JP3632577B2 - データ伝送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数とされたクロック信号に同期して、所定のデータ長のパケットのデータストリームを送出することによりデータを伝送出力するデータ伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、音声情報及び画像情報の圧縮伝送規格のひとつであるMPEG−2 Systems(ITU−T H.222.0,ISO/IEC 13818−1)を利用して、デジタル方式によりデータを伝送するデジタル放送が、実用化されている。
【0003】
このようなデジタル放送は、従来から広く利用されているアナログ放送に比べて、高品質な音声情報や画像情報を伝送することができる。また、デジタル方式で伝送することから、音声情報や画像情報だけでなく、例えばコンピュータや各種の情報端末を介して利用するような各種データをも伝送することができ、様々なコンテンツを組み合わせて多様な放送をすることが容易となる。
【0004】
ところで、デジタル放送では、伝送するデータを所定のクロック信号に同期してパケット単位でデータストリーム(パケットを時間方向に並べた集合体)として送出する必要がある。このとき、伝送帯域を有効に利用して効率的なデータ伝送を実現するため、クロック信号の信号周期を変更せずに、伝送するデータの出力レートを可変としたいという要求がある。
【0005】
このような要求に応えるために、従来は、例えばPLL(Phase Locked Loop)回路を用いたり、或いは、単純なデジタル回路によりクロック信号を分周する手法が用いられている。
【0006】
ここで、従来のデータ伝送装置におけるデータ伝送回路の一例について、図6を参照しながら説明する。なお、図6に示す一例は、クロック信号を分周することにより、このクロック信号に同期してデータを伝送する場合の例である。
【0007】
従来のデータ伝送装置は、図6に示すように、所定の周波数とされたクロック信号が入力されるカウンタ100を備えており、このカウンタ100がクロック信号に同期してカウント値をカウントアップするように構成されている。カウンタ100は、このカウント値を、第1の比較器101と第2の比較器102とに出力する。
【0008】
第1の比較器101は、カウンタ100から入力されたカウント値と、第1のレジスタ103に保持された値とを比較し、カウント値の方が小であるときに、伝送するデータの読み出し継続を示す読出信号を出力する。そして、データ伝送装置においては、この読出信号が出力されているときに、伝送するデータを図示しないバッファに読み出す。
【0009】
第2の比較器102は、カウンタ100から入力されたカウント値と、第2のレジスタ104に保持された値とを比較し、これらが同値であるときにスタート信号を出力する。また、このスタート信号が出力されたときに、カウンタ100におけるカウント値を「0」に戻してクリアする。
【0010】
従来のデータ伝送装置は、以上のようなデータ伝送回路を備えており、クロック信号に同期してカウンタ100がカウントアップしたカウント値に基づいて、第2の比較器102によりスタート信号が出力される。そして、このスタート信号が出力されたタイミングで、バッファに読み出されたデータをパケット単位でデータストリームとして送出する構成とされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようなPLL回路を用いる手法では、アナログ回路が必須となるため、その回路構成が複雑となり、高コスト化を招く問題がある。
【0012】
また、上述したように、単純なデジタル回路により出力クロックを分周する手法では、伝送するデータの送出タイミングが、クロック信号に基づいてカウントアップされるカウント値に依存していることから、出力レートを自由に設定することができない問題がある。
【0013】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、伝送するデータの出力レートを自由に設定することが可能なデータ伝送装置を低コストで提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るデータ伝送装置は、上述の課題を解決するための手段として、所定の周波数とされたクロック信号に同期して、所定のデータ長のパケットをデータストリームとして送出することによりデータを伝送出力するデータ伝送装置において、
