JP3632588B2 - 建設機械のレンタルサービス装置及びシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンタルされる油圧ショベル等の建設機械のレンタル先へ各種サービスを行うための装置及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば建設現場で使用される油圧ショベル等の建設機械は、作業の種類等により、必要な機種や仕様が大きく異なる。したがって、建設機械を購入して使用するよりも、レンタル会社からレンタルする方が経済的であり、かかる理由から、近年、建設機械のレンタル化が急速に進んでいる。
【0003】
図2は、レンタルされる建設機械の流れ等を模式的に示す概念図である。図において、レンタル会社(系列会社を含む。)Rは、エンドユーザである建設会社Uの幅広いニーズに応えるべく、複数の建設機械メーカM1,M2,M3からそれぞれ建設機械m1,m2,m3を購入して所有することにより、いわゆるグループレンタルの構成をとっている。ここでは、建設会社Uはレンタル会社Rからこれら複数の建設機械の中から例えば建設機械メーカM1製の建設機械m1を選択してこれをレンタルするが、この建設会社Uの社長u0は現場指揮者(監督)u1を介してオペレータu11,u12,u13により建設機械m1を現地で稼働させる一方、建設会社Uは建設機械m1のレンタル料金cをレンタル会社Rに支払う。
【0004】
この場合において、レンタル会社Rは、通常、レンタルされた建設機械m1がどのように稼働しているのかを正確に把握することが困難であるため、建設機械m1の貸出期間に応じてレンタル料金cを設定していた。例えば、20トンクラスの油圧ショベルであれば、2万円/日とすれば、10日間の貸出を行えば、2万円×10日=20万円のレンタル料金となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、レンタルした建設機械m1の貸出期間中に、その建設機械m1を実際にはほとんど稼働させていなくても或いはフル稼働させていたとしても、一律のレンタル料金cを請求するのでは、不公平感が否めない。その一方、レンタルされた建設機械m1はその稼働により徐々に消耗していって、最終的にはその建設機械m1の寿命が尽き、レンタル会社Rは建設機械メーカM1から新しい建設機械m1を購入することになるが、この寿命は一般的には建設機械m1の稼働状態によって決まる。したがって、かかる建設機械m1の寿命差を考慮して、レンタル先である建設会社Uに何らかの利益還元を行うことが考えられる。
【0006】
また、建設会社Uには、上述したように通常は現場指揮者u1がおり、この現場指揮者u1がレンタル会社Rの所有する建設機械m1,m2,m3のうちのどれを選択するかについての最終的な権限を有することが多い。したがって、レンタル業界での競争激化のおり、例えば建設機械m1のレンタルされる割合を増加させるためには、この現場指揮者u1に、その建設機械m1をぜひ選択したいといったモチベーションを起こさせる必要があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レンタルされる建設機械の寿命差をレンタル客へのサービスとして利益還元することで、レンタル料金の不公平感をなくすとともに、レンタルされる建設機械の選択を行う権限を有する者が、その建設機械をぜひ選択したいといったモチベーションを起こさせることのできる建設機械のレンタルサービス装置及びシステムを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、1又は複数のレンタル先にレンタルされる1台又は複数台の建設機械の検出手段からの情報に基づく当該建設機械の稼動時間、負荷率及び特殊仕様の使用時間の少なくとも1つを含む各稼働情報を収集可能な管理コンピュータを備え、この管理コンピュータが、各稼動情報に対応した標準値としての標準稼動時間、標準負荷率及び標準使用時間の少なくとも1つを入力するための入力部と、上記入力部によって入力された標準値を予め設定された評価基準と関連付けて記憶するメモリと、上記各稼働情報を上記メモリに書き込む情報書込手段と、上記情報書込手段によって上記メモリに書き込まれた各稼動情報から当該建設機械について上記メモリに標準値と関連付けて記憶された評価基準に基づいてレンタル先に利益を還元するためのサービスのポイント数を算出する算出手段と、上記算出手段によって算出されたポイント数をレンタル先毎に累計して提示する提示手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
