JP3635513B2 - ロータリダンパ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回動運動を利用して減衰作用を行うロータリダンパに関し、例えば、自動車のサスペンションや自動二輪車における後輪用のサスペンション或いはその他の機器への使用に適するロータリダンパの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のロータリダンパとしては、例えば、昭和63年6月17日付で出願公開された特開昭63−145833号公報にみられるようなものが知られている。
【0003】
すなわち、このものは、ケーシングの内壁に設けたセパレートブロックとロータの外周に設けたベーンとで両者の間に二組の作動油室を区画し、これらケーシングとロータの相対的な回動運動に伴って上記二組の作動油室を交互に収縮および拡張させる。
【0004】
そして、これら二組の作動油室をハウジングとサイドパネルに亙って設けた連絡流路で相互に連通し、この連絡流路中に両効き用の減衰力発生機構を介装してロータリダンパの作動方向に応じそれぞれに適応した減衰力を発生させるようにしている。
【0005】
しかし、この種のロータリダンパにあっては、温度変化に伴う作動油の膨張および収縮によって生じる体積変化を補償するために連絡流路から分岐して温度補償機構を設けてやるのが一般である。
【0006】
そうとは言っても、単に連絡流路から分岐して温度補償機構を設けてやったのでは、ロータリダンパの通常の作動時において、連絡流路から拡張側の作動油室へと向かって流れる作動油の一部が温度補償機構へと流れ込む。
【0007】
その結果、収縮側の作動油室から拡張側の作動油室へと補給される作動油量がその分だけ不足して当該拡張側の作動油室にバキュームを生じ、次のロータリダンパの反転時における減衰力の立ち上がり特性に悪影響を与える。
【0008】
これを防止するには、連絡流路から分岐して温度補償機構へと通じる流路中に絞りを介装してやればよいが、その反面、このようにすると、ロータリダンパへの作動油の注入作業時に当該絞りが邪魔になって作動油注入作業に長時間を要することになる。
【0009】
そこで、特許出願人は、特願平5−339576号(特開平7−158680号公報)および特願平8−87654号として先にその対策案を提案した。
【0010】
これらの対策案では、減衰力発生機構をそれぞれ減衰バルブと戻りバルブをもつ同径の二つの減衰力発生機構に分けて構成している。
【0011】
そして、特願平5−339576号にあっては、互の減衰バルブを向かい合わせ状態にしてこれら減衰力発生機構を二つの並行したボアーからなる連絡流路中にそれぞれ介装し、かつ、減衰バルブの出口側における連絡流路の部分を相互に温度補償機構の油室を通して連通している。
【0012】
また、特願平8−87654号のものでは、同じく、互いの減衰バルブを向かい合わせにして二つの減衰力発生機構を一連のボアーからなる連絡流路の両端に対向して介装し、これら減衰バルブの間の連絡流路の部分を油路で温度補償機構の油室へと連通している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
これらの対策案によれば、ロータリダンパの作動方向に関係なく何れの場合にあっても、温度補償機構の油室へと通じる連絡流路の部分へと流れてくる作動油は、減衰力発生機構の減衰バルブを押し開いて流れてきた低圧の作動油であるために、温度補償機構の油室の入口側に絞りを設けなくても当該油室へと流れ込むことはない。
【0014】
これにより、拡張側の作動油室に生じるバキュームを防いで次のロータリダンパの反転時における減衰力の立ち上がり特性の低下を防止し得るばかりか、ロータリダンパへの作動油注入作業時における作動油の流れをも容易にして短時間での注油作業を可能にする。
【0015】
しかし、その反面、ロータリダンパとしての減衰特性を正確に確保するするためには、連絡流路に対して減衰特性の異なる二つの減衰力発生機構を正規の位置に正しく組み込んでやらなければならい。
