JP3631886B2 - ロータマグネットの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロッピーディスクドライブ装置(FDD)、デジタルオーディオディスク装置(DAD)、プリンター、ファックス及びビデオカメラ等を駆動するモータに使用されるロータマグネットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、FDDやDAD等のキャリッジには、図11に示すような小型の電動機31と同種のステッピングモータが用いられている。このような電動機31は、プレート32に固定されたステータ部33と、プレート32に軸受部材34を介して回転可能に保持されたロータ部35とを備えている。ロータ部35は、回転軸36と、ロータマグネット37とからなっている。ロータマグネット37は、回転軸36のステータ33に対向する位置に接着固定されている。なお、回転軸36の一端は、玉軸受部38によって軸受けされており、玉軸受部38の鋼球39に当接する凹部36aが設けられている。
【0003】
このような電動機31に使用されている従来のロータマグネット37は、図12に示したように、混合工程(I’)→プレス工程(II’)→硬化工程(III’)→接着工程(IV’)の順に、それぞれの各工程で所定の処理をされて形成される。
【0004】
まず、混合工程(I’)では、ロータマグネット37の原料となる磁粉末と、この磁粉末を接着し固めるためのバインダーとなるエポキシ系の樹脂とが以下の方法で混合されて磁性混合物が生成される。なお、磁粉末は、Nd(ネオジウム)−Fe(鉄)−B(ボロン)やSm2 (サマリウム)−Co17(コバルト)等の希土類系磁粉末が使用される。一方、エポキシ系の樹脂は、主剤と硬化剤とから構成されており、磁粉末と混合する前に予め主剤と硬化剤とを適量に調合されたものが使用される。このように構成された磁粉末に、このエポキシ系の樹脂をコーティングする処理が行われることによって、磁性混合物が生成される。
【0005】
このように生成された磁性混合物は、良く乾燥させられた後、次のプレス工程(II’)でプレス加工される際に磁粉どうしの滑りを良くするための潤滑剤としてのステアリン酸カルシウムが僅かに添加される。なお、バインダーとしてのエポキシ系樹脂は、磁粉を凝固接着させる際の接着力の低下を防止するため、コーティング処理をされる前は乾燥した状態で保存されている。すなわち、バインダーに水分を含有させることは、接着力が落ちるため、従来よりタブーとされている。
【0006】
次にプレス工程(II’)では、混合工程(I’)で生成された磁性混合物をロータマグネット37の形状に形成された金型に充填して、図示しないプレス機でこの磁性混合物をプレスする。すると、磁性混合物は、瞬時のうちにロータマグネット37の形状となると共に、磁性混合物は、プレス機より外される。
【0007】
さらに、硬化工程(III’)では、プレス工程(II’)で成形された部品としてのロータマグネット(以下ロータマグネット部品という)を加熱することにより、熱硬化性樹脂であるバインダーのエポキシ系の樹脂が固まり、ロータマグネット部品は硬化される。このようにして形成されたロータマグネット部品は、接着工程(IV’)で、回転軸36の所定の位置に接着剤で接着固定され、ロータ部35のロータマグネット37が形成されることとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のロータマグネット37の製造方法では、プレス工程(II’)において、プレス機で磁性混合物をプレスしてロータマグネット部品を形成した後、金型からロータマグネット部品を外すと、磁性混合物の一部が金型に張り付いてしまうことがある。このように磁性混合物の一部が金型に張り付いてしまうと、ロータマグネット部品に「割れ」、「欠け」、「ひび」等が発生するという問題が生じている。また、通常ロータマグネット部品は連続的に成形されるので、磁性混合物の一部が一旦金型に張り付くと、この張り付いた部分のために「割れ」、「欠け」、「ひび」等が形成されたロータマグネット部品が連続して成形されてしまい、不良率が非常に高くなってしまうという問題が生じている。
【0009】
このような問題を解決するため、本発明者は、種々原因を探索した。その結果、ロータマグネット部品の「割れ」、「欠け」、「ひび」等の不良は、大気の乾燥している冬季に発生し易く、湿度の高い夏季や雨季には発生しにくいという現象を発見した。そのことから、上述した問題の主たる原因としては、磁粉末とエポキシ系樹脂とを混合して生成した磁性混合物が乾燥してしまうためであることが分かった。すなわち、バインダーとしてのエポキシ系樹脂が、磁粉末同士を凝固させるだけでなく、金型にも付着してしまうのである。また、一方、磁性混合物がきわめて多量の湿気を含んでいる場合、この磁性混合物を使用して上述した方法によって製造されたロータマグネットは、モータに組み込まれた際に行われる耐湿試験後、発錆現象やロータマグネット表面の磁粉が表面上に立ってしまうという磁粉剥離の現象が生じてしまう。これらのことから、磁性混合体に含まれる湿気があまり多過ぎると、バインダーが接着機能を発揮できず、磁粉を充分に凝固させられないことが分かった。