なお、管理コンピュータは、レンタル元である、例えばレンタル会社(含む系列会社)、建設機械メーカ、機械管理会社等の所有に係るものである。また、上記レンタルされる建設機械は、例えばレンタル元が所有する複数種類の建設機械の中から選択可能であって、上記レンタル先は、例えばこの選択を行う権限を有する者である。
【0010】
この構成では、1又は複数のレンタル先にレンタルされる1台又は複数台の建設機械の検出手段からの情報に基づく当該建設機械の稼動時間、負荷率及び特殊仕様の使用時間の少なくとも1つを含む各稼働情報を収集可能な管理コンピュータの入力部から入力された各稼動情報に対応した標準値としての標準稼動時間、標準負荷率及び標準使用時間の少なくとも1つが予め設定された評価基準と関連付けてメモリに記憶され、上記各稼働情報が情報書込手段により上記メモリに書き込まれ、上記情報書込手段によって上記メモリに書き込まれた各稼動情報から当該建設機械について上記メモリに標準値と関連付けて記憶された評価基準に基づいてレンタル先に利益を還元するためのサービスのポイント数が算出手段により算出され、上記算出手段によって算出された各ポイント数が提示手段によりレンタル先毎に累計されて提示されるので、この提示を受けたレンタル先は、ポイント数の累計値に応じた何らかのサービスが受けられるという期待感をもつ。すなわち、建設機械をレンタルしたが、その建設機械をあまり稼働させなかった場合には、その消耗度が小さくなり、レンタル先に何らかの利益還元がなされることがリーズナブルであり、そのようなサービス提供により、レンタル先のリピート率が向上してレンタル売上増大につながる。また、本サービス提供により、レンタル先においても、こまめにエンジン停止を行うようになるので、燃料の無駄使い等がなくなる。
【0011】
記稼働情報は、建設機械の稼働時間であることとすれば、稼働時間に反比例したポイント数が算出されるので、合理的なサービス提供がなされる。この場合、上記評価基準は、例えば実稼働時間が標準稼働時間よりも少ない場合にのみ、標準稼働時間から実稼働時間を差し引いた値に比例したポイント数を算出するものとすればよい(請求項)。
【0012】
また、稼働時間が同じ1時間であっても、エンジン回転数が低くかつ負荷率が低い状態で使用したものと、エンジンがフル回転でかつ負荷率が高い状態で使用したものとでは、建設機械の消耗度が異なり、建設機械の寿命差が出てくる。そこで、上記稼働情報は、建設機械の負荷率であることとすれば、負荷率に反比例したポイント数が算出されるので、その利益還元による合理的なサービス提供がなされる。この場合、上記評価基準は、例えば実負荷率が標準負荷率よりも小さい場合にのみ、標準負荷率から実負荷率を差し引いた値に比例したポイント数を算出するものとすればよい(請求項)。
【0013】
また、特殊仕様搭載の建設機械の購入価格はスタンダード機に比べて高価であるため、特殊仕様の使用時間を考慮する必要もある。そこで、レンタルされる建設機械は特殊仕様を有しており、上記稼働情報は、この特殊仕様の使用時間であることとすれば、上記ポイント数はこの特殊仕様の使用時間に反比例して算出されるので、その利益還元による合理的なサービス提供がなされる。この場合、上記評価基準は、例えば実負荷率が標準負荷率よりも小さい場合にのみ、標準負荷率から実負荷率を差し引いた値に比例したポイント数を算出するものとすればよい(請求項)。
【0014】
請求項記載の発明のように、上記ポイント数は、建設機械の在庫状態に応じて調整されることとすれば、例えば在庫量が多い場合にはポイント数を増加させて建設機械の販売促進を図ることにより、在庫量の適正化が図られる。
【0015】
ところで、建設機械の稼働時間等は、通常、レンタル先の自己申告や建設機械にセットしたICカード等から個別に取得されている。この場合には建設機械の稼働時間等は装置側にマニュアル等で逐一入力されるので、正確な稼働時間等の取得が行われないことがある。また、レンタルされた建設機械は必ずしも元のレンタル会社に返却されず、遠隔地にある系列会社に返却されることもあるが、その場合にはタイムリな稼働時間等の取得が困難である。
【0016】
