JP3633048B2 - 回転速度検出装置付転がり軸受ユニット - Google Patents

回転速度検出装置付転がり軸受ユニット Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明に係る回転速度検出装置付転がり軸受ユニットは、自動車の車輪を懸架装置に回転自在に支持すると共に、この車輪の回転速度を検出する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、アンチロックブレーキシステム(ABS)、或はトラクションコントロールシステム(TCS)を制御すべく、この車輪の回転速度を検出する為の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットとして、従来から種々の構造のものが知られている。この様な回転速度検出装置付転がり軸受ユニットに組み込まれる回転速度検出装置は何れも、車輪と共に回転するトーンホイールと、このトーンホイールの回転速度に比例した周波数で変化する出力信号を出すセンサとを備える。例えば発明協会公開技報94−16051には、図6〜7に示す様な回転速度検出装置付転がり軸受ユニットが記載されている。
【0003】
内輪相当部材であるハブ1の外端部(軸方向に関して外とは車両への組み付け状態で車両の幅方向外となる側を言い、各図の左)外周面には、車輪を固定する為のフランジ部2を形成し、中間部外周面には、内輪軌道3aと段部4とを形成している。又、このハブ1の外周面には、その外周面に内輪軌道3bを形成し、上記ハブ1と共に内輪相当部材を構成する内輪5を、その外端面を上記段部4に突き当てた状態で外嵌支持している。尚、上記内輪軌道3aは、ハブ1の外周面に直接形成する代りに、ハブ1とは別体の内輪(図示せず)に形成し、この内輪と上記内輪5とを、ハブ1に外嵌固定する場合もある。
【0004】
又、ハブ1の内端寄り部分(軸方向に関して内とは車両への組み付け状態で車両の幅方向中央となる側を言い、各図の右)には雄ねじ部6を形成している。そして、この雄ねじ部6に螺合し更に緊締したナット7により、上記内輪5をハブ1の外周面の所定部分に固定して、内輪相当部材を構成している。ハブ1の周囲に配置された外輪8の中間部外周面には、この外輪8を懸架装置に固定する為の取付部9を設けている。又、この外輪8の内周面には、それぞれが上記各内輪軌道3a、3bに対向する、外輪軌道10a、10bを形成している。そして、これら各内輪軌道3a、3bと外輪軌道10a、10bとの間に、それぞれ複数ずつの転動体11、11を設けて、上記外輪8の内側でのハブ1の回転を自在としている。尚、図示の例では、転動体11、11として玉を使用しているが、重量の嵩む自動車用の転がり軸受ユニットの場合には、転動体としてテーパころを使用する場合もある。又、上記外輪8の外端部内周面と、ハブ1の外周面との間には、シールリング12を装着して、外輪8の内周面と上記ハブ1の外周面との間に存在し、上記複数の転動体11、11を設けた空間の外端開口部を塞いでいる。
【0005】
上記内輪5の内端部で上記内輪軌道3bから外れた部分には、トーンホイール13の基端部(図6〜7の左端部)を外嵌固定している。このトーンホイール13は、鋼板等の磁性金属板により全体を円環状(短円筒状)に形成されている。このトーンホイール13は、互いに同心に形成された小径部14と大径部15とを、段部16により連続させて成る。この様なトーンホイール13は、上記大径部15を内輪5の端部外周面に外嵌し、上記段部16をこの内輪5の端縁部に当接させた状態で、この内輪5に支持固定している。従って上記小径部14は、上記内輪5と同心に支持される。そして、この小径部14に、回転側除肉部である複数の透孔17を、円周方向に亙り等間隔に形成して、円周方向に亙る磁気特性を交互に且つ等間隔に変化させている。各透孔17は同形状で、軸方向(図6〜7の左右方向)に長い矩形としている。
【0006】
外輪8の内端開口部は、ステンレス鋼板、アルミニウム合金板等の金属板を絞り加工する等により有底円筒状に造られた、カバー18で塞いでいる。このカバー18を構成する円筒部19の内周側に、円環状のセンサ20を包埋した、やはり円環状の合成樹脂21を保持固定している。このセンサ20は、永久磁石22と、鋼板等の磁性材により造られたステータ23と、コイル24とを備えており、これら各部材22、23、24を上記合成樹脂21中に包埋する事で、全体を円環状に構成している。
【0007】
