JP3632601B2 - コーティング剤組成物、コーティング剤硬化膜およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有するコーティング剤組成物に関する。また、本発明は、当該コーティング剤組成物を塗布した後、硬化させてなるコーティング剤硬化膜およびその製造方法に関する。本明細書において、コーティング剤組成物とは、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物であって、例えば、シーラー、プライマー、床剤の表面コート剤、プラスチック用ハードコート剤などの塗料;メッキ用アンカーコート、金属蒸着アンカーコートなどのアンカーコート剤;電子材料用、液晶板用、建材用などのシーリング剤;プリント基板用、建材用などの接着剤からなる群から選択される少なくとも1つの用途に用いられるコーティング剤組成物を意味する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリンとから製造される、いわゆるビスフェノール型エポキシ樹脂は、一般に、硬化剤と組み合わせた組成物として使用されており、耐水性、密着性、耐薬品性等が比較的優れていることから、各種コーティング剤、接着剤、シーリング剤などの分野において賞用されてきた。しかしながら、近年、当該分野においては、より高度の性能が要求され、特に耐熱性、基材密着性、耐酸性の向上が望まれている。
【0003】
エポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させる方法としては、たとえば、エポキシ樹脂および硬化剤に加え、ガラス繊維、ガラス粒子、マイカ等のフィラーを混合する方法が知られている。しかし、この方法では、得られるエポキシ樹脂硬化物の透明性が失われ、しかもフィラーと樹脂との界面の接着性が劣るため、弾性率等の機械的特性や耐熱性も不十分である。
【0004】
また、エポキシ樹脂組成物の硬化膜の耐熱性を向上させる方法として、エポキシ樹脂とシリカとの複合体を用いる方法が提案されている(特開平8−100107号公報)。当該複合体は、エポキシ樹脂の部分硬化膜の溶液に、加水分解性アルコキシシランを加え、該硬化膜を更に硬化すると共に、該アルコキシシランを加水分解してゾル化し、更に重縮合してゲル化することにより得られる。しかし、かかる複合体から得られる硬化膜は、エポキシ樹脂単独の硬化膜に比して、ある程度耐熱性は向上するものの、複合体中の水や硬化時に生じる水、アルコールに起因して、硬化膜中にボイド(気泡)が発生する。また、耐熱性を一層向上させる目的でアルコキシシラン量を増やすと、ゾル−ゲル硬化反応により生成するシリカが凝集して得られる硬化膜の透明性が失われて白化するうえ、多量のアルコキシシランをゾル化するために多量の水が必要となり、その結果として硬化膜のそり、クラック等を招く。
【0005】
また、エポキシ樹脂にシリコーン化合物を反応させたシラン変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるフェノールノボラック樹脂とを組み合わせた組成物(特開平3−201466号公報)や、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラビスブロモビスフェノールAおよびメトキシ基含有シリコーン中間体を反応させたシラン変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるフェノールノボラック樹脂とを組み合わせた組成物(特開昭61−272243号公報、特開昭61−272244号公報など)も提案されている。しかし、これらのエポキシ樹脂組成物の硬化膜は、シリコーン化合物やメトキシ基含有シリコーン中間体の主構成単位がジオルガノポリシロキサン単位であってシリカを生成できないため、いずれも耐熱性が不十分である。
【0006】
更にビスフェノール型エポキシ樹脂とアルコキシシラン部分縮合物とを脱アルコール反応させてなるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を、硬化してなる硬化膜は、ガラス転移点を消失し、高耐熱性材料となることが報告されている。しかしながら、この方法によれば、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてエポキシ当量300以下の液状エポキシ樹脂を使用した場合には、得られる硬化膜は高ガラス転移点を有するものの、ガラス転移点を消失するには至らない。また、エポキシ当量が800以上の固形エポキシ樹脂を使用すると、得られるエポキシ樹脂組成物の保存安定性が低下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性、耐熱分解性、低熱膨張性、密着性、耐酸性、耐傷つき性に優れ、しかも透明な硬化膜を収得しうる、特定のコーティング剤組成物並びに当該組成物から得られるコーティング剤硬化膜および当該硬化膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定のエポキシ樹脂と特定のアルコキシシラン部分縮合物からなるメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有するコーティング剤組成物や、当該組成物から得られるコーティング剤硬化膜が前記目的に合致していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)、グリシドール(2)、並びにメチルトリメトキシシランの部分縮合物および/またはテトラメトキシシランの部分縮合物(3)を脱アルコール縮合反応させて得られるメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有することを特徴とするコーティング剤組成物に関する。また本発明は、当該組成物を硬化させてなるコーティング剤硬化膜および当該硬化膜の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の原料である、ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)(以下、単にエポキシ樹脂(1)という)は、メチルトリメトキシシランの部分縮合物および/またはテトラメトキシシランの部分縮合物(3)(以下、単にメトキシシラン部分縮合物(3)という)と脱アルコール反応しうる水酸基を含有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されないが、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシドとの反応により得られたビスフェノール型エポキシ樹脂が機械的性質、化学的性質、電気的性質、汎用性などを考慮して好適である。ビスフェノール類としてはフェノールとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン等のアルデヒド類もしくはケトン類との反応の他、ジヒドロキシフェニルスルフィドの過酸による酸化、ハイドロキノン同士のエーテル化反応等により得られるものがあげられる。また当該エポキシ樹脂(1)としては、2,6−ジハロフェノールなどハロゲン化フェノールから誘導されたハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂、リン化合物を化学反応させたリン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂など、難燃性に特徴があるものを使用することもできる。
