JPH11235550A - 機能性無機塗膜の形成方法および機能性塗装品 - Google Patents

機能性無機塗膜の形成方法および機能性塗装品

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JPH11235550A
JPH11235550A JP10039166A JP3916698A JPH11235550A JP H11235550 A JPH11235550 A JP H11235550A JP 10039166 A JP10039166 A JP 10039166A JP 3916698 A JP3916698 A JP 3916698A JP H11235550 A JPH11235550 A JP H11235550A
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surfactant
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孝一 高濱
Minoru Inoue
井上  稔
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順子 池永
Shoichi Nakamoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光半導体が均一に分散しているとともに、光
半導体の含有量が少なくても充分な親水性を有する機能
性無機塗膜を形成することのできる方法と、この方法に
より得られる機能性塗装品とを提供すること。 【解決手段】 シリコーンレジンを主成分とする無機塗
料中に光半導体と界面活性剤を固形分基準で塗料全量中
での全縮合化合物と全光半導体成分と全界面活性剤成分
との合計100重量部に対し、それぞれ、1〜80重量
部、0.1〜20重量部含有してなる機能性無機塗料を
基材に塗装することにより前記基材の表面に機能性無機
塗膜を形成するにあたり、前記界面活性剤としてノニオ
ン系界面活性剤を用いるとともに、前記界面活性剤を前
記塗膜から飛散させることにより前記塗膜が微細な空隙
を有するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性、防カビ
性、防曇性、帯電防止性、防汚性、耐候性、耐久性等の
各種機能に優れた機能性塗膜を形成する方法と、この方
法により得られる機能性塗装品に関する。
【0002】
【従来の技術】光半導体に紫外線が当たると活性酸素が
発生すること(光触媒性)が知られている。活性酸素は
有機物を酸化して分解することができるため、光半導体
を含む塗膜を基材の表面に形成させた材料には、その表
面に付着したカーボン系汚れ成分(たとえば、自動車の
排気ガス中に含まれるカーボン留分や、タバコのヤニ
等)を分解する自己洗浄効果;アミン化合物、アルデヒ
ド化合物に代表される悪臭成分を分解する消臭効果;大
腸菌、黄色ブドウ球菌に代表される菌成分の発生を防ぐ
抗菌効果;防カビ効果等が期待される。また、光半導体
を含む塗膜に紫外線が当たると、光半導体がその光触媒
作用で、空気中の水分または塗膜表面に付着した水分を
水酸化ラジカル化し、この水酸化ラジカルが、塗膜表面
に付着した、水をはじく有機物等の汚れを分解除去する
ことにより、塗膜表面に対する水の接触角が低下して塗
膜表面が水に濡れ(馴染み)やすくなるという親水性
(水濡れ性)向上効果もある(特開昭61−83106
号公報、WO96/29375公報等参照)。この親水
性向上効果から、屋内の部材においては、ガラスや鏡が
水滴で曇りにくい防曇効果が期待され、屋外の部材にお
いては、付着した汚れが雨水によって洗浄される防汚効
果が期待される。また、光半導体を含む塗膜を基材の表
面に形成させた材料には、光半導体の光触媒作用による
帯電防止機能もあり、この機能によっても防汚効果が期
待される。
【0003】しかし、上述した、光半導体を含む塗膜が
表面に形成された材料は、光半導体が効果を発揮するま
でにある程度の時間がかかるため、製膜後、光半導体の
効果が発揮されるまでの間は、汚れが付着しやすい、効
果がわかりにくい等の問題がある。また、紫外線の当た
らない場所では光半導体が効果を発揮するのにさらに長
い時間がかかるため使用しにくい等の問題点がある。
【0004】これらの問題点を解消するため、本発明者
らは、先に、シリコーンレジンを主成分とする無機塗料
中に光半導体と界面活性剤を含有してなる機能性無機塗
料を開発し、すでに特許出願している(特願平9−96
260号)。この機能性無機塗料は、界面活性剤が添加
されているため、該塗料の硬化被膜に紫外線が照射され
なくても製膜当初から、界面活性剤が該被膜に高い親水
性(水濡れ性)を付与して防曇性と雨水洗浄による防汚
性とを発揮させることができる。光半導体は、その効果
を発揮するまである程度の時間がかかるが、界面活性剤
を併用すると、光半導体が効果を発揮するまでの期間
は、その機能(特に塗膜表面の親水性)を界面活性剤が
補完するので、光半導体と界面活性剤を併用した塗料か
ら得られる塗膜は、製膜当初から親水性等に優れた理想
的な機能性塗膜になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者ら
のその後の検討により、光半導体と界面活性剤を併用し
た上記従来の機能性無機塗料には、下記1)〜2)の問
題点があることがわかった。 1)光半導体は+の電位を有しているため、カチオン系
または両性の界面活性剤のような電荷を持つ界面活性剤
と併用した場合は、光半導体同士が凝集して、その分散
が不均一になりやすいため、光半導体による各種機能の
発現が不充分になりやすい。
【0006】2)光半導体の含有量が少ない場合、大部
分の光半導体の表面が塗膜に覆われて塗膜表面に露出し
ていないので、光半導体が空気中の水分または塗膜表面
に付着した水分と接触しにくいため、水酸化ラジカルが
発生しにくい。そのため、光半導体による上記親水性向
上効果が充分発揮されない。光半導体の含有量を増やせ
ば、このような問題は避けられると考えられるが、光半
導体の含有量の増大は、クラックが発生しやすくなる
等、塗膜強度等の塗膜性能を低下させる傾向があるとと
もに、コスト上不利である。それゆえ、塗膜強度等の塗
膜性能およびコストの点からは、光半導体の含有量はで
きるだけ少ない方が望ましい。
【0007】そこで、本発明の課題は、光半導体が均一
に分散しているとともに、光半導体の含有量が少なくて
も充分な親水性を有する機能性無機塗膜を形成すること
のできる方法と、この方法により得られる機能性塗装品
とを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは種々検討を重ねた。その結果、光半導
体と界面活性剤を併用した上記機能性無機塗料に関し、
以下の2つのことを見出し、本発明を完成するに至っ
た。まず、第1に、界面活性剤としてノニオン系界面活
性剤を用いるようにすると、ノニオン系界面活性剤は電
荷を持たないので、光半導体の凝集が起こりにくくなっ
て、光半導体を均一に分散させることが可能になるた
め、光半導体による各種機能を充分発揮させることがで
きるということである。
【0009】第2に、上記機能性無機塗料を用いて塗膜
を形成させる際に、界面活性剤を塗膜から飛散させるよ
うにすると、飛散した界面活性剤が存在していた部分が
微細な空隙になって塗膜が微細に多孔質化する。その結
果、得られる塗膜が透湿(水)性を有するようになっ
て、空気中の水分または塗膜表面に付着した水分を透過
するようになるため、光半導体が効果を発揮するまで時
間がまだ経過していない製膜当初であっても、塗膜表面
が親水性を有して水に濡れやすくなる。また、塗膜が微
細に多孔質化して透湿性を有するようになると、光半導
体の含有量が少なくて光半導体が塗膜表面に充分露出し
ていなくても、光半導体が塗膜を透過した水分と接触し
て水酸化ラジカルを発生させることができるので、高親
水性が発揮されるということである。
【0010】すなわち、本発明にかかる機能性無機塗膜
の形成方法は、シリコーンレジンを主成分とする無機塗
料中に光半導体と界面活性剤を、固形分基準で、塗料全
量中での全縮合化合物と全光半導体成分と全界面活性剤
成分との合計100重量部に対し、それぞれ、1〜80
重量部、0.1〜20重量部含有してなる機能性無機塗
料を基材に塗装することにより前記基材の表面に機能性
無機塗膜を形成するにあたり、前記界面活性剤としてノ
ニオン系界面活性剤を用いるとともに、前記界面活性剤
を前記塗膜から飛散させることにより前記塗膜が微細な
空隙を有するようにすることを特徴とする。
【0011】なお、本明細書中、機能性無機塗料におけ
るシリコーンレジンの各成分、光半導体および界面活性
剤の配合量は、すべて固形分基準である。本発明の機能
性無機塗膜の形成方法において、界面活性剤の飛散は、
たとえば、90〜350℃の加熱により行われる。本発
明で用いられる界面活性剤は、100〜1,000の重
量平均分子量を有することが好ましい。
【0012】本発明で用いられるシリコーンレジンは、
下記シリコーンレジン(1)または(2)であることが
好ましい。シリコーンレジン(1)は、下記(A)成分
を含む。 (A)成分:(A1 )一般式R2 Si(OR1 3 で表
されるケイ素化合物100重量部に対し、(A2 )一般
式Si(OR1 4 で表されるケイ素化合物および/ま
たはコロイダルシリカ5〜30000重量部と、
(A3 )一般式R2 2 Si(OR12 で表されるケイ
素化合物0〜60重量部とを含む加水分解性混合物(こ
こでR1 、R2 は1価の炭化水素基を示す)の加水分解
重縮合物であって、この加水分解重縮合物の重量平均分
子量がポリスチレン換算で900以上になるように調整
されているオルガノシロキサン(以下、これを「オルガ
ノシロキサン(A)」と称することがある)。
【0013】シリコーンレジン(2)は、下記(B)、
(C)、(D)および(E)成分を含み、(B)成分の
原料の加水分解性オルガノシランの少なくとも50モル
%がm=1のオルガノシランである。 (B)成分: 一般式R3 m SiX4-m …(I) で表される(ここでR3 は同一または異種の置換もしく
は非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、mは
0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す。)加水分解性
オルガノシランを、有機溶媒、水またはそれらの混合溶
媒中で、前記加水分解性基(X)1モル当量当たり水
0.001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分
解してなるオルガノシランオリゴマー(以下、これを
「オルガノシランオリゴマー(B)」と称することがあ
る)。 (C)成分: 平均組成式R4 a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) で表され(ここでR4 は同一または異種の置換もしくは
非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよ
びbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦
3、a+b<4の関係を満たす数である。)、分子中に
シラノール基を含有するポリオルガノシロキサン(以
下、これを「(シラノール基含有)ポリオルガノシロキ
サン(C)」と称することがある)。 (D)成分:シリカ(以下、これを「シリカ(D)」と
称することがある)。 (E)成分:硬化触媒(以下、これを「硬化触媒
(E)」と称することがある)。
【0014】シリコーンレジン(2)の前記(B)成分
は、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒に前記(D)
成分が分散してなるコロイダルシリカ中で、前記加水分
解性オルガノシランを、前記加水分解性基(X)1モル
当量当たり水0.001〜0.5モルを使用する条件下
で部分加水分解してなり、前記(D)成分を、前記
(B)成分と前記(D)成分との合計量に対し固形分と
して5〜95重量%含有するシリカ分散オルガノシラン
オリゴマーであることが好ましい。
【0015】本発明で用いられる光半導体は、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸
化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ル
テニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウ
ム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタ
ル、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ロジウム、酸化
ニッケルおよび酸化レニウムからなる群より選ばれた少
なくとも1種の金属酸化物であることが好ましい。
【0016】本発明で用いられる光半導体は、粉末状ま
たはゾル状であってもかまわない。本発明で用いられる
光半導体の表面には、金属が担持されていることが好ま
しい。担持される前記金属は、銀、銅、鉄、ニッケル、
亜鉛、白金、金、パラジウム、カドミウム、コバルト、
ロジウムおよびルテニウムからなる群より選ばれた少な
くとも1種であることが好ましい。
【0017】本発明の機能性無機塗膜の形成方法では、
前記基材の表面に前記機能性無機塗料を、たとえば厚さ
0.01〜10μmに塗装する。本発明で用いられる基
材は、金属、ガラス、ホ−ロ−、セラミックス、セメン
ト、コンクリ−ト、木、木材、プラスチック、無機繊維
強化プラスチック、これらの基材のうちのいずれかの表
面に少なくとも1層の無機物被膜および/または少なく
とも1層の有機物被膜を有する塗装基材の各単独材料、
これらのうちの少なくとも2つを組み合わせてなる複合
材料、および、これらのうちの少なくとも2つを積層し
てなる積層材料からなる群より選ばれていることが好ま
しい。
【0018】前記塗装基材が表面に有する前記被膜はプ
ライマー層であってもよい。本発明にかかる機能性塗装
品は、本発明の機能性無機塗膜の形成方法により得られ
たものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる機能性無機塗
料に含まれるシリコーンレジンは、造膜成分として用い
られる。シリコーンレジンとしては、光半導体を混入さ
せても経時劣化しない点と、得られる塗膜の耐候性、硬
度の点で、前記(A)成分を含むシリコーンレジン
(1)であることが好ましく、光半導体を混入させても