上記センサ20の構成各部材のうちの永久磁石22は、全体を円環状(円輪状)に形成されて、直径方向に亙り着磁されている。そして、この永久磁石22の内周面を、上記トーンホイール13を構成する小径部14の基端部で、上記透孔17を形成していない部分の外周面に、微小隙間25を介して対向させている。又、上記ステータ23は、断面が略J字形で全体を円環状に造られている。そして、このステータ23を構成する外径側円筒部26の端部内周面と上記永久磁石22の外周面とを、近接若しくは当接させている。又、上記ステータ23を構成する内径側円筒部27の内周面を、上記トーンホイール13の一部で、上記複数の透孔17を形成した部分に対向させている。更に、上記内径側円筒部27には、固定側除肉部である複数の切り欠き28を、この内径側円筒部27の円周方向に亙って、前記透孔17と等ピッチ(中心角ピッチ)で形成している。従って、上記内径側円筒部27部分は、櫛歯状に形成されている。
【0008】
更に、上記コイル24は、非磁性材製のボビン29に導線を巻回する事により円環状に形成され、上記ステータ23を構成する外径側円筒部26の内周側部分に配置されている。このコイル24に惹起される起電力は、カバー18の外面に突設したコネクタ30から取り出す。
【0009】
上述の様に構成される回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの使用時、ハブ1と共にトーンホイール13が回転すると、このトーンホイール13と対向するステータ23内の磁束密度が変化し、上記コイル24に惹起される電圧が、上記ハブ1の回転速度に比例した周波数で変化する。ステータ23を流れる磁束の密度変化に対応して上記コイル24に惹起される電圧が変化する原理は、従来から広く知られた回転速度検出用センサの場合と同じである。又、トーンホイール13の回転に応じてステータ23に流れる磁束の密度が変化する理由は、次の通りである。
【0010】
上記トーンホイール13に設けた複数の透孔17と、ステータ23に設けた切り欠き28とは、互いのピッチが等しい為、トーンホイール13の回転に伴って全周に亙り同時に対向する瞬間がある。そして、これら各透孔17と各切り欠き28とが互いに対向した瞬間には、隣り合う透孔17同士の間に存在する磁性体である柱部と、やはり隣り合う切り欠き28同士の間に存在する磁性体である舌片とが、前記微小隙間25を介して互いに対向する。この様にそれぞれが磁性体である柱部と舌片とが互いに対向した状態では、上記トーンホイール13とステータ23との間に、高密度の磁束が流れる。
【0011】
これに対して、上記透孔17と切り欠き28との位相が半分だけずれると、上記トーンホイール13とステータ23との間で流れる磁束の密度が低くなる。即ち、この状態では、トーンホイール13に設けた透孔17が上記舌片に対向すると同時に、ステータ23に設けた切り欠き28が上記柱部に対向する。この様に柱部が切り欠き28に、舌片が透孔17に、それぞれ対向した状態では、上記トーンホイール13とステータ23との間に比較的大きな空隙が、全周に亙って存在する。そして、この状態では、これら両部材13、23の間に流れる磁束の密度が低くなる。この結果、前記コイル24に惹起される電圧が、前記ハブ1の回転速度に比例して変化する。前記センサ20は上述の様に作用する事により、コイル24に惹起される出力電圧を、ハブ1の回転速度に比例した周波数で変化させる。
【0012】
更に、欧州特許公開EP 0 557 931 A1には、図8に示す様に、外輪8の内端開口部を塞ぐカバー18aを合成樹脂製とし、このカバー18aを構成する合成樹脂内にセンサ20aを包埋した構造が記載されている。上記カバー18aの開口端部外周面には、鋼板等、十分な剛性を有する金属板により、断面L字形で全体を円環状に造られたスリーブ31を固定している。このスリーブ31は、上記カバー18aを射出成形する際にキャビティ内にセットしておく事により、上記合成樹脂中にモールドする。
【0013】
上述の様なカバー18aは、上記スリーブ31を外輪8の内端開口部に内嵌する事により、この外輪8に固定される。この様な合成樹脂製のカバー18aを組み込んだ構造の場合には、前述の図6〜7に示した構造に比べて構成部材の点数を少なくできて、回転速度検出装置付転がり軸受ユニットのコスト低減を図れる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図8に示した様な回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの場合にも、依然として次に述べる様な解決すべき点がある。即ち、カバー18a及び外輪8には、雨天走行時等に泥水がかかる他、洗車時には高圧洗車機から勢い良く洗浄水が吹き付けられる。これら泥水や洗浄水(以下「泥水等」とする。)がカバー18a及び外輪8の内側に漏れ込むと、転がり軸受ユニットの耐久性を阻害するだけでなく、回転速度検出ユニットの信頼性にも悪影響を及ぼす可能性がある。
