JP2001064570A - シリコン変性アクリル樹脂含有コーティング組成物 - Google Patents

シリコン変性アクリル樹脂含有コーティング組成物

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JP2001064570A
JP2001064570A JP23865999A JP23865999A JP2001064570A JP 2001064570 A JP2001064570 A JP 2001064570A JP 23865999 A JP23865999 A JP 23865999A JP 23865999 A JP23865999 A JP 23865999A JP 2001064570 A JP2001064570 A JP 2001064570A
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acrylic resin
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coating composition
silicon
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Takeshi Suganuma
武 菅沼
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Yamaha Living Tech Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種物性に優れた塗膜を形成でき、保存安定性
が良好で塗装作業の容易なコーティング組成物を提供す
る。 【解決手段】(a)アルコキシル基及びハロゲン原子か
ら選ばれた少なくとも一種の置換基を有するシリル基を
側鎖に有するアクリル樹脂、(b)式(1):R1 aSi
Clb(OH)c(OR2d(式中、R1は置換基を有す
ることのある炭化水素基を示し、R2は、置換基を有す
ることのある炭化水素基を示し、aは、0〜3の整数、
bは0〜2の整数、cは、0〜3の整数、dは0〜4の
整数であって、a+b+c+d=4である)で表される
化合物、及びその縮重合反応生成物から選ばれた少なく
とも一種のケイ素含有化合物、並びに(c)ジルコニウ
ム化合物、チタニウム化合物及びアルミニウム化合物か
ら選ばれた少なくとも一種の金属化合物を有機溶媒に溶
解又は分散させてなるシリコン変性アクリル樹脂含有コ
ーティング組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン変性アク
リル樹脂含有コーティング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、塗膜の耐候性、表面硬度、耐
擦傷性等を改良するために、アクリル系共重合体をシリ
コンで改質したコーティング剤用樹脂材料が検討されて
いる。
【0003】例えば、アルコキシシリル基を含有するア
クリル系共重合体を用いたコーティング組成物等(特開
平3−47881、特開平3−54278)が知られて
おり、更に、これらの組成物の長期安定性を改良したも
のとして、アクリル共重合体とアルコキシシランの加水
分解物を混合したコーティング組成物(特開平8−60
075号)等も提案されている。
【0004】しかしながら、これらのシリコン系化合物
やシリコン変性アクリル樹脂を配合したコーティング剤
は、水分やアルカリ性物質によって加水分解を受けやす
いシロキサン結合を有するために、アクリル樹脂成分の
量が多い場合は、アルカリ成分からの攻撃対して比較的
強いが、シリコン変性量が多い樹脂では、シリコン量の
増加に伴ってアルカリに対する耐性が低くなり、シリコ
ン変性により期待される耐候性、表面硬度、耐擦傷性、
表面の親水化による汚れ防止等の効果は奏されるもの
の、耐アルカリ性や耐水性の低下によって十分な耐久性
が得られないという不都合が生じる。
【0005】このことは、シリコン量を多くした変性ア
クリル樹脂を含むコーティング組成物を外壁の塗装に用
いた場合に、形成される皮膜が、外壁およびその周辺の
コンクリートやモルタル、タイル目地から滲み出してく
るアルカリ成分によって劣化し、膜強度や塗膜の表面光
沢が低下するという問題を生じさせる。また、この様な
皮膜を屋内で用いると、台所や浴室のように多量の温水
がかかり、且つ多湿状態にある場合やアルカリ性洗剤、
アルカリ性漂白剤、黴取り剤等が使用される場所で用い
る場合には、塗膜強度や表面光沢が低下し、著しい場合
には、塗膜の剥離、脱落、溶解などが進行するという問
題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
保存安定性が良好で塗装作業の容易なコーティング組成
物であって、耐候性、機械的強度、耐薬品性、耐温水性
等の各種物性に優れた塗膜を形成し得るコーティング組
成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の置換基を
有するシリル基を側鎖に含むアクリル樹脂を、特定のケ
イ素含有化合物及びその縮重合反応生成物であるポリシ
ロキサンから選ばれた少なくとも一種の化合物と、ジル
コニウム化合物、チタニウム化合物及びアルミニウム化
合物から選ばれた少なくとも一種の金属化合物と共に有
機溶媒中に溶解又は分散させたコーティング組成物によ
れば、形成される硬化皮膜は、シリコン変性による耐候
性、表面硬度、耐擦傷性等の向上効果が十分に発揮され
ると共に、耐アルカリ性や耐水性が大きく向上して、上
記目的を達成することが可能となることを見出し、ここ
に本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、下記のシリコン変性アク
リル樹脂含有コーティング組成物を提供するものであ
る。 1.(a)アルコキシル基及びハロゲン原子から選ばれ
た少なくとも一種の置換基を有するシリル基を側鎖に有
するアクリル樹脂、(b)一般式(1):R1 aSiCl
b(OH)c(OR2d(式中、R1はアミノ基及びカル
ボキシル基から選ばれた少なくとも一種の置換基を有す
ることのある炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、R
2は、置換基としてアルコキシル基を有することのある
炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aは、0〜3の
整数、bは0〜2の整数、cは、0〜3の整数、dは0
〜4の整数であって、a+b+c+d=4である)で表
される化合物、及びその縮重合反応生成物から選ばれた
少なくとも一種のケイ素含有化合物、並びに(c)ジル
コニウム化合物、チタニウム化合物及びアルミニウム化
合物から選ばれた少なくとも一種の有機溶媒に溶解又は
均一に分散できる金属化合物を有機溶媒に溶解又は分散
させてなるシリコン変性アクリル樹脂含有コーティング
組成物。 2.(a)成分のアクリル樹脂と(b)成分のケイ素含
有化合物を、(a)成分のアクリル樹脂の側鎖に存在す
るシリル基に(b)成分のケイ素含有化合物の全部又は
一部が結合したアクリル樹脂として用いる上記項1に記
載のシリコン変性アクリル樹脂含有コーティング組成
物。 3.アルコキシル基及びハロゲン原子から選ばれた少な
くとも一種の置換基を有するシリル基を側鎖に有するア
クリル樹脂が、一般式(2):CH2=CR3 (COO
4 )(式中、R3は、水素原子又はメチル基であり、
4は、置換基を有することのある炭素数1〜9の1価
炭化水素基である)で表される(メタ)アクリル酸エス
テル、一般式(3):CH2=CR3 (COOR5)(式
中、R3は、水素原子又はメチル基であり、R5は、エポ
キシ基及びグリシドキシ基から選ばれた少なくとも一種
の置換基を有する炭化水素基である)で表される(メ
タ)アクリル酸エステル、及び一般式(4):CH2
CR3 (COOR6)(式中、R 3は、水素原子又はメチ
ル基であり、R6は、アルコキシル基及びハロゲン原子
から選ばれた少なくとも一種の置換基を有するシリル基
により置換された炭化水素基である)で表される(メ
タ)アクリル酸エステルを単量体成分とする共重合体で
ある上記項1又は2に記載のシリコン変性アクリル樹脂
含有コーティング組成物。 4.一般式(2)の(メタ)アクリル酸エステル、一般
式(3)の(メタ)アクリル酸エステル、及び一般式
(4)の(メタ)アクリル酸エステルの共重合反応前又
は共重合反応後に、一般式(1)の化合物及びその縮重
合反応生成物から選ばれた少なくとも一種のケイ素含有
化合物と、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物及び
アルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の金属
化合物を添加して得られたものである上記項3に記載の
シリコン変性アクリル樹脂含有コーティング組成物。 5.(c)成分の金属化合物が、ジルコニウムアルコキ
シド類、ジルコニウムアルコキシド類の加水分解物、ジ
ルコニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド
類、チタニウムアルコキシド類の加水分解物、チタニウ
ムキレート化合物、アルミニウムアルコキシド類、アル
ミニウムアルコキシド類の加水分解物、及びアルミニウ
ムキレート化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物
