JP2017039784A - 塗料組成物および塗装体 - Google Patents

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洋二 高木
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Abstract

【課題】 耐候性および親水化特性が共に優れた塗膜を形成可能な塗料組成物の提供。
【解決手段】 Si含有樹脂と、光触媒粒子と、水性媒体とを含み、前記Si含有樹脂および前記光触媒粒子が前記水性媒体に分散されてなる塗料組成物であって、前記Si含有樹脂はポリシロキサンセグメントを含んでなり、好ましくはSi含有樹脂は、JIS K7244−4に基づく固体粘弾性測定装置を用いて、測定周波数1Hzにて測定される損失正接(tanδ)の温度変化曲線におけるスペクトルピークの少なくとも1つが120℃以上180℃以下にあり、前記Si含有樹脂の粒子径が前記光触媒粒子の粒子径の1/15以下である、塗料組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建築物分野をはじめとする様々な分野において適用可能な、耐候性および親水性に優れた塗装体およびそのための塗料組成物に関する。
酸化チタンなどの光触媒が、近年広く利用されている。光エネルギーにより励起された光触媒の活性を利用して、種々の有害物質を分解することが可能となる。また、光触媒粒子を含む表面層が形成された部材表面を親水化して、表面に付着した汚れを容易に水で洗い流すことが可能となる。光触媒を含有する塗料組成物において、光触媒による酸化分解作用の影響を受け難いシリコーン樹脂がバインダーとして好適に利用されている。
例えば、特開平9−227829号公報(特許文献1)には、光触媒粒子とシリコーンとアルコール系溶媒とを含む塗料組成物が開示されている。また、特開2004−51644号公報(特許文献2)には、環境負荷を低減できる観点から、水性のシリコーンエマルションを利用した塗料組成物が開示されている。
これらの塗料組成物を用いて形成された塗膜は比較的硬いものである。例えば、基材に外力や温度変化による変形が起きた場合に、塗膜が基材の変形に追従できず、塗膜が剥離したりクラックを発生したりすることがあった。そのため、基材追従性を高め、耐クラック性を向上させた塗膜を形成するため、バインダーとして不飽和二重結合を有する有機化合物などの重合性単量体と、シラン化合物とを複合させた樹脂エマルションが提案されている。例えば、特開2008−38113号公報(特許文献3)には、エチレン性不飽和単量体と、該単量体と共重合可能な官能基を有するアルコキシシランとを、反応性乳化剤の存在下で乳化重合してなるシリコーン変性樹脂エマルションが開示されている。また、特開2008−95069(特許文献4)および特開2010−106266号公報(特許文献5)には、酸基を有する重合体セグメントと、ポリシロキサンセグメントとが結合してなる複合樹脂の水分散体が開示されている。
特開平9−227829号公報 特開2004−51644号公報 特開2008−38113号公報 特開2008−95069号公報 特開2010−106266号公報
これらの従来知られている複合樹脂を光触媒粒子と混合した塗料組成物からなる塗膜は、耐候性と親水化とがトレードオフの傾向にあることがわかった。すなわち、耐候性に優れた塗膜は親水化に時間を要し、他方、親水化が速い塗膜は耐候性が劣る傾向にあることを見出した。本発明は、耐候性および親水化特性が共に優れた塗膜を形成可能な塗料組成物の提供をその目的とする。
本発明者らは、今般、ポリシロキサンセグメントを含有するSi含有樹脂と、大粒径の光触媒粒子とを組み合わせることで、塗膜の優れた耐候性と親水化特性とを両立できるとの知見を得た。また、前記Si含有樹脂を特定のものとすることで塗膜の優れた耐候性と親水化特性とをより両立できるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
すなわち、本発明による塗料組成物は、Si含有樹脂と、光触媒粒子と、水性媒体とを含み、前記Si含有樹脂および前記光触媒粒子が前記水性媒体に分散されてなる塗料組成物であって、
前記Si含有樹脂は、ポリシロキサンセグメントを含み、かつ、親水性基含有ポリウレタンとビニル重合体とがポリシロキサンセグメントを介して結合した複合樹脂であり、
前記Si含有樹脂の粒子径が前記光触媒粒子の粒子径よりも小であることを特徴とする。
さらに本発明の一つの好ましい態様によれば、上記のSi含有樹脂が、3官能ポリシロキサンセグメントを含むものであり、かつ、JIS K7244−4に基づく固体粘弾性測定装置を用いて、測定周波数1Hzにて測定される損失正接(tanδ)の温度変化曲線におけるスペクトルピークの少なくとも1つを120℃以上180℃以下に有するものであることを特徴とする。
本発明によれば、耐候性および親水化特性が共に優れた塗膜を形成可能な塗料組成物が提供される。
実施例1において測定された、損失正接の温度変化を示す図である。
Si含有樹脂
