JP3632893B2 - 隔壁形成材料及び隔壁形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細なパターンを形成するマイクロリソグラフィーを用いてプラズマディスプレー(PDP)や大画面のプラズマ液晶テレビ(PALC)用の隔壁を形成するための材料及びその材料を用いた隔壁形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディスプレイや回路材料の分野で、無機材料を高精度にパターン加工する技術が強く求められている。特に、ディスプレイの分野において、小型高精細化が進んでおり、それに伴って、パターン加工技術も技術向上が望まれている。例えば、プラズマディスプレイパネルの各画素の仕切りである壁隔の形成には、ガラスなどの無機材料を高精度かつ高アスペクト比でパターン加工できる材料が用いられている。
【0003】
その材料を用いて隔壁などのパターンを形成する方法として、特開平1−296534号公報、特開平2−165538号公報、特開平5−342992号公報では、感光性組成物を用いてミクロフォトリソグラフィ技術に形成する方法が提案されている。また、特開平2−165538号公報では、感光性ペーストを転写紙または転写フィルム上にコーティングした後、その転写用材料から隔壁パターンをガラス基板上に転写して隔壁を形成する方法が、また、特開平3−57138号公報では、フォトレジスト層の溝に誘電体ペーストを充填して隔壁を形成する方法がそれぞれ提案されている。さらに特開平4−109536号公報では、感光性有機フィルムを用いて隔壁を形成する方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、感光性ペーストの感度や解像度が低いため高アスペクト比の高精細の隔壁を得ることに困難を伴う。例えば80μmを越えるような厚みのものをパターン加工する場合、現像が深部まで効果的に行われず、非パターン部分(除去すべき部分)が十分に除去されない上、非パターン部の樹脂等の溶解性成分が除去されても非溶解性の無機粒子が隔壁で仕切られた内部に残渣として残存しまうという欠点があり、感光性組成物の改善が望まれていた。
【0005】
また、更に高精細度で高アスペクト比を有する隔壁を得ようとすると、現像におけるパターン部の高さとその物理的強度の両立性を確保することが困難となり、更に現像における非パターン部の溶解性が低下し、かつ無機粒子の残留性も高くなるという問題がある。
【0006】
即ち、無機粒子の体積率を高めることが隔壁の精度や物理的強度の向上と経済的に隔壁を形成する上で必要であるが、一方、その体積率を高めることは、現像工程においての上記欠点が一層顕著に現れる。この欠点は、プラズマディスプレイにおいて、隔壁とともに必要な絶縁体層や誘電体層のパターン加工においても同様に解決を求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、パターン状に露光される感光性組成物層が隣接して設けられる無機粒子を含有する隔壁形成組成物を可撓性支持体上に担持する隔壁形成材料及びそれを用いた隔壁形成方法に関し、とりわけ現像された感光性組成物層に対応する該隔壁形成組成物の現像処理に際して、高さと精度が十分なパターンが崩れることなく、パターン部分は十分に現像され、非パターン部分は実質的に完全に除去されて残留不溶解物も除かれる効果的な、プラズマディスプレー用に好適な隔壁形成材料及び隔壁形成方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題に対して、本発明者は、感光性組成物層が隣接されるガラス粉末などの無機粒子を高い容積比率で含むことが可能な隔壁形成組成物の組成を検討すると共に該感光性組成物層に対応した隔壁形成組成物に好適な現像法につき鋭意検討を行って、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の構成による。
【0009】
1.可撓性支持体上に、少なくとも水溶性基含有セルロース、無機粒子として平均粒子径50nm以下のコロイダルシリカを含有し、20〜200μmの厚みで塗布してなる隔壁形成組成物を有することを特徴とする隔壁形成材料。
2.無機粒子として、低融点ガラス粉末、アルミナ粉末、酸化チタンの少なくとも1つを含有することを特徴とする上記1に記載の隔壁形成材料。
【0010】
3.低融点ガラス粉末とコロイダルシリカの割合が、重量比で100/1〜10/1であることを特徴とする上記2に記載の隔壁形成材料。
4.上記1〜3のいずれか1つに記載の隔壁形成材料を用いて隔壁形成組成物をガラス基板上に転写した隔壁形成組成物層の上に感光性組成物層を設けた後、露光し、その後、高圧噴射装置から50〜350kgf/cm 2 の印加圧力で現像液を噴射して現像することを特徴とする隔壁形成方法。
【0011】
5.現像液が水であることを特徴とする上記4に記載の隔壁形成方法。
【0012】
本発明の隔壁形成材料は、隔壁形成組成物を可撓性支持体上に20〜200μm、好ましくは30〜180μmの厚みで塗布してなる。この厚みは、乾燥後の厚みを示す。
隔壁形成組成物の成分であるセルロース化合物は、組成物中の構成成分との親和性がよく、無機成分の分散性に優れている。
【0013】
本発明の隔壁形成組成物は、水で現像できるので高圧噴射装置による現像に適している。また、比較的低温度で焼成される有機材料を使用しているので、焼成温度も低くすることが可能で400〜600℃で焼成できるという効果も有する。
又、本発明では、コロイダルシリカにより隔壁形成組成物の疎水性を制御し、水による高圧噴射現像時の隔壁の形状をコントロールするのに効果的である他、隔壁形成組成物が設けられるガラス基板や誘電体層との密着強化にも有効である。さらに焼成後の隔壁の密度を高め、空隙率を低下させ物理強度の向上にも効果的である。
【0014】
本発明の隔壁形成材料は、プラズマディスプレー用の隔壁その他の分隔構造の作成に使用できる。これらは、隔壁形成材料の酸化チタンやアルミナ量を減少させたり、除去したりすることにより焼成後、透明性の程度を変えた材料を自由に作ることができる。
従来、とくにパターンの高さが高いと、非パターン部が溶解しても残留する無機粒子の除去が困難になり、これらの解決を要する課題は、現像液の化学的活性強化、現像の際の攪拌の強化などの通常考えられる手段では、満足な改善効果が得られなかった。
【0015】
しかしながら、本発明の隔壁形成方法のように、上記隔壁形成組成物をガラス基板上に転写した隔壁形成組成物層の上に感光性組成物層を設けた後、露光し、その後、高圧噴射装置から50〜350kgf/cm 2 の印加圧力で現像液を噴射して現像すると現像作用が深部にも及び、例えば、感光性組成物層がネガ型の場合、非感光部分つまり非パターン部分は効果的に溶解し、液中に流れだすとともに、不溶解性の無機粒子も除去できる。また、パターン部分からの溶解効果が弱められて感光部と非感光部との識別性が向上するので、パターン露光量の許容幅がひろがり、隔壁部分を確実に残すこともできることがわかった。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態についてまず隔壁形成材料について説明する。
(可撓性支持体)
可撓性支持体は、隔壁形成組成物を塗布により担持させるものである。この塗設された隔壁形成組成物からなる層は、経時的に保存され、使用時にガラス基板等に転写される。