である上記項1〜4のいずれかに記載のシリコン変性ア
クリル樹脂含有コーティング組成物。 6.更に、ケイ素原子を含有しないアクリル樹脂を含む
上記項1〜5のいずれかに記載のシリコン変性アクリル
樹脂含有コーティング組成物。 7.更に、コロイダルシリカを含む上記項1〜6のいず
れかに記載のシリコン変性アクリル樹脂含有コーティン
グ組成物。 8.更に、硬化触媒を含む上記項1〜7のいずれかに記
載のシリコン変性アクリル樹脂含有コーティング組成
物。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のコーティング組成物に配
合するアクリル樹脂は、アルコキシル基及びハロゲン原
子から選ばれた少なくとも一種の置換基を有するシリル
基を側鎖に有するアクリル樹脂(以下、「シリコン変性
アクリル樹脂」という場合がある)である。このアクリ
ル樹脂としては、上記した側鎖に存在するシリル基に基
づくSi量が樹脂固形分重量に対して、1〜4重量%程
度のものが好ましい。
【0010】この様なアクリル樹脂は、シリコン変性ア
クリル樹脂として知られているものであり、上記した条
件を満足するものであれば、市販のシリコン変性アクリ
ル樹脂を用いても良く、或いは、市販のアクリル樹脂を
シリコン変性したもの、共重合反応によって合成したシ
リコン変性アクリル樹脂等を用いても良い。
【0011】本発明で好適に使用できるシリコン変性ア
クリル樹脂の例として、一般式(2):CH2=CR3
(COOR4 )(式中、R3は、水素原子又はメチル基
であり、R4は、置換基を有することのある炭素数1〜
9の1価炭化水素基である)で表される(メタ)アクリ
ル酸エステル、一般式(3):CH2=CR3 (COO
5)(式中、R3は、水素原子又はメチル基であり、R
5は、エポキシ基及びグリシドキシ基から選ばれた少な
くとも一種の置換基を有する炭化水素基である)で表さ
れる(メタ)アクリル酸エステル、及び一般式(4):
CH2=CR3 (COOR6)(式中、R3は、水素原子
又はメチル基であり、R6は、アルコキシル基及びハロ
ゲン原子から選ばれた少なくとも一種の置換基を有する
シリル基により置換された炭化水素基である)で表され
る(メタ)アクリル酸エステルを単量体成分とする共重
合体を挙げることができる。
【0012】一般式(2)の(メタ)アクリル酸エステ
ルにおいて、R4で表される基は、置換基を有すること
のある炭素数1〜9程度の1価の炭化水素基であり、特
に炭素数2以上の炭化水素基が好ましい。この炭化水素
基における置換基としては、カルボニル基を含む1価の
基、ハロゲン原子、水酸基等を例示でき、これらの置換
基を1個以上含むことができる。R4の具体例として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピ
ル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基等の直鎖状若しくは分岐鎖状アル
キル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシク
ロアルキル基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプ
ロピル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;
フェニル基、トリル基等のアリール基、クロロメチル
基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロ
プロピル基等のハロゲン化炭化水素基;2−ヒドロキシ
エチル基等のヒドロキシ炭化水素基;2−アセトキシエ
チル基、2−アセトエチル基、2−(アセトアセトキ
シ)エチル基等のカルボニル基を含む1価の基を置換基
として含む炭化水素基等を例示できる。
【0013】また、一般式(3)の(メタ)アクリル酸
エステルにおいて、R5で表される基は、エポキシ基及
びグリシドキシ基から選ばれた少なくとも一種の置換基
を有する炭化水素基であり、この炭化水素基としては、
炭素数1〜4程度の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基
が好ましい。エポキシ基及びグリシドキシ基から選ばれ
た少なくとも一種の置換基を有する炭化水素基の具体例
としては、グリシジル基、γ−グリシドキシプロピル基
等を例示できる。
【0014】一般式(4)の(メタ)アクリル酸エステ
ルにおいて、R6で表される基は、アルコキシル基及び
ハロゲン原子から選ばれた少なくとも一種の置換基を有
するシリル基により置換された炭化水素基であり、この
炭化水素基としては、炭素数1〜4程度の直鎖状若しく
は分岐鎖状アルキル基が好ましい。また、シリル基の置
換基であるアルコキシル基としては、炭素数1〜4程度
のものが好ましい。該シリル基は、アルコキシル基及び
ハロゲン原子から選ばれた少なくとも一種の置換基以外
に、Si原子に、炭素数1〜4程度のアルキル基が結合
していてもよい。R6の具体例としては、トリメトキシ
シリルプロピル基、ジメトキシメチルシリルプロピル
基、モノメトキシジメチルシリルプロピル基、トリエト
キシシリルプロピル基、ジエトキシメチルシリルプロピ
ル基、エトキシジメチルシリルプロピル基、トリクロロ
シリルプロピル基、ジクロロメチルシリルプロピル基、
クロロジメチルシリルプロピル基、クロロジメトキシシ
リルプロピル基、ジクロロメトキシシリルプロピル基等
を例示できる。
【0015】単量体として用いる一般式(2)〜(4)
の(メタ)アクリル酸エステルについては、それぞれの
一般式で表される化合物を一種単独又は二種以上混合し
て用いることができる。
【0016】上記一般式(2)〜(4)の(メタ)アク
リル酸エステルを共重合して得られるアクリル樹脂は、
単量体成分である一般式(2)の(メタ)アクリル酸エ
ステルに含まれる基R4により、硬化皮膜の靭性が改善
され、炭化素基を有するケイ素化合物との相溶性も良好
になる。特に、硬化皮膜の靭性の改善効果の点からは、
4は炭素数2以上の炭化水素基が好ましい。また、一
般式(3)の(メタ)アクリル酸化合物に含まれる基R
5により、硬化皮膜と基材との密着性が向上する。更
に、一般式(4)の(メタ)アクリル酸化合物に含まれ
る基R6により、アクリル樹脂と、Si化合物やZr化
合物、Ti化合物、Al化合物等との間に化学結合が形
成され、これによりSi化合物、Zr化合物、Ti化合
物、Al化合物等が硬化皮膜中に固定化される。
【0017】一般式(2)〜(4)の三種類の(メタ)
アクリル酸エステルの共重合体において、単量体として
用いる各(メタ)アクリル酸エステルの使用割合は、三
種類の単量体の合計量を基準として、一般式(2)の
(メタ)アクリル酸エステル10〜70モル%程度、一
般式(3)の(メタ)アクリル酸エステル10〜70モ
ル%程度、一般式(4)の(メタ)アクリル酸エステル
5〜50モル%程度とすればよい。
【0018】更に、上記した一般式(2)〜(4)の
(メタ)アクリル酸エステル以外の(メタ)アクリル酸
エステルも単量体成分として用いることができる。その
配合量は、共重合体を構成する単量体の合計量を基準と
して、50モル%程度以下とすればよい。
【0019】シリコン変性アクリル樹脂の合成方法とし
ては、有機溶媒中での溶液重合、乳化重合、懸濁重合に
よるラジカル重合法、あるいはアニオン重合法、カチオ
ン重合法等を用いることが出来る。
【0020】溶液重合によるラジカル重合法としては、
例えば、一般式(2)〜(4)の(メタ)アクリル酸エ
ステルからなる単量体を有機溶媒に溶解し、ラジカル重
合開始剤を加え、窒素等の不活性気体気流下で加熱して
重合反応させればよい。
【0021】ラジカル重合の条件については、特に限定
的ではないが、有機溶媒中の単量体濃度は、通常、40
〜60%程度とすればよく、ラジカル重合開始剤の濃度
は、通常、0.001〜0.1%程度とすればよい。重
合反応温度は、60〜100℃程度とすれば良く、反応
時間は、通常、1〜24時間程度とすればよい。
【0022】有機溶媒としては、例えばトルエン、キシ
レン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノブチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを
用いることができ、ラジカル重合開始剤としては、クメ
ンヒドロペルオキシド、第3ブチルヒドロペルオキシ
ド、ジクミルペルオキシド、ジ第3ブチルペルオキシ
ド、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロ
イル、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化水素−Fe
2+塩、過硫酸塩−NaHSO3 、クメンヒドロペルオキ
シド−Fe2+塩、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニリ
ン、過酸化物−トリエチルアルミニウムなどを用いるこ
とができる。
【0023】また、必要に応じて、分子量をコントロー
ルのために、連鎖移動剤を添加することができる。連鎖
移動剤としては、モノエチルハイドロキノン、p−ベン
ゾキノンなどのキノン類;メルカプトアセチックアシッ
ド−エチルエステル、メルカプトアセチックアシッド−
n−ブチルエステル、メルカプトアセチックアシッド−
2−エチルヘキシルエステル、メルカプトシクロヘキサ
ン、メルカプトシクロペンタン、2−メルカプトエタノ