本発明において用いられるSi含有樹脂は、ポリシロキサンセグメントを含み、かつ、親水性基含有ポリウレタンとビニル重合体とがポリシロキサンセグメントを介して結合した複合樹脂である。また、該Si含有樹脂の粒子径は光触媒粒子の粒子径よりも小である。さらに、Si含有樹脂は、塗料組成物中において水性媒体中に分散された分散質である。Si含有樹脂の一部が水性媒体中に溶解していても良い。Si含有樹脂の粒子径/光触媒粒子の粒子径で表される両者の比の好適な範囲は、1/15以下であり、より好適には1/3000以上1/15以下であり、さらに好適には1/1000以上1/15以下である。さらに好適な下限値は1/750であり、特に好適な下限値は1/300である。また、より好適な上限値は1/30である。
Si含有樹脂に含まれるポリシロキサンセグメントは、縮合反応によりシロキサン結合を形成可能な反応性基を含有することが好ましい。このような反応性基としては、Si原子に結合した、水酸基(Si−OH)またはアルコキシ基(Si−OR)が挙げられる。
(粒子径)
Si含有樹脂は、10nm以上500nm以下の粒子径を有することが好ましく、より好ましい粒子径の範囲は10nm以上200nm以下である。粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いた測定で得られたヒストグラムの最大頻度値(直径)である。
(作用機序)
Si含有樹脂は、ポリシロキサンセグメントを含む。また、その粒子径は光触媒粒子よりも小さい。それらによって、光触媒の光励起により塗料組成物から形成される塗膜が速やかに親水化する。また、長期に亘って優れた耐候性を得ることができる。これらの優れた効果が同時に実現される理由は定かではないが、以下のように考えられる。ただし、以下の説明はあくまで仮説にすぎず、本発明は何ら以下の仮説によって限定されるものではない。
耐候性が得られる理由としては、大粒径の光触媒粒子が、ポリシロキサン骨格に安定して保持されることが考えられる。また、ポリシロキサンセグメントを含むため、光触媒の光励起が効率的に進行し、塗膜はより親水化する。一方、ポリシロキサンセグメントを含まないSi含有樹脂を用いた場合は、十分に親水化しない場合がある。
塗膜中に共存する光触媒粒子の光触媒作用により、Si含有樹脂に含まれる有機成分は、酸化分解される。一方で、ポリシロキサン骨格は、残存する。光触媒粒子の粒子径をSi含有樹脂の粒子径よりも大きくすると、塗膜中のポリシロキサン骨格のネットワークが、光触媒粒子を保持するのに適したサイズになると考えられる。そのため、光触媒粒子は、長期間に亘り塗膜の表面に存在することが可能となる。この結果、塗膜は長期間に亘り親水化される。一方、光触媒粒子の粒子径がSi含有樹脂の粒子径よりも小さい場合には、例えば、ポリシロキサン骨格の間隙から光触媒粒子が脱離するなどして、塗膜の耐候性が低下したり、親水性が損なわれたりするものと考えられる。
(ポリシロキサンセグメント)
Si含有樹脂は、ポリシロキサンセグメントと有機高分子のセグメントとからなることが好ましい。より好ましくは、ポリシロキサンセグメントを含むシリコーン変性樹脂である。
さらに好ましくは、3官能ポリシロキサンセグメントを含むシリコーン変性樹脂である。変性樹脂中のポリシロキサンセグメントおよび3官能ポリシロキサンセグメントはそれぞれ、例えば、固体粘弾性測定装置(DMA)により得られる塗膜の損失正接のスペクトルにおいて、測定周波数1Hzのときに−80℃付近(±30℃)および150℃付近(±30℃)にピークが見られることにより、その存在を確認することが可能である。さらに、塗膜は、赤外線分光測定において1200〜1300cm−1にSi−CH由来のピークが検出され、1000〜1200cm−1にSi−O由来のピークが検出されることが好ましい。ポリシロキサンセグメントを主として構成するシロキサンの好ましい含有率は、SiO換算で、Si含有樹脂に対して20質量%以上85質量%以下の範囲である。この場合、優れた耐久性と耐候性とを有する塗膜を形成することができる。
(有機高分子セグメント)
Si含有樹脂に含まれる有機高分子セグメントは、塗膜を示差熱熱重量同時測定装置(TG−DTA)にて非灰分測定することより、その存在を確認することが可能である。あるいは、固体粘弾性測定装置(DMA)により得られる塗膜の損失正接のスペクトルにおいて、測定周波数1Hzのときに、ジメチルポリシロキサンのピークとメチルポリシロキサンのピークとの中間に、有機高分子セグメントのピークが見られることにより、有機高分子セグメントの存在を確認することができる。有機高分子セグメントは、各種ビニル単量体を重合してなるビニル重合体や、親水性基含有ポリウレタン、およびそれらの複合体からなる。
有機高分子セグメントは、その構成要素にシラン化合物の反応物を含有しても良い。有機高分子セグメントにシラン化合物を含有する事で、ポリシロキサンセグメントを介して結合した複合樹脂を合成することができる。このようなシラン化合物としては、カップリング作用を有するものが好ましい。具体的には、エチレン性不飽和基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ウレイド、およびスルフィド基等の群から選択される少なくとも一種の官能基と、アルコキシ基、水酸基、およびハロゲン原子等の群から選択される加水分解性または縮重合性の官能基との双方を含む化合物を用いることができる。例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを用いることができる。
(親水性官能基)