【0017】
このような可撓性支持体としては、上記機能が発揮されるのであれば、その素材、形態等は特に制限されるものではない。
可撓性支持体の素材としては、通常、樹脂フィルムが使用され、例えば、ポリエステル系(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン系(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド系(例えば、ナイロン、アラミド等)、ポリイミド系、ポリスルホン系、セルロース系等が挙げられ、使用目的に応じてその種類、物性(例えば、ヤング率、熱膨張率、表面粗さ等)、厚み等が適宜選定される。
【0018】
また、可撓性支持体には、樹脂成分以外に他の素材、例えば、無機粉末、離型剤等を含有させることができる。
また、可撓性支持体の隔壁形成組成物が設けられる側の面を物理的及び/又は化学的に処理してもよい。例えば、トップコート処理(例えば、ワックスコート、シリコーンコート等の樹脂コート等)、金属蒸着処理、スパッタ処理、メッキ処理、除塵埃処理、アルカリ処理、熱処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(隔壁形成組成物)
隔壁形成材料の可撓性支持体に塗布される隔壁形成組成物は、少なくとも無機粒子及びセルロース化合物を成分とする。隔壁形成組成物は、上記成分以外に所望のバインダー成分、公知の各種添加剤、例えば、可塑剤、保存剤等を含むことができる。バインダー成分としては、後述する感光性組成物を構成するために使用される感光剤等の諸成分を使用することもできる。
【0019】
ただし、隔壁形成組成物は、無機粒子の配合率を高めた組成であり、その利点を有効に発揮させるためには有機成分はできるだけ少ない方が望ましい。また、隔壁形成組成物は、感光性でも非感光性でもよいが、上記主旨から基本的には非感光性であることが好ましい。
(無機粒子)
無機粒子としては、ガラス、アルミナ、酸化チタン、コロイダルシリカ等の金属酸化物、金属等を挙げることができるが、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物またはアルミニウム酸化物を必須成分とするガラスやセラミックスが望ましい。これらは、絶縁体であり、プラズマディスプレーやプラズマアドレス液晶ディスプレーの隔壁の形成に好ましく用いられる。特にコロイダルシリカを含有させることが好ましい。
【0020】
無機粒子の粒子径は、作成しようとするパターンの形状を考慮して選ばれる。通常、平均粒子径が10μm以下、好ましくは5μm以下がよい。とくにアルミナは1μm以下がよい。又、コロイダルシリカは、平均粒子径50nm以下が好ましい。
【0021】
ガラス粒子としては、熱軟化温度(Ts)が400〜600℃、線熱膨張係数が(50〜90)×10−7K−1、さらには、(60〜90)×10−7K−1の低融点ガラスを用いることが好ましい。
【0022】
ガラス粒子中の組成としては、酸化ケイ素は3〜80重量%の範囲で配合することが好ましく、より好ましくは20〜60重量%である。3重量%未満の場合はガラス層の緻密性、強度や安定性が低下し、また熱膨張係数が所望の値から外れ、ガラス基板とのミスマッチが起こりやすい。また60重量%以下にすることによって、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなどの利点がある。
【0023】
ガラス粒子として、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうちのうち少なくとも1種類を5〜60重量%含むもの、もしくは酸化ホウ素、酸化ビスマスもしくは酸化鉛を合計で8〜60重量%含有し、かつ、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうち少なくとも1種類を3〜15重量%含有するガラス粒子を用いたガラスが融点が低く好ましい。
【0024】
種々の金属酸化物を添加することによって、パターンに着色することができる。例えば、隔壁組成物中に黒色の金属酸化物を1〜10重量%含ませることによって、黒色のパターンを形成することができる。
この目的に用いる黒色あるいはその他の着色した酸化物として、Cr、Fe、Co、Mn、Cuの酸化物の内、少なくとも1種、好ましくは3種以上を含ませることによって、黒色化が可能になる。特に、FeとMnの酸化物をそれぞれ0.5重量%以上含有させることによって、より黒色のパターンを形成できる。
【0025】
さらに、黒色以外に、赤、青、緑等に発色する無機顔料を添加した組成物を用いることによって、各色のパターンを形成できる。これらの着色パターンは、プラズマディスプレーのカラーフィルターなどに好適に用いることができる。
【0026】
また、無機粒子として、成分の異なる粒子を組み合わせて用いることもできる。特に、熱軟化点の異なるガラス粒子やセラミックス粒子を用いることによって、焼成時の収縮率を抑制することができる。
【0027】
(セルロース化合物)
隔壁形成組成物のバインダーとして用いるセルロース化合物は、セルロース及びその誘導体を含む。
セルロース化合物は、セルロースの水酸基が水溶性基、低級アルキル基、低級アシル基等の置換基でエーテル結合又はエステル結合により置換されたものを少なくとも一つを含んでいてもよい。本発明においては、セルロース化合物としては、少なくとも水溶性基を有した水溶性基含有セルロースを含む。ここで、水溶性基とはセルロース化合物の水溶性を促進する機能を有する基を意味する。
【0028】
また、セルロース化合物は、上記置換基の他にウレタン型アクリレート等のモノマーが付加されたものでもよい。
好ましい水溶性基としては、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜4のカルボキシアルキル基、低級アルキル基で置換されていてもよい、又は水素化されていてもよいフタール酸基、硫酸基、りん酸基である。
【0029】
ヒドロキシアルキル基及びカルボキシアルキル基の好ましいアルキル基は、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基である。
また、フタール酸基に置換してもよい低級アルキル基は、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基である。
【0030】
また、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基など炭素数1〜4のアルキル基で、なかでもとくにメチル基が好ましい。
低級アシル基としては、アセチル基、ホルミル基及びサクシニル基等が挙げられる。
【0031】
これら、水溶性基以外の基は、水溶性基と共にセルロースに置換されることが望ましい。水溶性基とともに置換されてもよいアルキル基あるいはアシル基の量は、グルコース主鎖のグルコース単位当たり3個ずつ存在する水酸基の数よりも少なく、好ましくはグルコース単位当たり0.05〜1.0当量、より好ましくは0.1〜0.8当量である。アルキル基の量が水溶性置換基の当量数を超える場合には、水溶性(アルカリ性水系溶媒への溶解性も含む)や混和性の点で好ましくはない。
【0032】
