセグメントa1-1〜a1-3に3分割され、セグメントb1がサブセグメントb1-1〜b1-2に2分割され、セグメントc1がサブセグメントc1-1〜c1-5に5分割されることにより、音声再生の一単位となる各サブセグメントのデータ長の差が低減された構造を備える。一方、第2音声情報列Bも、セグメントa2がサブセグメントa2-1〜a2-3に3分割され、セグメントb2がサブセグメントb2-1〜b2-2に2分割され、セグメントc2がサブセグメントc2-1〜c2-5に5分割されることにより、音声再生の一単位となる各サブセグメントのデータ長の差が低減された構造を備える。なお、第1及び第2音声情報列A、B間において切り替え対象のずれを防止するため、対応するセグメント間ではサブセグメントの分割数を一致させる必要がある。また、分割されるサブセグメントのデータ長は、各サブセグメントの音声再生時間よりも各再生単位情報列の読み込み時間の方が短くなるよう設定されなければならない。
【0062】
以上のように第1及び第2音声情報列A、Bをデータ長格差の小さい同数のサブセグメントで構成することにより、音声記録媒体に順次記録される再生単位情報列A20〜A23、B21〜B22、C21〜C25は、図8(b)に示されたように、それぞれ上記第1及び第2音声情報列A、Bを構成するサブセグメントの対で構成される。この実施形態では、第1音声情報列Aにおけるサブセグメント間のデータ長の差、及び第2音声情報列Bにおけるサブセグメント間のデータ長の差はいずれも低減されているているので、再生単位情報列間のデータ長の差も低減される。
【0063】
したがって、図8(b)に示されたような構造を備えた再生単位情報列A21〜A23、B21〜B22、C21〜C25が再生順に配置された情報記録媒体に基づいて音声再生を行う場合、図9に示されたように、各再生単位情報列の読み込み動作と指示された音声情報列(図9の例では第1音声情報列が指示されている)の再生動作を並行して実施しても、各サブセグメントの音声再生が終了している時点では、既に次に再生されるべきサブセグメントを含む再生単位情報列の読み込み動作は終了しており、図7に示されたような再生中の音切れの発生を効果的に防止することができる。
【0064】
さらに、この発明に係る音声記録媒体では、互いに切り替え対象となる区画同士が隣接して配置されているので、上述の日本国特許第2581700号に開示された音声情報記録媒体のような切り替え対象となるセグメント間の記録位置を対応付ける情報を記録するための第3領域を節約することも可能である。以下、該第3領域を省略した各実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態では、切り替え対象となる第1及び第2音声情報列の各データを、上述のように発音の節目等で分割されたセグメントとして説明されているが、音切れ防止のために上述のようにさらに細分化されたサブセグメントを切り替え対象として各再生単位情報列を構成することも可能である。
【0065】
(第1の実施形態)
以下、対応するセグメントをそれらの記録位置で示す領域が省略可能な構造を備えた音声情報記録媒体の第1の実施形態、及び該第1の実施形態に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報の再生方法について説明する。
【0066】
まず、第1の実施形態に係る音声情報記録媒体は、図10(a)に示されたように、それぞれが可変長データである複数の再生単位情報列が再生順に隣接して記録されている。各再生単位情報列が記録された当該音声情報記録媒体上の記録領域のおのおのには、上記第1音声情報列Aの可変長セグメント621a、622a、623aと、該第1音声情報列Aの可変長セグメントと対をなす第2音声情報列Bの可変長セグメント621b、622b、623bが順次配列されている。また、各再生単位情報列が記録された当該音声情報記録媒体上の記録領域おのおのには、上記第1音声情報列Aのセグメント621a、622a、623aと、上記第2音声情報列Bのセグメント621b、622b、623bとの境界に区分コード50a、50b、50cが配置されている。
【0067】
上記各再生単位情報列が記録された当該音声情報記録媒体上の記録領域おのおのには、該再生単位情報列を構成する第2音声情報列のセグメントに続いて、次に音声再生されるべき再生単位情報列に含まれる第2情報列Bのセグメントの先頭アドレスを示すアドレス情報60a、60b、60cを配置してもよい。