【0016】
そうとは言っても、これら減衰特性の異なる二つの減衰力発生機構は、同径であるがために連絡流路の何れの側にも組み込むことが可能である。
【0017】
そのために、これら減衰特性の異なる二つの減衰力発生機構を反対に組み込んでロータリダンパの作動方向に対する減衰特性が逆になってしまったり、同一減衰特性の減衰力発生機構を組み込んでしまってロータリダンパの一方向への減衰特性が所望の状態にならなかったりする組立ミスの生じる恐れがある。
【0018】
しかも、誤って組み立てられてしまったロータリダンパは、性能測定を行わない限り組立ミスを発見することができず、その結果、減衰特性の異なる二つの減衰力発生機構にそれらを区別するための識別マークを付けておく等の特別の部品管理を必要とし、ロータリダンパの組立に当って非常な手数を要するという問題があった。
【0019】
したがって、この発明の目的は、特別の部品管理を行うことなく簡単な構成で減衰特性の異なる二つの減衰力発生機構の組込みミスを防止することのできる新規の構成を備えたロータリダンパを提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記したこの発明の目的は、ケーシングとロータの回動変位に伴って交互に収縮および拡張を繰り返す二組の作動油室を連絡流路で相互に連通し、この連絡流路の内部に減衰特性の異なる減衰バルブと戻りバルブをもつ二つの減衰力発生機構を、互にそれぞれの減衰バルブを向かい合わせ状態にして配置したロータリダンパにおいて、上記二つの減衰力発生機構を納める連絡流路の部分を大径と小径の異なった内径として形成し、これら大径と小径部分の内径に合わせてそれぞれの部分に納める減衰力発生機構の外径を設定しておくことにより達成される。
【0021】
また、好ましくは、上記二つの減衰力発生機構を納める連絡流路を大径と小径の異なった内径をもつ段付穴として形成し、この段付穴の各内径に合わせてそれぞれの部分に納める減衰力発生機構の外径を設定し、かつ、外径の小さい減衰力発生機構を納める連絡流路の基端側の部分を拡径して油路により一方の組の作動油室に連通してやる。
【0022】
このように構成することによって、小径の連絡流路の部分に対しては外径の大きい減衰力発生機構を組み込むことができず、また、外径の小さい減衰力発生機構を大径の連絡流路の部分に組み込んだ場合には、減衰力発生機構と連絡流路との間にできる隙間によって当該減衰力発生機構がガタ付くことからその時点でそれに気付く。
【0023】
これによって、減衰特性の異なった二つの減衰力発生機構を反対に組み込んでロータリダンパの作動方向に対する減衰特性が逆になってしまったり、同一減衰特性の減衰力発生機構を組み合わせてそれぞれ組み込み、ロータリダンパの一方向への減衰特性が所望の状態にならなかったりするなどの組立ミスを特別の部品管理を行うことなく容易にかつ確実に防止することができる。
【0024】
しかも、小径側の減衰力発生機構を納める連絡流路の基端側の部分を拡径して大径部としてやることにより、この拡径した大径部を利用して減衰力発生機構を納めた連絡流路の一方端をハウジングに設けた油路でサイドパネルを通すことなく所定の側の作動油室に連通することが可能になる。
【0025】
その結果、当該油路の加工が容易になって製作コストの低減を図り得るばかりか、その側のサイドパネルの肉厚をも薄くしてロータリダンパとしての重量の軽減を図ることもできる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0027】
図1と図2(図1におけるV−V線からの断面)において、ロータリダンパのケーシング1を形作るハウジング2は、軸方向に貫通して形成したボアー3を有する。
【0028】
ボアー3の両端は、ハウジング2の両側面にボルト4で取り付けた左右のサイドパネル5,6によりシール7,8を介して閉じられており、これらハウジング2とサイドパネル5,6とでロータリダンパのケーシング1を構成している。
【0029】
