JP3778668B2 - ロータリダンパ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車や産業車両等の各種車両のサスペンション装置は勿論のこと、特に、自動二輪車の後輪サスペンション装置への使用に好適なロータリダンパの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許出願人は、先に平成7年特許出願公開第158680号公報として、温度補償機構が減衰特性に対して悪影響を及ぼすことのない新規の構成を備えたこの種のロータリダンパを提案した。
【0003】
すなわち、このものは、ハウジングとロータシャフトの回動変位に伴って交互に収縮と拡張を繰り返す二組の作動油室を一方のサイドカバーからハウジングへと亙って形成した連絡油路で相互に連通し、かつ、ハウジングの部分における連絡油路の途中に温度補償機構を挟んで減衰バルブと戻りバルブをもつ二つの減衰力発生要素を同じ向きに並べてそれぞれ横方向に並列配置している。
【0004】
そして、このように構成することで、収縮側となった作動油室からそれぞれの側における減衰力発生要素の減衰バルブを押し開いて押し出されてきた作動油の全量を、温度補償機構の貯油室から他方の減衰力発生要素の戻りバルブを通して拡張側の作動油室に流すことにより、当該温度補償機構で温度の変化に伴うロータリダンパ内の作動油の膨張および収縮による増減を吸収しつつ、しかも、圧力変動をも抑えて常に安定した減衰特性を確保するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、そうとは言っても、上記した先の提案に係るロータリダンパにあっては、温度補償機構と当該温度補償機構を挟んで減衰バルブと戻りバルブをもつ二つの減衰力発生要素を同じ向きに並べて横方向に配置していることから、ロータリダンパとしての横方向の寸法即ちロータシャフトと直交する方向の寸法が大きくなり、これが車両へのロータリダンパの装着に際し障害となってしばしば適用し得ないという問題点を有する。
【0006】
また、上記に加えて、減衰力発生要素の減衰バルブを通過したあとの作動油の全量が温度補償機構の貯油室を通して流れるために、減衰力発生要素から貯油室へと向う連絡油路の部分が作動油の流動抵抗とならないように、当該部分の作動油通過面積を大きく設定する必要があり、これによっても、ロータリダンパ全体としての形態が大型化して車両への装着上での障害をますます増大するというを不都合をも有する。
【0007】
さらに、二つの減衰力発生要素を通して二組の作動油室を相互に連通する連絡油路を一方のサイドカバーからハウジングへと亙って形成しているために、当該サイドカバーの加工に多くの手数を要してコストが増大するばかりでなく、サイドカバーの厚さも大きくなってロータリダンパとしての重量の増大と形態の大型化をもたらすことになる。
【0008】
したがって、この発明の目的は、ロータリダンパとしての重量の軽減と加工の容易化とを図りつつ、かつ、小型化をも達成することで車両への装着を容易にすることのできる新規の構成を備えたロータリダンパを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記したこの発明の目的は、ハウジングとロータシャフトの回動変位に伴い交互に収縮と拡張を繰り返す二組の作動油室を連絡油路で相互に連通し、この連絡油路の途中に減衰バルブと戻りバルブをもつ二つの減衰力発生要素をそれぞれの減衰バルブから他方の減衰力発生要素の戻りバルブを通して作動油が流動するように当該連絡油路に沿って設け、かつ、連絡油路と温度補償機構を油圧的に結んだロータリダンパにおいて、ハウジングが、各作動室が形成される第1ボアーと、上記第1ボアーの軸線に沿いそれぞれ減衰力発生要素が内設される二つの第2ボアーと、温度補償機構の貯油室が区画され二つの第2ボアーの各軸線に直交する第3ボアーと、二組の作動油室を相互に連通する連絡油路とを備え、連絡油路が各第2ボアーと、各第2ボアーを連通する油路と、一方の減衰力発生要素が内設される第2ボアーと一方の組の作動室とを連通する油路と、他方の減衰力発生要素が内設される第2ボアーと他方の組の作動室とを連通する油路とで構成されるとともに、各第2ボアーを連通する油路と貯油室とを分岐油路で連通したことによって達成される。