【0068】
当該音声情報記録媒体には、上述の第1及び第2音声情報列A、Bとともに、日本語の解説音声情報列や文字情報列などの他の情報列を記録することも可能である。この場合、当該音声記録媒体は、日本国特許第2581700号に開示された音声情報記録媒体のように、上記第1及び第2音声情報列A、Bの各セグメントと他の情報列との関連を、これら各情報列の記録位置で示す情報が記録された領域を別途備えてもよい。また、文字情報列等を関連する第1及び第2音声情報列A、Bのセグメント対とともに各再生単位情報列を構成するように該第1及び第2音声情報列A、Bのセグメントに続けて配置するようにしてもよい。具体的には、図10(b)に示されたように、再生順に再生単位情報列A1と再生単位情報列B1が隣接して記録されている場合、該再生単位情報列A1の記録領域において、互いに切り替え対象となっている第1情報列Aのセグメント621aと第2音声情報列Bのセグメント621bに続いて、これら各セグメント621a、621bに関連する文字情報列等621−1、621−2を配置し、該再生単位情報列B1の記録領域において、互いに切り替え対象となっている第1情報列Aのセグメント622aと第2音声情報列Bのセグメント622bに続いて、これら各セグメント622a、622bに関連する文字情報列等622−1、622−2を配置するこことにより、これら文字情報列と対応する音声情報列間の記録位置で示す記録領域分だけ節約することができる。
【0069】
上述のような第1の実施形態に係る音声記録媒体に記録された音声情報の種々の再生方法を図11〜図13に示されたフローチャートを用いて説明する。
【0070】
図11(a)は、第1の実施形態に係る音声記録媒体に記録された音声情報列のうち、第1音声情報列Aを連続して再生する再生動作を説明するためのフローチャートである。この第1音声情報列Aの連続再生動作では、該再生単位情報列おのおのの先頭アドレス情報を管理するアドレス・テーブル500を参照して、音声再生の対象である再生単位情報列A1の先頭アドレス、すなわち第1音声情報列Aのセグメント621a(以下、第1音声情報列Aの各セグメントを第1セグメントという)の先頭位置を特定する(ステップST1)。そして、該先頭アドレスから第1セグメントを読み出し(ステップST2)、区分コード50aが検出されるまで、該読み出された第1セグメントの音声再生を行う(ステップST4)。区分コード50aが検出されると(ステップST3)、次に音声再生の対象となるべき再生単位情報列B1の先頭アドレス(セグメント622aの先頭位置)を上記アドレス・テーブル500を参照して特定し、所定の割り込み要求があるまで上述の再生動作を繰り返していく。
【0071】
次に、図11(b)は、第1の実施形態に係る音声記録媒体に記録された音声情報列のうち、第2音声情報列Bを連続して再生する再生動作を説明するためのフローチャートである。この第2音声情報列Bの連続再生動作では、該再生単位情報列おのおのの先頭アドレス情報を管理するアドレス・テーブル500を参照して、音声再生の対象である再生単位情報列A1の先頭アドレス、すなわち第1音声情報列Aのセグメント621a(以下、第2音声情報列Bの各セグメントを第2セグメントという)の先頭位置を特定する(ステップST5)。そして、該先頭アドレスから順次第1セグメントを読み飛ばし(ステップST6)、区分コード50aが検出された時点で(ステップST7)、第2セグメント621bを読み込みながら(ステップST8)、該第2セグメント621bの音声再生を行う(ステップST10)。第2セグメント621bが終了すると(ステップST9)、再度アドレス・テーブル500を参照して次に音声再生の対象となるべき再生単位情報列B1の先頭アドレス(セグメント622aの先頭位置)を特定し、所定の割り込み要求があるまで上述の再生動作を繰り返していく。
【0072】
