JP3634676B2 - 圧電発振器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はICチップに圧電素子を直接的に接合した圧電発振器を産業上の技術分野とし、特に圧電素子を水晶片として三次元実装技術を用いた水晶発振器に関する。
【0002】
(発明の背景)水晶発振器は、周波数及び時間源として、通信機器を含む各種の電子機器に多く用いられている。近年では、特に携帯電話に見られるように小型化の進歩が著しく、さらに極限を求めた開発がなされている。例えばこのようなものの一つにICチップに水晶片を直接的に固着したものがある(特開平11−145728号公報)。
【0003】
(従来技術の一例)第4図は従来例を説明する圧電発振器の断面図である。
水晶発振器は表面実装容器(実装容器とする)1と水晶片2とICチップ3とからなる。実装容器1は、凹部を有する容器本体4と金属カバー5からなる。容器本体4は平板6と第1及び第2枠板7(ab)の積層セラミックに金属リング8を鑞接してなる。なお、底面外周には、ICチップ3と接続して側面から延出した実装電極9を有する。
【0004】
水晶片2はATカットの矩形状とし、両主面の励振電極10(ab)から引出電極11(ab)を両端外周部に延出してなる(第5図)。ICチップ3は発振回路(第6図)等を形成する回路素子を集積する。図において、Rは帰還抵抗、C(1、2)は発振用コンデンサ、Qは水晶振動子(水晶片2)、12はC−MOSからなる発振用増幅器及び13は緩衝増幅器である。なお、必要に応じて記憶回路等の温度補償機能素子等が集積される。
【0005】
そして、一主面に水晶振動子(水晶片2)の一対の入力端子(水晶端子とする)14及びその他の電子回路を構成する回路端子16を露出する。回路端子16は、例えば電源、アース、出力や温度補償機能の書込及び検査端子からなる。
【0006】
上記参照公報では、容器本体4の底面にICチップ3を接着剤等(未図示)により固着する。水晶片2はICチップ3の水晶端子14に固着する。すなわち、引出電極11の延出した両端外周部を金属粒(バンプ)15を用いた熱圧着(所謂バンプ接着)により、入力端子14と接合する。そして、ICチップ3の回路端子16を、金線17等のワイヤボンディングにより容器本体4の段部(第2枠板7a)に導出する。これらの回路端子は図示しない回路パターンによって、外表面に延出される。例えば電源、アース、出力等は、先の実装電極9として側面及び底面に延出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
(従来技術の問題点)しかしながら、上記構成の水晶発振器では、水晶端子14と回路端子16との形成されたICチップ3の一主面に水晶片2を接合する。したがって、容器本体4の底面に対して、フェースダウンボンディングによってICチップ3を固着できない問題があった。なお、フェースダウンボンディングは、ICチップ3の回路端子16を有する一主面を、回路基板に形成されたパターン端子に直接的に接合する方法である。
【0008】
このことから、上記例では、ワイヤボンディングにより回路端子16を導出する。しかし、この場合は、金線17の接続作業を容易にするため、第1枠板7aを設けて金線17の導出端とICチップ3との高さを同一平面にする。したがって、金線17の空間を確保するために容器本体4は第2枠板7bを要し、高さ寸法を大きくする問題があった。
【0009】
さらに、ワイヤボンディングするには、回路端子16を水晶片2の外側に設けて露出する必要があり、ICチップ3の面積を水晶片2より大きくする問題もあった。なお、通常では、水晶片2の平面外形の方がICチップ3より格段に大きい。
【0010】
(発明の目的)本発明は、第1に小面積化を、第2に低背化を促進する圧電発振器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(着目点)本発明では、ICチップ3の水晶端子14がその他の回路端子16とは反対の面に形成されていればフェースダウンボンディングが可能であると考え、三次元LSI実装技術に着目した(参照:「BREAK THROUGH(リアライズ社)、1998年11月号(NO.149)、三次元LSI実装技術」)。