また、本発明において用いられるSi含有樹脂は、例えば、有機高分子セグメント中に親水性官能基を有してなる。これにより、例えば、Si含有樹脂の水性媒体への分散性が向上する。親水性官能基には、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基の少なくとも1種を使用できる。具体的には、アニオン性基、あるいは、アニオン性基およびノニオン性基の併用が好ましい。これにより、Si含有樹脂は光触媒粒子と共に安定して分散することができる。
アニオン性基としては、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基、燐酸基、酸性燐酸エステル基、亜燐酸基、スルフィン基等が挙げられる。特に、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基のいずれか1種または2種以上を使用することが好ましい。また、これらのアニオン性基のうち、酸基の全部または一部が塩基性化合物で中和された、カルボキシレート基、スルホネート基がより好ましい。
ノニオン性基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)基等のポリオキシアルキレン基から1種以上を使用することが好ましい。
(酸価)
アニオン性基は、酸価が10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下の範囲でSi含有樹脂中に含有されることが好ましい。これにより、Si含有樹脂は、水性媒体中により安定に分散される。酸価は、JIS K0070(1992)により測定することができる。酸価のより好ましい下限値は15mgKOH/gであり、さらにより好ましい下限値は18mgKOH/gである。また、酸化のより好ましい上限値は32mgKOH/gである。本発明に用いられるSi含有樹脂において、より好ましい酸価の範囲は、例えば15mgKOH/g以上40mgKOH/g以下、18mgKOH/g以上40mgKOH/g以下、10mgKOH/g以上32mgKOH/g以下、15mgKOH/g以上32mgKOH/g以下、18mgKOH/g以上32mgKOH/g以下である。当該範囲であれば、Si含有樹脂が自己分散性を有するので、塗料組成物に分散剤を添加させなくて良い。これにより、親水化と耐候性とが両立される。
(親水性基含有ポリウレタン)
親水性基含有ポリウレタンとしては、前記アニオン性、ノニオン性の官能基から選択される1種、または2種以上の前記親水性基を含有したポリウレタンを使用することができ、例えば、前記親水性官能基を含有したポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタンを使用することができる。親水性基含有ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールや、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得ることができ、単独、または2種以上を組み合わせることも可能である。ポリイソシアネートとしては、イソホロジンイソシアネートのような脂肪族、または脂肪族環式構造含有ジイソシアネート等を単独、または2種以上を組み合わせることも可能である。
(ビニル重合体)
ビニル重合体としては、各種ビニル単量体を重合する事によって得る事ができる。例えば、アクリル酸エステル類やアミノ基、芳香族環が含有されたビニル単量体や、加水分解性シリル基含有ビニル単量体や水酸基含有ビニル単量体など、必要に応じて単独、または2種以上を組み合わせる事も可能である。
(複合樹脂)
Si含有樹脂は、前記親水性基含有ポリウレタンと前記ポリシロキサンセグメントが有する加水分解性シリル基またはシラノール基との反応によって形成され、前記ビニル重合体と前記ポリシロキサンセグメントも同様に加水分解性シリル基またはシラノール基との反応によって形成されており、ポリシロキサンセグメントを介して親水性基含有ポリウレタンとビニル重合体とが結合している。
(Si含有樹脂の製造)
Si含有樹脂は、多段重合により得る。具体的には、以下の(1)〜(4)のいずれか、または複数を組み合わせて得る。(1)重合性単量体と、ポリシロキサンとを共重合(ブロック共重合および/またはグラフト共重合)する方法。ここで、重合性単量体は、ポリウレタンを形成可能な単量体、各種ビニル単量体のいずれか、または双方を用いる。また、重合性単量体は、ケイ素を含有しない重合性単量体を含む。ケイ素を含有する重合性単量体をさらに含んでも良い。(2)有機溶剤中で加水分解性ケイ素化合物と、ケイ素を含有しない重合性単量体と、を重合させて得た重合体に、水を添加する。そして、加水分解性ケイ素化合物を縮重合させてポリシロキサンセグメントを形成する。これにより、Si含有樹脂を得る方法。(3)有機溶剤中で加水分解性ケイ素化合物と、ケイ素を含有しない重合性単量体とを重合させて重合体を得る。この重合体に、加水分解性ケイ素化合物を逐次供給して、ポリシロキサンセグメントを形成する。これにより、Si含有樹脂を得る方法。(4)有機溶剤中で加水分解性ケイ素化合物と、ケイ素を含有しない重合性単量体とを重合させて重合体を得る。この重合体に、加水分解性基を有するポリシロキサンを供給して、縮重合してSi含有樹脂を得る方法。なお、ポリシロキサンを形成可能なケイ素化合物と、重合性単量体とを乳化重合させたものは、ポリシロキサンセグメントを形成し難いので好ましくない。(1)に類する製造方法としては、例えば、特開平9−52923号公報に記載されたエマルションの製造方法が利用可能である。また、上記の特許文献4および特許文献5に記載された複合樹脂の製造方法も好適に利用できる。特許文献4および特許文献5には、(2)の方法にて作製された樹脂成分に、加水分解性基を含有するポリシロキサンを添加して、樹脂成分と、ポリシロキサンとを結合する方法が開示されている。この方法は、(4)の方法における重合体を(2)の方法により調製したものということができる。すなわち、(2)と(4)の組合せの一例といえる。