なお、上述の再生方法では、第2音声情報列Bの各セグメント(第2セグメント)の音声再生が行われる度に隣接する第1セグメントの読み飛ばしが行われることになる。この第1の実施形態に係る音声情報記録媒体は、上述のように上記各再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのに、上記第2セグメントに続いて、次に音声再生されるべき再生単位情報列を構成している第2セグメントが記録された先頭アドレスを示すアドレス情報が配置された構成であってもよい。このように、音声再生される第2セグメントに続いて次に音声再生されるべき第2セグメントのアドレス情報を含めることで、第2音声情報列の連続再生は、先に音声再生の対象であった再生単位情報列に含まれるアドレス情報で示された先頭アドレスから第2セグメントを再生していく区画再生動作が、該再生中の第2セグメントを含む再生単位情報列中のアドレス情報に基づいて次に音声再生されるべき次の第2セグメントの先頭アドレスを順次特定しながら繰り返されることになる。この構成によれば、音声再生の対象である再生単位情報列に含まれる第1セグメントを読み飛ばす必要がないので(区分コードを検出する必要がない)、再生中音声がとぎれることを極力回避することができる。
【0073】
なお、各再生単位情報列にアドレス情報が含まれるか否かに関わらず、この第1の実施形態に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報を再生する方法において、上記第1音声情報列Aの再生中における該第1音声情報列Aから上記第2音声情報列Bへの切り替え再生は、図12のフローチャートに示されたように行われる。
【0074】
すなわち、再生中の第1音声情報列Aから第2音声情報列Bへの切り替え要求(割り込み要求)が発生すると、まず、該切り替え要求の発生タイミングと上記アドレス・テーブル500に基づいて該切り替え要求の対象となった第1セグメント621aと該第1セグメント621aを含む再生単位情報列A1が特定される(ステップST11)。なお、切り替え対象の特定は、特開平5−224581号公報に開示されたように、次の音声情報が再生されてから時間Δt経過するまでに切り替え指示が発生した場合には前の再生単位情報列に含まれる第1セグメントを切り替え対象と判断し、該時間Δt経過後は現在再生中の第1セグメントを切り替え対象と判断してもよい。また、日本国特許第2983194号に記載されたように、各セグメント中に境界位置識別情報を付加しておき、セグメントの先頭からこの境界位置までのセグメント前半部分で切り替え要求が発生した場合に前の再生単位情報列に含まれる第1セグメントを切り替え対象と判断し、該境界位置以降のセグメント後半部分で切り替え要求が発生した場合には現在再生中の第1セグメントを切り替え対象と判断してもよい。このような対象特定のアルゴリズムは、切り替え対象の特定のみならず、リピート再生指示が発生した場合のリピートすべき対象特定のためのアルゴリズムにも適用できる。
【0075】
そして、アドレス・テーブル500を参照して特定された再生単位情報列A1の先頭アドレスを得(ステップST12)、該特定された再生単位情報列A1の先頭アドレスから該再生単位情報列A1に含まれる区分コード50aまで特定された第1セグメント621aを読み飛ばしていく(ステップST13)。区分コード50aが検出されると(ステップST14)、該特定された再生単位情報列A1に含まれる区分コード50aに続く第2セグメント621bが読み出され(ステップST15)、該第2セグメント621bが終了するか、あるいは次に再生されるべき第2セグメント622bの先頭アドレスを示すアドレス情報60aが検出されるまで順次読み出された第2セグメント621aの音声再生が行われる(ステップST17)。該第2セグメント621bの終了あるいは次に再生されるべき第2セグメント622bの先頭アドレスを示すアドレス情報60aが検出されると(ステップST16)、再度図11(b)のフローチャートに従って第2セグメントの音声再生が繰り返される。
【0076】
逆に、再生中の第2音声情報列Bから第1音声情報列Aへの再生切り替えは、図13のフローチャートに従って行われる。すなわち、第2音声情報列Bの再生中に発生した第1音声情報列Aへの切り替え要求の発生タイミングにより切り替え対象となる再生単位情報列A1が特定される(ステップST18)。なお、この再生単位情報列を特定するアルゴリズムは上述のように、特開平5−224581号公報や日本国特許第2983194号に記載されたアルゴリズムに従って行うことができる。
【0077】