置換基が低級アルキル基の場合、対応するアルコールとグルコース鎖上の水酸基とのエーテル結合によって置換が行われ、置換基が低級アシル基の場合、対応する酸とグルコース鎖上の水酸基とのエステル結合によってグルコース鎖と結合している。
【0033】
なお、本発明においては、例えば、水溶性基含有セルロースであるヒドロキシアルキルセルロースにおいて、そのヒドロキシアルキル基の一部は、ヒドロキシアルキル基同士がエーテル結合されていてもよい。また、ヒドロキシアルキル基は、そのアルキル基部分がエーテル結合により連結されたものであってもよく、そのようなヒドロキシアルキル基の好ましい例としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、ヒドロキシエトキシエトキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシプロポキシプロピル基、ヒドロキシプロポキシプロポキシプロピル基などが挙げられる。
【0034】
これらのヒドロキシアルキルセルロースのヒドロキシアルキル基の置換率(上記エーテル結合されるヒドロキシアルキル基を含む)は、グルコース1単位当たり1.3〜7.0当量であり、好ましくは1.5〜5.0当量である。1.3当量以下では溶解性、混和性が不十分となり、7.0当量を超えると置換度を上げにくく、製造コストが高くなる。
【0035】
とくに好ましい水溶性基含有セルロースは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルフタール酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、硫酸セルロースである。
【0036】
メチルセルロースは、アルカリセルロースと塩化メチル又はジメチル硫酸から常法により合成される。
ヒドロキシエチルセルロースは、セルロースとエチレンオキサイドから常法により合成される。
カルボキシメチルセルロースは、苛性アルカリの存在下でセルロースとモノクロル酢酸を常法により反応させて得られる。また、硫酸セルロースはセルロースとジメチルホルムアミドとを定法によって反応させて得られる。そのほかのセルロース誘導体も同様の公知の方法で合成できる。また、市販もされている。
【0037】
本発明では、セルロース化合物として、上記セルロース化合物に単官能性あるいは多官能性の重合性モノマーあるいはオリゴマーが置換した化合物を用いることもできる。
このような化合物を得るのに用いられる特に好ましいセルロース化合物としては、前記したヒドロキシアルキルセルロースあるいはヒドロキシアルキル・アルキル共置換セルロースのウレタンアクリレート付加物等である。ウレタンアクリレートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの反応生成物、2,4−トリレンジイソシアネートの一方のイソシアネート基を2−ヒドロキレエチルメタクリレートと反応させた後、さらに残余のイソシアネート基をトリエタノールアミンと反応させた反応生成物、ベンゾインに2,4−トリレンジイソシアネ−トと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとを反応させた反応生成物等がある。また、その他、セルロース化合物に付加されるモノマーあるいはオリゴマーとしては、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸とアリルアルコール、1−ヒドロキシエチルメタクリレート等の不飽和アルコールとを反応させて得た不飽和エステル誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、エステル化した多官能性モノマー誘導体であり、その例としては、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルクロレンダ−ト、ジアリルアジぺ−ト、ジアリルジグリコレート、トリアリルシアヌレート、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのフタル酸エステル、アリルアルコールのトリメリット酸エステルおよびp−ヒドロキシ安息香酸をメタクロイルクロライドでエステル化したものを、さらにグリシジルメタクリレートを付加させたものなどがある。
【0038】
これらの重合性モノマーあるいはオリゴマーを置換させる好ましいセルロース化合物としては、置換率(エーテル結合されるヒドロキシアルキル基を含む)が3〜4当量のヒドロキシプロピルセルロース、置換率(エーテル結合されるヒドロキシアルキル基を含む)が2〜3当量のメチル基と2〜3当量のヒドロキシエチル基を付加したメチル・ヒドロキシエチルセルロースである。
【0039】
このようなモノマーやオリゴマーをグルコース鎖に付加させる方法は、グルコース鎖中の水酸基に対して、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物、好ましくはメタクリロイルオキシ基含有イソシアネート化合物を付加反応させて作る。
【0040】
たとえば、本発明に用いるセルロース化合物は、原料となる水溶性基含有セルロースたとえばヒドロキシプロピルセルロースをメチルエチルケトンに溶解し、これにトリエチルアミンと2−メタクリロキシエチルイソシアネートを混合して60℃で2時間攪拌して反応させたのち、ヘキサンを用いて反応生成物を沈殿させて取り出す方法によって合成できる。
【0041】
このようなモノマーあるいはオリゴマーが付加した水溶性基含有セルロースは、組成物中のセルロース化合物の全量の任意の割合を占めることができる。
隔壁形成組成物に占める水溶性基含有セルロースの好ましい量は、全固形物中の2〜50重量%であり、より好ましくは、2〜40重量%である。
【0042】
〔感光性組成物〕
本発明の隔壁形成方法において、隔壁形成組成物層の上に設けられる感光性組成物層を与える感光性組成物としては、公知のものが用いられるが、好ましくは現像後の物性が高圧噴射装置からの現像液による現像に好適になるように感光剤、光硬化剤等の組成成分が選定されることが好ましい。該組成成分として、上記隔壁形成組成物に含まれるセルロース化合物と同様なセルロース化合物、特に、水溶性基含有セルロース化合物が少なくとも含まれることが好ましい。
【0043】
本発明の方法において、感光性組成物層を隔壁形成組成物の上に設ける手段には、特に限定はなく、感光性組成物を塗布により設けても、隔壁形成材料と同様に可撓性支持体上に設けた感光性組成物層を転写により設けてもよい。
以下、感光性組成物の成分について記す。
(感光剤)
感光性組成物に含まれる感光剤は、光重合性基乃至光反応性基を有する化合物であれば、単官能性でも多官能性でもよい。ここに光重合性基乃至光反応性基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ビニルアミノ基、グリシジル基、アセチレン性不飽和基などを挙げることができる。単官能性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、カルビトールアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチロールアクリルアミド、N−ジアセトンアクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドンなどを挙げることができる。また感光剤としてマレイン酸ジエステルを使用することもできる。