【0010】
上述した問題に鑑みて、本発明は、プレス工程で磁性混合物をプレスしてロータマグネット部品を形成する際に、磁性混合物が金型に張り付かず、ロータマグネット部品に「割れ」、「欠け」、「ひび」等を発生させないようにしたロータマグネットの製造方法を提供することを目的とする。またさらに、本発明は、「割れ」や「欠け」等を防止すると共に、発錆や磁粉剥離が起こらないようにしたロータマグネットの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載のロータマグネットの製造方法は、磁粉末とこの磁粉末を接着し固めるためのバインダーとなる樹脂とを混合させて磁性混合物を生成する混合工程と、混合工程で生成した磁性混合物に適量の水分を添加する加湿工程と、加湿工程で添加した適量の水分を含む磁性混合物を金型に充填してプレスしロータマグネット部品を成型した後、金型からロータマグネット部品を外すプレス工程と、プレス工程で成形したロータマグネット部品を硬化させる硬化工程とを有している。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のロータマグネットの製造方法に加えて、加湿工程において、磁性混合物に添加する水分量を、磁性混合物の重量に対して100〜250ppmとしている。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のロータマグネットの製造方法に加えて、加湿工程において、磁性混合物に添加する水分量を、バインダーとなる樹脂の略2重量%としている。
【0014】
また、請求項記載の発明は、請求項1,2または3記載のロータマグネットの製造方法に加えて、加湿工程において、磁性混合物を加湿室内に所定時間放置して、磁性混合物に水分を添加するようにしている。また、請求項記載の発明は、請求項記載のロータマグネットの製造方法に加えて、加湿室内は、湿度が45%〜70%、温度が25℃〜45℃に設定され、所定時間を0.5〜2.5時間としている。
【0015】
さらに、請求項記載の発明は、請求項1,2,3,4または5記載のロータマグネットの製造方法に加えて、磁粉末は、Nd(ネオジウム)−Fe(鉄)−B(ボロン)からなる希土類磁石粉末としている。さらに、請求項記載の発明は、請求項1,2,3,4,5または6記載のロータマグネットの製造方法に加えて、バインダーとなる樹脂は、熱硬化性樹脂からなっている。またさらに、請求項記載の発明は、請求項記載のロータマグネットの製造方法に加えて、熱硬化性樹脂は、エポキシ系樹脂からなっている。また、請求項記載の発明は、請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載のロータマグネットの製造方法に加えて、硬化工程では、ロータマグネット部品を所定時間、所定温度で加熱してバインダーとなる樹脂を硬化させている。
【0016】
請求項1記載のロータマグネットの製造方法によると、混合工程で生成した磁性混合物に加湿工程で水分を添加して金型に充填し、プレス工程でプレスして成型されたロータマグネット部品を金型から外すようにしているので、プレス工程では磁性混合物が適量の水分を含むこととなる。したがって、プレス工程において、磁性混合物が金型に張り付くことがなく、ロータマグネットに「割れ」、「欠け」、「ひび」等が発生しなくなり、ロータマグネットの不良率を低減する製造方法を提供することが可能となる。
【0017】
また、請求項および記載のロータマグネットの製造方法によると、水分量がさらに適量に設定されており、これによって「割れ」や「欠け」等の防止に加え、磁粉の剥離および発錆等を防止することが可能となり、ロータマグネットの不良率を一層低減する製造方法を提供することが可能となる。さらに、請求項記載のロータマグネットの製造方法によると、請求項1,2または3記載の発明に加えて、磁性混合物を加湿室内に所定時間放置することにより水分を添加するようにしているので、磁性混合物に添加する水分量をさらに適量にすることが可能となる。またさらに、請求項記載のロータマグネットの製造方法によると、請求項記載の発明に加えて、加湿室内や放置時が、適度な温度および湿度ならびに適度な時間に設定されており、磁性混合物に添加する水分量を一層適量にすることが可能となる。
【0018】