経時劣化しない点と、室温(常温)硬化性の点と、得ら
れる塗膜の耐候性、硬度の点で、前記(B)、(C)、
(D)および(E)成分を含むシリコーンレジン(2)
であることが好ましい。これらシリコーンレジン(1)
および(2)のうちでもシリコーンレジン(1)が、よ
り高い硬度の塗膜が得られる点で特に好ましい。
【0020】以下では、まず、シリコーンレジン(1)
の各成分について説明する。シリコーンレジン(1)に
含まれる前記(A)成分すなわちオルガノシロキサン
(A)の原料としては、前記ケイ素化合物(A1 )〜
(A3 )を含む加水分解性混合物が用いられる。コロイ
ダルシリカ以外のケイ素化合物(A1 )〜(A3 )は、 一般式R2 p Si(OR1 4-p …(III) で総体的に表すことができる(ここでR1 、R2 は1価
の炭化水素基を示し、pは0〜2の整数)。
【0021】R2 としては、特に限定はされないが、た
とえば、置換または非置換で炭素数1〜8の1価の炭化
水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フ
ェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニ
ルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基
等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル
基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,
3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素
基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシ
プロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル
基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等を
例示することができる。これらの中でも、合成の容易さ
或いは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基およ
びフェニル基が好ましい。
【0022】また、R1 としては、特に限定はされない
が、たとえば、炭素数1〜4のアルキル基を主原料とす
るものが用いられる。特に、p=0のテトラアルコキシ
シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシランなどが例示でき、p=1のオルガノトリアルコ
キシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメト
キシシランなどが例示できる。また、p=2のジオルガ
ノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニ
ルジメトキシシランなどが例示できる。
【0023】これらR1 、R2 は、ケイ素化合物
(A1 )〜(A3 )の間で同一のものであってもよい
し、違うものであってもよい。オルガノシロキサン
(A)は、たとえば、前記加水分解性混合物を適当な溶
剤で希釈し、そこに硬化剤としての水および必要に応じ
て触媒(たとえば、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、ク
ロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻
酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレ
イン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸など
の有機酸および無機酸等の1種または2種以上)等を必
要量添加して(必要に応じ加温(たとえば、40〜10
0℃)してもよい)、加水分解および重縮合反応を行わ
せてプレポリマー化させることにより調製することがで
きる。その際、得られるプレポリマー(加水分解重縮合
物)の重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で9
00以上、好ましくは1000以上になるように調整す
る。プレポリマーの分子量分布(重量平均分子量(M
w))が900より小さいときは、シリコーンレジン
(1)の縮重合の際の硬化収縮が大きくて、硬化後に塗
膜にクラックが発生しやすくなったりする。
【0024】オルガノシロキサン(A)を調製する際の
原料(A1 )〜(A3 )の使用量は、固形分基準で、
(A1 )100重量部に対して、(A2 )5〜3000
0重量部(好ましくは10〜25000重量部、より好
ましくは20〜20000重量部)、(A3 )60重量
部以下(好ましくは40重量部以下、より好ましくは3
0重量部以下)の割合である。(A2 )の使用量が上記
範囲より少ないか、あるいは、(A3)の使用量が上記範
囲より多いと、硬化被膜の所望の硬度が得られない(硬
度が低くなる)という問題がある。また、(A2 )の使
用量が上記範囲より多いと、硬化被膜の架橋密度が高す
ぎて硬度が高くなりすぎ、そのためクラックを発生しや
すいという問題がある。
【0025】原料(A2 )としては、前記一般式Si
(OR1 4 で表されるケイ素化合物およびコロイダル
シリカのうちのいずれか一方のみまたは両方が用いられ
る。シリカは、機能性無機塗料の塗布硬化被膜の硬度を
高くし、平滑性と耐クラック性を改善する効果がある。
使用できるコロイダルシリカとしては、特に限定はされ
ないが、たとえば、水分散性あるいはアルコール等の非
水系の有機溶媒分散性コロイダルシリカが使用できる。
一般に、このようなコロイダルシリカは、固形分として
のシリカを20〜50重量%含有しており、この値から
シリカ配合量を決定できる。また、水分散性コロイダル
シリカを使用する場合、固形分以外の成分として存在す
る水は、後に示すように硬化剤として用いることができ
る。水分散性コロイダルシリカは、通常、水ガラスから
作られるが、市販品として容易に入手することができ
る。また、有機溶媒分散性コロイダルシリカは、前記水
分散性コロイダルシリカの水を有機溶媒と置換すること
で容易に調製することができる。このような有機溶媒分
散性コロイダルシリカも水分散性コロイダルシリカと同
様に市販品として容易に入手することができる。有機溶
媒分散性コロイダルシリカにおいて、コロイダルシリカ
が分散している有機溶媒の種類は、特に限定はされない
が、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族
アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエ
チルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレ
ングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル等のジエチレングリコール誘導体;およびジアセトン
アルコール等を挙げることができ、これらからなる群よ
り選ばれた1種もしくは2種以上のものを使用すること
ができる。これらの親水性有機溶媒と併用してトルエ
ン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオ
キシム等も用いることができる。
【0026】なお、原料(A2 )の少なくとも一部とし
てコロイダルシリカを用いる場合、(A2 )の前記使用
量に含まれるコロイダルシリカの量は、シリカ分として
の重量部である。また、シリカを全く用いずに調製され
たオルガノシロキサン(A)に必要に応じシリカを添加
混合してもよいし、あるいは、オルガノシロキサン
(A)の調製にシリカを用いた場合でも、調製後のオル
ガノシロキサン(A)に必要に応じシリカを追加混合し
てもよい。それらの場合に使用できるシリカとしては、
特に限定されず、公知のものを使用できる。また、その
際のシリカの形態は、特に限定されず、たとえば、粉体
の形でも前記コロイダルシリカの形でもよい。
【0027】シリカは、前述の効果があるが、配合量が
多すぎると、機能性無機塗料の硬化被膜が硬くなりすぎ
て同被膜のクラックの発生を招来する原因となる恐れが
ある。そのため、シリコーンレジン(1)を用いた塗料
全量中でのシリカの配合量は、前記(A)成分との合計
量に対する固形分として、好ましくは1〜50重量%、
より好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは1
0〜30重量%の範囲内で含有される。この含有量が1
重量%未満であると、所望の被膜硬度が得られなくなる
傾向がある。一方、50重量%を越えると、クラックの
発生を招来しやすくなる。
【0028】オルガノシロキサン(A)の原料である前
記加水分解性混合物の加水分解重縮合反応の際に用いら
れる硬化剤としては、水が用いられるが、この量として
は、加水分解性混合物中に含まれるOR1 基1モル当量
当たり、水0.01〜3.0モルが好ましく、0.3〜
1.5モルがさらに好ましい。加水分解性混合物の加水
分解重縮合反応の際に用いられる希釈溶剤としては、コ
ロイダルシリカの分散溶媒として前述した、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレン
グリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、
酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレ
ングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコ
ール誘導体;およびジアセトンアルコール等を挙げるこ
とができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは
2種以上のものを使用することができる。これらの親水
性有機溶媒と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルエチルケトオキシムなども例示するこ
とができる。
【0029】また、オルガノシロキサン(A)のpHは
3.8〜6の範囲内に調整されていることが好ましい。
pHがこの範囲内であれば、前記の分子量の範囲内で、
安定してオルガノシロキサン(A)を使用することがで
きる。pHがこの範囲外であると、オルガノシロキサン
(A)の安定性が悪いため、塗料調製時からの使用でき
る期間が限られてしまう。ここで、pH調整方法は、特
に限定されるものではないが、たとえば、オルガノシロ
キサン(A)の原料混合時、pHが3.8未満となった
場合は、たとえば、アンモニア等の塩基性試薬を用いて
前記範囲内のpHに調整すればよく、pHが6を超えた
場合も、たとえば、塩酸等の酸性試薬を用いて調整すれ
ばよい。また、pHによっては、分子量が小さいまま逆
に反応が進まず、前記分子量範囲に到達させるのに時間
がかかる場合は、オルガノシロキサン(A)を加熱して
反応を促進してもよいし、酸性試薬でpHを下げて反応
を進めた後、塩基性試薬で所定のpHに戻してもよい。
【0030】シリコーンレジン(1)は、硬化触媒を含
む必要はないが、(A)成分の縮合反応を促進すること
によって、塗布被膜の硬化を促進させる目的で必要に応
じて、さらに硬化触媒を含むことができる。硬化触媒と
しては、特に限定はされないが、たとえば、アルキルチ
タン酸塩類;オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、
ジオクチル錫ジマレエート等のカルボン酸金属塩類;ジ
ブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセ
テート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩類;
酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級ア
ンモニウム塩;テトラエチルペンタミン等のアミン類、
N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル
メチルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリン
グ剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸
類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート
等のアルミニウム化合物;酢酸リチウム、酢酸カリウ
ム、蟻酸リチウム、蟻酸ナトリウム、リン酸カリウム、
水酸化カリウム等のアルカリ金属塩;テトライソプロピ
ルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニウムテ
トラアセチルアセトネート等のチタニウム化合物;メチ
ルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメ
チルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン類等が挙げ
られる。しかし、これらの他に、(A)成分の縮合反応
の促進に有効なものであれば特に制限はない。
【0031】シリコーンレジン(1)が硬化触媒をも含
む場合、その量は、固形分基準で、オルガノシロキサン
(A)の全縮合化合物換算量に対し、好ましくは10重
量%以下、より好ましくは8%以下である。10重量%
を超えると、機能性無機塗料の貯蔵安定性を損なう可能
性がある。機能性無機塗料中に含まれるシリコーンレジ
ンがシリコーンレジン(1)である場合、機能性無機塗
料は、低温加熱するか、あるいは、常温放置することに
より、(A)成分の有する加水分解性基同士が縮合反応
して硬化被膜を形成する。したがって、このような機能
性無機塗料は、常温で硬化するときにも湿度の影響をほ
とんど受けない。また、加熱処理を行えば、縮合反応を
促進して硬化被膜を形成することができる。次に、シリ
コーンレジン(2)の各成分について説明する。
【0032】シリコーンレジン(2)に含まれる前記
(B)成分すなわちオルガノシランオリゴマー(B)
は、機能性無機塗料の硬化被膜形成に際して、硬化反応
に預かる官能性基としての加水分解性基(X)を有する
ベースポリマーの主成分である。これは、たとえば、有
機溶媒または水(有機溶媒と水との混合溶媒でもよい)
