JPH11166156A - 低温硬化性無機塗料とそれを用いた塗装品 - Google Patents

低温硬化性無機塗料とそれを用いた塗装品

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JPH11166156A
JPH11166156A JP33422297A JP33422297A JPH11166156A JP H11166156 A JPH11166156 A JP H11166156A JP 33422297 A JP33422297 A JP 33422297A JP 33422297 A JP33422297 A JP 33422297A JP H11166156 A JPH11166156 A JP H11166156A
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curing accelerator
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Application number
JP33422297A
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English (en)
Inventor
Koichi Takahama
孝一 高濱
Minoru Inoue
井上  稔
Junko Ikenaga
順子 池永
Shoichi Nakamoto
彰一 中本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性にも優れた低温硬化性無機塗料
と、それを用いた塗装品とを提供すること。 【解決手段】 低温硬化性無機塗料は、シリコーンレジ
ンを主成分とする無機塗料中に硬化促進剤を、塗料全量
中での全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との
合計100重量部に対し0.1〜80重量部含有してな
り、前記全縮合化合物換算固形分と前記全硬化促進剤成
分との合計濃度が塗料全量に対し5重量%以下に調整さ
れている。塗装品は、基材の表面に上記低温硬化性無機
塗料の厚さ0.01〜10μmの塗布硬化被膜を備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温等低温での硬
化性に優れた新規な無機塗料と、それを用いた塗装品と
に関する。
【0002】
【従来の技術】塗料には、無機塗料と有機塗料がある。
無機塗料は、耐候性は高いが、焼き付けないと硬化しな
いものがほとんどであった。これに対し、有機塗料は、
ほとんどの場合、低温で硬化可能である。そのため、現
場施工に用いる塗料としては、ほとんどの場合、有機塗
料が用いられている。しかし、有機塗料は、耐候性が低
い上に、無機塗料と比較して、汚れやすいなどの問題点
があった。
【0003】そこで、低温で硬化する無機塗料が開発さ
れた(特開平4−175388号等参照) 。しかしなが
ら、上述の低温硬化型無機塗料は、常温で硬化するのに
約1週間程度かかる。そのため、硬化する間に塗膜に汚
れが付着したり傷がついたりしやすい等の問題点があっ
た。
【0004】そこで、本発明者らは、上記問題を解消す
るために、塗料の硬化中での汚れ付着防止策および傷付
き防止策につき、種々の考察、実験を重ねた。その過程
で、無機塗料の主成分としてシリコーンレジンを選び、
これに硬化促進剤を添加すると、硬化が促進されて常温
でも短い時間で硬化することにより、硬化時に汚れが付
着しにくくなるとともに傷がつきにくくなることを見い
だし、すでに特許出願している(特願平9−10635
5号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した、
硬化促進剤を添加したシリコーンレジン系無機塗料は、
硬化促進剤の添加により常温でも短い時間で硬化する反
面、塗料を調製後、長期間保存(貯蔵)すると、その間
に硬化が進んでしまったり、シリコーンレジンが反応し
て塗料が劣化したりする傾向があるため、ポットライフ
が短く、保存(貯蔵)安定性に問題点があった。
【0006】そこで、本発明の課題は、保存安定性にも
優れた低温硬化性無機塗料と、それを用いた塗装品とを
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは種々検討を重ねた。その結果、以下の
ことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
硬化促進剤を添加した前記低温硬化性無機塗料におい
て、シリコーンレジンの全縮合化合物換算固形分と全硬
化促進剤成分との合計濃度が下記所定値以下であれば、
塗料を調製後、長期間保存しても塗料の硬化と劣化を抑
えることができ、ポットライフを飛躍的に延ばせるた
め、保存安定性が得られるということである。また、こ
のように塗料濃度を薄くすれば、容易に塗膜を薄膜化で
きるため、塗膜のクラックの発生を防止できる効果もあ
る。
【0008】すなわち、本発明の低温硬化性無機塗料
は、シリコーンレジンを主成分とする無機塗料中に硬化
促進剤を、塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全
硬化促進剤成分との合計100重量部に対し0.1〜8
0重量部含有してなり、前記全縮合化合物換算固形分と
前記全硬化促進剤成分との合計濃度が塗料全量に対し5
重量%以下に調整されている。
【0009】前記シリコーンレジンは、下記の第1シリ
コーンレジン、第2シリコーンレジンおよび第3シリコ
ーンレジンからなる群から選ばれた1つのシリコーンレ
ジンであることが好ましい。第1シリコーンレジン 下記(A)成分を含むシリコー
ンレジン(以下、このシリコーンレジンを「シリコーン
レジン(1)」と称することがある)。 (A)成分:(A1 )一般式R2 Si(OR1 3 で表
されるケイ素化合物100重量部に対し、(A2 )一般
式Si(OR1 4 で表されるケイ素化合物および/ま
たはコロイダルシリカ5〜30000重量部と、
(A3 )一般式R2 2 Si(OR12 で表されるケイ
素化合物0〜60重量部とを含む加水分解性混合物(こ
こでR1 、R2 は1価の炭化水素基を示す)の加水分解
重縮合物であって、この加水分解重縮合物の重量平均分
子量がポリスチレン換算で900以上になるように調整
されているオルガノシロキサン(以下、これを「オルガ
ノシロキサン(A)」と称することがある)。
【0010】第2シリコーンレジン 下記(B)、
(C)、(D)および(E)成分を含み、(B)成分の
原料の加水分解性オルガノシランの少なくとも50モル
%がm=1のオルガノシランであるシリコーンレジン
(以下、このシリコーンレジンを「シリコーンレジン
(2)」と称することがある)。 (B)成分: 一般式R3 m SiX4-m …(I) で表される(ここでR3 は同一または異種の置換もしく
は非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、mは
0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す。)加水分解性
オルガノシランを、有機溶媒、水またはそれらの混合溶
媒中で、前記加水分解性基(X)1モル当量当たり水
0.001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分
解してなるオルガノシランオリゴマー(以下、これを
「オルガノシランオリゴマー(B)」と称することがあ
る)。 (C)成分: 平均組成式R4 a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) で表され(ここでR4 は同一または異種の置換もしくは
非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよ
びbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦
3、a+b<4の関係を満たす数である。)、分子中に
シラノール基を含有するポリオルガノシロキサン(以
下、これを「(シラノール基含有)ポリオルガノシロキ
サン(C)」と称することがある)。 (D)成分:シリカ(以下、これを「シリカ(D)」と
称することがある)。 (E)成分:硬化触媒(以下、これを「硬化触媒
(E)」と称することがある)。
【0011】第3シリコーンレジン 下記一般式(III)
: SiX4 …(III) (ここでXは同一または異種の加水分解性基を示す)で
表される4官能加水分解性オルガノシランの加水分解重
縮合物を含む4官能シリコーンレジン(以下、このシリ
コーンレジンを「シリコーンレジン(3)」と称するこ
とがある)。
【0012】シリコーンレジン(2)の前記(B)成分
は、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒に前記(D)
成分が分散してなるコロイダルシリカ中で、前記加水分
解性オルガノシランを、前記加水分解性基(X)1モル
当量当たり水0.001〜0.5モルを使用する条件下
で部分加水分解してなり、前記(D)成分を、前記
(B)成分と前記(D)成分との合計量に対し固形分と
して5〜95重量%含有するシリカ分散オルガノシラン
オリゴマーであることが好ましい。
【0013】本発明の低温硬化性無機塗料に用いられる
前記硬化促進剤は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸
化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロ
ム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウ
ム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウ
ム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コ
バルト、酸化ロジウム、酸化ニッケルおよび酸化レニウ
ムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物
からなる光半導体であることが好ましい。
【0014】本発明の低温硬化性無機塗料に用いられる
前記硬化促進剤は、粉末状またはゾル状であってもかま
わない。さらに、硬化促進剤がpH7以下のゾル状であ
れば、硬化がより短時間で進み、使用する上で利便性に
優れる。本発明の低温硬化性無機塗料に用いられる前記
硬化促進剤の表面には、金属が担持されていることが好
ましい。担持される前記金属は、銀、銅、鉄、ニッケ
ル、亜鉛、白金、金、パラジウム、カドミウム、コバル
ト、ロジウムおよびルテニウムからなる群より選ばれた
少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】本発明の塗装品は、基材の表面に、本発明
の低温硬化性無機塗料の厚さ0.01〜10μmの塗布
硬化被膜からなる塗装層を備える。前記基材は、無機質
基材、有機質基材、無機有機複合基材、これらの基材の
うちのいずれかの表面に少なくとも1層の無機物被膜お
よび/または少なくとも1層の有機物被膜を有する塗装
基材の各単独材料、これらのうちの少なくとも2つを組
み合わせてなる複合材料、および、これらのうちの少な
くとも2つを積層してなる積層材料からなる群の中から
選ばれていることが好ましい。
【0016】前記基材は、金属、ガラス、ホ−ロ−、セ
ラミックス、セメント、コンクリ−ト、木、木材、プラ
スチック、無機繊維強化プラスチック、これらの基材の
うちのいずれかの表面に少なくとも1層の無機物被膜お
よび/または少なくとも1層の有機物被膜を有する塗装
基材の各単独材料、これらのうちの少なくとも2つを組
み合わせてなる複合材料、および、これらのうちの少な
くとも2つを積層してなる積層材料からなる群より選ば
れていることがより好ましい。
【0017】前記塗装基材が表面に有する前記被膜はプ
ライマー層であってもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の低温硬化性無機塗料は、
シリコーンレジンを主成分とする。このシリコーンレジ
ンは、造膜成分として用いられる。本発明で用いられる
シリコーンレジンとしては、特に限定はされないが、硬
化促進剤を混入させても経時劣化しない点と、得られる
塗膜の耐候性、硬度、後述の透湿性の点で、前記(A)
成分を含むシリコーンレジン(1)が好ましく、硬化促
進剤を混入させても経時劣化しない点と、室温(常温)
硬化性の点と、得られる塗膜の耐候性、硬度、後述の透
湿性の点で、前記(B)、(C)、(D)および(E)
成分を含むシリコーンレジン(2)が好ましく、硬化促
進剤を混入させても経時劣化しない点と、得られる塗膜
の耐候性、硬度、強度、後述の透湿性、表面の水濡れ性
の点で、前記4官能シリコーンレジン(3)が好まし
い。これらシリコーンレジン(1)〜(3)のうちでも
シリコーンレジン(1)が、より高い硬度の塗膜が得ら
れる点で特に好ましく、シリコーンレジン(3)が、そ
れ自身、塗膜表面に水濡れ性を付与して、防曇性、雨水
洗浄による防汚性等をもたらす点で特に好ましい。
【0019】以下では、まず、シリコーンレジン(1)
の各成分について説明する。シリコーンレジン(1)に
含まれる前記(A)成分すなわちオルガノシロキサン
(A)の原料としては、前記ケイ素化合物(A1 )〜
(A3 )を含む加水分解性混合物が用いられる。コロイ
ダルシリカ以外のケイ素化合物(A1 )〜(A3 )は、 一般式R2 p Si(OR1 4-p …(IV) で総体的に表すことができる(ここでR1 、R2 は1価
の炭化水素基を示し、pは0〜2の整数)。
【0020】R2 としては、特に限定はされないが、た
とえば、置換または非置換で炭素数1〜8の1価の炭化
水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フ
ェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニ
ルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基
等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル
基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,
3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素
基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシ
プロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル
基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等を
例示することができる。これらの中でも、合成の容易さ
或いは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基およ
びフェニル基が好ましい。
【0021】また、R1 としては、特に限定はされない
が、たとえば、炭素数1〜4のアルキル基を主原料とす
るものが用いられる。特に、p=0のテトラアルコキシ
シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシランなどが例示でき、p=1のオルガノトリアルコ
キシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメト
キシシランなどが例示できる。また、p=2のジオルガ
ノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニ
ルジメトキシシランなどが例示できる。
【0022】これらR1 、R2 は、ケイ素化合物
(A1 )〜(A3 )の間で同一のものであってもよい
し、違うものであってもよい。オルガノシロキサン
(A)は、たとえば、前記加水分解性混合物を適当な溶
剤で希釈し、そこに硬化剤としての水および必要に応じ
て触媒(たとえば、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、ク
ロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻
酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレ
イン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸など
の有機酸および無機酸等の1種または2種以上)等を必
要量添加して(必要に応じ加温(たとえば、40〜10
0℃)してもよい)、加水分解および重縮合反応を行わ
せてプレポリマー化させることにより調製することがで
きる。その際、得られるプレポリマー(加水分解重縮合
物)の重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で9
00以上、好ましくは1000以上になるように調整す
る。プレポリマーの分子量分布(重量平均分子量(M
w))が900より小さいときは、シリコーンレジン
(1)の縮重合の際の硬化収縮が大きくて、硬化後に塗
膜にクラックが発生しやすくなったりする。
【0023】オルガノシロキサン(A)を調製する際の
原料(A1 )〜(A3 )の使用量は、(A1 )100重
量部に対して、(A2 )5〜30000重量部(好まし
くは10〜25000重量部、より好ましくは20〜2
0000重量部)、(A3 )60重量部以下(好ましく
は40重量部以下、より好ましくは30重量部以下)の
割合である。(A2 )の使用量が上記範囲より少ない
か、あるいは、(A3)の使用量が上記範囲より多いと、
硬化被膜の所望の硬度が得られない(硬度が低くなる)
という問題がある。また、(A2 )の使用量が上記範囲
より多いと、硬化被膜の架橋密度が高すぎて硬度が高く
なりすぎ、そのためクラックを発生しやすいという問題
がある。
【0024】原料(A2 )としては、前記一般式Si
(OR1 4 で表されるケイ素化合物およびコロイダル
シリカのうちのいずれか一方のみまたは両方が用いられ
る。シリカは、低温硬化性無機塗料の塗布硬化被膜の硬
度を高くし、平滑性と耐クラック性を改善する効果があ
る。使用できるコロイダルシリカとしては、特に限定は
されないが、たとえば、水分散性あるいはアルコール等
の非水系の有機溶媒分散性コロイダルシリカが使用でき
る。一般に、このようなコロイダルシリカは、固形分と
してのシリカを20〜50重量%含有しており、この値
からシリカ配合量を決定できる。また、水分散性コロイ
ダルシリカを使用する場合、固形分以外の成分として存
在する水は、後に示すように硬化剤として用いることが
できる。水分散性コロイダルシリカは、通常、水ガラス
から作られるが、市販品として容易に入手することがで
きる。また、有機溶媒分散性コロイダルシリカは、前記
水分散性コロイダルシリカの水を有機溶媒と置換するこ
とで容易に調製することができる。このような有機溶媒
分散性コロイダルシリカも水分散性コロイダルシリカと
同様に市販品として容易に入手することができる。有機
溶媒分散性コロイダルシリカにおいて、コロイダルシリ
カが分散している有機溶媒の種類は、特に限定はされな
いが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪
族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ
エチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチ
レングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエー
テル等のジエチレングリコール誘導体;およびジアセト
ンアルコール等を挙げることができ、これらからなる群
より選ばれた1種もしくは2種以上のものを使用するこ
とができる。これらの親水性有機溶媒と併用してトルエ
ン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオ
キシム等も用いることができる。
【0025】なお、原料(A2 )の少なくとも一部とし
てコロイダルシリカを用いる場合、(A2 )の前記使用
量に含まれるコロイダルシリカの量は、シリカ分として
の重量部である。また、シリカを全く用いずに調製され
たオルガノシロキサン(A)に必要に応じシリカを添加
混合してもよいし、あるいは、オルガノシロキサン
(A)の調製にシリカを用いた場合でも、調製後のオル
ガノシロキサン(A)に必要に応じシリカを追加混合し
てもよい。それらの場合に使用できるシリカとしては、
特に限定されず、公知のものを使用できる。また、その
際のシリカの形態は、特に限定されず、たとえば、粉体
の形でも前記コロイダルシリカの形でもよい。
【0026】シリカは、前述の効果があるが、配合量が
多すぎると、低温硬化性無機塗料の硬化被膜が硬くなり
すぎて同被膜のクラックの発生を招来する原因となる恐
れがある。そのため、シリコーンレジン(1)を用いた
塗料全量中でのシリカの配合量は、前記(A)成分との
合計量に対する固形分として、好ましくは1〜50重量
%、より好ましくは10〜50重量%、さらに好ましく
は10〜30重量%の範囲内で含有される。この含有量
が1重量%未満であると、所望の被膜硬度が得られなく
なる傾向がある。一方、50重量%を越えると、クラッ
クの発生を招来しやすくなる。
【0027】オルガノシロキサン(A)の原料である前
記加水分解性混合物の加水分解重縮合反応の際に用いら
れる硬化剤としては、水が用いられるが、この量として
は、加水分解性混合物中に含まれるOR1 基1モル当量
当たり、水0.01〜3.0モルが好ましく、0.3〜
1.5モルがさらに好ましい。加水分解性混合物の加水
分解重縮合反応の際に用いられる希釈溶剤としては、コ
ロイダルシリカの分散溶媒として前述した、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレン
グリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、
酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレ
ングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコ
ール誘導体;およびジアセトンアルコール等を挙げるこ
とができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは
2種以上のものを使用することができる。これらの親水
性有機溶媒と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルエチルケトオキシムなども例示するこ
とができる。
【0028】また、オルガノシロキサン(A)のpHは
3.8〜6の範囲内に調整されていることが好ましい。
pHがこの範囲内であれば、前記の分子量の範囲内で、
安定してオルガノシロキサン(A)を使用することがで
きる。pHがこの範囲外であると、オルガノシロキサン
(A)の安定性が悪いため、塗料調製時からの使用でき
る期間が限られてしまう。ここで、pH調整方法は、特
に限定されるものではないが、たとえば、オルガノシロ
キサン(A)の原料混合時、pHが3.8未満となった
場合は、たとえば、アンモニア等の塩基性試薬を用いて
前記範囲内のpHに調整すればよく、pHが6を超えた
場合も、たとえば、塩酸等の酸性試薬を用いて調整すれ
ばよい。また、pHによっては、分子量が小さいまま逆
に反応が進まず、前記分子量範囲に到達させるのに時間
がかかる場合は、オルガノシロキサン(A)を加熱して
反応を促進してもよいし、酸性試薬でpHを下げて反応
を進めた後、塩基性試薬で所定のpHに戻してもよい。
【0029】シリコーンレジン(1)は、硬化触媒を含
む必要はないが、(A)成分の縮合反応を促進すること
によって、塗布被膜の硬化を促進させる目的で必要に応
じて、さらに硬化触媒を含むことができる。硬化触媒と
しては、特に限定はされないが、たとえば、アルキルチ
タン酸塩類;オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、
ジオクチル錫ジマレエート等のカルボン酸金属塩類;ジ
ブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセ
テート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩類;
酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級ア
ンモニウム塩;テトラエチルペンタミン等のアミン類、
N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル
メチルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリン
グ剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸
類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート
等のアルミニウム化合物;酢酸リチウム、酢酸カリウ
ム、蟻酸リチウム、蟻酸ナトリウム、リン酸カリウム、
水酸化カリウム等のアルカリ金属塩;テトライソプロピ
ルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニウムテ
トラアセチルアセトネート等のチタニウム化合物;メチ
ルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメ
チルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン類等が挙げ
られる。しかし、これらの他に、(A)成分の縮合反応
の促進に有効なものであれば特に制限はない。
【0030】シリコーンレジン(1)が硬化触媒をも含
む場合、その量は、オルガノシロキサン(A)の全縮合
化合物換算固形分に対し、好ましくは10重量%以下、
より好ましくは8%以下である。10重量%を超える
と、低温硬化性無機塗料の保存安定性を損なう可能性が
ある。低温硬化性無機塗料中に含まれるシリコーンレジ
ンがシリコーンレジン(1)である場合、低温硬化性無
機塗料は、低温加熱するか、あるいは、常温放置するこ
とにより、(A)成分の有する加水分解性基同士が縮合
反応して硬化被膜を形成する。したがって、このような
低温硬化性無機塗料は、常温で硬化するときにも湿度の
影響をほとんど受けない。また、加熱処理を行えば、縮
合反応を促進して硬化被膜を形成することができる。
【0031】次に、シリコーンレジン(2)の各成分に
ついて説明する。シリコーンレジン(2)に含まれる前
記(B)成分すなわちオルガノシランオリゴマー(B)
は、低温硬化性無機塗料の硬化被膜形成に際して、硬化
反応に預かる官能性基としての加水分解性基(X)を有
するベースポリマーの主成分である。これは、たとえ
ば、有機溶媒または水(有機溶媒と水との混合溶媒でも
よい)に、前記一般式(I)で表される加水分解性オル
ガノシランの1種あるいは2種以上を加え、水(溶媒中
に予め含まれていた水および/または別途添加された
水)を前記加水分解性基(X)1モル当量当たり水0.