ール、1−ドデカンチオールなどのチオール類;ジ−3
−クロロベンゼンチオール、p−トルエンチオール、ベ
ンゼンチオールなどのチオフェノール類;γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシランなどのチオール誘導体;
フェニルピクリルヒドラジン;ジフェニルアミン;第3
ブチルカテコールなどを例示でき、その使用量は、特に
限定的ではないが、反応溶液中の濃度として、通常、
0.001〜0.1%程度とすればよい。
【0024】本発明で用いるアクリル樹脂は、平均分子
量が2000〜30000程度のものが好ましい。尚、
本願明細書において、平均分子量は、測定カラムとし
て、昭和電工株式会社製のShodex 805を用い
て、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)により、標準のポリスチレンの検量線から求めたも
のである。
【0025】本発明のコーティング組成物には、上記し
たシリコン変性アクリル樹脂に加えて、更に、一般式
(1):R1 aSiClb(OH)c(OR2d(式中、R
1はアミノ基及びカルボキシル基から選ばれた少なくと
も一種の置換基を有することのある炭素数1〜8の1価
炭化水素基を示し、R2は、置換基としてアルコキシル
基を有することのある炭素数1〜8の1価炭化水素基を
示し、aは、0〜3の整数、bは0〜2の整数、cは、
0〜3の整数、dは0〜4の整数であって、a+b+c
+d=4である)で表される化合物、及びその縮重合反
応生成物から選ばれた少なくとも一種のケイ素含有化合
物を配合することが必要である。
【0026】上記一般式(1)の化合物において、R1
で表される、アミノ基及びカルボキシル基から選ばれた
少なくとも一種の置換基を有することのある炭素数1〜
8の1価炭化水素基における炭化水素基としては、炭素
数1〜8個の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基が好ま
しく、アミノ基及びカルボキシル基から選ばれた置換基
は1個以上存在することができる。R1の具体例として
は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n
−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブ
チル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭
素数1〜8のアルキル基;アミノメチル、アミノエチル
等の置換基としてアミノ基を含む炭素数1〜8のアルキ
ル基;カルボキシメチル、カルボキシエチル等の置換基
としてカルボキシル基を含む炭素数1〜8のアルキル基
等を例示できる。
【0027】また、上記一般式(1)の化合物におい
て、R2で表される、置換基としてアルコキシル基を有
することのある炭素数1〜8の1価炭化水素基における
炭化水素基としては、炭素数1〜8個の炭素数1〜8個
の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基が好ましく、この
炭化水素基は、置換基として炭素数1〜4程度のアルコ
キシル基を1個以上含むことができる。R2の具体例と
しては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピ
ル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、ter
t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル
等のアルキル基;メトキシメチル、エトキシメチル、プ
ロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチ
ル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチ
ル、メトキシプロピル、メトキシブチル等のアルコキシ
ル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基を例示でき
る。
【0028】上記一般式(1)で表されるケイ素含有化
合物としては、aが0〜3の整数であるモノ−、ジ−、
トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキシシラン類が好
適であり、その具体例としては、下記の化合物を挙げる
ことができる。Si(OCH3)4、Si(OC25)4、S
i(OC37)4、Si(OC49)4、Si(OC511)4
Si(OC613)4、SiCl(OCH3)3、SiCl(O
25)3、SiCl(OC37)3、SiCl(OC
49)3、SiCl(OC613)3、SiCH 3(OC
3)3、SiCH3(OC25)3、SiCH3(OC
37)3、SiCH3(OC37)3、SiCH3(OC
49)3、SiCl(OH)(OCH3)2、SiCl(O
H)(OC25)2、SiCl(OH)(OC37)2、Si
Cl(OH)(OC49)2、SiCl2(OCH3)2、Si
Cl2(OC25)2、Si(CH3)3OCH3、 Si(C
3)3OC25、 Si(CH3)3OC37、Si(CH3)2
(C49)OCH3 等。
【0029】上記一般式(1)の化合物は、その化合物
自体を直接本発明のコーティング組成物中に配合しても
良く、或いは、縮重合反応生成物として配合しても良
い。また、一般式(1)の化合物を後述する(c)成分
の金属化合物と混合した後、縮重合反応を行って、縮重
合反応生成物と金属化合物の混合物として、コーティン
グ組成物に配合しても良い。
【0030】一般式(1)のケイ素含有化合物の縮重合
反応は、有機溶媒中で水を添加して行うことができる。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等
の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリ
コールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導
体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;トル
エン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢
酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、メチルエチルケトオキシム、ジアセトンアルコール
等を用いることができ、これらの溶媒を1種単独又は2
種以上混合して用いることができる。縮重合反応を行な
うための水の添加量は、一般式(1)に含まれる加水分
解性基であるClとOR2の合計量1モル当たり0.0
01〜0.5モル程度とすることが好ましく、0.01
〜0.4モル程度とすることがより好ましい。水の添加
量が0.001モル未満では十分な部分加水分解による
重縮合生成物が得られず、0.5モルを越えると、重縮
合生成物の安定性が悪くなりゲル化し易くなるので好ま
しくない。加水分解重縮合反応の進行には、適切な加水
分解促進のための触媒を添加することもできる。この様
な触媒としては、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロ
ロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻
酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレ
イン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸など
の有機酸、無機酸等を用いることができ、これらの触媒
を1種単独又は2種以上混合して用いることができる。
重縮合反応は常温で進行するが、反応を促進させるため
に、必要に応じて、加温(例えば、60〜100℃程
度)してもよい。
【0031】本発明の組成物には、更に、ジルコニウム
化合物、チタニウム化合物及びアルミニウム化合物から
選ばれた少なくとも一種の、有機溶媒に溶解又は均一に
分散できる金属化合物を配合する。これらの金属化合物
を配合することによって、形成される皮膜の耐アルカリ
性、耐酸性等の耐薬品性、耐水性、耐候性等が改善され
て、被膜の耐久性が向上する。
【0032】本発明で用いるジルコニウム化合物、チタ
ニウム化合物及びアルミニウム化合物としては、シリコ
ン変性アクリル樹脂の側鎖に存在する、アルコキシル基
及びハロゲン原子から選ばれた少なくとも一種の置換基
を有するシリル基と反応して、該アクリル樹脂と金属化
合物間に結合を形成できる化合物が好ましい。本発明で
は、これらの金属化合物は、一種単独又は二種以上混合
して用いることができる。
【0033】本発明で好適に使用できるジルコニウム化
合物の例としては、ジルコニウムアルコキシド類、ジル
コニウムアルコキシド類の加水分解物、ジルコニウムキ
レート化合物等を挙げることができる。
【0034】ジルコニウムアルコキシド類としては、炭
素数1〜8程度のアルコキシル基がジルコニウム原子に
1〜4個結合した化合物、例えば、ジルコニウムテトラ
イソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド等を
例示できる。
【0035】ジルコニウムアルコキシド類の加水分解生
成物としては、例えば、有機溶媒中で、ジルコニウムア
ルコキシド類の加水分解性基に対して0.001〜0.