に、前記一般式(I)で表される加水分解性オルガノシ
ランの1種あるいは2種以上を加え、水(溶媒中に予め
含まれていた水および/または別途添加された水)を前
記加水分解性基(X)1モル当量当たり水0.001〜
0.5モル使用する条件下で、該加水分解性オルガノシ
ランを部分加水分解することで得られる。
【0033】前記一般式(I)で表される加水分解性オ
ルガノシラン中の基R3 としては、同一または異種の置
換もしくは非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基であ
れば特に限定はされないが、たとえば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2
−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フ
ェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリ
ル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニ
ル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,
3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化
水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシド
キシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチ
ル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等
を例示することができる。これらの中でも、合成の容易
さ或いは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基お
よびフェニル基が好ましい。
【0034】前記一般式(I)中、加水分解性基Xとし
ては、特に限定はされないが、たとえば、アルコキシ
基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ
基、アミノキシ基、アミド基などが挙げられる。これら
の中でも、入手の容易さおよびオルガノシランオリゴマ
ー(B)を調製しやすいことから、アルコキシ基が好ま
しい。
【0035】前記加水分解性オルガノシランの具体例と
しては、前記一般式(I)中のmが0〜3の整数である
モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキ
シシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、
エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン
類、アミドシラン類などが挙げられる。これらの中で
も、入手の容易さおよびオルガノシランオリゴマー
(B)を調製しやすいことから、アルコキシシラン類が
好ましい。
【0036】アルコキシシラン類のうち、特に、m=0
のテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシランなどが例示でき、m=1の
オルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ
イソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオ
ロプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。ま
た、m=2のジオルガノジアルコキシシランとしては、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが例示
でき、m=3のトリオルガノアルコキシシランとして
は、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソ
ブチルメトキシシランなどが例示できる。さらに、一般
にシランカップリング剤と呼ばれるオルガノシラン化合
物もアルコキシシラン類に含まれる。
【0037】これらの前記一般式(I)で表される加水
分解性オルガノシランの内、50モル%以上(好ましく
は60モル%以上、より好ましくは70モル%以上)
は、m=1で表される三官能性のものである。これが、
50モル%未満では、十分な塗膜硬度が得られないとと
もに、塗膜の乾燥硬化性が劣りやすい。オルガノシラン
オリゴマー(B)を調製する際に用いられる水の量は、
前述のように、前記加水分解性オルガノシランが持つ加
水分解性基(X)1モル当量当たり0.001〜0.5
モルの範囲内、好ましくは0.01〜0.4モルの範囲
内である。水の使用量が0.001モル未満であると、
十分な部分加水分解物が得られず、0.5モルを超える
と、部分加水分解物の安定性が悪くなる。ここで、加水
分解性オルガノシランの部分加水分解反応における水の
上記使用量は、反応溶媒として有機溶媒のみを用いた場
合は別途に添加された水の量であり、反応溶媒として水
のみまたは有機溶媒と水との混合溶媒を用いた場合は、
反応溶媒中に予め含まれていた水および別途添加の水の
うちの少なくとも反応溶媒中に予め含まれていた水の量
である。水の量が反応溶媒中に予め含まれていた水だけ
で上記使用量に足りるならば別途に水を添加しなくても
よいのであるが、水の量が反応溶媒中に予め含まれてい
た水だけでは上記使用量に足りない場合は、別途に水を
上記使用量に達するまで添加する必要がある。その場
合、上記水の使用量は、反応溶媒中に予め含まれていた
水と別途添加された水の合計量である。なお、反応溶媒
中に予め含まれていた水だけで上記使用量に足りる場合
でも、別途に水を添加してもよく、その場合も、上記水
の使用量は、反応溶媒中に予め含まれていた水と別途添
加された水の合計量である。ただし、この合計量が上記
上限(加水分解性基(X)1モル当量当たり0.5モ
ル)を超えないように別途に水を添加する。
【0038】加水分解性オルガノシランを部分加水分解
する方法は、特に限定されず、たとえば、加水分解性オ
ルガノシランと反応溶媒とを混合すればよい(反応溶媒
に水が全く含まれていないかあるいは必要量含まれてい
ない場合はここで水を添加配合する)。その際、部分加
水分解反応は常温で進行するが、部分加水分解反応を促
進させるために、必要に応じ、加温(たとえば、60〜
100℃)するか、あるいは、触媒を用いてもよい。こ
の触媒としては、特に限定はされないが、たとえば、塩
酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、
安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グ
ルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、ト
ルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸および無機酸
等の1種または2種以上を用いることができる。
【0039】オルガノシランオリゴマー(B)は、その
性能を長期にわたり安定して得るために、そのpHを、
好ましくは2.0〜7.0、より好ましくは2.5〜
6.5、さらに好ましくは3.0〜6.0にすると良
い。pHがこの範囲外であると、特に水の使用量が加水
分解性基(X)1モル当量当たり0.3モル以上の条件
下で(B)成分の性能持続性の低下が著しい。(B)成
分のpHが上記範囲外にあるときは、この範囲より酸性
側であれば、アンモニア、エチレンジアミン等の塩基性
試薬を添加してpHを調整すれば良く、塩基性側であれ
ば、塩酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いてpHを調整
すればよい。しかし、その調整方法は特に限定されるも
のではない。
【0040】シリコーンレジン(2)に含まれる前記
(C)成分すなわちシラノール基含有ポリオルガノシロ
キサン(C)は、硬化反応に預かる官能性基としての加
水分解性基を有するベースポリマーである前記(B)成
分と縮合反応して硬化被膜中に3次元架橋を形成するた
めの架橋剤であり、前記(B)成分の硬化収縮による歪
みを吸収してクラック発生を防止する効果のある成分で
ある。
【0041】シラノール基含有ポリオルガノシロキサン
(C)を表す前記平均組成式(II)中のR4 としては、
特に限定はされず、前記式(I)中のR3 と同じものが
例示されるが、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル
基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル
基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アミノプロピ
ル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換
炭化水素基、より好ましくはメチル基およびフェニル基
である。また、前記式(II)中、aおよびbはそれぞれ
前記の関係を満たす数であり、aが0.2未満またはb
が3を超えると、機能性無機塗料の硬化被膜にクラック
を生じる等の不都合がある。また、aが2を超え且つ4
以下の場合またはbが0.0001未満では硬化がうま
く進行しない。
【0042】シラノール基含有ポリオルガノシロキサン
(C)は、特に限定されるわけではないが、たとえば、
メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フ
ェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、
もしくは、これらに対応するアルコキシシランの1種も
しくは2種以上の混合物を公知の方法により大量の水で
加水分解することにより得ることができる。シラノール
基含有ポリオルガノシロキサン(C)を得るために、ア
ルコキシシランを用いて公知の方法で加水分解した場
合、加水分解されないアルコキシ基が微量に残る場合が
ある。すなわち、シラノール基と極微量のアルコキシ基
とが共存するようなポリオルガノシロキサンが得られる
こともあるが、本発明においては、このようなポリオル
ガノシロキサンを用いても差し支えない。
【0043】シリコーンレジン(2)の(D)成分すな
わちシリカ(D)は、機能性無機塗料の塗布硬化被膜の
硬度を高くし、平滑性と耐クラック性を改善する効果が
ある。シリカ(D)としては、特に限定されず、公知の
ものを使用できる。なお、シリカ(D)は、特に限定さ
れるわけではないが、前記(B)成分の調製の際に用い
られる反応溶媒中にコロイダルシリカの形で分散させて
おくことで塗料に導入することが、造膜性、工程の簡素
化の点で好ましい。しかし、これに限定されない。たと
えば、シリカ(D)抜きで調製して得られた(B)成分
にシリカ(D)を混合した後、得られた混合物を塗料に
導入してもよいし、あるいは、シリカ(D)を(B)成
分とは別途に塗料に導入してもよい。
【0044】塗料に導入する際のシリカ(D)の形態
は、特に限定されず、たとえば、粉体の形でもコロイダ
ルシリカの形でもよい。上記コロイダルシリカとして
は、特に限定はされないが、たとえば、オルガノシロキ
サン(A)の原料(A2 )として前述したものが使用で
きる。なお、水分散性コロイダルシリカを使用する場合
には、同コロイダルシリカ中に固形分以外の成分として
存在する水は、(B)成分の原料である前記加水分解性
オルガノシランの加水分解に用いることができる(加水
分解の際の水の前記使用量に加算される)とともに、機
能性無機塗料の硬化剤として用いることができる。
【0045】シリカ(D)は、前述の効果があるが、配
合量が多すぎると、機能性無機塗料の硬化被膜が硬くな
りすぎて同被膜のクラックの発生を招来する原因となる
恐れがある。そのため、シリカ(D)は、前記(B)成
分との合計量に対する固形分として、好ましくは5〜9
5重量%、より好ましくは10〜90重量%、さらに好
ましくは20〜85重量%の範囲内で含有される。この
含有量が5重量%未満であると、所望の被膜硬度が得ら
れなくなる傾向がある。一方、95重量%を越えると、
クラックの発生を招来しやすくなる。
【0046】シリコーンレジン(2)に含まれる前記
(E)成分すなわち硬化触媒(E)は、前記(B)成分
と(C)成分との縮合反応を促進し、機能性無機塗料の
塗布被膜を硬化させる成分である。硬化触媒(E)とし
ては、特に限定はされないが、たとえば、アルキルチタ
ン酸塩類;オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジ
オクチル錫ジマレエート等のカルボン酸金属塩類;ジブ
チルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセテ
ート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩類;酢
酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級アン
モニウム塩;テトラエチルペンタミン等のアミン類、N
−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング
剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸
類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート
等のアルミニウム化合物;酢酸リチウム、蟻酸リチウ
ム、蟻酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム
等のアルカリ金属塩;テトライソプロピルチタネート、
テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルア
セトネート等のチタニウム化合物;メチルトリクロロシ
ラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロ
シラン等のハロゲン化シラン類等が挙げられる。しか
し、これらの他に、(B)成分と(C)成分との縮合反
応の促進に有効なものであれば特に制限はない。
【0047】シリコーンレジン(2)中、(B)成分お
よび(C)成分の配合割合は、特に限定はされないが、
たとえば、全縮合化合物換算固形分基準で述べると、
(B)成分と(C)成分の合計100重量部に対し、
(B)成分0.5〜99.5重量部、(C)成分99.