ボアー3の中心部には、左右のサイドパネル5,6を貫通してロータ9が挿通してあり、ロータ9の一端は、左方のサイドパネル5から外部へと突出して例えば図示しない車体のばね下側にリンク等を介して取り付けられる取付部9aを形作っている。
【0030】
また、ケーシング1には、もう一方の取付部である取付穴10a,10bが形成してあり、ケーシング1は、これら取付穴10a,10bを通して例えば図示しない車体のばね上側に取り付けられる。
【0031】
上記ロータ9は、サイドパネル5,6に設けたベアリング11a,11bにより回動自在に両持ち支持されており、かつ、オイルシール12a,12bとダストシール13a,13bとで密封してある。
【0032】
ロータ9のボアー3内に位置する部分の外周面には、軸方向に沿い180度の位相をもって二枚のベーン14a,14bがそれぞれ形成してある。
【0033】
これらベーン14a,14bは、先端面と両側面に亙って介装したそれぞれのベーンシール15a,15bを介してボアー3の内壁面とサイドパネル5,6のそれぞれの内壁面とに接し、それらの接触部分を油密状態に保って摺接するようにしてある。
【0034】
上記ロータ9のベーン14a,14bと対向してハウジング2のボアー3の内壁には、同じく、軸方向に沿い180度の位相をもって二個のセパレートブロック16a,16bがそれぞれ形成してある。
【0035】
これらボアー3側のセパレートブロック16a,16bもまた、先端面から両側面へと亙って先に述べたベーン14a,14bのベーンシール15a,15bと同一のシール15a,15bを備えており、これらシール15a,15bを介してロータ9の外周面とサイドパネル5,6の内壁面とに接し、それらの部分を油密状態に保っている。
【0036】
かくして、ケーシング1におけるボアー3の内部をベーン14a,14bとセパレートブロック16a,16bとにより、ケーシング1とロータ9の相対回動運動に伴って交互に収縮および拡張を繰り返す二組の作動油室17a,17bと作動油室18a,18bとに区画している。
【0037】
なお、これら作動油室17a,17bと作動油室18a,18bは、それぞれロータ9に設けた油孔19,20(図2と図3参照)を通して各組毎にそれぞれ連通している。
【0038】
上記作動油室17b,18bの下方には、ハウジング2を横方向に貫通して二本のボアー21,22が水平方向に並べて形成してある。
【0039】
図1におけるY−Y線からの拡大断面である図5から分かるように、これらボアー21,22の左右の開口端は、ハウジング2との間にシール23,24およびシール25,26を挟み込んだ状態でサイドパネル5,6により油密に閉じられている。
【0040】
この場合、ボアー22は、同一の内径をもつストレートの穴として形成してあるのに対し、ボアー21は、大径と小径の異なった内径を有する段付穴として形成してある。
【0041】
左右のサイドパネル5,6からは、これらボアー21の小径部分と大径部分に亙ってそれぞれ減衰特性の異なる二種類の減衰力発生機構27,28が互に対向して向かい合わせに配置してある。
【0042】
これら減衰力発生機構27,28は、図6において示した部分拡大図にみられるように、ハウジング2と左右のサイドパネル5,6とでそれぞれ挟んで保持したガイドロッド29,30を備えている。
【0043】
ガイドロッド29,30には、予め、隔壁体31,32を挟んで先端側に減衰バルブ33,34を、また、基端側には戻りバルブ35,36をそれぞれ重ねて当て、しかも、隔壁体31,32がボアー21の小径部分と大径部分に位置するようにしてこれらをナット37,38で締め上げてガイドロッド29,30に取り付けてある。
【0044】
隔壁体31,32は、それぞれが位置するボアー21の小径部分と大径部分の内径に適合した外径を有し、かつ、外周面に介装したシール39,40によってボアー21の内部を三つの油室41,42,43に区画し、これら三つに区画した油室41,42,43で一連の連絡流路44を形成している。
【0045】
このようにして、減衰バルブ33,34は、それぞれの隔壁体31,32に設けた一方の組のポート45,46の出口部分を油室43の側から塞ぎ、連絡流路44の油室43から油室41,42に向かう作動油の流れを阻止している。