【0015】
例えば、図8に示した従来構造の場合には、次の(1)(2)の様な2通りの経路で、上記カバー18a及び外輪8の内側に泥水等が漏れ込む。
(1) スリーブ31の外周面と外輪8の内端部内周面との嵌合面部分に存在する第一の微小隙間。
(2) スリーブ31の内周面とカバー18aを構成する合成樹脂の外周面との接触部分に存在する第二の微小隙間。
このうちの第一の微小隙間は、上記スリーブ31の外周面に不可避的に存在する微小な凹凸に起因して形成される。即ち、ステンレス鋼板等の金属板により造られるスリーブ31の表面には、数十μm程度の微小な凹凸が存在する事が避けられない。この為、上記スリーブ31を上記外輪8の内端開口部に締まりばめで内嵌固定したとしても、上記第一の微小隙間が形成され、この第一の微小隙間を通じて上記泥水等の漏れ込みが発生する可能性がある。
又、上記第二の微小隙間は、スリーブ31を構成する金属とカバー18aを構成する合成樹脂との熱膨張率の差に起因して形成される。そして、この様な第二の微小隙間を通じても、上記泥水等の漏れ込みが発生する可能性がある。
本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットは、この様な事情に鑑みて、上記第一、第二の両隙間を通じて上記カバー18a及び外輪8内に泥水等が漏れ込むのを、1個のシールリングにより防止すべく発明したものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットは、前述の図8に示した従来の第2例の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットと同様に、内周面に外輪軌道を有し、使用時に回転しない外輪と、上記内周面と対向する外周面に内輪軌道を有し、使用時に回転する内輪相当部材と、上記外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の転動体と、上記内輪相当部材に固定され、円周方向に亙る特性を交互に且つ等間隔に変化させた円環状のトーンホイールと、上記外輪の内端開口部に固定された合成樹脂製のカバーと、このカバーに支持された状態で上記トーンホイールと対向するセンサと、円筒部と鍔部とを備えた断面L字形で、全体を円環状に形成された金属製のスリーブとを備える。そして、このスリーブのうちの鍔部を上記カバーに包埋すると共に、同じく円筒部の外周面をこのカバーの外表面に露出させた状態でこのカバーに支持固定されている。又、このカバーは上記円筒部外周面を上記外輪の端部内周面に嵌合すると共に、外側面の一部でこの円筒部よりも径方向外側に突出している部分を上記外輪の内端面に突き当てる事により、この外輪に対し固定されている。
【0017】
そして、上記スリーブとこの外輪との当接面に存在する、このスリーブの表面に不可避的に存在する微小な凹凸に起因して形成される微小隙間を第一の微小隙間とし、上記スリーブのうちで上記カバーに包埋された部分とこのカバーを構成する合成樹脂との接触部分に存在する、上記スリーブを構成する金属とこのカバーを構成する合成樹脂との熱膨張率の差に起因して形成される微小隙間を第二の微小隙間とし、上記外輪の内端面と上記カバーの外側面との間に存在する、これら両面同士の突き当て面に不可避的に形成される微小隙間を第三の微小隙間とした場合に、互いに直列に配置された第一の微小隙間と第三の微小隙間とが第一の漏れ込み流路を構成し、互いに直列に配置された第二の微小隙間と第三の微小隙間とが第二の漏れ込み流路を構成する。
【0018】
特に、本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットに於いては、上記カバーと外輪との間に1個のシールリングを、上記第一、第二の漏れ込み流路の何れに対しても直列に位置する部分となる、上記第三の微小隙間を流れる流体を遮断する部分に設けている。この様に1個のシールリング(Oリング、円輪状に形成された平パッキング等、リング状のシール材の総称)を、上記第一、第二の漏れ込み流路の何れに対しても直列に位置する部分に設ける為には、例えば上記カバーの端面をスリーブで覆う事なく、この端面に合成樹脂を露出させ、この端面と上記外輪の端面との間にシールリングを設ける。