【0010】
すなわち、上記のように、ハウジングが、減衰力発生要素が内設される二つの第2ボアーと、温度補償機構の貯油室が区画され二つの第2ボアーの各軸線に直交する第3ボアーとを備えているので、ハウジングのみに亙って形成した連絡油路の途中に二つの減衰力発生要素が同じ向きに横方向へと並べて配置され、かつ、これら二つの減衰力発生要素に対して温度補償機構をそれらと交差する方向に並べて設置されることになり、ロータリダンパとしての横方向の寸法を小さくして車両へのロータリダンパの装着を容易にすることができる。
【0011】
しかも、加えて、温度補償を必要とする場合の作動油量の増減が時間的にみて比較的ゆっくりと行われることから、二つの減衰力発生要素の間の連絡油路の部位を当該連絡油路に比べて作動油通過面積の小さい分岐油路で温度補償機構へと連通することができ、これによって、より一層のロータリダンパの形態の小型化を達成して車両への装着を容易にすることが可能になる。
【0012】
さらに、ハウジングとロータシャフトの回動変位に伴い交互に収縮と拡張を繰り返す二組の作動油室を相互に連通する連絡油路を、一方のサイドパネルからハウジングへと亙って形成することなくハウジングに亙ってのみ形成したことにより、サイドパネルの加工に多くの手数を要してコストの著しい増大をもたらすことなく、かつ、サイドパネルの厚さを薄く構成してロータリダンパとしての重量を軽減することができる。
【0013】
かくして、ロータリダンパとしての重量の軽減と加工の容易化とを図りつつ小型化をも達成することで、当該ロータリダンパの適用車種を拡げることにより量産化を可能にしてコストの低減を図ることが可能になるのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
添付図面の図1および図2において、この発明の実施の形態であるロータリダンパ1は、軸方向へと向い180度の位相差をもって上下に二つのセパレートブロック2,3を形成した第1ボアー4をもつハウジング5を有する。
【0015】
第1ボアー4の両端開口部は、ハウジング5の両側面に対しシール6,7を介装してボルト8により取り付けた左右のサイドカバー9,10によって閉じられており、これらハウジング5とサイドカバー9,10とでロータリダンパ1のケーシング11を構成している。
【0016】
ハウジング5における第1ボアー4の中心部分には、左右のサイドカバー9,10を貫通してロータシャフト12がベアリング13とオイルシール14およびダストシール15を介し両持ち支持して回動自在に挿通してある。
【0017】
ロータシャフト12は、上記ハウジング5における第1ボアー4内の上下に形成したセパレートブロック2,3の先端面と摺接し、かつ、これらセパレートブロック2,3の間における外周面の部分から180度の位相差をもって外方へと向い放射状に延びる二枚のベーン16,17を備えている。
【0018】
これらベーン16,17は、基端部分を除く両側面から先端面へと亙って設けたベーンシール18,19を介して第1ボアー4と左右のサイドカバー9,10の各内壁面に接し、これら接触部分を油密状態に保って摺接するようにしてある。
【0019】
同様に、ハウジング5におけるセパレートブロック2,3もまた、先端面から両側面へと亙って設けたブロックシール20,21を介してロータシャフト12の外周面と左右のサイドカバー9,10の内壁面とに接し、これら接触部分を油密状態に保っている。
【0020】
かくして、セパレートブロック2,3とベーン16,17は、互に協同して第1ボアー4の内部をハウジング5とロータシャフト12の回動変位に伴い交互に収縮と拡張を繰り返す四つの作動油室22,23,24,25に区画する。
【0021】
そして、これら作動油室22と23および作動油室24と25をロータシャフト12に穿った油孔26,27でそれぞれ相互に連通し、これら油孔26,27を通して作動油室22,23と作動油室24,25をそれぞれ二組に分けて構成している。
【0022】
なお、図2において示してあるピン28,29は、ハウジング5に対して右方のサイドカバー10の位置決めを行うダウエルピンであって、特に図示はしないが、ハウジング5と左方のサイドカバー9との間にも同様のダウエルピンが設けられていることは言うまでもない。