【0011】
エポキシ樹脂(1)は、メトキシシラン部分縮合物(3)との脱アルコール縮合反応により、珪酸エステルを形成しうる水酸基を有するものである。当該水酸基は、エポキシ樹脂(1)を構成する全ての分子に含まれている必要はなく、これら樹脂として、水酸基を有していればよい。上記のようなエポキシ樹脂(1)のなかでも、汎用性を考えると、特に、ビスフェノール類としてビスフェノールAを用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂が、低価格であり好ましい。
【0012】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、一般式(a):
【0013】
【化1】
【0014】
で表される化合物である。
【0015】
なお、本発明において、エポキシ樹脂(1)のエポキシ当量は、特に限定されず、エポキシ樹脂(1)の構造により、用途に応じたものを適宜に選択して使用できる。しかしながら、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を無溶剤下に製造する場合や、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を用いて半硬化膜を製造する場合には、エポキシ樹脂(1)として、1種類以上のビスフェノール型エポキシ樹脂を用いて、全体としてのエポキシ当量を200〜400g/eqとなる様に調整するのが好ましい。すなわち、無溶剤下にメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を製造する場合には、溶剤系で反応させる場合よりも反応系内の粘度が上昇するため、当該粘度を調整する観点からエポキシ樹脂(1)の種類を選択するものである。また、半硬化膜の製造を目的とする場合には、半硬化膜は、後述するように、ゾル−ゲル硬化がほぼ完了しながらも、ある程度の柔軟性や密着性が要求されるため、エポキシ樹脂(1)の種類を選択するものである。なお、当該半硬化膜とは、本願発明のコーティング剤組成物をゾル−ゲル硬化反応させた状態の硬化膜をいう。エポキシ樹脂(1)の当量が400g/eqを超えると、脱アルコール縮合反応途中で高粘度化する傾向が高くなり、また当該エポキシ当量が200g/eq未満の場合には反応生成物であるメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中に残存するメトキシシラン部分縮合物(3)の量が増えたり、半硬化膜が脆くなり好ましくない。
【0016】
本発明において、エポキシ樹脂(1)とグリシドール(2)(以下、単にエポキシ化合物(2)という)はいずれも、メトキシシラン部分縮合物(3)と脱アルコール縮合反応して、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を与える。そのため、エポキシ樹脂(1)中には、水酸基が存在しなければならないが、例えば、一般式(a)のビスフェノールA型エポキシ樹脂の場合には、水酸基を持たない分子(一般式(a)におけるm=0の分子)も存在する。水酸基を持たないエポキシ樹脂分子はメトキシシラン部分縮合物(3)とは反応しないため、未反応のままメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中に存在している。当該分子は、エポキシ樹脂−シリカハイブリッド硬化膜形成時にエポキシ樹脂用硬化剤を介してシラン変性されたビスフェノール型エポキシ樹脂分子と化学結合することになるが、エポキシ樹脂(1)中に水酸基を持たない分子が多く含まれる場合には、最終的に得られる硬化膜が十分な耐熱性を発現しない。
【0017】
本発明では、水酸基を持たないエポキシ樹脂分子が多く存在するエポキシ樹脂(1)を使用した場合であっても、得られる硬化膜に十分な耐熱性を付与するために、エポキシ化合物(2)を必須構成成分としたものである。すなわち、エポキシ化合物(2)は、硬化膜の耐熱性の低下を防止する作用効果を有する。メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造に際して、エポキシ化合物(2)の使用量は特に限定されず、エポキシ樹脂(1)中の水酸基を持たない分子の含有量に応じて適宜に決定すればよい。硬化膜の耐熱性の観点から、エポキシ樹脂(1)のエポキシ当量が200g/eq未満の場合には、エポキシ化合物(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.05以上であり、当該エポキシ当量が200〜300g/eqの場合には該重量比が0.03以上であり、当該エポキシ当量が300g/eqを超える場合は該重量比が0.01以上であるのが好ましい。なお、エポキシ化合物(2)は、多少の毒性を有するものも多いため、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のエポキシ化合物(2)残存量を極力少なくするのがよい。上記重量比が0.3を超える場合には、未反応エポキシ化合物(2)を低減させるためにメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造時間が長くなり、製造効率が低下する。
【0018】
エポキシ化合物(2)は耐熱性付与効果の点で最も優れており、またメトキシシラン部分縮合物(3)との反応性も高いため、最適である。
【0019】
また、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を構成するメトキシシラン部分縮合物(3)としては、酸又は塩基触媒の存在下、下記メトキシシラン化合物および水を加え、部分的に加水分解、縮合したものを用いることができる。
【0021】
メトキシシラン部分縮合物(3)の構成原料は、メチルトリメトキシシランおよび/またはテトラメトキシシランである。これらは、エポキシ樹脂(1)やエポキシ化合物(2)との反応性に富み、比較的低温で硬化膜を調製できるため好ましく、また汎用性の点からも好ましい。
【0023】
メトキシシラン部分縮合物(3)は、例えば次の一般式(c)または(d)で示される。一般式(c):
【0024】
【化2】
【0025】
(式中、R1 、R 2 はいずれもメチル基を示す。)
【0026】
一般式(d):
【0027】
【化3】
【0028】
(一般式(d)中、R2は一般式(c)中のR2と同じ。)
【0029】
当該メトキシシラン部分縮合物(3)の数平均分子量は230〜2000程度、一般式(c)および(d)において、平均繰り返し単位数nは2〜11が好ましい。nの値が11を超えると、溶解性が悪くなり、反応温度において、エポキシ樹脂(1)との相溶性が著しく低下し、エポキシ樹脂(1)やエポキシ化合物(2)との反応性が落ちる傾向があるため好ましくない。nが2未満であると反応途中に反応系外にアルコールと一緒に留去されてしまい好ましくない。
【0030】
メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂(1)、エポキシ化合物(2)およびメトキシシラン部分縮合物(3)を、溶剤の存在下または無溶剤下に脱アルコール縮合反応させることにより得られる。エポキシ樹脂(1)およびエポキシ化合物(2)と、メトキシシラン部分縮合物(3)との使用重量比は、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中にメトキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限はされないが、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/メトキシシシラン部分縮合物(3)のメトキシ基の当量(当量比)=0.1〜0.6であることが好ましい。更に好ましくは0.13〜0.5である。上記当量比が0.1未満であると未反応メトキシシラン部分縮合物(3)が増え、0.6を超えると十分な耐熱性が得られず好ましくない。
【0031】
なお、エポキシ樹脂(1)として平均エポキシ当量400以上の高分子量のものやメトキシシラン部分縮合物(3)として前記一般式(C)の平均繰り返し単位数n>7を使用原料とする場合には、エポキシ樹脂(1)の水酸基が完全に消失するまで、脱アルコール縮合反応を行うと高粘度化、ゲル化する傾向が見られる場合がある。このような場合には、脱アルコール反応を反応途中で、停止させたり、エポキシ化合物(2)/エポキシ樹脂(1)(水酸基当量比)が0.33を超えるような条件を選択するなどの方法により高粘度化、ゲル化を防ぐことが可能である。たとえば、反応を途中で停止させる方法としては、高粘度化してきた時点で、反応系を還流系にして、反応系からメタノールの留去量を調整したり、反応系を冷却し反応を終了させる方法等を採用できる。
【0032】
本発明における脱アルコール縮合反応では、反応温度は50〜130℃程度、好ましくは70〜110℃であり、全反応時間は1〜15時間程度である。この反応は、メトキシシラン部分縮合物(3)自体の重縮合反応を防止するため、実質的に無水条件下で行うのが好ましい。またメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造は、反応時間を短くするため、エポキシ化合物(2)が蒸発しない範囲で、減圧下で行うこともできる。
【0033】
また、上記の脱アルコール縮合反応に際しては、反応促進のために従来公知の触媒の内、エポキシ環を開環しないものを使用することができる。該触媒としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等が有効である。
【0034】
また、上記の脱アルコール縮合反応は、溶剤存在下または無溶剤下で行うことができる。しかしながら、エポキシ樹脂(1)やメトキシシラン部分縮合物(3)の分子量が大きい時には、反応温度において、反応系が不均一となる場合が見られ反応が進行しにくくなるため、溶剤を使用するのが好ましい。溶剤としては、エポキシ樹脂(1)およびメトキシシラン部分縮合物(3)を溶解し、且つこれらに対し非活性である有機溶剤であれば特に制限はない。このような有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテルなどの非プロトン性極性溶媒が例示できる。
【0035】
こうして得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂は、メトキシシラン部分縮合物のメトキシ基が、エポキシ樹脂残基やグリシジル基で置換されたものを主成分とするが、当該樹脂中には未反応のエポキシ樹脂(1)、エポキシ化合物(2)、メトキシシラン部分縮合物(3)が含有されていてもよい。なお、未反応のメトキシシラン部分縮合物(3)は、ゾル−ゲル硬化反応によりシリカとすることができる。
【0036】
メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂は、その分子中にメトキシシラン部分縮合物(3)に由来するメトキシ基を有している。当該メトキシ基の含有量は、特に限定はされないが、このメトキシ基は溶剤の蒸発や加熱処理により、又は水分(湿気)との反応により、ゾル−ゲル反応や脱アルコール縮合して、相互に結合した硬化膜を形成するために必要となるため、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂は通常、反応原料となるメトキシシラン部分縮合物(3)のメトキシ基の30〜95モル%、好ましくは40〜80モル%を未反応のままで保持しておくのが良い。かかる硬化膜は、ゲル化した微細なシリカ部位(シロキサン結合の高次網目構造)を有するものである。かかる硬化膜は、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の固形残分中のSi含有量が、シリカ重量換算で2〜60重量%となることが好ましい。固形残分中のシリカ重量換算Si含有量とは、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のメトキシシリル部位が上記ゾル−ゲル硬化反応を経て、シリカ部位に硬化した時のシリカ部位の重量パーセントである。2重量%未満であると耐熱性、耐熱分解性、低熱膨張性、密着性、耐酸性、耐傷つき性など本発明の効果を得難くなるし、60重量%を越えると硬化膜が脆くなり過ぎ、膜厚の厚い硬化膜を得ることが困難になる傾向がある。
【0037】
本発明のコーティング剤組成物においては、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有しておればよく、その他の配合成分については特に限定されず各種公知のエポキシ樹脂を併用してもよい。なお、各種用途へ適用するにあたってはエポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤を含有している事が好ましい。
【0038】
当該併用しうるエポキシ樹脂としては、本発明の構成成分として記載した前記エポキシ樹脂(1)、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸などの多塩基酸類およびエピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸などのポリアミン類とエピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂などがあげられる。
【0039】
また、エポキシ樹脂用硬化剤としては、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されている、フェノール樹脂系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリカルボン酸系硬化剤、イミダゾール系硬化剤等を特に制限なく使用できる。具体的には、フェノール樹脂系のものとしては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリp−ビニルフェノール等があげられ、ポリアミン系硬化剤としてはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミド、ポリアミドアミン(ポリアミド樹脂)、メラミン樹脂、ケチミン化合物、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′―ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド等があげられ、ポリカルボン酸系硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサクロルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸があげられ、またイミダゾール系硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルへキシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム・トリメリテート、2−フェニルイミダゾリウム・イソシアヌレート等があげられる。