【0044】
多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを挙げることができる。さらに、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンのアクリル酸エステル、N,N,N′,N′−テトラキス(β−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンのアクリル酸エステル、トリグリセリンとメチルアクリレートとのエステル交換反応生成物、ウレタン型アクリレート、多価カルボン酸の不飽和エステル、不飽和酸アミド、無機酸とのエステルおよび金属塩、アセチレン不飽和基を有するモノマー、エポキシ化合物の(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基を有するモノマーなどを使用することもできる。
【0045】
ここにウレタン型アクリレートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの反応生成物、2,4−トリレンジイソシアネートの一方のイソシアネート基を2−ヒドロキレエチルメタクリレートと反応させた後、さらに残余のイソシアネート基をトリエタノールアミンと反応させた反応生成物、ベンゾインに2,4−トリレンジイソシアネ−トと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとを反応させた反応生成物などを挙げることができる。多価カルボン酸の不飽和エステルとしては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等をアリルアルコール、1−ヒドロキシエチルメタクリレート等でエステル化した多感応性モノマーがあり、その例としては、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルクロレンダ−ト、ジアリルアジぺ−ト、ジアリルジグリコレート、トリアリルシアヌレート、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのフタル酸エステル、アリルアルコールのトリメリット酸エステルおよびp−ヒドロキシ安息香酸をメタクロイルクロライドでエステル化し、さらにグリシジルメタクリレートを付加させたものなどを挙げることができる。
【0046】
不飽和酸アミドとしては、例えば、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、ヘキサメチレンビスアクリルアミドなどがあり、さらに多価アミン化合物と不飽和酸とを縮合するか、水酸基を有する不飽和アミド、例えば、N−メチロールアクリルアミドと多価カルボン酸、多価エポキシなどと反応させて得られる。その例としては、N−メチロールアクリルアミドの酸性化合物の存在下での反応生成物、1,3,3−トリメチル−1−アクリロイルアミノメチル−5−アクリロイルアミノシクロヘキサン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアクリル−S−トリアジン、N−アクリロイルヒドロキシエチルマレイミド、ε−カプロラクタムとテトラメチレンジアミンの反応で得られたオリゴマーにアクリル酸クロライドを反応させたビスアクリルアミド、N,N′−ビス(β−アクリロイルヒドロキシエチル)アニリン、N−メチロールアクリルアミドとジエチレングリコールジグリシジルエーテルとの反応生成物などを挙げることができる。
【0047】
無機酸とのエステルおよび金属塩としては、例えば、アクリル酸亜鉛とアルコール溶性ポリアミド樹脂、リン酸のビス(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)エステルなどを挙げることができる。無機酸とのエステルおよび金属塩は、無機成分との親和性が高く好ましい。アセチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、アントラキノンと1−メトキシブテン−3−インから合成される9−(ω−メトキシブチニル)アントラキノール、2,4−ヘキサジイン−l,6−ジオ−ルとヘキシルイソシアネートとの反応で得られるウレタンなどを挙げることができる。グリシジル基を有するモノマーとしては、例えば、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのうち、不飽和酸アミドが、無機成分と親和性が高く、容易に均一混合可能である点で好ましい。
【0048】
また、感光剤として、エポキシエステルが挙げられる。
本発明に使用し得るエポキシエステルとは、炭素−炭素2重結合及びカルボキシル基を有する化合物とエポキシ基を有する化合物とのエポキシ基の開環反応を伴うエステル反応により生じたモノマーあるいはそのオリゴマーで、通常、モノマーの分子量は約千以下、オリゴマーの分子量で数千以下である。該エポキシエステルとしては、分子の両末端に炭素−炭素2重結合を有したもの、あるいはその2〜7のオリゴマーであって両末端に炭素−炭素2重結合が存在するものが挙げられる。
【0049】
前記炭素−炭素2重結合及びカルボキシル基を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられるが、中でもアクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
前記エポキシ基を有する化合物としては、グリシジルエーテル基を1以上、好ましくは2以上有する化合物が挙げられる。そして、該グリシジルエーテル基を担持する基としては、通常、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15のアルキレン基(ただし、アルキレン基の水素原子が、ヒドロキシル基、メチル基等に置換されていてもよい)、−(RO)n −で表される残基〔Rは、通常、炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基(ただし、アルキレン基の水素原子が、メチル基等で置換されていてもよい)、nは通常、2〜20の整数、好ましくは2〜15の整数を表す。ただし、末端のO原子はグリシジルエーテル基の酸素原子である〕、ビスフェノールA残基等が挙げられる。
【0050】
また、本発明に使用されるエポキシエステルとして、例えば、ジグリシジルフタレートのメタクリル酸エステル等の前記エポキシ基を有する化合物が、グリシジルエステルであるものも使用することができる。
以下、本発明に使用し得るエポキシエステルを例示する。
【0051】
【化1】
や、
【0052】
【化2】
等のオリゴマー、好ましくは2〜4量体(分子量約1000〜2000,2官能)が挙げられる。これら、オリゴマーはそのままの状態でも適宜、メチルエチルケトン等の溶剤により希釈されたものでもよい。
【0053】