5〜0.5重量部が好ましく、(B)成分2.5〜9
7.5重量部、(C)成分97.5〜2.5重量部がよ
り好ましく、(B)成分5〜95重量部、(C)成分9
5〜5重量部がさらに好ましい。(B)成分が0.5重
量部未満である((C)成分が99.5重量部を超え
る)と、常温硬化性に劣り、また、十分な被膜硬度が得
られない傾向がある。一方、(B)成分が99.5重量
部を超える((C)成分が0.5重量部未満である)
と、硬化性が不安定であり、かつ、良好な塗膜が得られ
ないことがある。
【0048】シリコーンレジン(2)中、(E)成分の
配合割合は、特に限定はされないが、たとえば、固形分
基準で、(B)成分の全縮合化合物換算量と(C)成分
の全縮合化合物換算量との合計100重量部に対し、好
ましくは0.0001〜10重量部の範囲内、より好ま
しくは0.0005〜8重量部の範囲内、さらに好まし
くは0.0007〜5重量部の範囲内である。(E)の
配合量が0.0001重量部未満では常温硬化性が低下
し、また、十分な被膜硬度が得られない傾向がある。1
0重量部を超えると、硬化被膜の耐熱性や耐候性が低下
したり、硬化被膜の硬度が高くなりすぎてクラックを生
じたりする恐れがある。
【0049】機能性無機塗料中に含まれるシリコーンレ
ジンがシリコーンレジン(2)である場合、機能性無機
塗料は、オルガノシランオリゴマー(B)の有する加水
分解性基とポリオルガノシロキサン(C)の有するシラ
ノ−ル基とが硬化触媒(E)の存在下で、常温放置もし
くは低温加熱することにより縮合反応して硬化被膜を形
成する。従って、このような機能性無機塗料は、常温で
硬化するときにも湿度の影響をほとんど受けない。ま
た、加熱処理により縮合反応を促進して硬化被膜を形成
することもできる。
【0050】機能性無機塗料に含まれる光半導体として
は、特に限定はされないが、たとえば、酸化チタン、酸
化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タン
グステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウ
ム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化
銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化
マンガン、酸化コバルト、酸化ロジウム、酸化ニッケ
ル、酸化レニウム等の金属酸化物の他、チタン酸ストロ
ンチウム等が挙げられる。これらの中でも、上記金属酸
化物が、実用的に容易に利用可能な点で好ましく、金属
酸化物の中でも特に酸化チタンが、その光触媒性能、安
全性、入手の容易さおよびコストの面で好ましい。な
お、酸化チタンを光半導体として用いる場合は、結晶型
がアナタース型(アナターゼ型)であるものを用いる方
が、光触媒性能が最も強く、しかも長期間発現する点で
好ましい。
【0051】塗膜の透明性が必要とされる場合は、光半
導体の平均一次粒子径が50μm以下であることが好ま
しく、5μm以下であることがより好ましく、0.5μ
m以下であることがさらに好ましい。光半導体は、1種
のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0052】光半導体は、粉末、微粒子粉末、溶液分散
ゾル粒子等、塗料に分散可能なものであれば、いかなる
形態のものでも構わないが、ゾル状、特にpH7以下の
ゾル状であれば、硬化がより短時間で進み、使用する上
で利便性に優れる。ゾル状のものを使用する場合、分散
媒は水でも有機溶媒でも構わないが、有機溶媒の方が塗
料調製の点で好ましい。
【0053】さらに、光半導体の原料となるものも、最
終的に光半導体の性質を示す物であれば、制限されな
い。光半導体は、紫外線を照射されると、活性酸素を発
生すること(光触媒性)は公知である。活性酸素は、有
機物を酸化、分解させることができるため、その特性を
利用して、塗装品に付着したカーボン系汚れ成分(たと
えば、自動車の排気ガス中に含まれるカーボン留分や、
タバコのヤニ等)を分解する自己洗浄効果;アミン化合
物、アルデヒド化合物に代表される悪臭成分を分解する
消臭効果;大腸菌、黄色ブドウ球菌に代表される菌成分
の発生を防ぐ抗菌効果;防カビ効果等を得ることができ
る。また、光半導体を含む塗膜に紫外線が当たると、光
半導体がその光触媒作用で水を水酸化ラジカル化し、こ
の水酸化ラジカルが、塗膜表面に付着した、水をはじく
有機物等の汚れを分解除去することにより、水に対する
塗膜の親水性(濡れ性)が向上して、防曇性や、雨水洗
浄による防汚性等が得られるという効果もある。
【0054】なお、本発明では、機能性無機塗料を用い
て塗膜を形成させる際に、界面活性剤を塗膜から飛散さ
せるので、飛散した界面活性剤が存在していた部分が微
細な空隙になって塗膜が微細に多孔質化する。その結
果、得られる塗膜が透湿(水)性を有するようになっ
て、空気中の水分または塗膜表面に付着した水分を透過
するようになるため、光半導体が効果を発揮するまで時
間がまだ経過していない製膜当初であっても、塗膜表面
が親水性を有して水に濡れやすくなる。また、塗膜が微
細に多孔質化して透湿性を有するようになると、光半導
体の含有量が少なくて光半導体の表面が塗膜にすっかり
覆われていても、光半導体が塗膜を透過した水分と接触
することができるので、光半導体の作用による上記親水
性向上効果が充分発揮される。
【0055】さらには、光半導体の光触媒作用による帯
電防止機能もあり、この機能によっても防汚効果が得ら
れる。たとえば、機能性無機塗料の塗膜に光を照射する
と、この塗膜に含まれる光半導体の作用により塗膜の表
面抵抗値が下がることで帯電防止効果が発現されて、塗
膜表面が汚れにくくなる。光半導体含有塗膜に光が照射
されたとき、どのようなメカニズムで塗膜の表面抵抗値
が下がるのかはまだ明確には確認されていないが、光照
射により生成した電子とホ−ルが作用することで塗膜の
表面抵抗値が下がるものと考えられる。
【0056】光半導体の表面に金属が担持されている
と、光半導体の光触媒効果がより高くなる。そのメカニ
ズムは、まだ明確には確認されていないが、光半導体の
表面に金属が担持されることにより光半導体の電荷分離
が促進されて、電荷分離により生成した電子とホ−ルの
消失確立が小さくなることが関係していると考えられ
る。
【0057】光半導体の表面に担持してよい金属として
は、たとえば、銀、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、白金、
金、パラジウム、カドミウム、コバルト、ロジウム、ル
テニウム等が、光半導体の電荷分離をより促進させる点
で好ましい。担持される金属は、1種のみでも2種以上
でもよい。金属の担持量は、特に限定はされないが、た
とえば、光半導体に対し、0.1〜10重量%であるこ
とが好ましく、0.2〜5重量%であることがより好ま
しい。担持量が0.1重量%未満だと、担持効果が充分
に得られない傾向があり、10重量%を超えて担持して
も、効果はあまり増加せず、逆に変色や性能劣化等の問
題が起きる傾向がある。
【0058】金属の担持方法としては、特に限定するわ
けではないが、浸積法、含浸法、光還元法等が挙げられ
る。また、光半導体を層間に担持した粘土架橋体を用い
ても良い。光半導体を層間に導入することで、光半導体
が微粒子に担持されて光触媒性能が向上する。機能性無
機塗料中、光半導体の配合量は、特に限定はされない
が、たとえば、固形分基準で、塗料全量中での全縮合化
合物と全光半導体成分と全界面活性剤成分との合計10
0重量部に対する光半導体の重量部として述べると、光
半導体の表面に金属が担持されていない場合は、好まし
くは5〜80重量部、より好ましくは10〜50重量部
であり、光半導体の表面に金属が担持されている場合
は、好ましくは1〜75重量部、より好ましくは3〜4
5重量部である。光半導体の配合量が上記範囲より少な
いと、充分な光触媒機能が得られにくくなる等の傾向が
あり、上記範囲より多いと、クラックが発生しやすくな
る等、塗膜性能が低下する傾向がある。なお、光半導体
の表面に金属が担持されている場合の光半導体の上記配
合量は、担持金属を含めない量である。
【0059】本発明で用いられる機能性無機塗料は、さ
らに界面活性剤を含有する。この界面活性剤は、塗膜形
成時に飛散されるため、得られる塗膜が微細に多孔質化
し透湿(水)性を有するようになって、空気中の水分ま
たは塗膜表面に付着した水分を透過するようになるの
で、光半導体が効果を発揮するまで時間がまだ経過して
いない間や塗膜に紫外線がまだ照射されない製膜当初で
あっても、塗膜表面が親水性を有するようになって防曇
性と雨水洗浄による防汚性とを発揮させることができ
る。本発明で用いられる光半導体は、その効果を発揮す
るまである程度の時間がかかるが、界面活性剤を併用
し、それを塗膜形成時に飛散させて塗膜を微細に多孔質
化すれば、光半導体が効果を発揮するまでの期間は、そ
の機能(特に塗膜表面の親水性)を塗膜の微細な多孔質
化による親水性付与効果が補完するので、光半導体と界
面活性剤を併用し、かつ、塗膜形成時に界面活性剤を飛
散させる本発明の塗膜形成方法から得られる塗膜は、製
膜当初から親水性等に優れた理想的な機能性塗膜にな
る。
【0060】界面活性剤は、さらに帯電防止性をも付与
できる機能を持つものであることが好ましい。なお、光
半導体を用いずに界面活性剤だけを用い、それを塗膜形
成時に飛散させても、親水性(および帯電防止性)以外
の光触媒性能は発揮されない。また、その場合は、製膜
当初こそ親水性が発揮されるが、その後は、水をはじく
有機物等の汚れの付着等が原因で表面親水性が低下する
傾向がある。このような汚れを除去して表面親水性を保
つためには光半導体の使用が不可欠である。
【0061】界面活性剤としては、ノニオン系のものが
用いられる。光半導体は+の電位を有しているため、カ
チオン系または両性の界面活性剤のような電荷を持つ界
面活性剤と併用した場合は、塗膜中において、光半導体
同士が凝集して、その分散が不均一になりやすいため、
光半導体による各種機能の発現が不充分になりやすい。
これに対し、ノニオン系界面活性剤を用いると、ノニオ
ン系界面活性剤は電荷を持たないので、塗膜中におい
て、光半導体の凝集が起こりにくくなって、光半導体を
均一に分散させることが可能になるため、光半導体によ
る各種機能を充分発揮させることができるのである。
【0062】ノニオン系界面活性剤としては、特に限定
はされないが、たとえば、ポリオキシエチレン型、アル
キルフェノール型、エステル型、ソルビタンエステル
型、ソルビタンエステルエーテル型等が挙げられる。ノ
ニオン系界面活性剤は、その効力を長く続かせるために
は、反応性界面活性剤であることが好ましい。
【0063】ノニオン系反応性界面活性剤としては、特
に限定はされないが、たとえば、ポリオキシエチレンア
リルグリシジルノニルフェニルエ−テル、ポリオキシエ
チレンノニルプロペニルフェニルエ−テル等が挙げられ
る。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以
上を併用してもよい。界面活性剤のHLB値は、特に限
定はされないが、シリコーンレジンとの相溶性の点で、
好ましくは15以下、より好ましくは5〜15、さらに
好ましくは5〜10である。
【0064】界面活性剤の重量平均分子量は、特に限定
はされないが、好ましくは100〜1,000、より好
ましくは100〜800、さらに好ましくは100〜6
00である。これらの範囲内であると、界面活性剤が塗
膜から比較的飛散しやすく、かつ、飛散した界面活性剤
が存在していた部分が、塗膜に透湿性を付与して親水性
を向上させる上で適度な大きさの細孔になる。
【0065】機能性無機塗料中、界面活性剤の配合量
は、固形分基準で、塗料全量中での全縮合化合物と全光
半導体成分と全界面活性剤成分との合計100重量部に
対し、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは
0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量
部の範囲である。界面活性剤の配合量が上記範囲より少
ないと、製膜当初からの親水性が発揮されなかったり、
塗膜の多孔質化が不充分になったりする恐れがあり、逆
に多すぎると、塗膜の造膜性に悪い影響が出たり、塗膜
が過度に多孔質化して塗膜強度が低下したりする恐れが
ある。
【0066】本発明で用いられる機能性無機塗料は、必
要に応じ、顔料、染料等の着色剤をさらに含むことによ
り、調色可能である。使用できる顔料としては、特に限
定はされないが、たとえば、カーボンブラック、キナク
リドン、ナフトールレッド、シアニンブルー、シアニン
グリーン、ハンザイエロー等の有機顔料;酸化チタン、
硫酸バリウム、弁柄、複合金属酸化物等の無機顔料がよ
く、これらの群から選ばれる1種あるいは2種以上を組
み合わせて使用しても差し支えない。顔料の分散は、特
に限定はされず、通常の方法、たとえば、ダイノーミー
ル、ペイントシェーカー等により顔料粉を直接分散させ
る方法等でよい。その際、分散剤、分散助剤、増粘剤、
カップリング剤等の使用が可能である。顔料の添加量