【0023】
一方、ハウジング5には、この発明を構成する上で特に重要な構成部分を形作る減衰力発生機構30が第1ボアー4と並べて上方部分に水平方向へと向けて設置してある。
【0024】
上記減衰力発生機構30は、図2のA−A線からの拡大横断面である図3に示すように、前記した第1ボアー4の軸線に沿い横方向へと並べてハウジング5に併設した二本の第2ボアー31,32と、これら第2ボアー31,32の各軸線に直交するように並べて配置した一本の第3ボアー33とを有する。
【0025】
第2ボアー31,32のそれぞれには、各開口端から内部へと向って減衰特性のみを異にする同一構造の減衰力発生要素34,35を同じ向きにねじ込んで配設してある。
【0026】
各減衰力発生要素34,35は、第2ボアー31,32との間にシール36,37を介して油密にねじ込んだ保持体38,39と、これら保持体38,39の先端から延びる保持杆40,41に嵌挿して固定した隔壁体42,43とを備え、当該隔壁体42,43の外周面に設けたシール44,45で第2ボアー31,32の内部を室46,47と室48,49とに区画している。
【0027】
室46と室48は、図2に破線で示したように、ハウジング5に穿った二つの油路50,51を通して第1ボアー4側におけるそれぞれの作動油室22,24へと通じ、さらに、ここからロータシャフト12に設けた油孔26,27で作動油室23,25にも通じている。
【0028】
また、室46と室47および室48と室49は、図3にみられるように、各減衰力発生要素34,35の隔壁体42,43に設けた減衰ポート52,54と戻りポート53,55の二組のポート群を通して相互に連通し、かつ、室47と室49がハウジング5に設けた油路60で相互に連通している。
【0029】
しかも、ロータリダンパ1の不作動時において、これら減衰ポート52,54の室47,49への開口部は、減衰バルブ56,57によってそれぞれ閉じられており、同様に、戻りポート53,55の室46,48への開口部は、戻りバルブ58,59によってそれぞれ塞がれている。
【0030】
このようにして、油孔26,27で互に連通する二組の作動油室22,23と作動油室24,25を、油路50,51と第2ボアー31,32、および油路60とからなる一連の連絡油路61を通して相互に連通し、この連絡油路61の途中に隔壁体42,43を挟んで減衰バルブ56,57と戻りバルブ58,59をもつ二つの減衰力発生要素34,35をそれぞれ同じ向きに介装したのである。
【0031】
一方、これら二つの減衰力発生要素34,35と交差する方向に並べて配置した第3ボアー33は、ロータリダンパ1の使用環境の温度変化や作動時の発熱等に伴う内部作動油の膨張および収縮による増減を吸収するための温度補償機構62として形成してある。
【0032】
すなわち、第3ボアー33の内部は、外周面にシール63を備えたフリーピストン64により交互に拡縮を繰り返す開放端側の貯油室65と閉塞端側のガス室66とに区画されている。
【0033】
上記貯油室65の開放端側は、外部から第3ボアー33へとシール67を介してねじ込んだプラグ68によって油密に閉じられており、かつ、この貯油室65を分岐油路69で前記した連絡油路61の油路60の部分へと連通している。
【0034】
プラグ68には、ロータリダンパ1内の各部に作動油を注入するための注油口70が施されており、この注油口70は、作動油の注入作業終了後にシール71をもつ密封栓72をねじ込むことによって閉塞される。
【0035】
また、ガス室66の閉塞端側には、当該ガス室66へのガスの供給および排出を行うガス給排用のバルブ73が設置してあり、このガス給排用のバルブ73を通してガス室66の内部ガス圧力を設定し得るようにしたのである。
【0036】
次に、以上のようにして構成したロータリダンパ1の作用について説明することにする。
【0037】
ロータリダンパ1は、ハウジング5に形成した脚部74の取付孔75(図2参照)とロータシャフト12における端部のセレーション76(図1参照)を車両側のばね上とばね下に連結して使用される。
【0038】