ステップST18において切り替え対象が第1セグメント621aであると特定されると、該特定された再生単位情報列の先頭アドレスを上記アドレス・テーブル500から得(ステップST19)、該特定された再生単位情報列A1の先頭位置から区分コード50aが検出されるまで第1セグメント621aを順次読み込み(ステップST20)、該読み込まれた第1セグメント621aの音声再生が行われる(ステップST22)。区分コード50aが検出されると(ステップST21)、図11(a)のフローチャートに従って、次に再生されるべき再生単位情報列B1に含まれる第1セグメント622aの区画再生動作が繰り返される。
【0078】
(第2の実施形態)
図14(a)は、対応するセグメントをそれら記録位置で示す領域が省略可能な構造を備えた音声情報記録媒体の第2の実施形態の構成を概念的に示す図である。この第2の実施形態では、再生単位情報列A2、B2、C2が、再生順に隣接して当該記録媒体に記録されている点、及び各再生単位情報列A2、B2、C2が、少なくとも、互いに切り替え対象となる第1及び第2音声情報列A、Bの各セグメントを対にして構成されている点は、上述の第1の実施形態と同様である。ただし、この第2の実施形態では、上記第1音声情報列Aの各第1セグメント700a、701a、702aが、元の音声を一定時間ごとに区切った固定長データ(bバイト)であるとともに、該第1セグメント700a、701a、702aと対をなす上記第2音声情報列Bの各第2セグメント700b、701b、702bが、該第1セグメント700a、701a、702aの再生時間が所定倍、例えば2倍程度になるよう編集された固定長データ(2bバイト)であることを特徴としている。したがって、上記各再生単位情報列A2、B2、C2が記録される当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのにおいて、上記第1セグメント700a、701a、702aは、該第1セグメント700a、701a、702aと同じサイズの第1固定長格納エリア(bバイト)に記録されるとともに、該第1セグメント700a、701a、702aと対をなす上記第2セグメント700b、701b、702bは、該第1固定長格納エリアに続く格納エリアであって、該第2セグメント700b、701b、702bと同じサイズの第2固定長格納エリア(2bバイト)に記録されることになる。
【0079】
このような第2の実施形態に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報を再生する方法において、上記第1音声情報列Aの連続再生では、まず、音声再生の対象である再生単位情報列A2が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、上記第1固定長格納エリアに記録された第1セグメント700aを再生する区画再生動作が行われる。以降に続く再生単位情報列B2における第1セグメント701aの再生、再生単位情報列C2における第1セグメント702aの再生は、順次、予め該再生単位情報列A2、B2、C2おのおのが記録された当該音声情報記録媒体上の先頭アドレス情報を管理するアドレス・テーブルに基づいて音声再生の対象となるべき再生単位情報列を順次特定しながら行われわれる(図11(a)のフローチャート参照)。
【0080】
一方、上記第2音声情報列Bの連続再生では、まず、音声再生の対象である再生単位情報列A2が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、上記第2固定長格納エリアに記録された第2セグメント700bを再生する区画再生動作が行われる。この第2セグメント700bの先頭アドレスは、上記アドレス・テーブルから得られる音声再生の対象となるべき再生単位情報列A2の先頭アドレスと上記第1セグメント700aのデータ長(bバイト)とに基づいてその先頭アドレスが算出される。以降に続く再生単位情報列B2における第2セグメント701bの再生、再生単位情報列C2における第2セグメント702bの再生も、同様に、上記アドレス・テーブルに基づいて音声再生の対象となるべき再生単位情報列の先頭アドレスとそれに含まれる第1セグメントのデータ長から各セグメント701b、702bの先頭アドレスを算出しながら行われる。
【0081】
なお、この第2の実施形態では、再生単位情報列A2、B2、C2が記録される記録領域は、全て固定長の格納エリアで構成されているので、現在の読出ヘッドの位置から各エリアの固定長分だけ加算することにより、順次音声再生の対象となるべき再生単位情報列の先頭アドレスを得ることができる。このため、上述のようなアドレス・テーブルを有さない構成であっても音声再生が行える。また、この第2の実施形態に係る音声情報記録媒体においても、第1及び第2音声情報列A、Bの他、日本語による解説音声や文字情報等を記録することは可能であり、その際、第1の実施形態として説明された形態の他、種々の形態が実現可能である。