は、顔料の種類により隠蔽性が異なるので特に限定はさ
れないが、たとえば、固形分基準で、塗料全量中での全
縮合化合物100重量部に対して、好ましくは5〜80
重量部、より好ましくは10〜70重量部である。顔料
の添加量が5重量部未満の場合は隠蔽性が悪くなる傾向
があり、80重量部を超えると塗膜の平滑性が悪くなる
ことがある。
【0067】使用できる染料としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、アゾ系、アントラキノン系、インジ
コイド系、硫化物系、トリフェニルメタン系、キサンテ
ン系、アリザリン系、アクリジン系、キノンイミン系、
チアゾール系、メチン系、ニトロ系、ニトロソ系等の染
料が挙げられる。これらの群から選ばれる1種あるいは
2種以上を組み合わせて使用しても差し支えない。染料
の添加量は、染料の種類により隠蔽性が異なるので特に
限定はされないが、たとえば、固形分基準で、塗料全量
中での全縮合化合物100重量部に対して、好ましくは
5〜80重量部、より好ましくは10〜70重量部であ
る。染料の添加量が5重量部未満の場合は隠蔽性が悪く
なる傾向があり、80重量部を超えると塗膜の平滑性が
悪くなることがある。
【0068】なお、レベリング剤、金属粉、ガラス粉、
抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等も、本発明の効果
に悪影響を与えない範囲内で機能性無機塗料に含まれて
いてもよい。機能性無機塗料は、取り扱いの容易さから
必要に応じて各種有機溶媒で希釈して使用できるし、ま
た、同有機溶媒で希釈したものであってもよい。有機溶
媒の種類は、シリコーンレジンの各成分の有する1価炭
化水素基の種類、または、シリコーンレジンの各成分の
分子量の大きさ等に応じて適宜選定することができる。
このような有機溶媒としては、特に限定はされないが、
たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族ア
ルコール類;エチレングリコール、エチレングリコール
モノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチ
ルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレン
グリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル
等のジエチレングリコール誘導体;および、トルエン、
キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メ
チルエチルケトオキシム、ジアセトンアルコール等を挙
げることができ、これらからなる群より選ばれた1種も
しくは2種以上を使用することができる。有機溶媒での
希釈割合は特に制限はなく、必要に応じて希釈割合を適
宜決定すれば良い。
【0069】機能性無機塗料を製造する方法は、特に限
定はされず、各成分を通常の方法および装置等を用いて
混合すればよい。塗料に導入する際の各成分の形態につ
いても、それ自身液状のものや、溶媒に溶解してなる溶
液、分散媒中に分散してなる分散液等の液状、粉体等の
固体状等を問わず、特に限定はされない。各成分を溶液
または分散液の形で導入する場合、その溶媒または分散
媒としては、たとえば、水、上述の有機溶媒、または、
水と上述の有機溶媒との混合物を使用できる。また、各
成分は、別個に添加してもよいし、あるいは、2成分以
上を予め混合しておいてから残りの成分と混合したり、
全成分を同時に混合したりしてもよく、その添加や混合
の時機等についても特に限定はされない。
【0070】機能性無機塗料を塗布する方法は、特に限
定されるものではなく、たとえば、刷毛塗り、スプレ
ー、浸漬(ディッピング)、ロール、フロー、カーテ
ン、ナイフコート、スピンコート等の通常の各種塗布方
法を選択することができる。機能性無機塗料の塗膜の硬
化方法については、公知の方法を用いればよく、特に限
定はされない。また、硬化の際の温度も特に限定はされ
ず、所望される硬化被膜性能や光半導体の耐熱性等に応
じて常温〜加熱温度の広い範囲をとることができる。
【0071】なお、本発明では、機能性無機塗料の塗膜
から界面活性剤を飛散させる。その方法としては、特に
限定はされないが、たとえば、塗膜を90〜350℃
(好ましくは150〜250℃)の温度で加熱する方法
等が挙げられる。加熱温度が低すぎると、界面活性剤が
充分に飛散せず、塗膜中に残る傾向があり、高すぎる
と、界面活性剤が一瞬にして飛散し、塗膜強度が低下す
る傾向がある。また、加熱時間は、好ましくは30分〜
5時間、より好ましくは1時間〜4時間、さらに好まし
くは2時間〜3時間である。加熱時間が短すぎると界面
活性剤の飛散が不充分になり、塗膜親水性が得られなく
なる傾向がある。
【0072】機能性無機塗料から形成される塗布硬化被
膜の厚みは、特に制限はなく、たとえば、0.01〜1
0μm程度であればよいが、塗膜の各種機能をより効果
的に発揮させるとともに、塗布硬化被膜が長期的に安定
に密着、保持され、かつ、クラックや剥離が発生しない
ためには、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2
μmがより好ましい。
【0073】機能性無機塗料が塗布される基材(本発明
の機能性塗装品に用いられる基材でもある)としては、
特に限定はされないが、たとえば、無機質基材、有機質
基材、無機有機複合基材、および、これらのうちのいず
れかの表面に少なくとも1層の無機物被膜および/また
は少なくとも1層の有機物被膜を有する塗装基材等が挙
げられる。
【0074】無機質基材としては、特に限定はされない
が、たとえば、金属基材;ガラス基材;ホーロー;水ガ
ラス化粧板、無機質硬化体等の無機質建材;セラミック
ス等が挙げられる。金属基材としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、非鉄金属〔たとえば、アルミニウム
(JIS−H4000等)、アルミニウム合金(ジュラ
ルミン等)、銅、亜鉛等〕、鉄、鋼〔たとえば、圧延鋼
(JIS−G3101等)、溶融亜鉛めっき鋼(JIS
−G3302等)、(圧延)ステンレス鋼(JIS−G
4304、G4305等)等〕、ブリキ(JIS−G3
303等)、その他の金属全般(合金含む)が挙げられ
る。
【0075】ガラス基材としては、特に限定はされない
が、たとえば、ナトリウムガラス、パイレックスガラ
ス、石英ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。前
記ホーローとは、金属表面にガラス質のホーローぐすり
を焼き付け、被覆したものである。その素地金属として
は、たとえば、軟鋼板、鋼板、鋳鉄、アルミニウム等が
挙げられるが、特に限定はされない。ホーローぐすりも
通常のものを用いればよく、特に限定はされない。
【0076】前記水ガラス化粧板とは、たとえば、ケイ
酸ソーダをスレートなどのセメント基材に塗布し、焼き
付けた化粧板などを指す。無機質硬化体としては、特に
限定はされないが、たとえば、繊維強化セメント板(J
IS−A5430等)、窯業系サイディング(JIS−
A5422等)、木毛セメント板(JIS−A5404
等)、パルプセメント板(JIS−A5414等)、ス
レート・木毛セメント積層板(JIS−A5426
等)、石膏ボード製品(JIS−A6901等)、粘土
瓦(JIS−A5208等)、厚形スレート(JIS−
A5402等)、陶磁器質タイル(JIS−A5209
等)、建築用コンクリートブロック(JIS−A540
6等)、テラゾ(JIS−A5411等)、プレストレ
ストコンクリートダブルTスラブ(JIS−A5412
等)、ALCパネル(JIS−A5416等)、空洞プ
レストレストコンクリートパネル(JIS−A6511
等)、普通煉瓦(JIS−R1250等)等の無機材料
を硬化、成形させた基材全般を指す。
【0077】セラミックス基材としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ
素、窒化ケイ素等が挙げられる。有機質基材としては、
特に限定はされないが、たとえば、プラスチック、木、
木材、紙等が挙げられる。プラスチック基材としては、
特に限定はされないが、たとえば、ポリカーボネート樹
脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性もしくは熱可塑
性プラスチック、および、これらのプラスチックをナイ
ロン繊維等の有機繊維で強化した繊維強化プラスチック
(FRP)等が挙げられる。
【0078】無機有機複合基材としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、上記プラスチックをガラス繊維、
カーボン繊維等の無機繊維で強化した繊維強化プラスチ
ック(FRP)等が挙げられる。前記塗装基材を構成す
る有機物被膜としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、アクリル系、アルキド系、ポリエステル系、エポキ
シ系、ウレタン系、アクリルシリコーン系、塩化ゴム
系、フェノール系、メラミン系等の有機樹脂を含むコー
ティング材の硬化被膜等が挙げられる。
【0079】前記塗装基材を構成する無機物被膜として
は、特に限定はされないが、たとえば、シリコーン樹脂
等の無機樹脂を含むコーティング材の硬化被膜等が挙げ
られる。機能性無機塗料を基材に塗布する際に、基材の
材質や表面状態によっては、そのまま機能性無機塗料を
塗布すると密着性や耐候性が得にくい場合があるので、
必要に応じ、基材の表面に、機能性無機塗料の塗布硬化
被膜を形成させる前に予めプライマー層を形成させてお
いてもよい。プライマー層としては、有機、無機を問わ
ず、特に限定はされないが、有機プライマー層の例とし
ては、ナイロン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ア
クリル樹脂、有機変性シリコーン樹脂(たとえば、アク
リルシリコーン樹脂等)、塩化ゴム樹脂、ウレタン樹
脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂およびメラミン
樹脂からなる群の中から選ばれた少なくとも1種の有機
樹脂を固形分として10重量%以上含有する有機プライ
マー組成物の硬化樹脂層等が挙げられ、無機プライマー
層の例としては、シリコーン樹脂等の無機樹脂を固形分
として90重量%以上含有する無機プライマー組成物の
硬化樹脂層等が挙げられる。
【0080】プライマー層の厚みは、特に限定はされな
いが、たとえば、0.1〜50μmが好ましく、0.5
〜10μmがより好ましい。この厚みが薄すぎると密着
性や耐候性が得られない恐れがあり、厚すぎると乾燥時
に発泡等の恐れがある。なお、表面に上記のような有機
プライマー層および/または無機プライマー層を少なく
とも1層有する基材は、前記塗装基材の範疇に含まれ
る。すなわち、前記塗装基材が表面に有する前記被膜は
上記プライマー層であってもよいのである。
【0081】また、プライマー層には、必要に応じ、調
色のために顔料、染料等の着色剤が含まれていてもよ
い。使用可能な着色剤としては、機能性無機塗料に添加
可能なものとして前述したものが挙げられる。プライマ
ー層への着色剤の配合量の好ましい数値範囲について
も、前述の、機能性無機塗料の場合と同様である。ただ
し固形分基準ではあるが、全縮合化合物100重量部に
対してではなくて、プライマー組成物全量中での全樹脂
100重量部に対して規定される。
【0082】基材の形態については、特に限定はされ
ず、たとえば、フィルム状、シート状、板状、繊維状等
が挙げられる。また、基材は、これらの形状の材料の成
形体、または、これらの形状の材料もしくはその成形体
の少なくとも1つを一部に備えた構成体等であってもよ
い。基材は、上述した各種材料単独からなるものでもよ
いし、上述した各種材料のうちの少なくとも2つを組み
合わせてなる複合材料または上述した各種材料のうちの
少なくとも2つを積層してなる積層材料でもよい。
【0083】本発明の機能性無機塗膜の形成方法により
形成される塗膜および本発明の機能性塗装品の有する塗
膜には光半導体が含まれているため、紫外線が照射され
ると、光半導体による前述の様々な光触媒効果が発揮さ
れる。また、上記塗膜は界面活性剤の飛散により微細な
多孔質構造を有するため、紫外線が照射されなくても、
製膜当初から、表面親水性(水濡れ性)による雨水洗浄
性、防曇性などの機能が発現され、塗膜の耐候性が高ま
り、汚れの付着を低減する効果もでる。そのため、該塗
膜を各種材料または物品の少なくとも一部に装備させる
ことにより、たとえば、下記の用途に好適に用いること
ができる。
【0084】建物関連の部材または物品、たとえば、外
装材(たとえば、外壁材、平板瓦・日本瓦・金属瓦等の
瓦等)、塩ビ雨とい等の樹脂製雨とい・ステンレス雨と
い等の金属製雨とい等の雨とい、門およびそれに用いる
ための部材(たとえば、門扉・門柱・門塀等)、フェン
ス(塀)およびそれに用いるための部材、ガレージ扉、
ホームテラス、ドア、柱、カーポート、駐輪ポート、サ
インポスト、宅配ポスト、配電盤・スイッチ等の配線器
