JPH10237358A - 帯電防止機能無機塗料、それを用いた塗装品およびそれらの用途 - Google Patents

帯電防止機能無機塗料、それを用いた塗装品およびそれらの用途

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JPH10237358A
JPH10237358A JP9046088A JP4608897A JPH10237358A JP H10237358 A JPH10237358 A JP H10237358A JP 9046088 A JP9046088 A JP 9046088A JP 4608897 A JP4608897 A JP 4608897A JP H10237358 A JPH10237358 A JP H10237358A
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JP
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coating
antistatic
oxide
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parts
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Application number
JP9046088A
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English (en)
Inventor
Koichi Takahama
孝一 高濱
Minoru Inoue
井上  稔
Toshiji Sako
利治 佐古
Junko Ikenaga
順子 池永
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期にわたり安定に帯電防止機能を持続して
高い汚れ防止性能を発揮するとともに、塗膜性能が損な
われることがなく、かつ、様々な色に調色可能な帯電防
止機能無機塗料と、それを用いた帯電防止機能塗装品
と、それらの用途を提供すること。 【解決手段】 帯電防止機能無機塗料は、シリコーンレ
ジンを主成分とする無機塗料中に光半導体を全縮合化合
物換算固形分と全光半導体成分との合計100重量部に
対し2〜80重量部含有してなる。帯電防止機能塗装品
は、基材の表面に上記帯電防止機能無機塗料の厚さ0.
05〜10μmの塗布硬化被膜を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止機能を持
つ無機塗料と、それを用いた帯電防止機能塗装品と、そ
れらの用途に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塗料に帯電防止機能を付与するこ
とで塗膜表面に汚れ防止機能を発現させる試みがなされ
ている。帯電防止機能を発現させるためには、導電性を
付与できる物質を塗料中に混入させる方法が一般的であ
る。このような物質としては、例えば、界面活性剤;高
分子電解質などの有機電解質;カ−ボンブラックや導電
性酸化スズなどの半導体微粒子などが添加される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の帯電防止機能塗料には下記の問題点があった。界
面活性剤または有機電解質を添加して帯電防止機能を発
現させた場合は、経時的に界面活性剤または有機電解質
が塗料内部から溶出して帯電防止性能が劣化してしま
う。
【0004】半導体微粒子を添加した場合は、添加量が
数十%にまでおよぶため塗膜そのものの性能が低下した
り、半導体微粒子の示す色のため調色できなかったりす
る。そこで、本発明の課題は、長期にわたり安定に帯電
防止機能を持続して高い汚れ防止性能を発揮するととも
に、塗膜性能が損なわれることがなく、かつ、様々な色
に調色可能な帯電防止機能無機塗料と、それを用いた帯
電防止機能塗装品と、それらの用途を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の帯電防止機能無
機塗料は、シリコーンレジンを主成分とする無機塗料中
に光半導体を全縮合化合物換算固形分と全光半導体成分
との合計100重量部に対し2〜80重量部含有してな
る。前記シリコーンレジンは、下記シリコーンレジン
(1)または(2)であることが好ましい。
【0006】シリコーンレジン(1)は、下記(A)成
分を含む。 (A)成分: (A1 )一般式R2 Si(OR1 3 で表されるケイ素
化合物100重量部に対し、(A2 )一般式Si(OR
1 4 で表されるケイ素化合物および/またはコロイダ
ルシリカ20〜200重量部と、(A3 )一般式R2 2
Si(OR1 2 で表されるケイ素化合物0〜60重量
部とを含む加水分解性混合物(ここでR 1 、R2 は1価
の炭化水素基を示す)の加水分解重縮合物であって、こ
の加水分解重縮合物の重量平均分子量がポリスチレン換
算で900以上になるように調整されているオルガノシ
ロキサン(以下、これを「オルガノシロキサン(A)」
と称することがある)。
【0007】シリコーンレジン(2)は、下記(B)、
(C)および(D)成分を、(B)成分と(C)成分の
合計100重量部に対し、(B)成分1〜99重量部、
(C)成分1〜99重量部、(D)成分0.0001〜
10重量部の配合割合で含み、(B)成分においてシリ
カを固形分として5〜95重量%含有し、かつ、(B)
成分の原料の加水分解性オルガノシランの少なくとも5
0モル%がm=1のオルガノシランである。 (B)成分: 一般式R3 m SiX4-m …(I) で表される(ここでR3 は同一または異種の置換もしく
は非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、mは
0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す。)加水分解性
オルガノシランを、有機溶媒、水またはそれらの混合溶
媒に分散されたコロイダルシリカ中で、前記加水分解性
基(X)1モル当量当たり水0.001〜0.5モルを
使用する条件下で部分加水分解してなる、オルガノシラ
ンのシリカ分散オリゴマー溶液(以下、これを「シリカ
分散オリゴマー溶液(B)」と称することがある)。 (C)成分: 平均組成式R4 a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) で表され(ここでR4 は同一または異種の置換もしくは
非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよ
びbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦
3、a+b<4の関係を満たす数である。)、分子中に
シラノール基を含有するポリオルガノシロキサン(以
下、これを「ポリオルガノシロキサン(C)」と称する
ことがある)。 (D)成分:硬化触媒(以下、これを「硬化触媒
(D)」と称することがある)。
【0008】本発明の帯電防止機能無機塗料に用いられ
る前記光半導体は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸
化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロ
ム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウ
ム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウ
ム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コ
バルト、酸化ロジウムおよび酸化レニウムからなる群よ
り選ばれた少なくとも1種の金属酸化物であることが好
ましい。
【0009】本発明の帯電防止機能無機塗料に用いられ
る前記光半導体の表面には、金属が担持されていること
が好ましい。担持される前記金属は、銀、銅、鉄、ニッ
ケル、亜鉛、白金、金、パラジウム、カドミウム、コバ
ルト、ロジウムおよびルテニウムからなる群より選ばれ
た少なくとも1種であることが好ましい。本発明の帯電
防止機能塗装品は、基材の表面に、本発明の帯電防止機
能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布硬化被膜か
らなる塗装層を備える。
【0010】前記基材は、無機質基材、有機質基材、こ
れらの基材のうちのいずれかの表面に有機物被膜を有す
る有機塗装基材の各単独材料、ならびに、これらのうち
の少なくとも2つを組み合わせてなる複合体およびこれ
らのうちの少なくとも2つを積層してなる積層体からな
る群より選ばれていることが好ましい。前記基材は、金
属、ガラス、ホ−ロ−、セラミックス、木、木材、セメ
ント、コンクリ−トおよびプラスチックの各単独材料、
これらのうちの少なくとも2つを組み合わせてなる複合
材料、および、これらのうちの少なくとも2つを積層し
てなる積層材料からなる群より選ばれていることがより
好ましい。
【0011】前記基材は、その表面に予めプライマー塗
装が施されたものであることが好ましい。本発明の帯電
防止機能無機塗料および帯電防止機能塗装品は、前記帯
電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布硬
化被膜を少なくとも一部に装備させることにより、下記
の用途に用いられることが好ましい。
【0012】建物関連部材(たとえば、ガラス等)、建
物用門およびそれに用いるための部材(たとえば、門柱
等)、建物用塀およびそれに用いるための部材、窓(た
とえば、採光窓等)およびそれに用いるための部材(た
とえば、窓枠等)、自動車、機械装置、道路周辺部材
(特に交通標識)、広告塔、屋外または屋内用照明器具
およびそれに用いるための部材(たとえば、ガラス部
材、樹脂部材、金属部材、セラミック部材等)。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の帯電防止機能無機塗料に
含まれるシリコーンレジンは、造膜成分として用いられ
る。シリコーンレジンとしては、光半導体を混入させて
も経時劣化しない点で、前記(A)成分を含むシリコー
ンレジン(1)であることが好ましく、光半導体を混入
させても経時劣化しない点と、室温(常温)硬化性の点
で、前記(B)、(C)および(D)成分を含むシリコ
ーンレジン(2)であることが好ましい。
【0014】シリコーンレジン(1)に含まれる前記
(A)成分すなわちオルガノシロキサン(A)の原料と
しては、前記ケイ素化合物(A1 )〜(A3 )を含む加
水分解性混合物が用いられる。ケイ素化合物(A1 )〜
(A3 )は、 一般式R2 p Si(OR1 4-p …(III) で総体的に表すことができる(ここでR1 、R2 は1価
の炭化水素基を示し、pは0〜2の整数)。
【0015】R2 としては、特に限定はされないが、た
とえば、置換または非置換で炭素数1〜8の1価の炭化
水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フ
ェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニ
ルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基
等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル
基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,
3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素
基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシ
プロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル
基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等を
例示することができる。これらの中でも、合成の容易さ
或いは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基およ
びフェニル基が好ましい。
【0016】また、R1 としては、特に限定はされない
が、たとえば、炭素数1〜4のアルキル基を主原料とす
るものが用いられる。特に、p=0のテトラアルコキシ
シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシランなどが例示でき、p=1のオルガノトリアルコ
キシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメト
キシシランなどが例示できる。また、p=2のジオルガ
ノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニ
ルジメトキシシランなどが例示できる。
【0017】これらR1 、R2 は、ケイ素化合物
(A1 )〜(A3 )の間で同一のものであってもよい
し、違うものであってもよい。オルガノシロキサン
(A)は、たとえば、前記加水分解性混合物を適当な溶
剤で希釈し、そこに硬化剤としての水および触媒を必要
量添加して、加水分解および重縮合反応を行わせてプレ
ポリマー化させることにより調製することができる。そ
の際、得られるプレポリマーの重量平均分子量(Mw)
がポリスチレン換算で900以上、好ましくは1000
以上になるように調整する。プレポリマーの分子量分布
(重量平均分子量(Mw))が900より小さいとき
は、シリコーンレジン(1)の縮重合の際の硬化収縮が
大きくて、硬化後に塗膜にクラックが発生しやすくなっ
たりする。
【0018】オルガノシロキサン(A)を調製する際の