そこで、請求項記載の発明のように、1又は複数のレンタル先にレンタルされる1台又は複数台の建設機械と、該各建設機械と通信可能な請求項1又は5記載の装置とを備えた建設機械のレンタルサービスシステムを構成し、各建設機械に、各稼働情報を検出する検出手段と、検出された各稼働情報を送信する送信手段を設け、上記装置に、各建設機械から送信された各稼働情報を受信する受信手段を設けた。これにより、各建設機械の各稼働情報が上記装置側で正確にかつタイムリに取得され、これを用いてより適切なサービスが提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械のレンタルサービス方法が適用される装置を備えたシステムの概略構成を示す図である。本システムは、例えばレンタル会社(系列会社を含む。)等のレンタル元からレンタルされる油圧ショベル等の建設機械1と、通信衛星30及び基地局(地球局)32を介して建設機械1との間で情報の送受信を行う装置としての、例えばレンタル会社の所有に係る管理コンピュータ20とを備えている。本実施形態では、レンタルされる建設機械の流れは上記図2に示した通りであり、いわゆるグループレンタルの構成がとられている。レンタル先は例えばレンタルされる建設機械1を選択する権限を有する者としての現場指揮者(監督)u1であるが、その建設機械1をレンタルする建設会社Uの社長u0或いはオペレータu11,u12,u13等が兼任するものであってもよい。なお、レンタル先は1又は複数存在し、建設機械1は1台又は複数台存在してもよい。
【0018】
建設機械1は、エンジンを始動するための始動キー101が装着されるキースイッチユニット10と、キースイッチユニット10から出力される信号が入力される機体コントローラ部12と、機体コントローラ部12に接続ケーブル14により接続され、通信衛星30を介して基地局32との間で情報の送受信を行う送受信部18とを備えている。
【0019】
キースイッチユニット10は、始動キー101が差し込まれるキー穴102を有し、始動キー101の挿脱自在の位置である「LOCK」位置から「ON」位置及び「START」位置に切り換え可能なキースイッチ103を備えている。
【0020】
機体コントローラ部12は、所定の演算乃至制御処理を行うCPU(Central Processing Unit)121と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read-Only Memory)122と、処理データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)123と、後述する稼働時間、負荷率、特殊仕様の使用時間といった稼働情報(以下、稼働時間等という。)を記憶するための、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュRAM等、電気的に書き換え可能なメモリ124と、日時情報提供のための計時を行うカレンダー機能を有するタイマー125とを備えている。
【0021】
CPU121には、所定のデータ処理を行うことにより、稼働時間等を算出する情報処理出手段126と、この算出された稼働時間等及び日時情報をメモリ124に書き込む情報書込手段127と、メモリ124に書き込まれた稼働時間等を例えば貸出期間の終了時に読み出す情報読出手段128とを備えている。ただし、上記読み出しの期間は建設機械1の貸出期間内であれば、後述する管理コンピュータ20からの指令信号等により任意の期間に設定でき、その場合には管理コンピュータ20側で稼働時間等を貸出期間分の合計等を行うことで対応できる。
【0022】
また、機体コントローラ部12には、始動キー101が装着されるキースイッチユニット10、バッテリと共に建設機械1の電源部を構成するオルタネータ22、ガソリンや軽油等の燃料が貯留されている燃料タンク内に設置された燃料センサ26、特殊仕様のアタッチメント(例えばブレーカ等)を操作する操作回路に設置された圧力スイッチ28等が接続され、それぞれから出力された信号が入力されるようになっている。これらのうちのキースイッチユニット10、オルタネータ22、燃料センサ26及び圧力スイッチ28と、上記情報処理手段126とが検出手段を構成している。
【0023】
また、機体コントローラ部12は、始動キー101がキー穴102に差し込まれ、キースイッチ103が「LOCK」位置から「ON」位置を経由して「START」位置に回動されたときに始動モータを駆動させて建設機械1のエンジンを始動させる一方、建設機械1の全体の動作を制御する。また、エンジンの始動と同時に、機体コントローラ部12には、オルタネータ22、燃料センサ26及び圧力スイッチ28から所定の信号が入力され、これらの入力された信号は情報処理手段126により所定のデータ処理が施される。そして、データ処理結果である稼働時間等はタイマー125から出力される日時情報と対応付けてメモリ124に記憶される。これにより、建設機械1についてポイント数算出のための稼働情報が収集可能となる。
【0024】