上記エポキシ樹脂用硬化剤は、エポキシ環と反応して開環硬化させるだけではなく、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のメトキシシリル部位やアルコキシ基が互いにシロキサン縮合していく反応の触媒ともなる。また半硬化膜を得る場合には、高い温度でエポキシ樹脂と反応するような潜在性硬化剤がよく、例えば、上記例示化合物の内でフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂および酸無水物類が好ましい。また、少なくともメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤の双方が配合された一液型コーティング剤組成物として、長期安定性が必要な場合には、上記例示化合物の中でもフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシアンジアミド、イミダゾール類および酸無水物類が好ましい。
【0040】
エポキシ樹脂用硬化剤の使用割合は、通常、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対し、硬化剤中の活性水素を有する官能基が0.2〜1.5当量程度となるような割合で配合して調製される。
【0041】
また、前記のコーティング剤組成物には、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を促進するための硬化促進剤を含有することができる。例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などをあげることができる。
【0042】
前記の硬化促進剤は、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ基や任意成分として用いたエポキシ樹脂の合計エポキシ基に対して、それぞれ0.1〜5重量部の割合で使用するのが好ましい。また、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のメトキシシリル部位やメトキシ基のシロキサン縮合の促進には、従来公知の酸又は塩基性触媒、金属系触媒などのゾル−ゲル硬化触媒を配合することが出来る。これらのなかでも、オクチル酸錫やジブチル錫ジラウレート、テトラプロポキシチタンなど金属系触媒が、活性が高く好ましい。
【0043】
また、本発明のコーティング剤組成物は、目的用途に応じて、従来公知の高分子化合物を含有することが出来る。例えば、当該コーティング剤組成物に可とう性や柔軟性を付与するためには、従来公知のアクリル樹脂、ウレタン樹脂や、ポリブタジエンなどのゴム材料などを併用でき、また当該コーティング剤組成物に低誘電性やスリップ性を付与するためにはシリコーン樹脂などを併用できる。また、本発明のコーティング剤組成物においては、更にメトキシシラン部分縮合物(3)を配合し、コーティング剤組成物のSi含有量を増加させてもよいが、得られる硬化膜の耐熱性、密着性、耐酸性などを考慮すると、コーティング剤組成物の固形残分中のシリカ重量換算Si含有量が、シリカ重量換算で2〜60重量%であることが好ましい。この場合、配合したメトキシシラン部分縮合物(3)は、ゾル−ゲル硬化反応により、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のシリカ部位と一体化する。
【0044】
また、本発明のコーティング剤組成物は、目的用途に応じて、溶剤により適宜に濃度や粘度を調整できる。溶剤としては、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造に用いたものと同様のものを使用できる。その他、当該コーティング剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、充填剤、離型剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調節剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤、安定剤、カップリング剤等を配合してもよい。
【0045】
本発明のコーティング剤組成物から硬化膜を直接的に得るには、当該組成物を室温〜250℃で硬化させる。硬化温度は、エポキシ樹脂用硬化剤の種類によって適宜決定される。当該硬化剤として、フェノール樹脂系硬化剤やポリカルボン酸系硬化剤を用いる場合には、当該硬化剤以外にゾル−ゲル硬化触媒を0.1%以上併用して、コーティングや含浸などの加工を施した後、150〜250℃で硬化させるのが好ましい。ポリアミン系硬化剤を用いると室温〜100℃の低温硬化が可能であるが、オクチル酸錫など活性の高いゾル−ゲル硬化触媒を0.3%以上併用して硬化させるのが好ましい。なぜなら、メトキシシリル部位のゾル−ゲル硬化反応ではメタノールが発生するため、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のエポキシ基とエポキシ樹脂用硬化剤とのエポキシ基の開環・架橋反応による硬化が進行した後に、当該メタノールが発生した場合には、発泡やクラックを生じる。そのため、触媒を適宜に選択することによってゾル−ゲル硬化反応速度を調整する必要がある。
【0046】
以下、本発明のコーティング剤組成物から半硬化膜を経て、硬化膜を得るための方法につき説明する。当該コーティング剤組成物から半硬化膜を経て、最終的な硬化膜を収得するには、当該樹脂組成物中のエポキシ樹脂用硬化剤やエポキシ重合触媒の種類、更には半硬化条件などを慎重に選択することが重要となる。エポキシ樹脂用硬化剤として、フェノール樹脂系硬化剤、ポリカルボン酸系硬化剤等の潜在性硬化剤を用い、錫系のゾル−ゲル硬化触媒をメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の固形残分当り0.05〜5%程度配合することが好ましい。上記コーティング剤組成物を用いて半硬化膜を作製するには、好ましくは40〜150℃で加熱することにより、溶剤を含有している場合には溶剤を蒸発させ、当該樹脂組成物中に含有されるメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のメトキシシリル部位のゾル−ゲル硬化を70%以上、好ましくは90%以上進行させ、シロキサン結合を生成させる必要がある。なぜなら、メトキシシリル部位のゾル−ゲル硬化反応ではメタノールが発生するため、半硬化膜作製時のゾル−ゲル硬化の進行が少ないと、これに引き続く完全硬化反応において硬化収縮やクラック、発泡が生じる可能性があるためである。こうして得られた半硬化膜は60〜150℃に加熱することによって軟化し、各種基材などの密着が可能になる。コーティング剤組成物の必須成分であるメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂において、メトキシシラン部分縮合物(3)としてメチルトリメトキシシラン部分縮合物を用いた場合には、半硬化膜が加熱時に適度に軟化し、密着しやすいため好ましい。その後、当該加工させた半硬化膜を150〜250℃で加熱することで、当該エポキシ基とエポキシ樹脂用硬化剤とが硬化し、目的とする硬化膜が得られる。