【0082】
次に、第1音声情報列Aから第2音声情報列Bへの切り替え再生では、まず、上記第1音声情報列Aの再生中に発生した切り替え要求の発生タイミングと上記アドレス・テーブルに基づいて該切り替え要求の対象となった第1セグメント700aと該第1セグメント700aを含む再生単位情報列A2が特定される。この切り替え対象を特定するアルゴリズム及びリピート対象を特定するアルゴリズムは上記第1の実施形態の場合と同様である。続いて、特定された再生単位情報列A2の先頭アドレスを上記第1セグメント700aのデータ長から、該特定された再生単位情報列A2が記録された当該音声情報記録媒体上の記録領域の一部を構成する第2固定長格納エリアの先頭アドレスが算出され、該算出された先頭アドレスから特定された第1セグメント700aと対をなす第2セグメント700bが再生されることにより行われる。ただし、第2音声情報列Bから第1音声情報列Aへの切り替え再生は、上述の第1の実施形態における切り替え再生動作と同様である。
【0083】
(第3の実施形態)
図14(b)は、対応するセグメントをそれらの記録位置で示す領域を省略可能な構造を備えた音声情報記録媒体の第3の実施形態の構造を概略的に示す図である。この第3の実施形態において、上記第1音声情報列A及び第2音声情報列の区画データは、いずれも第1の実施形態と同様に可変長データである。ただし、これら第1及び第2音声情報列A、Bの互いに切り替え対象となるセグメントが対になっている各再生単位情報列A3、B3が記録された当該音声記録媒体上の記録領域において、上記第1音声情報列Aの可変長の第1セグメント800a、801aは、予め確保された第1固定長格納エリア(aバイト)の先頭位置から記録されているとともに、該第1セグメント800a、801aとそれぞれ対をなす上記第2音声情報列Bの可変長の第2セグメント800b、801bは、予め確保された第2固定長格納エリア(bバイト)の先頭位置から記録されている。また、再生単位情報列A3に隣接して記録されている再生単位情報列B3も同様に、第1セグメント801a、該第1セグメント801aと対をなす第2セグメント801bが、それぞれaバイトの第1固定長格納エリア及びbバイトの第2固定長格納エリアに記録されている。
【0084】
なお、この第3の実施形態では、固定長の格納エリアに可変長のセグメントが記録するため、再生単位情報列A3、B3の第1固定長格納エリアおのおのには、記録された上記第1セグメント800a、8001aそれぞれの終了位置に終了コード70a、70bが配置されている。また、再生単位情報列A3、B3の第2固定長格納エリアおのおのには、記録された上記第2セグメント800b、801bそれぞれの終了位置に終了コード80a、80bが配置されている。
【0085】
この第3の実施形態に係る音声情報記録媒体に記録された音声情報の再生方法において、上記第1音声情報列Aの連続再生では、まず、音声再生の対象である再生単位情報列A3が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、上記第1固定長格納エリアの先頭アドレスから該第1固定長格納エリアに配置されている上記終了コード70aのアドレスまでの第1セグメント800aを再生する区画再生動作が行われる。第1固定長格納エリアの先頭アドレス(第1セグメント800aの先頭位置)は、再生単位情報列A3、B3おのおのの先頭アドレス情報を管理するアドレス・テーブルに基づいて特定される。さらに、再生単位情報列B3の第1セグメント801aの再生動作も上述のように行われ、以降順次隣接して記録されている各再生単位情報列の第1セグメントの区画再生動作が繰り返される。
【0086】
一方、上記第2音声情報列Aの連続再生では、音声再生の対象である再生単位情報列A3が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、上記第2固定長格納エリアの先頭アドレスから該第2固定長格納エリアに記録されている終了コード80aのアドレスまでの第2セグメント800bを再生する区画再生動作が行われる。この第2固定長格納エリアの先頭アドレスは、上記アドレス・テーブルから得られる再生単位情報列A3の先頭アドレスと上記第1固定長格納エリアの格納可能な最大データ長(aバイト)とに基づいて算出される。さらに、再生単位情報列B3の第1セグメント801aの再生動作も上述のように行われ、以降順次隣接して記録されている各再生単位情報列の第2セグメントの区画再生動作が繰り返される。
