JP3633449B2 - エポキシ樹脂組成物、シートモールディングコンパウンド及び成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤やシートモールディングコンパウンド(SMC)等を製造するのに好適な液状のエポキシ樹脂組成物及びこれを用いたシートモールディングコンパウンド及びこのシートモールディングコンパウンドを用いた成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、化学物質が人体に与える影響や環境問題が大きく取り上げられ、居住空間におけるホルマリンの存在によるシックハウス症候群等について関心が寄せられている。従来、自動車の内装部材や、住宅関連部材などの成形品を製造するのに、ホルマリン系重縮合物を含有してなるフェノール樹脂組成物やメラミン樹脂組成物を用いた接着剤やSMC等が使用されてきたが、環境調和の観点からこれらの樹脂組成物の使用が見直されている。そして、ホルマリン系重縮合物を含有してなる樹脂組成物を使用した部材の低ホルマリン化のために、熱処理によるホルマリン除去や、各種ホルマリンキャッチャー剤の添加などの対策が施されている。しかし、熱処理やホルマリンキャッチャー剤の添加による低ホルマリン化は一定のホルマリン低減効果をもたらすが、不充分であり、さらなる改善が望まれている。
【0003】
そこで、本発明者は先に、ホルマリンが発生しない部材を得る手段として、硬化剤として酸無水物を含有するエポキシ樹脂組成物を用いたシートモールディングコンパウンドを提案している(特開2000−6145公報)。このような酸無水物を含有するエポキシ樹脂組成物を用いたシートモールディングコンパウンドによると、ホルマリンが発生しない部材を得ることが可能となるが、剛性が不充分であり、その改善が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的とする所は、シートモールディングコンパウンドを製造するのに好適な液状のエポキシ樹脂組成物であり、且つホルマリンが発生しない成形品であって、剛性に優れる成形品を得ることができるエポキシ樹脂組成物を提供することである。また、このエポキシ樹脂組成物を用いていて、ホルマリンが発生しない成形品であって、剛性に優れる成形品を得ることができるシートモールディングコンパウンドを提供することである。また、このシートモールディングコンパウンドを用いて製造されるホルマリンが発生しない成形品であって、剛性に優れる成形品を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料を含有していて、これらの合計量に対し液状エポキシ樹脂を少なくとも40重量%、硬化剤である酸無水物及びフェノールノボラックを合計で30〜40重量%含有すると共に、前記酸無水物と前記フェノールノボラックの配合比が重量で8:2〜6:4であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0006】
請求項2に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、液状エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂組成物である。
【0007】
請求項3に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、融点が137〜145℃のイミダゾール系硬化触媒を3〜6重量%含有している請求項1又は請求項2記載のエポキシ樹脂組成物である。
【0008】
請求項4に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、重炭酸塩である発泡剤を2〜6重量%含有している請求項1乃至請求項3の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物である。
【0009】
請求項5に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、顔料を1〜2重量%含有している請求項1乃至請求項4の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物である。
【0010】
請求項6に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量100重量部に対し、さらに無機粉末充填材を5〜35重量部の割合で配合している請求項1乃至請求項5の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物である。
【0011】
請求項7に係る発明のシートモールディングコンパウンドは、請求項1乃至請求項6の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を繊維質の補強材に含浸してなるシートモールディングコンパウンドである。
【0012】
請求項8に係る発明の成形品は、請求項7記載のシートモールディングコンパウンドを成形してなる成形品である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料を含有している。そして、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、液状エポキシ樹脂を少なくとも40重量%、硬化剤である酸無水物及びフェノールノボラックを合計で30〜40重量%含有している。シートモールディングコンパウンドを製造するための樹脂組成物はガラス繊維等の繊維質補強材を含浸するためには液状であることが必要であり、この液状化を実現するために、本発明では液状エポキシ樹脂を少なくとも40重量%含有するようにしている。なお、ここでいう液状とは常温で流動性を有している状態を指している。この液状エポキシ樹脂としては、各種のものを使用することが可能であるが、入手の容易さからビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましく、エポキシ当量としては180〜190のものが好ましい。