すなわち、キースイッチ103から「START」信号が出力され、かつエンジンが始動されてオルタネータ22から発電信号が出力された時点を稼働開始時とする。また、エンジンが停止されてキースイッチ103から出力されていた「ON」信号がなくなり、かつオルタネータ22から出力されていた発電信号がなくなった時点を稼働停止時とする。そして、稼働開始時と稼働停止時との差が稼働時間として算出され、その累計値が記憶される。
【0025】
また、燃料センサ26から出力される信号に基づいて負荷率が算出される。すなわち、燃料センサ26から燃料消費量に比例した信号が出力され、その出力値から単位時間当たりに消費した燃料量を算出する。算出された燃料消費量に対するエンジンメーカにて事前に計測された定格負荷での単位時間当たりの燃料消費量の比をとると、これがエンジンの負荷率となる。本実施形態では、エンジンの負荷率の所定期間内での平均値が上記負荷率として記憶される。
【0026】
また、圧力スイッチ28から出力される信号に基づいて特殊仕様の使用時間が計測される。すなわち、圧力スイッチ28から「ON」信号(ブレーカ等が作動されているときに出力される信号)が出力されている時間が特殊仕様の使用時間としてカウントされ、累計値として記憶される。
【0027】
これらのメモリ124に記憶された稼働時間等は、貸出期間の終了時にメモリ124から読み出されて接続ケーブル14を介して送受信部18に送信される。
【0028】
送受信部18は、所定の演算乃至制御処理を行うCPU181と、所定の制御プログラム及び建設機械1の型式・号機を示す識別情報(IDコード)が記憶されたROM182と、処理データを一時的に記憶するRAM183と、メモリ124から読み出された稼働時間等をROM182から読み出された識別情報と共に通信衛星30を介して基地局32に送信する送信手段としての送信部184と、管理コンピュータ20から基地局32及び通信衛星30を介して送信されてくる識別情報及び指令情報を受信する受信部185とを備えている。
【0029】
また、CPU181には、管理コンピュータ20から送信されてくる識別情報をROM182に記憶されている識別情報と照合して一致、不一致を判別する照合手段186と、識別情報が一致したときに管理コンピュータ20から送信されてくる指令情報を解読する指令情報解読手段187とを備えている。また、送信部184及び受信部185には、通信衛星30との間で通信を行うためのアンテナ188がデュプレクサ189を介して接続されている。なお、メモリ124に記憶されている稼働時間等は、基地局32に送信された後は消去されるようになっている。
【0030】
管理コンピュータ20は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成され、基地局32から送信された建設機械1の稼働時間等を受信する一方、その受信情報を加工して建設機械1を管理するものであり、管理コンピュータ20の全体の動作を制御する制御部201と、データ処理結果を表示するCRT等のモニタからなる表示部202と、制御部201に対して制御信号等を入力するキーボード等の入力部203と、プリンタ204とを備えている。このうち、入力部203は、後述するポイント数算出のための標準稼働時間、標準負荷率、標準使用時間、貸出期間等、ポイント数累計、提示のための現地管理者の名前、所定値等(以下、標準時間等という。)を入力する機能を有している。
【0031】
制御部201は、所定の演算乃至制御処理を行うCPU205と、所定の制御プログラム、識別情報及び後述するポイント数算出のための評価基準が記憶されたROM206と、処理データを一時的に記憶するRAM207と、管理対象となっている建設機械1の識別情報及び稼働時間等を記憶するための、EEPROMやフラッシュRAM等の書き換え可能なメモリ208とを備えている。メモリ208は、上記入力部で入力された標準稼働時間等を上記識別情報及び評価基準と関連付けて記憶する記憶領域を有している。
【0032】
また、CPU205には、基地局32に対して、基地局32内の図略のメモリに記憶されている建設機械1の識別情報及び稼働時間等の送信を要求する要求信号発生手段209と、送信されてきた識別情報及び稼働時間等をメモリ208に書き込む情報書込手段210と、メモリ208に書き込まれている稼働時間等に対して所定のデータ処理を行うデータ処理手段211と、建設機械1に対してメモリ124に記憶されている稼働時間等の送信を指令する指令情報発生手段212を備えている。
【0033】