【0047】
本発明のコーティング剤組成物は、シーラー、プライマー、床剤の表面コート剤、プラスチック用ハードコート剤などの塗料;メッキ用アンカーコート、金属蒸着アンカーコートなどのアンカーコート剤;電子材料用、液晶板用、建材用などのシーリング剤;プリント基板用、建材用などの接着剤などに好適であり、上記硬化方法の何れかを適用して容易に硬化膜を形成させることができる。
【0048】
本発明のコーティング剤組成物の各種用途への適用例を後述する。本発明のコーティング剤組成物は、無機基材の1層目に塗工される塗料(シーラー)として特に有用である。ここで無機基材とはコンクリート、モルタル、ガラス等のセラミック基材の他、鉄、ステンレス、マグネシウム合金、亜鉛合金などの金属基材をも包含する。当該シーラーを屋外で施行する場合には、加熱硬化が困難なため室温硬化が可能なポリアミン系硬化剤を用いて、上記の直接硬化膜を得る方法で硬化させるのがよい。一方、焼き付け塗装が可能な場合には、上記の各種エポキシ樹脂用硬化剤を使用し、所定の加熱条件下で硬化膜を得ることができる。当該塗料を基材に塗工する方法としては、刷毛塗り、スプレーコート、ロールコート、ディップコートなど何れの手法も適用でき、必要に応じて有機溶剤で粘度調整することにより通常5〜100μm程度の硬化膜となるよう塗工される。なお当該塗料には、防錆性などを向上するために、各種フィラーを配合してもよい。当該フィラーの種類も特に限定されないが、チタン白、黄色酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料;シリカ、タルク、沈降性バリウム等の体質顔料;亜鉛華、リン酸アルミニウム系等の防錆顔料等を例示できる。
【0049】
本発明のコーティング剤組成物をプライマーとして使用する場合には、例えば特開平6−128353号公報に記載されるような床材用プライマーの使用方法を適用できる。コンクリートなど基材の上に沸点が150℃未満の溶剤を含むコーティング剤組成物を硬化膜の膜厚が3〜50μm程度になるよう塗布し、室温で1時間〜2日間放置して硬化させる。室温硬化であるため、エポキシ樹脂用硬化剤にはポリアミン系硬化剤を用いるのが好ましい。硬化時間は硬化剤であるポリアミン系硬化剤の可使時間などを考慮して決定できる。当該プライマーを硬化させた後は、常法に従って、例えば床材用エポキシ樹脂が塗工される。本発明のコーティング剤組成物は、コンクリートなどの無機基材に対する密着性が特に良好なことから、ブリスターなどの生じない高耐久性コーティング硬化物となる。
【0050】
本発明のコーティング剤組成物を床材の表面コーティングに適用する場合には、例えば特開平4−224858号、特開平6−128353号公報に記載された方法を採用できる。すなわち、本発明のコーティング剤組成物をプライマー処理したコンクリートに、硬化膜の膜厚が100〜5000μm程度になるように、ローラーを用いて塗布し、1〜7日間、室温硬化させる。当該コーティング剤組成物には、無溶剤下に製造したメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、およびエポキシ樹脂用硬化剤としてポリアミン系硬化剤が必須成分とされるが、その他の成分として、上記シーラーの調製に用いた充填剤や可塑剤を適宜に配合できる。
【0051】
本発明のコーティング剤組成物をプラスティック用ハードコート剤として使用する場合には、プラスチック基材上に当該コーティング剤組成物を硬化膜の膜厚が5〜50μm程度になるよう公知の方法によって塗布し、直接硬化膜を得る方法によって硬化させればよい。当該硬化温度は基材プラスチックの熱変形温度以下に設定する必要があるため、硬化剤としてポリアミン系エポキシ樹脂用硬化剤を用い低温硬化させるのが好ましい。
【0052】
本発明のコーティング剤組成物をアンカーコート剤として使用する場合には、基材上に硬化膜の膜厚が2〜100μm程度になるよう、上記塗料の塗工方法と同様に塗布し、直接硬化膜を得る方法で硬化させればよい。硬化膜上にメッキを施す場合には、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、金属をめっき処理する。当該めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また上記の粗化剤としては、硫酸、重クロム酸、酸化剤、アルカリの中から選ばれた少なくとも1種が用いられる。本発明のコーティング剤組成物から得られる硬化膜は、これらの粗化剤によって適度に表面が荒れているため、メッキ層との密着性に優れている。また金属蒸着を施す場合には、硬化膜を上にして、従来公知のシリカ、アルミニウム、アルミナなどの金属又は金属酸化物を蒸着させればよい。
【0053】
本発明のコーティング剤組成物を建材用シーリングや接着剤として使用する場合には、例えば、特開平10−204152号記載の方法を例示できる。すなわち、建材用シーリングや接着剤を調製するには、無溶剤下に製造されたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有するコーティング組成物を用いるのがよく、これに充填剤や可塑剤を加え、公知の混練機を用いて強力混練すればよい。当該充填剤としては、各種形状の有機または無機充填材を使用できるが、酸性または中性のものを選定するのが好ましい。当該充填剤としては、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;けいそう土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;あるいはカーボンブラック;炭酸カルシウム等が挙げられる。なお、塩基性を示す充填剤は、当該シーリング剤のゾル−ゲル硬化を過度に促進し、十分なポットライフが得られないため好ましくない。充填剤の配合量は、硬化物の物性面から、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の固形残分100重量部に対して、50〜150重量部であることが好ましい。使用するエポキシ樹脂用硬化剤としては室温硬化が可能なポリアミン系硬化剤が好ましい。作業性の点からジオクチルフタレート、ジブチルフタレートなどの可塑剤を用い、建材用シーリングや接着剤の粘度が25℃で1000〜100000mPa・s程度となるよう調整するのがよい。
【0054】