データの出力レートを上記パケットのデータ長で除算した値で上記クロック信号の周波数を除算した値の整数部をAINTEとし、分数部における分母及び分子をそれぞれADENO,ANUMEとしたときに、
上記クロック信号に同期して、カウント値をカウントアップするカウンタと、
上記カウンタから出力されるカウント値と、上記パケットのデータストリームのデータ長とを比較して、カウント値の方が小であるときに、伝送出力するデータの読み出し継続を示す読出信号を出力する第1の比較器と、
上記カウンタから出力されるカウント値と、上記AINTEから1を引いた値とを比較して、これらが同値であるときに同期信号を出力する第2の比較器と、
上記第2の比較器から出力される同期信号を上記クロック信号の1周期分だけ遅延して、遅延信号を出力する遅延器と、
上記第2の比較器から出力される同期信号と上記遅延器から出力される遅延信号とのうちの一方をタイミング選択信号に基づいて選択し、選択した信号を、読み出されたデータをデータストリームとして送出するタイミングを示すスタート信号として出力するとともに、このスタート信号を上記カウンタに入力してカウント値をクリアする第1の選択器と、
上記第1の選択器での選択に用いるタイミング選択信号を生成する選択信号生成部とを備え、
上記選択信号生成部は、
上記クロック信号に同期して、ロード信号が有効であるときに入力値を取り込んで保持するレジスタと、
上記レジスタに保持された値と上記A NUME とを加算して、加算値を出力する加算器と、
上記レジスタに保持された値から上記A DENO を減算して、減算値とボロー信号とを出力する減算器と、
上記加算器から出力される加算値と上記減算器から出力される減算値とのうちの一方を、値選択信号に基づいて選択して上記レジスタの入力値として出力する第2の選択器と、
上記クロック信号に同期して、上記第2の選択器から出力されるスタート信号と上記減算器から出力されるボロー信号とに基づいて、上記レジスタで入力値を取り込むタイミングを示すロード信号と、上記第2の選択器での選択に用いる値選択信号と、上記第1の選択器での選択に用いるタイミング選択信号とを出力する順序回路とを備える。
【0015】
以上のように構成された本発明に係るデータ伝送装置では、読み出したデータをパケットのデータストリームとして送出するタイミングを、同期信号が出力されるタイミングとするか、或いはこの同期信号よりもクロック信号の1周期分遅延した遅延信号が出力されるタイミングとするかを、タイミング選択信号に応じて制御する。
【0016】
また、選択信号生成部によって、このタイミング選択信号が所望とする出力レートに応じて出力されることから、データを送出するタイミングを高精度に制御して出力レートを自由に設定可能とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、MPEG−2 Systems(ITU−T H.222.0,ISO/IEC 13818−1)で規定されるトランスポート・パケット(以下、TSパケットという。)をDVB−ASI(Digital Video Broadcasting − Asynchronus Serial Interface)に対応した伝送フォーマットで伝送出力するデータ伝送装置に適用することができる。この本発明の実施の形態となるデータ伝送装置は、図1に示すような伝送フォーマットによりデータを伝送出力するようになっている。
【0018】
この伝送フォーマットは、TSパケットを伝送する物理層として、MPEG技術を応用したDVB(Digital Video Broadcasting)のシリアルインタフェースとして規定されたDVB−ASI(Digital Video Broadcasting − Asynchronus Serial Interface)を用いる構成とされている。TSパケットは、MPEG−2 Systemsにより規定された多重化データ形式のひとつであり、188バイトのデータ列からなる。そして、複数のTSパケットにおける各々のデータ列の中に、伝送するデータが分割されて格納される。
【0019】
図1に示す伝送フォーマットでは、188バイト(8バイト/ビット)のTSパケットを、10バイト/ビットに変換して1880ビットとし、このTSパケットを27MHzのクロック信号に同期させてデータストリームとして送出する。なお、MPEG2では、データストリームのことをトランスポートストリームと称するので、以下の説明においてもトランスポートストリームと記述する。また、TSパケットが送出されないときには、このDVB−ASIのビットストリームとして予め決められたデータ列(K28.5)を送出する。