ここで今、車両の振動に伴ってロータリダンパ1のハウジング5とロータシャフト12との間にセパレートブロック2,3とベーン16,17を通して作動油室22,23を収縮する方向の相対変位が生じたとする。
【0039】
すると、作動油室23内にある作動油がロータシャフト12の油孔26を通して作動油室22に入り、この作動油室22内の作動油と一緒になって油路50から減衰力発生要素34の室46へと押し出されてくる。
【0040】
この減衰力発生要素34の室46へと押し出されてきた作動油は、その全量が隔壁体42の減衰ポート52から減衰バルブ56を押し開いて所定の減衰力を発生しつつ室47へと流入し、ここから油路60を通して減衰力発生要素35側の室49に流れる。
【0041】
しかも、上記室49に流れてきた作動油は、減衰力発生要素35の隔壁体43における戻りポート55から戻りバルブ59を開いて室48へと流れ、ここから油路51と油孔27とを通してそのとき拡張する側の作動油室24,25へと流入し、これら作動油室24,25に生じる作動油の不足分を補う。
【0042】
それに対して、上記とは逆の方向にロータリダンパ1が動作して、ハウジング5とロータシャフト12が作動油室24,25を収縮する方向に相対変位を起こしたとすると、今度は、作動油室24,25内の作動油が油孔27と油路51を通して減衰力発生要素35側の室48へと押し出されてくる。
【0043】
その結果、上記作動油は、減衰力発生要素35における隔壁体43の減衰ポート54から減衰バルブ57を押し開いて所定の減衰力を発生しつつ室49へと流入し、ここから油路60と減衰力発生要素34側の室47および隔壁体42の戻りポート53を通り、戻りバルブ58を開いて室46へと流入する。
【0044】
そして、この室46から油路50と油孔26を通してそのとき拡張する側の作動油室22,23へと流入し、これら作動油室22,23に生じる作動油の不足分を補う。
【0045】
なお、上記したこれらの場合において、連絡油路61の油路60の部分は、分岐油路69を通して温度補償機構62の貯油室65にも連通しているが、この油路60には、減衰力発生要素34,35の減衰バルブ56,57を押し開いて低圧となった後の作動油が流れてくるので、これら作動油が分岐油路69を通して貯油室65へと流れ込むことはない。
【0046】
一方、ロータリダンパ1の使用環境の温度変化や作動時の発熱等で生じる作動油体積の増減は、ロータリダンパ1の作動時における油路60の部分の圧力変動に比べて時間的に極めてゆっくりと生じることになる。
【0047】
そのために、分岐油路69の作動油通過面積を連絡油路61のそれより小さくとったとしても、当該分岐油路69を通して温度補償機構62のフリーピストン64を進退動作させつつ、殆ど抵抗なく油路60と貯油室65の間で作動油のやり取りが行われてロータリダンパ1の内圧変動を抑制する。
【0048】
このようにして、温度補償を行いつつロータリダンパ1の何れの方向への作動に際しても、所定側の減衰力発生要素34,35の減衰バルブ56,57を個々に押し開きながら、それぞれの場合に応じて安定した所定の減衰力を発生することになる。
【0049】
かくして、ハウジング5が、減衰力発生要素34,35が内設される二つの第2ボアー31,32と、温度補償機構62の貯油室65が区画され二つの第2ボアー31,32の各軸線に直交する第3ボアー33とを備えているので、ハウジング5のみに亙って形成した連絡油路61の途中に二つの減衰力発生要素34,35が同じ向きに横方向へと並べて配置され、かつ、これら二つの減衰力発生要素34,35に対して温度補償機構62をそれらと交差する方向に並べて配置することが可能になることから、ロータリダンパ1としての軸方向の寸法を小さくして車両へのロータリダンパ1の装着を容易にすることができる。
【0050】
しかも、これと併せて、二つの減衰力発生要素34,35の間の油路60を作動油通過面積の小さい分岐油路69で温度補償機構62の貯油室65へと連通することができ、これによって、より一層のロータリダンパ1の形態の小型化を達成して車両への装着を容易にすることが可能になる。
【0051】