光触媒粒子
本発明に用いられる光触媒粒子は、光触媒活性を有する粒子であれば、種類は特に限定されない。光触媒粒子の例としては、酸化チタン(TiO)、ZnO、SnO、SrTiO、WO、Bi、Feのような金属酸化物の粒子が挙げられる。好ましくは酸化チタン粒子、より好ましくはアナターゼ型酸化チタン粒子である。酸化チタンは、無害で、化学的にも安定で、かつ、安価に入手可能である。また、酸化チタンはバンドギャップエネルギーが高い。従って、光励起には紫外線を必要する。また、光励起の過程で可視光を吸収しないので、補色成分による発色が起こらない。酸化チタンは、粉末状、ゾル状、溶液状など様々な形態で入手可能である。光触媒活性を示すものであれば、いずれの形態でも使用可能である。
酸化チタンは、太陽光や蛍光灯等に含まれる紫外線により励起されて光触媒反応を引き起こす。近年、白色発光ダイオード等、紫外線がほとんど含まれない光源が普及してきている。そのため、可視光応答性を持つ光触媒材料が各種提案されている。例えば、窒素原子やアニオン性原子をドープした酸化チタン、銅化合物を酸化チタン粒子に担持したもの、酸化チタン粒子と酸化タングステンとの複合材料等が挙げられる。これらの可視光応答性を持つ光触媒材料も、本発明に用いることが可能である。
本発明に用いる光触媒粒子の粒子径は、Si含有樹脂の粒子径よりも大きい。本発明の好ましい態様によれば、光触媒粒子は1μm以上30μm以下の粒子径を有するのが好ましい。光触媒粒子の粒子径は、より好ましくは、3μm以上30μm以下である。なお、この粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置で得られたヒストグラムの最大頻度値(直径)である。光触媒粒子の粒子径をこの範囲内とし、Si含有樹脂の粒子径を上述した範囲とすることにより、長期間に亘り安定して光触媒粒子を塗膜に保持できる。さらに、塗料の使用量を無駄に増やすことなく、下地の隠蔽性を十分に確保することが可能となる。
一般に、光触媒粒子は、粒子径が小さいほど比表面積が大きくなるので、高い光触媒活性が得られる点で好ましいとされている。そのため、粒子径が数100nm以下のナノ粒子が広く用いられている。しかしながら、本発明にあっては、従来よりもはるかに大きい粒子を用いる点で特異である。このような大きい粒子を使用し、かつ、Si含有樹脂と組み合わせることで、優れた耐候性と親水特性とを両立する塗膜を実現できることは上述した通りである。
本発明に用いられる光触媒粒子は、ナノ粒子が凝集した、いわゆる二次粒子であることが好ましい。一次粒子の粒子径は1nm以上300nm以下であることが好ましい。一次粒子の粒子径は10nm以上200nm以下であることがさらに好ましい。凝集粒を使用することにより、光触媒粒子の比表面積が大きくなり、光触媒活性をより高めることができる。ここで、一次粒子の粒子径は、光触媒粒子材料の乾燥体または塗膜の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により求めることができる。具体的には、SEMにより20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子の形状としては球状が最も良いが、異形状でも良い。異形状の場合、その粒子の長さは、例えば、((長径+短径)/2)として略算出される。
本発明の塗料組成物における光触媒粒子の含有量は、塗料組成物の固形分に対して、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。5質量%を超え15質量%以下であることが、より好ましい。この範囲とすることで、塗膜の光触媒作用による親水化を速やかに達成することができる。また、適度な塗膜強度を得ることができる。
本発明の好ましい態様によれば、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、鉛、銅、銀、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属および/またはその金属からなる金属化合物を、塗料組成物に添加することができる。これにより、さらに高い光触媒能が発現される。この添加は、前記金属または金属化合物を塗料組成物に混合し、溶解または分散させる方法、前記金属または金属化合物を光触媒媒粒子に担持させる方法等のいずれの方法によっても行うことができる。
体質顔料
本発明に用いられる体質顔料は、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、タルク、硫酸バリウム、珪砂、珪藻土、カオリン、クレー、陶土、炭酸バリウム、亜鉛華からなる群から選択される少なくとも一種である。塗膜の耐酸性を向上させるという観点から、体質顔料は、タルク、硫酸バリウム、珪砂、カオリンからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