【0087】
なお、この第3の実施形態では、再生単位情報列A3、B3が記録される記録領域は、全て固定長の格納エリアで構成されているので、現在の読出ヘッドの位置から各エリアの固定長分だけ加算することにより、順次音声再生の対象となるべき再生単位情報列の先頭アドレスを得ることができる。このため、上述のようなアドレス・テーブルを有さない構成であっても音声再生が行える。また、この第3の実施形態に係る音声情報記録媒体おいても、第1及び第2音声情報列A、Bの他、日本語による解説音声や文字情報等を記録することは可能であり、その際、第1の実施形態として説明された形態の他、種々の形態が実現可能である。
【0088】
次に、第1音声情報列Aから第2音声情報列Bへの切り替え再生では、まず、上記第1音声情報列Aの再生中に発生した切り替え要求の発生タイミングと上記アドレス・テーブルに基づいて該切り替え要求の対象となった第1セグメント800アと該第1セグメント800aを含む再生単位情報列A3が特定される。この切り替え対象を特定するアルゴリズム及びリピート対象を特定するアルゴリズムは上記第1の実施形態の場合と同様である。続いて、特定された再生単位情報列A3の先頭アドレスと上記第1固定長格納エリアの格納可能な最大データ長から、該特定された再生単位情報列A3記録された当該音声情報記録媒体上の記録領域の一部を構成する第2固定長格納エリアの先頭アドレスを算出し、該算出された先頭アドレスから特定された第1セグメント800aと対をなす第2セグメント800bが再生されることにより行われる。ただし、第2音声情報列Bから第1音声情報列Aへの切り替え再生は、上述の第1の実施形態における切り替え再生動作と同様である。
【0089】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、切り替え対象となる各音声情報列の区画同士が記録領域内に隣接して配置されるので、CDプレーヤーのような再生・駆動機構を有する携帯型再生装置では、読出ヘッドの移動が発生しにくくなり、消費電力を効果的に節約できるという効果がある。また、このような構成により、当該音声情報記録媒体上において少なくとも切り替え対象である区画間の記録位置を対応付ける情報を記録するための領域を節約できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る音声情報記録媒体に記録されるべき音声情報列の典型例を概念的に説明するための図である。
【図2】この発明に係る音声情報記録媒体に記録されるべき第1音声情報列と第2音声情報列とを概念的に説明するための図である。
【図3】この発明に係る音声記録媒体に記録された音声情報を再生するための携帯型再生装置の外観を示す図である。
【図4】図3に示された携帯型再生装置のうち操作部の詳細な外観を示す図である。
【図5】この発明に係る音声記録媒体に記録された音声情報を再生するための携帯型再生装置の構造を示すブロック図である。
【図6】(a)は、第1音声情報列と第2音声情報列の基本的なデータ構造を示す図であり、(b)は、(a)に示された第1及び第2音声情報列のセグメントから構成された再生単位情報列のデータ構造を示す図である。
【図7】図6(b)に示されたデータ構造を有する再生単位情報列の再生動作(音切れが発生する場合)を説明するための概念図である。
【図8】(a)は、第1音声情報列と第2音声情報列の応用例のデータ構造を示す図であり、(b)は、(a)に示された第1及び第2音声情報列のサブセグメントから構成された再生単位情報列のデータ構造を示す図である。
【図9】図8(b)に示されたデータ構造を有する再生単位情報列の再生動作を説明するための概念図である。
【図10】対応するセグメントをそれら記録位置で示す領域を省略可能な構造を備えた音声情報記録媒体の第1の実施形態の構造を概念的に説明するための図である。
【図11】第1の実施形態に係る音声情報記録媒体の再生動作のうち、第1音声情報列の連続再生動作(a)と第2音声情報列の連続再生動作(b)を、それぞれ説明するためのフローチャートである。