5程度のモル比となる水を加えて、加水分解させて得ら
れる生成物を用いることができる。この場合、有機溶媒
としては、アルコールや酢酸エチル等のエステル化合物
等を好適に用いることができ、この様な有機溶媒にジル
コニウムアルコキシド類を溶解した溶液中に、水−有機
溶媒混合物等の形で水を徐々に添加し、室温〜120℃
程度の温度で0.5時間〜24時間程度、必要に応じて
撹拌しながら放置して反応させればよい。
【0036】ジルコニウムキレート化合物としては、例
えば、ジルコニウムのβ−ケトンエステル錯体、ジルコ
ニウムのβ−ジケトン錯体、ジルコニウムのエタノール
アミン類錯体、ジルコニウムのジアルキレングリコール
錯体等を用いることができる。これらのキレート化合物
は、ジルコニウムジブトキシドアセチルアセトナート、
ジルコニウムブトキシベンジルアセトナート等の市販の
キレート化合物でも良く、或いは、ジルコニウムアルコ
キシドに対して、アセチルアセトン、ジエタノールアミ
ン、ジエチレングリコール等のキレート化剤を配位数が
0.5〜8配位に相当する量を添加して調製したもので
も良い。
【0037】本発明で好適に使用できるチタニウム化合
物の例としては、チタニウムアルコキシド類、チタニウ
ムアルコキシド類の加水分解物、チタニウムキレート化
合物等を挙げることができる。
【0038】チタニウムアルコキシド類としては、炭素
数1〜8程度のアルコキシル基がチタニウム原子に1〜
4個結合した化合物、例えば、チタニウムエトキシド、
チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラ
ブトキシド等を例示できる。
【0039】チタニウムアルコキシド類の加水分解生成
物としては、例えば、有機溶媒中で、チタニウムアルコ
キシド類の加水分解性基に対して0.001〜0.5程
度のモル比となる水を加えて、加水分解させて得られる
生成物を用いることができる。この場合、有機溶媒とし
ては、アルコールや酢酸エチル等のエステル化合物等を
好適に用いることができ、この様な有機溶媒にチタニウ
ムアルコキシド類を溶解した溶液中に、水−有機溶媒混
合物等の形で水を徐々に添加し、室温〜120℃程度の
温度で0.5時間〜24時間程度、必要に応じて撹拌し
ながら放置して反応させればよい。
【0040】チタニウムキレート化合物としては、例え
ば、チタニウムのβ−ケトンエステル錯体、チタニウム
のβ−ジケトン錯体、チタニウムのエタノールアミン類
錯体、チタニウムのジアルキレングリコール錯体等を用
いることができる。これらのキレート化合物は、市販の
キレート化合物でも良く、或いは、チタニウムアルコキ
シドに対して、アセチルアセトン、ジエタノールアミ
ン、ジエチレングリコール等のキレート化剤を配位数が
0.5〜8配位に相当する量を添加して調製したもので
も良い。
【0041】本発明で好適に使用できるアルミニウム化
合物の例としては、アルミニウムアルコキシド類、アル
ミニウムアルコキシド類の加水分解物、アルミニウムキ
レート化合物等を挙げることができる。
【0042】アルミニウムアルコキシド類としては、炭
素数1〜8程度のアルコキシル基がアルミニウム原子に
1〜3個結合した化合物、例えば、アルミニウムトリイ
ソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等を例示
できる。
【0043】アルミニウムアルコキシド類の加水分解生
成物としては、例えば、有機溶媒中で、アルミニウムア
ルコキシド類の加水分解性基に対して0.001〜0.
1程度のモル比となる水を加えて、加水分解させて得ら
れる生成物を用いることができる。この場合、有機溶媒
としては、アルコールや酢酸エチル等のエステル化合物
等を好適に用いることができ、この様な有機溶媒にアル
ミニウムアルコキシド類を溶解した溶液中に、水−有機
溶媒混合物等の形で水を徐々に添加し、室温〜120℃
程度の温度で0.5時間〜24時間程度、必要に応じて
撹拌しながら放置して反応させればよい。
【0044】アルミニウムキレート化合物としては、例
えば、アルミニウムのβ−ケトンエステル錯体、アルミ
ニウムのβ−ジケトン錯体、アルミニウムのエタノール
アミン類錯体、アルミニウムのジアルキレングリコール
錯体等を用いることができる。これらのキレート化合物
は、アルミニウムアセチルアセトナート等の市販のキレ
ート化合物を用いても良く、或いは、アルミニウムアル
コキシドに対して、アセチルアセトン、ジエタノールア
ミン、ジエチレングリコール等のキレート化剤を配位数
が0.5〜8配位に相当する量を添加して調製したもの
でも良い。
【0045】本発明のコーティング組成物は、(a)シ
リコン変性アクリル樹脂、(b)一般式(1)の化合物
及びその縮重合生成物から選ばれた少なくとも一種のケ
イ素含有化合物、並びに、(c)ジルコニウム化合物、
チタニウム化合物及びアルミニウム化合物から選ばれた
少なくとも一種の金属化合物を有機溶媒に溶解又は分散
させたものである。
【0046】本発明のコーティング組成物における
(a)成分であるシリコン変性アクリル樹脂と、(b)
成分である一般式(1)の化合物及びその縮重合生成物
から選ばれた少なくとも一種のケイ素含有化合物の配合
割合は、(a)成分と(b)成分の固形分量の合計量を
100重量%として、(a)成分の固形分量5〜90重
量%、好ましくは10〜80重量%と、(b)成分の固
形分量10〜95重量%、好ましくは20〜90重量%
程度とすればよい。また、(c)成分であるジルコニウ
ム化合物、チタニウム化合物及びアルミニウム化合物か
ら選ばれた少なくとも一種の金属化合物の配合割合は、
(a)成分と(b)成分の固形分量の合計量を100重
量部として、(c)成分の固形分量を0.01〜20重
量部程度、好ましくは0.1〜10重量部程度、より好
ましくは0.1〜5重量部程度とすればよい。
【0047】また、本発明のコーティング組成物中の上
記(a)のシリコン変性アクリル樹脂、(b)のケイ素
含有化合物、並びに(c)の金属化合物の濃度は、
(a)〜(c)成分の固形分の合計量として、1〜30
重量%程度、好ましくは3〜25重量%程度、より好ま
しくは5〜20重量%程度とすればよい。
【0048】本発明のコーティング組成物の各成分を有
機溶媒に溶解又は分散させる方法については、特に限定
はなく、例えば、市販のシリコン変性アクリル樹脂を用
いる場合には、(a)〜(c)の各成分を有機溶媒中で
均一に混合すればよい。また、一般式(2)〜(4)の
(メタ)アクリル酸エステルを有機溶媒中で共重合させ
て、シリコン変性アクリル樹脂を合成する場合には、共
重合反応を行った後、形成されたアクリル樹脂の溶液中
に、上記(b)成分のケイ素含有化合物と(c)成分の
金属化合物を、そのまま、又は適当な有機溶媒に溶解若
しくは分散させて添加しても良く、或いは、共重合反応
を行う前に、単量体成分である一般式(2)〜(4)の
(メタ)アクリル酸エステルを含む溶液中に、上記
(b)成分のケイ素含有化合物と(c)成分の金属化合
物のいずれか一方又は両方について、必要量の全量又は
一部を添加しておき、共重合反応後に、残分を添加して
も良い。
【0049】特に、(b)成分のケイ素含有化合物と
(c)成分の金属化合物を予め均一に混合しておき、こ
の混合物を、共重合反応後又は共重合反応前に、シリコ
ン変性アクリル樹脂と混合することが好ましい。
【0050】また、(a)成分のシリコン変性アクリル
樹脂と(b)成分のケイ素含有化合物とが結合したポリ
シロキサン化合物を側鎖に有するアクリル樹脂が市販さ
れており、この様なアクリル樹脂を用いることもでき
る。この様なポリシロキサン化合物を側鎖に有するアク
リル樹脂は、上記した(a)成分と(b)成分の配合割
合の範囲内において、(b)成分のケイ素含有化合物が
(a)成分のシリコン変性アクリル樹脂の側鎖に結合し
たアクリル樹脂を用いることができ、好ましくは、樹脂
固形分中に、ケイ素原子が、SiO2として、5〜40
重量%程度含まれるアクリル樹脂を用いることができ
る。この様な様な市販されているポリシロキサン化合物
を側鎖に有するアクリル樹脂を用いる場合には、このア
クリル樹脂を溶解した溶液中に、(c)成分の金属化合
物と、必要に応じて、残分の(b)成分のケイ素含有化
合物を添加すればよい。
【0051】本発明のコーティング組成物で用いること
ができる有機溶媒は、コーテイング組成物中の各成分を
安定に存在させ、かつ塗布対象の基材に対して悪影響を
及ぼさないものであれば、特に限定はない。この様な溶
媒としては、上記したアクリル樹脂の共重合反応時に用