着色顔料
本発明の好ましい態様によれば、無機顔料、有機顔料より選択される着色顔料を塗料組成物に含有させることができる。
無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、酸化クロム、コバルトブルー、鉄黒などの金属酸化物系、アルミナホワイト、黄色酸化鉄などの金属水酸化物系、紺青などのフェロシアン化合物系、黄鉛、ジンクロメート、モリブデンレッドなどのクロム酸鉛系、硫化亜鉛、朱、カドミウムイエロー、カドミウムレッドなどの硫化物系、セレン化合物、、群青などの珪酸塩系、カーボンブラックなどの炭素系、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛粉などの金属粉系、雲母・酸化チタン系などのパール顔料系等の着色顔料が好適に利用できる。
有機顔料としては、ナフトールグリーンBなどのニトロソ系顔料、ナフトールSなどのニトロ顔料系、リソールレッド、レーキレッドC、ファストイエロー、ナフトールレッドなどのアゾ顔料系、アルカリブルーレッド、ローダミンレーキ、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレッド、イソインドリノンイエローなどの縮合多環顔料系等の有機系の着色顔料が好適に利用できる。
本発明にあっては、光触媒粒子が非常に大きな粒子径を有する。そのため、本発明の塗料組成物は下地の隠蔽性に優れた着色塗料として用いられることが好ましい。この場合、塗料組成物における光触媒粒子、Si含有樹脂、および顔料は以下の配合割合とすることが好ましい。
光触媒粒子:固形分に対して5質量%以上20質量%以下、より好ましくは5質量%を超え15質量%以下、
Si含有樹脂:固形分に対して30質量%以上70質量%以下、より好ましくは40質量%以上65質量%以下、
体質顔料:固形分に対して5質量%以上15質量%以下、より好ましくは5質量%以上10質量%以下
着色顔料等:残部、
当該範囲とすることで、上記の効果を損なわずに実用的な着色塗料を得ることができる。
水性媒体
本発明で使用する水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、および、これらの混合物が好ましく挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類、N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良い。また水と、水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良い。水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水および水と混和する有機溶剤の混合物が好ましい。水のみが特に好ましい。水性媒体の量は適宜決定されてよい。水系媒体は、例えば、塗料組成物において、固形分濃度が30質量%以上80質量%以下となるような量で添加されることが好ましい。30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。固形分濃度がこの範囲にあることで、場合により、塗料組成物の保管安定性や塗装作業性、被膜の隠蔽性を確保できる。
任意成分
本発明の好ましい態様において、本発明による塗料組成物は、光触媒活性を損なわない範囲で、無機酸化物粒子をさらに含んでよい。無機酸化物粒子としては、例えば、屈折率2以下のものを用いることができる。屈折率2以下の無機酸化物粒子の例としては、具体的には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、セリア、イットリア、ボロニア、マグネシア、カルシア、ハフニア等の単一酸化物の粒子、ケイ酸カルシウム等の複合酸化物の粒子などが挙げられる。この無機酸化物粒子は、上記光触媒粒子、上記体質顔料および上記着色顔料とは異なる酸化物粒子である。
本発明の一つの態様において、本発明による塗料組成物には、光触媒活性を損なわない範囲で、着色顔料粒子、ラテックス・アクリルビーズ等の樹脂粒子、雲母・ガラスビーズ等の意匠材粒子などが添加されてもよい。
本発明の一つの態様において、本発明による塗料組成物には、必要に応じて、粘土鉱物、ワックス、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤等の各種添加剤を添加することができる。
塗料組成物の製造
本発明の塗料組成物は、光触媒粒子、Si含有樹脂の分散体、および所望により、顔料を上記特定の配合比率で水性媒体中に分散させることにより得ることができる。光触媒粒子および顔料は、それぞれ、粉体を使用しても良く、粉体から予め調製したスラリーを使用しても良い。光触媒粒子を分散させる際には、光触媒粒子の粒子径が所定範囲よりも小さくならないよう、攪拌条件に留意する。ガラスビーズやセラミックビーズ等の分散用メディアを用いた機械式分散機により湿式粉砕すると、過剰なせん断力がかかる。本発明の塗料組成物を製造する場合は、ガラスビーズ等の分散用メディアを使用せず、縦型1軸式で軸先端にディスクが装着した攪拌装置(例えば井上製作所製ディゾルバー)等の混練装置を用いることが好ましい。
塗料組成物が適用される基材