001〜0.5モル使用する条件下で、該加水分解性オ
ルガノシランを部分加水分解することで得られる。
【0032】前記一般式(I)で表される加水分解性オ
ルガノシラン中の基R3 としては、同一または異種の置
換もしくは非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基であ
れば特に限定はされないが、たとえば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2
−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フ
ェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリ
ル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニ
ル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,
3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化
水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシド
キシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチ
ル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等
を例示することができる。これらの中でも、合成の容易
さ或いは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基お
よびフェニル基が好ましい。
【0033】前記一般式(I)中、加水分解性基Xとし
ては、特に限定はされないが、たとえば、アルコキシ
基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ
基、アミノキシ基、アミド基などが挙げられる。これら
の中でも、入手の容易さおよびオルガノシランオリゴマ
ー(B)を調製しやすいことから、アルコキシ基が好ま
しい。
【0034】前記加水分解性オルガノシランの具体例と
しては、前記一般式(I)中のmが0〜3の整数である
モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキ
シシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、
エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン
類、アミドシラン類などが挙げられる。これらの中で
も、入手の容易さおよびオルガノシランオリゴマー
(B)を調製しやすいことから、アルコキシシラン類が
好ましい。
【0035】アルコキシシラン類のうち、特に、m=0
のテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシランなどが例示でき、m=1の
オルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ
イソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオ
ロプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。ま
た、m=2のジオルガノジアルコキシシランとしては、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが例示
でき、m=3のトリオルガノアルコキシシランとして
は、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソ
ブチルメトキシシランなどが例示できる。さらに、一般
にシランカップリング剤と呼ばれるオルガノシラン化合
物もアルコキシシラン類に含まれる。
【0036】これらの前記一般式(I)で表される加水
分解性オルガノシランの内、50モル%以上(好ましく
は60モル%以上、より好ましくは70モル%以上)
は、m=1で表される三官能性のものである。これが、
50モル%未満では、十分な塗膜硬度が得られないとと
もに、塗膜の乾燥硬化性が劣りやすい。オルガノシラン
オリゴマー(B)を調製する際に用いられる水の量は、
前述のように、前記加水分解性オルガノシランが持つ加
水分解性基(X)1モル当量当たり0.001〜0.5
モルの範囲内、好ましくは0.01〜0.4モルの範囲
内である。水の使用量が0.001モル未満であると、
十分な部分加水分解物が得られず、0.5モルを超える
と、部分加水分解物の安定性が悪くなる。ここで、加水
分解性オルガノシランの部分加水分解反応における水の
上記使用量は、反応溶媒として有機溶媒のみを用いた場
合は別途に添加された水の量であり、反応溶媒として水
のみまたは有機溶媒と水との混合溶媒を用いた場合は、
反応溶媒中に予め含まれていた水および別途添加の水の
うちの少なくとも反応溶媒中に予め含まれていた水の量
である。水の量が反応溶媒中に予め含まれていた水だけ
で上記使用量に足りるならば別途に水を添加しなくても
よいのであるが、水の量が反応溶媒中に予め含まれてい
た水だけでは上記使用量に足りない場合は、別途に水を
上記使用量に達するまで添加する必要がある。その場
合、上記水の使用量は、反応溶媒中に予め含まれていた
水と別途添加された水の合計量である。なお、反応溶媒
中に予め含まれていた水だけで上記使用量に足りる場合
でも、別途に水を添加してもよく、その場合も、上記水
の使用量は、反応溶媒中に予め含まれていた水と別途添
加された水の合計量である。ただし、この合計量が上記
上限(加水分解性基(X)1モル当量当たり0.5モ
ル)を超えないように別途に水を添加する。
【0037】加水分解性オルガノシランを部分加水分解
する方法は、特に限定されず、たとえば、加水分解性オ
ルガノシランと反応溶媒とを混合すればよい(反応溶媒
に水が全く含まれていないかあるいは必要量含まれてい
ない場合はここで水を添加配合する)。その際、部分加
水分解反応は常温で進行するが、部分加水分解反応を促
進させるために、必要に応じ、加温(たとえば、60〜
100℃)するか、あるいは、触媒を用いてもよい。こ
の触媒としては、特に限定はされないが、たとえば、塩
酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、
安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グ
ルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、ト
ルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸および無機酸
等の1種または2種以上を用いることができる。
【0038】オルガノシランオリゴマー(B)は、その
性能を長期にわたり安定して得るために、そのpHを、
好ましくは2.0〜7.0、より好ましくは2.5〜
6.5、さらに好ましくは3.0〜6.0にすると良
い。pHがこの範囲外であると、特に水の使用量が加水
分解性基(X)1モル当量当たり0.3モル以上の条件
下で(B)成分の性能持続性の低下が著しい。(B)成
分のpHが上記範囲外にあるときは、この範囲より酸性
側であれば、アンモニア、エチレンジアミン等の塩基性
試薬を添加してpHを調整すれば良く、塩基性側であれ
ば、塩酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いてpHを調整
すればよい。しかし、その調整方法は特に限定されるも
のではない。
【0039】シリコーンレジン(2)に含まれる前記
(C)成分すなわちシラノール基含有ポリオルガノシロ
キサン(C)は、硬化反応に預かる官能性基としての加
水分解性基を有するベースポリマーである前記(B)成
分と縮合反応して硬化被膜中に3次元架橋を形成するた
めの架橋剤であり、前記(B)成分の硬化収縮による歪
みを吸収してクラック発生を防止する効果のある成分で
ある。
【0040】シラノール基含有ポリオルガノシロキサン
(C)を表す前記平均組成式(II)中のR4 としては、
特に限定はされず、前記式(I)中のR3 と同じものが
例示されるが、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル
基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル
基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アミノプロピ
ル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換
炭化水素基、より好ましくはメチル基およびフェニル基
である。また、前記式(II)中、aおよびbはそれぞれ
前記の関係を満たす数であり、aが0.2未満またはb
が3を超えると、低温硬化性無機塗料の硬化被膜にクラ
ックを生じる等の不都合がある。また、aが2を超え且
つ4以下の場合またはbが0.0001未満では硬化が
うまく進行しない。
【0041】シラノール基含有ポリオルガノシロキサン
(C)は、特に限定されるわけではないが、たとえば、
メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フ
ェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、
もしくは、これらに対応するアルコキシシランの1種も
しくは2種以上の混合物を公知の方法により大量の水で
加水分解することにより得ることができる。シラノール
基含有ポリオルガノシロキサン(C)を得るために、ア
ルコキシシランを用いて公知の方法で加水分解した場
合、加水分解されないアルコキシ基が微量に残る場合が
ある。すなわち、シラノール基と極微量のアルコキシ基
とが共存するようなポリオルガノシロキサンが得られる
こともあるが、本発明においては、このようなポリオル
ガノシロキサンを用いても差し支えない。
【0042】シリコーンレジン(2)の(D)成分すな
わちシリカ(D)は、低温硬化性無機塗料の塗布硬化被
膜の硬度を高くし、平滑性と耐クラック性を改善する効
果がある。シリカ(D)としては、特に限定されず、公
知のものを使用できる。なお、シリカ(D)は、特に限
定されるわけではないが、前記(B)成分の調製の際に
用いられる反応溶媒中にコロイダルシリカの形で分散さ
せておくことで塗料に導入することが、造膜性、工程の
簡素化の点で好ましい。しかし、これに限定されない。
たとえば、シリカ(D)抜きで調製して得られた(B)
成分にシリカ(D)を混合した後、得られた混合物を塗
料に導入してもよいし、あるいは、シリカ(D)を
(B)成分とは別途に塗料に導入してもよい。
【0043】塗料に導入する際のシリカ(D)の形態
は、特に限定されず、たとえば、粉体の形でもコロイダ
ルシリカの形でもよい。上記コロイダルシリカとして
は、特に限定はされないが、たとえば、オルガノシロキ
サン(A)の原料(A2 )として前述したものが使用で
きる。なお、水分散性コロイダルシリカを使用する場合
には、同コロイダルシリカ中に固形分以外の成分として
存在する水は、(B)成分の原料である前記加水分解性
オルガノシランの加水分解に用いることができる(加水
分解の際の水の前記使用量に加算される)とともに、低
温硬化性無機塗料の硬化剤として用いることができる。
【0044】シリカ(D)は、前述の効果があるが、配
合量が多すぎると、低温硬化性無機塗料の硬化被膜が硬
くなりすぎて同被膜のクラックの発生を招来する原因と
なる恐れがある。そのため、シリカ(D)は、前記
(B)成分との合計量に対する固形分として、好ましく
は5〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、
さらに好ましくは20〜85重量%の範囲内で含有され
る。この含有量が5重量%未満であると、所望の被膜硬
度が得られなくなる傾向がある。一方、95重量%を越
えると、クラックの発生を招来しやすくなる。
【0045】シリコーンレジン(2)に含まれる前記
(E)成分すなわち硬化触媒(E)は、前記(B)成分
と(C)成分との縮合反応を促進し、低温硬化性無機塗
料の塗布被膜を硬化させる成分である。硬化触媒(E)
としては、特に限定はされないが、たとえば、アルキル
チタン酸塩類;オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジオクチル錫ジマレエート等のカルボン酸金属塩
類;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミ
ンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミン
塩類;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第
4級アンモニウム塩;テトラエチルペンタミン等のアミ
ン類、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカッ
プリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸
等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキ
レート等のアルミニウム化合物;酢酸リチウム、蟻酸リ
チウム、蟻酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属塩;テトライソプロピルチタネー
ト、テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセチ
ルアセトネート等のチタニウム化合物;メチルトリクロ
ロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノク
ロロシラン等のハロゲン化シラン類等が挙げられる。し
かし、これらの他に、(B)成分と(C)成分との縮合
反応の促進に有効なものであれば特に制限はない。
【0046】シリコーンレジン(2)中、(B)成分お
よび(C)成分の配合割合は、特に限定はされないが、
たとえば、全縮合化合物換算固形分基準で述べると、
(B)成分と(C)成分の合計100重量部に対し、
(B)成分0.5〜99.5重量部、(C)成分99.
5〜0.5重量部が好ましく、(B)成分2.5〜9
7.5重量部、(C)成分97.5〜2.5重量部がよ
り好ましく、(B)成分5〜95重量部、(C)成分9
5〜5重量部がさらに好ましい。(B)成分が0.5重
量部未満である((C)成分が99.5重量部を超え
る)と、常温硬化性に劣り、また、十分な被膜硬度が得
られない傾向がある。一方、(B)成分が99.5重量
部を超える((C)成分が0.5重量部未満である)
と、硬化性が不安定であり、かつ、良好な塗膜が得られ
ないことがある。
【0047】シリコーンレジン(2)中、(E)成分の
配合割合は、特に限定はされないが、たとえば、(B)
成分の全縮合化合物換算固形分と(C)成分の全縮合化
合物換算固形分との合計100重量部に対し、好ましく
は0.0001〜10重量部の範囲内、より好ましくは
0.0005〜8重量部の範囲内、さらに好ましくは
0.0007〜5重量部の範囲内である。(E)の配合
量が0.0001重量部未満では常温硬化性が低下し、
また、十分な被膜硬度が得られない傾向がある。10重
量部を超えると、硬化被膜の耐熱性や耐候性が低下した
り、硬化被膜の硬度が高くなりすぎてクラックを生じた
りする恐れがある。
【0048】低温硬化性無機塗料中に含まれるシリコー
ンレジンがシリコーンレジン(2)である場合、低温硬
化性無機塗料は、オルガノシランオリゴマー(B)の有
する加水分解性基とポリオルガノシロキサン(C)の有
するシラノ−ル基とが硬化触媒(E)の存在下で、常温
放置もしくは低温加熱することにより縮合反応して硬化
被膜を形成する。従って、このような低温硬化性無機塗
料は、常温で硬化するときにも湿度の影響をほとんど受
けない。また、加熱処理により縮合反応を促進して硬化
被膜を形成することもできる。
【0049】次に、シリコーンレジン(3)について説
明する。シリコーンレジン(3)は、4官能加水分解性
オルガノシランの加水分解重縮合物を含む4官能シリコ
ーンレジンであり、低温硬化性無機塗料の塗布硬化被膜
に水濡れ性を付与して同被膜に防曇性、雨水洗浄による
防汚性等をもたらす成分である。
【0050】4官能シリコーンレジンは、4官能加水分
解性オルガノシランの加水分解重縮合物を含むものであ
れば、その形態は特に限定はされず、たとえば、溶液状
のものでも分散液状のもの等でも構わない 4官能シリコーンレジンの原料として用いられる4官能
加水分解性オルガノシランは、前記一般式(III) で表さ
れるものが用いられる。
【0051】一般式(III) 中のXとしては、同一または
異種の加水分解性基であれば、特に限定はされないが、
たとえば、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、
エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基等が挙
げられる。これらの中でも、入手の容易さおよび塗料を
調製しやすいことから、アルコキシ基が好ましい。前記
4官能加水分解性オルガノシランの具体例としては、特
に限定はされないが、たとえば、4官能性の、アルコキ
シシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、
エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン
類、アミドシラン類等が挙げられる。これらの中でも、
入手の容易さおよび塗料を調製しやすいことから、アル
コキシシラン類が好ましい。
【0052】4官能性アルコキシシラン類の具体例とし
ては、特に限定はされないが、たとえば、テトラメトキ
シシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキ
シシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアル
コキシシランが挙げられる。さらに、一般にシランカッ
プリング剤と呼ばれるオルガノシラン化合物もアルコキ
シシラン類に含まれる。
【0053】4官能加水分解性オルガノシランは、1種
のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。4
官能シリコーンレジンは、たとえば、4官能加水分解性
オルガノシランを適当な溶剤で希釈し、そこに硬化剤と
しての水および必要に応じて触媒(たとえば、塩酸、酢
酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香
酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルター
ル酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエン
スルホン酸、シュウ酸などの有機酸および無機酸等の1
種または2種以上)等を必要量添加して(必要に応じ加
温(たとえば、40〜100℃)してもよい)、加水分
解および重縮合反応を行わせてプレポリマー化させるこ
とにより調製することができる。その際、得られるプレ
ポリマーの重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算
で、好ましくは800以上、より好ましくは850以
上、さらに好ましくは900以上になるように調整す
る。プレポリマーの分子量分布(重量平均分子量(M
w))が800より小さいときは、4官能シリコーンレ
ジンの縮重合の際の硬化収縮が大きくて、硬化後に塗膜
にクラックが発生しやすくなったりする傾向がある。
【0054】本発明の低温硬化性無機塗料は、シリコー
ンレジンとしてシリコーンレジン(3)を用いる場合に
おいても、その塗布硬化被膜の硬度を高くし、平滑性と
耐クラック性を改善する等の目的で、必要に応じて、フ
ィラーとしてシリカをも含むことができる。シリカとし
ては、特に限定はされず、公知のものを使用できる。な
お、シリカは、特に限定されるわけではないが、4官能
シリコーンレジンの調製の際に用いられる反応溶媒中に
コロイダルシリカの形で分散させておくことで塗料に導
入することが、造膜性、工程の簡素化の点で好ましい。
しかし、これに限定されない。たとえば、シリカ抜きで
調製して得られた4官能シリコーンレジンにシリカを混
合した後、得られた混合物を塗料に導入してもよいし、
あるいは、シリカを4官能シリコーンレジンとは別途に
塗料に導入してもよい。
【0055】塗料に導入する際のシリカの形態は、特に
限定されず、たとえば、粉体の形でもコロイダルシリカ
の形でもよい。上記コロイダルシリカとしては、特に限
定はされないが、たとえば、シリコーンレジン(1)ま
たは(2)で用いられるコロイダルシリカとして前述し
たものが使用できる。なお、水分散性コロイダルシリカ
を使用する場合には、同コロイダルシリカ中に固形分以
外の成分として存在する水は、4官能シリコーンレジン
の原料である4官能加水分解性オルガノシランの加水分
解に用いることができる(加水分解の際の水の下記使用
量に加算される)とともに、低温硬化性無機塗料の硬化
剤として用いることができる。
【0056】コロイダルシリカは、前述の効果がある
が、配合量が多すぎると、低温硬化性無機塗料の硬化被
膜が硬くなりすぎて同被膜のクラックの発生を招来する
原因となる恐れがある。そのため、コロイダルシリカを
用いる場合、その配合量は、たとえば、4官能シリコー
ンレジンとの合計量に対する固形分として、好ましくは
10〜90重量%、より好ましくは20〜85重量%の
範囲内で含有される。この含有量が10重量%未満であ
ると、所望の被膜硬度が得られなくなる傾向がある。一
方、90重量%を越えると、クラックの発生を招来しや
すくなる。
【0057】また、4官能加水分解性オルガノシランの
加水分解重縮合反応の際に用いられる硬化剤としては、
水が用いられるが、この量としては、4官能加水分解性
オルガノシラン中に含まれる加水分解性基(X)1モル
当量当たり、水0.01〜3.0モルが好ましく、0.