このデータ処理手段211は、上記所定のデータ処理として、受信した稼働時間等から建設機械1について上記評価基準に基づいて上記識別情報により特定される現場指揮者に利益を還元するためのサービスのポイント数を算出するとともに、その算出の際に在庫量に応じてポイント数の調整を行うポイント数算出手段(算出手段、調整手段)217と、算出されたポイント数を現場指揮者毎に累計し、この累計値をメモリ208に当該現場指揮者と関連付けて記憶させるポイント数累計手段218と、現場指揮者毎のポイント数の累計値が所定値を超えたか否かを判断するポイント数判断手段219と、累積値が所定値を超えたと判断したときに、この累計値を表示部202等により提示するポイント数提示手段(提示手段)220とを備えている。
【0034】
メモリ208の上記記憶領域に記憶される標準稼働時間等は、入力部203を用いて、上記評価基準の具体例である、以下のいずれかのポイント数算出方法に対応させて設定変更することができる。したがって、上記ポイント数算出手段217において、レンタル会社は、所望のポイント数算出方法を適用することができる。
(1)稼働時間からのポイント数算出方法
実稼働時間をTd、一日の標準稼働時間をTs、貸出期間(日)をDとすると、Td<Ts×Dであれば、稼働時間に関するポイント数Phは次式で与えられる。
【0035】
Ph=(Ts×D−Td)×Kh…(a)
ここに、Khは定数であり、予め設定されている。例えば、Ts=4時間、D=5日、Kh=10とし、Td=16時間であれば、Ph=40となり、40ポイントが算出される。レンタルされる建設機械の在庫量が多い場合には、キャンペーン期間として、Kh=20とし、ポイント数が2倍になるようなポイント数の調整が行われる。なお、特殊仕様の使用時間からのポイント数算出方法では、上記実稼働時間、標準稼働時間の代わりにそれぞれ特殊仕様の使用時間、標準使用時間を用いればよい。
(2)負荷率からのポイント数算出方法
実負荷率をN、標準負荷率をNs、貸出期間(日)をDとすると、N<Nsであれば、負荷率に関するポイント数Pfは次式で与えられる。
【0036】
Pf=(Ns−N)×D×Kf…(b)
ここに、Kfは定数であり、予め設定されている。例えば、Ns=60%、D=5日、Kf=0.2とし、N=50%であれば、Pf=10となり、10ポイントが算出される。レンタルされる建設機械の在庫量が多い場合には、キャンペーン期間として、Kf=0.4とし、ポイント数が2倍となるようにポイント数が調整される。
(3)トータルのポイント数の算出方法
トータルのポイント数Pは、次式で与えられる。
【0037】
P=Ph+Pf…(c)
上記の例では、トータルのポイント数は50ポイントとなる。
【0038】
また、CPU205には、指令情報を基地局32に送信する送信部213と、基地局32から送信されてくる識別情報及び稼働時間等を受信する受信手段としての受信部214とが接続され、DSU(Digital Service Unit)215を介して基地局32と通信可能に接続されている。
【0039】
本実施形態では、上述したように、レンタルされる建設機械1についての、稼働時間等をメモリ124に一旦記憶し、衛星通信30を介して、管理コンピュータ20に送信する。管理コンピュータ20では、受信情報として、貸出期間の終了時に建設機械1から取得される稼働時間等が上記(a)〜(c)の計算式に当てはめられることにより、建設機械1のポイント数が算出される。そして、現場指揮者毎のトータルのポイント数が累計され、この累計値がメモリ208に現場指揮者と関連付けられて記憶される。そして、現場指揮者毎の累計値が所定値(例えば100ポイント)に達すると、その累計値が提示される。その提示方法は、例えば図3のようなフォーマット(ここでは、貸出期間が1日の場合におけるレンタル料金の請求とともにポイント数を提示する例を示している。)で表示部202のモニタ画面上に表示される一方、プリンタ204によりプリントアウトされるようになっている。レンタル会社は、このプリントアウトされたフォーマットを現場指揮者に送付等することにより、上記累計値に応じたランクのサービス(例えば金券、旅行券等)が現場指揮者に提供される。上記フォーマットは、図例のものに限られず、レンタル会社毎に定められた所定フォーマットを使用することもできる。
【0040】
通信衛星30は、例えば高度780km付近の極軌道上に打ち上げられた低軌道周回衛星であって、アンテナ188を介して送信部184から送信された建設機械1の稼働時間等を一旦受信した後に基地局32に送信するものであり、基地局32は、通信衛星30を介して送信されてきた建設機械1の稼働時間等を管理コンピュータ20に割り当てられたメモリに保存するものである。
【0041】