【0019】
【作用】
上述の様に構成される本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットが、車輪を懸架装置に回転自在に支持したり、或はこの車輪の回転速度を検出する際の作用自体は、前述した従来構造の場合と同様である。特に、本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの場合には、1個のシールリングによりカバー内に泥水等の異物が侵入する事を防止できる為、信頼性の高い構造を安価に実現できる。
【0020】
【実施例】
図1〜2は、請求項1〜3に対応する、本発明の第一実施例を示している。尚、本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの特徴は、回転速度検出装置を構成するセンサ20bを支持するカバー18bと、転がり軸受ユニットを構成する外輪8との嵌合部のシール構造にある。転がり軸受ユニット部分の構造に就いては、前述の図6に示した従来構造の第1例と同様である。この為、転がり軸受ユニット部分に就いては、同等部分に同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0021】
外輪8の内端開口部には合成樹脂製のカバー18bを被着して、この外輪8の内端開口部を塞いでいる。このカバー18bの外側面側には上記センサ20bの内端部を包埋している。円環状に形成された、このセンサ20bの外半部は、上記カバー18bの外側面から外方に突出している。又、上記カバー18bの内側面には、上記センサ20bの検出信号を取り出す為のコネクタ30を、このカバー18bと一体に形成している。この様なカバー18bの外側面で、外周縁よりも少し直径方向内方に寄った部分には、外方に突出した凸部32を、全周に亙って形成している。上記センサ20bの内端部は、この凸部32の直径方向中央部に包埋している。
【0022】
そして、上記凸部32の外周面に沿って、スリーブ31を添設している。このスリーブ31は、ステンレス鋼板等の金属板を、断面L字形で全体を円環状に形成して成り、円筒部33と、この円筒部33の内端縁から直径方向外方に折れ曲がった、外向フランジ状の鍔部34とを有する。このうちの円筒部33は、上記凸部32の外周面に沿って配設され、更にこの凸部32の先端縁(外端縁)から外方に突出している。従って、上記円筒部33の先端部の内外両周面は、上記カバー18bを構成する合成樹脂に覆われていない。一方、上記鍔部34は、上記カバー18bの外周縁部で上記凸部32よりも直径方向外方に存在する部分の厚さ方向中央部に包埋されている。尚、この鍔部34の外周縁は、上記カバー18bの外周縁にまでは達せず、このカバー18bの内部に包埋されている。
【0023】
上述の様なスリーブ31を設けたカバー18bを嵌合固定する、外輪8の内端開口部内周縁には、面取り部35を形成している。上記カバー18bにより外輪8の内端開口部を塞ぐ場合には、上記スリーブ31をこの外輪8の内端部に内嵌し、上記カバー18bの外側面外周寄り部分を当接させる。この状態で、このカバー18bの外側面外周寄り部分と、上記円筒部33の中間部外周面と、上記面取り部35とにより三方を囲まれる、断面形状が三角形で全体が円環状の空間36が形成される。本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの場合には、この空間36内にシールリングの一種であるOリング37を、弾性的に圧縮した状態で装着している。
【0024】
上述の様な位置に設けられる空間36内にOリング37を、弾性的に圧縮した状態で設ける為、カバー18b及び外輪8内に泥水等が漏れ込む事を確実に防止できる。即ち、上記カバー18b及び外輪8の周囲に存在する泥水等は、上記外輪8の内端面と上記カバー18bの外側面外周寄り部分との間に存在する第三の微小隙間を通じて、図3に実線矢印イで示す様に、上記空間36の外周寄り部分に入り込む。但し、この様にして空間36の外周寄り部分に入り込んだ泥水等は上記Oリング37にせき止められて、この空間36の内周寄り部分にまでは入り込まない。一方、上記スリーブ31の外周面と上記外輪8の内端部内周面との嵌合面に存在する第一の微小隙間の一端、並びに上記スリーブ31と上記カバー18bを構成する合成樹脂との接触部分に存在する第二の微小隙間の一端は、何れも上記空間36の内周寄り部分に通じている。従って、上記第三の微小隙間から空間36の外周寄り部分に入り込んだ泥水等が、上記第一、第二の微小隙間にまで入り込む事はない。