【0046】
同様にして、戻りバルブ35,36もまた、隔壁体31,32に設けたもう一方の組のポート47,48の出口部分を油室41と油室42の側からそれぞれ塞ぎ、これら油室41,42から油室43へと向かって流れる作動油を阻止するようにしている。
【0047】
また、ガイドロッド29,30には、それぞれの隔壁体31,32を迂回して油室41,42を油室43へと連通するバイパス油路49,50がそれぞれ穿設して設けてある。
【0048】
上記バイパス油路49,50の途中には、ガイドロッド29,30との間に送りねじ51,52を介して螺装した絞りバルブ53,54の先端部分が臨み、かつ、これら絞りバルブ53,54の基端は、左右のサイドパネル5,6との間にシール55,56を介装して外部へと露呈している。
【0049】
これにより、絞りバルブ53,54を外部から選択的に回動操作して送りねじ51,52により進退させ、これら絞りバルブ53,54の先端でバイパス油路49,50の通路面積を変えつつ、そこを流れる作動油の流動抵抗を可変制御する減衰力調整機構57,58を構成している。
【0050】
なお、ガイドロッド29,30と絞りバルブ53,54との間に介装したボール機構は、当該絞りバルブ53,54の調整位置を確保しておくためのディテント機構59,60である。
【0051】
図5に戻って、もう一方のボアー22の内部には、外周にシール61を備えたフリーピストン62が摺動自在に挿入してあり、当該フリーピストン62によってボアー22の内部をガス室63と貯油室64に区画している。
【0052】
上記貯油室64は、左方のサイドパネル5に設けた注油ポート65を通して外部に通じると共に、ハウジング2に設けた油路66でボアー21における連絡流路44の中央の油室43に通じ、かつ、注油ポート65をプラグ67によって塞いでいる。
【0053】
また、右方のサイドパネル6には、ガス室63に向かってガス給排バルブ68が設けてあり、これらによって、ボアー22の内部を温度補償機構69として構成している。
【0054】
このようにして、温度補償機構69における貯油室64は、連絡流路44の内部に設けた減衰力発生機構27,28における減衰バルブ33,34の背面側の油室43に通じると共に、プラグ67を取り外すことによって注油ポート65から外部にも通じることになる。
【0055】
一方、油孔19で相互に連通した一方の組の作動油室17a,17bは、図2に示すように、作動油室17bの収縮側のストロークエンドからハウジング2に縦方向に向かって形成した油路70を通してボアー21における連絡流路44の油室41に通じている。
【0056】
なお、この場合において、ボアー21における小径側の基端にある油室41の部分を拡径して大径部71とし、この拡径した大径部71へと向かって図2に示す油路70を連通している。
【0057】
また、油孔20で相互に連通された他方の組の作動油室18a,18bは、図3と図4で示すように、作動油室18aの収縮側のストロークエンドに開口して右方のサイドパネル6に設けた横孔72から、同じく、サイドパネル6に設けた縦孔73を通して図6におけるサイドパネル6の油室74に通じ、ここから減衰力発生機構28のガイドロッド30に設けた油孔75を通して連絡流路44の油室42に通じている。
【0058】
かくして、ケーシング1とロータ9の相対的な回動運動に伴い交互に収縮および拡張される二組の作動油室17a,17bと作動油室18a,18bは、油路70と連絡流路44並びに横孔72と縦孔73により減衰力発生機構27,28と減衰力調整機構57,58を通して相互に連通されることになる。
【0059】
なお、図4において示すピン76は、ハウジング2と右方のサイドパネル6との間に亙って介装される位置合わせ用のダウェルピンであり、特に、図示はしてないが、ハウジング2とサイドパネル5との間にも同様のダウェルピンが設けられていることは言うまでもない。
【0060】
次に、以上のように構成したこの発明による実施の形態であるロータリダンパの作用について説明する。