【0015】
そして、本発明のエポキシ樹脂組成物で、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、硬化剤である酸無水物及びフェノールノボラックを合計で30〜40重量%含有しているのは、この範囲内であることが、得られる成形品の剛性を優れたものとするのに有効だからである。また、本発明のエポキシ樹脂組成物では、酸無水物とフェノールノボラックの配合比を重量で8:2〜6:4と特定している。フェノールノボラックの配合比が2より少ないと、得られる成形品の剛性が低下し、4を越えると、本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、樹脂混合、塗布、含浸作業等に支障をきたすからである。本発明で使用する酸無水物としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(Me−HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(Me−THPA)等を例示できるが、液状のものであることが、シートモールディングコンパウンドを製造する際の塗布、含浸作業を容易にするので好ましい。本発明で使用するフェノールノボラックは水洗等によってホルマリンを除去処理したものを用いる。フェノールノボラック中の遊離ホルマリンの含有量は、0.5重量%以下であることが望ましい。
【0016】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、融点が137〜145℃のイミダゾール系硬化触媒を3〜6重量%含有していることが得られる成形品の剛性を向上するためには好ましい。なお、6重量%を越えて配合しても剛性を向上する効果は大きくならないため、6重量%を越えて配合する利点はない。
【0017】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、発泡剤を2〜6重量%含有していることが、軽量で且つ剛性の優れた成形品を得るのに好ましい。発泡剤は成形時に分解発泡してガスを発生するものであり、このガスにより成形品に多数の空隙(気泡)を生じて成形品の軽量化を図ることができる。発泡剤としては各種のものを使用することができるが、重炭酸塩(例えばNaHCO)であると、発泡剤が熱分解して発生するガス成分として、無臭で人体に無害な二酸化炭素や水蒸気のみを発生することになるので好ましい。
【0018】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、顔料を1〜2重量%含有させることにより、着色した成形品を得ることができるようになる。顔料としては、各種のものを使用でき、例えばカーボンブラックを例示できる。
【0019】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量100重量部に対し、さらに無機粉末充填材を5〜35重量部の割合で配合して、寸法精度の向上等の性能改善を行うことができる。しかし、無機粉末充填材の配合が35重量部を越えると、混合物の粘度が高くなり、シートモールディングコンパウンドを製造する際の塗布、含浸作業に支障をきたす傾向を生じるため、35重量部以下とすることが好ましい。使用する無機粉末充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、タルク等を例示できる。
【0020】
本発明のシートモールディングコンパウンドは、上記で説明した本発明のエポキシ樹脂組成物を繊維質の補強材に含浸してなるシートモールディングコンパウンドである。エポキシ樹脂組成物と繊維質の補強材の各目付量については、特に限定するものではないが、エポキシ樹脂組成物の目付量とほぼ同じ目付量の繊維質の補強材となるようにして、シートモールディングコンパウンドとすることが、得られる成形品の剛性を向上するためには好ましい。使用する繊維質の補強材としては、素材としてはガラス繊維、植物性繊維、有機樹脂繊維等が挙げられ、これらの素材を、必要な長さにカットした短繊維や、マット状に織りこんだもの等の形態にして使用することができる。本発明のシートモールディングコンパウンドは、例えば、まずポリプロピレンフィルム等のキャリアフィルム上に液状のエポキシ樹脂組成物を所定の目付量(例えば100〜800g/m)となるように塗布する。次いで、キャリアフィルム上のエポキシ樹脂組成物にガラス繊維等の繊維質の補強材を上側から散布し、エポキシ樹脂組成物を繊維質の補強材に含浸させる。この後、必要に応じてシートモールディングコンパウンドを熟成させる。熟成条件は例えば40〜100℃で5〜100時間程度行い、エポキシ樹脂組成物をBステージ化(半硬化状態)にして、その後の成形工程に適する状態にシートモールディングコンパウンドを調整する。
【0021】
このようにして、得られる本発明のシートモールディングコンパウンドを用いて成形加工を行い、本発明の成形品を製造する。例えば、1枚のシートモールディングコンパウンドあるいは複数枚のシートモールディングコンパウンドを重ねて、1対の成形型の間にセットし、150〜230℃で3〜60分間加熱して、エポキシ樹脂組成物を硬化させ、成形品を得る。また、本発明のシートモールディングコンパウンドは、ダンボール等のハニカム構造体を芯材とし、その両面又は片面にシートモールディングコンパウンドを配して製造される成形品にも適用できる。本発明の成形品は、上述の本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて製造されるため、ホルマリンが発生しない成形品であって、剛性に優れる成形品となる。