【0020】
この実施の形態のデータ伝送装置は、以上のような伝送フォーマットによりデータを伝送出力するために、図2に示すようなデータ伝送回路1を備える。データ伝送回路1は、カウンタ10と、第1の比較器11と、第1のレジスタ12と、第2の比較器13と、第2のレジスタ14と、遅延器15と、第1の選択器16と、選択信号生成部17とを備え、これら各部が各種半導体素子により構成されており、デジタル方式で信号処理するデジタル回路である。
【0021】
データ伝送回路1は、所定の信号周期とされたクロック信号に同期して、伝送出力するデータの読み出し継続を示す読出信号と、読み出されたデータ中のTSパケットの先頭を示すスタート信号とを出力する。
【0022】
このデータ伝送装置においては、読出信号が出力されているときに、TSパケットとして多重化され図示しないバッファに蓄えられたデータがトランスポートストリームとして読み出されるように構成されている。また、TSパケットを送出しないときには、予め決められたデータ列(K28.5)がトランスポートストリームとして送出されるように構成されている。
【0023】
データ伝送回路1において、カウンタ10は、クロック信号が入力されており、このクロック信号に同期して、カウント値をカウントアップする。また、カウンタ10は、後述するようにして第1の選択器16から出力されるスタート信号が入力されたときに、カウント値を「0」にクリアする。
【0024】
第1の比較器11は、カウンタ10から出力されるカウント値と、第1のレジスタ12の出力値とが入力されており、これらの値を比較して、カウント値の方が小であるときに、読出信号を出力する。第1のレジスタ12は、外部から設定される所定の値を保持し、この値を出力する。すなわち、第1の比較器11からは、カウント値が第1のレジスタ12の出力値未満である間、読出信号が出力され続ける。このとき、カウンタ値は「0」からスタートすることから、バッファから第1のレジスタ12の出力値よりも1だけ長い長さのデータが送出される。
【0025】
第2の比較器13は、カウンタ10から出力されるカウント値と、第2のレジスタ14の出力値とが入力されており、これらの値を比較して、これらが同値となったときに同期信号を出力する。第2のレジスタ14は、外部から設定される所定の値を保持し、この値を出力する。すなわち、第2の比較器13からは、カウンタ値が第2のレジスタ14の出力値と同値となったときに、同期信号が出力される。この同期信号としては、例えば、その出力時に信号レベルがパルス状にハイ(H)となる信号である。
【0026】
遅延器15は、第2の比較器13から出力される同期信号を、クロック信号の1周期分だけ遅延して、遅延信号を出力する。具体的には、例えば、同期信号のパルスを、クロック信号の1周期分だけ遅延させて、遅延信号とする。すなわち、この遅延信号は、同期信号が出力されるときのカウント値よりも1だけ大きいカウント値のときに出力される。
【0027】
第1の選択器16は、第2の比較器13から出力される同期信号と、遅延器15から出力される遅延信号とが入力されるとともに、後述するようにして選択信号生成部17から出力されるタイミング選択信号が入力される。第1の選択器16は、タイミング選択信号に基づいて、同期信号と遅延信号とのうちの一方を選択し、選択した信号をスタート信号として出力する。このとき、例えば、タイミング選択信号の信号レベルがハイ(H)であるときに同期信号を選択してスタート信号とし、タイミング選択信号の信号レベルがロウ(L)であるときに遅延信号を選択してスタート信号とする。
【0028】
選択信号生成部17は、クロック信号と、第1の選択器16から出力されるスタート信号とが入力されており、これらの信号に基づいて所定のデジタル演算処理を行うことによってタイミング選択信号を生成し、第1の選択器16に出力する。
【0029】
ここで、選択信号生成部17における具体的な回路構成について、図3を参照しながら説明する。
【0030】
選択信号生成部17は、図3に示すように、第3のレジスタ20と、加算器21と、第4のレジスタ22と、減算器23と、第5のレジスタ24と、第2の選択器25と、順序回路26とを備え、これら各部が各種半導体素子により構成されている。
【0031】