次に、上記構成されたシステムにおける建設機械1側の情報の送受信動作の概略について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0042】
すなわち、建設機械1のエンジンが始動されると、オルタネータ22等からの出力信号が機体コントローラ部12に取り込まれ、稼働時間等として情報書込手段127によりメモリ124にタイマー125からの日時情報とともに書き込まれる(ステップS1)。
【0043】
この稼働時間等は、上述のように、キースイッチユニット10、オルタネータ22等からの出力信号に基づいて得られるものであり、例えば、キースイッチ103から「START」信号が出力され、かつエンジンが始動されてオルタネータ22から発電信号が出力された時点が稼働開始時とされ、キースイッチ103から出力されていた「ON」信号がなくなり、かつオルタネータ22から出力されていた発電信号がなくなった時点が稼働停止時されて、これら稼働開始時と稼働停止時との差が稼働時間として情報処理手段126で算出され、その累計値が書き込まれる。
【0044】
次いで、情報読出手段128によりメモリ124に記憶されている稼働時間等が例えば貸出期間の終了時に読み出され(ステップS3)、送信部184によりアンテナ188を介して通信衛星30に送信される(ステップS5)。
【0045】
通信衛星30に送信された稼働時間等は、基地局32に送信されて基地局32のメモリに記憶される。稼働時間等は、通常はデータが圧縮された状態で送信され、管理コンピュータ20に取り込むときに解凍されることになる。
【0046】
そして、ステップS3で判定が否定されると、メモリ124に記憶されている稼働時間等を読み出して通信衛星30に送信する旨の管理コンピュータ20からの指令情報を受信したか否かが判別される(ステップS7)。この判別は、指令情報解読手段187により実行されるが、この判別にあたっては管理コンピュータ20から送信されてきた識別情報がROM182に記憶されている識別情報と一致するかどうかが照合手段186により照合され、一致する場合にのみ判別動作が実行される。
【0047】
ステップS7で判定が肯定されると、ステップS5に移行し、ステップS7で判定が否定されると、ステップS1に戻って以降の動作が繰り返し実行される。なお、ステップS5で稼働時間等が通信衛星30に送信されると、メモリ124に記憶されている稼働時間等は消去される。
【0048】
次に、上記構成されたシステムにおける管理コンピュータ20側の情報の送受信動作の概略について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0049】
まず、基地局32のメモリに保存されている稼働時間等が管理コンピュータ20により自動的に受信される(ステップS21)。ただし、必要に応じて入力部203の操作により基地局32に対して要求信号発生手段209から出力された要求信号が送信部213から送信され、この要求信号に応じて基地局32のメモリに保存されている稼働時間等が読み出される。そして、読み出された稼働時間等が基地局32から管理コンピュータ20に送信される。この送信された稼働時間等は、受信部214により受信され、識別情報と共に情報書込手段210によりメモリ208に書き込まれる。
【0050】
メモリ208に書き込まれた稼働時間等は、データ処理手段211により、上述したような所定のデータ処理が行われ(ステップS23)、稼働時間等に基づくポイント数の算出等がなされる。処理結果としての累計値は現場指揮者と関連付けられてメモリ208に記憶される。そして、累計値が所定値を超えたときにその累計値が表示部202のモニタ画面上に表示されるが、必要に応じてプリンタ204により記録紙にプリントアウトされる(ステップS25)。メモリ208に先に書き込まれた稼働時間等は、貸出期間終了時の入力部203の操作により消去指示信号が出力されるまでは保持されたままとなる。同メモリ208に記憶された現場指揮者毎の累計値は、貸出期間終了後もメモリ208内にそのまま保持され、次のレンタル時に加算される。
【0051】
上記各ステップ(S1〜S7,S21〜S25)で構成される建設機械のレンタルサービス方法の実行プログラムは、フレキシブルディスク等の可読記録媒体に記録しておき、或いは他のコンピュータ等にインストールして使用することもできる。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、レンタルされた建設機械1の稼働時間等が管理コンピュータ20側で正確にかつタイムリに取得される。そして、この取得された稼働時間等から算出されたポイント数が自動的に提示されるので、レンタル会社における人件費等の間接費が削減されるとともに、公平性が担保されて、適切なサービス提供がなされるようになる。さらに、建設機械を使用する側も、稼働時間等によってポイント数が算出されることが分かると、こまめにエンジン停止を行うので、燃料の無駄使いがなくなり、ひいては、COの減少による地球温暖化防止を図ることもできる。