【0012】
(解決手段)本発明は水晶片の入力端子及びその他の回路端子を一主面に有するシリコン基板からなるICチップと前記水晶片とを面対向して直接的に接合し、前記回路端子を有する前記ICチップの一主面を容器の底面にバンプによって固着して密閉封入した圧電発振器において、前記ICチップにおける一主面の水晶片の入力端子は前記ICチップの一主面からの深い窪みに低抵抗の多結晶シリコンを埋設して他主面側を研磨して露出し、前記一主面と他主面に露出した多結晶シリコンの表面にはアルミによる配線層が設けられた構成とする。
【0013】
【作用】
本発明は、実施例で説明するように、概ね、圧電素子(水晶片2)をICチップ3の回路端子16とは反対面に接続するので、ICチップ3の回路端子16を水晶片2の外側に配置する必要がない。また、回路端子16を有するICチップの一主面を容器内面に直接的に接合するので、ICチップ3からの導出用の金線等を不要にする。これらのことから、本発明の目的を達成できる。以下、本発明の一実施例を説明する。
【0014】
【実施例】
第1図は本発明の一実施例を説明する水晶発振器の断面図である。なお、前従来例図と同一部分には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。
水晶発振器は、前述同様に、水晶片2及びICチップ3を実装容器1に密閉封入してなる。そして、この実施例では、ICチップ3は一主面に回路端子16を、反対面に水晶端子14(ab)を露出する。
【0015】
具体的には、ICチップ3はシリコン基板にP及びNチャンネルによるFET素子(電界効果トランジスタ)及び抵抗、容量等の各素子を集積化してなる。そして、一主面には酸化膜を形成してアルミ膜により各素子を結線するとともに、電源、出力、アース等の取出し電極となる回路端子16を形成する。そして、発振用増幅器としてのFET素子と接続した水晶端子14を他主面に形成する。
【0016】
すなわち、前述の三次元LSI実装技術により、第2図の拡大断面図に示したように、シリコン基板18の一部に一主面から深い窪みを設けて酸化させ、さらに低抵抗の物質、例えば低抵抗の多結晶シリコン19を埋設する。そして、他主面側を研磨して多結晶シリコン19を露出させる。図中の符号20は酸化膜である。次に、多結晶シリコン19の露出面にアルミ膜を設けて他主面側に水晶端子14を形成する。そして、水晶端子14に金粒15等のバンプを設ける。なお、窪みを設けた一主面側にもアルミ膜による配線層21が形成される。
【0017】
実装容器1は容器本体4とカバー5からなる。この例での容器本体4は、平板6と枠板7からなる2層構造の積層セラミック上に金属リング8を鑞接する。そして、回路パターン(未図示)の形成された底面にフェースダウンボンディングによりICチップ3を固着する。すなわち、回路端子16を有するICチップ3の一主面を底面に対向させ、熱圧着により金粒15を押圧して接合する(バンプ接着)。
【0018】
水晶片2は、この例では励振電極10(ab)から一端部両側に引出電極11(ab)を延出する。そして、水晶片2の一端部両側をICチップ3の他主面に設けた水晶端子14にバンプ接着する。これらの場合、水晶片2とICチップ3とを一体的に接合した後、ICチップ3を容器底面に固着してもよい。そして、シーム溶接により、金属カバーを接合される。
【0019】
(実施例の効果)このような構成であれば、水晶片2はICチップ3の回路端子16とは反対面の水晶端子14に接続する。したがって、一主面の回路端子16は水晶片2に覆われることなく露出するので、必ずしもICチップ3を水晶片2の板面以上に大きくする必要はない。これにより、ICチップ3を水晶片3より大きくすることなく、平面外形を小さくできる。
【0020】
また、この実施例では、フェースダウンボンディングによりICチップ3を容器本体4の底面に直接的に接合する。したがって、ワイヤボンディングとした場合の金線17を空間に設ける必要がないので、高さ寸法を小さくできる。この場合は、特に二層構造とするので最小とする。
【0021】
【他の事項】