具、ガスメーター、インターホン、テレビドアホン本体
およびカメラレンズ部、電気錠、エントランスポール、
縁側、換気扇吹き出し口、建物用ガラス等;窓(たとえ
ば、採光窓、天窓、ルーバー等の開閉窓等)およびそれ
に用いるための部材(たとえば、窓枠、雨戸、ブライン
ド等)、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、機械装置、
道路周辺部材(たとえば、防音壁、トンネル内装板、各
種表示装置、ガードレール、車止め、高欄、交通標識の
標識板および標識柱、信号機、ポストコーン等)、広告
塔、屋外または屋内用照明器具およびそれに用いるため
の部材(たとえば、ガラス、樹脂、金属およびセラミッ
クスからなる群の中から選ばれた少なくとも1種の材料
からなる部材等)、太陽電池用ガラス、農業用ビニール
およびガラスハウス、エアコン用室外機、VHF・UH
F・BS・CS等のアンテナ等。
【0085】なお、本発明に従って機能性無機塗膜を上
記の各種材料または物品の少なくとも一部に直接形成し
てもよいが、これに限定されず、たとえば、本発明に従
って機能性無機塗膜をフィルム基材の表面に形成してな
る機能性フィルムを上記の各種材料または物品の少なく
とも一部に貼るようにしてもよい。このようなフィルム
の基材の材質としては、たとえば、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、フッ
素樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂およびそれらの複
合樹脂等の樹脂が挙げられるが、特に限定はされない。
【0086】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を詳
細に説明する。実施例及び比較例中、特に断らない限
り、「部」はすべて「重量部」を、「%」はすべて「重
量%」を表す。また、分子量はGPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー)により、測定機種として東
ソー(株)のHLC8020を用いて、標準ポリスチレ
ンで検量線を作成し、その換算値として測定したもので
ある。なお、本発明は下記実施例に限定されない。
【0087】まず、(A)成分を含むシリコーンレジン
(1)を用いた実施例と比較例を述べる。 <実施例1>原料(A1 )としてメチルトリメトキシシ
ラン100部に、原料(A2 )としてテトラエトキシシ
ラン10部、同じく原料(A2 )として酸性コロイダル
シリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「OS
CAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分30
%)90部、原料(A3 )としてジメチルジメトキシシ
ラン30部、希釈溶媒としてイソプロピルアルコール
(本明細書中、IPAと略すことがある)100部を混
合し、更に、水90部を添加し、攪拌した。得られた液
を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生
成物のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量(M
w)を1500に調整してオルガノシロキサンのアルコ
ール溶液を得た。
【0088】 オルガノシロキサンのアルコール溶液の調製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.73 ・重量平均分子量 1500 ・全縮合化合物換算固形分 23.3% この溶液に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成
(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニッ
ク11−1020G」)と、界面活性剤としてノニオン
系界面活性剤「アデカトールNP638」(旭電化工業
(株)製、重量平均分子量約350、HLB値8.6と
を、固形分基準で、塗料全量中での全縮合化合物と全光
半導体成分と全界面活性剤成分との合計100部に対
し、光半導体が20部、界面活性剤が1部になる量添加
混合することにより、機能性無機塗料(1)を得た。
【0089】この機能性無機塗料(1)を、アセトンで
洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、塗
膜を室温下で5時間乾燥硬化させた後、200℃で1時
間焼成して界面活性剤を塗膜から飛散させることによ
り、機能性塗装品(1)を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2>実施例1において、光半導体として、酸化
チタンゾルの代わりに酸化チタン粉末(石原産業(株)
製酸化チタン:商品名「ST−01」)を同じ量用いた
こと以外は実施例1と同様にして機能性無機塗料(2)
を得た。
【0090】この機能性無機塗料(2)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、機能性塗装品(2)
を得た。 <実施例3>実施例1において、光半導体として、酸化
チタンゾルの代わりに白金を担持した酸化チタンを同じ
量用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性無機塗
料(3)を得た。
【0091】なお、白金担持は、酸化チタン粉末(石原
産業(株)製酸化チタン:商品名「ST−01」)に光
電着法で行い、酸化チタンに対して0.5%担持した。
次に、機能性無機塗料(3)を用い、実施例1と同様の
作業を行うことにより、機能性塗装品(3)を得た。 <実施例4>実施例1において、ノニオン系界面活性剤
「アデカトールNP638」の代わりにノニオン系反応
性界面活性剤「アデカトールNP−1100」(旭電化
工業(株)製、重量平均分子量約900、HLB値1
4.1)を同じ量用いたこと以外は実施例1と同様の作
業を行って機能性無機塗料(4)を得た。
【0092】この機能性無機塗料(4)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、機能性塗装品(4)
を得た。 <実施例5>実施例1において、ノニオン系界面活性剤
「アデカトールNP638」の代わりにノニオン系反応
性界面活性剤「アデカトールNP620」(旭電化工業
(株)製、重量平均分子量約600、HLB値12.
4)を同じ量用いたこと以外は実施例1と同様の作業を
行って機能性無機塗料(5)を得た。
【0093】この機能性無機塗料(5)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、機能性塗装品(5)
を得た。 <比較例1>実施例1において、ノニオン系界面活性剤
「アデカトールNP638」の代わりにカチオン系反応
性界面活性剤「アデカミン4MAC−30」(旭電化工
業(株)製、重量平均分子量約300)を同じ量用いた
こと以外は実施例1と同様の作業を行って比較用無機塗
料(1)を得た。
【0094】この比較用無機塗料(1)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、比較用塗装品(1)
を得た。 <実施例6>原料(A1 )としてメチルトリメトキシシ
ラン100部に、原料(A2 )として酸性コロイダルシ
リカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「OSC
AL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分30
%)60部、原料(A3 )としてジメチルジメトキシシ
ラン30部、希釈溶媒としてIPA100部を混合し、
更に、水120部を添加し、攪拌した。得られた液を6
0℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生成物
のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量(Mw)
を1200に調整してオルガノシロキサンのアルコール
溶液を得た。
【0095】 オルガノシロキサンのアルコール溶液の調製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 2.46 ・重量平均分子量 1200 ・全縮合化合物換算固形分 20.9% この溶液に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成
(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニッ
ク11−1020G」)と、界面活性剤としてノニオン
系反応性界面活性剤「アデカトールNP620」(旭電
化工業(株)製、重量平均分子量約300、HLB値
5.7)とを、固形分基準で、塗料全量中での全縮合化
合物と全光半導体成分と全界面活性剤成分との合計10
0部に対し、光半導体が20部、界面活性剤が1 部にな
る量添加混合することにより、機能性無機塗料(6)を
得た。
【0096】この機能性無機塗料(6)を、アセトンで
洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、塗
膜を室温下で5時間乾燥硬化させた後、200℃で1時
間焼成して界面活性剤を塗膜から飛散させることによ
り、機能性塗装品(6)を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.1μmであった。 <実施例7>実施例6において、塗膜の焼成を500℃
で1時間行ったこと以外は実施例6と同様の作業を行っ
て機能性塗装品(7)を得た。 <実施例8>実施例6において、塗膜の焼成を60℃で
1時間行ったこと以外は実施例6と同様の作業を行って
機能性塗装品(8)を得た。 <実施例9>実施例6において、ノニオン系界面活性剤
「アデカトールNP620」の代わりにノニオン系反応
性界面活性剤「アデカプルロニックF−88」(旭電化
工業(株)製、重量平均分子量約400、HLB値1
0.0)を10部用いたこと以外は実施例6と同様の作
業を行って機能性無機塗料(9)を得た。
【0097】この機能性無機塗料(9)を用い、実施例
6と同様の作業を行うことにより、機能性塗装品(9)
を得た。 <実施例10>実施例6において、機能性無機塗料中、
「アデカトールNP620」の配合量を0.2部に変更
したこと以外は実施例6と同様の作業を行って機能性無
機塗料(10)を得た。
【0098】この機能性無機塗料(10)を用い、実施
例6と同様の作業を行うことにより、機能性塗装品(1
0)を得た。 <実施例11>実施例6において、基材としてガラス基
板の代わりにアルミ基板を用いたこと以外は実施例6と
同様の作業を行って機能性塗装品(11)を得た。 <実施例12>実施例6において、光半導体として用い
た酸化チタンゾルの添加量を5部に変更したこと以外は
実施例6と同様にして機能性無機塗料(12)を得た。
【0099】この機能性無機塗料(12)を、アセトン
で洗浄したアルミ基板にスプレー塗装法により塗布し、
塗膜を室温下で4時間乾燥硬化させた後、200℃で2
時間焼成して界面活性剤を塗膜から飛散させることによ
り、機能性塗装品(12)を得た。なお、塗膜の硬化後
の膜厚は0.05μmであった。 <実施例13>実施例6において、光半導体として用い
た酸化チタンゾルの添加量を80部に変更したこと以外
は実施例6と同様にして機能性無機塗料(13)を得
た。
【0100】この機能性無機塗料(13)を用い、実施
例6と同様の作業を行うことにより、機能性塗装品(1
3)を得た。 <実施例14>原料(A1 )としてメチルトリメトキシ
シラン100部に、原料(A2 )としてテトラエトキシ
シラン10部、同じく原料(A2 )として酸性コロイダ
ルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「O
SCAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分3
0%)90部、希釈溶媒としてイソプロピルアルコール
100部を混合し、更に、水90部を添加し、攪拌し
た。得られた液を60℃恒温槽中で5時間加熱すること
により、反応生成物のオルガノシロキサン(A)の重量
平均分子量(Mw)を1000に調整してオルガノシロ
キサンのアルコール溶液を得た。
【0101】 オルガノシロキサンのアルコール溶液の調製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 2.08 ・重量平均分子量 1000 ・全縮合化合物換算固形分 20.3% この溶液に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成
(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニッ
ク11−1020G」)と、界面活性剤としてノニオン
系界面活性剤「アデカトールNP−660」(旭電化工
業(株)製、重量平均分子量450、HLB値10.