第3のレジスタ20は、クロック信号と、後述するようにして順序回路26から出力されるロード信号、及び第2の選択器25から出力される値とが入力されている。そして、クロック信号に同期して、ロード信号が有効であるときに、第2の選択器25からの入力値を取り込んで保持する。すなわち、第3のレジスタ20では、ロード信号がクロックイネーブルとして入力されており、例えば、ロード信号の信号レベルがハイ(H)であるときに、クロック信号に同期して入力値を取り込む。
【0032】
加算器21は、第3のレジスタ20に保持された値と、第4のレジスタ2に保持された値とが入力されており、これらの値を加算して、加算値を出力する。また、第4のレジスタ2は、外部から設定される所定の値を保持し、この値を出力する。
【0033】
減算器23は、第3のレジスタ20に保持された値と、第5のレジスタ2に保持された値とが入力されている。そして、第3のレジスタ20からの入力値から、第5のレジスタ2からの入力値を減算し、減算値とボロー信号とを出力する。ここで、ボロー信号とは、減算した結果が負であるときに「1」となり、正であるときに「0」となるボロー値を示す信号であり、例えば、ボロー値が「1」であるときに信号レベルがハイ(H)となり、ボロー値が「0」であるときに信号レベルがロウ(L)となる信号である。
【0034】
第2の選択器25は、加算器21から出力される加算値と、減算器23から出力される減算値とが入力されており、これらの値のうちの一方を、後述するようにして順序回路26から出力される値選択信号に基づいて選択し、第3のレジスタ20に出力する。このとき、例えば、値選択信号の信号レベルがハイ(H)であるときに加算値を選択して出力し、値選択信号の信号レベルがロウ(L)であるときに減算値を選択して出力する。
【0035】
順序回路26は、クロック信号と、第の選択器1から出力されるスタート信号と、減算器23から出力されるボロー信号とが入力されており、これらの信号に基づいて、ロード信号と、値選択信号と、タイミング選択信号とを出力する。この順序回路26は、例えば、現在の状態と入力信号とに基づいて次の状態と出力信号とを演算処理する組み合わせ回路と、状態を記憶するフリップフロップとによって構成されており、2つのステートマシンS,Sを備える。
【0036】
順序回路26における一方のステートマシンSは、図4(a)に示すように状態遷移して動作する。すなわち、ステートマシンSは、初期状態SA0において、値選択信号の信号レベルをハイ(H)に設定する。また、この初期状態SA0において、スタート信号の信号レベルがロウ(L)であるときには状態を遷移せず、スタート信号の信号レベルがハイ(H)であるときには、状態SA1に遷移する。
【0037】
状態SA1においては、ロード信号の信号レベルをハイ(H)に設定する。そして、状態SA2に遷移する。状態SA2においては、値選択信号の信号レベルをロウ(L)に設定する。このとき、ボロー信号の信号レベルがハイ(H)である場合には、状態SA3に遷移し、ボロー信号の信号レベルがロウ(L)である場合には、状態SA4に遷移する。状態SA3においては、ロード信号の信号レベルをハイ(H)に設定した後、初期状態SA0に遷移する。また、状態SA4においては、ロード信号の信号レベルをロウ(L)に設定した後、初期状態SA0に遷移する。
【0038】
一方、順序回路26における他方のステートマシンSは、図4(b)に示すように状態遷移して動作する。すなわち、ステートマシンSは、初期状態SB0において、タイミング選択信号の信号レベルをロウ(L)に設定する。この初期状態SB0において、ステートマシンSの状態SAがSA3以外であるときには状態を遷移せず、ステートマシンSの状態SAがSA3であるときには状態SB1に遷移する。
【0039】
状態SB1においては、タイミング選択信号の信号レベルをハイ(H)に設定する。また、状態SB1において、ステートマシンSの状態SAがSA4以外であるときには状態を遷移せず、ステートマシンSの状態SAがSA4であるときには初期状態SB0に遷移する。
【0040】
順序回路26は、以上のように状態遷移する2つのステートマシンS,Sを備え、クロック信号に同期して、スタート信号及びボロー信号に基づいて、値選択信号、ロード信号、及びタイミング選択信号を出力する。
【0041】