さらに、二組の作動油室22,23と作動油室24,25を相互に連通する連絡油路61をハウジング5に亙って形成することができるので、加工に多くの手数を要してコストの増大をもたらすことなく、しかも、サイドカバー9,10の厚さを薄く構成してロータリダンパ1としての重量を軽減することもできる。
【0052】
その結果、ロータリダンパ1としての重量の軽減と加工の容易化とを図りつつ小型化をも達成することで、当該ロータリダンパ1の適用車種を拡げることにより量産化を可能にしてコストの低減をも図ることが可能になるのである。
【0053】
ただし、これまで述べてきたロータリダンパ1にあっては、各回動方向への減衰特性が減衰力発生要素34,35に設けたそれぞれの減衰バルブ56,57の特性によって一義的に決まってしまう。
【0054】
したがって、これらの減衰特性を変える必要のないものについてはそれでもよいが、少なくとも一方或いは両方向への減衰特性の調整を必要とする場合にあっては、それに対応して減衰力発生要素34,35の一方或いは両方に外部調整可能の減衰力調整機構を組み込んでやればよい。
【0055】
図4は、この場合の実施の形態を示すもので、当該実施の形態にあっては、先の実施の形態における減衰力発生要素35に減衰力調整機構を組み込んだ場合を例示してあるが、同様にして、減衰力発生要素34のみに或いは減衰力発生要素34,35の両方に対して同時に組込み得ることは言うまでもない。
【0056】
したがって、以下にあっては、減衰力発生要素35を主としそれに付した符号を用い、減衰力発生要素34の対応する部品については括弧書きの符号を併記して説明していくことにする。
【0057】
すなわち、図1から図3において示した先の実施の形態における減衰力発生要素35(34)の保持体39(38)を必要に応じて中空とし、当該中空部77と室49(47)に亙って保持杆41(40)に油路78を穿ち、かつ、中空部77を油孔79で室48(46)に連通することで減衰バルブ57(56)を迂回するバイパス油路80を形成する。
【0058】
そして、保持体39(38)の内部に絞りバルブ81をもつ調整体82をシール83で油密状態に保ちつつ送りねじ84を介して進退自在に螺装し、この絞りバルブ81を保持杆41(40)の油路78の内方端に臨ませる。
【0059】
このようにして、外部から調整体82を回動操作しつつ送りねじ84を通して油路78に対し絞りバルブ81を進退し、それに伴って、バイパス油路80の通路面積を変える可変オリフィスを構成してやる。
【0060】
さらに、保持体39(38)と調整体82の間には、止め輪85とボール86からなるディテント機構87を介装し、このようにして、外部調整可能の減衰力調整機構88を構成したのである。
【0061】
これにより、室48(46)へと押し出されてきた作動油は、先の実施の形態の場合と同様に、減衰バルブ57(56)を押し開きながらこれと並行してバイパス油路80からも室49(47)へと流れ、当該減衰バルブ57(56)を押し開いて流れる作動油の流動抵抗と、バイパス油路80を流れる作動油の流動抵抗とで安定した所定の減衰力を発生することになる。
【0062】
その結果、減衰力調整機構88の調整体82を外部から回動操作して絞りバルブ81を油路78に対し出し入れし、バイパス油路80の通路面積を変えて作動油の流動抵抗を調整してやることにより減衰力を可変にすることができるのである。
【0063】
また、図5は、減衰力発生要素34,35のさらに他の実施の形態を示すもののであって、上記した図4の実施の形態における減衰力調整機構88に加えて自動的な減衰力補正機構をも組み込んだ場合を示している。
【0064】
すなわち、図1から図3で示した実施の形態にあっては、前記したように、内部作動油の温度変化による膨張および収縮に伴う増減を温度補償機構62で吸収するようにしている。
【0065】
しかし、これとても、上記内部作動油の温度変化に伴って当該作動油の粘度も高低に変化することから、減衰力発生要素34,35で設定した減衰特性に多少なりとも狂いを生じることになる。
【0066】
勿論、この減衰特性の狂いは、図4の実施の形態に示すように、減衰力発生要素35(34)に対して外部調整可能の減衰力調整装置88を組み込んでやることで補正することができるが、この補正は、その都度毎に手動で行わなければならないために非常に操作が面倒でしかも正確に補正することが困難である。