原料(A1 )〜(A3 )の使用量は、(A1 )100重
量部に対して、(A2 )20〜200重量部(好ましく
は40〜160重量部、より好ましくは60〜120重
量部)、(A3 )60重量部以下(好ましくは40重量
部以下、より好ましくは30重量部以下)の割合であ
る。(A2 )の使用量が上記範囲より少ないか、あるい
は、(A3)の使用量が上記範囲より多いと、硬化被膜の
所望の硬度が得られない(硬度が低くなる)という問題
がある。また、(A2 )の使用量が上記範囲より多い
と、硬化被膜の架橋密度が高すぎて硬度が高くなりす
ぎ、そのためクラックを発生しやすいという問題があ
る。
【0019】原料(A2 )として使用できるコロイダル
シリカとしては、特に限定はされないが、たとえば、水
分散性あるいはアルコール等の非水系の有機溶媒分散性
コロイダルシリカが使用できる。一般に、このようなコ
ロイダルシリカは、固形分としてのシリカを20〜50
重量%含有しており、この値からシリカ配合量を決定で
きる。また、水分散性コロイダルシリカを使用する場
合、固形分以外の成分として存在する水は、後に示すよ
うに硬化剤として用いることができる。水分散性コロイ
ダルシリカは、通常、水ガラスから作られるが、市販品
として容易に入手することができる。また、有機溶媒分
散性コロイダルシリカは、前記水分散性コロイダルシリ
カの水を有機溶媒と置換することで容易に調製すること
ができる。このような有機溶媒分散性コロイダルシリカ
も水分散性コロイダルシリカと同様に市販品として容易
に入手することができる。有機溶媒分散性コロイダルシ
リカにおいて、コロイダルシリカが分散している有機溶
媒の種類は、たとえば、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低
級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコー
ルモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;
ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;およびジ
アセトンアルコール等を挙げることができ、これらから
なる群より選ばれた1種もしくは2種以上のものを使用
することができる。これらの親水性有機溶媒と併用して
トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチル
ケトオキシム等も用いることができる。
【0020】なお、原料(A2 )としてコロイダルシリ
カを用いる場合、(A2 )の前記使用割合は分散媒も含
む重量部である。また、前記加水分解性混合物の加水分
解重縮合反応の際に用いられる硬化剤としては、水が用
いられるが、この量としては、加水分解性混合物中に含
まれるOR1 基1モル当量当たり、水0.01〜3.0
モルが好ましく、0.3〜1.5モルがさらに好まし
い。
【0021】加水分解性混合物の加水分解重縮合反応の
際に用いられる希釈溶剤としては、コロイダルシリカの
分散溶媒として前述した、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の
低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコ
ールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導
体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;およ
びジアセトンアルコール等を挙げることができ、これら
からなる群より選ばれた1種もしくは2種以上のものを
使用することができる。これらの親水性有機溶媒と併用
してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエ
チルケトオキシムなども例示することができる。
【0022】また、オルガノシロキサン(A)のpHは
3.8〜6の範囲内に調整されていることが好ましい。
pHがこの範囲内であれば、前記の分子量の範囲内で、
安定してオルガノシロキサン(A)を使用することがで
きる。pHがこの範囲外であると、オルガノシロキサン
(A)の安定性が悪いため、塗料調製時からの使用でき
る期間が限られてしまう。ここで、pH調整方法は、特
に限定されるものではないが、たとえば、オルガノシロ
キサン(A)の原料混合時、pHが3.8未満となった
場合は、たとえば、アンモニア等の塩基性試薬を用いて
前記範囲内のpHに調整すればよく、pHが6を超えた
場合も、たとえば、塩酸等の酸性試薬を用いて調整すれ
ばよい。また、pHによっては、分子量が小さいまま逆
に反応が進まず、前記分子量範囲に到達させるのに時間
がかかる場合は、オルガノシロキサン(A)を加熱して
反応を促進してもよいし、酸性試薬でpHを下げて反応
を進めた後、塩基性試薬で所定のpHに戻してもよい。
【0023】シリコーンレジン(1)は、加熱硬化させ
る場合は硬化触媒を含む必要はないが、オルガノシロキ
サン(A)の縮合反応を促進することによって、塗布被
膜の加熱硬化を促進させたり同被膜を常温で硬化させた
りする目的で必要に応じて、さらに硬化触媒を含むこと
ができる。硬化触媒としては、特に限定はされないが、
たとえば、アルキルチタン酸塩類;オクチル酸錫、ジブ
チル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレエート等のカ
ルボン酸金属塩類;ジブチルアミン−2−ヘキソエー
ト、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセ
テート等のアミン塩類;酢酸テトラメチルアンモニウム
等のカルボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチルペ
ンタミン等のアミン類、N−β−アミノエチル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチ
ル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のア
ミン系シランカップリング剤;p−トルエンスルホン
酸、フタル酸、塩酸等の酸類;アルミニウムアルコキシ
ド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物;酢
酸リチウム、酢酸カリウム、蟻酸リチウム、蟻酸ナトリ
ウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金
属塩;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチ
タネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等の
チタニウム化合物;メチルトリクロロシラン、ジメチル
ジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハロ
ゲン化シラン類等が挙げられる。しかし、これらの他
に、オルガノシロキサン(A)の縮合反応の促進に有効
なものであれば特に制限はない。
【0024】シリコーンレジン(1)が硬化触媒をも含
む場合、その量は、オルガノシロキサン(A)に対し、
好ましくは10重量%以下、より好ましくは8%以下で
ある。10重量%を超えると、帯電防止機能無機塗料の
貯蔵安定性を損なう可能性がある。帯電防止機能無機塗
料中に含まれるシリコーンレジンがシリコーンレジン
(1)である場合、帯電防止機能無機塗料は、低温加熱
するか、あるいは、硬化触媒を加えて常温放置すること
により、(A)成分の有する加水分解性基同士が縮合反
応して硬化被膜を形成する。したがって、このような帯
電防止機能無機塗料は、常温で硬化するときにも湿度の
影響をほとんど受けない。また、加熱処理を行えば、硬
化触媒を使用することなく縮合反応を促進して硬化被膜
を形成することができる。
【0025】シリコーンレジン(2)に含まれる前記
(B)成分すなわちシリカ分散オリゴマー溶液(B)
は、帯電防止機能無機塗料の硬化被膜形成に際して、硬
化反応に預かる官能性基としての加水分解性基(X)を
有するベースポリマーの主成分である。これは、たとえ
ば、有機溶媒または水(有機溶媒と水との混合溶媒でも
よい)に分散されたコロイダルシリカに、前記一般式
(I)で表される加水分解性オルガノシランの1種ある
いは2種以上を加え、水(コロイダルシリカ中に予め含
まれていた水および/または別途添加された水)を前記
加水分解性基(X)1モル当量当たり水0.001〜
0.5モル使用する条件下で、該加水分解性オルガノシ
ランを部分加水分解することで得られる。
【0026】前記一般式(I)で表される加水分解性オ
ルガノシラン中の基R3 としては、同一または異種の置
換もしくは非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基であ
れば特に限定はされないが、たとえば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2
−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フ
ェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリ
ル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニ
ル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,
3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化
水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシド
キシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチ
ル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等
を例示することができる。これらの中でも、合成の容易
さ或いは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基お
よびフェニル基が好ましい。
【0027】前記一般式(I)中、加水分解性基Xとし
ては、特に限定はされないが、たとえば、アルコキシ
基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ
基、アミノキシ基、アミド基などが挙げられる。これら
の中でも、入手の容易さおよびシリカ分散オリゴマー溶
液(B)を調製しやすいことから、アルコキシ基が好ま
しい。
【0028】前記加水分解性オルガノシランの具体例と
しては、前記一般式(I)中のmが0〜3の整数である
モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキ
シシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、
エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン
類、アミドシラン類などが挙げられる。これらの中で
も、入手の容易さおよびシリカ分散オリゴマー溶液
(B)を調製しやすいことから、アルコキシシラン類が
好ましい。
【0029】アルコキシシラン類のうち、特に、m=0
のテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシランなどが例示でき、m=1の
オルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ
イソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオ
ロプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。ま
た、m=2のジオルガノジアルコキシシランとしては、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが例示
でき、m=3のトリオルガノアルコキシシランとして
は、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソ
ブチルメトキシシランなどが例示できる。さらに、一般
にシランカップリング剤と呼ばれるオルガノシラン化合
物もアルコキシシラン類に含まれる。
【0030】これらの前記一般式(I)で表される加水
分解性オルガノシランの内、50モル%以上(好ましく
は60モル%以上、より好ましくは70モル%以上)
は、m=1で表される三官能性のものである。これが、
50モル%未満では、十分な塗膜硬度が得られないとと
もに、塗膜の乾燥硬化性が劣りやすい。シリカ分散オリ
ゴマー溶液(B)中のコロイダルシリカは、帯電防止機
能無機塗料の塗布硬化被膜の硬度を高くし、平滑性と耐
クラック性を改善する効果がある。コロイダルシリカと
しては、特に限定はされないが、たとえば、水分散性あ
るいはアルコールなどの非水系の有機溶媒分散性コロイ
ダルシリカが使用できる。一般に、このようなコロイダ
ルシリカは、固形分としてのシリカを20〜50重量%
含有しており、この値からシリカ配合量を決定できる。
また、水分散性コロイダルシリカを使用する場合には、
固形分以外の成分として存在する水は、前記加水分解性
オルガノシランの加水分解に用いることができるととも
に、帯電防止機能無機塗料の硬化剤として用いることが
できる。水分散性コロイダルシリカは、通常、水ガラス
から作られるが、市販品として容易に入手することがで
きる。また、有機溶媒分散性コロイダルシリカは、前記
水分散性コロイダルシリカの水を有機溶媒と置換するこ
とで容易に調製することができる。このような有機溶媒
分散性コロイダルシリカも水分散性コロイダルシリカと