感光剤には、十分な感度と硬化皮膜を得るためにさらに各種の反応性ポリマーまたはプレポリマーを添加することが挙げられる。これらのポリマーやプレポリマーを幹ポリマーに基いて例示すると、ポリウレタン型、例えば、ポリエチレングリコールと、2,4−トリレンジイソシアネートに、2−ヒドロキシエチルメタクリレートまたはN−メチロールアクリルアミドを反応させたもの、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレートをキシリレンイソシアネートでウレタン化したもの、トリメチロールプロパンジアリルエーテルをトリレン−2,4−ジイソシアネートでウレタン化したものなど、ポリビニルアルコール型、例えば、ポリビニルアルコールにN−メチロールアクリルアミドを反応させたもの、ポリアミド型、例えば、ピロメリット酸二無水物をアリルアルコールでジアリルエステルとし、次に残っているカルボキシル基を塩化チオニルで塩素化した化合物、およびこれらp,p′−ジアミノジフェニルエーテルを反応させたプレポリマー、ポリアクリル酸またはマレイン酸の共重合体型、例えば、エチレン−無水マレイン酸共重合体にアリルアミンを反応させたもの、エポキシ樹脂型、不飽和ポリエステル型、シリコーン樹脂型などを挙げることができる。
【0054】
感光剤の添加量は、例えば、セルロース化合物100重量部に対して、通常、10〜200重量部、好ましくは50〜150重量部である。10重量部未満では硬化速度が十分でない。また、200重量部を越えると焼成しにくくなり、好ましくない。
【0055】
(光硬化剤)
感光性組成物は、通常、光硬化剤を含む。光硬化剤とは、光ラジカル発生剤、光酸発生剤および光塩基発生剤をいう。ここに光ラジカル発生剤と光酸発生剤または光塩基発生剤と双方の性質を有するものも光硬化剤に含まれる。
【0056】
光ラジカル発生剤としては、例えば、DBE[CAS No.10287−53−3]、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’−ジメトキシベンジル)、TAZ−110(商品名:みどり化学株式会社製)、ベンゾフェノン、TAZ−111(商品名:みどり化学株式会社製)、IR−651及び369(商品名:チバガイギー社製)などを挙げることができる。
【0057】
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物およびそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0058】
たとえば S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056 号等に記載のホスホニウム塩、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988) 、特開平2−150,848 号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al.,Polymer J.17,73(1985) 等に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al.,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed., 17,1047(1979) 等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al.,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、特開昭63−298339 号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier et al.,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、 J.W.Walker et al., J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、 H.M.Houlihan et al.,Macormolecules,21,2001(1988)、等に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、 H.Adachi et al.,Polymer Preprints,Japan,37(3)、 特開平2−245756号号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544 号等に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0059】
好ましい化合物の例としては以下の化合物群を挙げることができる。
(a)トリハロメチル基が置換したオキサゾール誘導体またはs−トリアジン誘導体。たとえば、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロベンジリデンメチル)オキサジアゾール、2,4,6−トリクロロメチルトリアジンなど。
(b)2〜3個のアリール基と結合したヨードニウム塩又はスルホニウム塩。たとえば、ビス−(4,4’−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム、トリフルオロメチルスルフォネートなど。
(c)ジスルホン誘導体またはイミノスルホネート誘導体。たとえば、ビス(4−クロロフェニルスルフォン)、1,3−ジオキソ−2−(4−メトキシフェニルスルフォキシ)−4,5−ベンゾピロ−ルなど。
(d)とりわけ、ベンゾイントシレート、α−メチルベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、DNB−101(商品名:みどり化学株式会社製)、NB−101(商品名:みどり化学株式会社製)、NB−201(商品名:みどり化学株式会社製)。
【0060】
光塩基性発生剤としては、例えば、NBC−101(商品名:みどり化学株式会社製)、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメートなどを挙げることができる。
【0061】
光ラジカル発生剤と光酸発生剤と双方の性質を有するものとしては、例えば、TAZ−113(商品名:みどり化学株式会社製)、TPS−105(商品名:みどり化学株式会社製)、BBI−101(商品名:みどり化学株式会社製)、BBI−105(商品名:みどり化学株式会社製)、DPI−105(商品名:みどり化学株式会社製)などを挙げることができる。
【0062】
これらの光硬化剤の種類およびその添加量は、感光剤、セルロース化合物、後述の重合性有機金属化合物等の性質により適宜選択されるが、通常、感光剤の量の0.001〜40重量%、好ましくは0.05〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%の範囲で用いられる。
【0063】
(重合性有機金属化合物)
つぎに感光性組成物の成分となり得る重合性有機金属化合物(以下、「POMC」と略す)について説明する。
POMCとは、金属原子に少なくとも重合性有機基が結合された化合物を指す。重合性有機基には、加水分解性基、ラジカル重合性基等が含まれる。
【0064】
加水分解性基とは、加水分解反応により水酸基等を生成し得る官能基、例えば、アルコキシ基、ハロゲン基、グリシジル基、イソシアネート基等を指し、これを有するPOMCは、該水酸基の縮合反応により重合可能な化合物である。
ラジカル重合性基とは、ラジカル重合可能な基であれば、特に制限されることはなく、通常、炭素−炭素二重結合を有する基が挙げられる。
【0065】