3〜1.5モルがさらに好ましい。4官能加水分解性オ
ルガノシランの加水分解重縮合反応の際に用いられる希
釈溶剤としては、コロイダルシリカの分散溶媒として前
述したものを使用可能である。
【0058】また、4官能シリコーンレジンのpHは
3.8〜6の範囲内に調整されていることが好ましい。
pHがこの範囲内であれば、前記の分子量の範囲内で、
安定して4官能シリコーンレジンを使用することができ
る。pHがこの範囲外であると、4官能シリコーンレジ
ンの安定性が悪いため、塗料調製時からの使用できる期
間が限られてしまう。ここで、pH調整方法は、特に限
定されるものではないが、たとえば、4官能シリコーン
レジンの原料混合時、pHが3.8未満となった場合
は、たとえば、アンモニア等の塩基性試薬を用いて前記
範囲内のpHに調整すればよく、pHが6を超えた場合
も、たとえば、塩酸等の酸性試薬を用いて調整すればよ
い。また、pHによっては、分子量が小さいまま逆に反
応が進まず、前記分子量範囲に到達させるのに時間がか
かる場合は、4官能シリコーンレジンを加熱して反応を
促進してもよいし、酸性試薬でpHを下げて反応を進め
た後、塩基性試薬で所定のpHに戻してもよい。
【0059】本発明の低温硬化性無機塗料は、シリコー
ンレジンとしてシリコーンレジン(3)を用いる場合、
硬化触媒を含む必要はないが、4官能シリコーンレジン
の縮合反応を促進することによって、塗布被膜の硬化を
促進させる目的で必要に応じて、さらに硬化触媒を含む
ことができる。硬化触媒としては、特に限定はされない
が、たとえば、アルキルチタン酸塩類;オクチル酸錫、
ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレエート等
のカルボン酸金属塩類;ジブチルアミン−2−ヘキソエ
ート、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンア
セテート等のアミン塩類;酢酸テトラメチルアンモニウ
ム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチル
ペンタミン等のアミン類、N−β−アミノエチル−γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエ
チル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等の
アミン系シランカップリング剤;p−トルエンスルホン
酸、フタル酸、塩酸等の酸類;アルミニウムアルコキシ
ド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物;酢
酸リチウム、酢酸カリウム、蟻酸リチウム、蟻酸ナトリ
ウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金
属塩;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチ
タネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等の
チタニウム化合物;メチルトリクロロシラン、ジメチル
ジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハロ
ゲン化シラン類等が挙げられる。しかし、これらの他
に、4官能シリコーンレジンの縮合反応の促進に有効な
ものであれば特に制限はない。
【0060】シリコーンレジン(3)を使用した低温硬
化性無機塗料が硬化触媒をも含む場合、その量は、塗料
全量中での全縮合化合物換算固形分に対し、好ましくは
10重量%以下、より好ましくは8%以下である。10
重量%を超えると、低温硬化性無機塗料の保存安定性を
損なう可能性がある。本発明の低温硬化性無機塗料は、
シリコーンレジンとしてシリコーンレジン(3)を用い
る場合、低温加熱するか、あるいは、常温放置すること
により、4官能シリコーンレジンの有する加水分解性基
同士が縮合反応して硬化被膜を形成する。したがって、
このような低温硬化性無機塗料は、常温で硬化するとき
にも湿度の影響をほとんど受けない。また、加熱処理を
行えば、縮合反応を促進して硬化被膜を形成することが
できる。
【0061】本発明の低温硬化性無機塗料に含まれる硬
化促進剤は、塗膜の硬化(特に常温等の低温〔たとえば
100℃以下)での硬化)を促進するための成分であ
る。このような硬化促進剤としては、特に限定はされな
いが、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化
鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロ
ム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウ
ム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウ
ム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コ
バルト、酸化ロジウム、酸化ニッケル、酸化レニウム等
の金属酸化物の他、チタン酸ストロンチウム等が、硬化
促進作用に加え、後述の光半導体としての光触媒作用も
持つので好ましい。この光半導体は、本来持つその光触
媒作用に基づき、無機塗膜に帯電防止性等の機能性を付
与することも出来る。これらの中でも、上記金属酸化物
が、実用的に容易に利用可能な点で好ましく、金属酸化
物の中でも特に酸化チタンが、その硬化促進性能、光触
媒性能、安全性、入手の容易さおよびコストの面で好ま
しい。なお、酸化チタンを硬化促進剤として用いる場合
は、結晶型がアナタース型(アナターゼ型)であるもの
を用いる方が、硬化促進性能および光触媒性能が最も強
く、しかも長期間発現するとともに、硬化促進性能およ
び光触媒性能がより短時間で発現する点で好ましい。
【0062】塗膜の透明性が必要とされる場合は、硬化
促進剤の平均一次粒子径が50μm以下であることが好
ましく、5μm以下であることがより好ましく、0.5
μm以下であることがさらに好ましい。硬化促進剤は、
1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
【0063】硬化促進剤は、粉末、微粒子粉末、溶液分
散ゾル粒子等、塗料に分散可能なものであれば、いかな
る形態のものでも構わないが、ゾル状、特にpH7以下
のゾル状であれば、硬化がより短時間で進み、使用する
上で利便性に優れる。ゾル状のものを使用する場合、分
散媒は水でも有機溶媒でも構わないが、有機溶媒の方が
塗料調製の点で好ましい。
【0064】前述した金属酸化物およびチタン酸ストロ
ンチウムは、前述したように、硬化促進作用に加え、光
半導体としての光触媒作用も持つ(以下、これらを硬化
促進光半導体と称することがある)。光半導体は、紫外
線を照射されると、活性酸素を発生すること(光触媒
性)は公知である。活性酸素は、有機物を酸化、分解さ
せることができるため、その特性を利用して、塗装品に
付着したカーボン系汚れ成分(たとえば、自動車の排気
ガス中に含まれるカーボン留分や、タバコのヤニ等)を
分解する自己洗浄効果;アミン化合物、アルデヒド化合
物に代表される悪臭成分を分解する消臭効果;大腸菌、
黄色ブドウ球菌に代表される菌成分の発生を防ぐ抗菌効
果;防カビ効果等を得ることができる。また、光半導体
を含む塗膜に紫外線が当たると、光半導体がその光触媒
作用で水を水酸化ラジカル化し、この水酸化ラジカル
が、塗膜表面に付着した、水をはじく有機物等の汚れを
分解除去することにより、水に対する塗膜の親水性(濡
れ性)が向上して、防曇性や、雨水洗浄による防汚性等
が得られるという効果もある。
【0065】さらには、光半導体には、光触媒作用によ
る帯電防止機能もあり、この機能によっても防汚効果が
得られる。たとえば、硬化促進剤としての前記光半導体
は、それを含む塗膜に光を照射すると、この塗膜に含ま
れる硬化促進光半導体の作用により、塗膜の表面抵抗値
が下がることで帯電防止効果が発現されて塗膜表面がよ
り汚れにくくなるとともに、硬化促進光半導体の硬化促
進作用により硬化速度が上がって膜としての耐候性も上
がる。光半導体含有塗膜に光が照射されたとき、どのよ
うなメカニズムで塗膜の表面抵抗値が下がったり塗膜の
硬化が促進されたりするのかはまだ明確には確認されて
いないが、光照射により生成した電子とホールが作用す
ることによるものと考えられる。
【0066】なお、本明細書に言う光半導体とは、光半
導体の原料となるものも、最終的に光半導体の性質を示
す物も含む。硬化促進剤の表面に金属が担持されている
と、その硬化促進効果がより高くなるので好ましい。硬
化促進剤が光半導体である場合には、さらに、光触媒効
果がより高くなるので好ましい。そのメカニズムは、ま
だ明確には確認されていないが、硬化促進剤の表面に金
属が担持されることによりその電荷分離が促進されて、
電荷分離により生成した電子とホールの消失確立が小さ
くなることが関係していると考えられる。
【0067】硬化促進剤の表面に担持してよい金属とし
ては、たとえば、銀、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、白金、
金、パラジウム、カドミウム、コバルト、ロジウム、ル
テニウム等が、硬化促進剤の電荷分離をより促進させる
点で好ましい。担持される金属は、1種のみでも2種以
上でもよい。金属の担持量は、特に限定はされないが、
たとえば、硬化促進剤に対し、0.1〜10重量%であ
ることが好ましく、0.2〜5重量%であることがより
好ましい。担持量が0.1重量%未満だと、担持効果が
充分に得られない傾向があり、10重量%を超えて担持
しても、効果はあまり増加せず、逆に変色や性能劣化等
の問題が起きる傾向がある。
【0068】金属の担持方法としては、特に限定するわ
けではないが、浸積法、含浸法、光還元法等が挙げられ
る。また、硬化促進剤を層間に担持した粘土架橋体を用
いても良い。硬化促進剤を層間に導入することで、硬化
促進剤が微粒子に担持されて硬化促進効果(硬化促進剤
が光半導体である場合には、さらに、光触媒性能)が向
上する。
【0069】無機塗料中、硬化促進剤の配合量は、特に
限定はされないが、たとえば、塗料全量中での全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100重量
部に対する硬化促進剤の重量部として述べると、硬化促
進剤の表面に金属が担持されていない場合は、好ましく
は0.1〜80重量部、より好ましくは1〜50重量部
であり、硬化促進剤の表面に金属が担持されている場合
は、好ましくは0.1〜75重量部、より好ましくは1
〜45重量部である。硬化促進剤の配合量が上記範囲よ
り少ないと、充分な硬化促進機能(特に常温での硬化促
進機能)が得られにくくなる等の傾向があり、上記範囲
より多いと、クラックが発生しやすくなる等、塗膜性能
が低下する傾向がある。なお、硬化促進剤の表面に金属
が担持されている場合の硬化促進剤の上記配合量は、担
持金属を含めない量である。
【0070】本発明では、硬化促進剤として前述の光半
導体を用いる場合、シリコーンレジンとしては、特に限
定されるわけではないが、JIS−Z0280に準じた
方法で測定される透湿抵抗が0.20m2hr/g以上
である透湿性に優れた硬化被膜を形成しうるものを用い
ることが好ましい。光半導体は、塗膜強度(クラック発
生防止)およびコスト等の面から、塗膜中の含有量がで
きるだけ低いことが好ましいのであるが、塗膜中の光半
導体の含有量が低いと、大部分の光半導体の表面が塗膜
に覆われて塗膜表面に露出していないので、光半導体が
空気中の水分または塗膜表面に付着した水分と接触しに
くいため、前述の水酸化ラジカルが発生しにくい。その
ため、前述の親水性向上効果が充分発揮されない。そこ
で、上記の透湿性に優れたシリコーンレジンを使用する
と、このシリコーンレジンが水分を透過するので、塗膜
中の光半導体の含有量が少なくて光半導体の表面が塗膜
にすっかり覆われていても、光半導体が塗膜を透過した
水分と接触することができるため、前述の親水性向上効
果を充分発揮させることができる。上記透湿抵抗は、好
ましくは0.25m2hr/g以上、より好ましくは
0.30m2hr/g以上である。透湿抵抗が0.20
2hr/g未満だと、充分な透湿性が発揮されない。
【0071】上記透湿抵抗を有するシリコーンレジンと
しては、特に限定はされないが、たとえば、前述したシ
リコーンレジン(1)〜(3)を挙げることができる。
本発明の低温硬化性無機塗料は、硬化促進剤として光半
導体を用いる場合、必要に応じ、さらに界面活性剤を含
有していてもよい。界面活性剤が含有されると、該塗料
の硬化被膜に紫外線が照射されなくても製膜当初から、
界面活性剤が該被膜に高い親水性(水濡れ性)を付与し
て防曇性と雨水洗浄による防汚性とを発揮させることが
できるため好ましい。本発明で用いられる光半導体は、
その効果を発揮するまである程度の時間がかかるが、界
面活性剤を併用すると、光半導体が効果を発揮するまで
の期間は、その機能(特に塗膜表面の親水性)を界面活
性剤が補完するので、光半導体と界面活性剤を併用した
塗料から得られる塗膜は、製膜当初から親水性等に優れ
た理想的な機能性塗膜になる。
【0072】界面活性剤は、さらに帯電防止性をも付与
できる機能を持つものであることが好ましい。なお、光
半導体を用いずに界面活性剤だけを用いても親水性(お
よび帯電防止性)以外の光触媒性能は発揮されない。前
記界面活性剤としては、特に限定はされず、たとえば、
アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性のいず
れでもよい。
【0073】アニオン系界面活性剤としては、特に限定
はされないが、たとえば、脂肪酸型、アルキル硫酸塩
型、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリカル
ボン酸型、アシルメチルタウリン酸塩型等が挙げられ
る。カチオン系界面活性剤としては、特に限定はされな
いが、たとえば、アミン塩型、アルキルトリメチル型、
アルキルジメチル型等が挙げられる。
【0074】ノニオン系界面活性剤としては、特に限定
はされないが、たとえば、ポリオキシエチレン型、アル
キルフェノール型、エステル型、ソルビタンエステル
型、ソルビタンエステルエーテル型等が挙げられる。両
性界面活性剤としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、ジメチルアルキルベタイン、ジメチルアルキルラウ
リルベタイン、アルキルグリシン等が挙げられる。
【0075】前記界面活性剤は、その効力を長く続かせ
るためには、反応性界面活性剤であることが好ましい。
前記反応性界面活性剤としては、特に限定はされない
が、たとえば、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノ
ニルフェニルエ−テルの硫酸エステル塩、ポリオキシエ
チレンアリルグリシジルノニルフェニルエ−テル、ポリ
オキシエチレンノニルプロペニルフェニルエ−テル、ポ
リオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエ−テル硫
酸エステルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0076】界面活性剤は、1種のみを用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。低温硬化性無機塗料
中、界面活性剤の配合量は、塗料全量中での全縮合化合
物換算固形分と全硬化促進剤成分と全界面活性剤成分と
の合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重
量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ま
しくは0.1〜5重量部の範囲である。界面活性剤の配
合量が上記範囲より少ないと、製膜当初からの親水性が
発揮されない恐れがあり、逆に多すぎると、塗膜の造膜
性に悪い影響が出る恐れがある。
【0077】本発明の低温硬化性無機塗料は、必要に応
じ、顔料、染料等の着色剤をさらに含むことにより、調
色可能である。使用できる顔料としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、カーボンブラック、キナクリド
ン、ナフトールレッド、シアニンブルー、シアニングリ
ーン、ハンザイエロー等の有機顔料;酸化チタン、硫酸
バリウム、弁柄、複合金属酸化物等の無機顔料がよく、
これらの群から選ばれる1種あるいは2種以上を組み合
わせて使用しても差し支えない。顔料の分散は、特に限
定はされず、通常の方法、たとえば、ダイノーミール、
ペイントシェーカー等により顔料粉を直接分散させる方
法等でよい。その際、分散剤、分散助剤、増粘剤、カッ
プリング剤等の使用が可能である。顔料の添加量は、顔
料の種類により隠蔽性が異なるので特に限定はされない
が、たとえば、塗料全量中での全縮合化合物換算固形分
100重量部に対して、好ましくは5〜80重量部、よ
り好ましくは10〜70重量部である。顔料の添加量が
5重量部未満の場合は隠蔽性が悪くなる傾向があり、8
0重量部を超えると塗膜の平滑性が悪くなることがあ
る。
【0078】使用できる染料としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、アゾ系、アントラキノン系、インジ
コイド系、硫化物系、トリフェニルメタン系、キサンテ
ン系、アリザリン系、アクリジン系、キノンイミン系、
チアゾール系、メチン系、ニトロ系、ニトロソ系等の染
料が挙げられる。これらの群から選ばれる1種あるいは
2種以上を組み合わせて使用しても差し支えない。染料
の添加量は、染料の種類により隠蔽性が異なるので特に
限定はされないが、たとえば、塗料全量中での全縮合化
合物換算固形分100重量部に対して、好ましくは5〜
80重量部、より好ましくは10〜70重量部である。
染料の添加量が5重量部未満の場合は隠蔽性が悪くなる
傾向があり、80重量部を超えると塗膜の平滑性が悪く
なることがある。
【0079】なお、レベリング剤、金属粉、ガラス粉、
抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等も、本発明の効果
に悪影響を与えない範囲内で低温硬化性無機塗料に含ま
れていてもよい。本発明の低温硬化性無機塗料におい
て、全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、塗料全量に対し、5重量%以下であり、好ま
しくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下であ
る。上記合計濃度が5重量%を超えると、塗料の保存安
定性が得られにくくなるとともに、薄い塗膜を形成しに
くくなる。また、上記合計濃度の下限は、好ましくは
0.001重量%、より好ましくは0.01重量%であ
る。上記合計濃度が0.001重量%より低いと、塗料
としての機能が出にくかったり何層もコーティングしな
ければならなかったりする傾向があり、好ましくない。
【0080】上記濃度の調整に用いられる希釈溶剤は、
シリコーンレジンおよび硬化促進剤と混合可能なもので
あれば特に限定はされないが、たとえば、各種有機溶媒
が挙げられる。有機溶媒の種類は、シリコーンレジンの
各成分の有する1価炭化水素基の種類、または、シリコ
ーンレジンの各成分の分子量の大きさ等に応じて適宜選
定することができる。このような有機溶媒としては、特
に限定はされないが、たとえば、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノー
ル等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、
エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレン
グリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール
誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコール
モノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;
および、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢
酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム、ジアセト
ンアルコール等を挙げることができ、これらからなる群
より選ばれた1種もしくは2種以上を使用することがで
きる。
【0081】低温硬化性無機塗料を製造する方法は、特
に限定はされず、各成分を通常の方法および装置等を用
いて混合すればよい。塗料に導入する際の各成分の形態
についても、それ自身液状のものや、溶媒に溶解してな
る溶液、分散媒中に分散してなる分散液等の液状、粉体
等の固体状等を問わず、特に限定はされない。各成分を
溶液または分散液の形で導入する場合、その溶媒または
分散媒としては、たとえば、水、上述の有機溶媒、また
は、水と上述の有機溶媒との混合物を使用できる。ま
た、各成分は、別個に添加してもよいし、あるいは、2
成分以上を予め混合しておいてから残りの成分と混合し
たり、全成分を同時に混合したりしてもよく、その添加
や混合の時機等についても特に限定はされない。
【0082】低温硬化性無機塗料を塗布する方法は、特
に限定されるものではなく、たとえば、刷毛塗り、スプ
レー、浸漬(ディッピング)、ロール、フロー、カーテ
ン、ナイフコート、スピンコート等の通常の各種塗布方
法を選択することができる。低温硬化性無機塗料の塗膜
の硬化方法については、公知の方法を用いればよく、特
に限定はされない。また、硬化の際の温度も特に限定は
されず、所望される硬化被膜性能や硬化促進剤の耐熱性
等に応じて常温〜加熱温度の広い範囲をとることができ
る。
【0083】低温硬化性無機塗料から形成される塗布硬
化被膜の厚みは、特に制限はなく、たとえば、0.01
〜10μm程度であればよいが、塗膜の各種機能をより
効果的に発揮させたり常温での硬化時間をより短くした
りするとともに、塗布硬化被膜が長期的に安定に密着、
保持され、かつ、クラックや剥離が発生しないために
は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmが
より好ましい。
【0084】本発明の低温硬化性無機塗料が塗布される
基材(本発明の塗装品に用いられる基材でもある)とし
ては、特に限定はされないが、たとえば、無機質基材、
有機質基材、無機有機複合基材、および、これらのうち
のいずれかの表面に少なくとも1層の無機物被膜および
/または少なくとも1層の有機物被膜を有する塗装基材
等が挙げられる。
【0085】無機質基材としては、特に限定はされない
が、たとえば、金属基材;ガラス基材;ホーロー;水ガ
ラス化粧板、無機質硬化体等の無機質建材;セラミック
ス等が挙げられる。金属基材としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、非鉄金属〔たとえば、アルミニウム
(JIS−H4000等)、アルミニウム合金(ジュラ
ルミン等)、銅、亜鉛等〕、鉄、鋼〔たとえば、圧延鋼
(JIS−G3101等)、溶融亜鉛めっき鋼(JIS
−G3302等)、(圧延)ステンレス鋼(JIS−G
4304、G4305等)等〕、ブリキ(JIS−G3
303等)、その他の金属全般(合金含む)が挙げられ
る。
【0086】ガラス基材としては、特に限定はされない
が、たとえば、ナトリウムガラス、パイレックスガラ
ス、石英ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。前
記ホーローとは、金属表面にガラス質のホーローぐすり
を焼き付け、被覆したものである。その素地金属として
は、たとえば、軟鋼板、鋼板、鋳鉄、アルミニウム等が
挙げられるが、特に限定はされない。ホーローぐすりも
通常のものを用いればよく、特に限定はされない。
【0087】前記水ガラス化粧板とは、たとえば、ケイ
酸ソーダをスレートなどのセメント基材に塗布し、焼き
付けた化粧板などを指す。無機質硬化体としては、特に
限定はされないが、たとえば、繊維強化セメント板(J
IS−A5430等)、窯業系サイディング(JIS−
A5422等)、木毛セメント板(JIS−A5404
等)、パルプセメント板(JIS−A5414等)、ス
レート・木毛セメント積層板(JIS−A5426
等)、石膏ボード製品(JIS−A6901等)、粘土
瓦(JIS−A5208等)、厚形スレート(JIS−
A5402等)、陶磁器質タイル(JIS−A5209
等)、建築用コンクリートブロック(JIS−A540
6等)、テラゾ(JIS−A5411等)、プレストレ
ストコンクリートダブルTスラブ(JIS−A5412
等)、ALCパネル(JIS−A5416等)、空洞プ
レストレストコンクリートパネル(JIS−A6511
等)、普通煉瓦(JIS−R1250等)等の無機材料
を硬化、成形させた基材全般を指す。
【0088】セラミックス基材としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ
素、窒化ケイ素等が挙げられる。有機質基材としては、
特に限定はされないが、たとえば、プラスチック、木、
木材、紙等が挙げられる。プラスチック基材としては、
特に限定はされないが、たとえば、ポリカーボネート樹
脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性もしくは熱可塑
性プラスチック、および、これらのプラスチックをナイ
ロン繊維等の有機繊維で強化した繊維強化プラスチック
(FRP)等が挙げられる。
【0089】無機有機複合基材としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、上記プラスチックをガラス繊維、
カーボン繊維等の無機繊維で強化した繊維強化プラスチ
ック(FRP)等が挙げられる。前記塗装基材を構成す
る有機物被膜としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、アクリル系、アルキド系、ポリエステル系、エポキ
シ系、ウレタン系、アクリルシリコーン系、塩化ゴム
系、フェノール系、メラミン系等の有機樹脂を含むコー
ティング材の硬化被膜等が挙げられる。
【0090】前記塗装基材を構成する無機物被膜として
は、特に限定はされないが、たとえば、シリコーン樹脂
等の無機樹脂を含むコーティング材の硬化被膜等が挙げ
られる。本発明の低温硬化性無機塗料を基材に塗布する
際に、基材の材質や表面状態によっては、そのまま本発
明の低温硬化性無機塗料を塗布すると密着性や耐候性が
得にくい場合があるので、必要に応じ、基材の表面に、
本発明の低温硬化性無機塗料の塗布硬化被膜を形成させ
る前に予めプライマー層を形成させておいてもよい。プ
ライマー層としては、有機、無機を問わず、特に限定は
されないが、有機プライマー層の例としては、ナイロン
樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、有
機変性シリコーン樹脂(たとえば、アクリルシリコーン
樹脂等)、塩化ゴム樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹
脂、ポリエステル樹脂およびメラミン樹脂からなる群の
中から選ばれた少なくとも1種の有機樹脂を固形分とし
て10重量%以上含有する有機プライマー組成物の硬化
樹脂層等が挙げられ、無機プライマー層の例としては、
シリコーン樹脂等の無機樹脂を固形分として90重量%
以上含有する無機プライマー組成物の硬化樹脂層等が挙
げられる。
【0091】プライマー層の厚みは、特に限定はされな
いが、たとえば、0.1〜50μmが好ましく、0.5
〜10μmがより好ましい。この厚みが薄すぎると密着
性や耐候性が得られない恐れがあり、厚すぎると乾燥時
に発泡等の恐れがある。なお、表面に上記のような有機
プライマー層および/または無機プライマー層を少なく
とも1層有する基材は、前記塗装基材の範疇に含まれ
る。すなわち、前記塗装基材が表面に有する前記被膜は
上記プライマー層であってもよいのである。
【0092】また、プライマー層には、必要に応じ、調
色のために顔料、染料等の着色剤が含まれていてもよ
い。使用可能な着色剤としては、低温硬化性無機塗料に
添加可能なものとして前述したものが挙げられる。プラ
イマー層への着色剤の配合量の好ましい数値範囲につい
ても、前述の、低温硬化性無機塗料の場合と同様であ
る。ただし全縮合化合物換算固形分100重量部に対し
てではなくて、プライマー組成物全量中での全樹脂固形
分100重量部に対して規定される。
【0093】基材の形態については、特に限定はされ
ず、たとえば、フィルム状、シート状、板状、繊維状等
が挙げられる。また、基材は、これらの形状の材料の成
形体、または、これらの形状の材料もしくはその成形体
の少なくとも1つを一部に備えた構成体等であってもよ
い。基材は、上述した各種材料単独からなるものでもよ
いし、上述した各種材料のうちの少なくとも2つを組み
合わせてなる複合材料または上述した各種材料のうちの
少なくとも2つを積層してなる積層材料でもよい。
【0094】本発明の低温硬化性無機塗料および塗装品
は、その塗膜に硬化促進剤が含まれているため、塗膜の
硬化が促進されて常温でも短時間で硬化が進行するの
で、硬化中に汚れが付着したり傷がついたりしにくい。
しかも塗膜の耐候性が高まる。そのため、この低温硬化
性無機塗料の厚さ0.01〜10μmの塗布硬化被膜を
各種材料または物品の少なくとも一部に装備させること
により、たとえば、下記の用途に好適に用いることがで
きる。
【0095】建物関連の部材または物品、たとえば、外
装材(たとえば、外壁材、平板瓦・日本瓦・金属瓦等の
瓦等)、塩ビ雨とい等の樹脂製雨とい・ステンレス雨と
い等の金属製雨とい等の雨とい、門およびそれに用いる
ための部材(たとえば、門扉・門柱・門塀等)、フェン
ス(塀)およびそれに用いるための部材、ガレージ扉、
ホームテラス、ドア、柱、カーポート、駐輪ポート、サ
インポスト、宅配ポスト、配電盤・スイッチ等の配線器
具、ガスメーター、インターホン、テレビドアホン本体
およびカメラレンズ部、電気錠、エントランスポール、
縁側、換気扇吹き出し口、建物用ガラス等;窓(たとえ
ば、採光窓、天窓、ルーバー等の開閉窓等)およびそれ
に用いるための部材(たとえば、窓枠、雨戸、ブライン
ド等)、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、機械装置、
道路周辺部材(たとえば、防音壁、トンネル内装板、各
種表示装置、ガードレール、車止め、高欄、交通標識の
標識板および標識柱、信号機、ポストコーン等)、広告
塔、屋外または屋内用照明器具およびそれに用いるため
の部材(たとえば、ガラス、樹脂、金属およびセラミッ
クスからなる群の中から選ばれた少なくとも1種の材料
からなる部材等)、太陽電池用ガラス、農業用ビニール
およびガラスハウス、エアコン用室外機、VHF・UH
F・BS・CS等のアンテナ等。
【0096】なお、本発明の低温硬化性無機塗料を上記
の各種材料または物品の少なくとも一部に直接塗布し、
硬化させてもよいが、これに限定されず、たとえば、本
発明の低温硬化性無機塗料をフィルム基材の表面に塗布
し、硬化させてなるフィルムを上記の各種材料または物
品の少なくとも一部に貼るようにしてもよい。このよう
なフィルムの基材の材質としては、たとえば、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル
樹脂、フッ素樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂および
それらの複合樹脂等の樹脂が挙げられるが、特に限定は
されない。
【0097】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を詳
細に説明する。実施例及び比較例中、特に断らない限
り、「部」はすべて「重量部」を、「%」はすべて「重
量%」を表す。また、分子量はGPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー)により、測定機種として東
ソー(株)のHLC8020を用いて、標準ポリスチレ
ンで検量線を作成し、その換算値として測定したもので
ある。なお、本発明は下記実施例に限定されない。 <実施例1−1>テトラエトキシシラン140部に、酸
性コロイダルシリカであるイソプロパノール分散オルガ
ノシリカゾル(商品名「OSCAL1432」、触媒化
成工業(株)製、固形分30%)90部、希釈溶媒とし
てメチルアルコール2000部を混合し、更に、水90
部を添加し、攪拌した。得られた液を60℃恒温槽中で
5時間加熱することにより、反応生成物である加水分解
重縮合物の重量平均分子量(Mw)を1900に調整し
て加水分解重縮合物のアルコール溶液を得た。
【0098】加水分解重縮合物のアルコール溶液の調製
条件: ・〔水〕/(加水分解性基X〕モル比 1.86 ・重量平均分子量 1900 ・全縮合化合物換算固形分 2.91% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(触媒化
成(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニ
ック11−1020G」)を、塗料全量中での全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に
対し、硬化促進剤が20部になる量添加混合することに
より、無機塗料(1−1)を得た。この塗料において、
塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進
剤成分との合計濃度は、3.50%であった。
【0099】調製して間もない無機塗料(1−1)を、
アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により
塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させること
により、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は
0.1μmであった。 <実施例1−2>実施例1−1において、硬化促進剤と
して、酸化チタンゾルの代わりに酸化チタン粉末(石原
産業(株)製酸化チタン:商品名「ST−01」)を同
じ量用いたこと以外は実施例1−1と同様にして無機塗
料(1−2)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、3.50%であった。
【0100】調製して間もない無機塗料(1−2)を、
アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により
塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させること
により、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は
0.1μmであった。 <実施例1−3>実施例1−1において、硬化促進剤と
して、酸化チタンゾルの代わりに白金を担持した酸化チ
タンを同じ量用いたこと以外は実施例1−1と同様にし
て無機塗料(1−3)を得た。この塗料において、塗料
全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成
分との合計濃度は、3.50%であった。
【0101】なお、白金担持は、酸化チタン粉末(石原
産業(株)製酸化チタン:商品名「ST−01」)に光
電着法で行い、酸化チタンに対して0.5%担持した。
次に、調製して間もない無機塗料(1−3)を、アセト
ンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させることによ
り、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.1
μmであった。 <実施例1−4>実施例1−1において、テトラエトキ
シシランの代わりにテトラメトキシシランを同量用いた
こと以外は実施例1−1と同様の作業を行って無機塗料
(1−4)を得た。この塗料において、塗料全量に対す
る全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計
濃度は、4.18%であった。
【0102】ただし、この塗料の作製工程における加水
分解重縮合物のアルコール溶液の調製条件は下記の通り
であった。 ・〔水〕/〔加水分解性基X〕モル比 1.86 ・重量平均分子量 3000 ・全縮合化合物換算固形分 2.75% 次に、調製して間もない無機塗料(1−4)を、アセト
ンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させることによ
り、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.1
μmであった。 <実施例1−5>テトラエトキシシラン130部に、酸
性コロイダルシリカであるイソプロパノール分散オルガ
ノシリカゾル(商品名「OSCAL1432」、触媒化
成工業(株)製、固形分30%)60部、希釈溶媒とし
てメタノール2000部を混合し、更に、水120部を
添加し、攪拌した。得られた液を60℃恒温槽中で5時
間加熱することにより、反応生成物である加水分解重縮
合物の重量平均分子量(Mw)を3100に調整して加
水分解重縮合物のアルコール溶液を得た。
【0103】加水分解重縮合物のアルコール溶液の調製
条件: ・〔水〕/〔加水分解性基X〕モル比 2.67 ・重量平均分子量 3100 ・全縮合化合物換算固形分 2.42% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(触媒化
成(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニ
ック11−1020G」)を、塗料全量中での全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に
対し、硬化促進剤が20部になる量添加混合することに
より、無機塗料(1−5)を得た。この塗料において、
塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進
剤成分との合計濃度は、2.91%であった。
【0104】調製して間もない無機塗料(1−5)を、
アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により
塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させること
により、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は
0.1μmであった。 <実施例1−6>実施例1−5において、硬化促進剤と
して用いた酸化チタンゾルの添加量を2部に変更したこ
と以外は実施例1−5と同様にして無機塗料(1−6)
を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、
2.44%であった。
【0105】調製して間もない無機塗料(1−6)を、
アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により
塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させること
により、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は
0.1μmであった。 <実施例1−7>実施例1−5において、硬化促進剤と
して用いた酸化チタンゾルの添加量を80部に変更した
こと以外は実施例1−5と同様にして無機塗料(1−
7)を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮
合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度
は、3.74%であった。
【0106】調製して間もない無機塗料(1−7)を、
アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により
塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させること
により、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は
0.1μmであった。 <実施例1−8>実施例1−5において、基材としてガ
ラス基板の代わりにアルミ基板を用いたこと以外は実施