同様に市販品として容易に入手することができる。有機
溶媒分散性コロイダルシリカにおいて、コロイダルシリ
カが分散している有機溶媒の種類は、特に限定はされな
いが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪
族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ
エチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチ
レングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエー
テル等のジエチレングリコール誘導体;およびジアセト
ンアルコール等を挙げることができ、これらからなる群
より選ばれた1種もしくは2種以上を使用することがで
きる。これらの親水性有機溶媒と併用して、トルエン、
キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシ
ムなども用いることができる。
【0031】シリカ分散オリゴマー溶液(B)中のコロ
イダルシリカは、前述の効果があるが、配合量が多すぎ
ると、帯電防止機能無機塗料の硬化被膜が硬くなりすぎ
て同被膜のクラックの発生を招来する原因となる恐れが
ある。そのため、シリカ分散オリゴマー溶液(B)中に
おいて、コロイダルシリカは、シリカを固形分として、
5〜95重量%(好ましくは10〜90重量%、より好
ましくは20〜85重量%)の範囲内で含有される。含
有量が5重量%未満であると、所望の被膜硬度が得られ
なくなる傾向がある。一方、95重量%を越えると、ク
ラックの発生を招来しやすくなる。
【0032】なお、本明細書中、シリコーンレジン
(2)中における(B)成分の配合割合は、コロイダル
シリカの分散媒も含む値である。シリカ分散オリゴマー
溶液(B)を調製する際に用いられる水の量は、前述の
ように、前記加水分解性オルガノシランが持つ加水分解
性基(X)1モル当量当たり0.001〜0.5モルの
範囲内、好ましくは0.01〜0.4モルの範囲内であ
る。水の使用量が0.001モル未満であると、十分な
部分加水分解物が得られず、0.5モルを超えると、部
分加水分解物の安定性が悪くなる。ここで、加水分解性
オルガノシランの部分加水分解反応における水の上記使
用量は、水を全く含まないコロイダルシリカ(たとえ
ば、分散媒として有機溶媒のみを用いたコロイダルシリ
カ)を用いた場合は別途に添加された水の量であり、水
を含むコロイダルシリカ(たとえば、コロイダルシリカ
の分散媒として水のみまたは有機溶媒と水との混合溶媒
を用いたコロイダルシリカ)を用いた場合は、コロイダ
ルシリカ中に予め含まれていた水および別途添加の水の
うちの少なくともコロイダルシリカ中に予め含まれてい
た水の量である。水の量がコロイダルシリカ中に予め含
まれていた水だけで上記使用量に足りるならば別途に水
を添加しなくてもよいのであるが、水の量がコロイダル
シリカ中に予め含まれていた水だけでは上記使用量に足
りない場合は、別途に水を上記使用量に達するまで添加
する必要がある。その場合、上記水の使用量は、コロイ
ダルシリカ中に予め含まれていた水と別途添加された水
の合計量である。なお、コロイダルシリカ中に予め含ま
れていた水だけで上記使用量に足りる場合でも、別途に
水を添加してもよく、その場合も、上記水の使用量は、
コロイダルシリカ中に予め含まれていた水と別途添加さ
れた水の合計量である。ただし、この合計量が上記上限
(加水分解性基(X)1モル当量当たり0.5モル)を
超えないように別途に水を添加する。
【0033】加水分解性オルガノシランを部分加水分解
する方法は、特に限定されず、たとえば、加水分解性オ
ルガノシランとコロイダルシリカとを混合すればよい
(コロイダルシリカに水が全く含まれていないかあるい
は必要量含まれていない場合はここで水を添加配合す
る)。その際、部分加水分解反応は常温で進行するが、
部分加水分解反応を促進させるために、必要に応じ、加
温(たとえば、60〜100℃)するか、あるいは、触
媒を用いてもよい。この触媒としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、ク
ロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻
酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレ
イン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸など
の有機酸および無機酸等の1種または2種以上を用いる
ことができる。
【0034】シリカ分散オリゴマー溶液(B)は、その
性能を長期にわたり安定して得るために、液のpHを、
好ましくは2.0〜7.0、より好ましくは2.5〜
6.5、さらに好ましくは3.0〜6.0にすると良
い。pHがこの範囲外であると、特に水の使用量が加水
分解性基(X)1モル当量当たり0.3モル以上の条件
下で(B)成分の性能持続性の低下が著しい。(B)成
分のpHが上記範囲外にあるときは、この範囲より酸性
側であれば、アンモニア、エチレンジアミン等の塩基性
試薬を添加してpHを調整すれば良く、塩基性側であれ
ば、塩酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いてpHを調整
すればよい。しかし、その調整方法は特に限定されるも
のではない。
【0035】シリコーンレジン(2)に含まれる前記
(C)成分すなわちシラノール基含有ポリオルガノシロ
キサン(C)は、硬化反応に預かる官能性基としての加
水分解性基を有するベースポリマーである前記(B)成
分と縮合反応して硬化被膜中に3次元架橋を形成するた
めの架橋剤であり、前記(B)成分の硬化収縮による歪
みを吸収してクラック発生を防止する効果のある成分で
ある。
【0036】シラノール基含有ポリオルガノシロキサン
(C)を表す前記平均組成式(II)中のR4 としては、
特に限定はされず、前記式(I)中のR3 と同じものが
例示されるが、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル
基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル
基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アミノプロピ
ル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換
炭化水素基、より好ましくはメチル基およびフェニル基
である。また、前記式(II)中、aおよびbはそれぞれ
前記の関係を満たす数であり、aが0.2未満またはb
が3を超えると、帯電防止機能無機塗料の硬化被膜にク
ラックを生じる等の不都合がある。また、aが2を超え
且つ4以下の場合またはbが0.0001未満では硬化
がうまく進行しない。
【0037】シラノール基含有ポリオルガノシロキサン
(C)は、特に限定されるわけではないが、たとえば、
メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フ
ェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、
もしくは、これらに対応するアルコキシシランの1種も
しくは2種以上の混合物を公知の方法により大量の水で
加水分解することにより得ることができる。シラノール
基含有ポリオルガノシロキサン(C)を得るために、ア
ルコキシシランを用いて公知の方法で加水分解した場
合、加水分解されないアルコキシ基が微量に残る場合が
ある。すなわち、シラノール基と極微量のアルコキシ基
とが共存するようなポリオルガノシロキサンが得られる
こともあるが、本発明においては、このようなポリオル
ガノシロキサンを用いても差し支えない。
【0038】シリコーンレジン(2)に含まれる前記
(D)成分すなわち硬化触媒(D)は、前記(B)成分
と(C)成分との縮合反応を促進し、帯電防止機能無機
塗料の塗布被膜を硬化させる成分である。硬化触媒
(D)としては、特に限定はされないが、たとえば、ア
ルキルチタン酸塩類;オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウ
レート、ジオクチル錫ジマレエート等のカルボン酸金属
塩類;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルア
ミンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミ
ン塩類;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸
第4級アンモニウム塩;テトラエチルペンタミン等のア
ミン類、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカ
ップリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩
酸等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウム
キレート等のアルミニウム化合物;酢酸リチウム、蟻酸
リチウム、蟻酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化カ
リウム等のアルカリ金属塩;テトライソプロピルチタネ
ート、テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセ
チルアセトネート等のチタニウム化合物;メチルトリク
ロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノ
クロロシラン等のハロゲン化シラン類等が挙げられる。
しかし、これらの他に、(B)成分と(C)成分との縮
合反応の促進に有効なものであれば特に制限はない。
【0039】シリコーンレジン(2)中、(B)成分お
よび(C)成分の配合割合は、(B)成分と(C)成分
の合計100重量部に対し、(B)成分1〜99重量
部、(C)成分99〜1重量部(好ましくは、(B)成
分5〜95重量部、(C)成分95〜5重量部、より好
ましくは、(B)成分10〜90重量部、(C)成分9
0〜10重量部)である。(B)成分が1重量部未満で
ある((A)成分が99重量部を超える)と、常温硬化
性に劣り、また、十分な被膜硬度が得られない傾向があ
る。一方、(B)成分が99重量部を超える((A)成
分が1重量部未満である)と、硬化性が不安定であり、
かつ、良好な塗膜が得られないことがある。
【0040】シリコーンレジン(2)中、(D)成分の
配合割合は、(B)成分と(C)成分との合計量100
重量部に対して、0.0001〜10重量部の範囲内
(好ましくは0.0005〜8重量部の範囲内、より好
ましくは0.0007〜5重量部の範囲内)である。
(D)の配合量が0.0001重量部未満では常温硬化
性が低下し、また、十分な被膜硬度が得られない傾向が
ある。10重量部を超えると、硬化被膜の耐熱性や耐候
性が低下したり、硬化被膜の硬度が高くなりすぎてクラ
ックを生じたりする恐れがある。
【0041】帯電防止機能無機塗料中に含まれるシリコ
ーンレジンがシリコーンレジン(2)である場合、帯電
防止機能無機塗料は、(B)成分に含まれるオルガノシ
ランのオリゴマーの有する加水分解性基と(C)成分の
シラノ−ル基とが硬化触媒(D)の存在下で、常温放置
もしくは低温加熱することにより縮合反応して硬化被膜
を形成する。従って、このような帯電防止機能無機塗料
は、常温で硬化するときにも湿度の影響をほとんど受け
ない。また、加熱処理により縮合反応を促進して硬化被
膜を形成することもできる。
【0042】本発明の帯電防止機能無機塗料に含まれる
光半導体としては、特に限定はされないが、たとえば、
酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニ
ウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデ
ン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化
カドミウム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸
化タンタル、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ロジウ
ム、酸化レニウム等の金属酸化物の他、チタン酸ストロ
ンチウム等が挙げられる。これらの中でも、上記金属酸
化物が、実用的に容易に利用可能な点で好ましい。
【0043】塗膜の透明性が必要とされる場合は、光半
導体の平均一次粒子径が50μm以下であることが好ま
しく、5μm以下であることがより好ましく、0.5μ
m以下であることがさらに好ましい。光半導体は、1種
のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0044】光半導体は、粉末、微粒子粉末、溶液分散
ゾル粒子等塗料に分散可能なものであれば、いかなる形
態のものでも構わない。さらに、光半導体の原料となる
ものも、最終的に光半導体の性質を示す物であれば、制
限されない。なお、酸化チタンを光半導体として用いる
場合は、結晶形がアナタ−ゼを示すものを用いる方が、
帯電防止性能が長期間発現する点で好ましい。
【0045】本発明の帯電防止機能無機塗料の塗膜に光
を照射すると、この塗膜に含まれる光半導体の作用によ
り塗膜の表面抵抗値が下がることで帯電防止効果が発現
されて、塗膜表面が汚れにくくなる。光半導体含有塗膜
に光が照射されたとき、どのようなメカニズムで塗膜の
表面抵抗値が下がるのかはまだ明確には確認されていな
いが、光照射により生成した電子とホ−ルが作用するこ
とで塗膜の表面抵抗値が下がるものと考えられる。
【0046】光半導体の表面に金属が担持されている