【0022】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
【0023】
実施例1〜7、比較例1〜5
表1及び表2に示す配合割合で各種の材料を下記の手順で混合してエポキシ樹脂組成物を得、次いでシートモールディングコンパウンドを作製し、さらに成形品を作製した。表1及び表2に示す硬化剤Aは酸無水物:メチルテトラヒドロ無水フタル酸(Me−THPA)であり、硬化剤Bは遊離ホルマリンの含有量が0.5重量%以下のフェノールノボラックであり、硬化触媒の2PHzは融点が140℃のイミダゾール系硬化触媒であり、発泡剤(永和化成製SC855)の主成分はNaHCOである。
(1)液状のエポキシ樹脂組成物の作製
エポキシ樹脂及び硬化剤を100℃で60分間ディスパーにて混合して、混合液を得、この混合液を30℃以下まで冷却し、硬化触媒、発泡剤、顔料、離型剤、無機粉末充填材を添加し、60分間ディスパーにて混合して、液状のエポキシ樹脂組成物を作製した。なお、レゾールを用いた比較例5では、レゾール、発泡剤、顔料、離型剤、無機粉末充填材を60分間ディスパーにて混合して、液状のフェノール樹脂組成物を作製した。
(2)シートモールディングコンパウンドの作製
上記のエポキシ樹脂組成物をキャリアフィルム上に、目付け量500g/mとなるように塗布し、次いで、このエポキシ樹脂組成物に同目付け量の繊維質補強材を散布する。さらに、新たなキャリアフィルムで全面を覆い、熟成処理を行ってシートモールディングコンパウンドを作製した。
(3)成形品の作製
上記のシートモールディングコンパウンドからキャリアフィルムを剥がし、7mm厚みのダンボールハニカム構造体の上面及び下面に積層する。この積層物を、200℃に昇温させた金型で5分間挟持して加熱成形して、エポキシ樹脂組成物が硬化した板状の成形品を得た。
(4)樹脂組成物及び成形品の評価
SMC塗布作業性:樹脂組成物をキャリアフィルム上に塗布した際の広がり性と、その後の繊維質補強材への含浸性を観察して評価する。
【0024】
成形品外観:目視にて、外観、発泡具合、層剥離の有無を評価する。
【0025】
ホルマリン臭気:板状の成形品を20mm角に切断し試験片とし、この試験片を密閉した5Lの容器中で、120℃で30分間加熱処理し、室温まで冷却する。この密閉容器中のガスについてホルマリン検知管を用いてホルマリン臭気(ppm)を測定する。
【0026】
剛性:板状の成形品を50mm×200mmに切断し、スパン距離64mm、試験速度1mm/分の条件にて曲げ強度(MPa)を測定し、剛性とした。
【0027】
以上の結果を表1、表2に示した。
【0028】
【表1】
Figure 0003633449
【0029】
【表2】
Figure 0003633449
【0030】
表1、表2から明らかなように、本発明の実施例では、ホルマリンが発生しない成形品であって、剛性に優れる成形品を得ることができている。
【0031】
【発明の効果】
請求項1〜請求項6に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、シートモールディングコンパウンドを製造するのに好適な液状のエポキシ樹脂組成物であり、このエポキシ樹脂組成物によれば、ホルマリンが発生しない成形品であって、剛性に優れる成形品を得ることができる。
【0032】
請求項7に係る発明のシートモールディングコンパウンドは、請求項1乃至請求項6の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いているので、ホルマリンが発生しない成形品であって、剛性に優れる成形品を得ることができるシートモールディングコンパウンドとなる。
【0033】
請求項8に係る発明の成形品は、請求項7記載のシートモールディングコンパウンドを用いて製造するので、ホルマリンが発生しない成形品であって、剛性に優れる成形品となる。

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料を含有していて、これらの合計量に対し液状エポキシ樹脂を少なくとも40重量%、硬化剤である酸無水物及びフェノールノボラックを合計で30〜40重量%含有すると共に、前記酸無水物と前記フェノールノボラックの配合比が重量で8:2〜6:4であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記液状エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、融点が137〜145℃のイミダゾール系硬化触媒を3〜6重量%含有している請求項1又は請求項2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、重炭酸塩である発泡剤を2〜6重量%含有している請求項1乃至請求項3の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量に対し、顔料を1〜2重量%含有している請求項1乃至請求項4の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、発泡剤及び顔料の合計量100重量部に対し、さらに無機粉末充填材を5〜35重量部の割合で配合している請求項1乃至請求項5の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を繊維質の補強材に含浸してなるシートモールディングコンパウンド。
  8. 請求項7記載のシートモールディングコンパウンドを成形してなる成形品。
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