【0025】
言い換えれば、上記Oリング37は、上記第一の微小隙間と第三の微小隙間とが構成する第一の漏れ込み流路に対しても、第二の微小隙間と第三の微小隙間とが構成する第二の漏れ込み流路に対しても直列に位置する部分に設けられているので、1個のOリング37により外輪8及びカバー18b内に泥水等が侵入する事を防止できる。即ち、上記泥水等が、上記第一、第二の漏れ込み流路を図3の破線矢印ロ、ハの様に流れる事がなくなる。
【0026】
尚、図示の実施例の場合には、センサ20bとトーンホイール13aとの対向面同士の相対速度を大きくすると共に、これら両部材20b、13a同士の間の磁気抵抗を2個所で同時に変化させる事により、このセンサ20bの出力変化を大きくしている。このセンサ20bは、軸方向(図1〜2の左右方向)に着磁した円環状の永久磁石22aを含んで構成される。この永久磁石22aの軸方向外端面(図1〜2の左端面)には第一のステータ38の基端部を当接させ、この第一のステータ38の先端部外周面を、上記トーンホイール13aを構成する大径部15aの中間部内周面に、微小隙間を介して対向させている。又、上記永久磁石22aの軸方向内端面(図1〜2の右端面)に、第二のステータ39の基端部を当接させ、この第二のステータ39の先端部外周面を上記大径部15aの軸方向内端部内周面に、やはり微小隙間を介して対向させている。
【0027】
上記大径部15aの内半部には切り欠き40、40を形成する事により、上記第一のステータ38及び第二のステータ39の先端部にはそれぞれ切り欠き28、28を形成する事により、それぞれの部分を櫛歯状に形成している。勿論、これら各切り欠き40、28のピッチは互いに等しい。又、第一、第二のステータ38、39に形成した切り欠き28、28の位相は互いに等しい。この為に、上記第一、第二のステータ38、39に形成した通孔41、41と、次述するコイル24aを構成する導線を巻回する為のボビン29aに形成した凸部42、42とを係合させている。上記永久磁石22aと第一のステータ38と第二のステータ39とにより囲まれる部分にはコイル24aを設けている。そして、これら各部材22a、38、39を流れる磁束の密度変化により、上記トーンホイール13aの回転速度に比例した周波数で変化する電圧を惹起させる様にしている。
【0028】
上述の様に構成される為、上記トーンホイール13aの回転に伴って磁束の流れに対する抵抗が、第一のステータ38の先端部と大径部15aとの対向部分だけでなく、第二のステータ39の先端部と大径部15aとの対向部分でも同時に変化する。従って、上記トーンホイール13aの回転に伴う磁束密度の変化が大きくなり、センサ20bの出力を大きくできる。更に、図示の実施例では、センサ20bをトーンホイール13aを構成する大径部15aの内径側に配置し、この大径部15aの内周面とセンサ20bの外周面とを対向させている為、これら両周面同士の相対速度が、前述した従来構造の場合に比べて速くなる。この様に、上記両周面同士の相対速度が速くなる事によっても、上記センサ20bの出力が大きくなる。尚、この様な回転速度検出装置部分の構造に就いては、本発明の要旨ではない。本発明を実施する場合に、回転速度検出装置の構造自体は、図6〜8に示した従来構造を含み、種々の構造を採用できる。
【0029】
次に、図4〜5は、請求項1、3に対応する、本発明の第二実施例を示している。本実施例の場合には、スリーブ31の鍔部34を、カバー18bの外側面外周寄り部分に、この外側面と面一になる様に埋設している。又、上記カバー18bの外側面外周寄り部分で、上記鍔部34よりも更に外周縁に寄った部分には係止凹溝43を、全周に亙って形成している。そして、この係止凹溝43に係止したOリング37を、外輪8の内端面に弾接させている。本実施例の場合も、図5に実線矢印イで示す様に第三の微小隙間内に入り込んだ泥水等をOリング37がせき止める。従って、この泥水等が図5に破線矢印ロ、ハで示す様に、第一、第二の微小隙間部分を通じて流れる事を防止できる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、少ない部品点数で安価に構成でき、しかも優れた耐久性及び信頼性を有する回転速度検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示す断面図。
【図2】図1の右部拡大図。