と、塗膜の帯電防止効果がより高くなる。そのメカニズ
ムは、まだ明確には確認されていないが、光半導体の表
面に金属を担持することにより光半導体の電荷分離が促
進されて、電荷分離により生成した電子とホ−ルの消失
確立が小さくなることが関係していると考えられる。光
半導体の表面に担持される金属としては、たとえば、
銀、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、白金、金、パラジウム、
カドミウム、コバルト、ロジウム、ルテニウム等が、光
半導体の電荷分離をより促進させる点で好ましい。担持
される金属は、1種のみでも2種以上でもよい。
【0047】金属の担持量は、特に限定はされないが、
たとえば、光半導体に対し、0.1〜10重量%である
ことが好ましく、0.2〜5重量%であることがより好
ましい。担持量が0.1重量%未満だと、担持効果が充
分に得られない傾向があり、10重量%を超えて担持し
ても、効果はあまり増加せず、逆に変色や性能劣化等の
問題が起きる傾向がある。
【0048】金属の担持方法としては、特に限定するわ
けではないが、浸積法、含浸法、光還元法等が挙げられ
る。帯電防止機能無機塗料中、光半導体の配合量は、特
に限定はされないが、たとえば、全縮合化合物換算固形
分と全光半導体成分との合計100重量部に対する光半
導体の重量部として述べると、光半導体の表面に金属が
担持されていない場合は、好ましくは5〜80重量部、
より好ましくは10〜50重量部であり、光半導体の表
面に金属が担持されている場合は、好ましくは2〜75
重量部、より好ましくは5〜45重量部である。光半導
体の配合量が上記範囲より少ないと、充分な帯電防止機
能が得られにくくなる等の傾向があり、上記範囲より多
いと、クラックが発生しやすくなる等、塗膜性能が低下
する傾向がある。なお、光半導体の表面に金属が担持さ
れている場合の光半導体の上記配合量は、担持金属を含
めない量である。
【0049】本発明の帯電防止機能無機塗料は、必要に
応じ、顔料、染料等の着色剤をさらに含むことにより、
調色可能である。使用できる顔料としては、特に限定は
されないが、たとえば、カーボンブラック、キナクリド
ン、ナフトールレッド、シアニンブルー、シアニングリ
ーン、ハンザイエロー等の有機顔料;酸化チタン、硫酸
バリウム、弁柄、複合金属酸化物等の無機顔料がよく、
これらの群から選ばれる1種あるいは2種以上を組み合
わせて使用しても差し支えない。顔料の分散は、特に限
定はされず、通常の方法、たとえば、ダイノーミール、
ペイントシェーカー等により顔料粉を直接分散させる方
法等でよい。その際、分散剤、分散助剤、増粘剤、カッ
プリング剤等の使用が可能である。顔料の添加量は、顔
料の種類により隠蔽性が異なるので特に限定はされない
が、たとえば、全縮合化合物換算固形分100重量部に
対して、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは1
0〜70重量部である。顔料の添加量が5重量部未満の
場合は隠蔽性が悪くなる傾向があり、80重量部を超え
ると塗膜の平滑性が悪くなることがある。
【0050】使用できる染料としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、アゾ系、アントラキノン系、インジ
コイド系、硫化物系、トリフェニルメタン系、キサンテ
ン系、アリザリン系、アクリジン系、キノンイミン系、
チアゾール系、メチン系、ニトロ系、ニトロソ系等の染
料が挙げられる。これらの群から選ばれる1種あるいは
2種以上を組み合わせて使用しても差し支えない。染料
の添加量は、染料の種類により隠蔽性が異なるので特に
限定はされないが、たとえば、全縮合化合物換算固形分
100重量部に対して、好ましくは5〜80重量部、よ
り好ましくは10〜70重量部である。染料の添加量が
5重量部未満の場合は隠蔽性が悪くなる傾向があり、8
0重量部を超えると塗膜の平滑性が悪くなることがあ
る。
【0051】なお、レベリング剤、金属粉、ガラス粉、
抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等も、本発明の効果
に悪影響を与えない範囲内で帯電防止機能無機塗料に含
まれていてもよい。帯電防止機能無機塗料は、取り扱い
の容易さから必要に応じて各種有機溶媒で希釈して使用
できるし、また、同有機溶媒で希釈したものであっても
よい。有機溶媒の種類は、シリコーンレジンの各成分の
有する1価炭化水素基の種類、または、シリコーンレジ
ンの各成分の分子量の大きさ等に応じて適宜選定するこ
とができる。このような有機溶媒としては、特に限定は
されないが、たとえば、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低
級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコー
ルモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;
ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;および、
トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルエチルケトオキシム、ジアセトンアル
コール等を挙げることができ、これらからなる群より選
ばれた1種もしくは2種以上を使用することができる。
有機溶媒での希釈割合は特に制限はなく、必要に応じて
希釈割合を適宜決定すれば良い。
【0052】帯電防止機能無機塗料を塗布する方法は、
特に限定されるものではなく、たとえば、刷毛塗り、ス
プレー、浸漬(ディッピング)、ロール、フロー、カー
テン、ナイフコート、スピンコート等の通常の各種塗布
方法を選択することができる。帯電防止機能無機塗料の
塗膜の硬化方法については、公知の方法を用いればよ
く、特に限定はされない。また、硬化の際の温度も特に
限定はされず、所望される硬化被膜性能や硬化触媒の使
用の有無や光半導体の耐熱性等に応じて常温〜加熱温度
の広い範囲をとることができる。
【0053】帯電防止機能無機塗料から形成される塗布
硬化被膜の厚みは、特に制限はなく、たとえば、0.0
5〜10μm程度であればよいが、帯電防止機能をより
効果的に発揮させるとともに、塗布硬化被膜が長期的に
安定に密着、保持され、かつ、クラックや剥離が発生し
ないためには、0.05〜5μmが好ましく、0.05
〜2μmがより好ましい。
【0054】本発明の帯電防止機能無機塗料が塗布され
る基材(本発明の帯電防止機能塗装品に用いられる基材
でもある)としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、無機質基材、有機質基材およびこれらの基材のうち
のいずれかの表面に有機物被膜を有する有機塗装基材等
が挙げられる。無機質基材としては、特に限定はされな
いが、たとえば、金属基材;ガラス基材;ホーロー;水
ガラス化粧板、無機質硬化体等の無機質建材;セラミッ
クス等が挙げられる。
【0055】金属基材としては、特に限定はされない
が、たとえば、非鉄金属〔たとえば、アルミニウム(J
IS−H4000等)、アルミニウム合金(ジュラルミ
ン等)、銅、亜鉛等〕、鉄、鋼〔たとえば、圧延鋼(J
IS−G3101等)、溶融亜鉛めっき鋼(JIS−G
3302等)、(圧延)ステンレス鋼(JIS−G43
04、G4305等)等〕、ブリキ(JIS−G330
3等)、その他の金属全般(合金含む)が挙げられる。
【0056】ガラス基材としては、特に限定はされない
が、たとえば、ナトリウムソーダガラス、パイレックス
ガラス、石英ガラス、無アルカリガラス等が挙げられ
る。前記ホーローとは、金属表面にガラス質のホーロー
ぐすりを焼き付け、被覆したものである。その素地金属
としては、たとえば、軟鋼板、鋼板、鋳鉄、アルミニウ
ム等が挙げられるが、特に限定はされない。ホーローぐ
すりも通常のものを用いればよく、特に限定はされな
い。
【0057】前記水ガラス化粧板とは、たとえば、ケイ
酸ソーダをスレートなどのセメント基材に塗布し、焼き
付けた化粧板などを指す。無機質硬化体としては、特に
限定はされないが、たとえば、繊維強化セメント板(J
IS−A5430等)、窯業系サイディング(JIS−
A5422等)、木毛セメント板(JIS−A5404
等)、パルプセメント板(JIS−A5414等)、ス
レート・木毛セメント積層板(JIS−A5426
等)、石膏ボード製品(JIS−A6901等)、粘土
瓦(JIS−A5208等)、厚形スレート(JIS−
A5402等)、陶磁器質タイル(JIS−A5209
等)、建築用コンクリートブロック(JIS−A540
6等)、テラゾ(JIS−A5411等)、プレストレ
ストコンクリートダブルTスラブ(JIS−A5412
等)、ALCパネル(JIS−A5416等)、空洞プ
レストレストコンクリートパネル(JIS−A6511
等)、普通煉瓦(JIS−R1250等)等の無機材料
を硬化、成形させた基材全般を指す。
【0058】セラミックス基材としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ
素、窒化ケイ素等が挙げられる。有機質基材としては、
特に限定はされないが、たとえば、プラスチック、木、
木材、紙等が挙げられる。プラスチック基材としては、
特に限定はされないが、たとえば、ポリカーボネート樹
脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性もしくは熱可塑
性プラスチックおよびこれらのプラスチックをガラス繊
維、ナイロン繊維、カーボン繊維等の繊維で強化した繊
維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
【0059】有機塗装基材を構成する有機物被膜として
は、特に限定はされないが、たとえば、アクリル系、ア
ルキド系、ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系、
アクリルシリコン系、塩化ゴム系、フェノール系、メラ
ミン系等の有機樹脂を含むコーティング材の硬化被膜等
が挙げられる。本発明の帯電防止機能無機塗料の塗布硬
化被膜の耐候性および基材との密着性を向上させるため
には、必要に応じ、基材の表面に、帯電防止機能無機塗
料の塗布硬化被膜を形成させる前に予めプライマー層を
形成させておいてもよい。プライマー層としては、特に
限定はされないが、たとえば、ナイロン樹脂、アルキド
樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコー
ン樹脂、塩化ゴム樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹
脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂および有機変性シ
リコーン樹脂からなる群の中から選ばれた少なくとも1
種の樹脂を固形分として10重量%以上含有するプライ
マー組成物の硬化樹脂層等が挙げられる。プライマー層
の厚みは、特に限定はされないが、0.1〜50μmが
好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。この厚み
が薄すぎると密着性および耐候性の向上効果が得られな
い恐れがあり、厚すぎると乾燥時に発泡等の恐れがあ
る。
【0060】なお、表面に上記のような有機プライマー
層を有する基材は、前記有機塗装基材に含まれる。ま
た、プライマー層には、必要に応じ、調色のために顔
料、染料等の着色剤が含まれていてもよい。使用可能な
着色剤としては、帯電防止機能無機塗料に添加可能なも
のとして前述したものが挙げられる。プライマー層への
着色剤の配合量の好ましい数値範囲についても、前述
の、帯電防止機能無機塗料の場合と同様である。ただ
し、全縮合化合物換算固形分100重量部に対してでは
なくて、全樹脂固形分100重量部に対して規定され
る。
【0061】基材の形態については、特に限定はされ
ず、たとえば、フィルム状、シート状、板状、繊維状等
が挙げられる。また、基材は、これらの形状の材料の成
形体、または、これらの形状の材料もしくはその成形体
の少なくとも1つを一部に備えた構成体等であってもよ
い。基材は、上述した各種材料単独からなるものでもよ
いし、上述した各種材料のうちの少なくとも2つを組み
合わせてなる複合材料または上述した各種材料のうちの
少なくとも2つを積層してなる積層材料でもよい。
【0062】本発明の帯電防止機能無機塗料および帯電
防止機能塗装品は、優れた帯電防止機能を長期間安定に
発揮して、汚れの付着を低減する効果を持つため、帯電
防止機能無機塗料の塗布硬化被膜を各種材料または物品
の少なくとも一部に装備させることにより、たとえば、
下記の用途に好適に用いることができる。建物関連の部
材または物品、たとえば、外装材(たとえば、外壁材、
平板瓦・日本瓦・金属瓦等の瓦等)、塩ビ雨とい等の樹
脂製雨とい・ステンレス雨とい等の金属製雨とい等の雨
とい、門およびそれに用いるための部材(たとえば、門
扉・門柱・門塀等)、フェンス(塀)およびそれに用い
るための部材、ガレージ扉、ホームテラス、ドア、柱、
カーポート、駐輪ポート、サインポスト、宅配ポスト、
配電盤・スイッチ等の配線器具、ガスメーター、インタ
ーホン、テレビドアホン本体およびカメラレンズ部、電
気錠、エントランスポール、縁側、換気扇吹き出し口、
建物用ガラス等;窓(たとえば、採光窓、天窓、ルーバ
ー等の開閉窓等)およびそれに用いるための部材(たと
えば、窓枠、雨戸、ブラインド等)、自動車、鉄道車
両、航空機、船舶、機械装置、道路周辺部材(たとえ
ば、防音壁、トンネル内装板、各種表示装置、ガードレ
ール、車止め、高欄、交通標識の標識板および標識柱、
信号機、ポストコーン等)、広告塔、屋外または屋内用
照明器具およびそれに用いるための部材(たとえば、ガ
ラス部材、樹脂部材、金属部材、セラミックス部材