【0067】
そこで、図5の実施の形態(但し、図5では、減衰力発生要素34に減衰力調整機構88を組み込んだ場合を例にとって図示してある)にあっては、図4の実施の形態における減衰力調整機構88の絞りバルブ81と調整体82を切り離して別部材として構成してある。
【0068】
そして、この別部材として構成した絞りバルブ81を調整体82に形成した挿入孔89へとシール90を介して油密にかつ摺動自在に挿入し、当該絞りバルブ81で調整体82側の挿入孔89を密封室91として区画すると共に、この密封室91にオイルを封入して減衰力補正機構92を構成したのである。
【0069】
なお、この図5の実施の形態では、上記した密封室91を調整体82に設けた排油孔93を通して外部へと連通し、この排油孔93を調整体82の上部外周に嵌着したスリーブ94によりシール95,96を介して油密に閉じるように構成してある。
【0070】
これによって、予め、調整体82における挿入孔89の内部をオイルで満たしておき、この状態から排油孔93を通して内部の余分なオイルを外部へと押し出しつつ挿入孔89内へと絞りバルブ81の下部を挿入する。
【0071】
しかる後に、調整体82の上部外周にスリーブ94を嵌着して排油孔93を塞ぐのであるが、このスリーブ94の嵌着によっては、挿入孔89の内部の容積に変化を生じないので、密封室91の内部をオイルで満たしつつ容易に封入することができる。
【0072】
かくして、外部からの調整体82の回動操作に伴うバイパス油路80の流動抵抗の変化による減衰力の調整操作と併せて、温度の変化によっても密封室91に封入したオイルが膨張或いは収縮を行って絞りバルブ81を調整体82に対して出し入れする。
【0073】
その結果、温度変化による内部作動油の粘度の高低の変化に対応して絞りバルブ81がバイパス油路80の通路面積を変え、当該バイパス油路80を通る作動油の流動抵抗を自動的に補正して減衰力発生要素34(35)による減衰特性を自動補正することになるのである。
【0074】
なお、特に図示はしないが、図2の減衰力発生要素34,35として、図4に示す外部調整可能の減衰力調整機構88を備えた減衰力発生要素35と図5に示す減衰力補正機構92をも備えた減衰力発生要素34を組み合わせて用いるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、ハウジングが、減衰力発生要素が内設される二つの第2ボアーと、温度補償機構の貯油室が区画され二つの第2ボアーの各軸線に直交する第3ボアーとを備えているので、ハウジングのみに亙って形成した連絡油路の途中に二つの減衰力発生要素が同じ向きに横方向へと並べて配置され、かつ、これら二つの減衰力発生要素に対して温度補償機構をそれらと交差する方向に並べて設置されることが可能になることから、ロータリダンパとしての横方向の寸法を小さくして車両へのロータリダンパの装着を容易にすることができる。
【0076】
しかも、二つの減衰力発生要素の間の連絡油路の部位を当該連絡油路に比べて作動油通過面積の小さい分岐油路で温度補償機構へと連通することができ、これによっても、ロータリダンパの形態の小型化を達成して車両への装着を容易にすることができる。
【0077】
さらに、ハウジングとロータシャフトの回動変位に伴い交互に収縮と拡張を繰り返す二組の作動油室を相互に連通する連絡油路を、一方のサイドパネルからハウジングへと亙って形成することなくハウジングに亙ってのみ形成したことにより、サイドパネルの加工に多くの手数を要してコストの著しい増大をもたらすことなく、かつ、サイドパネルの厚さを薄く構成してロータリダンパとしての重量を軽減することもできる。
【0078】
かくして、ロータリダンパとしての重量の軽減と加工の容易化とを図りつつ小型化をも達成することで、当該ロータリダンパの適用車種を拡げることにより量産化を可能にしてコストの低減を図ることが可能になる。
【0079】
請求項2の発明によれば、減衰力発生要素に減衰バルブを迂回するバイパス油路を設け、当該バイパス油路に対して外部調整可能の絞りバルブからなる減衰力調整機構を組み込むことにより、上記した効果に加えて、減衰力発生要素による減衰特性を外部から自由に調整することができる。