【0053】
なお、上記実施形態では、グループレンタルの場合を説明したが、レンタル会社が特定の建設機械メーカからのみ建設機械1を購入する場合であってもよい。その場合には、特定の建設機械メーカの建設機械1について、複数の型式、仕様の中から特定の型式、仕様が現場指揮者の権限によって選択される。
【0054】
また、上記実施形態では、管理コンピュータ20は、レンタル会社の所有に係るものである場合を説明したが、この管理コンピュータ20は建設機械メーカ或いは機械管理会社の所有に係るものであってもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、建設機械1のキースイッチユニット10の信号出力等から算出された稼働時間等を、メモリ124に一旦記憶してから管理コンピュータ20に送信しているが、この稼働時間等を、メモリ124を経由させずに管理コンピュータ20に直接送信することとしてもよく、その場合、管理コンピュータ20側は、ほぼリアルタイムでの稼働時間等が取得される。また、建設機械1のキースイッチユニット10の信号出力等をそのまま管理コンピュータ20に送信して、管理コンピュータ20側で受信した情報から稼働時間等を算出することとしてもよく、その場合には、管理コンピュータ20での一括処理が可能となるので、より簡単なシステム構成となる。
【0056】
また、上記実施形態では、建設機械1の稼働時間及び負荷率をポイント算出のための情報としているが、例えば特殊仕様の使用時間等のあらゆる情報を含めてもよい。また、それらを単独で、或いは適当に組合せて用いてもよい。その場合には、より実情に沿ったポイントが算出される。
【0057】
また、上記実施形態では、管理コンピュータ20は、通信衛星30を介して建設機械1の稼働時間等を取得するようにしているが、通信衛星30を必ずしも介する必要はない。例えば、レンタルされた建設機械1が元のレンタル会社に返却される場合には、そのレンタル会社に返却されてきた建設機械1がその出入口ゲートを通過するとき等に、簡易無線や携帯端末を通じて稼働時間等を取得することができ、これにより簡易なシステムを構成することができる。この場合、さらに何ら通信手段を用いることなく、建設機械1の稼働情報を、前述したように、申告やICカードで取得することとしてもよく、これによりさらに簡易なシステムが構成される。
【0058】
また、上記実施形態では、燃料センサ26から算出される燃料消費量と、エンジンメーカにて事前に計測された定格負荷での単位時間の燃料消費量との比から負荷率を算出しているが、負荷率は以下のように算出してもよい。
【0059】
例えば建設機械1に設置された図示しないアクセルポテンショの指示値から無負荷エンジン回転数N0を算出し、図6に示すような、エンジン回転数−エンジン出力トルク線図から、現在の実エンジン回転数Nでの出力トルクTを算出する。実エンジン回転数と出力トルクとから出力馬力Pを算出することができる。すなわち、P=2πN×T/60となる。この出力馬力Pと予めエンジンメーカで計測された定格出力馬力Prとの比が、負荷率=P/Prとなる。
【0060】
また、上記実施形態では、建設機械1の消耗度は、主として負荷率の大きさにより増減するため、例えば負荷率の所定期間内での平均値を消耗度としているが、この負荷率の最大値或いは最小値を消耗度としてもよい。さらに、負荷率の代わりに或いは負荷率とともにエンジン回転数を考慮することとしてもよく、負荷率とエンジン回転数の両者を考慮すれば、さらに正確な消耗度を得ることができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項記載の発明によれば、レンタル先には、このポイント数の累計値に応じた何らかのサービスが受けられるという期待感を生じさせることができる。すなわち、建設機械をレンタルしたが、その建設機械をあまり稼働させなかった場合には、その消耗度が小さくなり、レンタル先に何らかの利益還元がなされることがリーズナブルであり、そのようなサービス提供により、レンタル先のリピート率が向上してレンタル売上増大を図ることができる。また、本サービス提供により、レンタル先においても、こまめにエンジン停止を行うようになるので、燃料の無駄使いをなくして、COの発生防止等をも図ることができる。