POMCは、加水分解性基、ラジカル重合性基の両者を有していてもよいし、その一方を有していてもよい。
POMCの重合性有機基は、それ自体で重合する他、他の感光性組成物の成分や転写すべきガラス基板等の表面の官能基と反応して共有結合を形成することが可能であるため、隔壁形状の改善に寄与する。
【0066】
POMCを構成する金属としては、特に制限されるべきものではないが、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、周期律表III 〜V族までの金属等が挙げられる。
このPOMCは、本発明の前記隔壁形成組成物に含まれる無機粒子の表面を改質するために使用することもできる。
【0067】
POMCとしては、具体的には下記一般式(1)で表される化合物乃至その誘導体等が好ましい。
(R1)n−X−(OR2)4−n (1)
一般式(1)中、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、又はアリール基を表し、XはSi、Al、TiまたはZrを表し、0〜2の整数を表す。R1またはR2がアルキル基を表す場合に、炭素数としては好ましくは1から4である。またアルキル基またはアリール基は置換基を有してもよい。尚、この一般式(1)で表される化合物は低分子化合物であり分子量1000以下であることが好ましい。
【0068】
POMC中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものに対応するジルコネートを挙げることができる。
【0069】
POMC中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、等を挙げることができる。これらの内特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、等を挙げることができる。
【0070】
また、POMCとしては、
【0071】
【化3】
を挙げることができる。
更に、POMCとしては、例えば、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジエチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、ビニルトリスイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、KBM1003(商品名;信越化学工業株式会社製)、KBM1403(商品名;信越化学工業株式会社製)、KBM503(商品名;信越化学工業株式会社製)、KBM5102(商品名;信越化学工業株式会社製)、KBM5403(商品名;信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0072】
POMCは、一種のみ使用しても、2種以上を併用してもよい。また、加水分解性基を有するPOMCは、部分的に加水分解後、脱水縮合していてもよい。なお、生成物の物性を調整するために必要に応じてトリアルキルモノアルコキシシランを添加することもできる。また、感光性組成物を可撓性支持体に塗布して使用する場合等、感光性組成物の保存安定性を高めるためには、上記POMCの部分加水分解物の活性金属水酸基、例えば、シラノール基(Si−OH)は保護されていることが有効である。シラノール基の保護は、t−ブタノール、i−プロピルアルコール等の高級アルコールでシラノール基をエーテル化(Si−OR)することにより達成することができる(ここでRは、上記のアルコール類中のアルキル基を意味する)。具体的には、該部分加水分解物の分散物に前記高級アルコールを添加することにより実施することができる。このとき分散物の性質により、例えば、分散物を加熱して脱離した水を留去する等の手段により該部分加水分解物の安定性をさらに向上させることができる。
【0073】
感光性組成物中のPOMCの含有量は、広い範囲で用いることができ、通常1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜20重量%の範囲で用いられる。
【0074】
(その他の添加化合物)
感光性組成物には必要に応じて、有機成分の相溶性を向上させるために前記感光剤およびPOMC以外のモノマーを適宜用いることができる。
また、適宜、前記成分以外のポリマー、溶媒、増感剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、増粘剤、可塑剤、例えば、DOP、DBP、TCP等のフタル酸系可塑剤、沈殿防止剤、レベリング剤、ゲル化防止剤等を使用することができる。
【0075】
〔隔壁形成材料の作成〕
隔壁形成組成物は、可撓性支持体上に塗布され本発明の隔壁形成材料が形成されるが、そのときの粘度は上記各必須成分、および各種添加剤、例えば、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は200〜20万cps(センチポイズ)である。
【0076】
隔壁形成組成物は、可撓性支持体の上に、全面塗布、もしくは部分的に塗布される。塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター等の一般的な方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、コーターのギャップ、スクリーンのメッシュ、隔壁形成組成物の粘度を選ぶことによって調整できる。
【0077】
例えば可撓性支持体上への塗布をスピンコート法で行う場合は、200〜5000cpsが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、5万〜20万cpsが好ましい。ブレードコート法やダイコーター法などを用いる場合は、1000〜30000cpsが好ましい。
また、可撓性支持体上に形成された隔壁形成組成物層の表面に所望によりポリマー保護層を設けることもできる。ポリマー保護層の素材は、通常の熱可塑性樹脂等が挙げられ、塗布乃至フィルムを貼付することにより設けることができ、隔壁形成組成物の経時保存性を確保することができる。
【0078】
また、本発明の隔壁形成材料は、隔壁形成組成物層の上に剥離シートを設けることもできる。この剥離シートはポリマー保護層の上に設けることもできる。剥離シートは、隔壁形成組成物を重ねて乃至巻回して保管する上で有効であり、ガラス基板への転写時に除去される。
次に上記本発明の隔壁形成材料を用いた隔壁形成方法について説明する。
【0079】
〔隔壁形成方法〕
(転写)
可撓性支持体上の隔壁形成組成物をガラス基板上に転写する方法としては、特に制限されるべきものではなく公知の加熱・圧接手段が用いられる。例えば、隔壁形成組成物層をガラス基板に重ね合わせた後、50〜180℃のローラーで1〜1.5MPaを印加し隔壁形成組成物層を転写する方法が挙げられる。
【0080】
ここで、ガラス基板に前記POMCで処理しておくと、更に隔壁形成組成物層とガラス基板との密着性を改善することができる。この処理は、POMCのアルコール溶液をガラス基板に塗布後、加熱・乾燥する方法が挙げられる。
また、ガラス基板は、通常、その基板上に所望の隔壁パターンに対応して金、銀、銅、アルミニウム等の金属電極がパターン形成されたものが用いられる。
(感光性組成物の作成)