例1−5と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例1−9>実施例1−5において、基材としてガ
ラス基板の代わりにアクリル基板を用いたこと以外は実
施例5と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例1−10>実施例1−5において、硬化促進剤
として用いた酸化チタンゾルの添加量を5部に変更した
こと以外は実施例1−5と同様にして無機塗料(1−1
0)を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮
合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度
は、2.51%であった。
【0107】調製して間もない無機塗料(1−10)
を、アセトンで洗浄したアルミ基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させる
ことにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚
は0.1μmであった。 <実施例1−11>テトラエトキシシラン170部に、
酸性コロイダルシリカであるイソプロパノール分散オル
ガノシリカゾル(商品名「OSCAL1432」、触媒
化成工業(株)製、固形分30%)50部、希釈溶媒と
してメタノール1200部を混合し、更に、水180部
を添加し、攪拌した。得られた液を60℃恒温槽中で5
時間加熱することにより、反応生成物である加水分解重
縮合物の重量平均分子量(Mw)を3600に調整して
加水分解重縮合物のアルコール溶液を得た。
【0108】加水分解重縮合物のアルコール溶液の調製
条件: ・〔水〕/〔加水分解性基X〕モル比 3.06 ・重量平均分子量 3600 ・全縮合化合物換算固形分 4.02% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(石原産
業(株)製酸化チタンゾル:商品名「STS−01」)
を、塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬化促
進剤成分との合計100部に対し、硬化促進剤が20部
になる量添加混合することにより、無機塗料(1−1
1)を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮
合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度
は、4.21%であった。
【0109】調製して間もない無機塗料(1−11)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させる
ことにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚
は0.1μmであった。 <実施例1−12>テトラエトキシシラン100部に、
酸性コロイダルシリカであるイソプロパノール分散オル
ガノシリカゾル(商品名「OSCAL1432」、触媒
化成工業(株)製、固形分30%)90部、希釈溶媒と
してイソプロパノール1400部を混合し、更に、水2
00部を添加し、攪拌した。得られた液を60℃恒温槽
中で5時間加熱することにより、反応生成物である加水
分解重縮合物の重量平均分子量(Mw)を6000に調
整して加水分解重縮合物のアルコール溶液を得た。
【0110】加水分解重縮合物のアルコール溶液の調製
条件: ・〔水〕/〔加水分解性基X〕モル比 5.78 ・重量平均分子量 6000 ・全縮合化合物換算固形分 3.13% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(石原産
業(株)製酸化チタンゾル:商品名「STS−01」)
を、塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬化促
進剤成分との合計100部に対し、硬化促進剤が20部
になる量添加混合することにより、無機塗料(1−1
2)を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮
合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度
は、3.43%であった。
【0111】調製して間もない無機塗料(1−12)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させる
ことにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚
は0.1μmであった。 <実施例1−13>テトラエトキシシラン100部に、
酸性コロイダルシリカであるイソプロパノール分散オル
ガノシリカゾル(商品名「OSCAL1432」、触媒
化成工業(株)製、固形分30%)60部、希釈溶媒と
してイソプロパノール1600部を混合し、更に、水6
0部を添加し、攪拌した。得られた液を60℃恒温槽中
で5時間加熱することにより、反応生成物である加水分
解重縮合物の重量平均分子量(Mw)を1800に調整
して加水分解重縮合物のアルコール溶液を得た。
【0112】加水分解重縮合物のアルコール溶液の調製
条件: ・〔水〕/〔加水分解性基X〕モル比 1.73 ・重量平均分子量 1800 ・全縮合化合物換算固形分 3.08% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(触媒化
成(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニ
ック11−1020G」)を、塗料全量中での全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に
対し、硬化促進剤が20部になる量添加混合することに
より、無機塗料(1−13)を得た。この塗料におい
て、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化
促進剤成分との合計濃度は、3.8%であった。
【0113】調製して間もない無機塗料(1−13)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させる
ことにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚
は0.1μmであった。 <実施例1−14>実施例1−13において、塗膜の硬
化後の膜厚を1.0μmに変更したこと以外は実施例1
−13と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例1−15>実施例1−13において、塗装法を
スピンコート塗装法に変更して塗膜の硬化後の膜厚を
0.01μmに変更したこと以外は実施例1−13と同
様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例1−16>実施例1−13において、塗装法を
スピンコート塗装法に変更して塗膜の硬化後の膜厚を
0.05μmに変更したこと以外は実施例1−13と同
様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例1−17>実施例1−13において、塗膜の硬
化後の膜厚を0.03μmに変更したこと以外は実施例
1−13と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例1−18>実施例1−13において、無機塗料
(1−13)に顔料(石原産業(株)製白色顔料)を塗
料全量中での全縮合化合物換算固形分100部に対して
45部添加することにより、無機塗料(1−18)を得
た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、4.4
6%であった。
【0114】調製して間もない無機塗料(1−18)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させる
ことにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚
は0.1μmであった。 <比較例1−1>実施例1−1において、硬化促進剤を
全く用いないこと以外は実施例1−1と同様にして比較
用無機塗料(1−1)を得た。
【0115】調製して間もない比較用無機塗料(1−
1)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、比較用塗装品を得た。なお、塗膜の硬
化後の膜厚は0.1μmであった。 <実施例1−19>トヨタスプリンタ−(自動車;平成
2年式)のボンネットをアセトンで充分洗浄した後、実
施例1−18で得られた調製して間もない無機塗料(1
−18)を、スプレー塗装法で硬化塗膜厚0.05μm
になるように塗布し、室温下で一昼夜乾燥硬化させるこ
とにより、塗装品を得た。 <実施例1−20>松下電工(株)本館(建物;大阪府
門真市)南面の一部(10m2 )をフッ酸で洗浄した
後、アセトンでさらに充分洗浄した後、実施例1−18
で得られた調製して間もない無機塗料(1−18)を、
スプレー塗装法で硬化塗膜厚0.1μmになるように塗
布し、外気温下約20℃で一昼夜乾燥硬化させることに
より、塗装品を得た。 <実施例1−21>松下電工(株)大阪門真敷地内の研
究所建物の屋上に設置した松下電工(株)製採光窓(型
式MWT2025JH)の一部に、実施例1−18で得
られた調製して間もない無機塗料(1−18)を、スプ
レー塗装法で硬化塗膜厚0.1μmになるように塗布
し、室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、塗装品
を得た。 <実施例1−22>松下電工(株)大阪門真敷地内の中
間実験室にあるドラフトの全面ガラスの一部(約250
cm2 )に、実施例1−18で得られた調製して間もな
い無機塗料(1−18)を、スプレー塗装法で硬化塗膜
厚0.1μmになるように塗布し、室温下で一昼夜乾燥
硬化させることにより、塗装品を得た。 <実施例1−23>松下電工(株)大阪門真敷地内の大
きさ600mmφ、高さ1200mmの進入禁止の道路
標識の一部(約1400cm2 )に、実施例1−18で
得られた調製して間もない無機塗料(1−18)を、ス
プレー塗装法で硬化塗膜厚0.5μmになるように塗布
し、室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、塗装品
を得た。 <実施例1−24>松下電工(株)大阪門真敷地内の建
物の窓ガラス(1m2 、厚み6mm)の窓ガラスに、実
施例1−18で得られた調製して間もない無機塗料(1
−18)を、スプレー塗装法で硬化塗膜厚1.0μmに
なるように塗布し、室温下で一昼夜乾燥硬化させること
により、塗装品を得た。 <実施例1−25>松下電工(株)大阪門真敷地内の正
門に設置した道路照明器具(型式YA32020)の全
面ガラス、ポ−ル、器具の一部に、実施例1−18で得
られた調製して間もない無機塗料(1−18)を、スプ
レー塗装法で硬化塗膜厚0.1μmになるように塗布
し、室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、塗装品
を得た。 <実施例1−26>松下電工(株)大阪門真敷地内の社
内食堂の厨房内に設置した富士型蛍光灯器具(型式FA
22063)の反射板の一部に、実施例1−18で得ら
れた調製して間もない無機塗料(1−18)を、スプレ
ー塗装法で硬化塗膜厚0.1μmになるように塗布し、
室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、塗装品を得
た。 <実施例1−27>実施例1−1において、硬化促進剤
として、酸化チタンゾルの代わりにチタン酸ストロンチ
ウム(フルウチ化学(株)製試薬)を同じ量用いたこと
以外は実施例1−1と同様にして無機塗料(1−27)
を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、
3.50%であった。
【0116】調製して間もない無機塗料(1−27)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させる
ことにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚
は0.1μmであった。 <実施例1−28>実施例1−1において、硬化促進剤
として、酸化チタンゾルの代わりに、酸化チタン(石原
産業(株)製、商品名「ST−01」)と酸化亜鉛(ナ
カライテスク(株)製、商品名「試薬ZnO」)との重
量比1:1混合物を同じ量用いたこと以外は実施例1−
1と同様にして無機塗料(1−28)を得た。この塗料
において、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と
全硬化促進剤成分との合計濃度は、3.50%であっ
た。
【0117】調製して間もない無機塗料(1−28)
を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法に
より塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させる
ことにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚
は0.1μmであった。 <実施例1−29>実施例1−1において、テトラエト
キシシランの代わりにテトラn−プロポキシシランを同
量用いたこと以外は実施例1−1と同様の作業を行って
無機塗料(1−29)を得た。この塗料において、塗料
全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成
分との合計濃度は、3.3%であった。
【0118】ただし、この塗料の作製工程における加水
分解重縮合物のアルコール溶液の調製条件は下記の通り
であった。 ・〔水〕/〔加水分解性基X〕モル比 2.36 ・重量平均分子量 1500 ・全縮合化合物換算固形分 2.8% 調製して間もない無機塗料(1−29)を、アセトンで
洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、塗
膜を室温下で150時間乾燥硬化させることにより、塗
装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.1μmで
あった。 <実施例1−30>実施例1−1において、コロイダル
シリカを全く用いず、その代わりに0.1N−HClを
10部用いたこと以外は実施例1−1と同様の作業を行
って無機塗料(1−30)を得た。この塗料において、
塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進
剤成分との合計濃度は、2.2%であった。
【0119】ただし、この塗料の作製工程における加水
分解重縮合物のアルコール溶液の調製条件は下記の通り
であった。 ・〔水〕/〔加水分解性基X〕モル比 2.06 ・重量平均分子量 2000 ・全縮合化合物換算固形分 1.91% 調製して間もない無機塗料(1−30)を、アセトンで
洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、塗
膜を室温下で150時間乾燥硬化させることにより、塗
装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.1μmで
あった。 <実施例1−31>実施例1−1において、テトラエト
キシシランの使用量を250部に変更したこと以外は実
施例1−1と同様の作業を行って無機塗料(1−31)
を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、
4.91%であった。
【0120】ただし、この塗料の作製工程における加水
分解重縮合物のアルコール溶液の調製条件は下記の通り
であった。 ・〔水〕/〔加水分解性基X〕モル比 1.86 ・重量平均分子量 2000 ・全縮合化合物換算固形分 4.09% 調製して間もない無機塗料(1−31)を、アセトンで
洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布し、塗
膜を室温下で150時間乾燥硬化させることにより、塗
装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.1μmで
あった。 <実施例1−32>アセトン洗浄したガラス板の表面に
エポキシ系プライマー(イサム塗料(株):商品名「E
−1プライマ−」)を約10μmの膜厚で塗装した後、
実施例1−1で得られた調製して間もない無機塗料(1
−1)を、硬化膜厚が0.1μmになるようにスプレー
塗装法により塗布し、次いで室温下で150時間乾燥硬
化させることにより、塗装品を得た。 <比較例1−2>実施例1−1において、硬化促進剤の
添加量を0.08部に変更したこと以外は実施例1−1
と同様にして比較用無機塗料(1−2)を得た。この塗
料において、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分
と全硬化促進剤成分との合計濃度は、3.14%であっ
た。
【0121】調製して間もない比較用無機塗料(1−
2)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、比較用塗装品を得た。なお、塗膜の硬
化後の膜厚は0.1μmであった。 <比較例1−3>実施例1−1において、硬化促進剤の
添加量を85部に変更したこと以外は実施例1−1と同
様にして比較用無機塗料(1−3)を得た。この塗料に
おいて、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全
硬化促進剤成分との合計濃度は、5.39%であった。
【0122】調製して間もない比較用無機塗料(1−
3)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、比較用塗装品を得た。なお、塗膜の硬
化後の膜厚は0.1μmであった。 <比較例1−4>実施例1−1において、テトラエトキ
シシランの使用量を400部に変更したこと以外は実施
例1−1と同様の作業を行って比較用無機塗料(1−
4)を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮
合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度
は、6.16%であった。
【0123】ただし、この塗料の作製工程における加水
分解重縮合物のアルコール溶液の調製条件は下記の通り
であった。 ・〔水〕/〔加水分解性基X〕モル比 0.65 ・重量平均分子量 2500 ・全縮合化合物換算固形分 7.40% 調製して間もない比較用無機塗料(1−4)を、アセト
ンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させることによ
り、比較用塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は
0.1μmであった。 <比較例1−5〜1−7>実施例1−1において、希釈
溶媒として用いたメチルアルコールの量を100部に変
更したこと以外は実施例1−1と同様にして加水分解重
縮合物のアルコール溶液を得た。このアルコール溶液
中、全縮合化合物換算固形分は16.1%であった。次
いで、このアルコール溶液に、それぞれ、実施例1−1
〜1−3で用いたものと同じ種類および量の硬化促進剤
を添加混合することにより、比較用無機塗料(1−5)
〜(1−7)を得た。これらの塗料において、塗料全量
に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分と
の合計濃度は、いずれも19.3%であった。 <比較例1−8>実施例1−1において、テトラエトキ
シシランの代わりにテトラメトキシシランを同量用いる
とともに、希釈溶媒として用いたメチルアルコールの量
を100部に変更したこと以外は実施例1−1と同様に
して加水分解重縮合物のアルコール溶液を得た。このア
ルコール溶液中、全縮合化合物換算固形分は23.1%
であった。次いで、このアルコール溶液に、実施例1−
1で用いたものと同じ種類および量の硬化促進剤を添加
混合することにより、比較用無機塗料(1−8)を得
た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、27.