9)とを、固形分基準で、塗料全量中での全縮合化合物
と全光半導体成分と全界面活性剤成分との合計100部
に対し、光半導体が20部、界面活性剤が2部になる量
添加混合することにより、機能性無機塗料(14)を得
た。
【0102】この機能性無機塗料(14)を、アセトン
で洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、
塗膜を室温下で4時間乾燥硬化させた後、200℃で1
時間焼成して界面活性剤を塗膜から飛散させることによ
り、機能性塗装品(14)を得た。なお、塗膜の硬化後
の膜厚は0.2μmであった。次に、以下の実施例に先
立ち、それらに用いるシリコーンレジン(2)の
(B)、(C)成分を以下のようにして調製した。その
際、コロイダルシリカ(D)を(B)成分の調製溶液中
に分散することにより導入するようにした。 (B成分の調製例): <調製例B−1>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、IPA分散コロイ
ダルシリカゾルIPA−ST(粒子径10〜20nm、
固形分30%、水分0.5%、日産化学工業(株)製)
100部と、メチルトリメトキシシラン68部と、水1
0.8部とを投入し、攪拌しながら65℃で約5時間か
けて部分加水分解反応を行った後、冷却することによ
り、オルガノシランオリゴマー(B−1)のシリカ分散
溶液を得た。このものは、室温で48時間放置したとき
の全縮合化合物換算固形分が36%であった。
【0103】 B−1のシリカ分散溶液調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.4モル ・B−1のシリカ分散溶液中のシリカ分含有量 47.2% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 100モル% <調製例B−2>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、IPA分散コロイ
ダルシリカゾルIPA−ST(粒子径10〜20nm、
固形分30%、水分0.5%、日産化学工業(株)製)
100部と、メチルトリメトキシシラン68部と、ジメ
チルジメトキシシラン18部と、水2.7部と、無水酢
酸0.1部とを投入し、攪拌しながら80℃で約3時間
かけて部分加水分解反応を行った後、冷却することによ
り、オルガノシランオリゴマー(B−2)のシリカ分散
溶液を得た。このものは、室温で48時間放置したとき
の全縮合化合物換算固形分が39.5%であった。
【0104】 B−2のシリカ分散溶液調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.1モル ・B−2のシリカ分散溶液中のシリカ分含有量 40.2% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 77モル% (C成分の調製例): <調製例C−1>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート及び温度計を取り付けたフラスコに、メ
チルトリイソプロポキシシラン220部(1モル)がト
ルエン150部に溶解してなる溶液を仕込み、これに、
1%塩酸水溶液108部を20分かけて滴下し、メチル
トリイソプロポキシシランを攪拌下60℃で加水分解し
た。滴下終了から40分後に攪拌を止め、反応液を分液
ロートに移し入れて静置したところ、二層に分離した。
少量の塩酸を含んだ下層の水とイソプロピルアルコール
の混合溶液を分液除去し、後に残ったトルエンの樹脂溶
液中に残存している塩酸を水洗で除去し、更にトルエン
を減圧除去した後、残留物をイソプロピルアルコールで
希釈することにより、重量平均分子量(Mw)約200
0のシラノール基含有ポリオルガノシロキサン(C−
1)のイソプロピルアルコール溶液を得た。この溶液中
の全縮合化合物換算固形分は40%である。また、この
溶液中のシラノール基含有ポリオルガノシロキサン(C
−1)は前記平均組成式(II)を満たすものであること
が確認されている。
【0105】<調製例C−2>攪拌機、加温ジャケッ
ト、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた
フラスコに水1000部、アセトン50部を仕込み、更
にメチルトリクロロシシラン44.8部(0.3モ
ル)、ジメチルジクロロシラン38.7部(0.3モ
ル)およびフェニルトリクロロシラン84.6部(0.
4モル)がトルエン200部に溶解してなる溶液を攪拌
下に滴下しながら60℃で加水分解した。滴下終了から
40分後に攪拌を止め,反応液を分液ロートに移し入れ
て静置したところ、二層に分離した。下層の塩酸水を分
液除去し、後に残ったオルガノポリシロキサンのトルエ
ン溶液中に残存している水と塩酸を減圧ストリッピング
により過剰のトルエンとともに除去することにより、重
量平均分子量(Mw)約3000のシラノール基含有ポ
リオルガノシロキサン(C−2)のトルエン溶液を得
た。この溶液中の全縮合化合物換算固形分は60%であ
る。また、この溶液中のシラノール基含有ポリオルガノ
シロキサン(C−2)は前記平均組成式(II)を満たす
ものであることが確認されている。
【0106】上記のようにして得られた(B)、(C)
成分の各溶液を用い、以下の実施例を行った。 <実施例15>B−1のシリカ分散溶液70部(全縮合
化合物換算固形分としては約25部)と、C−1のイソ
プロピルアルコール溶液30部(全縮合化合物換算固形
分としては12部)と、硬化触媒(E)としてN−β−
アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシ
ラン1部とを混合した後に、光半導体として酸化チタン
ゾル(触媒化成(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ
−ンタイタニック11−1020G」)と、界面活性剤
としてノニオン系反応性界面活性剤「アデカトールNP
675」(旭電化工業(株)製、重量平均分子量約45
0、HLB値12.0)とを、固形分基準で、塗料全量
中での全縮合化合物と全光半導体成分と全界面活性剤成
分との合計100部に対し、光半導体が20部、界面活
性剤が1 部になる量添加混合することにより、機能性無
機塗料(15)を得た。
【0107】この機能性無機塗料(15)を、アセトン
で洗浄したステンレス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を室温下で4時間乾燥硬化させた後、350℃
で1時間焼成して界面活性剤を塗膜から飛散させること
により、機能性塗装品(15)を得た。なお、塗膜の硬
化後の膜厚は0.1μmであった。 <実施例16>実施例15において、光半導体として、
酸化チタンゾルの代わりに酸化チタン粉末(石原産業
(株)製酸化チタン:商品名「ST−01」)を同じ量
用いたこと以外は実施例15と同様にして機能性無機塗
料(16)を得た。
【0108】この機能性無機塗料(16)を、アセトン
で洗浄したステンレス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を室温下で4時間乾燥硬化させた後、90℃で
1時間焼成して界面活性剤を塗膜から飛散させることに
より、機能性塗装品(16)を得た。なお、塗膜の硬化
後の膜厚は0.1μmであった。 <実施例17>松下電工(株)大阪門真敷地内の建物の
窓ガラス(1m2 、厚み6mm)の窓ガラスに、実施例
15で得られた機能性無機塗料(15)をスプレー塗装
法で硬化塗膜厚0.1μmになるように塗布し、室温下
で一昼夜乾燥硬化させた後、100℃で1時間焼成して
界面活性剤を塗膜から飛散させることにより、機能性塗
装品(17)を得た。 <実施例18>実施例1において、機能性無機塗料中、
「アデカトールNP638」の配合量を20部に変更し
たこと以外は実施例1と同様の作業を行って機能性無機
塗料(18)を得た。
【0109】この機能性無機塗料(18)を用い、実施
例1と同様の作業を行うことにより、機能性塗装品(1
8)を得た。 <実施例19>B−2のシリカ分散溶液50部(全縮合
化合物換算固形分としては約20部)と、C−2のトル
エン溶液50部(全縮合化合物換算固形分としては30
部)と、硬化触媒(E)としてN−β−アミノエチル−
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン2部とを混
合した後に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成
(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニッ
ク11−1020G」)と、界面活性剤としてノニオン
系界面活性剤「アデカトールNP−720」(旭電化工
業(株)製、重量平均分子量約900、HLB値14.
1)とを、固形分基準で、塗料全量中での全縮合化合物
と全光半導体成分と全界面活性剤成分との合計100部
に対し、光半導体が20部、界面活性剤が1部になる量
添加混合することにより、機能性無機塗料(19)を得
た。
【0110】この機能性無機塗料(19)を、アセトン
で洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、
塗膜を室温下で5時間乾燥硬化させた後、300℃で1
時間焼成して界面活性剤を塗膜から飛散させることによ
り、機能性塗装品(19)を得た。なお、塗膜の硬化後
の膜厚は0.2μmであった。 <実施例20>調製例B−1において、コロイダルシリ
カを全く使用しないこと以外は調製例B−1と同様にし
てシリカを含有しないオルガノシランオリゴマー(B−
3)の溶液を得た。このものは、室温で48時間放置し
たときの全縮合化合物換算固形分が70%であった。
【0111】次に、実施例19において、B−2のシリ
カ分散溶液50部の代わりに上記で得られたオルガノシ
ランオリゴマー(B−3)の溶液70部(全縮合化合物
換算固形分としては49部)を用いるとともに、この溶
液を、C−2のトルエン溶液、硬化触媒、光半導体およ
び界面活性剤と混合する際にIPA分散コロイダルシリ
カゾルIPA−ST(粒子径10〜20nm、固形分3
0%、水分0.5%、日産化学工業(株)製)100部
を添加するようにしたこと以外は実施例19と同様にし
て、機能性無機塗料(20)を得た。
【0112】この機能性無機塗料(20)を用い、実施
例19と同様の作業を行うことにより、機能性塗装品
(20)を得た。 <実施例21>実施例1において、光半導体として、酸
化チタンゾルの代わりに酸化亜鉛(ナカライテスク
(株)製、商品名「試薬ZnO」)を同量用いたこと以
外は実施例1と同様にして機能性無機塗料(21)を得
た。
【0113】この機能性無機塗料(21)を用い、実施
例1と同様の作業を行うことにより、機能性塗装品(2
1)を得た。 <実施例22>実施例1において、塗膜の硬化後の膜厚
を9.5μmに変更したこと以外は実施例1と同様の作
業を行って機能性塗装品(22)を得た。 <実施例23>実施例1において、基材としてガラス基
板の代わりにポリカーボネート板を用いたこと以外は実
施例1と同様の作業を行って機能性塗装品(23)を得
た。 <実施例24>実施例1において、アセトン洗浄したガ
ラス板の表面に予めエポキシ系プライマー(イサム塗料
(株):商品名「E−1プライマ−」)を約10μmの
膜厚で塗装した後、機能性無機塗料(1)を塗装するよ
うにしたこと以外は実施例1と同様の作業を行って機能
性塗装品(24)を得た。 <比較例2>実施例1において、ノニオン系界面活性剤
「アデカトールNP638」の代わりに両性界面活性剤
「アデカアンホートPB−30L」(旭電化工業(株)
製、重量平均分子量400)を同じ量用いたこと以外は
実施例1と同様の作業を行って比較用無機塗料(2)を
得た。
【0114】この比較用無機塗料(2)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、比較用塗装品(2)
を得た。 <比較例3>実施例1において、塗膜の焼成を行わない
こと以外は実施例1と同様の作業を行って比較用塗装品
(3)を得た。 <比較例4>実施例1において、機能性無機塗料中、光
半導体の配合量を81部に変更したこと以外は実施例1
と同様の作業を行って比較用無機塗料(4)を得た。
【0115】この比較用無機塗料(4)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、比較用塗装品(4)
を得た。 <比較例5>実施例1において、機能性無機塗料中、光
半導体の配合量を0.5部に変更したこと以外は実施例
1と同様の作業を行って比較用無機塗料(5)を得た。
【0116】この比較用無機塗料(5)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、比較用塗装品(5)
を得た。 <比較例6>実施例1において、光半導体を全く用いな
いこと以外は実施例1と同様の作業を行って比較用無機
塗料(6)を得た。
【0117】この比較用無機塗料(6)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、比較用塗装品(6)
を得た。 <比較例7>実施例1において、機能性無機塗料中、界
面活性剤の配合量を25部に変更したこと以外は実施例
1と同様の作業を行って比較用無機塗料(7)を得た。
【0118】この比較用無機塗料(7)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、比較用塗装品(7)
を得た。 <比較例8>実施例1において、機能性無機塗料中、界
面活性剤の配合量を0.05部に変更したこと以外は実
施例1と同様の作業を行って比較用無機塗料(8)を得
た。
【0119】この比較用無機塗料(8)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、比較用塗装品(8)
を得た。 <比較例9>実施例1において、界面活性剤を全く用い
ないこと以外は実施例1と同様の作業を行って比較用無
機塗料(9)を得た。
【0120】この比較用無機塗料(9)を用い、実施例
1と同様の作業を行うことにより、比較用塗装品(9)
を得た。 <比較例10>実施例1において、光半導体と界面活性