【図3】図2のA部拡大図。
【図4】本発明の第二実施例を示す、図2と同様の図。
【図5】図4のB部拡大図。
【図6】従来構造の第1例を示す断面図。
【図7】図6の右部拡大図。
【図8】従来構造の第2例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 ハブ
2 フランジ部
3a、3b 内輪軌道
4 段部
5 内輪
6 雄ねじ部
7 ナット
8 外輪
9 取付部
10a、10b 外輪軌道
11 転動体
12 シールリング
13、13a トーンホイール
14 小径部
15、15a 大径部
16 段部
17 透孔
18、18a、18b カバー
19 円筒部
20、20a、20b センサ
21 合成樹脂
22、22a 永久磁石
23 ステータ
24、24a コイル
25 微小隙間
26 外径側円筒部
27 内径側円筒部
28 切り欠き
29、29a ボビン
30 コネクタ
31 スリーブ
32 凸部
33 円筒部
34 鍔部
35 面取り部
36 空間
37 Oリング
38 第一のステータ
39 第二のステータ
40 切り欠き
41 通孔
42 凸部
43 係止凹溝

Claims (5)

  1. 内周面に外輪軌道を有し、使用時に回転しない外輪と、上記内周面と対向する外周面に内輪軌道を有し、使用時に回転する内輪相当部材と、上記外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の転動体と、上記内輪相当部材に固定され、円周方向に亙る特性を交互に且つ等間隔に変化させた円環状のトーンホイールと、上記外輪の内端開口部に固定された合成樹脂製のカバーと、このカバーに支持された状態で上記トーンホイールと対向するセンサと、円筒部と鍔部とを備えた断面L字形で、全体を円環状に形成された金属製のスリーブとを備え、このスリーブのうちの鍔部を上記カバーに包埋すると共に、同じく円筒部の外周面をこのカバーの外表面に露出させた状態でこのカバーに支持固定されており、このカバーは上記円筒部外周面を上記外輪の端部内周面に嵌合すると共に、外側面の一部でこの円筒部よりも径方向外側に突出している部分を上記外輪の内端面に突き当てる事により、この外輪に対し固定されており、上記スリーブとこの外輪との当接面に存在する、このスリーブの表面に不可避的に存在する微小な凹凸に起因して形成される微小隙間を第一の微小隙間とし、上記スリーブのうちで上記カバーに包埋された部分とこのカバーを構成する合成樹脂との接触部分に存在する、上記スリーブを構成する金属とこのカバーを構成する合成樹脂との熱膨張率の差に起因して形成される微小隙間を第二の微小隙間とし、上記外輪の内端面と上記カバーの外側面との間に存在する、これら両面同士の突き当て面に不可避的に形成される微小隙間を第三の微小隙間とした場合に、互いに直列に配置された第一の微小隙間と第三の微小隙間とが第一の漏れ込み流路を構成し、互いに直列に配置された第二の微小隙間と第三の微小隙間とが第二の漏れ込み流路を構成する回転速度検出装置付転がり軸受ユニットに於いて、上記カバーと外輪との間で、且つ上記第一、第二の漏れ込み流路の何れに対しても直列に位置する部分となる、上記第三の微小隙間を流れる流体を遮断する部分に、1個のシールリングを設けた事を特徴とする回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
  2. スリーブが外輪の内端部に内嵌されており、シールリングがこのスリーブの外周面に当接している、請求項1に記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
  3. スリーブが外輪の内端部に内嵌されており、このスリーブの先端部の内外両周面は、カバーを構成する合成樹脂に覆われていない、請求項1〜2の何れかに記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
  4. スリーブが金属板製で、円筒部の内端部に径方向外方に折れ曲がった外向フランジ状の鍔部が設けられている、請求項2〜3の何れかに記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
  5. 鍔部が、カバーの外周縁部の厚さ方向中央部に包埋されている、請求項4に記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
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