本発明による塗料組成物は、基材の表面に光触媒性被膜を形成するためのものである。本発明に用いられる基材は、その表面上に光触媒層を形成可能な材料であればよい。基材は、無機材料、有機材料を問わず種々の材料であってよい。基材は、その形状も限定されない。材料の観点からみた基材の好ましい例としては、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、ゴム、石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、木、紙、それらの組合せ、それらの積層体、それらの表面に少なくとも一層の被膜を有するものが挙げられる。用途の観点からみた基材の好ましい例としては、建材、建物外装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物における外装、内装および塗装、機械装置や物品の外装および内装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレ−ルの外装及び塗装、トンネルの内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、台及び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シート、シール等といった外装材および内装材が挙げられる。
塗料組成物の適用
本発明による塗料組成物は、上述の基材に適用される。その後適宜乾燥して、光触媒粒子を含有する光触媒層の形成のために用いられる。塗料組成物の適用は、刷毛塗り、ローラー塗布、スプレーコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、流し塗り、スクリーン印刷等、一般に広く行われている塗布方法を利用できる。塗料組成物の基材への塗布後は、常温乾燥させればよい。必要に応じて加熱乾燥してもよい。例えば、好ましい乾燥温度は5℃以上500℃以下である。基材の少なくとも一部に樹脂が含まれる場合、樹脂の耐熱温度等を考慮し、例えば好ましい乾燥温度は10℃以上200℃以下である。このようにして得られた光触媒部材が本発明の塗装体である。
塗料組成物が適用された後、加熱乾燥処理または焼成処理に付す場合、これらの処理は少なくとも基材表面に熱が到達する方法であればいずれの方法も利用可能である。すなわち、基材全体を加熱しても、基材表面を部分的に加熱してもよい。
本発明において、塗料組成物の基材への適用の前に、基材表面を予備加熱してもよい。予備加熱は、基材の表面を好ましくは20℃以上200℃以下に加熱することにより行われる。加熱された基材表面に塗布された光触媒塗料組成物は、均一で密着性や膜強度に優れた被膜が得られるので有利である。
本発明の好ましい態様によれば、塗料組成物を基材に適用する際に、基材との密着性を向上させるために、基材への前処理を施しても良い。前処理の好ましい例としては、洗浄、研磨、電解研磨、電気的酸化、サンドブラスト等が挙げられる。また、下塗剤を塗布等の方法により基材上に適用してプライマー層を形成した上で、本発明の塗料組成物により光触媒層を形成させても良い。
塗装体
本発明による塗装体は、基材と、当該基材の表面に適用され、形成されてなる本発明の塗料組成物からなる光触媒層とから少なくともなる。本発明による塗料組成物を基材に適用した結果得られる光触媒層は、膜厚が1μm以上100μm以下であることが好ましく、3μm以上50μm以下であることがより好ましい。さらには、当該範囲であって、かつ、光触媒粒子の粒子径以上の膜厚を有することが好ましい。この範囲内であれば、光触媒粒子を塗膜の内部に保持できるため、十分な耐候性が発現可能となる。
本発明を以下の例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の例において塗料組成物の調製にて使用した原料は以下の通りである。
光触媒粒子
・光触媒粉体:アナターゼ型酸化チタン粉体(石原産業(株)社製、商品名:ST−21)
・光触媒分散体:アナターゼ型酸化チタンゾル(石原産業(株)社製、商品名:STS−21)
Si含有樹脂分散体
1.3官能ポリシロキサンセグメントを有するSi含有樹脂分散体1:ウレタン複合ポリシロキサン変性アクリル樹脂ディスパージョン(Si含有樹脂濃度35質量%、Si含有樹脂の粒子径:70nm、酸価19mgKOH/g、シロキサン含有率(SiO2換算)30質量%)
2.3官能ポリシロキサンセグメントを有するSi含有樹脂分散体2:ポリシロキサン変性アクリル樹脂ディスパージョン(Si含有樹脂濃度40質量%、Si含有樹脂の粒子径:80nm、酸価31mgKOH/g、シロキサン含有率(SiO2換算)30質量%)
3.ポリシロキサンセグメントを有しないSi含有樹脂分散体4:ポリシロキサン変性アクリル樹脂エマルション(Si含有樹脂濃度40質量%、Si含有樹脂の粒子径:80nm、シロキサン含有率(SiO2換算)25質量%)
4.ポリシロキサンセグメントを有しないSi含有樹脂分散体5:シリコーン変性アクリル樹脂エマルション(Si含有樹脂濃度50質量%、Si含有樹脂の粒子径:180nm、シロキサン含有率(SiO2換算)2質量%)
5.ポリシロキサンセグメントを有しないSi含有樹脂分散体6:3官能ポリシロキサンを主として含むシリコーン樹脂エマルション(Si含有樹脂濃度50質量%、Si含有樹脂の粒子径:2600nm、シロキサン含有率(SiO2換算)95質量%)、およびSi元素を含有しないアクリル樹脂エマルション(粒子径:180nm、樹脂濃度50質量%)を等量(固形分の質量比)混合した樹脂混合物。