本発明のコーティング剤組成物をプリント基板用接着剤として使用する場合には、例えば特開平5−51571号、特開平6−145628号公報に記載された方法を適用できる。すなわち、当該プリント基板用接着剤は、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤を必須成分とするが、これら成分以外にポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、イミド系樹脂、ゴム系樹脂などの樹脂成分や、各種無機・有機フィラーなどを適宜に併用して調製できる。また作業性の面から、有機溶剤、好ましくは沸点が150℃未満のものを適宜に配合してもよい。当該プリント基板用接着剤は、半硬化膜を経て銅箔と接着させる必要があるため、これに用いるエポキシ樹脂用硬化剤としては、フェノール樹脂系硬化剤、ポリカルボン酸系硬化剤等の潜在性硬化剤が好ましい。当該プリント基板用接着剤の具体的な使用方法としては、コーティング剤組成物をポリイミドなど絶縁フィルム上に塗布し、上記方法に従って5〜50μm程度の半硬化膜を形成させた後、当該半硬化膜上に銅箔を重ねて、60〜150℃でラミネートし、当該ラミネートを150〜250℃で加熱硬化させることにより、積層板を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱性、耐熱分解性、低熱膨張性、密着性、耐酸性、耐傷つき性に優れ、しかも透明な硬化膜を収得しうるコーティング剤組成物を提供しうる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、各例中、%は特記なし限り重量基準である。
【0057】
製造例1(メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造)
攪拌機、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名「エポトートYD−011」、エポキシ当量475g/eq、m=2.2)180g、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名「エポトートYD−127」、エポキシ当量190g/eq、m=0.1)455.6g、およびグリシドール(日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)48gを加え、80℃で溶融混合させた。更にポリ(メチルトリメトキシシラン)(多摩化学(株)製、商品名「MTMS-A」、平均繰り返し単位数3.2)348g、および触媒としてジブチル錫ジラウレート1.0gを加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が94%のメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。
なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は267g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とグリシドール(2)の水酸基との合計当量/メトキシシシラン部分縮合物(3)のメトキシ基の当量(当量比)は0.22、グリシドール(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.08であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は274g/eqであった。
【0059】
製造例3
製造例1と同様の反応装置に、半固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名「エピコート834」、エポキシ当量250g/eq、m=0.6)300g、およびグリシドール55.9gを加え、80℃で溶融混合させた。更にMTMS-Aを160.2g、およびジブチル錫ジラウレートを0.5g加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が97%のメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。
なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は250g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とグリシドール(2)の水酸基との合計当量/メトキシシシラン部分縮合物(3)のメトキシ基の当量(当量比)は0.44、グリシドール(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.19であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は235g/eqであった。
【0060】
製造例4
製造例1と同様の反応装置に、エポトートYD−011を300g、エピコート834を275.7g、グリシドール51.4g、およびメチルエチルケトン600gを加え、80℃で溶解させた。更にMTMS-Aを371.9g、およびジブチル錫ジラウレートを1.5g加え、窒素気流下にて、80℃で6時間、生成するメタノールと共に脱溶剤反応をさせ、有効成分(硬化後)が69%のメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。
なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は367g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とグリシドール(2)の水酸基との合計当量/メトキシシシラン部分縮合物(3)のメトキシ基の当量(当量比)は0.30、グリシドール(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.09であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は510g/eqであった。
【0061】
製造例5
製造例1と同様の反応装置に、エポトートYD−011を380g、エポトートYD−127を636.4g、グリシドール181.8gを加え、80℃で溶融混合させた。更にポリ(テトラメトキシシラン)(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、平均繰り返し単位数4.0)815.3g、およびジブチル錫ジラウレートを0.5g加え、窒素気流下にて、90℃で6時間、脱メタノール反応させた。更に50℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が83%のメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。
なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は293g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とグリシドール(2)の水酸基との合計当量/メトキシシシラン部分縮合物(3)のメトキシ基の当量(当量比)は0.20、グリシドール(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.18であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は280g/eqであった。
【0062】
比較製造例1
エポトートYD−127をそのまま用いた。
【0063】
比較製造例2
製造例1と同様の反応装置に、エポトートYD−127を775g加え、80℃で溶解させた。MTMS-Aを296g、およびジブチル錫ジラウレートを1.0g加え、窒素気流下にて、90℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が93%のメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。
なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は185g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基の当量/メトキシシシラン部分縮合物(3)のメトキシ基の当量(当量比)は0.05であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は250g/eqであった。
【0064】
比較製造例3
製造例1と同様の反応装置に、エポトートYD−011を300.0g、エポトートYD−127を1250g加え、80℃で溶解させた。更にMTMS-Aを581.4g、およびジブチル錫ジラウレートを1.0g加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が95%のメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。
なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は210g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基の当量/メトキシシシラン部分縮合物(3)のメトキシ基の当量(当量比)は0.112であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は280g/eqであった。
【0065】
実施例1〜5(コーティング剤組成物の調製)
製造例1〜5で得られた各樹脂をメチルエチルケトンで希釈し、ジシアンジアミドのジメチルホルムアミド15%溶液を、ジシアンジアミドのアミノ基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=1.0になるように加え、各コーティング剤組成物を調製した。
【0066】
比較例1〜3
比較製造例1〜3で得られた各樹脂溶液に、ジシアンジアミドのジメチルホルムアミド15%溶液を、ジシアンジアミドのアミノ基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=1.0になるように加え、各エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0067】
実施例6、7および比較例4、5(コーティング剤組成物の調製)
製造例1、5および比較製造例1、2で得られた各樹脂に、フェノールノボラック樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名「タマノル759」、フェノール当量106g/eq)のメチルエチルケトン60%溶液を、フェノール樹脂の水酸基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=1.0になるように加え、更に固形残分当り、オクチル酸錫を0.5%、2−メチルイミダゾールを0.1%をそれぞれ加え、コーティング剤組成物を調製した。
【0068】
実施例8〜12および比較例6、7(コーティング剤組成物の調製)
製造例1〜5、比較製造例1、2で得られた各樹脂に、アミノポリアミド樹脂(東都化成(株)製、商品名「グッドマイドG―725」)のメチルイソブチルケトン60%溶液を、アミノポリアミド樹脂のアミノ基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=0.9になるように加え、更に固形残分当り、オクチル酸錫を0.5%をそれぞれ加え、コーティング剤組成物を調製した。
【0069】
実施例13〜17および比較例8、9(コーティング剤組成物の調製)
製造例1〜5で得られた各樹脂に、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を、フェノール樹脂の水酸基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=0.9になるように加え、更に固形残分当り、オクチル酸錫を0.5%をそれぞれ加え、コーティング剤組成物を調製した。
【0070】
実施例18、19および比較例10、11(コーティング剤組成物の調製)
製造例1及び5で得られた各樹脂に、複素環式アミン硬化剤(油化シェルエポキシ(株)製、商品名「エポメートRX2」)を、複素環式アミン硬化剤のアミノ基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=0.9になるように加え、更に固形残分当り、オクチル酸錫を0.5%をそれぞれ加え、コーティング剤組成物を調製した。
【0071】
(収縮・外観)
実施例1〜19及び比較例1〜11で得られた各樹脂組成物を、ガラス板に塗布し、バーコーター#30で塗布し、実施例1〜7及び比較例1〜5は100℃で15分、更に210℃で2時間硬化し、実施例8〜12及び比較例6、7は130℃20分、更に170℃1時間硬化し、実施例13〜17、及び比較例8、9は200℃で5時間硬化し、実施例18、19及び比較例10、11は室温のまま1日硬化させた。得られた硬化膜の状態(収縮、外観)を以下の基準で評価した。結果を表1および表2に示す。
【0072】
収縮評価の基準
○:硬化物にクラック、そりがない。
△:硬化物にそりが存在する。
×:硬化物にクラックがある。
【0073】
外観評価の基準
○:透明。
△:曇りがある。
×:白化している。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
表1および表2の対比から明らかなように、各実施例のコーティング剤組成物は、いずれも透明でボイド、クラックのない硬化膜を作製することができたが、比較例2、5、7、9、11のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂とシリカの相分離によって白化しており、非常に脆く、硬化膜に割れが存在した。
【0077】
(安定性)
実施例6、7及び13〜17のコーティング剤組成物を室温で保存した場合、1ヶ月後の粘度変化が20%以内であり、硬化剤と一体化したいわゆる一液タイプの樹脂組成物として、シーラー、プライマー、プラスチック用ハードコート剤などの塗料、メッキ用アンカーコート、金属蒸着アンカーコート、プリント基板用接着剤などに有用であると認められる。
【0078】
(耐熱性)
実施例1〜7および比較例1、3で得られたコーティング剤組成物をアルミ製の容器(縦×横×深さ=10cm×10cm×1.5cm)に注ぎ、(外観・収縮)の項目と同様の硬化条件で作製した膜厚約400μmの硬化膜を6mm×25mmにカットし、粘弾性測定器(レオロジ社製、商品名「DVE−V4」、測定条件振幅1μm、振動数10Hz、スロープ3℃/分)を用いて動的貯蔵弾性率E’、Tanδを測定して、耐熱性を評価した。測定結果を図1〜図4に示す。
【0079】
図1から明らかなように、比較例1では、硬化膜(エポキシ樹脂硬化膜)は90℃付近で貯蔵弾性率が大幅に低下している。比較例3では改善は見られるものの十分ではない。実施例1〜3では、硬化膜の貯蔵弾性率が急激には低下せず、耐熱性に優れていると認められる。
【0080】
また図3から明らかなように、実施例4、6は、高温で高い弾性率を保っており、耐熱性に優れていると認められる。また実施例5及び7では弾性率の低下が全く見られない。
【0081】