上記実施例では、ICチップ3を容器本体4の底面にフェースダウンボンディングにより固着したが、水晶片2を固着してもよい。すなわち、ICチップ3と接合した水晶片2を底面に固着し、ICチップ3の回路端子16をワイヤボンディングにより導出してもよい。
【0022】
この場合でも、ICチップ3の回路端子16は露出したままとなるので、前述同様にICチップ3を水晶片2の外形より小さくでき、本発明はこれを排除するものではない。但し、高さ寸法は従来同様に高くなるので、実施例の方が有利である。
【0023】
また、水晶片2は一端部両側に引出電極11(ab)を延出したが、両端部に延出して同部をICチップ3の水晶端子14に接合してもよい。また、水晶片2はバンプ接着としたが、接合強度が小さい場合には例えば接着剤を補強してもよい。また、水晶端子14と水晶片2とを導電性接着剤や異方性導電接着剤によって接続してもよい。
【0024】
また、実装容器1はシーム溶接としたが、金属リング8を除去して例えば樹脂封止等としてもよい。また、容器本体4は凹状としたが平板として凹状のカバーを被せてもよく、これらは任意に選定できる。そして、圧電素子は水晶以外の例えばニオブ酸リチウム等他の圧電材であってもよい。
【0025】
要するに、本発明では一主面に回路端子を有するICチップの他主面に水晶端子を形成して圧電素子を接続したことが主旨であり、他の構成に相違があったとしてもこのようなものは適宜自在な変更を含めて本発明の技術的範囲に属する。
【0026】
【発明の効果】
本発明は水晶片の入力端子及びその他の回路端子を一主面に有するシリコン基板からなるICチップと前記水晶片とを面対向して直接的に接合し、前記回路端子を有する前記ICチップの一主面を容器の底面にバンプによって固着して密閉封入した圧電発振器において、前記ICチップにおける一主面の水晶片の入力端子は前記ICチップの一主面からの深い窪みに低抵抗の多結晶シリコンを埋設して他主面側を研磨して露出し、前記一主面と他主面に露出した多結晶シリコンの表面にはアルミによる配線層が設けられた構成とするので、小面積化を促進できる。また、回路端子を有するICチップの一主面を容器内面に直接的に固着するので、高さ寸法も小さくできる圧電発振器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明する水晶発振器の断面図である。
【図2】本発明の一実施例を説明する水晶発振器の一部拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施例に適用した水晶片の平面図である。
【図4】従来例を説明する水晶発振器の断面図である。
【図5】従来例を説明する水晶片の平面図である。
【図6】従来例を説明する発振回路の基本回路図である。
【符号の説明】
1 実装容器、2 水晶片、3 ICチップ、4 容器本体、5 金属カバー、
6 平板、7 枠板、8 金属リング、9 実装電極、10 励振電極、11引出電極、12 発振用増幅器、13 緩衝増幅器、14 水晶端子、15 金粒、16 回路端子、17 金線、18 シリコン基板、19 多結晶シリコン、20 酸化膜、21 配線層.

Claims (1)

  1. 水晶片の入力端子及びその他の回路端子を一主面に有するシリコン基板からなるICチップと前記水晶片とを面対向して直接的に接合し、前記回路端子を有するICチップの一主面を容器の底面にバンプによって固着して密閉封した圧電発振器において、
    前記ICチップにおける一主面の水晶片の入力端子は前記ICチップの一主面から深い窪みに低抵抗の多結晶シリコンを埋設するとともに前記ICチップの他主面側を研磨して前記多結晶シリコンを露出することによって前記ICチップの他主面に延出し、
    前記ICチップの一主面と他主面に露出した多結晶シリコンの表面にはアルミによる配線層が設けられて前記ICチップの他主面に前記入力端子を形成し、前記ICチップの他主面に形成された前記入力端子に前記水晶片の引き出し電極の延出した外周部を固着したことを特徴とする圧電発振器。
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