【図12】第1の実施形態に係る音声情報記録媒体の再生動作のうち、第1音声情報列から第2音声情報列への切り替え再生動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】第1の実施形態に係る音声情報記録媒体の再生動作のうち、第2音声情報列から第1音声情報列への切り替え再生動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】(a)は、対応するセグメントをそれら記録位置で示す領域を省略可能な構造を備えた音声情報記録媒体の第2の実施形態の構造を概念的に説明するための図であり、(b)は、対応するセグメントをそれら記録位置で示す領域を省略可能な構造を備えた音声情報記録媒体の第3の実施形態の構造を概念的に説明するための図である。
【符号の説明】
50a、50b、50c…区分コード、60a、60b、60c…アドレス情報、621a、622a、623a、a1、b1、c1、d1…第1音声情報列のセグメントデータ、621b、622b、623b、a2、b2、c2、d2…第2音声情報列のセグメントデータ、a1-1〜a1-3、b1-1〜b12、c1-1〜c1-5、d1-1…第1音声情報列のサブセグメントデータ、a2-1〜a2-3、b2-1〜b22、c2-1〜c2-5、d2-1…第2音声情報列のサブセグメントデータ。

Claims (8)

  1. 所定の音声再生手段で再生出力されるべき複数の単語列から構成された1又は2以上の文に対応する少なくとも2種類の第1及び第2音声情報列が記録された音声情報記録媒体であって、
    前記第1及び第2音声情報列のうち一方の音声情報列は、それぞれが音声再生の一単位として所定のタイミングで分割された複数の音声情報の可変長区画から構成された音声情報列であるとともに、前記第1及び第2音声情報列のうち他方の音声情報列は、該一方の音声情報列と等価でかつ遅緩した発音で構成された音声情報列であって、それぞれが該一方の音声情報列の各区画の音声情報と等価な音声情報の可変長区画から構成された音声情報列であり、
    当該音声記録媒体上には、少なくとも、前記第1音声情報列を構成する複数の区画から選択された区画のデータと、該第1音声情報列の区画と対をなし互いに切り替え対象となる前記第2音声情報列に属する区画のデータとから構成される複数の再生単位情報列が、音声再生の順に隣接して配置されており、
    前記再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのにおいて、前記第1音声情報列に属する可変長区画のデータは、予め確保された第1固定長格納エリアの先頭位置から記録されているとともに、該第1音声情報列に属する可変長区画と対をなす前記第2音声情報列に属する可変長区画のデータは、予め確保された第2固定長格納エリアの先頭位置から記録されており、
    前記第1固定長格納エリアには、記録された前記第1音声情報列に属する可変長区画のデータの終了位置に第1終了コードが配置されているとともに、前記第2固定長格納エリアには、記録された前記第2音声情報列に属する可変長区画のデータの終了位置に第2終了コードが配置されていることを特徴とする音声情報記録媒体。
  2. 前記第1音声情報列は、発音の節目で区切られた複数の第1分割単位から構成されるとともに、該第1分割単位のおのおのは、音声再生の一単位である前記第1音声情報列に属する可変長区画に相当する第1音声単位を複数個有し、
    前記第2音声情報列は、前記第1音声情報列を構成する第1分割単位と等価な第2分割単位から構成されるとともに、該第2分割単位のおのおのは、対応する等価な第1分割単位を構成する第1音声単位と同じ数の、前記第2音声情報列に属する可変長区画に相当する第2音声単位から構成されていることを特徴とする請求項1記載の音声情報記録媒体。
  3. 前記再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のおのおのには、前記第2音声情報列に属する可変長区画のデータに続いて、次に音声再生されるべき再生単位情報列を構成している第2音声情報列に属する可変長区画のデータが記録された先頭アドレスを示すアドレス情報が配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の音声情報記録媒体。