このデータ送信装置では、第2の比較器13によって、カウンタ10によりクロック信号に同期してカウントアップされたカウント値が所定の値となったときに、同期信号が出力されるとともに、この同期信号よりもクロック信号の1周期分遅延した遅延信号が遅延器15によって出力されている。そして、第1の選択器16によって、タイミング選択信号に応じて同期信号と遅延信号とのうちの一方が選択され、スタート信号として出力されている。そして、このスタート信号が出力されるタイミングで、バッファに蓄えられたデータがTSパケットとしてトランスポートストリームとして送出され、図1に示す伝送フォーマットでデータが伝送される。
【0042】
このデータ伝送装置においては、TSパケットをトランスポートストリームとして送出するタイミングを、同期信号が出力されるタイミング、すなわちカウント値が第2のレジスタ14に保持された値となったときのタイミングだけに制限されておらず、この同期信号よりもカウント値1つ分だけ遅延して出力される遅延信号のタイミングを選択することも可能とされている。したがって、TSパケットを送出するタイミングを高精度に制御することができ、これにより出力レートを自由に設定することができる。
【0043】
ここで、図1に示す伝送フォーマットでデータを伝送する場合において、クロック信号の信号周期が27MHzであるときに、出力レートを5Mバイト/secに設定する場合の例について、具体的な例を挙げて説明する。
【0044】
まず、図6に示した従来のデータ伝送装置において、出力レートを5Mバイト/secに設定する場合について説明する。ここで、出力レートをx[バイト/sec]とし、TSパケットの送出間隔をm[カウント値]とすると、TSパケットが188バイトであり、クロック信号の周波数が27MHzであることから、これらの関係は、以下に示す式1のように表すことができる。
【0045】
【数1】
Figure 0003632577
この式1を変形して、以下に示す式2のように表すことができる。
【0046】
【数2】
Figure 0003632577
上記の式2において、第1項目は、クロック信号の周波数を表している。また、第2項目は、データの出力レートをTSパケットのデータ長で除算した値を表している。すなわち、TSパケットの送出間隔mは、データの出力レートを上記パケットのデータ長で除算した値で上記クロック信号の周波数を除算した値とされる。
【0047】
従来のデータ伝送装置において、出力レートを5Mバイト/secに設定するためには、以下の式3を上記の式2に代入すればよい。
【0048】
【数3】
Figure 0003632577
したがって、出力レートを5Mバイト/secに設定するためには、TSパケットの送出間隔mを、m=8121.6[カウント値]に設定すればよいこととなる。しかしながら、図6に示す従来のデータ伝送装置では、クロック信号の整数倍のカウント値でしかスタート信号を出力することができない。
【0049】
このため、第2のレジスタ104に設定する値は、[8121]又は[8122]とすることになる。ただし、実際には、カウンタ100におけるカウント値のクリアが、次のクロックで有効になることから、これらの値からそれぞれ1を引いた値、すなわち[8120]又は[8121]を第2のレジスタ104に設定する。なお、第1のレジスタ103には、TSパケットのバイト長(188バイト)から同様に1を引いた値である[187]を設定する。
【0050】
このとき、第2のレジスタ104に[8121]なる値を設定したときに生じる出力レートの誤差xerrは、以下に示す式4のように表すことができる。
【0051】
【数4】
Figure 0003632577
すなわち、1秒あたり約246ビットの誤差が生じてしまうこととなる。これは、従来のデータ伝送装置では、第2のレジスタ104に設定する値によってTSパケットを送出するタイミングが制限されてしまい、出力レートを自由に設定することができないことを示している。
【0052】
そこで、当該実施の形態のデータ伝送装置では、TSパケットの送出タイミングを高精度に制御することによって、出力レートを自由に設定することを可能としている。この点について、順を追って説明する。
【0053】
まず、クロック信号からTSパケットのバイト周波数を生成するために、このクロック信号の信号周期を1/A倍にすることを考える。ここで、クロック信号の信号周期をFvとし、TSパケットのバイト周波数をFTSとし、比例定数をAとすると、これらの関係は以下に示す式5のように表すことができる。
【0054】
【数5】
Figure 0003632577
ここで、上記の式5における比例定数Aに注目し、この比例定数Aを整数部と分数部とに分けて変形し、以下に示す式6を得る。なお、この比例定数Aは、上記の式2におけるTSパケットの送出間隔mに相当し、データの出力レートを上記パケットのデータ長で除算した値で上記クロック信号の周波数を除算した値に相当する。言い換えると、比例定数Aは、TSパケットの送出間隔をカウント値でカウントした値である。