【0062】
請求項2〜4によれば、合理的なサービス提供がなされる。
【0063】
請求項記載の発明によれば、在庫量の適正化が図られる。
【0064】
請求項記載の発明によれば、建設機械の稼働情報を上記装置側で正確にかつタイムリに取得でき、これを用いてより適切なサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る建設機械のレンタルサービス方法が適用される装置を備えたシステムの構成を示す図である。
【図2】レンタルされる建設機械の流れ等を模式的に示す概念図である。
【図3】サービスポイントを提供するためのフォーマット例を示す説明図である。
【図4】図1に示すシステムの建設機械側の送受信動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示すシステムの管理コンピュータ側の送受信動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】他の負荷率算出方法で使用されるエンジン回転数−エンジン出力トルク線図である。
【符号の説明】
1 建設機械
10 キースイッチユニット(検出手段)
12 機体コントローラ部
18 送受信部
22 オルタネータ(検出手段)
26 燃料センサ(検出手段)
28 圧力センサ(検出手段)
124 メモリ
126 情報処理手段(検出手段)
184 送信部(送信手段)
20 管理コンピュータ
202 表示部
204 プリンタ
214 受信部(受信手段)
208 メモリ
211 データ処理手段
217 ポイント数算出手段(算出手段、調整手段)
218 ポイント数累計手段
219 ポイント数判断手段
220 ポイント数提示手段(提示手段)
30 通信衛星
32 基地局

Claims (6)

  1. 1又は複数のレンタル先にレンタルされる1台又は複数台の建設機械の検出手段からの情報に基づく当該建設機械の稼動時間、負荷率及び特殊仕様の使用時間の少なくとも1つを含む各稼働情報を収集可能な管理コンピュータを備え、この管理コンピュータが、
    各稼動情報に対応した標準値としての標準稼動時間、標準負荷率及び標準使用時間の少なくとも1つを入力するための入力部と、
    上記入力部によって入力された標準値を予め設定された評価基準と関連付けて記憶するメモリと、
    上記各稼働情報を上記メモリに書き込む情報書込手段と、
    上記情報書込手段によって上記メモリに書き込まれた各稼動情報から当該建設機械について上記メモリに標準値と関連付けて記憶された評価基準に基づいてレンタル先に利益を還元するためのサービスのポイント数を算出する算出手段と、
    上記算出手段によって算出されたポイント数をレンタル先毎に累計して提示する提示手段と
    を備えたことを特徴とする建設機械のレンタルサービス装置。
  2. 上記稼働情報は、建設機械の稼働時間であり、上記評価基準は、建設機械の実稼働時間が標準稼働時間よりも少ない場合にのみ、標準稼働時間から実稼働時間を差し引いた値に比例したポイント数を上記算出手段により算出するものであることを特徴とする請求項1記載の建設機械のレンタルサービス装置。
  3. 上記稼働情報は、建設機械の負荷率であり、上記評価基準は、実負荷率が標準負荷率よりも小さい場合にのみ、標準負荷率から実負荷率を差し引いた値に比例したポイント数を上記算出手段により算出するものであることを特徴とする請求項1記載の建設機械のレンタルサービス装置
  4. 上記稼働情報は、建設機械の特殊仕様の使用時間であり、上記評価基準は、実使用時間が標準使用時間よりも少ない場合にのみ、標準使用時間から実使用時間を差し引いた値に比例したポイント数を上記算出手段により算出するものであることを特徴とする請求項1記載の建設機械のレンタルサービス装置。
  5. 上記算出手段は、算出するポイント数を、建設機械の在庫状態に応じて調整する調整手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械のレンタルサービス装置。
  6. 1又は複数のレンタル先にレンタルされる1台又は複数台の建設機械と、該各建設機械と通信可能な請求項1又は5記載の装置とを備えた建設機械のレンタルサービスシステムであって、各建設機械に、各稼働情報を検出する検出手段と、検出された各稼働情報を送信する送信手段とを設け、上記装置に、各建設機械から送信された各稼働情報を受信する受信手段を設けたことを特徴とする建設機械のレンタルサービスシステム。
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