いることができる溶媒に加えて、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノー
ル、エチレングリコール、ヘキサン、ヘプタン、ジアセ
トンアルコール等を例示できる。有機溶媒は、一種単独
で用いる他、二種類以上の溶媒を混合して用いてもよ
い。特に、有機溶媒を混合して用いる場合には、適宜溶
剤の組み合わせを選択することによって、成膜時の溶液
のレベリング性等を調整することができる。
【0052】本発明のコーティング組成物には、更に、
必要に応じて、上記したシリコン変性アクリル樹脂以外
のケイ素原子を含有しないアクリル樹脂を添加すること
ができる。この様なアクリル樹脂を配合することによっ
て、形成される皮膜の可とう性を向上させ、クラックの
発生を抑制することができる。この様なアクリル樹脂と
しては、通常の市販されているアクリル樹脂を用いるこ
とができるが、その他に、例えば、ガラス転移温度が低
く柔らかい単量体を主モノマー成分とし、ガラス転移温
度が高く硬い単量体をコモノマー成分として、更に、必
要に応じて、官能基含有モノマーを少量用いて、共重合
反応によって得られるアクリル樹脂を好適に用いること
ができる。
【0053】この様なアクリル樹脂において、 主モノ
マー成分としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、アク
リル酸シクロヘキシル等のアルキル基の炭素数が2〜1
2程度のアクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸ブ
チル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチ
ルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベン
ジル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアルキル基の炭
素数が4〜12程度のメタクリル酸アルキルエステルな
どが挙げられる。また、コモノマー成分としては、アク
リル酸メチルやメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル等のアルキル基の炭素数が1
〜3程度のメタクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニ
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン
などが挙げられる。官能基含有モノマー成分としては、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボ
ン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、グルタ
コン酸、イタコン酸等の多価カルボン酸、及びこれらの
無水物等のカルボキシル基含有モノマーや2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート等やN−メチロールアクリル
アミド等のヒドロキシル基含有モノマー等の他に、(メ
タ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエ
ーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン等のアルコキシシリル基含有モノマ−等が挙げ
られる。これらの官能基含有モノマー成分のうちで、特
にヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モ
ノマー等が好ましい。
【0054】主モノマー成分の使用量は、コモノマー成
分や官能基含有モノマー成分の種類や含有量により一概
に規定できないが、一般的には全単量体成分量を基準と
して、上記主モノマーを50重量%以上用いることが好
ましい。
【0055】合成方法としては、有機溶媒中での溶液重
合、乳化重合、懸濁重合によるラジカル重合法、あるい
はアニオン重合法、カチオン重合法等を用いることがで
き、上述したシリコン変性アクリル樹脂と同様の方法で
製造できる。
【0056】ケイ素原子を含有しないアクリル樹脂の配
合量は、本発明のコーティング組成物に配合するアクリ
ル樹脂の全量(固形分)を基準として、50重量%程度
以下とすることが好ましい。
【0057】本発明のコーティング組成物には、更に、
必要に応じて、コロイダルシリカを配合することができ
る。コロイダルシリカを配合することによって、形成さ
れる皮膜の可とう性が向上して、クラックの発生を抑制
できる。また、形成される皮膜と基材との密着性が向上
する場合があり、更に、プライマーとして用いる場合に
は、無機皮膜との密着性が向上する場合もある。コロイ
ダルシリカとしては、有機溶媒分散性のコロイダルシリ
カを用いることが好ましく、コロイダルシリカが分散し
ている有機溶媒の種類としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノー
ル等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、
エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレン
グリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール
誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコール
モノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;
ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、キシレン/n−ブタノール混合溶媒等
を挙げることができる。コロイダルシリカの原料として
も特に限定はなく、例えば、上記一般式(1)のケイ素
含有化合物を原料としたコロイダルシリカや水ガラス等
から製造したコロイダルシリカ等も使用できる。
【0058】コロイダルシリカの添加方法については、
特に限定はなく、(a)〜(c)の各成分の混合前又は
混合後の任意の時期に添加することができる。また、一
般式(1)の化合物の縮重合反応前に、一般式(1)の
化合物を含む溶液中にコロイダルシリカを添加して縮重
合反応を行っても良い。特に、(b)成分のケイ素含有
化合物とコロイダルシリカを予め均一に混合しておき、
これを他の成分と混合することが好ましい。
【0059】コロイダルシリカの配合量は、(b)成分
のケイ素含有化合物の固形分量100重量部に対して、
固形分量として10〜95重量部程度とすることが好ま
しく、30〜90重量部程度とすることがより好まし
く、50〜80重量部程度とすることが更に好ましい。
【0060】更に、本発明のコーティング組成物には、
必要に応じて、硬化触媒を配合することができる。
【0061】硬化触媒の具体例としては、塩酸、硝酸、
リン酸、硼酸等の無機酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フ
タル酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸等の有機
酸、ジブチルスズラウリレート、ジブチルスズオクチエ
ート、ジブチルスズアセテート、ジオクチルスズラウレ
ート等の有機スズ化合物、テトラブチルチタネート、テ
トラプロピルチタネート、テトラブトキシチタネート等
の有機チタン化合物、モノメチルホスフェート、モノエ
チルホスフェート等のリン酸エステル類、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプ
ロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング
剤、、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペ
ラジン、メタフェニレンジアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン等のアミン類、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ化合物、エポキシ化
合物等を挙げることができる。これらの内で、特に無機
酸、有機スズ化合物、有機酸が好ましい。これら触媒の