等)、太陽電池用ガラス、農業用ビニールおよびガラス
ハウス、エアコン用室外機、VHF・UHF・BS・C
S等のアンテナ等。
【0063】なお、本発明の帯電防止機能無機塗料を上
記の各種材料または物品の少なくとも一部に直接塗布
し、硬化させてもよいが、これに限定されず、たとえ
ば、本発明の帯電防止機能無機塗料の塗布硬化被膜をフ
ィルム基材の表面に塗布し、硬化させてなる帯電防止機
能フィルムを上記の各種材料または物品の少なくとも一
部に貼るようにしてもよい。このようなフィルムの基材
の材質としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹
脂、ポリプロピレン(PP)樹脂およびそれらの複合樹
脂等の樹脂が挙げられるが、特に限定はされない。
【0064】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を詳
細に説明する。実施例及び比較例中、特に断らない限
り、「部」はすべて「重量部」を、「%」はすべて「重
量%」を表す。また、分子量はGPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー)により、測定機種として東
ソー(株)のHLC8020を用いて、標準ポリスチレ
ンで検量線を作成し、その換算値として測定したもので
ある。なお、本発明は下記実施例に限定されない。 <実施例1>原料(A1 )としてメチルトリメトキシシ
ラン100部に、原料(A2 )としてテトラエトキシシ
ラン10部、同じく原料(A2 )として酸性コロイダル
シリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「OS
CAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分30
%)90部、原料(A3 )としてジメチルジメトキシシ
ラン30部、希釈溶媒としてイソプロピルアルコール
(以下IPAと略す)100部を混合し、更に、水90
部を添加し、攪拌した。得られた液を60℃恒温槽中で
5時間加熱することにより、反応生成物のオルガノシロ
キサン(A)の重量平均分子量(Mw)を1500に調
整してオルガノシロキサンのアルコール溶液を得た。
【0065】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.73 ・重量平均分子量 1500 ・全縮合化合物換算固形分 23.3% この溶液に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成
(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニッ
ク11−1020G」)を、全縮合化合物換算固形分と
全光半導体成分との合計100部に対し光半導体が20
部になる量添加混合することにより、帯電防止機能無機
塗料(1)を得た。
【0066】この帯電防止機能無機塗料(1)を、アセ
トンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(1)を得た。なお、塗膜の
硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例2>実施例1において、光半導体として、酸化
チタンゾルの代わりに酸化チタン粉末(石原産業(株)
製酸化チタン:商品名「ST−01」)を同じ量用いた
こと以外は実施例1と同様にして帯電防止機能無機塗料
(2)を得た。
【0067】この帯電防止機能無機塗料(2)を、アセ
トンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(2)を得た。なお、塗膜の
硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例3>実施例1において、光半導体として、酸化
チタンゾルの代わりに白金を担持した酸化チタンを同じ
量用いたこと以外は実施例1と同様にして帯電防止機能
無機塗料(3)を得た。
【0068】なお、白金担持は、酸化チタン粉末(石原
産業(株)製酸化チタン:商品名「ST−01」)に光
電着法で行い、酸化チタンに対して0.5%担持した。
次に、帯電防止機能無機塗料(3)を、アセトンで洗浄
したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、塗膜を
温度150℃で1時間乾燥硬化させることにより、帯電
防止機能塗装品(3)を得た。なお、塗膜の硬化後の膜
厚は0.5μmであった。 <実施例4>実施例1において、基材としてガラス基板
の代わりにアルミ基板を用いたこと以外は実施例1と同
様の作業を行って帯電防止機能塗装品(4)を得た。 <実施例5>原料(A1 )としてメチルトリメトキシシ
ラン100部に、原料(A2 )として酸性コロイダルシ
リカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「OSC
AL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分30
%)60部、原料(A3 )としてジメチルジメトキシシ
ラン30部、希釈溶媒としてIPA100部を混合し、
更に、水120部を添加し、攪拌した。得られた液を6
0℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生成物
のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量(Mw)
を1200に調整してオルガノシロキサンのアルコール
溶液を得た。
【0069】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 2.46 ・重量平均分子量 1200 ・全縮合化合物換算固形分 20.9% この溶液に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成
(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニッ
ク11−1020G」)を、全縮合化合物換算固形分と
全光半導体成分との合計100部に対し光半導体が20
部になる量添加混合することにより、帯電防止機能無機
塗料(5)を得た。
【0070】この帯電防止機能無機塗料(5)を、アセ
トンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(5)を得た。なお、塗膜の
硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例6>実施例5において、基材としてガラス基板
の代わりにアルミ基板を用いたこと以外は実施例5と同
様の作業を行って帯電防止機能塗装品(6)を得た。 <実施例7>実施例5において、基材としてガラス基板
の代わりにアクリル基板を用いたこと以外は実施例5と
同様の作業を行って帯電防止機能塗装品(7)を得た。 <実施例8>実施例5において、光半導体として用いた
酸化チタンゾルの添加量を5部に変更したこと以外は実
施例5と同様にして帯電防止機能無機塗料(8)を得
た。
【0071】この帯電防止機能無機塗料(8)を、アセ
トンで洗浄したアルミ基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(8)を得た。なお、塗膜の
硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例9>実施例5において、光半導体として用いた
酸化チタンゾルの添加量を80部に変更したこと以外は
実施例5と同様にして帯電防止機能無機塗料(9)を得
た。
【0072】この帯電防止機能無機塗料(9)を、アセ
トンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(8)を得た。なお、塗膜の
硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例10>原料(A1 )としてメチルトリメトキシ
シラン100部に、原料(A2 )としてテトラエトキシ
シラン20部、同じく原料(A2 )として酸性コロイダ
ルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「O
SCAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分3
0%)50部、原料(A3 )としてジメチルジメトキシ
シラン50部、希釈溶媒としてIPA100部を混合
し、更に、水180部を添加し、攪拌した。得られた液
を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生
成物のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量(M
w)を1800に調整してオルガノシロキサンのアルコ
ール溶液を得た。
【0073】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 2.92 ・重量平均分子量 1200 ・全縮合化合物換算固形分 20.2% この溶液に、光半導体として酸化チタンゾル(石原産業
(株)製酸化チタンゾル:商品名「STS−01」)
を、全縮合化合物換算固形分と全光半導体成分との合計
100部に対し光半導体が20部になる量添加混合する
ことにより、帯電防止機能無機塗料(10)を得た。
【0074】この帯電防止機能無機塗料(10)を、ア
セトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗
布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させること
により、帯電防止機能塗装品(10)を得た。なお、塗
膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例11>原料(A1 )としてメチルトリメトキシ
シラン100部に、原料(A2 )としてテトラエトキシ
シラン10部、同じく原料(A2 )として酸性コロイダ
ルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「O
SCAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分3
0%)90部、希釈溶媒としてIPA100部を混合
し、更に、水200部を添加し、攪拌した。得られた液
を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生
成物のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量(M
w)を2000に調整してオルガノシロキサンのアルコ
ール溶液を得た。
【0075】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 4.63 ・重量平均分子量 1200 ・全縮合化合物換算固形分 15.8% この溶液に、光半導体として酸化チタンゾル(石原産業
(株)製酸化チタンゾル:商品名「STS−01」)
を、全縮合化合物換算固形分と全光半導体成分との合計
100部に対し光半導体が20部になる量添加混合する
ことにより、帯電防止機能無機塗料(11)を得た。
【0076】この帯電防止機能無機塗料(11)を、ア
セトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗
布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させること
により、帯電防止機能塗装品(11)を得た。なお、塗
膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例12>原料(A1 )としてメチルトリメトキシ
シラン100部に、原料(A2 )として酸性コロイダル
シリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「OS
CAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分30
%)60部、希釈溶媒としてIPA100部を混合し、
更に、水60部を添加し、攪拌した。得られた液を60
℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生成物の
オルガノシロキサン(A)の重量平均分子量(Mw)を
950に調整してオルガノシロキサンのアルコール溶液
を得た。
【0077】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.51 ・重量平均分子量 1200 ・全縮合化合物換算固形分 21.0% この溶液に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成
(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニッ
ク11−1020G」)を、全縮合化合物換算固形分と
全光半導体成分との合計100部に対し光半導体が20
部になる量添加混合することにより、帯電防止機能無機
塗料(12)を得た。
【0078】この帯電防止機能無機塗料(12)を、ア
セトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗
布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させること
により、帯電防止機能塗装品(12)を得た。なお、塗
膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例13>実施例12において、塗膜の硬化後の膜
厚を1.0μmに変更したこと以外は実施例12と同様
の作業を行って帯電防止機能塗装品(13)を得た。 <実施例14>実施例12において、塗装法をスピンコ