【0061】
先づ、ロータリダンパの組立に際しては、ハウジング2に設けたボアー3とボアー21,22の内部にロータ9と減衰力発生機構27,28およびフリーピストン62をそれぞれ挿入し、しかる後、ハウジング2の両側にボルト4で左右のサイドパネル5,6を取り付ける。
【0062】
その際に、ボアー21の両側から挿入する減衰力発生機構27,28は、当該ボアー21が大径と小径の異なった内径をもつ段付穴として形成してあり、しかも、これらボアー21の大径と小径部分の内径に合わせてそれぞれの部分に納める減衰力発生機構27,28の隔壁体31,32の外径が設定してある。
【0063】
そのために、ボアー21の小径の部分に対しては外径の大きい隔壁体32をもつ減衰力発生機構28を組み込むことができず、また、ボアー21の大径の部分に外径の小さい隔壁体31をもつ減衰力発生機構27を組み込んだ場合には、ボアー21と隔壁体31との間に隙間ができて減衰力発生機構27がガタ付き、その時点で減衰力発生機構27,28の組み込みミスに気付く。
【0064】
これによって、減衰力発生機構27,28は、それらに対して特別の部品管理を施すことなくボアー21の正しい位置に容易にかつ確実に組み込まれることになる。
【0065】
しかも、減衰力発生機構27を納めるボアー21の小径側の基端部分即ち油室41の部分を拡径して大径部71とし、この拡径した大径部71を利用して減衰力発生機構27の背面側の部分をハウジング2に設けた油路70で抵抗なく一方の作動油室17a,17bに連通することが可能になる。
【0066】
その結果、当該油路70の加工が容易になって製作コストの低減を図り得るばかりか、左方のサイドパネル5の肉厚をも薄くしてロータリダンパとしての重量の軽減をも図ることができる。
【0067】
続いて、組立の終わったロータリダンパの内部に作動油を注入する際には、外部からプラグ67を取り外して注油ポート65を開き、この注油ポート65から注油ノズルを挿し込んで温度補償機構69のフリーピストン62を抑え、当該フリーピストン62を注油ノズルの先端で位置決めしながらロータリダンパ内のエアーを抜く。
【0068】
しかる後に、注油ノズルを通してロータリダンパの内部へと作動油を供給してやると、当該作動油が注油ノズルを通して温度補償機構69の貯油室64へと直に供給されることになる。
【0069】
しかも、この貯油室64から油路66と連絡流路44の油室43を通して減衰力発生機構27,28の戻りバルブ35,36を開きつつ、かつ、連絡流路44の油室41,42と油路70,縦孔73,横孔72を通して油孔19,20により連通された各組の作動油室17a,17b,18a,18bへと流入し、ロータリダンパの各部分に作動油が供給される。
【0070】
かくして、ロータリダンパ内が作動油で満たされたところで注油ポート65から注油ノズルを抜き、当該注油ポート65をプラグ67で閉じてやる。
【0071】
このようにして、注油作業の際には、注油ノズルから供給された作動油が油路66と減衰力発生機構27,29の戻りバルブ35,36を通して殆ど流動抵抗を受けることなくロータリダンパ内の各部分に行き渡り、短時間でしかも確実に注油作業が終了する。
【0072】
一方、ロータリダンパの使用に際して外力によりケーシング1とロータ9との間に相対的な回動運動が生じ、一方の組みの作動油室17a,17bが収縮しつつ他方の組みの作動油室18a,18bが拡張したとする。
【0073】
すると、収縮した組みの作動油室17a,17b内の作動油が油路70を通して連絡流路44の油室41に押し出され、当該油室41から減衰力発生機構27のバイパス油路49を通して油室43へと流れ込む。
【0074】
このとき、バイパス流路49を通る作動油は、減衰力調整機構57の絞りバルブ53により流動抵抗を受けて当該流動抵抗に応じた減衰力を発生し、かつ、油室43から減衰力発生機構28の戻りバルブ36を開いて抵抗なく油室42へと流れる。
【0075】