使用量は、触媒の種類により異なるが、例えば塩酸を使
用する場合は、コーティング組成物に含まれる全固形分
100重量部に対して0.1〜2重量部程度とすること
が好ましい。このような硬化触媒は、使用時に本発明の
コーティング組成物に添加して使用することが好ましい
が、本発明のコーティング組成物にあらかじめ添加した
状態(1液型)としておいてもよい。
【0062】また、本発明のコーティング組成物には、
形成される皮膜をより強固に硬化させるために、架橋剤
として、アクリル樹脂中に含まれる水酸基や、金属化合
物が加水分解することによって生成する水酸基と反応し
て架橋構造を形成する化合物も配合することができる。
その具体例としては、イソシアネート基を持つ化合物が
挙げられ、より具体的には、トルエンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネ
ート化合物、ポリイソシアネート化合物、イソシアヌレ
ート化合物、ウレタンプレポリマー等が挙げられる。架
橋剤の使用量は、(a)成分のケイ素含有化合物、一般
式(3)の(メタ)アクリル酸エステル、及び一般式
(4)の(メタ)アクリル酸エステルの合計モル数に対
して、架橋剤中のイソシアネート基及びイソシアヌレー
ト基の合計量が0.1〜10倍モル程度となるようにす
ることが好ましい。これらの架橋剤は、通常、2液型と
して、使用時にコーティング組成物に添加して使用すれ
ばよい。
【0063】本発明のコーティング組成物には、更に、
必要に応じて、各種顔料を添加することも可能である。
添加する顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、
タルク、リトボン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ア
ルミナ、クレー、カーボンブラック、鉄黒、フタロシア
ニンブルー、紺青、群青、レーキイエロー、黄鉛、オー
カイエロー、ハンザイエロー、ベンガラ、レーキレッ
ド、クロムバーミリオン、フタロシアニングリーン、酸
化クロムなどが挙げられる。これらの顔料の使用量は、
本発明のコーティング組成物により形成される皮膜の物
性を低下させることのない範囲内において適宜選択すれ
ばよい。
【0064】更に、本発明のコーティング組成物には、
硬化皮膜の特性を損なわない範囲において、各種樹脂用
添加剤を加えることができる。この様な添加剤として
は、例えば、紫外線安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、
導電性付与剤、耐擦傷性付与剤、相溶化剤、接着性付与
剤、着色剤、流動性改善剤、可塑剤、タレ防止剤、沈殿
防止剤、消泡剤等が挙げられる。
【0065】本発明のコーティング組成物は、一般に使
用される混合方法により、各成分を均一に分散させるこ
とによって調製することができる。例えば、サンドミ
ル、ディスパー、ボールミルなどを用いて均一に混合す
ればよい。
【0066】本発明のコーティング組成物は、基材に塗
布した後、空気中で室温〜200℃程度の温度で乾燥硬
化させることによって、良好な皮膜を形成できる。具体
的な硬化温度は、コーティング組成物の具体的な組成や
使用方法に応じて適宜決めれば良く、例えば、硬化触媒
や架橋剤を配合した場合には、室温付近の低温でも比較
的短時間で硬化皮膜を形成できるが、硬化触媒や架橋剤
を配合していない場合には、50℃程度以上に加熱する
ことが好ましい。また、共重合反応後に(b)成分のケ
イ素含有化合物や(c)成分の金属化合物を配合した場
合には、シリコン変性アクリル樹脂とこれらの成分との
反応を促進させるために、50℃程度以上に加熱するこ
とが好ましい。
【0067】硬化時間については、コーティング組成物
の組成や硬化温度によって異なるので一概にはいえず、
使用条件に応じて、良好な皮膜が形成されるまで硬化さ
せればよい。例えば、200℃程度の高温で硬化させる
場合には、1分〜1時間程度で良好な硬化皮膜を形成で
きる場合があるが、硬化触媒を配合していない組成物を
室温程度で硬化させた場合には、良好な硬化皮膜を形成
するために、1ヶ月程度の長期間を要する場合もある。
【0068】塗布方法は、常法に従えば良く、例えば、
刷毛塗り、スプレー、浸漬、フロー、ロール、カーテ
ン、ナイフコート、スピンコート等の通常の塗布方法を
採用できる。
【0069】硬化皮膜の好ましい厚さは、コーティング
組成物中の成分の種類や含量、皮膜の使用目的等によっ
て異なるので特に限定的ではないが、通常0.1〜20
0μm程度が好ましく、1〜100μm程度がより好ま
しい。硬化皮膜が厚すぎる場合には、クラック等の発生
する可能性が高くなり、また、薄すぎると特性を十分に
引き出すことができないので好ましくない。
【0070】なお、本発明のコーティング組成物中のシ
リコン含量が高く、基材、特に有機基材への密着性が不
十分な場合には、各種汎用の樹脂をプライマーとして用
いて、プライマー皮膜を硬化又は半硬化(JIS−K5
400−1990半硬化を示す。)状態とした後、本発
明のコーティング組成物を塗布することによって、基材
への密着性を向上させることができる。プライマー樹脂
としては、例えば、アクリル系樹脂、アミノ系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂と
アミノ系樹脂の混合樹脂、ポリエステル系樹脂とアミノ
樹脂の混合樹脂等を使用できるが、シリコン含量の比較
的少ないシリコン変性アクリル樹脂等も用いることがで
きる。
【0071】本発明のコーティング組成物は、コンクリ
ート、モルタル建築物、瓦、サイデングボードなどの外
装材の上塗り塗料として使用することができ、更に、建
築物の内装や床等の塗料としても有効に用いることがで
きる。
【0072】本発明のコーティング組成物を塗布する基
材については、特に限定はなく、例えば、金属基材、ガ
ラス、セメント等の無機質基材、有機質基材、これらの
基材の表面に有機物皮膜を形成した有機塗装基材等を用
いることが出来る。
【0073】これらの基材の内で、金属基材の例として
は、アルミニウム、ジュラルミン等アルミニウム合金、
銅、亜鉛、鉄、圧延鋼・溶融亜鉛めっき鋼・(圧延)ス
テンレス鋼等の鋼、ブリキ、その他の金属全般(合金を
含む)等を挙げることができる。
【0074】ガラス基材の例としては、ナトリウムソー
ダガラス、パイレックスガラス、石英ガラス、無アルカ
リガラス等を挙げることができる。また、軟鋼板、鋼
板、鋳鉄、アルミニウム等の金属表面にガラス質のホー
ローぐすりを焼き付けて被覆したホーローや、ケイ酸ソ
ーダをスレートなどのセメント基材に塗布し、焼き付け
た水ガラス化粧板等を用いることもできる。
【0075】無機質基材の例としては、繊維強化セメン
ト板、窯業系サイディング、木毛セメント板、パルプセ
メント板、スレート・木毛セメント積層板、石膏ボード
製品、粘土瓦、厚形スレート、陶磁器質タイル、建築用
コンクリートブロック、テラゾ、ALCパネル、空洞プ
レストレストコンクリートパネル、普通煉瓦等を挙げる
ことができる。
【0076】セラミックス基材の例としては、アルミ
ナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げるこ
とができる。
【0077】有機質基材の例としては、プラスチック、
木、木材、紙等を挙げることができる。これらの内で、
プラスチック基材の例としては、例えば、ポリエチレン
テレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹
脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性もしくは熱可塑
性プラスチック、これらのプラスチックをガラス繊維、
ナイロン繊維、カーボン繊維等の繊維で強化した繊維強
化プラスチック(FRP)等を挙げることができる。
【0078】また、上記各種基材上に形成する有機物皮
膜としては、たとえば、フッ素系、アクリル系、アルキ
ド系、ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系、アク
リルシリコン系、塩化ゴム系、フェノール系、メラミン
系等の有機樹脂を含むコーティング材の硬化皮膜等を用
いることができる。
【0079】基材の形態については、特に限定はなく、
例えば、フィルム状、シート状、板状、繊維状等の各種
形態の基材を用いることができる。また、これらの形状
の材料の成形体、または、これらの形状の材料もしくは