体質顔料
・珪砂紛体(山森土本鉱業所(株)社製、商品名:SS−100)
着色顔料
・アルミナおよびシリカを被覆したルチル型酸化チタン粉体(石原産業(株)社製、商品名:CR−90)
実施例1
光触媒粉体と、Si含有樹脂分散体1と、顔料とを、イオン交換水に分散した塗料組成物1を調製した。この塗料組成物は、固形分濃度が38質量%である。また総固形分質量に対して、光触媒粒子を15質量%、Si含有樹脂成分を45質量%、体質顔料として珪砂を5質量%、着色顔料を35質量%含有している。分散は、湿式にて、分散メディアを使用せず、縦型1軸式で軸先端にディスクが装着された攪拌装置(井上製作所製ディゾルバー MODEL C−4、ブレード80φmm)にて30分間400rpmで攪拌することで行った。この塗料組成物において、光触媒粒子の粒子径は10μm、顔料の粒子径は0.8μmであった。なお、粒子径は、日機装 マイクロトラック MT3000IIを用いて得られた粒度分布の各ヒストグラムの頂点の値を読み取ることで算出した。
この塗料組成物をPTFE製のシートに15mil(1mil=25.4μm)ギャップのフィルムアプリケーター(安田精機製作所製NO.548−YKG)で塗装し乾燥させ約80μmの塗膜(光触媒層)を得た。この塗膜を10mm×30mmの短冊状に切断しPTFE製のシートから剥がし、試料を得た。この試料を固体粘弾性装置に設置し、引っ張りモードにて周波数1Hzで損失正接を測定した。図1に損失正接の温度変化曲線を示す。図1において151℃にピークが見られた。
実施例2
Si含有樹脂分散体2を使用した以外は実施例1と同様に塗料組成物2を調製した。この塗料組成物2を用いて実施例1と同様に得た試料は損失正接の温度変化曲線において151℃にピークが見られた。
実施例3
総固形分質量に対して、光触媒粉体を10質量%、Si含有樹脂成分を45質量%、体質顔料として珪砂を10質量%、着色顔料を35質量%含有する以外は、実施例1と同様に塗料組成物3を調製した。この塗料組成物3を用いて実施例1と同様に得た試料は損失正接の温度変化曲線において151℃にピークが見られた。
実施例4
総固形分質量に対して、光触媒粉体を5質量%、Si含有樹脂成分を45質量%、体質顔料として珪砂を15%、着色顔料を35質量%含有する以外は、実施例1と同様に塗料組成物4を調製した。この塗料組成物4を用いて実施例1と同様に得た試料は損失正接の温度変化曲線において151℃にピークが見られた。
実施例5
総固形分質量に対して、光触媒粉体を15質量%、Si含有樹脂成分を70質量%、体質顔料として珪砂を15質量%含有する以外は、実施例1と同様に塗料組成物5を調製した。この塗料組成物5を用いて実施例1と同様に得た試料は損失正接の温度変化曲線において151℃にピークが見られた。
比較例1
光触媒粉体と、Si含有樹脂分散体1と、顔料とを、イオン交換水に分散した塗料組成物6を調製した。この塗料組成物は、固形分濃度が38質量%である。また総固形分質量に対して、光触媒粒子を15質量%、Si含有樹脂成分を45質量%、体質顔料として珪砂を5質量%、着色顔料を35質量%含有している。分散は、湿式にて、分散メディアとしてガラスビーズを使用し、縦型1軸式で軸先端にディスクが装着した攪拌装置(井上製作所製ディゾルバー MODEL C−4、ブレード80φmm)にて30分間400rpmで攪拌することで行った。この組成物において、光触媒粒子の粒子径は0.8μm、顔料の粒子径は0.8μmであった。なお、粒子径は、日機装 マイクロトラック MT3000IIを用いて得られた粒度分布の各ヒストグラムの頂点の値を読み取ることで算出した。また、塗料組成物6を用いて実施例1と同様に得た試料は損失正接の温度変化曲線において151℃にピークが見られた。
比較例2
Si含有樹脂分散体3を使用した以外は実施例1と同様に塗料組成物7を調製した。この塗料組成物7を用いて実施例1と同様に得た試料は損失正接の温度変化曲線において120℃〜180℃にピークが見られなかった。
比較例3
Si含有樹脂分散体4を使用した以外は実施例1と同様に塗料組成物8を調製した。この塗料組成物8を用いて実施例1と同様に得た試料は損失正接の温度変化曲線において120℃〜180℃にピークが見られなかった。
比較例4
光触媒分散体とSi含有樹脂分散体1と、顔料とを、イオン交換水に分散した塗料組成物9を調製した。この塗料組成物は、固形分濃度が38質量%である。また総固形分質量に対して、光触媒粒子を15質量%、Si含有樹脂成分を45質量%、体質顔料として珪砂を5質量%、顔料を35質量%含有している。分散は、湿式にて、分散メディアを使用せず、縦型1軸式で軸先端にディスクが装着した攪拌装置(井上製作所製ディゾルバー MODEL C−4、ブレード80φmm)にて30分間400rpmで攪拌することで行った。この組成物において、光触媒粒子の粒子径は0.5μm、顔料の粒子径は0.8μmであった。なお、粒子径は、日機装 マイクロトラック MT3000IIにより測定し得られた粒度分布の各ヒストグラムの頂点の値を読み取ることで算出した。また、塗料組成物9を用いて実施例1と同様に得た試料は損失正接の温度変化曲線において151℃にピークが見られた。
比較例5