【0055】
【数6】
Figure 0003632577
上記の式6において、AINTEは比例定数Aの整数部を表し、ANUMEは比例定数Aの分数部における分子を表し、ADENOは比例定数Aの分数部における分母を表す。また、[Fv/F TS ]は、Fv/F TS を超えない最大の整数を表す。なお、AINTE,ANUME,ADENOは、全て整数である。
【0056】
ここで、TSパケットを送出するN周期目におけるカウント値CNは、以下に示す式7のように表すことができる。
【0057】
【数7】
Figure 0003632577
上記の式7において、下線部(ext_count)は、カウント値の1以下である端数を集めた値となる。すなわち、式7における下線部(ext_count)が、従来のデータ伝送装置においては出力レート誤差となることが分かる。言い換えると、従来のデータ伝送装置においては、上記の式2におけるTSパケットの送出間隔mが比例定数Aの整数部AINTEに相当しており、式7における下線部(ext_count)が考慮されていなかったために、出力レートに誤差が生じてしまう場合がある。
【0058】
そこで、当該実施の形態では、式7における下線部(ext_count)を、以下の式8に示すように近似して、この式8における演算処理を選択信号生成部17によって実現している。ただし、下記の式8においてmod(A,B)は、AのBによる剰余、すなわちAをBで除算した余りを表す。
【0059】
【数8】
Figure 0003632577
つぎに、上述したようにして導いた式7及び式8を、当該実施の形態のデータ伝送装置に適用する場合の具体的な一例について説明する。この場合においても、図1に示す伝送フォーマットでデータを伝送するとし、クロック信号の信号周期が27MHzであるときに、出力レートを5Mバイト/secに設定することを想定する。
【0060】
この場合では、上記の式2によりm=8121.6となることから、上述の説明における比例定数Aは、以下に示す式9のように表すことができ、AINTE=8121、ANUME=3、ADENO=5となる。
【0061】
【数9】
Figure 0003632577
まず、第1のレジスタ12には、従来のデータ伝送装置と同様にして、カウンタ10におけるカウント値のクリアが次のクロックで有効になる(カウンタ10におけるカウント値のカウントアップが「0」からスタートする)ことを考慮して、TSパケットのバイト長(188バイト)から1を引いた値である[187]を設定する。これにより、第1の比較器11では、カウント値が第1のレジスタ12に設定された値[187]と同値になるまで読出信号が出力される。したがって、188バイト分のデータがバッファに蓄えられる。
【0062】
また、第2のレジスタ14には、クロック信号の信号周期を所望とする出力レート(5Mバイト/sec)で除算したときの商から1を引いた値、すなわち[AINTE−1]を設定する。ここで、1を引いているのは、カウント値のカウントアップが「0」からスタートすることを考慮してのことである。これにより、第2の比較器13からは、カウント値が[8120]となったときに、同期信号が出力される。また、遅延器15によって、同期信号よりもクロック信号の1周期分だけ遅延された遅延信号が出力される。言い換えると、この遅延信号は、カウント値が[8121]となったときに出力される。
【0063】
一方、選択信号生成部17における第4のレジスタ22には、上記の式9における値A NUME 、すなわち[]を設定する。この値A NUME は、データの出力レート(5Mバイト/sec)をTSパケットのデータ長(188×8ビット)で除算した値でクロック信号の周波数(27MHz)を除算した値の分数部における分に相当する。
【0064】
また、第5のレジスタ24には、上記の式9における値A DENO 、すなわち[]を設定する。この値A DENO は、データの出力レート(5Mバイト/sec)をTSパケットのデータ長(188×8ビット)で除算した値でクロック信号の周波数(27MHz)を除算した値の分数部における分に相当する。
【0065】