ート塗装法に変更して塗膜の硬化後の膜厚を0.05μ
mに変更したこと以外は実施例12と同様の作業を行っ
て帯電防止機能塗装品(14)を得た。 <実施例15>実施例12において、塗装法をスピンコ
ート塗装法に変更して塗膜の硬化後の膜厚を0.1μm
に変更したこと以外は実施例12と同様の作業を行って
帯電防止機能塗装品(15)を得た。 <実施例16>実施例12において、塗膜の硬化後の膜
厚を0.3μmに変更したこと以外は実施例12と同様
の作業を行って帯電防止機能塗装品(16)を得た。 <実施例17>実施例12において、帯電防止機能無機
塗料(12)に顔料(石原産業(株)製白色顔料)を全
縮合化合物換算固形分100部に対して45部添加する
ことにより、帯電防止機能無機塗料(17)を得た。
【0079】この帯電防止機能無機塗料(17)をアセ
トンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(17)を得た。なお、塗膜
の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <比較例1>実施例1において、光半導体として用いた
酸化チタンゾルの添加量を0.5部に変更したこと以外
は実施例1と同様にして比較用帯電防止機能無機塗料
(1)を得た。
【0080】この比較用帯電防止機能無機塗料(1)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させ
ることにより、比較用帯電防止機能塗装品(1)を得
た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <比較例2>実施例5において、光半導体として用いた
酸化チタンゾルの添加量を85部に変更したこと以外は
実施例5と同様にして比較用帯電防止機能無機塗料
(2)を得た。
【0081】この比較用帯電防止機能無機塗料(2)
を、アセトンで洗浄したアルミ基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させ
ることにより、比較用帯電防止機能塗装品(2)を得
た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <比較例3>実施例1において、光半導体として用いた
酸化チタンゾルの代わりに市販の帯電防止剤(ライオン
(株)製カーボンブラック;商品名「オイルファーネス
カーボンFP−C」)50部使用したこと以外は実施例
1と同様にして比較用帯電防止機能無機塗料(3)を得
た。
【0082】この比較用帯電防止機能無機塗料(3)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させ
ることにより、比較用帯電防止機能塗装品(3)を得
た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例a>原料(A1 )としてメチルトリメトキシシ
ラン100部に、原料(A2 )としてテトラエトキシシ
ラン10部、同じく原料(A2 )として酸性コロイダル
シリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「OS
CAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分30
%)90部、希釈溶媒としてイソプロピルアルコール
(以下IPAと略す)100部を混合し、更に、水90
部を添加し、攪拌した。得られた液を60℃恒温槽中で
5時間加熱することにより、反応生成物のオルガノシロ
キサン(A)の重量平均分子量(Mw)を1000に調
整してオルガノシロキサンのアルコール溶液を得た。
【0083】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 2.08 ・重量平均分子量 1000 ・全縮合化合物換算固形分 20.3% この溶液に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成
(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニッ
ク11−1020G」)を、全縮合化合物換算固形分と
全光半導体成分との合計100部に対し光半導体が20
部になる量添加混合することにより、帯電防止機能無機
塗料(a)を得た。 <比較例4>実施例aで得た帯電防止機能無機塗料
(a)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスピンコー
ト塗装法により塗布し、塗膜を温度150℃で1時間乾
燥硬化させることにより、比較用帯電防止機能塗装品
(4)を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.03μ
mであった。 <比較例5>実施例aで得た帯電防止機能無機塗料
(a)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗
装法により塗布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬
化させることにより、比較用帯電防止機能塗装品(5)
を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は15μmであっ
た。
【0084】次に、以下の実施例および比較例に先立
ち、それらに用いるシリコーンレジン(2)の(B)、
(C)成分を以下のようにして調製した。 (B成分の調製例): <調製例B−1>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、IPA分散コロイ
ダルシリカゾルIPA−ST(粒子径10〜20nm、
固形分30%、水分0.5%、日産化学工業(株)製)
100部と、メチルトリメトキシシラン68部と、水1
0.8部とを投入し、攪拌しながら65℃で約5時間か
けて部分加水分解反応を行った後、冷却することによ
り、(B−1)成分を得た。このものは、室温で48時
間放置したときの全縮合化合物換算固形分が36%であ
った。
【0085】 B−1の調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.4モル ・(B−1)成分のシリカ分含有量 47.2% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 100モル% <調製例B−2>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、キシレン・n−ブ
タノール混合溶媒分散コロイダルシリカゾルXBA−S
T(粒子径10〜20nm、固形分30%、水分0.2
%、日産化学工業(株)製)100部と、メチルトリメ
トキシシラン68部とを投入し、攪拌しながら65℃で
約5時間かけて部分加水分解反応を行った後、冷却する
ことにより、(B−2)成分を得た。このものは、室温
で48時間放置したときの全縮合化合物換算固形分が3
7.8%であった。
【0086】 B−2の調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.007モル ・(B−2)成分のシリカ分含有量 47.2% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 100モル% <調製例B−3>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、IPA分散コロイ
ダルシリカゾルIPA−ST(粒子径10〜20nm、
固形分30%、水分0.5%、日産化学工業(株)製)
100部と、メチルトリメトキシシラン68部と、ジメ
チルジメトキシシラン18部と、水2.7部と、無水酢
酸0.1部とを投入し、攪拌しながら80℃で約3時間
かけて部分加水分解反応を行った後、冷却することによ
り、(B−3)成分を得た。このものは、室温で48時
間放置したときの全縮合化合物換算固形分が39.5%
であった。
【0087】 B−3の調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.1モル ・(B−3)成分のシリカ分含有量 40.2% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 77モル% (C成分の調製例):<調製例C−1>攪拌機、加温ジ
ャケット、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り
付けたフラスコに、メチルトリイソプロポキシシラン2
20部(1モル)がトルエン150部に溶解してなる溶
液を仕込み、これに、1%塩酸水溶液108部を20分
かけて滴下し、メチルトリイソプロポキシシランを攪拌
下60℃で加水分解した。滴下終了から40分後に攪拌
を止め、反応液を分液ロートに移し入れて静置したとこ
ろ、二層に分離した。少量の塩酸を含んだ下層の水とイ
ソプロピルアルコールの混合溶液を分液除去し、後に残
ったトルエンの樹脂溶液中に残存している塩酸を水洗で
除去し、更にトルエンを減圧除去した後、残留物をイソ
プロピルアルコールで希釈することにより、重量平均分
子量(Mw)約2000のシラノール基含有ポリオルガ
ノシロキサンのイソプロピルアルコール溶液を得た。こ
れをC−1と称する。この溶液C−1中の全縮合化合物
換算固形分は40%である。また、C−1中のシラノー
ル基含有ポリオルガノシロキサンは前記平均組成式(I
I)を満たすものであることが確認されている。
【0088】<調製例C−2>攪拌機、加温ジャケッ
ト、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた
フラスコに水1000部、アセトン50部を仕込み、更
にメチルトリクロロシシラン44.8部(0.3モ
ル)、ジメチル1.2,1.4,1.6ジクロロシラン
38.7部(0.3モル)およびフェニルトリクロロシ
ラン84.6部(0.4モル)がトルエン200部に溶
解してなる溶液を攪拌下に滴下しながら60℃で加水分
解した。滴下終了から40分後に攪拌を止め,反応液を
分液ロートに移し入れて静置したところ、二層に分離し
た。下層の塩酸水を分液除去し、後に残ったオルガノポ
リシロキサンのトルエン溶液中に残存している水と塩酸
を減圧ストリッピングにより過剰のトルエンとともに除
去することにより、重量平均分子量(Mw)約3000
のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンのトルエン
溶液を得た。これをC−2と称する。この溶液C−2中
の全縮合化合物換算固形分は60%である。また、C−
2中のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンは前記
平均組成式(II)を満たすものであることが確認されて
いる。
【0089】上記のようにして得られた(B)、(C)
成分を用い、以下の実施例および比較例を行った。 <実施例18>B−1(70部)と、C−1(30部)
と、硬化触媒としてN−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン1部とを混合した後
に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成(株)製
酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニック11−
1020G」)を、全縮合化合物換算固形分と全光半導
体成分との合計100部に対し光半導体が10部になる
量添加混合することにより、帯電防止機能無機塗料(1
8)を得た。
【0090】この帯電防止機能無機塗料(18)を、ア
セトンで洗浄したステンレス基板にスプレー塗装法によ
り塗布し、塗膜を温度60℃で1時間乾燥硬化させるこ
とにより、帯電防止機能塗装品(18)を得た。なお、
塗膜の硬化後の膜厚は1.0μmであった。 <実施例19>実施例18において、光半導体として、
酸化チタンゾルの代わりに酸化チタン粉末(石原産業
(株)製酸化チタン:商品名「ST−01」)を同じ量
用いたこと以外は実施例18と同様にして帯電防止機能
無機塗料(19)を得た。
【0091】この帯電防止機能無機塗料(19)を、ア
セトンで洗浄したステンレス基板にスプレー塗装法によ
り塗布し、塗膜を温度60℃で1時間乾燥硬化させるこ
とにより、帯電防止機能塗装品(19)を得た。なお、
塗膜の硬化後の膜厚は1.0μmであった。 <実施例20>実施例18において、光半導体として、
酸化チタンゾルの代わりに銀を担持した酸化チタンを同
じ量用いたこと以外は実施例18と同様にして帯電防止
機能無機塗料(20)を得た。
【0092】なお、銀担持は、酸化チタン粉末(石原産
業(株)製酸化チタン:商品名「STS−01」)に光
電着法で行い、酸化チタンに対して0.5%担持した。
次に、帯電防止機能無機塗料(20)を、アセトンで洗
浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、塗膜
を温度60℃で1時間乾燥硬化させることにより、帯電
防止機能塗装品(20)を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例21>B−2(60部)中に光半導体として酸
化チタン粉末(石原産業(株)製酸化チタン:商品名
「ST−01」)を、全縮合化合物換算固形分と全光半
導体成分との合計100部に対し光半導体が10部にな
る量、分散させてなる溶液と、C−1(40部)と、硬
化触媒としてN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン2部とを混合することによ
り、帯電防止機能無機塗料(21)を得た。
【0093】この帯電防止機能無機塗料(21)を、ア
セトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗
布し、塗膜を温度60℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(21)を得た。なお、塗膜
の硬化後の膜厚は0.1μmであった。 <実施例22>B−1(60部)中に光半導体として酸
化チタンゾル(石原産業(株)製酸化チタンゾル:商品
名「STS−01」)を、全縮合化合物換算固形分と全
光半導体成分との合計100部に対し光半導体が10部
になる量、分散させてなる溶液と、C−1(40部)
と、硬化触媒としてN−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン2部とを混合すること
により、帯電防止機能無機塗料(22)を得た。
【0094】この帯電防止機能無機塗料(22)を、ア
セトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗
布し、塗膜を温度60℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(22)を得た。なお、塗膜
の硬化後の膜厚は0.3μmであった。 <実施例23>B−2(50部)と、C−2(50部)
と、硬化触媒としてN−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン2部とを混合した後
に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成(株)製
酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニック11−
1020G」)を、全縮合化合物換算固形分と全光半導
体成分との合計100部に対し光半導体が5部になる量
添加混合することにより、帯電防止機能無機塗料(2
3)を得た。
【0095】この帯電防止機能無機塗料(23)を、ア
セトンで洗浄したガラス基板にスピンコート塗装法によ
り塗布し、塗膜を温度60℃で1時間乾燥硬化させるこ
とにより、帯電防止機能塗装品(23)を得た。なお、
塗膜の硬化後の膜厚は0.05μmであった。 <実施例24>B−3(50部)と、C−2(50部)
と、硬化触媒としてN−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン2部とを混合した後
に、光半導体として酸化チタンゾル(触媒化成(株)製
酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニック11−
1020G」)を、全縮合化合物換算固形分と全光半導
体成分との合計100部に対し光半導体が5部になる量
添加混合することにより、帯電防止機能無機塗料(2
4)を得た。
【0096】この帯電防止機能無機塗料(24)を、ア
セトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗
布し、塗膜を温度60℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(24)を得た。なお、塗膜
の硬化後の膜厚は0.2μmであった。 <実施例25>アセトン洗浄したガラス板の表面にエポ
キシ系プライマー(イサム塗料(株):商品名「E−1
プライマ−」)を約10μmの膜厚で塗装した後、実施
例1で得られた帯電防止機能無機塗料(1)を硬化膜厚
が0.1μmになるようにスプレー塗装法により塗布
し、次いで温度150℃で1時間乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(25)を得た。 <実施例26>アセトン洗浄したアクリル板の表面にエ
ポキシ系プライマー(イサム塗料(株):商品名「E−
1プライマ−」)を約10μmの膜厚で塗装した後、実
施例18で得られた帯電防止機能無機塗料(18)を硬
化膜厚が0.1μmになるようにスプレー塗装法により
塗布し、次いで温度60℃で1時間乾燥硬化させること
により、帯電防止機能塗装品(26)を得た。 <実施例27>まず、プライマー組成物に用いる(27
−1)〜(27−4)成分を以下のようにして準備し
た。
【0097】(27−1)成分の調製:攪拌機、加温ジ
ャケット、コンデンサー及び温度計をつけたフラスコ中
に、IPA分散コロイダルシリカゾルIPA−ST(粒
子径10〜20nm、固形分30%、水分0.5%、日
産化学工業(株)製)100部と、メチルトリメトキシ
シラン68部と、水2.2部とを投入し、攪拌しながら
65℃で約5時間かけて部分加水分解反応を行った後、
冷却することにより、オルガノシランのシリカ分散オリ
ゴマー溶液を得た。これを(27−1)成分と称する。
このものは、室温で48時間放置したときの全縮合化合
物換算固形分が37.3%であった。
【0098】 (27−1)成分の調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.1モル ・(27−1)成分のシリカ分含有量 47.3% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 100モル% (27−2)成分:前記調製例C−1で得られた重量平
均分子量(Mw)約2000のシラノール基含有ポリオ
ルガノシロキサンのイソプロピルアルコール40%溶液
C−1を(27−2)成分と称する。
【0099】(27−3)成分:(27−3)成分とし
て、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシランをD−1と称し、ジブチル錫ジラウレ
ートをD−2と称する。 (27−4)成分の調製:次に、攪拌機、加温ジャケッ
ト、コンデンサー、滴下ロート、窒素ガス導入・排出口
及び温度計を取り付けたフラスコ中で、n−ブチルメタ
クリレート(BMA)5.69部(40mmol)、ト
リメトキシシリルプロピルメタクリレート(SMA)
1.24部(5mmol)、グリシジルメタクリレート
(GMA)0.71部(5mmol)、更に連鎖移動剤
としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.
784部(4mmol)をトルエン8.49部に溶解さ
せてなる反応液に、アゾビスイソブチロニトリル0.0
25部(0.15mmol)がトルエン3部に溶解して
なる溶液を窒素気流下で滴下し、70℃で2時間反応さ
せた。これにより、重量平均分子量Mw=1000のア
クリル樹脂の40%トルエン溶液を得た。これを(27
−4)成分と称する。
【0100】 (27−4)成分の調製条件: ・単量体モル比率 BMA/SMA/GMA=8/1/1 ・重量平均分子量 1000 ・固形分含有量 40% 次に、上記成分を、 の割合で混合し、イソプロピルアルコールで固形分25
%になるように希釈することにより、プライマー組成物
を得た。このプライマー組成物をアクリル板(50mm
×50mm×2.5mm)にスプレー塗装法で硬化塗膜
厚1.0μmになるように塗布し、60℃で15分間硬
化させることにより、プライマー層を形成した。
【0101】プライマー層を形成後、10分間セッティ
ング時間をおき、実施例24で得た帯電防止機能無機塗
料(24)をスプレー塗装法で硬化塗膜厚0.5μmに
なるように塗布し、60℃で1時間乾燥硬化させること
により、帯電防止機能塗装品(27)を得た。 <実施例28>実施例27において、プライマ−組成物
に顔料(石原産業(株)製白色顔料)を全樹脂固形分1
00部に対して45部添加したこと以外は実施例27と
同様にして帯電防止機能塗装品(28)を得た。 <比較例6>実施例19において、光半導体として用い
た酸化チタン粉末の添加量を1部に変更したこと以外は
実施例19と同様にして比較用帯電防止機能無機塗料
(6)を得た。
【0102】この比較用帯電防止機能無機塗料(6)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させ
ることにより、比較用帯電防止機能塗装品(6)を得
た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <比較例7>実施例19において、光半導体として用い
た酸化チタン粉末の添加量を85部に変更したこと以外
は実施例19と同様にして比較用帯電防止機能無機塗料
(7)を得た。
【0103】この比較用帯電防止機能無機塗料(7)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させ
ることにより、比較用帯電防止機能塗装品(7)を得
た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <比較例8>実施例22で得た帯電防止機能無機塗料
(22)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスピンコ
ート塗装法により塗布し、塗膜を温度150℃で1時間
乾燥硬化させることにより、比較用帯電防止機能塗装品
(8)を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.01μ
mであった。 <比較例9>実施例23で得た帯電防止機能無機塗料
(23)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー
塗装法により塗布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥
硬化させることにより、比較用帯電防止機能塗装品
(9)を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は20μmで
あった。 <実施例29>トヨタスプリンタ−(自動車;平成2年
式)のボンネットをアセトンで充分洗浄した後、実施例
18で得られた帯電防止機能無機塗料(18)をスプレ
ー塗装法で硬化塗膜厚0.5μmになるように塗布し、
室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、帯電防止機
能塗装品(29)を得た。 <実施例30>松下電工(株)本館(建物;大阪府門真
市)南面の一部(10m2 )をフッ酸で焼成した後、ア
セトンでさらに充分洗浄した後、実施例18で得られた
帯電防止機能無機塗料(18)をスプレー塗装法で硬化
塗膜厚1.0μmになるように塗布し、外気温下約20
℃で一昼夜乾燥硬化させることにより、帯電防止機能塗
装品(30)を得た。 <実施例31>松下電工(株)大阪門真敷地内の研究所
建物の屋上に設置した松下電工(株)製採光窓(型式M
WT2025JH)の一部に、実施例22で得られた帯
電防止機能無機塗料(22)をスプレー塗装法で硬化塗
膜厚0.5μmになるように塗布し、室温下で一昼夜乾
燥硬化させることにより、帯電防止機能塗装品(31)
を得た。 <実施例32>松下電工(株)大阪門真敷地内の中間実
験室にあるドラフトの全面ガラスの一部(約250cm
2 )に、実施例22で得られた帯電防止機能無機塗料
(22)をスプレー塗装法で硬化塗膜厚0.5μmにな
るように塗布し、室温下で一昼夜乾燥硬化させることに
より、帯電防止機能塗装品(32)を得た。 <実施例33>松下電工(株)大阪門真敷地内の大きさ
600mmφ、高さ1200mmの進入禁止の道路標識
の一部(約1400cm2 )に、実施例22で得られた
帯電防止機能無機塗料(22)をスプレー塗装法で硬化
塗膜厚0.5μmになるように塗布し、室温下で一昼夜
乾燥硬化させることにより、帯電防止機能塗装品(3
3)を得た。 <実施例34>松下電工(株)大阪門真敷地内の建物の
窓ガラス(1m2 、厚み6mm)の窓ガラスに、実施例
22で得られた帯電防止機能無機塗料(22)をスプレ
ー塗装法で硬化塗膜厚1.0μmになるように塗布し、
室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、帯電防止機
能塗装品(34)を得た。 <実施例35>松下電工(株)大阪門真敷地内の正門に
設置した道路照明器具(型式YA32020)の全面ガ
ラス、ポ−ル、器具の一部に、実施例22で得られた帯
電防止機能無機塗料(22)をスプレー塗装法で硬化塗
膜厚0.5μmになるように塗布し、室温下で一昼夜乾
燥硬化させることにより、帯電防止機能塗装品(35)
を得た。 <実施例36>松下電工(株)大阪門真敷地内の社内食
堂の厨房内に設置した富士型蛍光灯器具(型式FA22
063)の反射板の一部に、実施例22で得られた帯電
防止機能無機塗料(22)をスプレー塗装法で硬化塗膜
厚0.5μmになるように塗布し、室温下で一昼夜乾燥
硬化させることにより、帯電防止機能塗装品(36)を
得た。 <実施例37>実施例1において、光半導体として、酸
化チタンゾルの代わりにチタン酸ストロンチウム(フル
ウチ化学(株)製試薬)を同じ量用いたこと以外は実施
例1と同様にして帯電防止機能無機塗料(37)を得
た。
【0104】この帯電防止機能無機塗料(37)を、ア
セトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗
布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させること
により、帯電防止機能塗装品(37)を得た。なお、塗
膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例38>実施例1において、光半導体として、酸
化チタンゾルの代わりに、酸化チタン(石原産業(株)
製、商品名「ST−01」)と酸化亜鉛(ナカライテス
ク(株)製、商品名「試薬ZnO」)との重量比1:1
混合物を同じ量用いたこと以外は実施例1と同様にして
帯電防止機能無機塗料(38)を得た。
【0105】この帯電防止機能無機塗料(38)を、ア
セトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗
布し、塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させること