感光性組成物は、前記組成成分を均一に混合して形成されるが、通常、溶剤を用いて溶解或いは分散される。
【0081】
上記溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、グリセリン、N−メチルピロリドン、そのほか成分の性質に応じて適した公知の溶剤を使用できる。
上記成分の混合は、公知の手段、例えば、3本ローラや混練機で均質に混合分散される。
(感光性組成物層の配備)
上記転写された隔壁形成組成物層上に感光性組成物層を設ける。この場合、感光性組成物層は塗布により設けてもよいし、本発明の隔壁形成材料のように可撓性支持体上に設けた感光性組成物層を隔壁形成組成物層上に転写することにより設けてもよいが、後者が好ましい。この感光性組成物層の転写条件は、上記隔壁形成材料の隔壁形成組成物層の転写条件に準じて設定される。
【0082】
感光性組成物層の厚みは、乾燥厚みで、通常、70〜270μm、好ましくは100〜200μmの範囲である。
(露光)
転写された感光性組成物層へ、露光により隔壁パターンの形成が行われる。通常、露光装置を用いてマスクを通しての露光を行うことが多い。用いるマスクは、感光性組成物の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定するが、本発明ではネガ型、即ち、受光部が硬化し、パターン部を形成することが好ましい。
【0083】
また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザー、UVイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いても良い。
【0084】
露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感光性組成物を塗布した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0085】
この際使用される露光光源は、電磁波、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、X線、レーザー光など以外に電子線等の放射線をも含むが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源としてはたとえば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異なるが、通常、1〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて0.1〜30分間露光を行なうことが例示される。
【0086】
(現像)
感光性組成物層への露光後、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、任意の公知の現像法、例えば、浸漬法、スプレー法、ブラシ法、サンドブラスト法等で現像を行うが、本発明の隔壁形成方法における高圧噴射装置からの現像液による現像を行うことが極めて好ましい。
(高圧噴射装置)
現像液は、特に制限されるべきものではないが、水もしくはアルカリ水溶液が好ましい。
【0087】
高圧噴射装置とは、現像液を噴射するための印加圧力が、50〜350kgf/cm2 、好ましくは100〜300kgf/cm2 のものを指す。該印加圧力は、ノズルの形状によって選定され、本発明では、猫目型ノズル(断面が凹レンズ状)が好ましい。
現像液の噴射角は、現像作用に大きな影響を及ぼす。感光性組成物の面に対して垂直である場合が、もっとも現像作用は強い。一方、隔壁の主たる構成材料となる無機粒子の除去は、単に現像作用が強いだけでは不十分で、機械的な現像液の衝撃によって不要の無機粒子を基板から除去しなければないが、そのためには垂直方向より通常、0〜35度、好ましくは0〜20度ほど進行方向に対して斜め前または斜め後ろの角度で噴射するのがよい。
【0088】
また、本発明の経済的な実施形態として連続現像を採用するのが実際的であるが、その場合に感光性組成物層の幅方向に現像液が均等に行きわたるように、扇型のひろがりをもって噴射する噴射ノズルを単独または扇のひろがり方向に複数配列し、扇面に対して直角方向に感光性組成物を定速移動しながら現像液の噴射部分を通過する方法をとって連続現像処理を行うことが好ましい。
【0089】
本発明の方法では、隔壁形成に預からない無機粒子が非パターン部層の深部でも効果的に除去されるので、隔壁の高さを高くすることが可能であり、また、一般には除去しにくい大型の無機粒子を使用することも可能である。したがって、本発明の方法では、1回に設けられる隔壁形成組成物層の乾燥厚みは20〜200μmと高くすることが可能である。また、とくに壁の高い隔壁を形成する場合には、重ね塗布によって厚みを増すこともできる。高圧噴射装置によって200μmの高さの隔壁でも効果的に現像できて、プロファイルの良好な隔壁を形成させることができる。
【0090】
上記の噴射圧、衝撃角度、水流ひろがり形状など本発明の目的を満たすための機能を有して特に好ましく使用できる高圧噴射装置は、超高圧ジェット精密洗浄システムAFシリーズ(旭サナック(株))が挙げられる。中でも相対的に高圧な噴射用にはAF5400Sが、相対的に低圧な噴射用にはAF2800IIが、適している。しかしながら、上記の噴射印加圧、衝撃角度及び水流ひろがり形状等を有する装置であれば、この機種に限定されず、本発明の隔壁形成方法の現像手段に適用できる。
【0091】
本発明では、高圧噴射の効果が強力でかつ深部に及ぶので、水による現像で非パターン部が実質的に除去される。とくに前記した水溶性基を有するセルロース化合物を含んだ感光性組成物及び隔壁形成組成物は、本発明の高圧噴射による現像に適している。
一方、現像液には、感光性組成物および/または隔壁形成組成物中の有機成分が溶解可能である有機溶媒も使用できる。また、感光性組成物および/または隔壁形成組成物中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。その場合、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液も使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
【0092】
有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎると非パターン部が除去され難い傾向があり、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがある。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0093】
尚、上記隔壁形成組成物の現像は、上記転写後、感光性組成物層を設けることなく、パターン化されたシート(樹脂、金属、ガラス、セラミック等)を隔壁形成組成物層に固定し、直接に上記高圧噴射装置等により現像することも可能である。
【0094】
(焼成)
現像により、形成されたガラス基板上のパターン部は、公知の手段により焼成され、隔壁となる。
焼成は、通常、焼成炉にて実施される。焼成雰囲気や、温度は隔壁形成組成物やガラス基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素等の雰囲気中で焼成が実施される。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0095】