そして、この油室42から減衰力発生機構28のガイドロッド30に設けた油孔75および油室74並びに右方のサイドパネル6の縦孔73と横孔72を通して拡張する組みの作動油室18a,18bへと流れ込み、当該作動油で作動油室18a,18b内に生じた作動油の不足分を補う。
【0076】
また、上記において、連絡流路44の油室41に押し出されてきた作動油の圧力が減衰力発生機構27における減衰バルブ33のクラッキング圧力を越えたとすると、上記作動油の流れと並行して油室41から減衰力発生機構27の減衰バルブ33をも押し開いて油室43へと向かう作動油の流れが生じる。
【0077】
これにより、今度は、減衰バルブ33で所定の減衰力を発生しつつ油室43でバイパス油路49からの作動油と一緒になり、ここから拡張する組みの作動油室18a,18bへと向かう作動油の流れが生じ、このバイパス流路49からの作動油と減衰バルブ33を押し開いて流れてくる作動油とによって拡張した作動油室18a,18b内の作動油の不足分を補う。
【0078】
その結果、上記した方向へのロータリダンパの作動時における減衰特性は、作動油が減衰力調整機構57の絞りバルブ53と減衰力発生機構27の減衰バルブ33を通して流れるときの流動抵抗によって決まることになる。
【0079】
また、上記とは逆に、一方の組みの作動油室17a,17bが拡張して他方の組みの作動油室18a,18bが収縮する方向にケーシング1とロータ9が相対回動運動を起したとする。
【0080】
この場合には、収縮した組みの作動油室18a,18b内の作動油が、サイドパネル6設けた横孔72から縦孔73および油室74並びに減衰力発生機構28のガイドロッド30に設けた油孔75を通して連絡流路44の油室42に押し出されてくる。
【0081】
上記油室42に押し出されてきた作動油は、減衰力発生機構28のバイパス油路50から油室43へと流れ、このとき、減衰力調整機構58の絞りバルブ54により流動抵抗を受けて当該流動抵抗に応じた減衰力を発生しつつ油室43へと流れる。
【0082】
そして、この油室43から減衰力発生機構27の戻りバルブ35を開いて抵抗なく油室41とハウジング2に設けた油路70を通して拡張する組みの作動油室17a,17bへと流れ込み、当該作動油で作動油室17a,17b内に生じた作動油の不足分を補う。
【0083】
また、上記においても、連絡流路44の油室42に押し出されてきた作動油の圧力が減衰力発生機構28における減衰バルブ34のクラッキング圧力を越えたととすると、油室42から減衰力発生機構28の減衰バルブ34を押し開いて油室43へと向かう作動油の流れが生じる。
【0084】
これにより、当該減衰バルブ34で所定の減衰力を発生しつつ上記バイパス油路50からの作動油と一緒になって拡張する組みの作動油室17a,17bへと流れ、バイパス流路50からの作動油と併せて拡張した作動油室17a,17b内の作動油の不足分を補う。
【0085】
したがって、上記したロータリダンパの作動時における減衰特性もまた、作動油が減衰力調整機構58の絞りバルブ54と減衰力発生機構28における減衰バルブ50を通して流れるときの流動抵抗によって決まることになる。
【0086】
以上により、ロータリダンパの作動方向に応じて減衰力発生機構27,28における減衰バルブ33,34の特性を使い分けることにより、ロータリダンパの作動方向に応じてそれぞれの減衰特性を個々にかつ適宜に設定し得る。
【0087】
しかも、そればかりでなく、これら何れの場合にあっても、外部から減衰力調整機構57,58を操作して絞りバルブ53,54を通る作動油の流動抵抗を調整し、減衰力発生機構27,28の減衰バルブ33,34で設定された減衰特性を調整することで、上記ロータリダンパの作動方向に応じた減衰特性をそれぞれ独立して調整することもできる。
【0088】
しかし、そうとは言っても、上記した作動油の流れにおいて、当該作動油の一部が温度補償機構69の貯油室64へと流れ込むような事態が生じると、拡張する側の作動油室に補給される作動油量が不足してバキュームが生じ、次にロータリダンパが反転したときの初期の減衰力特性を乱すことになる。
【0089】