により、帯電防止機能塗装品(38)を得た。なお、塗
膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <比較例10>実施例1において、光半導体を全く用い
ないこと以外は実施例1と同様にして比較用無機塗料
(10)を得た。
【0106】この比較用無機塗料(10)を、アセトン
で洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、
塗膜を温度150℃で1時間乾燥硬化させることによ
り、比較用塗装品(10)を得た。なお、塗膜の硬化後
の膜厚は0.5μmであった。 <実施例39>実施例1において、塗膜の硬化後の膜厚
を9.5μmに変更したこと以外は実施例1と同様の作
業を行って帯電防止機能塗装品(39)を得た。 <実施例40>実施例23において、塗膜の硬化後の膜
厚を9.5μmに変更したこと以外は実施例23と同様
の作業を行って帯電防止機能塗装品(40)を得た。 <比較例11>実施例1において、塗膜の硬化後の膜厚
を11μmに変更したこと以外は実施例1と同様の作業
を行って比較用塗装品(11)を得た。 <比較例12>実施例23において、塗膜の硬化後の膜
厚を11μmに変更したこと以外は実施例23と同様の
作業を行って比較用塗装品(12)を得た。
【0107】以上のようにして得られた塗料および塗装
品の性能を次のような方法で評価した。 <評価方法> (塗膜性能):JIS−K5400に記載された煮沸試
験により評価した。
【0108】(帯電防止性能):JIS−L1094に
記載された帯電半減期により評価した。帯電半減期の測
定に当たっては、日本スタテック製スタチックメ−タ−
S4101を使用し、サンプルにブラックライト10W
(0.6mW/cm2 )を6時間照射した後、測定し
た。
【0109】(物品などに塗装したものの評価):塗装
してから3ヶ月経過後の塗装部と未塗装部の汚れ方の違
いで評価した。結果を表1〜3に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】実施例29〜36については、いずれも未
塗装部に比較して塗装部での汚れ付着がほとんど見られ
なかった。
【0114】
【発明の効果】本発明の帯電防止機能無機塗料は、長期
にわたり安定に帯電防止機能を持続して高い汚れ防止性
能を発揮するとともに、光半導体の添加により塗膜性能
が損なわれることが少なく、紫外線で劣化しにくい塗布
硬化被膜を形成することができる。また、様々な色に調
色可能である。
【0115】本発明の帯電防止機能無機塗料は、それに
含まれる樹脂と光半導体との割合を変えることにより、
用途に応じて、帯電防止性能、塗膜特性等をコントロー
ルすることができる。本発明の帯電防止機能無機塗料
は、加熱硬化だけでなく、常温硬化も可能であるため、
広い乾燥硬化条件範囲あるいは温度範囲での使用が可能
である。従って、熱を均等にかけにくい形状を持つ基
材、大きな寸法を持つ基材または耐熱性に劣る基材等に
対しても塗装ができるのみでなく、屋外等で塗装作業を
行ったりする場合等のように熱をかけにくい場合でも塗
装できることから、その産業的価値が高い。
【0116】本発明の帯電防止機能塗装品は、上記のよ
うな帯電防止機能無機塗料の塗布硬化被膜を基材の表面
に備えたものであるため、長期にわたり安定に帯電防止
機能を持続して高い汚れ防止性能を発揮するとともに、
光半導体の添加により塗膜性能が損なわれることが少な
く、紫外線で劣化しにくい。また、様々な色に調色可能
な上記帯電防止機能無機塗料を用いて製造できるので、
デザイン性も高く、使用範囲が広い。
【0117】本発明の帯電防止機能塗装品は、その製造
に用いられる帯電防止機能無機塗料に含まれる樹脂と光
半導体との割合を変えることにより、用途に応じて、帯
電防止性能、塗膜特性等をコントロールすることができ
る。本発明の帯電防止機能塗装品は、加熱硬化だけでな
く常温硬化も可能な上記帯電防止機能無機塗料を用いて
製造することができるため、広い乾燥硬化条件範囲ある
いは温度範囲で製造できる。従って、熱を均等にかけに
くい形状を持つ基材、大きな寸法を持つ基材または耐熱
性に劣る基材等をも用いることができ、また、屋外等の
ように熱をかけにくい作業現場でも製造できることか
ら、その産業的価値が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 183/04 C09D 183/04 E01F 9/04 E01F 9/04 E04F 13/02 E04F 13/02 A F21V 7/22 F21V 7/22 A (72)発明者 池永 順子 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコーンレジンを主成分とする無機塗料
    中に光半導体を全縮合化合物換算固形分と全光半導体成
    分との合計100重量部に対し2〜80重量部含有して
    なる帯電防止機能無機塗料。
  2. 【請求項2】前記シリコーンレジンは、下記(A)成分
    を含むシリコーンレジンである、請求項1に記載の帯電
    防止機能無機塗料。 (A)成分:一般式R2 Si(OR1 3 で表されるケ
    イ素化合物100重量部に対し、一般式Si(OR1
    4 で表されるケイ素化合物および/またはコロイダルシ
    リカ20〜200重量部と、一般式R2 2 Si(O
    1 2 で表されるケイ素化合物0〜60重量部とを含
    む加水分解性混合物(ここでR1 、R2 は1価の炭化水
    素基を示す)の加水分解重縮合物であって、この加水分
    解重縮合物の重量平均分子量がポリスチレン換算で90
    0以上になるように調整されているオルガノシロキサ
    ン。
  3. 【請求項3】前記シリコーンレジンは、下記(B)、
    (C)および(D)成分を、(B)成分と(C)成分の
    合計100重量部に対し、(B)成分1〜99重量部、
    (C)成分1〜99重量部、(D)成分0.0001〜
    10重量部の配合割合で含み、(B)成分においてシリ
    カを固形分として5〜95重量%含有し、かつ、(B)
    成分の原料の加水分解性オルガノシランの少なくとも5
    0モル%がm=1のオルガノシランであるシリコーンレ
    ジンである、請求項1に記載の帯電防止機能無機塗料。 (B)成分: 一般式R3 m SiX4-m …(I) で表される(ここでR3 は同一または異種の置換もしく
    は非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、mは
    0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す。)加水分解性
    オルガノシランを、有機溶媒、水またはそれらの混合溶
    媒に分散されたコロイダルシリカ中で、前記加水分解性
    基(X)1モル当量当たり水0.001〜0.5モルを
    使用する条件下で部分加水分解してなる、オルガノシラ
    ンのシリカ分散オリゴマー溶液。 (C)成分: 平均組成式R4 a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) で表され(ここでR4 は同一または異種の置換もしくは
    非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよ
    びbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦
    3、a+b<4の関係を満たす数である。)、分子中に
    シラノール基を含有するポリオルガノシロキサン。 (D)成分:硬化触媒。
  4. 【請求項4】前記光半導体は、酸化チタン、酸化亜鉛、
    酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステ
    ン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸
    化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸
    化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガ
    ン、酸化コバルト、酸化ロジウムおよび酸化レニウムか
    らなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物であ
    る、請求項1から3までのいずれかに記載の帯電防止機
    能無機塗料。
  5. 【請求項5】前記光半導体の表面に金属が担持されてい
    る、請求項1から4までのいずれかに記載の帯電防止機
    能無機塗料。
  6. 【請求項6】前記光半導体の表面に担持されている前記
    金属は、銀、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、白金、金、パラ
    ジウム、カドミウム、コバルト、ロジウムおよびルテニ
    ウムからなる群より選ばれた少なくとも1種である、請
    求項5に記載の帯電防止機能無機塗料。
  7. 【請求項7】基材の表面に、請求項1から6までのいず
    れかに記載の帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜1
    0μmの塗布硬化被膜からなる塗装層を備えた帯電防止
    機能塗装品。
  8. 【請求項8】前記基材は、無機質基材、有機質基材、こ
    れらの基材のうちのいずれかの表面に有機物被膜を有す
    る有機塗装基材の各単独材料、これらのうちの少なくと
    も2つを組み合わせてなる複合材料、および、これらの
    うちの少なくとも2つを積層してなる積層材料からなる
    群より選ばれている、請求項7に記載の帯電防止機能塗
    装品。
  9. 【請求項9】前記基材は、金属、ガラス、ホ−ロ−、セ
    ラミックス、木、木材、セメント、コンクリ−トおよび
    プラスチックの各単独材料、これらのうちの少なくとも
    2つを組み合わせてなる複合材料、および、これらのう
    ちの少なくとも2つを積層してなる積層材料からなる群
    より選ばれている、請求項8に記載の帯電防止機能塗装
    品。
  10. 【請求項10】前記基材は、その表面に予めプライマー
    塗装が施されたものである、請求項7から9までのいず
    れかに記載の帯電防止機能塗装品。
  11. 【請求項11】請求項1から6までのいずれかに記載の
    帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布
    硬化被膜を少なくとも一部に備えた建物関連部材。
  12. 【請求項12】ガラスである請求項11に記載の建物関
    連部材。
  13. 【請求項13】請求項1から6までのいずれかに記載の
    帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布
    硬化被膜を少なくとも一部に備えた建物用門。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の門に使用するための
    門柱。
  15. 【請求項15】請求項1から6までのいずれかに記載の
    帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布
    硬化被膜を少なくとも一部に備えた建物用塀。
  16. 【請求項16】請求項15に記載の塀に使用するための
    部材。
  17. 【請求項17】請求項1から6までのいずれかに記載の
    帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布
    硬化被膜を少なくとも一部に備えた窓。
  18. 【請求項18】採光窓である請求項17に記載の窓。
  19. 【請求項19】請求項17または18に記載の窓に使用
    するための窓枠。
  20. 【請求項20】請求項1から6までのいずれかに記載の
    帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布
    硬化被膜を少なくとも一部に備えた自動車。
  21. 【請求項21】請求項1から6までのいずれかに記載の
    帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布
    硬化被膜を少なくとも一部に備えた機械装置。
  22. 【請求項22】請求項1から6までのいずれかに記載の
    帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布
    硬化被膜を少なくとも一部に備えた道路周辺部材。
  23. 【請求項23】交通標識として用いられる請求項22に
    記載の道路周辺部材。
  24. 【請求項24】請求項1から6までのいずれかに記載の
    帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布
    硬化被膜を少なくとも一部に備えた広告塔。
  25. 【請求項25】請求項1から6までのいずれかに記載の
    帯電防止機能無機塗料の厚さ0.05〜10μmの塗布
    硬化被膜を少なくとも一部に備えた照明器具。
  26. 【請求項26】請求項25に記載の照明器具に用いるた
    めのガラス部材。
  27. 【請求項27】請求項25に記載の照明器具に用いるた
    めの樹脂部材。
  28. 【請求項28】請求項25に記載の照明器具に用いるた
    めの金属部材。
  29. 【請求項29】請求項25に記載の照明器具に用いるた
    めのセラミックス部材。
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