  4. 請求項1又は2記載の音声情報記録媒体に記録された音声情報の再生方法であって、
    前記音声情報記録媒体に記録された前記複数の再生単位情報列を順次読み込むとともに、
    前記読み込まれた再生音声情報列に含まれる少なくとも第1及び第2音声情報列のうち予め指示された音声情報列に属する可変長区画のデータを、次に音声再生の対象となる音声情報列を含む再生音声情報列の読み込み動作と並行して再生する音声情報の再生方法。
  5. 請求項3記載の音声情報記録媒体に記録された音声情報の再生法方であって、
    前記第1音声情報列の連続再生では、音声再生の対象である再生単位情報列の先頭アドレスから前記第1終了コードが配置されたアドレスまでの前記第1音声情報列に属する可変長区画のデータを再生する区画再生動作を、該再生単位情報列おのおのの先頭アドレス情報を管理するアドレス・テーブルに基づいて音声再生の対象となるべき再生単位情報列を順次特定しながら繰り返し、
    前記第2音声情報列の連続再生では、先に音声再生の対象であった再生単位情報列に含まれるアドレス情報で示された先頭アドレスから第2音声情報列に属する可変長区画のデータを再生する区画再生動作を、該再生中の第2音声情報列を含む再生単位情報列中のアドレス情報に基づいて次に音声再生されるべき第2音声情報列に属する可変長区画のデータの先頭アドレスを順次特定しながら繰り返す音声情報の再生方法。
  6. 前記第1音声情報列の再生中に発生した該第1音声情報列の再生から前記第2音声情報列の再生への切り替え要求に対し、該切り替え要求の発生タイミングと前記アドレス・テーブルに基づいて該切り替え要求の対象となった第1音声情報列に属する可変長区画と該第1音声情報に属する可変長区画のデータを含む再生単位情報列を特定し、
    前記特定された再生単位情報列の先頭アドレスから該再生単位情報列に含まれる前記第1終了コードまで前記特定された第1音声情報列に属する可変長区画のデータを読み飛ばし、
    前記特定された再生単位情報列に含まれる第1終了コードに続く第2音声情報列に属する区画のデータを再生することを特徴とする請求項5記載の音声情報の再生方法。
  7. 請求項1記載の音声情報記録媒体に記録された音声情報の再生法方であって、
    前記第1音声情報列の連続再生では、音声再生の対象である再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、前記第1固定長格納エリアの先頭アドレスから該第1固定長格納エリアに配置されている前記第1終了コードのアドレスまでの第1音声情報列に属する可変長区画のデータを再生する区画再生動作を、該再生単位情報列のおのおのの先頭アドレス情報を管理するアドレス・テーブルに基づいて音声再生の対象となるべき再生単位情報列を順次特定しながら繰り返し、
    前記第2音声情報列の連続再生では、音声再生の対象である再生単位情報列が記録された当該音声記録媒体上の記録領域のうち、前記第2固定長格納エリアの先頭アドレスから該第2固定長格納エリアに配置されている前記第1終了コードのアドレスまでの第2音声情報列に属する区画のデータを再生する区画再生動作を、前記アドレス・テーブルから得られる音声再生の対象となるべき再生単位情報列の先頭アドレスと前記第1固定長格納エリアの格納可能な最大データ長とに基づいてその先頭アドレスが算出される第2固定長格納エリアを順次特定しながら繰り返す音声情報の再生方法。
  8. 前記第1音声情報列の再生中に発生した該第1音声情報列の再生から前記第2音声情報列の再生への切り替え要求に対し、該切り替え要求の発生タイミングと前記アドレス・テーブルに基づいて該切り替え要求の対象となった第1音声情報列に属する区画と該第1音声情報に属する可変長区画のデータを含む再生単位情報列を特定し、
    前記特定された再生単位情報列の先頭アドレスと前記第1固定長格納エリアの格納可能な最大データ長から、該特定された再生単位情報列が記録された当該音声情報記録媒体上の記録領域の一部を構成する第2固定長格納エリアの先頭アドレスを算出し、
    前記算出された先頭アドレスから前記特定された第1音声情報に属する可変長区画と対をなす第2音声情報列に属する可変長区画のデータを再生することを特徴とする請求項7記載の音声情報の再生方法。
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