焼成温度は一般に400〜600℃である。また、以上の塗布、転写、露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入しても良い。
【0096】
以上の工程によって得られた隔壁を有するガラス基板はプラズマディスプレーの前面側もしくは背面側に用いることができる。また、プラズマアドレス液晶ディスプレーのアドレス部分の放電を行うための基板として用いることができる。
【0097】
形成した隔壁の間に蛍光体を塗布した後に、前背面のガラス基板を合わせて封着し、ヘリウム、ネオン、キセノン等の希ガスを封入することによって、プラズマディスプレーのパネル部分を製造できる。さらに、駆動用のドライバーICを実装することによって、プラズマディスプレーを製造することができる。
【0098】
また、プラズマディスプレーを高精細化するため、つまり、一定の画面サイズで画素の数を増やすためには、1画素の大きさを小さくする必要がある。この場合、隔壁間のピッチを小さくする必要があるが、ピッチを小さくすると、放電空間が小さくなり、また、蛍光体の塗布面積が小さくなることから、輝度が低下する。具体的には、42インチのハイビジョンテレビ(1920×1035画素)や23インチのOAモニター(XGA:1024×768画素)を実現しようとすると、画素のサイズを450μm角の大きさにする必要があり、各色を仕切る隔壁は150μmピッチで形成する必要がある。この場合、隔壁の線幅が大きいと放電のための空間が確保できないことや蛍光体の塗布面積が小さくなることによって、輝度を向上することが困難になる。
【0099】
発明者らは、本発明の技術を用いることによって、隔壁の幅を小さくすることができることを見いだした。特に、隔壁幅20〜40μmのストライプ状隔壁を形成するプラズマディスプレーを得ることができ、高精細化時の輝度向上に有効である。
【0100】
また、高さが100〜170μm、ピッチが100〜160μmの高精細隔壁を形成することによって、ハイビジョンテレビやコンピューターモニターに用いることができる高精細プラズマディスプレーを提供できる。
【0101】
以上、プラズマディスプレーパネル製作の例について本発明の態様を説明したが、本発明の方法は、プラズマディスプレーパネル製作への適用に限定されず、マイクロリソグラフィ分野でパターンと非パターン部のディスクリミネーションを向上させる目的に利用できる。
【0102】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定はされない。
実施例1
(隔壁形成組成物の作製)
下記有機成分と無機成分をそれぞれ混合したのち、有機成分10部、無機成分90部の割合で溶剤N−メチルピロリドンを用いて、練り合わせ粘度2万cpsに調製した。
【0103】
無機成分
アルミナ粉末(平均粒子径:0.1μm) 20部
ガラス(平均粒子径:3μm) 75部
コロイダルシリカ(平均粒子径:20nm) 5部
有機成分
ヒドロキシプロピルセルロース 30部
ポリエチレングリコールメタクリレート 30部
エチルセルロース 40部
次に、得られた隔壁形成組成物を、厚み40μmのポリエチレンテレフタレート(PET)支持体に塗布することによって、乾燥厚み150μmの隔壁形成組成物層を形成した隔壁形成材料を作成した。この材料をAとする。
【0104】
(感光性組成物の作成)
下記の成分を溶剤N−メチルピロリドンを用いて練り合わせ粘度2万cpsに調製した。
ヒドロキシプロピルセルロース 70部
ポリエチレングリコールメタクリレート 30部
光硬化剤(チバガイギー社製イルガキュアー651) 3部
得られたこの感光性組成物を、厚み40μmのPET支持体に塗布することによって、乾燥厚み10μmの感光性組成物層を形成した材料を作成した。この材料をBとする。
(転写)
材料Aを30cm角のソーダガラス基板に密着させ、150℃に加熱した圧着ローラーでガラス基板上にPET上の隔壁形成組成物層を転写させた。隔壁形成組成物層の厚みは145μmであった。
【0105】
更にその上に、材料Bの感光性組成物層を上記と同様に転写させた。転写された層の総厚みは155μmであった。このガラス基板に両層が転写されてなる材料をCとする。
【0106】
(パターン露光)
次に、材料Cにフォトマスクを介して露光を行った。マスクには、ピッチ130μm、線幅20μmのクロム製ネガマスクを用いた。
露光は、50mW/cm2の出力の超高圧水銀灯で100mJ/cm2の光量で紫外線露光を行った。
【0107】
(現像)
現像は、露光済みの材料Cを5mm/secの一定速度で試料台上を搬送させながら、高圧噴射装置として超高圧ジェット精密洗浄システムAF5400S(旭サナック(株)製)を使用して扇状に拡がる薄層の水噴射を材料Cに施した。水噴射は、扇状の噴射面が、感光性組成物の進行方向に直角であり、かつ感光性組成物面に垂直な面に対して10°傾けた角度で感光性組成物の進行方向に向けて噴射が当たる角度関係で行った。また、そのときの水噴射の印加圧力は、表1に示すように変化させた。
【0108】
【表1】
【0109】
(結果)
得られた隔壁パターン試料を切断して走査型電子顕微鏡で断面観察した。良好な隔壁パターンが得られているものを○として評価し、現像不良(局部的な溶解過度、溶解不足)によるパターンの欠落、断絶、未露光部の除去不良や、溶解残渣の残存などによって良好な隔壁が形成されていない場合を×とし、隔壁形成欠陥が軽度の場合を△とした。隔壁パターンが特に優れたもの及び特に劣っているものをそれぞれ◎、××で示した。
【0110】
【発明の効果】
本発明の隔壁形成材料は、可撓性支持体上に隔壁形成組成物を担持させたものであるから、保存も容易であり、又ガラス基板などへの転写もラミネートすれば可能であることから、簡易な工程を構築できる。
又、高圧噴射装置により高い隔壁であってもパターンの乱れのない高精度のパターン形成を行うことができる。
【0111】
とくに、本発明はPDPやPALC用の隔壁その他の壁構造物を形成できる。
Claims (5)
- 可撓性支持体上に、少なくとも水溶性基含有セルロース、無機粒子として平均粒子径50nm以下のコロイダルシリカを含有し、20〜200μmの厚みで塗布してなる隔壁形成組成物を有することを特徴とする隔壁形成材料。
- 無機粒子として、低融点ガラス粉末、アルミナ粉末、酸化チタンの少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項1に記載の隔壁形成材料。
- 低融点ガラス粉末とコロイダルシリカの割合が、重量比で100/1〜10/1であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の隔壁形成材料。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の隔壁形成材料を用いて隔壁形成組成物をガラス基板上に転写した隔壁形成組成物層の上に感光性組成物層を設けた後、露光し、その後、高圧噴射装置から50〜350kgf/cm 2 の印加圧力で現像液を噴射して現像することを特徴とする隔壁形成方法。
- 現像液が水であることを特徴とする請求項4に記載の隔壁形成方法。
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