その成形体の少なくとも1つを一部に備えた構成体等を
基材とすることもできる。
【0080】基材は、上述した各種材料単独からなるも
のでもよいし、上述した各種材料のうちの2種以上を組
み合わせてなる複合材料や、上述した各種材料の2種以
上を積層した積層材料でもよい。
【0081】本発明のコーティング組成物による皮膜を
形成した材料の具体的な適用例としては、外壁材、瓦等
の外装材、雨とい、門扉・門柱・門塀等の門およびそれ
に用いるための部材、フェンス(塀)およびそれに用い
るための部材、ガレージ扉、ホームテラス、ドア、柱、
エントランスポール、縁側、換気扇吹き出し口、建物用
ガラス窓およびそれに用いるための部材、自動車、鉄道
車両、航空機、船舶、ガードレール、高欄、交通標識の
標識板および標識柱、信号機、ポストコーン、広告塔、
屋外または屋内用照明器具およびそれに用いるための部
材、ガラスハウス、エアコン用室外機等を挙げることが
できる。また、バスタブ、浴室の壁、床、天井等、キッ
チンパネル、人工大理石やステンレス製のキッチンカウ
ンター、キッチン扉、洗面化粧台の部材等、耐薬品が要
求される部分にも好適に用いることができる。
【0082】本発明のコーティング組成物は、上記した
上塗り塗料としての用途の他に、各種の有機皮膜又は無
機皮膜のプライマーとして用いることもできる。本発明
のコーティング組成物をプライマーとして用いることに
よって、各種の有機皮膜又は無機皮膜と上記した各種基
材との密着性を向上させることができる。
【0083】本発明のコーティング組成物をプライマー
として用いることができる有機皮膜としては、特に限定
的ではないが、例えば、アクリル塗料、アクリル−ウレ
タン塗料、エポキシ塗料、シリコーン塗料、メラミン塗
料、ポリエステル塗料等より形成される皮膜を例示でき
る。
【0084】また、無機皮膜についても、特に限定はさ
れないが、例えば、ケイ素含有アルコキシド化合物、ジ
ルコニウム含有アルコキシド化合物、アルミニウム含有
アルコキシド化合物、チタン含有アルコキシド化合物等
の金属アルコキシド化合物やこれらのオリゴマーをバイ
ンダー成分とし、これを加水分解重縮合させて形成され
る皮膜を例示できる。この様な無機皮膜は、皮膜の特性
改善や各種機能を付与するために、各種の添加剤を配合
したものでも良い。その他の無機皮膜として、各種金属
酸化物ゾル塗膜や金属蒸着膜に対しても、本発明のコー
ティング組成物をプライマーとして好適に用いることが
できる。
【0085】特に、プラスチックス等の有機質基材や有
機物皮膜を形成した基材上に、無機皮膜を形成する場合
には、本発明のコーティング組成物をプライマーとして
用いることによって、無機皮膜と基材との密着性を大き
く向上させることができる。
【0086】本発明のコーティング組成物をプライマー
として用いる場合には、本発明組成物を基材に塗布し、
プライマー皮膜を硬化又は半硬化(JIS−K5400
半硬化を示す。)状態とした後、上塗り塗料を塗布すれ
ば良い。プライマー皮膜の厚さについては、特に限定は
ないが、通常、0.1〜100μm程度とすればよい。
【0087】
【発明の効果】本発明のコーティング組成物は、保存安
定性が良好で塗装作業が容易であり、形成される硬化皮
膜は、耐候性、機械的強度、耐薬品性、耐温水性等の各
種物性に優れたものとなる。
【0088】また、本発明のコーティング組成物をプラ
イマーとして用いることによって、各種の有機皮膜又は
無機皮膜と基材との密着性を向上させることができる。
【0089】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。なお、以下において、単に「部」とあるのは、
「重量部」を意味する。 製造例 以下の方法で、下記の(A−1)、(B−1)、(B−
2)、(C−1)及び(C−2)の各成分を調製した。アクリル樹脂(A−1) 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロート、
窒素ガス導入・排出口及び温度計を取り付けたフラスコ
中で、単量体成分として、n−ブチルメタクリレート
(BMA)3.20部(22.5mmol)、トリメト
キシシリルプロピルメタクリレート(SMA)1.24
部(5mmol)及びグリシジルメタクリレート(GM
A)3.20部(22.5mmol)と、連鎖移動剤と
してγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.7
84部(4mmol)を、トルエン8.46部に溶解さ
せてなる反応液に、アゾビスイソブチロニトリル0.0
25部(0.15mmol)をトルエン3部に溶解させ
た溶液を窒素気流下で滴下し、70℃で2時間反応させ
た。これにより、重量平均分子量1000の重合物が得
られた。このアクリル樹脂溶液を(A−1)成分とす
る。
【0090】(A−1)成分は、単量体モル比率 BM
A/SMA/GMA=4.5/1.0/4.5で、重量
平均分子量1000のアクリル樹脂を含む固形分含有量
40%の溶液であった。(B−1)成分 撹拌機を取り付けたビーカー中に、メチルトリメトキシ
シラン100部、テトラエトキシシラン20部、IPA
−ST(イソプロパノール分散コロイダルシリカゾル:
粒子径10〜20nm、固形分30%、水分0.5%、
日産化学工業社製)105部、ジメチルジメトキシシラ
ン30部、イソプロパノール100部を投入した後、こ
の溶液の固形分に対して100ppmの塩酸と、メチル
トリメトキシシランとテトラエトキシシランの合計量に
対して3重量%の水を滴下し、攪拌しながら25℃で3
0分間加水分解を行って、(B−1)成分を得た。(B−2)成分 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー及び温度計をつ
けたフラスコ中に、IPA−ST 100部、メチルト
リメトキシシラン68部、水2.2部を投入し、攪拌し
ながら65℃で5時間加水分解を行った後、冷却するこ
とにより、(B−2)成分を得た。(C−1)成分 ジルコニウムテトラn−ブトキシド(85%―nブタノ
ール溶液:和光純薬工業社製)を濃度10重量%となる
ように酢酸エチル(和光純薬工業社製 特級試薬)に溶
解し、ジルコニウムテトラn−ブトキシドに対してモル
比で2倍となるようにアセチルアセトン(和光純薬工業
社製)を添加した。これを(C−1)成分とする。(C−2)成分 チタニウムテトライソプロポキシド((和光純薬工業社
製)を濃度10重量%となるように酢酸エチル(和光純
薬工業社製 特級試薬)に溶解し、チタニウムテトライ
ソプロポキシドに対してモル比で4倍となるようにアセ
チルアセトン(和光純薬工業社製)を添加した。これを
(C−2)成分とする。(C−3)成分 アルミニウムトリsec−ブトキシド(和光純薬工業社
製)を濃度10重量%となるように酢酸エチル(和光純
薬工業社製 特級試薬)に溶解し、アルミニウムトリs
ec−ブトキシドに対して等モル比となるようにアセチ
ルアセトン(和光純薬工業社製)を添加した。これを
(C−3)成分とする。(C−4)成分 (C−1)成分と(C−2)成分を、(C−1)成分中
のジルコニウムテトラn−ブトキシドと(C−2)成分
中のチタニウムテトライソプロポキシドが1:1のモル
比となるように混合した。これを(C−4)成分とす
る。(C−5)成分 (C−1)成分と(C−3)成分を、(C−1)成分中
のジルコニウムテトラn−ブトキシドと(C−3)成分
中のアルミニウムトリsec−ブトキシドが1:1のモ
ル比となるように混合した。これを(C−5)成分とす
る。実施例1〜14及び比較例1〜3 シリコン変性アクリル樹脂として、上記した(A−1)
成分を用い、ケイ素含有化合物の縮重合反応生成物とし
て、上記した(B−1)又は(B−2)成分を用い、金
属化合物として、上記した(C−1)〜(C−5)成分
の他に、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、チタニウ
ムテトライソプロポキシド又はアルミニウムトリsec
−ブトキシドを用いて下記の方法でコーティング組成物
を調製した。ジルコニウムテトラn−ブトキシド、チタ
ニウムテトライソプロポキシド及びアルミニウムトリs
ec−ブトキシドについては、いずれも、酢酸エチルに
溶解して10重量%溶液として用いた。
【0091】まず、下記表1に示す配合割合(固形分重
量部)となるように(A)成分中に(B)成分を添加
し、酢酸エチル:n−ブタノール(重量比)=1:1の
混合溶媒(いずれも和光純薬工業製試薬)で固形分濃度
10重量%となるように調整した後、室温で120分間