剤の両方とも全く用いないこと以外は実施例1と同様の
作業を行って比較用無機塗料(10)を得た。
【0121】この比較用無機塗料(10)を用い、実施
例1と同様の作業を行うことにより、比較用塗装品(1
0)を得た。以上のようにして得られた塗装品の塗膜性
能を次のような方法で評価した。 <評価方法> (密着性):JIS−K5400に記載された煮沸試験
により評価した。問題がない場合は「○」、外観に変化
があった場合は「△」、剥離が生じた場合は「×」とし
た。
【0122】(表面親水性(水に対する濡れ性)):水
と塗膜との接触角を、塗膜作製直後に測定することによ
り評価した。なお、実施例1、比較例6、比較例9およ
び比較例10については、製膜直後だけでなく、製膜し
てから5日後と20日後にも接触角を測定して経時変化
を見た。接触角の測定は、0.2ccの蒸留水を塗膜表
面に滴下した後、拡大カメラで観察することにより行っ
た。接触角が小さい程、親水性が高いことを示す。
【0123】(物品などに塗装したものの評価):塗装
してから3ヶ月経過後の塗装部と未塗装部の汚れ方の違
いで評価した。結果を表1〜3に示す。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】表1〜2にみるように、実施例1〜16お
よび実施例18〜24は、比較例1〜10と比べて、密
着性および製膜直後の表面親水性のいずれも優れている
ことが確認された。表3からは、以下のことが確認され
た。光半導体は用いたが界面活性剤は用いなかった比較
例9では、界面活性剤不使用のため製膜直後は接触角が
大きくて表面親水性が悪く、その後、光半導体の作用に
より接触角が低下して表面親水性が良くなるのに時間が
かかっている。界面活性剤は用いたが光半導体は用いな
かった比較例6では、界面活性剤の飛散により形成され
た塗膜の微細な多孔質構造による透湿性により製膜直後
は接触角が低く表面親水性に優れるが、光半導体を用い
なかったため、時間の経過とともに接触角が増加して表
面親水性が悪くなっている。光半導体も界面活性剤も用
いなかった比較例10では、製膜直後も、その後の時間
経過後も接触角が大きく表面親水性が低い。これに対
し、光半導体および界面活性剤を両方とも用いた実施例
1では、界面活性剤の飛散により形成された塗膜の微細
な多孔質構造による透湿性により製膜直後から接触角が
低く表面親水性に優れ、その後、時間が経過すると光半
導体の効果が発揮されて接触角が低いままで良好な表面
親水性が保たれ、しかも表面親水性が若干さらによくな
っていさえする。
【0128】なお、物品に塗装を行った実施例17につ
いては、未塗装部に比較して塗装部での汚れ付着がほと
んど見られなかった。
【0129】
【発明の効果】本発明の機能性無機塗膜の形成方法で
は、塗膜の形成に使用される機能性無機塗料が光半導体
を含むため、抗菌性、消臭性の他、表面親水性(水に対
する濡れ性)向上による防曇性や雨水洗浄防汚性、さら
には帯電防止機能による防汚効果等の、光半導体の光触
媒作用に由来する種々の特性を充分発揮するとともに、
無機系であるため、光半導体の添加により塗膜性能が損
なわれることが少なく、紫外線で劣化しにくく、耐候
性、耐久性等にも優れた機能性塗膜を形成することがで
きる。また、この塗膜は、様々な色に調色可能であるた
め、デザイン性も高く、使用範囲が広い。
【0130】本発明の機能性無機塗膜の形成方法で用い
られる機能性無機塗料はさらに界面活性剤を含み、か
つ、この界面活性剤が塗膜形成時に飛散されるため、得
られる塗膜が微細に多孔質化し透湿(水)性を有するよ
うになって、空気中の水分または塗膜表面に付着した水
分を透過するようになるので、光半導体の効果が発揮さ
れ始めるまでの期間でも、製膜当初から表面親水性が高
く防曇性や雨水洗浄防汚性等に優れた機能性無機塗膜を
形成することができる。光半導体は、一度励起しておけ
ばその後紫外線を当てなくても光触媒作用を発揮するこ
とができるため、それを含む塗膜は、紫外線が当たらな
いような部位でも使用可能であるとともに、光半導体が
効果を発揮するまでの期間は、塗膜の微細な多孔質化に
よる親水性付与効果が光半導体の機能(特に塗膜表面の
親水性)を補完するので、本発明の塗膜形成方法から得
られる塗膜は、理想的な機能性塗膜になる。
【0131】さらには、上記界面活性剤の飛散により形
成された塗膜の微細な多孔質構造による透湿性付与に
は、光半導体の含有量が少なくて光半導体が塗膜表面に
充分露出していなくても、光半導体に、塗膜を透過した
水分を接触させて水酸化ラジカルを発生させることによ
り、塗膜表面に高い親水性を付与できる効果もある。本
発明の機能性無機塗膜の形成方法では、上記界面活性剤
としてノニオン系の界面活性剤を用いるため、カチオン
系または両性の界面活性剤を用いた場合と異なり、光半
導体の凝集が起こりにくく、光半導体を均一に分散させ
ることが可能であるため、光半導体による各種機能を充
分発揮させることができる。
【0132】本発明の機能性無機塗膜の形成方法で用い
られる機能性無機塗料に含まれる樹脂と光半導体と界面
活性剤との割合を変えることにより、用途に応じて、光
触媒作用による上記各種機能性や、塗膜特性等をコント
ロールすることができる。本発明の機能性無機塗膜の形
成方法で用いられる機能性無機塗料は、加熱硬化だけで
なく、常温硬化も可能であるため、広い乾燥硬化条件範
囲あるいは温度範囲での使用が可能である。従って、熱
を均等にかけにくい形状を持つ基材、大きな寸法を持つ
基材または耐熱性に劣る基材等に対しても塗装ができる
のみでなく、屋外等で塗装作業を行ったりする場合等の
ように熱をかけにくい場合でも塗装できることから、そ
の産業的価値が高い。
【0133】本発明の機能性塗装品は、上記機能性無機
塗膜の形成方法により得られたものであるため、同形成
方法で用いられる機能性無機塗料や形成される機能性無
機塗膜に由来する上記の優れた各種特性や利点を有す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 183/04 C09D 183/04 (72)発明者 中本 彰一 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコーンレジンを主成分とする無機塗料
    中に光半導体と界面活性剤を、固形分基準で、塗料全量
    中での全縮合化合物と全光半導体成分と全界面活性剤成
    分との合計100重量部に対し、それぞれ、1〜80重
    量部、0.1〜20重量部含有してなる機能性無機塗料
    を基材に塗装することにより前記基材の表面に機能性無
    機塗膜を形成するにあたり、前記界面活性剤としてノニ
    オン系界面活性剤を用いるとともに、前記界面活性剤を
    前記塗膜から飛散させることにより前記塗膜が微細な空
    隙を有するようにすることを特徴とする、機能性無機塗
    膜の形成方法。
  2. 【請求項2】前記界面活性剤の飛散は90〜350℃の
    加熱により行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記界面活性剤は100〜1,000の重
    量平均分子量を有する、請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】前記シリコーンレジンは、下記(A)成分
    を含むシリコーンレジンである、請求項1から3までの
    いずれかに記載の方法。 (A)成分:一般式R2 Si(OR1 3 で表されるケ
    イ素化合物100重量部に対し、一般式Si(OR1
    4 で表されるケイ素化合物および/またはコロイダルシ
    リカ5〜30000重量部と、一般式R2 2 Si(OR
    1 2 で表されるケイ素化合物0〜60重量部とを含む
    加水分解性混合物(ここでR1 、R2 は1価の炭化水素
    基を示す)の加水分解重縮合物であって、この加水分解
    重縮合物の重量平均分子量がポリスチレン換算で900
    以上になるように調整されているオルガノシロキサン。
  5. 【請求項5】前記シリコーンレジンは、下記(B)、
    (C)、(D)および(E)成分を含み、(B)成分の
    原料の加水分解性オルガノシランの少なくとも50モル
    %がm=1のオルガノシランであるシリコーンレジンで
    ある、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。 (B)成分: 一般式R3 m SiX4-m …(I) で表される(ここでR3 は同一または異種の置換もしく
    は非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、mは
    0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す。)加水分解性
    オルガノシランを、有機溶媒、水またはそれらの混合溶
    媒中で、前記加水分解性基(X)1モル当量当たり水
    0.001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分
    解してなるオルガノシランオリゴマー。 (C)成分: 平均組成式R4 a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) で表され(ここでR4 は同一または異種の置換もしくは
    非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよ
    びbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦
    3、a+b<4の関係を満たす数である。)、分子中に
    シラノール基を含有するポリオルガノシロキサン。 (D)成分:シリカ。 (E)成分:硬化触媒。
  6. 【請求項6】前記(B)成分は、有機溶媒、水またはそ
    れらの混合溶媒に前記(D)成分が分散してなるコロイ
    ダルシリカ中で、前記加水分解性オルガノシランを、前
    記加水分解性基(X)1モル当量当たり水0.001〜
    0.5モルを使用する条件下で部分加水分解してなり、
    前記(D)成分を、前記(B)成分と前記(D)成分と
    の合計量に対し固形分として5〜95重量%含有するシ
    リカ分散オルガノシランオリゴマーである、請求項5に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】前記光半導体は、酸化チタン、酸化亜鉛、
    酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステ
    ン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸
    化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸
    化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガ
    ン、酸化コバルト、酸化ロジウム、酸化ニッケルおよび
    酸化レニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の
    金属酸化物である、請求項1から6までのいずれかに記
    載の方法。
  8. 【請求項8】前記光半導体は粉末状またはゾル状であ
    る、請求項1から7までのいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】前記光半導体の表面に金属が担持されてい
    る、請求項1から8までのいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】前記光半導体の表面に担持されている前
    記金属は、銀、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、白金、金、パ
    ラジウム、カドミウム、コバルト、ロジウムおよびルテ
    ニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種である、
    請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記基材の表面に前記機能性無機塗料を
    厚さ0.01〜10μmに塗装する、請求項1から10
    までのいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】前記基材は、金属、ガラス、ホ−ロ−、
    セラミックス、セメント、コンクリ−ト、木、木材、プ
    ラスチック、無機繊維強化プラスチック、これらの基材
    のうちのいずれかの表面に少なくとも1層の無機物被膜
    および/または少なくとも1層の有機物被膜を有する塗
    装基材の各単独材料、これらのうちの少なくとも2つを
    組み合わせてなる複合材料、および、これらのうちの少
    なくとも2つを積層してなる積層材料からなる群より選
    ばれている、請求項1から11までのいずれかに記載の
    方法。
  13. 【請求項13】前記塗装基材が表面に有する前記被膜は
    プライマー層である、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】請求項1から13までのいずれかに記載
    の方法により得られた機能性塗装品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000129174A (ja) * 1998-10-21 2000-05-09 Sakai Chem Ind Co Ltd 光触媒塗料組成物、これを用いた光触媒含有塗膜の形成方法及び光触媒含有塗膜
JPWO2013073586A1 (ja) * 2011-11-15 2015-04-02 大和製罐株式会社 防曇塗料及び塗装物品
WO2021171967A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 三井化学株式会社 帯電防止剤組成物およびそれを用いた異方導電性シート

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