7%であった。 <比較例1−9>実施例1−5において、希釈溶媒とし
て用いたメタノールの量を100部に変更したこと以外
は実施例1−5と同様にして加水分解重縮合物のアルコ
ール溶液を得た。このアルコール溶液中、全縮合化合物
換算固形分は13.7%であった。次いで、このアルコ
ール溶液に、実施例1−5で用いたものと同じ種類およ
び量の硬化促進剤を添加混合することにより、比較用無
機塗料(1−9)を得た。この塗料において、塗料全量
に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分と
の合計濃度は、16.4%であった。 <比較例1−10>実施例1−11において、希釈溶媒
として用いたメタノールの量を50部に変更したこと以
外は実施例1−11と同様にして加水分解重縮合物のア
ルコール溶液を得た。このアルコール溶液中、全縮合化
合物換算固形分は18.4%であった。次いで、このア
ルコール溶液に、実施例1−11で用いたものと同じ種
類および量の硬化促進剤を添加混合することにより、比
較用無機塗料(1−10)を得た。この塗料において、
塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進
剤成分との合計濃度は、19.2%であった。 <比較例1−11>実施例1−12において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を50部に変更した
こと以外は実施例1−12と同様にして加水分解重縮合
物のアルコール溶液を得た。このアルコール溶液中、全
縮合化合物換算固形分は11.4%であった。次いで、
このアルコール溶液に、実施例1−12で用いたものと
同じ種類および量の硬化促進剤を添加混合することによ
り、比較用無機塗料(1−11)を得た。この塗料にお
いて、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬
化促進剤成分との合計濃度は、13.6%であった。 <比較例1−12>実施例1−13において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を50部に変更した
こと以外は実施例1−13と同様にして加水分解重縮合
物のアルコール溶液を得た。このアルコール溶液中、全
縮合化合物換算固形分は16.7%であった。次いで、
このアルコール溶液に、実施例1−13で用いたものと
同じ種類および量の硬化促進剤を添加混合することによ
り、比較用無機塗料(1−12)を得た。この塗料にお
いて、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬
化促進剤成分との合計濃度は、20%であった。 <比較例1−13>実施例1−13において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を50部に変更する
とともに、顔料(石原産業(株)製白色顔料)を塗料全
量中での全縮合化合物換算固形分100部に対して45
部添加したこと以外は実施例1−13と同様にして比較
用無機塗料(1−13)を得た。この塗料において、全
縮合化合物換算固形分は35.2%であり、塗料全量に
対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との
合計濃度は、42.2%であった。 <比較例1−14〜1−15>実施例1−1において、
希釈溶媒として用いたメチルアルコールの量を100部
に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして加水分
解重縮合物のアルコール溶液を得た。このアルコール溶
液中、全縮合化合物換算固形分は16.1%であった。
次いで、このアルコール溶液に、それぞれ、実施例1−
27〜1−28で用いたものと同じ種類および量の硬化
促進剤を添加混合することにより、比較用無機塗料(1
−14)〜(1−15)を得た。これらの塗料におい
て、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化
促進剤成分との合計濃度は、いずれも19.3%であっ
た。 <実施例2−1>原料(A1 )としてメチルトリメトキ
シシラン100部に、原料(A2 )としてテトラエトキ
シシラン10部、同じく原料(A2 )として酸性コロイ
ダルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名
「OSCAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形
分30%)90部、原料(A3 )としてジメチルジメト
キシシラン30部、希釈溶媒としてイソプロピルアルコ
ール(本明細書中、IPAと略すことがある)2000
部を混合し、更に、水90部を添加し、攪拌した。得ら
れた液を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、
反応生成物のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子
量(Mw)を1500に調整してオルガノシロキサンの
アルコール溶液を得た。
【0124】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.73 ・重量平均分子量 1500 ・全縮合化合物換算固形分 3.70% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(触媒化
成(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニ
ック11−1020G」)を塗料全量中での全縮合化合
物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に対
し20部になる量と、界面活性剤としてノニオン系反応
性界面活性剤(旭電化工業(株)製;商品名「アデカリ
アソ−プNE−10」)を塗料全量中での全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分と全界面活性剤成分との
合計100部に対し1部になる量添加混合することによ
り、無機塗料(2−1)を得た。この塗料において、塗
料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤
成分との合計濃度は、4.43%であった。
【0125】次に、調製して間もない無機塗料(2−
1)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−2>実施例2−1において、硬化促進剤と
して、酸化チタンゾルの代わりに酸化チタン粉末(石原
産業(株)製酸化チタン:商品名「ST−01」)を同
じ量用いたこと以外は実施例2−1と同様にして無機塗
料(2−2)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、4.43%であった。
【0126】次に、調製して間もない無機塗料(2−
2)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−3>実施例2−1において、硬化促進剤と
して、酸化チタンゾルの代わりに白金を担持した酸化チ
タンを同じ量用いたこと以外は実施例2−1と同様にし
て無機塗料(2−3)を得た。この塗料において、塗料
全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成
分との合計濃度は、4.43%であった。
【0127】なお、白金担持は、酸化チタン粉末(石原
産業(株)製酸化チタン:商品名「ST−01」)に光
電着法で行い、酸化チタンに対して0.5%担持した。
次に、調製して間もない無機塗料(2−3)を、アセト
ンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させることによ
り、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.5
μmであった。 <実施例2−4>実施例2−1において、界面活性剤と
してノニオン系反応性界面活性剤(旭電化工業(株)
製;商品名「アデカリアソ−プNE−10」)の代わり
にアニオン系反応性界面活性剤(旭電化工業(株)製;
商品名「アデカリアソ−プSE−10N」)を同じ量用
いたこと以外は実施例2−1と同様の作業を行って無機
塗料(2−4)を得た。この塗料において、塗料全量に
対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との
合計濃度は、4.64%であった。
【0128】次に、調製して間もない無機塗料(2−
4)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−5>原料(A1 )としてメチルトリメトキ
シシラン100部に、原料(A2 )として酸性コロイダ
ルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「O
SCAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形分3
0%)60部、原料(A3 )としてジメチルジメトキシ
シラン30部、希釈溶媒としてIPA2000部を混合
し、更に、水120部を添加し、攪拌した。得られた液
を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生
成物のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量(M
w)を1200に調整してオルガノシロキサンのアルコ
ール溶液を得た。
【0129】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 2.46 ・重量平均分子量 1200 ・全縮合化合物換算固形分 3.72% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(触媒化
成(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニ
ック11−1020G」)を塗料全量中での全縮合化合
物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に対
し20部になる量と、界面活性剤としてノニオン系反応
性界面活性剤(旭電化工業(株)製;商品名「アデ
カ」)を塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬
化促進剤成分と全界面活性剤成分との合計100部に対
し1部になる量添加混合することにより、無機塗料(2
−5)を得た。この塗料において、塗料全量に対する全
縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度
は、4.47%であった。
【0130】次に、調製して間もない無機塗料(2−
5)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−6>実施例2−5において、界面活性剤と
してノニオン系反応性界面活性剤(旭電化工業(株)
製;商品名「アデカ」)の代わりにノニオン系界面活性
剤(旭電化工業(株)製;商品名「アデカブルニック
L.P.F.シリ−ズP−103」)を用いたこと以外
は実施例2−5と同様の作業を行って無機塗料(2−
6)を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮
合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度
は、4.47%であった。
【0131】次に、調製して間もない無機塗料(2−
6)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−7>実施例2−5において、無機塗料中、
界面活性剤として用いたノニオン系反応性界面活性剤
(旭電化工業(株)製;商品名「アデカ」)の配合量を
10部に変更したこと以外は実施例2−5と同様の作業
を行って無機塗料(2−7)を得た。この塗料におい
て、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化
促進剤成分との合計濃度は、4.47%であった。
【0132】次に、調製して間もない無機塗料(2−
7)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−8>実施例2−5において、界面活性剤と
して用いたノニオン系反応性界面活性剤(旭電化工業
(株)製;商品名「アデカ」)の配合量を0.2部に変
更したこと以外は実施例2−5と同様の作業を行って無
機塗料(2−8)を得た。この塗料において、塗料全量
に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分と
の合計濃度は、4.47%であった。
【0133】次に、調製して間もない無機塗料(2−
8)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−9>実施例2−5において、基材としてガ
ラス基板の代わりにアルミ基板を用いたこと以外は実施
例2−5と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例2−10>実施例2−5において、基材として
ガラス基板の代わりにアクリル基板を用いたこと以外は
実施例2−5と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例2−11>実施例2−5において、硬化促進剤
として用いた酸化チタンゾルの添加量を5部に変更した
こと以外は実施例2−5と同様にして無機塗料(2−1
1)を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮
合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度
は、3.91%であった。
【0134】次に、調製して間もない無機塗料(2−1
1)を、アセトンで洗浄したアルミ基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−12>実施例2−1において、界面活性剤
を全く用いないこと以外は実施例2−1と同様にして無
機塗料(2−12)を得た。この塗料において、塗料全
量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分
との合計濃度は、4.65%であった。
【0135】次に、調製して間もない無機塗料(2−1
2)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、比較用塗装品を得た。なお、塗膜の硬
化後の膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−13>原料(A1 )としてメチルトリメト
キシシラン100部に、原料(A2 )としてテトラエト
キシシラン20部、同じく原料(A2 )として酸性コロ
イダルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名
「OSCAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形
分30%)50部、原料(A3 )としてジメチルジメト
キシシラン50部、希釈溶媒としてIPA2000部を
混合し、更に、水180部を添加し、攪拌した。得られ
た液を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反
応生成物のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量
(Mw)を1200に調整してオルガノシロキサンのア
ルコール溶液を得た。
【0136】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 2.92 ・重量平均分子量 1200 ・全縮合化合物換算固形分 3.80% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(石原産
業(株)製酸化チタンゾル:商品名「STS−01」)
を塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬化促進
剤成分との合計100部に対し20部になる量と、界面
活性剤としてノニオン系反応性界面活性剤(旭電化工業
(株)製;商品名「アデカリアソ−プNE−10」)を
塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤
成分と全界面活性剤成分との合計100部に対し1部に
なる量添加混合することにより、無機塗料(2−13)
を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、
4.59%であった。
【0137】次に、調製して間もない無機塗料(2−1
3)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−14>原料(A1 )としてメチルトリメト
キシシラン100部に、原料(A2 )としてテトラエト
キシシラン10部、同じく原料(A2 )として酸性コロ
イダルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名
「OSCAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形
分30%)90部、希釈溶媒としてIPA2000部を
混合し、更に、水200部を添加し、攪拌した。得られ
た液を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反
応生成物のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量
(Mw)を1200に調整してオルガノシロキサンのア
ルコール溶液を得た。
【0138】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 4.63 ・重量平均分子量 1200 ・全縮合化合物換算固形分 3.08% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(石原産
業(株)製酸化チタンゾル:商品名「STS−01」)
を塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬化促進
剤成分と全界面活性剤成分との合計100部に対し20
部になる量と、界面活性剤としてノニオン系反応性界面
活性剤(旭電化工業(株)製;商品名「アデカリアソ−
プNE−10」)を塗料全量中での全縮合化合物換算固
形分と全硬化促進剤成分と全界面活性剤成分との合計1
00部に対し1 部になる量添加混合することにより、無
機塗料(2−14)を得た。この塗料において、塗料全
量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分
との合計濃度は、3.73%であった。
【0139】次に、調製して間もない無機塗料(2−1
4)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−15>原料(A1 )としてメチルトリメト
キシシラン100部に、原料(A2 )として酸性コロイ
ダルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名
「OSCAL1432」、触媒化成工業(株)製、固形
分30%)60部、希釈溶媒としてIPA2000部を
混合し、更に、水60部を添加し、攪拌した。得られた
液を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応
生成物のオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量
(Mw)を1200に調整してオルガノシロキサンのア
ルコール溶液を得た。
【0140】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.51 ・重量平均分子量 1200 ・全縮合化合物換算固形分 3.06% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(触媒化
成(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニ
ック11−1020G」)を塗料全量中での全縮合化合
物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に対
し20部と、界面活性剤としてノニオン系反応性界面活
性剤(旭電化工業(株)製;商品名「アデカリアソ−プ
NE−10」)を塗料全量中での全縮合化合物換算固形
分と全硬化促進剤成分と全界面活性剤成分との合計10
0部に対し1 部添加混合することにより、無機塗料(2
−15)を得た。この塗料において、塗料全量に対する
全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃
度は、3.71%であった。
【0141】次に、調製して間もない無機塗料(2−1
5)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−16>実施例2−15において、塗膜の硬
化後の膜厚を1.0μmに変更したこと以外は実施例2
−15と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例2−17>実施例2−15において、塗装法を
スピンコート塗装法に変更して塗膜の硬化後の膜厚を
0.05μmに変更したこと以外は実施例2−15と同
様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例2−18>実施例2−15において、塗装法を
スピンコート塗装法に変更して塗膜の硬化後の膜厚を
0.1μmに変更したこと以外は実施例2−15と同様
の作業を行って塗装品を得た。 <実施例2−19>実施例2−15において、塗膜の硬
化後の膜厚を0.3μmに変更したこと以外は実施例2
−15と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例2−20>実施例2−15において、無機塗料
(2−15)に顔料(石原産業(株)製白色顔料)を塗
料全量中での全縮合化合物換算固形分100部に対して
30部添加することにより、無機塗料(2−20)を得
た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、4.8
2%であった。
【0142】次に、調製して間もない無機塗料(2−2
0)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <比較例2−1>実施例2−5において、硬化促進剤と
して用いた酸化チタンゾルの添加量を80部に変更した
こと以外は実施例2−5と同様にして比較用無機塗料
(2−1)を得た。この塗料において、塗料全量に対す
る全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計
濃度は、6.70%であった。
【0143】次に、調製して間もない比較用無機塗料
(2−1)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレ
ー塗装法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥
硬化させることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬
化後の膜厚は0.5μmであった。 <比較例2−2>実施例2−1において、硬化促進剤と
して用いた酸化チタンゾルの添加量を0.08部に変更
したこと以外は実施例2−1と同様にして比較用無機塗
料(2−2)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、3.99%であった。
【0144】次に、調製して間もない比較用無機塗料
(2−2)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレ
ー塗装法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥
硬化させることにより、比較用塗装品を得た。なお、塗
膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。 <比較例2−3>実施例2−5において、硬化促進剤と
して用いた酸化チタンゾルの添加量を85部に変更した
こと以外は実施例2−5と同様にして比較用無機塗料
(2−3)を得た。この塗料において、塗料全量に対す
る全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計
濃度は、6.89%であった。
【0145】次に、調製して間もない比較用無機塗料
(2−3)を、アセトンで洗浄したアルミ基板にスプレ
ー塗装法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥
硬化させることにより、比較用塗装品を得た。なお、塗
膜の硬化後の膜厚は0.5μmであった。次に、以下の
実施例および比較例に先立ち、それらに用いるシリコー
ンレジン(2)の(B)、(C)成分を以下のようにし
て調製した。その際、コロイダルシリカ(D)を(B)
成分の調製溶液中に分散することにより導入するように
した。 (B成分の調製例): <調製例B−1>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、IPA分散コロイ
ダルシリカゾルIPA−ST(粒子径10〜20nm、
固形分30%、水分0.5%、日産化学工業(株)製)
100部と、メチルトリメトキシシラン68部と、水1
0.8部とを投入し、攪拌しながら65℃で約5時間か
けて部分加水分解反応を行った後、冷却することによ
り、オルガノシランオリゴマー(B−1)のシリカ分散
溶液を得た。このものは、室温で48時間放置したとき
の全縮合化合物換算固形分が36%であった。
【0146】 B−1のシリカ分散溶液調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.4モル ・B−1のシリカ分散溶液中のシリカ分含有量 47.2% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 100モル% <調製例B−2>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、キシレン・n−ブ
タノール混合溶媒分散コロイダルシリカゾルXBA−S
T(粒子径10〜20nm、固形分30%、水分0.2
%、日産化学工業(株)製)100部と、メチルトリメ
トキシシラン68部とを投入し、攪拌しながら65℃で
約5時間かけて部分加水分解反応を行った後、冷却する
ことにより、オルガノシランオリゴマー(B−2)のシ
リカ分散溶液を得た。このものは、室温で48時間放置
したときの全縮合化合物換算固形分が37.8%であっ
た。
【0147】 B−2のシリカ分散溶液調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.007モル ・B−2のシリカ分散溶液中のシリカ分含有量 47.2% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 100モル% <調製例B−3>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、IPA分散コロイ
ダルシリカゾルIPA−ST(粒子径10〜20nm、
固形分30%、水分0.5%、日産化学工業(株)製)
100部と、メチルトリメトキシシラン68部と、ジメ
チルジメトキシシラン18部と、水2.7部と、無水酢
酸0.1部とを投入し、攪拌しながら80℃で約3時間
かけて部分加水分解反応を行った後、冷却することによ
り、オルガノシランオリゴマー(B−3)のシリカ分散
溶液を得た。このものは、室温で48時間放置したとき
の全縮合化合物換算固形分が39.5%であった。
【0148】 B−3のシリカ分散溶液調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.1モル ・B−3のシリカ分散溶液中のシリカ分含有量 40.2% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 77モル% (C成分の調製例): <調製例C−1>攪拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート及び温度計を取り付けたフラスコに、メ
チルトリイソプロポキシシラン220部(1モル)がト
ルエン150部に溶解してなる溶液を仕込み、これに、
1%塩酸水溶液108部を20分かけて滴下し、メチル
トリイソプロポキシシランを攪拌下60℃で加水分解し
た。滴下終了から40分後に攪拌を止め、反応液を分液
ロートに移し入れて静置したところ、二層に分離した。
少量の塩酸を含んだ下層の水とイソプロピルアルコール
の混合溶液を分液除去し、後に残ったトルエンの樹脂溶
液中に残存している塩酸を水洗で除去し、更にトルエン
を減圧除去した後、残留物をイソプロピルアルコールで
希釈することにより、重量平均分子量(Mw)約200
0のシラノール基含有ポリオルガノシロキサン(C−
1)のイソプロピルアルコール溶液を得た。この溶液中
の全縮合化合物換算固形分は40%である。また、この
溶液中のシラノール基含有ポリオルガノシロキサン(C
−1)は前記平均組成式(II)を満たすものであること
が確認されている。
【0149】<調製例C−2>攪拌機、加温ジャケッ
ト、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた
フラスコに水1000部、アセトン50部を仕込み、更
にメチルトリクロロシシラン44.8部(0.3モ
ル)、ジメチルジクロロシラン38.7部(0.3モ
ル)およびフェニルトリクロロシラン84.6部(0.