Si含有樹脂分散体5を使用した以外は実施例1と同様に塗料組成物10を調製した。この塗料組成物10を用いて実施例1と同様に得た試料は損失正接の温度変化曲線において120℃〜180℃にピークが見られなかった。
塗料組成物の適用(製膜)
あらかじめ洗浄したアルミニウム板(50mm×50mm)表面にアミンアダクト硬化型特殊変性エポキシ防錆下塗塗料をエアースプレーで100g/m塗装し1日常温で養生した。その後、上記塗料組成物に着色顔料を添加し明度(L*)を70〜80程度に調色したものを200g/m塗装し、1〜2週間以上常温で養生して得た塗装体を評価に用いた。塗料組成物1〜10を用いて得られた塗装体を、それぞれ塗装体1〜10とした。
塗装体の評価
得られた塗装体について、下記方法により、親水性および耐候性の評価を行なった。
親水性評価
塗装体をJIS B7753に規定されるサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(サンシャインウェザーオーメーター(SWOM):スガ試験機製S−300)にセットして1000時間曝露を行い、初期接触角(C.A.(°)0h)と1000時間後の接触角(C.A.(°)1000h)を比較した。曝露条件は、ブラックパネル温度63℃、光照射1時間42分、光照射と水シャワー18分の合計2時間を1サイクルとして、このサイクルを繰り返した。
耐候性評価
塗装体をJIS B7753に規定されるサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(サンシャインウェザーオーメーター:スガ試験機製S−300)にセットして1000時間曝露を行い、初期明度と1000時間後の明度の差(ΔL*)を測定した。
結果
上記結果は以下の表1に記載のとおりであった。なお、各評価の判定基準は以下のとおりとした。
Figure 2017039784
判定基準
親水性 ○:初期接触角とSWOMによる曝露1000時間後の接触角の差がマイナス20°以上
×:初期接触角とSWOMによる曝露1000時間後の接触角の差がマイナス20°以下
耐候性 ○:初期明度とSWOMによる曝露1000時間後の明度の差ΔL*の絶対値が2.0未満
×:初期明度とSWOMによる曝露1000時間後の明度の差ΔL*の絶対値が2.0以上

Claims (11)

  1. Si含有樹脂と、光触媒粒子と、水性媒体とを含み、前記Si含有樹脂および前記光触媒粒子が前記水性媒体に分散されてなる塗料組成物であって、
    前記Si含有樹脂は、ポリシロキサンセグメントを含み、かつ、親水性基含有ポリウレタンとビニル重合体とがポリシロキサンセグメントを介して結合した複合樹脂であり、
    前記Si含有樹脂の粒子径が前記光触媒粒子の粒子径よりも小である、塗料組成物。
  2. 前記ポリシロキサンセグメントは、3官能ポリシロキサンセグメントであり、
    前記Si含有樹脂は、JIS K7244−4に基づく固体粘弾性測定装置を用いて、測定周波数1Hzにて測定される損失正接(tanδ)の温度変化曲線におけるスペクトルピークの少なくとも1つが120℃以上180℃以下にある、請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記光触媒粒子の粒子径が、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置にて測定した体積平均直径で、1μm以上30μm以下である、請求項1または2に記載の塗料組成物。
  4. 前記Si含有樹脂の粒子径が、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置にて測定した体積平均直径で、10nm以上500nm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  5. 前記光触媒粒子は、ナノ粒子が凝集した二次粒子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  6. 前記Si含有樹脂の酸価が10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  7. 前記光触媒粒子が全固形分中に5質量%以上20質量%以下含有されてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  8. 着色顔料および体質顔料の双方、またはいずれか一方を、さらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  9. 前記Si含有樹脂が全固形分中に30質量%以上70質量%以下含有されてなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  10. 基材と、当該基材の表面に形成されてなる請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物からなる光触媒層とから少なくともなる、塗装体。
  11. 請求項10に記載の塗装体の製造方法であって、
    基材を用意し、当該基材の表面に請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物を適用して光触媒層を形成することを少なくとも含んでなることを特徴とする、製造方法。
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