これにより、選択信号生成部17においては、第3のレジスタ20、加算器21、減算器23、第2の選択器25、及び順序回路26により構成されたデジタル回路によって、この順序回路26が図4に示す状態遷移で動作することから、上記の式8に相当する演算処理が行われることとなる。すなわち、第3のレジスタ20には、上記の式8における剰余部の演算結果に相当する値が取り込まれる。そして、加算器21及び減算器23によって、第のレジスタ20に取り込まれた剰余部の演算結果に対して、値ANUMEを加算するとともに、値A DENO を減算する演算処理が行われる。
【0066】
このとき、減算器23から出力されるボロー信号は、この減算器23における演算結果が正である場合に、信号レベルがロウ(L)とされ、演算結果が負である場合に、信号レベルがハイ(H)とされる。すなわち、ボロー信号の信号レベルがロウ(L)であるときは上記の式8において[ext_count]の値が「0」である場合に相当し、ボロー信号の信号レベルがハイ(H)であるときには[ext_count]の値が「1」である場合に相当する。
【0067】
そして、順序回路26では、図4に示すように、減算器23から出力されるボロー信号に応じて、ステートマシンSの状態がSA3となるかSA4となるかが定まり、これに応じてステートマシンSの状態が定まって、タイミング選択信号の信号レベルが決定される。
【0068】
そして、第1の選択器16では、このタイミング選択信号の信号レベルがロウ(L)である場合(上記の式8における[ext_count]の値が「0」に相当する場合)に、カウント値が「8120」であるときに出力される同期信号をスタート信号として選択し、タイミング選択信号の信号レベルがハイ(H)である場合([ext_count]の値が「1」に相当する場合)に、カウント値が「8121」であるときに出力される遅延信号をスタート信号として選択するように構成されている。
【0069】
当該実施の形態のデータ伝送装置において、上述のように動作する場合の、クロック信号、カウント値、及び各信号の信号レベルの状態を図5に示す。
【0070】
この図5から明らかであるように、当該実施の形態のデータ伝送装置では、カウント値が「8120」となったときに信号レベルがハイ(H)になる同期信号と、カウント値が「8121」となったときに信号レベルがハイ(H)になる遅延信号とが生成されている。そして、減算器23から出力されるボロー信号の信号レベルがハイ(H)である場合に同期信号がスタート信号として出力され、ボロー信号の信号レベルがロウ(L)である場合に遅延信号がスタート信号として出力される。
【0071】
これにより、上記の式7における下線部(ext_count)、すなわち従来のデータ伝送装置においては出力レート誤差とされていたカウント値の端数を考慮して、TSパケットの送出タイミングを高精度に制御することができる。したがって、データの出力レートをクロック信号の信号周期に制限されずに自由な値に設定することができ、伝送帯域を有効に利用して効率的なデータ伝送を行うことが可能となる。
【0072】
上述の説明においては、第1のレジスタ12、第2のレジスタ14、第4のレジスタ22、及び第5のレジスタ2にそれぞれ所定の値を設定し、これらレジスタに設定された値を比較器や加算器、或いは減算器により参照するように構成しているが、本発明はこのような構成例に限定されるものではない。例えば、各レジスタを備えずに構成し、比較器や加算器、或いは減算器で用いる値を予め固定しておいてもよい。ただし、各値をレジスタに設定する構成とすることにより、クロック信号の周波数や所望とする出力レートを必要に応じて設定し直すことが容易となる。
【0073】
最後に、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、所定の周波数とされたクロック信号に同期して、所定のデータ長のパケットのデータストリームとして送出するデータ伝送装置に対して広く適用することができる。
【0074】
また、データ伝送装置の各部は、各種半導体素子などを用いてハードウエアにより構成してもよいし、コンピュータ等の情報処理装置における所定の動作を記述したソフトウエアにより構成してもよい。
【0075】
そして、これら以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、例えば設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0076】
【発明の効果】