4モル)がトルエン200部に溶解してなる溶液を攪拌
下に滴下しながら60℃で加水分解した。滴下終了から
40分後に攪拌を止め,反応液を分液ロートに移し入れ
て静置したところ、二層に分離した。下層の塩酸水を分
液除去し、後に残ったオルガノポリシロキサンのトルエ
ン溶液中に残存している水と塩酸を減圧ストリッピング
により過剰のトルエンとともに除去することにより、重
量平均分子量(Mw)約3000のシラノール基含有ポ
リオルガノシロキサン(C−2)のトルエン溶液を得
た。この溶液中の全縮合化合物換算固形分は60%であ
る。また、この溶液中のシラノール基含有ポリオルガノ
シロキサン(C−2)は前記平均組成式(II)を満たす
ものであることが確認されている。
【0150】上記のようにして得られた(B)、(C)
成分の各溶液を用い、以下の実施例および比較例を行っ
た。 <実施例2−21>B−1のシリカ分散溶液70部(全
縮合化合物換算固形分としては約25部)と、C−1の
イソプロピルアルコール溶液30部(全縮合化合物換算
固形分としては12部)と、硬化触媒としてN−β−ア
ミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン1部と、希釈溶媒としてIPA1000部とを混合し
た後に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(触媒化成
(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニッ
ク11−1020G」)を塗料全量中での全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に対し
20部になる量と、界面活性剤としてノニオン系反応性
界面活性剤(旭電化工業(株)製;商品名「アデカリア
ソ−プNE−1」)を塗料全量中での全縮合化合物換算
固形分と全硬化促進剤成分と全界面活性剤成分との合計
100部に対し1部になる量添加混合することにより、
無機塗料(2−21)を得た。この塗料において、塗料
全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成
分との合計濃度は、4.03%であった。
【0151】次に、調製して間もない無機塗料(2−2
1)を、アセトンで洗浄したステンレス基板にスプレー
塗装法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬
化させることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化
後の膜厚は1.0μmであった。 <実施例2−22>実施例2−21において、硬化促進
剤として、酸化チタンゾルの代わりに酸化チタン粉末
(石原産業(株)製酸化チタン:商品名「ST−0
1」)を同じ量用いたこと以外は実施例2−21と同様
にして無機塗料(2−22)を得た。この塗料におい
て、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化
促進剤成分との合計濃度は、4.03%であった。
【0152】次に、調製して間もない無機塗料(2−2
2)を、アセトンで洗浄したステンレス基板にスプレー
塗装法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬
化させることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化
後の膜厚は1.0μmであった。 <実施例2−23>実施例2−21において、硬化促進
剤として、酸化チタンゾルの代わりに銀を担持した酸化
チタンを同じ量用いたこと以外は実施例2−21と同様
にして無機塗料(2−23)を得た。この塗料におい
て、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化
促進剤成分との合計濃度は、4.03%であった。
【0153】なお、銀担持は、酸化チタン粉末(石原産
業(株)製酸化チタン:商品名「STS−01」)に光
電着法で行い、酸化チタンに対して0.5%担持した。
次に、調製して間もない無機塗料(2−23)を、アセ
トンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させることによ
り、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.5
μmであった。 <実施例2−24>B−2のシリカ分散溶液60部(全
縮合化合物換算固形分としては約23部)中に、硬化促
進剤として酸化チタン粉末(石原産業(株)製酸化チタ
ン:商品名「ST−01」)を塗料全量中での全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に
対し20部になる量と、界面活性剤としてノニオン系反
応性界面活性剤(旭電化工業(株)製;商品名「アデカ
リアソ−プNE−1」)を塗料全量中での全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分と全界面活性剤成分との
合計100部に対し1部になる量分散させてなる溶液
と、C−1のイソプロピルアルコール溶液40部(全縮
合化合物換算固形分としては16部)と、硬化触媒とし
てN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン2部と、希釈溶媒としてIPA1000
部とを混合することにより、無機塗料(2−24)を得
た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、4.1
0%であった。
【0154】次に、調製して間もない無機塗料(2−2
4)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.1μmであった。 <実施例2−25>B−1のシリカ分散溶液60部(全
縮合化合物換算固形分としては約22部)中に硬化促進
剤として酸化チタンゾル(石原産業(株)製酸化チタン
ゾル:商品名「STS−01」)を塗料全量中での全縮
合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100
部に対し硬化促進剤が20部になる量と、界面活性剤と
してノニオン系反応性界面活性剤(旭電化工業(株)
製;商品名「アデカリアソ−プSE−10N」)を塗料
全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分
と全界面活性剤成分との合計100部に対し1部になる
量分散させてなる溶液と、C−1のイソプロピルアルコ
ール溶液40部(全縮合化合物換算固形分としては16
部)と、硬化触媒としてN−β−アミノエチル−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン2部と、希釈溶媒
としてIPA1000部とを混合することにより、無機
塗料(2−25)を得た。この塗料において、塗料全量
に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分と
の合計濃度は、4.36%であった。
【0155】次に、調製して間もない無機塗料(2−2
5)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.3μmであった。 <実施例2−26>B−2のシリカ分散溶液50部(全
縮合化合物換算固形分としては約19部)と、C−2の
トルエン溶液50部(全縮合化合物換算固形分としては
30部)と、硬化触媒としてN−β−アミノエチル−γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン2部と、希釈
溶媒としてIPA1500部とを混合した後に、硬化促
進剤として酸化チタンゾル(触媒化成(株)製酸化チタ
ンゾル:商品名「クィ−ンタイタニック11−1020
G」)を塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬
化促進剤成分との合計100部に対し20部になる量
と、界面活性剤としてノニオン系反応性界面活性剤(旭
電化工業(株)製;商品名「アデカリアソ−プSE−1
0N」)を塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全
硬化促進剤成分と全界面活性剤成分との合計100部に
対し1部になる量添加混合することにより、無機塗料
(2−26)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、3.70%であった。
【0156】次に、調製して間もない無機塗料(2−2
6)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスピンコート
塗装法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬
化させることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化
後の膜厚は0.05μmであった。 <実施例2−27>B−3のシリカ分散溶液50部(全
縮合化合物換算固形分としては約20部)と、C−2の
トルエン溶液50部(全縮合化合物換算固形分としては
30部)と、硬化触媒としてN−β−アミノエチル−γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン2部と、希釈
溶媒としてIPA1500部とを混合した後に、硬化促
進剤として酸化チタンゾル(触媒化成(株)製酸化チタ
ンゾル:商品名「クィ−ンタイタニック11−1020
G」)を塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬
化促進剤成分との合計100部に対し20部になる量
と、界面活性剤としてノニオン系反応性界面活性剤(旭
電化工業(株)製;商品名「アデカリアソ−プNE−1
0」)を塗料全量中での全縮合化合物換算固形分と全硬
化促進剤成分と全界面活性剤成分との合計100部に対
し1部になる量添加混合することにより、無機塗料(2
−27)を得た。この塗料において、塗料全量に対する
全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃
度は、3.75%であった。
【0157】次に、調製して間もない無機塗料(2−2
7)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.2μmであった。 <実施例2−28>アセトン洗浄したガラス板の表面に
エポキシ系プライマー(イサム塗料(株):商品名「E
−1プライマ−」)を約10μmの膜厚で塗装した後、
実施例2−1で得られた調製して間もない無機塗料(2
−1)を、硬化膜厚が0.1μmになるようにスプレー
塗装法により塗布し、次いで室温下で150時間乾燥硬
化させることにより、塗装品を得た。 <実施例2−29>アセトン洗浄したアクリル板の表面
にエポキシ系プライマー(イサム塗料(株):商品名
「E−1プライマ−」)を約10μmの膜厚で塗装した
後、実施例2−21で得られた調製して間もない無機塗
料(2−21)を、硬化膜厚が0.1μmになるように
スプレー塗装法により塗布し、次いで室温下で150時
間乾燥硬化させることにより、塗装品を得た。 <実施例2−30>まず、プライマー組成物に用いる
(2−30−1)〜(2−30−4)成分を以下のよう
にして準備した。
【0158】(2−30−1)成分の調製:攪拌機、加
温ジャケット、コンデンサー及び温度計をつけたフラス
コ中に、IPA分散コロイダルシリカゾルIPA−ST
(粒子径10〜20nm、固形分30%、水分0.5
%、日産化学工業(株)製)100部と、メチルトリメ
トキシシラン68部と、水2.2部とを投入し、攪拌し
ながら65℃で約5時間かけて部分加水分解反応を行っ
た後、冷却することにより、オルガノシランのシリカ分
散オリゴマー溶液を得た。これを(2−30−1)成分
と称する。このものは、室温で48時間放置したときの
全縮合化合物換算固形分が37.3%であった。
【0159】 (2−30−1)成分の調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.1モル ・(2−30−1)成分のシリカ分含有量 47.3% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 100モル% (2−30−2)成分:前記調製例C−1で得られた重
量平均分子量(Mw)約2000のシラノール基含有ポ
リオルガノシロキサン(C−1)のイソプロピルアルコ
ール40%溶液を(2−30−2)成分と称する。
【0160】(2−30−3)成分:(2−30−3)
成分として、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピ
ルメチルジメトキシシランを2−E−1と称し、ジブチ
ル錫ジラウレートを2−E−2と称する。 (2−30−4)成分の調製:次に、攪拌機、加温ジャ
ケット、コンデンサー、滴下ロート、窒素ガス導入・排
出口及び温度計を取り付けたフラスコ中で、n−ブチル
メタクリレート(BMA)5.69部(40mmo
l)、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート(S
MA)1.24部(5mmol)、グリシジルメタクリ
レート(GMA)0.71部(5mmol)、更に連鎖
移動剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン0.784部(4mmol)をトルエン8.49部に
溶解させてなる反応液に、アゾビスイソブチロニトリル
0.025部(0.15mmol)がトルエン3部に溶
解してなる溶液を窒素気流下で滴下し、70℃で2時間
反応させた。これにより、重量平均分子量Mw=100
0のアクリル樹脂の40%トルエン溶液を得た。これを
(2−30−4)成分と称する。
【0161】(2−30−4)成分の調製条件: ・単量体モル比率 BMA/SMA/GMA=8/1/
1 ・重量平均分子量 1000 ・固形分含有量 40% 次に、上記成分を、 (2−30−1)成分 50部 (2−30−2)成分 50部 (2−30−4)成分 20.25部 の割合で混合し、イソプロピルアルコールで固形分4%
になるように希釈することにより、プライマー組成物を
得た。このプライマー組成物をアクリル板(50mm×
50mm×2.5mm)にスプレー塗装法で硬化塗膜厚
1.0μmになるように塗布し、60℃で15分間硬化
させることにより、プライマー層を形成した。
【0162】プライマー層を形成後、10分間セッティ
ング時間をおき、実施例2−27で得た調製して間もな
い無機塗料(2−27)を、スプレー塗装法で硬化塗膜
厚0.5μmになるように塗布し、室温下で150時間
乾燥硬化させることにより、塗装品を得た。 <実施例2−31>実施例2−30において、プライマ
−組成物に顔料(石原産業(株)製白色顔料)をプライ
マー組成物全量中での全樹脂固形分100部に対して4
5部添加したこと以外は実施例2−30と同様にして塗
装品を得た。 <実施例2−32>トヨタスプリンタ−(自動車;平成
2年式)のボンネットをアセトンで充分洗浄した後、実
施例2−21で得られた調製して間もない無機塗料(2
−21)を、スプレー塗装法で硬化塗膜厚0.5μmに
なるように塗布し、室温下で一昼夜乾燥硬化させること
により、塗装品を得た。 <実施例2−33>松下電工(株)本館(建物;大阪府
門真市)南面の一部(10m2 )をフッ酸で洗浄した
後、アセトンでさらに充分洗浄した後、実施例2−21
で得られた調製して間もない無機塗料(2−21)を、
スプレー塗装法で硬化塗膜厚1.0μmになるように塗
布し、外気温下約20℃で一昼夜乾燥硬化させることに
より、塗装品を得た。 <実施例2−34>松下電工(株)大阪門真敷地内の研
究所建物の屋上に設置した松下電工(株)製採光窓(型
式MWT2025JH)の一部に、実施例2−25で得
られた調製して間もない無機塗料(2−25)を、スプ
レー塗装法で硬化塗膜厚0.5μmになるように塗布
し、室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、塗装品
を得た。 <実施例2−35>松下電工(株)大阪門真敷地内の中
間実験室にあるドラフトの全面ガラスの一部(約250
cm2 )に、実施例2−25で得られた調製して間もな
い無機塗料(2−25)を、スプレー塗装法で硬化塗膜
厚0.5μmになるように塗布し、室温下で一昼夜乾燥
硬化させることにより、塗装品を得た。 <実施例2−36>松下電工(株)大阪門真敷地内の大
きさ600mmφ、高さ1200mmの進入禁止の道路
標識の一部(約1400cm2 )に、実施例2−25で
得られた調製して間もない無機塗料(2−25)を、ス
プレー塗装法で硬化塗膜厚0.5μmになるように塗布
し、室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、塗装品
を得た。 <実施例2−37>松下電工(株)大阪門真敷地内の建
物の窓ガラス(1m2 、厚み6mm)の窓ガラスに、実
施例2−25で得られた調製して間もない無機塗料(2
−25)を、スプレー塗装法で硬化塗膜厚1.0μmに
なるように塗布し、室温下で一昼夜乾燥硬化させること
により、塗装品を得た。 <実施例2−38>松下電工(株)大阪門真敷地内の正
門に設置した道路照明器具(型式YA32020)の全
面ガラス、ポ−ル、器具の一部に、実施例2−25で得
られた調製して間もない無機塗料(2−25)を、スプ
レー塗装法で硬化塗膜厚0.5μmになるように塗布
し、室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、塗装品
を得た。 <実施例2−39>松下電工(株)大阪門真敷地内の社
内食堂の厨房内に設置した富士型蛍光灯器具(型式FA
22063)の反射板の一部に、実施例2−25で得ら
れた調製して間もない無機塗料(2−25)を、スプレ
ー塗装法で硬化塗膜厚0.5μmになるように塗布し、
室温下で一昼夜乾燥硬化させることにより、塗装品を得
た。 <実施例2−40>実施例2−1において、硬化促進剤
として、酸化チタンゾルの代わりにチタン酸ストロンチ
ウム(フルウチ化学(株)製試薬)を同じ量用いたこと
以外は実施例2−1と同様にして無機塗料(2−40)
を得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化
合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、
4.43%であった。
【0163】次に、調製して間もない無機塗料(2−4
0)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−41>実施例2−1において、硬化促進剤
として、酸化チタンゾルの代わりに、酸化チタン(石原
産業(株)製、商品名「ST−01」)と酸化亜鉛(ナ
カライテスク(株)製、商品名「試薬ZnO」)との重
量比1:1混合物を同じ量用いたこと以外は実施例2−
1と同様にして無機塗料(2−41)を得た。この塗料
において、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と
全硬化促進剤成分との合計濃度は、4.43%であっ
た。
【0164】次に、調製して間もない無機塗料(2−4
1)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−42>実施例2−1において、塗膜の硬化
後の膜厚を9.5μmに変更したこと以外は実施例2−
1と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例2−43>実施例2−23において、塗膜の硬
化後の膜厚を9.5μmに変更したこと以外は実施例2
−23と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例2−44>実施例2−1において、界面活性剤
の添加量を18部に変更したこと以外は実施例2−1と
同様にして無機塗料(2−44)を得た。この塗料にお
いて、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬
化促進剤成分との合計濃度は、4.40%であった。
【0165】次に、調製して間もない無機塗料(2−4
4)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−45>実施例2−1において、塗膜の硬化
後の膜厚を0.01μmに変更したこと以外は実施例2
−1と同様の作業を行って塗装品を得た。 <実施例2−46>実施例2−15において、水の添加
量を40部に変更したこと以外は実施例2−15と同様
の作業を行って無機塗料(2−46)を得た。この塗料
において、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と
全硬化促進剤成分との合計濃度は、3.09%であっ
た。
【0166】ただし、この塗料の作製工程におけるオル
ガノシロキサンのアルコール溶液の調製条件は下記の通
りであった。 ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.007 ・重量平均分子量 950 ・全縮合化合物換算固形分 3.70% 次に、調製して間もない無機塗料(2−46)を、アセ
トンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装法により塗布
し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化させることによ
り、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の膜厚は0.5
μmであった。 <実施例2−47>原料(A1 )としてメチルトリメト
キシシラン100部に、原料(A2 )としてテトラエト
キシシラン10部、原料(A3 )としてジメチルジメト
キシシラン30部、希釈溶媒としてイソプロピルアルコ
ール2000部を混合し、更に、水80部および0.1
N塩酸10部を添加し、攪拌した。得られた液を60℃
恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生成物のオ
ルガノシロキサン(A)の重量平均分子量(Mw)を1
700に調整してオルガノシロキサンのアルコール溶液
を得た。
【0167】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.73 ・重量平均分子量 1700 ・全縮合化合物換算固形分 2.79% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(触媒化
成(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニ
ック11−1020G」)を塗料全量中での全縮合化合
物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に対
し20部になる量と、界面活性剤としてノニオン系反応
性界面活性剤(旭電化工業(株)製;商品名「アデカリ
アソ−プNE−10」)を塗料全量中での全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分と全界面活性剤成分との
合計100部に対し1部になる量添加混合することによ
り、無機塗料(2−47)を得た。この塗料において、
塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進
剤成分との合計濃度は、3.37%であった。
【0168】次に、調製して間もない無機塗料(2−4
7)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−48>原料(A1 )としてメチルトリメト
キシシラン10部に、原料(A2 )としてテトラエトキ
シシラン2000部、同じく原料(A2 )として酸性コ
ロイダルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品
名「OSCAL1432」、触媒化成工業(株)製、固
形分30%)900部、希釈溶媒としてイソプロピルア
ルコール10000部を混合し、更に、水700部を添
加し、攪拌した。得られた液を60℃恒温槽中で5時間
加熱することにより、反応生成物のオルガノシロキサン
(A)の重量平均分子量(Mw)を2400に調整して
オルガノシロキサンのアルコール溶液を得た。
【0169】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.01 ・重量平均分子量 2400 ・全縮合化合物換算固形分 0.82% この溶液に、硬化促進剤として酸化チタンゾル(触媒化
成(株)製酸化チタンゾル:商品名「クィ−ンタイタニ
ック11−1020G」)を塗料全量中での全縮合化合
物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計100部に対
し20部になる量と、界面活性剤としてノニオン系反応
性界面活性剤(旭電化工業(株)製;商品名「アデカリ
アソ−プNE−10」)を塗料全量中での全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分と全界面活性剤成分との
合計100部に対し1部になる量添加混合することによ
り、無機塗料(2−48)を得た。この塗料において、
塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進
剤成分との合計濃度は、9.98%であった。
【0170】次に、調製して間もない無機塗料(2−4
8)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスプレー塗装
法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬化さ
せることにより、塗装品を得た。なお、塗膜の硬化後の
膜厚は0.5μmであった。 <実施例2−49>実施例2−26において、界面活性
剤を全く添加しなかったこと以外は実施例2−26と同
様にして無機塗料(2−49)を得た。この塗料におい
て、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬化
促進剤成分との合計濃度は、3.70%であった。
【0171】次に、調製して間もない無機塗料(2−4
9)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスピンコート
塗装法により塗布し、塗膜を室温下で150時間乾燥硬
化させることにより、比較用塗装品を得た。なお、塗膜
の硬化後の膜厚は0.05μmであった。 <比較例2−4>実施例2−1において、塗膜の硬化後
の膜厚を0.007μmに変更したこと以外は実施例2
−1と同様の作業を行って比較用塗装品を得た。 <比較例2−5>実施例2−1において、塗膜の硬化後
の膜厚を12μmに変更したこと以外は実施例2−1と
同様の作業を行って比較用塗装品を得た。 <比較例2−6>実施例2−26において、硬化促進剤
を全く添加しなかったこと以外は実施例2−26と同様
にして比較用無機塗料(2−6)を得た。この塗料にお
いて、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分の濃度
は、4.45%であった。
【0172】次に、調製して間もない比較用無機塗料
(2−6)を、アセトンで洗浄したガラス基板にスピン
コート塗装法により塗布し、塗膜を室温下で150時間
乾燥硬化させることにより、比較用塗装品を得た。な
お、塗膜の硬化後の膜厚は0.05μmであった。 <比較例2−7〜2−9>実施例2−1において、希釈
溶媒として用いたイソプロピルアルコールの量を50部
に変更したこと以外は実施例2−1と同様にして加水分
解重縮合物のアルコール溶液を得た。このアルコール溶
液中、全縮合化合物換算固形分は24.0%であった。
次いで、このアルコール溶液に、それぞれ、実施例2−
1〜2−3で用いたものと同じ種類および量の硬化促進
剤と界面活性剤を添加混合することにより、比較用無機
塗料(2−7)〜(2−9)を得た。これらの塗料にお
いて、塗料全量に対する全縮合化合物換算固形分と全硬
化促進剤成分との合計濃度は、いずれも28.8%であ
った。 <比較例2−10>実施例2−5において、希釈溶媒と
して用いたイソプロピルアルコールの量を50部に変更
したこと以外は実施例2−5と同様にして加水分解重縮
合物のアルコール溶液を得た。このアルコール溶液中、
全縮合化合物換算固形分は23.9%であった。次い
で、このアルコール溶液に、実施例2−5で用いたもの
と同じ種類および量の硬化促進剤と界面活性剤を添加混
合することにより、比較用無機塗料(2−10)を得
た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化合物
換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、28.