撹拌した。その後、下記表1に示す配合割合(固形分重
量部)の金属化合物を添加し、25℃で6時間撹拌して
コーティング組成物を得た。
【0092】得られたコーティング組成物を、酢酸エチ
ル:n−ブタノール:エタノール(重量比)=1:1:
1の混合溶媒(いずれも和光純薬工業製試薬)で固形分
濃度5重量%となるように調整した後、清浄なガラス基
板にスプレーコートし、室温下で溶媒を乾燥させた後、
150℃で30分間乾燥硬化させて、厚さ約2μmの硬
化皮膜を形成した。
【0093】
【表1】
【0094】この様にして塗膜を形成したガラス基板に
ついて、下記の方法で密着性、鉛筆硬度、耐光性、耐煮
沸水性、及び耐アルカリ性を評価した。結果を下記表2
に示す。 1) 密着性: JIS K 5400の碁盤目テープ法試
験により基材への密着性を評価した。切り傷の間隔は2
mmとし、ます目の数を25コとした。評価点数は、J
IS K5400の基準で求めた。評価基準は以下の通
りである。 10点:切り傷1本ごとが、細くて両側が滑らかで、切
り傷の交点と正方形の一目一目にはがれがない。 8点 :切り傷の交点にわずかなはがれがあって、正方
形の一目一目にはがれがなく、欠損部の面積は全正方形
面積の5%以内。 6点 :切り傷の両側と交点にはがれがあって、欠損部
の面積は全正方形面積の5〜15%。 4点 :切り傷によるはがれの幅が広く、欠損部の面積
は全正方形面積の15〜35%。 2点 :切り傷によるはがれの幅は4点よりも広く、欠
損部の面積は全正方形面積の35〜65%。 0点 :はがれの面積は、全正方形面積の65%以上。 2) 鉛筆硬度: 塗膜の損傷度は、JIS K 5400
に基づいた鉛筆硬度により評価した。 3) 耐候性: JIS K 5400に準じて、アークカ
ーボン式サンシャインウェザーメーター暴露試験を行っ
た。試験条件としては63℃、降雨時間12分、降雨周
期60分とした。評価方法は、2000時間暴露した
後、予め保管しておいた見本品と比較して、著しい変化
がなく且つ上記1)の密着性試験により8点以上のもの
を合格とした。 4)耐煮沸水性:JIS K 5400に従って実験を行
ない、1時間煮沸した後の膜の状態を目視で観察し、膨
れ、割れ、剥がれ、ピンホール、軟化が認められず、試
験片の光沢や変色が試験前の試験片と比較して少ないも
のを合格とした。 5) 耐アルカリ性試験:5%水酸化ナトリウム液を含
浸させた脱脂綿をサンプル上に設置し、時計ざらで蓋を
して室温で24時間放置した後、試料を十分に水洗し、
室温で2時間乾燥させた。乾燥後の膜の状態を目視で観
察し、膨れ、割れ、剥がれ、ピンホール、軟化が認めら
れず、試験片の光沢や変色が試験前の試験片と比較して
少ないものを合格とし、強アルカリ性溶液に対する評価
とした。
【0095】
【表2】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)アルコキシル基及びハロゲン原子か
    ら選ばれた少なくとも一種の置換基を有するシリル基を
    側鎖に有するアクリル樹脂、(b)一般式(1):R1 a
    SiClb(OH)c(OR2d(式中、R1はアミノ基
    及びカルボキシル基から選ばれた少なくとも一種の置換
    基を有することのある炭素数1〜8の1価炭化水素基を
    示し、R2は、置換基としてアルコキシル基を有するこ
    とのある炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aは、
    0〜3の整数、bは0〜2の整数、cは、0〜3の整
    数、dは0〜4の整数であって、a+b+c+d=4で
    ある)で表される化合物、及びその縮重合反応生成物か
    ら選ばれた少なくとも一種のケイ素含有化合物、並びに
    (c)ジルコニウム化合物、チタニウム化合物及びアル
    ミニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の有機溶媒
    に溶解又は均一に分散できる金属化合物を有機溶媒に溶
    解又は分散させてなるシリコン変性アクリル樹脂含有コ
    ーティング組成物。
  2. 【請求項2】(a)成分のアクリル樹脂と(b)成分の
    ケイ素含有化合物を、(a)成分のアクリル樹脂の側鎖
    に存在するシリル基に(b)成分のケイ素含有化合物の
    全部又は一部が結合したアクリル樹脂として用いる請求
    項1に記載のシリコン変性アクリル樹脂含有コーティン
    グ組成物。
  3. 【請求項3】アルコキシル基及びハロゲン原子から選ば
    れた少なくとも一種の置換基を有するシリル基を側鎖に
    有するアクリル樹脂が、一般式(2):CH2=CR3
    (COOR4 )(式中、R3は、水素原子又はメチル基
    であり、R4は、置換基を有することのある炭素数1〜
    9の1価炭化水素基である)で表される(メタ)アクリ
    ル酸エステル、一般式(3):CH2=CR3 (COO
    5)(式中、R3は、水素原子又はメチル基であり、R
    5は、エポキシ基及びグリシドキシ基から選ばれた少な
    くとも一種の置換基を有する炭化水素基である)で表さ
    れる(メタ)アクリル酸エステル、及び一般式(4):
    CH2=CR3 (COOR6)(式中、R3は、水素原子
    又はメチル基であり、R6は、アルコキシル基及びハロ
    ゲン原子から選ばれた少なくとも一種の置換基を有する
    シリル基により置換された炭化水素基である)で表され
    る(メタ)アクリル酸エステルを単量体成分とする共重
    合体である請求項1又は2に記載のシリコン変性アクリ
    ル樹脂含有コーティング組成物。
  4. 【請求項4】一般式(2)の(メタ)アクリル酸エステ
    ル、一般式(3)の(メタ)アクリル酸エステル、及び
    一般式(4)の(メタ)アクリル酸エステルの共重合反
    応前又は共重合反応後に、一般式(1)の化合物及びそ
    の縮重合反応生成物から選ばれた少なくとも一種のケイ
    素含有化合物と、ジルコニウム化合物、チタニウム化合
    物及びアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一種
    の金属化合物を添加して得られたものである請求項3に
    記載のシリコン変性アクリル樹脂含有コーティング組成
    物。
  5. 【請求項5】(c)成分の金属化合物が、ジルコニウム
    アルコキシド類、ジルコニウムアルコキシド類の加水分
    解物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムアルコ
    キシド類、チタニウムアルコキシド類の加水分解物、チ
    タニウムキレート化合物、アルミニウムアルコキシド
    類、アルミニウムアルコキシド類の加水分解物、及びア
    ルミニウムキレート化合物から選ばれた少なくとも一種
    の化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のシリコ
    ン変性アクリル樹脂含有コーティング組成物。
  6. 【請求項6】更に、ケイ素原子を含有しないアクリル樹
    脂を含む請求項1〜5のいずれかに記載のシリコン変性
    アクリル樹脂含有コーティング組成物。
  7. 【請求項7】更に、コロイダルシリカを含む請求項1〜
    6のいずれかに記載のシリコン変性アクリル樹脂含有コ
    ーティング組成物。
  8. 【請求項8】更に、硬化触媒を含む請求項1〜7のいず
    れかに記載のシリコン変性アクリル樹脂含有コーティン
    グ組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008143990A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 Matsumoto Fine Chemical Co Ltd 表面処理剤
JP2015196762A (ja) * 2014-04-01 2015-11-09 関西ペイント株式会社 塗料組成物
JP2016179835A (ja) * 2015-03-23 2016-10-13 東洋インキScホールディングス株式会社 Ptp包装用蓋材用コート剤組成物、及びそれを用いたptp包装体

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