図2および4から明らかなように、比較例1では、硬化膜(エポキシ樹脂硬化膜)のガラス転移点が認められ、また比較例3ではガラス転移点が上昇することが認められるが十分ではない。実施例1〜7のいずれも、Tanδ値から判断して、ガラス転移点は高く、消失傾向にあり、耐熱性に優れていると認められる。従って、実施例1〜7のコーティング剤組成物は、耐熱性が要求される塗料やプリント基板用耐熱接着剤として好適である。
【0082】
(耐熱分解性)
実施例1、5および比較例1〜3で得られたコーティング剤組成物をアルミホイルに塗布し、100℃で15分、210℃で1時間硬化させて、膜厚約30μmの硬化膜を作製した。アルミホイルから剥がした硬化物の熱重量損失を、示差熱・熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメンス(株)製、商品名「TG/DTA220」、測定条件:スロープ10℃/分)により測定した。結果を表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
表3から明らかなように、実施例1、5は比較例1〜3に比べて10%重量損失時の温度が十分に高く、耐熱分解性に優れているため、耐熱塗料やプリント基板用耐熱接着剤として好適である。
【0085】
(低熱膨張性)
実施例6、7および比較例1で得られたコーティング剤組成物をアルミホイルに塗布し、100℃で15分、210℃で1時間硬化させて、膜厚約30μmの硬化膜を作製した。実施例6、7および比較例4で得られた硬化膜の40〜100℃の線膨張率を、熱応力歪測定装置(前記と同じ)により測定した。結果を表4に示す。
【0086】
【表4】
【0087】
表4から明らかなように、実施例6、7は比較例4に比べて熱膨張性が低く、かつ耐熱分解性に優れているため、プリント基板用接着剤として特に有用である。
【0088】
(密着性)
実施例6〜8、11〜13、16〜19及び比較例4、6、8、11のコーティング剤組成物を用いて、更に以下のように配合した。当該配合物をペイントシェーカーで1時間練合して、固形残分50%のコーティング剤組成物(塗料)とした。得られた各塗料をバーコーターを用いて基材に塗布し、(収縮・外観)の項目と同じ硬化条件で硬化させて、膜厚20μmの硬化物を得た。
【0089】
【0090】
JIS K−5400の一般試験法によるゴバン目セロハンテープ剥離試験を行ない、以下の基準で判定した。評価結果を表5に示す。
◎―――100/100
○―――99〜95/100
△―――94〜70/100
×―――69〜0/100
【0091】
【表5】
【0092】
表5から明らかなように、各実施例のコーティング剤組成物から得られた硬化膜は、比較例のものに比べ、金属やセラミック基材に対する密着性に優れており、塗料、アンカーコート剤、建材用やプリント基板用接着剤などに好適である。
【0093】
(耐傷付き性)
上記の(密着性)の項目で使用したガラス板上の硬化膜を用いて、JIS K−5400の塗料一般試験方法による鉛筆引っかき試験を行なった。結果を表6に示す。
【0094】
【表6】
【0095】
これら実施例の硬化膜は比較例のものに比べ、耐傷つき性に優れているため、塗料、アンカーコート剤などに好適である。
【0096】
実施例20、21、および比較例12
製造例1、5および比較製造例1で得たアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂やエポキシ樹脂を用い、更に以下のように配合して、当該配合物をミキサーで1時間練合した。ついで当該練合物に対して、アミノ基の当量/エポキシ基の当量=1/1なるように、ケチミン硬化剤(油化シェルエポキシ(株)製、商品名「エピキュアH30」)を配合し、更に1分間練合して、コーティング剤組成物を得た。
【0097】
(耐酸性)
モルタル板上にローラーで塗布し、温度23℃、湿度65%の恒温室で3日間放置して、膜厚約1mmの硬化膜を得た。この硬化膜付きモルタル板をJIS A5707に準拠し、48時間スポット試験を行なった。なお、酸として10%硫酸を用いた。試験後のサンプルを目視判定し、下記の基準で評価した。評価結果を表7に示す。
○:異常なし
△:変色あり
×:ふくれ、膨潤あり
【0098】
【表7】
【0099】
実施例の硬化膜は耐酸性に優れており、シーリング剤、メッキ用アンカーコート剤として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3および比較例1、3で得られた硬化膜の動的(引っ張り)粘弾性の評価結果である。
【図2】実施例1〜3および比較例1、3で得られた硬化膜のtanδの評価結果である。
【図3】実施例4〜7および比較例1で得られた硬化膜の動的(引っ張り)粘弾性の評価結果である。
【図4】実施例4〜7および比較例1で得られた硬化膜のtanδの評価結果である。
Claims (9)
- ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)、グリシドール(2)、並びにメチルトリメトキシシランの部分縮合物および/またはテトラメトキシシランの部分縮合物(3)を脱アルコール縮合反応させて得られるメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有することを特徴とするコーティング剤組成物。
- ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)がビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項1記載のコーティング剤組成物。
- ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)の水酸基とグリシドール(2)の水酸基との合計当量/前記メトキシシシラン部分縮合物(3)のメトキシ基の当量(当量比)が、0.1〜0.6である請求項1または2に記載のコーティング剤組成物。
- エポキシ樹脂用硬化剤を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
- エポキシ樹脂用硬化剤がフェノール樹脂系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリカルボン酸系硬化剤、イミダゾール系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項4記載のコーティング剤組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング剤組成物を硬化させてなることを特徴とするコーティング剤硬化膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング剤組成物を室温〜250℃で硬化させてなるコーティング剤硬化膜の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング剤組成物を被着体(A)上に塗布し40〜150℃でゾル−ゲル硬化させて半硬化膜を得た後、当該半硬化膜上に被着体(B)を重ね、ついで150〜250℃で完全硬化させるコーティング剤硬化膜の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング剤組成物であって、塗料、アンカーコート剤、シーリング剤、接着剤からなる群から選択される少なくとも1つの用途に用いられるコーティング剤組成物。
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