その点、当該ロータリダンパにあっては、連絡流路44における油室43の部分を流れる作動油は、ロータリダンパの何れの方向への作動時にあっても、減衰力発生機構27,28における減衰バルブ33,34の何れかを通った後の作動油が流れてくる。
【0090】
そのために、油室43における作動油圧力は、常に低圧の状態に保たれることから、油路66で絞りを介装することなく油室43を直に温度補償機構69の貯油室64に連通したとしても、油室43内の作動油が温度補償機構69の貯油室64へと流れ込むことはない。
【0091】
その結果、温度補償機構69の本来の機能を損なうことなくロータリダンパとしての減衰力発生機構27,28による減衰特性と温度特性の両方の安定化とが図れる。
【0092】
また、ロータリダンパへの注油作業の際には、前記したように、油路66を通して殆ど抵抗なくロータリダンパ内の各部分に作動油が入り込み、容易にかつ短時間で作動油の注油作業が行われることにもなる。
【0093】
なお、これまで述べてきたロータリダンパの実施の形態にあっては、段付穴で形成したボアー21の両側から向かい合わせにして減衰力発生機構27,28を納めるようにしたが、ボアー21を異径の二つのボアーに分けてそれぞれの内部に減衰力発生機構27,28を別設して納めるようにしてもよい。
【0094】
すなわち、図7に示す実施の形態のロータリダンパにあっては、温度補償機構69を間に挟んで減衰力調整機構57,58を備えた減衰力発生機構27,28を納めるための小径と大径からなる異径の二つのボアー21a,21bを配設している。
【0095】
これらボアー21a,21bの内部には、それぞれの内径に適合する外径の隔壁体31,32をもった減衰力発生機構27,28を、ハウジング2と右方のサイドパネル6とでガイドロッド29,30を挟んで配置し、各隔壁体31,32でボアー21a,21bの内部を油室41と油室43a、および、油室42と油室43bにそれぞれ区画している。
【0096】
なお、上記において、それぞれの減衰力発生機構27,28に配設する減衰バルブ33,34と戻りバルブ35,36の配置、および、温度補償機構69におけるガス室63と貯油室64の配置は、先の実施の形態の場合とは逆に入れ換えて組み付けてやる。
【0097】
そして、各減衰バルブ33,34の背面側に位置する油室43a,43bをハウジング2に設けた油路66a,66bで温度補償機構69の貯油室64に連通すると共に、油室41,42をハウジング2に設けた各油路(図示省略)で二組の作動油室17b,18bとに連通したのである。
【0098】
かくして、油室41,42,43a,43bと油路66a,66bおよび貯油室64とは、互に協同して作動油室17a,17bと作動油室18a,18bを相互に連通する連絡流路44を形成し、かつ、この連絡流路44中に減衰力発生機構27,28がそれぞれの減衰バルブ33,34の背面側を温度補償機構69の貯油室64に連通した状態で直列に配置されることになる。
【0099】
したがって、このものにあっても、小径のボアー21aに対しては外径の大きい隔壁体32をもつ減衰力発生機構28を組み込むことができず、また、大径のボアー21bに対して外径の小さい隔壁体31をもつ減衰力発生機構27を組み込んだ場合には、ボアー21bと隔壁体31との間に隙間ができて減衰力発生機構27がガタ付くので組み込みミスに気付く。
【0100】
これによって、減衰力発生機構27,28は、先きの実施の形態の場合と同様に特別の部品管理を行うことなく、常にハウジング2のボアー21a,21bに対して確実に正しい位置に組み込まれることになる。
【0101】
また、ロータリダンパの作動に際しては、連絡流路44を通して流れる作動油に対して減衰力発生機構27,28と減衰力調整機構57,58が先の実施の形態の場合と同様に作用し、かつ、温度補償機構69における油室64には、減衰バルブ33,34の何れかを通った後の低圧の作動油が流れてくる。
【0102】
その結果、先の実施の形態と同様に温度補償機構69の本来の機能を損なうことなくロータリダンパとしての減衰特性と温度特性の両方の安定して発揮することができる。
【0103】