【0080】
また、請求項3の発明によれば、これらの効果に加えて、減衰力調整機構における絞りバルブを切り離して当該絞りバルブの下面にオイルを封入してやるという簡単な減衰力補正機機構を組み込むことで、温度変化に伴う発生減衰力の高低の変化を上記オイルの膨張および収縮で絞りバルブを進退させつつ自動的に補正することができる。
【0081】
さらに、請求項3の発明によれば、減衰力調整機構が、外部操作可能の調整体と、当該調整体に対して進退自在に挿し込んだ絞りバルブと、絞りバルブの基端と調整体とで区画した密封室と、密封室と調整体の外部とを連通する排油孔と、調整体の外周に嵌着され排油孔を油密に閉じるスリーブとを備えているので、密封室の内部をオイルで満たしつつ容易にオイルを密封室内に封入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明によるロータリダンパの実施の形態を一部切断して示す部分縦断正面図である。
【図2】 同上のロータリダンパから右方のサイドカバーを取り外して当該ロータリダンパを横からみた側面図である。
【図3】 ロータリダンパにおける減衰力発生機構の部分を図2のA−A線に沿い切断して示す拡大横断平面図である。
【図4】 ロータリダンパにおける減衰力発生要素の他の実施の形態を拡大して示す横断平面図である。
【図5】 同じく、ロータリダンパにおける減衰力発生要素のさらに他の実施の形態を示す拡大横断平面図である。
【符号の説明】
1 ロータリダンパ
2,3 セパレートブロック
4 第1ボアー
5 ウジング
9,10 サイドカバー
11 ケーシング
12 ロータシャフト
16,17 ベーン
22,23,24,25 作動油室
30 減衰力発生機構
31,32 第2ボアー
33 第3ボアー
34,35 減衰力発生要素
46,47,48,49 室
50,51,60 油路
56,57 減衰バルブ
58,59 戻りバルブ
61 連絡油路
62 温度補償機構
64 フリーピストン
65 貯油室
66 ガス室
69 分岐油路
80 バイパス油路
81 絞りバルブ
82 調整体
88 減衰力調整機構
91 密封室
92 減衰力補正機構
93 排油孔
94 スリーブ

Claims (3)

  1. ハウジングとロータシャフトの回動変位に伴い交互に収縮と拡張を繰り返す二組の作動油室を連絡油路で相互に連通し、この連絡油路の途中に減衰バルブと戻りバルブをもつ二つの減衰力発生要素をそれぞれの減衰バルブから他方の減衰力発生要素の戻りバルブを通して作動油が流動するように当該連絡油路に沿って設け、かつ、連絡油路と温度補償機構を油圧的に結んだロータリダンパにおいて、ハウジングが、各作動室が形成される第1ボアーと、上記第1ボアーの軸線に沿いそれぞれ減衰力発生要素が内設される二つの第2ボアーと、温度補償機構の貯油室が区画され二つの第2ボアーの各軸線に直交する第3ボアーと、二組の作動油室を相互に連通する連絡油路とを備え、連絡油路が各第2ボアーと、各第2ボアーを連通する油路と、一方の減衰力発生要素が内設される第2ボアーと一方の組の作動室とを連通する油路と、他方の減衰力発生要素が内設される第2ボアーと他方の組の作動室とを連通する油路とで構成されるとともに、各第2ボアーを連通する油路と貯油室とを分岐油路で連通したことを特徴とするロータリダンパ。
  2. 二つの減衰力発生要素の一方または両方に対して減衰バルブを迂回するバイパス油路を設け、当該バイパス油路へと向って外部からの油路面積の調整を可能にする絞りバルブを介装し、これらバイパス油路と絞りバルブとで減衰力調整機構を構成した請求項1のロータリダンパ。
  3. 減衰力調整機構が、外部操作可能の調整体と、当該調整体に対して進退自在に挿し込んだ絞りバルブと、絞りバルブの基端と調整体とで区画した密封室と、密封室と調整体の外部とを連通する排油孔と、調整体の外周に嵌着され排油孔を油密に閉じるスリーブとを備え、密封室の内部にオイルを封入して、温度変化に伴う発生減衰力の高低の変化を上記オイルの膨張および収縮で絞りバルブを進退させつつ自動的に補正する減衰力補正機構を構成した請求項2のロータリダンパ。
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