本発明に係るデータ伝送装置は、読み出したデータをパケットのデータストリームとして送出するタイミングを、同期信号が出力されるタイミングとするか、或いはこの同期信号よりもクロック信号の1周期分遅延した遅延信号が出力されるタイミングとするかを、タイミング選択信号に応じて制御することができる。また、選択信号生成部によって、このタイミング選択信号が所望とする出力レートに応じて出力されることから、データを送出するタイミングを高精度に制御して出力レートを自由に設定することができる。
【0077】
したがって、本発明に係るデータ伝送装置は、カウンタから出力されるカウント値に制限されずに自由な出力レートでデータを送出することができ、クロック信号の信号周期を変更せずに、伝送帯域を有効に利用して効率的なデータ伝送を実現することができる。
【0078】
また、本発明によれば、データの送出タイミングの制御をデジタル回路だけで実現することができることから、回路構成が複雑となることがなく、低コスト化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態となるデータ伝送装置によりデータを伝送出力する伝送フォーマットの一例を示す概略図である。
【図2】前記実施の形態のデータ伝送装置に設けられているデータ伝送回路の回路図である。
【図3】前記データ伝送回路における選択信号生成部の回路図である。
【図4】前記選択信号生成部における順序回路の状態遷移を示す状態遷移図である。
【図5】前記実施の形態のデータ伝送装置におけるクロック信号、カウント値、及び各信号の信号レベルの状態を示す概略図である。
【図6】従来のデータ伝送装置の概略図である。
【符号の説明】
1…データ伝送回路、10…カウンタ、11…第1の比較器、12…第1のレジスタ、13…第2の比較器、14…第2のレジスタ、15…遅延器、16…第1の選択器、17…選択信号生成部、20…第3のレジスタ、21…加算器、22…第4のレジスタ、23…減算器、24…第5のレジスタ、26…順序回路

Claims (1)

  1. 所定の周波数とされたクロック信号に同期して、所定のデータ長のパケットをデータストリームとして送出することによりデータを伝送出力するデータ伝送装置において、
    データの出力レートを上記パケットのデータ長で除算した値で上記クロック信号の周波数を除算した値の整数部をAINTEとし、分数部における分母及び分子をそれぞれADENO,ANUMEとしたときに、
    上記クロック信号に同期して、カウント値をカウントアップするカウンタと、
    上記カウンタから出力されるカウント値と、上記パケットのデータストリームのデータ長とを比較して、カウント値の方が小であるときに、伝送出力するデータの読み出し継続を示す読出信号を出力する第1の比較器と、
    上記カウンタから出力されるカウント値と、上記AINTEから1を引いた値とを比較して、これらが同値であるときに同期信号を出力する第2の比較器と、
    上記第2の比較器から出力される同期信号を上記クロック信号の1周期分だけ遅延して、遅延信号を出力する遅延器と、
    上記第2の比較器から出力される同期信号と上記遅延器から出力される遅延信号とのうちの一方をタイミング選択信号に基づいて選択し、選択した信号を、読み出されたデータをデータストリームとして送出するタイミングを示すスタート信号として出力するとともに、このスタート信号を上記カウンタに入力してカウント値をクリアする第1の選択器と、
    上記第1の選択器での選択に用いるタイミング選択信号を生成する選択信号生成部とを備え、
    上記選択信号生成部は、
    上記クロック信号に同期して、ロード信号が有効であるときに入力値を取り込んで保持するレジスタと、
    上記レジスタに保持された値と上記A NUME とを加算して、加算値を出力する加算器と、
    上記レジスタに保持された値から上記A DENO を減算して、減算値とボロー信号とを出力する減算器と、
    上記加算器から出力される加算値と上記減算器から出力される減算値とのうちの一方を、値選択信号に基づいて選択して上記レジスタの入力値として出力する第2の選択器と、
    上記クロック信号に同期して、上記第2の選択器から出力されるスタート信号と上記減算器から出力されるボロー信号とに基づいて、上記レジスタで入力値を取り込むタイミングを示すロード信号と、上記第2の選択器での選択に用いる値選択信号と、上記第1の選択器での選択に用いるタイミング選択信号とを出力する順序回路とを備えることを特徴とするデータ伝送装置。
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