しかも、温度補償機構69の貯油室64を含む二つのボアー21a,21bによって連絡流路44を形成することにより、当該連絡流路44の両端部分である油室41,42を広くとれることができ、したがって、これら油室41,42の両方を油路で直に作動油室17b,18bに連通することも可能になる。
【0104】
その結果、連絡流路44の加工が容易になって製作コストの低減を図り得るばかりか、左右のサイドパネル5,6の肉厚をも薄くしてロータリダンパとしての重量の軽減をより一層図ることができる。
【0105】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、減衰特性の異なる二つの減衰力発生機構を納める連絡流路の部分を大径と小径の異なった内径として形成し、これら大径と小径部分の内径に合わせてそれぞれの部分に納める減衰力発生機構の外径を設定したことにより、ロータリダンパの組立に際して特別の部品管理を行うことなく、簡単な構成を用いて減衰特性の異なる二つの減衰力発生機構の組込みミスを防止することのできる。
【0106】
しかも、これら二つの減衰力発生機構の組込みミスを、ロータリダンパへの注油作業の容易化とロータリダンパとしての減衰特性と温度特性の両方の安定化を図りつつ防止することができる。
【0107】
請求項2の発明によれば、上記の効果に加えて、大径と小径の異なった内径をもつ連絡流路を段付穴として形成し、この連絡流路の小径側の基端部分を拡径して広げてやるだけで、ロータリダンパの小型化を図りつつ減衰特性の異なる二つの減衰力発生機構の組込みミスをも防止することのできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるロータリダンパの実施の形態を示す縦断正面図である。
【図2】同上、図1におけるV−V線からの縦断側面図である。
【図3】同じく、図1におけるW−W線からの縦断側面図である。
【図4】図1におけるX−X線からの切断図で、右方のサイドパネルを内壁面側からみた側面図である。
【図5】同じく、図1におけるY−Y線からの拡大横断平面図である。
【図6】図5における減衰力発生機構の部分を取り出して、これをさらに拡大して示す横断平面図である。
【図7】同上、この発明の他の実施の形態を示す図5と同等の部分の拡大横断平面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 ハウジング
5,6 サイドパネル
9 ロータ
17a,17b,18a,18b 作動油室
19,20 油孔
27,28 減衰力発生機構
31,32 隔壁体
33,34 減衰バルブ
35,36 戻りバルブ
44 連絡流路
70 油路
71 大径部
72 横孔
73 縦孔

Claims (2)

  1. ケーシングとロータの回動変位に伴って交互に収縮および拡張を繰り返す二組の作動油室を連絡流路で相互に連通し、この連絡流路の内部に減衰特性の異なる減衰バルブと戻りバルブをもつ二つの減衰力発生機構を、互にそれぞれの減衰バルブを向かい合わせ状態にして配置したロータリダンパにおいて、上記二つの減衰力発生機構を納める連絡流路の部分を大径と小径の異なった内径として形成し、これら大径と小径部分の内径に合わせてそれぞれの部分に納める減衰力発生機構の外径を設定したことを特徴とするロータリダンパ。
  2. ケーシングとロータの回動変位に伴って交互に収縮および拡張を繰り返す二組の作動油室を連絡流路で相互に連通し、この連絡流路の内部に減衰特性の異なる減衰バルブと戻りバルブをもつ二つの減衰力発生機構を、互にそれぞれの減衰バルブを向かい合わせて配置したロータリダンパにおいて、上記二つの減衰力発生機構を納める連絡流路を大径と小径の異なった内径をもつ段付穴として形成し、この段付穴の各内径に合わせてそれぞれの部分に納める減衰力発生機構の外径を設定し、かつ、外径の小さい減衰力発生機構を納める連絡流路の基端側の部分を拡径して油路により一方の組の作動油室に連通したことを特徴とするロータリダンパ。
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