7%であった。 <比較例2−11>実施例2−13において、希釈溶媒
として用いたイソプロピルアルコールの量を50部に変
更したこと以外は実施例2−13と同様にして加水分解
重縮合物のアルコール溶液を得た。このアルコール溶液
中、全縮合化合物換算固形分は21.6%であった。次
いで、このアルコール溶液に、実施例2−13で用いた
ものと同じ種類および量の硬化促進剤と界面活性剤を添
加混合することにより、比較用無機塗料(2−11)を
得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化合
物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、2
5.9%であった。 <比較例2−12>実施例2−14において、希釈溶媒
として用いたイソプロピルアルコールの量を50部に変
更したこと以外は実施例2−14と同様にして加水分解
重縮合物のアルコール溶液を得た。このアルコール溶液
中、全縮合化合物換算固形分は16.4%であった。次
いで、このアルコール溶液に、実施例2−14で用いた
ものと同じ種類および量の硬化促進剤と界面活性剤を添
加混合することにより、比較用無機塗料(2−12)を
得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化合
物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、1
9.7%であった。 <比較例2−13>実施例2−15において、希釈溶媒
として用いたイソプロピルアルコールの量を50部に変
更したこと以外は実施例2−15と同様にして加水分解
重縮合物のアルコール溶液を得た。このアルコール溶液
中、全縮合化合物換算固形分は25.2%であった。次
いで、このアルコール溶液に、実施例2−15で用いた
ものと同じ種類および量の硬化促進剤と界面活性剤を添
加混合することにより、比較用無機塗料(2−13)を
得た。この塗料において、塗料全量に対する全縮合化合
物換算固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度は、3
0.2%であった。 <比較例2−14>実施例2−15において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を50部に変更する
とともに、顔料(石原産業(株)製白色顔料)を塗料全
量中での全縮合化合物換算固形分100部に対して45
部添加したこと以外は実施例2−15と同様にして比較
用無機塗料(2−14)を得た。この塗料において、全
縮合化合物換算固形分は32.7%であり、塗料全量に
対する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との
合計濃度は、39.3%であった。 <比較例2−15>実施例2−21において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を10部に変更した
こと以外は実施例2−21と同様にして比較用無機塗料
(2−15)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、41.5%であった。 <比較例2−16>実施例2−22において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を10部に変更した
こと以外は実施例2−22と同様にして比較用無機塗料
(2−16)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、41.5%であった。 <比較例2−17>実施例2−24において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を10部に変更した
こと以外は実施例2−24と同様にして比較用無機塗料
(2−17)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、38.4%であった。 <比較例2−18>実施例2−25において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を10部に変更した
こと以外は実施例2−25と同様にして比較用無機塗料
(2−18)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、38.0%であった。 <比較例2−19>実施例2−26において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を10部に変更した
こと以外は実施例2−26と同様にして比較用無機塗料
(2−19)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、50%であった。 <比較例2−20>実施例2−27において、希釈溶媒
として用いたイソプロパノールの量を10部に変更した
こと以外は実施例2−27と同様にして比較用無機塗料
(2−20)を得た。この塗料において、塗料全量に対
する全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分との合
計濃度は、53.6%であった。
【0173】以上のようにして得られた塗料および塗装
品の性能を次のような方法で評価した。 <評価方法> (塗膜性能):JIS−K5400に記載された煮沸試
験により評価した。
【0174】(水に対する濡れ性):塗膜作製直後に水
と硬化被膜との接触角を測定することにより評価した。
なお、実施例2−12、実施例2−26、実施例2−4
9および比較例2−6については、製膜直後だけでな
く、製膜してから5日後と20日後にも接触角を測定し
て経時変化を見た。接触角の測定は、0.2ccの蒸留
水を塗膜表面に滴下した後、拡大カメラで観察すること
により行った。
【0175】(物品などに塗装したものの評価):塗装
してから3ヶ月経過後の塗装部と未塗装部の汚れ方の違
いで評価した。 (塗料の保存安定性):塗料を調製後1ヶ月間25℃で
保管した後、スプレーにより塗装を試み、うまく塗膜化
するかどうか調べた。
【0176】結果を表1〜6に示す。
【0177】
【表1】
【0178】
【表2】
【0179】
【表3】
【0180】
【表4】
【0181】
【表5】
【0182】
【表6】
【0183】表1〜5にみるように、実施例は、一般的
に、比較例と比べて、塗膜性能および製膜直後の水濡れ
性のいずれも優れていることが確認された。表6から
は、以下のことが確認された。光半導体としての作用を
持つ硬化促進剤は含むが界面活性剤は含まない実施例2
−12および2−49では、界面活性剤を含まないため
製膜直後は接触角が大きくて水濡れ性が悪いが、時間が
経過するにつれて、光半導体の作用により接触角が低下
して水濡れ性が良くなっている。光半導体としての作用
を持つ硬化促進剤および界面活性剤を両方とも含む実施
例2−26では、製膜直後から界面活性剤により接触角
が低く水濡れ性に優れ、その後、時間が経過すると光半
導体の効果が発揮されて接触角が低いままで良好な水濡
れ性が保たれ、しかも水濡れ性が若干さらによくなって
いさえする。これに対し、界面活性剤は含むが光半導体
は含まない比較例2−6では、界面活性剤を含むため製
膜直後は接触角が低く水濡れ性に優れるが、光半導体を
含まないため、時間の経過とともに接触角が増加して水
濡れ性が悪くなっている。
【0184】実施例1−19〜1−26および実施例2
−32〜2−39については、いずれも未塗装部に比較
して塗装部での汚れ付着がほとんど見られなかった。ま
た、塗料の保存安定性については、全縮合化合物換算固
形分と全硬化促進剤成分との合計濃度が塗料全量に対し
5重量%以下である実施例の塗料は、いずれも1ヶ月間
の保存後も容易に塗膜化でき、しかも、調製後間もない
塗料から形成された塗膜と比べてほぼ同等の性能が得ら
れたのに対し、比較例の塗料のうち、全縮合化合物換算
固形分と全硬化促進剤成分との合計濃度が塗料全量に対
し5重量%を超えるものは、いずれも、1ヶ月間保存後
は塗膜化することさえできなかった。
【0185】
【発明の効果】本発明にかかる低温硬化性無機塗料は、
シリコーンレジンに対し硬化促進剤が添加されているこ
とにより硬化促進が図られているため、塗膜の硬化時間
が短いので、硬化時に塗膜に汚れが付着しにくいととも
に傷がつきにくく、しかも塗膜としての耐候性も高いも
のになる。この硬化促進効果は、前述した従来の低温硬
化型無機塗料を用いる場合に比べて、特に常温下におい
て顕著である。
【0186】本発明の低温硬化性無機塗料は、シリコー
ンレジンの全縮合化合物換算固形分と全硬化促進剤成分
との合計濃度が前記所定値以下であるため、塗料を調製
後、長期間保存しても塗料の硬化と劣化を抑えることが
でき、ポットライフを飛躍的に延ばせるので、保存安定
性に優れている。また、塗料濃度が薄いことにより、容
易に塗膜を薄膜化できるため、塗膜のクラックの発生を
防止できる。
【0187】さらに、本発明の塗料は、無機系の塗料で
あるため、硬化促進剤の添加により塗膜性能が損なわれ
ることが少なく、紫外線で劣化しにくく、耐候性、耐久
性等にも優れた塗布硬化被膜を形成することができる。
もちろん、様々な色に調色することも可能である。本発
明の塗料は、それに含まれるシリコーンレジンと硬化促
進剤との割合や、シリコーンレジンおよび硬化促進剤の
種類を変えることにより、用途に応じて、親水性、帯電
防止性、その他各種の機能性や、硬化性能、塗膜特性等
をコントロールすることができる。
【0188】本発明の塗料は、加熱硬化だけでなく、常
温硬化も可能であるため、広い乾燥硬化条件範囲あるい
は温度範囲での使用が可能である。従って、熱を均等に
かけにくい形状を持つ基材、大きな寸法を持つ基材また
は耐熱性に劣る基材等に対しても塗装ができるのみでな
く、屋外等で塗装作業を行ったりする場合等のように、
熱をかけにくい場合でも塗装できる。さらには、本発明
の塗料は、硬化時間が短くてすむため、硬化に長い時間
をかけられない場合でも塗装できる。
【0189】したがって、本発明の塗料は、その産業的
価値が高い。本発明の塗装品は、上記低温硬化性無機塗
料の塗布硬化被膜を基材の表面に備えたものであるた
め、該塗膜を形成する際、その硬化時間が短いので、そ
の硬化時に塗膜に汚れが付着したり傷がついたりしてい
ることの少ないものである。しかも形成された塗膜の耐
候性も高い。この硬化促進効果は、前述した従来の低温
硬化型無機塗料を用いる場合に比べて、特に常温下にお
いて顕著である。
【0190】本発明の塗装品は、その表面に有する塗布
硬化被膜の形成に用いられる塗料が保存安定性に優れる
ため、調製後長期間保存した該塗料を用いても、形成さ
れる塗膜の性能低下を伴うことなく製造することができ
る。また、使用する該塗料の濃度が薄いことにより、容
易に塗膜を薄膜化できるため、塗膜のクラックの発生を
防止できる。
【0191】本発明の塗装品は、その表面に有する塗布
硬化被膜の形成に用いられる塗料が無機系であるため、
硬化促進剤の添加により塗膜性能が損なわれることが少
なく、紫外線で劣化しにくく、耐候性、耐久性等にも優
れる。また、様々な色に調色可能な上記低温硬化性無機
塗料を用いて製造できるので、デザイン性も高く、使用
範囲が広い。
【0192】本発明の塗装品は、その製造に用いられる
低温硬化性無機塗料に含まれるシリコーンレジンと硬化
促進剤との割合や、シリコーンレジンおよび硬化促進剤
の種類を変えることにより、用途に応じて、親水性、帯
電防止性、その他各種の機能性や、硬化性能、塗膜特性
等をコントロールすることができる。本発明の塗装品
は、加熱硬化だけでなく常温硬化も可能な上記塗料を用
いて製造することができるため、広い乾燥硬化条件範囲
あるいは温度範囲で製造できる。従って、熱を均等にか
けにくい形状を持つ基材、大きな寸法を持つ基材または
耐熱性に劣る基材等をも用いることができ、また、屋外
等のように、熱をかけにくい作業現場でも製造できる。
さらには、本発明の塗装品は、硬化時間が短くてすむ上
記塗料を用いて製造できるため、硬化に長い時間をかけ
られない作業現場でも製造できる。
【0193】したがって、本発明の塗装品は、その産業
的価値が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中本 彰一 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコーンレジンを主成分とする無機塗料
    中に硬化促進剤を、塗料全量中での全縮合化合物換算固
    形分と全硬化促進剤成分との合計100重量部に対し
    0.1〜80重量部含有してなり、前記全縮合化合物換
    算固形分と前記全硬化促進剤成分との合計濃度が塗料全
    量に対し5重量%以下に調整されている低温硬化性無機
    塗料。
  2. 【請求項2】前記シリコーンレジンは、下記の第1シリ
    コーンレジン、第2シリコーンレジンおよび第3シリコ
    ーンレジンからなる群から選ばれた1つのシリコーンレ
    ジンである、請求項1に記載の低温硬化性無機塗料。第1シリコーンレジン 下記(A)成分を含むシリコー
    ンレジン。 (A)成分:一般式R2 Si(OR1 3 で表されるケ
    イ素化合物100重量部に対し、一般式Si(OR1
    4 で表されるケイ素化合物および/またはコロイダルシ
    リカ5〜30000重量部と、一般式R2 2 Si(OR
    1 2 で表されるケイ素化合物0〜60重量部とを含む
    加水分解性混合物(ここでR1 、R2 は1価の炭化水素
    基を示す)の加水分解重縮合物であって、この加水分解
    重縮合物の重量平均分子量がポリスチレン換算で900
    以上になるように調整されているオルガノシロキサン。第2シリコーンレジン 下記(B)、(C)、(D)お
    よび(E)成分を含み、(B)成分の原料の加水分解性
    オルガノシランの少なくとも50モル%がm=1のオル
    ガノシランであるシリコーンレジン。 (B)成分: 一般式R3 m SiX4-m …(I) で表される(ここでR3 は同一または異種の置換もしく
    は非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、mは
    0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す。)加水分解性
    オルガノシランを、有機溶媒、水またはそれらの混合溶
    媒中で、前記加水分解性基(X)1モル当量当たり水
    0.001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分
    解してなるオルガノシランオリゴマー。 (C)成分: 平均組成式R4 a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) で表され(ここでR4 は同一または異種の置換もしくは
    非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよ
    びbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦
    3、a+b<4の関係を満たす数である。)、分子中に
    シラノール基を含有するポリオルガノシロキサン。 (D)成分:シリカ。 (E)成分:硬化触媒。第3シリコーンレジン 下記一般式(III) : SiX4 …(III) (ここでXは同一または異種の加水分解性基を示す)で
    表される4官能加水分解性オルガノシランの加水分解重
    縮合物を含む4官能シリコーンレジン。
  3. 【請求項3】前記(B)成分は、有機溶媒、水またはそ
    れらの混合溶媒に前記(D)成分が分散してなるコロイ
    ダルシリカ中で、前記加水分解性オルガノシランを、前
    記加水分解性基(X)1モル当量当たり水0.001〜
    0.5モルを使用する条件下で部分加水分解してなり、
    前記(D)成分を、前記(B)成分と前記(D)成分と
    の合計量に対し固形分として5〜95重量%含有するシ
    リカ分散オルガノシランオリゴマーである、請求項2に
    記載の低温硬化性無機塗料。
  4. 【請求項4】前記硬化促進剤は、酸化チタン、酸化亜
    鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングス
    テン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、
    酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、
    酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マン
    ガン、酸化コバルト、酸化ロジウム、酸化ニッケルおよ
    び酸化レニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種
    の金属酸化物からなる光半導体である、請求項1から3
    までのいずれかに記載の低温硬化性無機塗料。
  5. 【請求項5】前記硬化促進剤は粉末状またはゾル状であ
    る、請求項1から4までのいずれかに記載の低温硬化性
    無機塗料。
  6. 【請求項6】前記硬化促進剤はpH7以下のゾル状であ
    る、請求項5に記載の低温硬化性無機塗料。
  7. 【請求項7】前記硬化促進剤の表面に金属が担持されて
    いる、請求項1から6までのいずれかに記載の低温硬化
    性無機塗料。
  8. 【請求項8】前記硬化促進剤の表面に担持されている前
    記金属は、銀、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、白金、金、パ
    ラジウム、カドミウム、コバルト、ロジウムおよびルテ
    ニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種である、
    請求項7に記載の低温硬化性無機塗料。
  9. 【請求項9】基材の表面に、請求項1から8までのいず
    れかに記載の低温硬化性無機塗料の厚さ0.01〜10
    μmの塗布硬化被膜からなる塗装層を備えた塗装品。
  10. 【請求項10】前記基材は、無機質基材、有機質基材、
    無機有機複合基材、これらの基材のうちのいずれかの表
    面に少なくとも1層の無機物被膜および/または少なく
    とも1層の有機物被膜を有する塗装基材の各単独材料、
    これらのうちの少なくとも2つを組み合わせてなる複合
    材料、および、これらのうちの少なくとも2つを積層し
    てなる積層材料からなる群の中から選ばれている、請求
    項9に記載の塗装品。
  11. 【請求項11】前記基材は、金属、ガラス、ホ−ロ−、
    セラミックス、セメント、コンクリ−ト、木、木材、プ
    ラスチック、無機繊維強化プラスチック、これらの基材
    のうちのいずれかの表面に少なくとも1層の無機物被膜
    および/または少なくとも1層の有機物被膜を有する塗
    装基材の各単独材料、これらのうちの少なくとも2つを
    組み合わせてなる複合材料、および、これらのうちの少
    なくとも2つを積層してなる積層材料からなる群より選
    ばれている、請求項10に記載の塗装品。
  12. 【請求項12】前記塗装基材が表面に有する前記被膜は
    プライマー層である、請求項10または11に記載の塗
    装品。
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JP2000129174A (ja) * 1998-10-21 2000-05-09 Sakai Chem Ind Co Ltd 光触媒塗料組成物、これを用いた光触媒含有塗膜の形成方法及び光触媒含有塗膜
JP2001323189A (ja) * 2000-05-12 2001-11-20 Showa Highpolymer Co Ltd 酸化チタン光触媒コーティング膜接着保護層用組成物およびこれを用いた複合体
JP2009024158A (ja) * 2007-04-06 2009-02-05 European Aeronautic Defence & Space Co Eads France 金属表面保護被膜として独得なナノ構造材料

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000129174A (ja) * 1998-10-21 2000-05-09 Sakai Chem Ind Co Ltd 光触媒塗料組成物、これを用いた光触媒含有塗膜の形成方法及び光触媒含有塗膜
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