また、請求項記載のロータマグネットの製造方法によると、磁粉末がNd(ネオジウム)−Fe(鉄)−B(ボロン)の希土類磁石粉末で構成されているので、ロータマグネット部品をモータに組み込んだ際の磁気特性が優れており、良好なロータマグネットを提供することが可能となっている。また、請求項7,8および9記載のロータマグネットの製造方法によると、硬化工程において、ロータマグネット部品を加熱すると、バインダーとなる樹脂が硬化して磁粉末が凝固すると共に、ロータマグネット部品から発錆の原因となる余分な水分が蒸発して、良好なロータマグネットが製造できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態におけるロータマグネットの製造方法を図1から図9に基づき説明する。なお、ロータマグネットの製造方法の説明に先立ち、この製造方法によって得られたロータマグネット1を使用したモータ2について、図10に基づき簡単に説明する。このモータ2は、図11の従来の電動機31と同じ構成となっており、主にステータ部3とロータ部4とから構成されている。そして、ロータ部4にロータマグネット1が使用されている。なお、モータ2の詳細構造は、後述する。
【0020】
このロータマグネット1の製造方法について、図1から図9に基づき説明する。図1に示すように、ロータマグネット1は、混合工程(I)→加湿工程(II)→プレス工程(III)→硬化工程(IV)→防錆油工程(V)→接着工程(VI)の順で、各工程の所定の処理に従った製造方法によって製造される。
【0021】
まず、混合工程(I)では、ロータマグネット1の原料となる磁粉末と、この磁粉末を接着し固めるためのバインダーとなる樹脂が以下の方法で混合されて磁性混合物が生成される。なお、磁粉末は、Nd(ネオジウム)−Fe(鉄)−B(ボロン)やSm2 (サマリウム)−Co17(コバルト)等の希土類系磁粉末が使用される。一方、バインダーとなる樹脂は、熱硬化性樹脂で約100℃以上の温度で完全に硬化するエポキシ系の樹脂で構成されている。このエポキシ系の樹脂は、主剤と硬化剤とから構成されており、磁粉末と混合する前に予め主剤と硬化剤とを適量に調合されたものが使用される。
【0022】
このように構成された磁粉末とバインダーとなる樹脂とは、コーティング処理され、磁性混合物が生成される。このように生成された磁性混合物の磁粉末とバインダーとなる樹脂との混合比率は、磁粉末が約98重量%に対してバインダーとなる樹脂が約2重量%となっている。なお、このように生成された磁性混合物は良く乾燥させた後、ステアリン酸カルシウムが僅かに添加される。このステアリン酸カルシウムは、プレス工程(III)において、磁粉末どうしの滑りをよくするための潤滑剤としての役割を果たすものである。そして、このように、混合工程(I)で生成された磁性混合物は、加湿工程(II)に運ばれることとなる。
【0023】
次に、加湿工程(II)では、従来の製造方法ではタブーとされていたが、混合工程(I)で生成された磁性混合物に以下のような方法によって水分が添加される。すなわち、磁性混合物は、所定条件に設定された加湿室内に入れられて、所定時間放置される。このときの加湿室内の環境条件および所定時間は、この実施の形態では、相対湿度(RH)として50%、室温として40℃、所用時間として1〜2時間を採用している。このような環境条件に設定された加湿室内に磁性混合物が放置されると、磁性混合物の中のバインダーとしてのエポキシ系樹脂内には、徐々に加湿室内に含まれる湿気、すなわち水分が取り込まれることとなる。このようにして添加された磁性混合物内の水分量は、磁性混合物の重量に対して約200ppmとなっており、この水分量はエポキシ系樹脂に対しては約2重量%となっている。
【0024】
なお、加湿室内の環境条件および所用時間は、上述した条件だけでなく、種々変更可能であるが、加湿室内の湿度を低くしたり、所用時間を短くすると、プレス時に磁性混合体が金型に張り付く状態(ハリツキ)が発生する可能性が高くなる。一方、加湿室内の湿度を高くしたり、所用時間を長くすると、後述するように製造されたロータマグネット部品をモータ2に組み込み、耐湿試験機によって耐湿試験を行った際に、ロータマグネット1に錆が生じたり、表面の磁粉末が剥離したり等の問題が生じる怖れがある(図8および表1参照)。なお、耐湿試験とは、モータの安全基準を検査する試験の一つで、モータ2が、室温80℃、湿度95%に設定された耐湿試験機の中に48時間放置される試験のことである。
【0025】
【表1】
Figure 0003631886
【0026】
したがって本実施の形態としては、磁性混合体がプレス時に金型へのハリツキを起こさず、かつ成型・組立後のロータマグネット1が発錆や磁粉剥離等の問題が生じないための最良の条件で、磁性混合体を加湿することとする。すなわち、表1でも分かるように、加湿室内は、相対湿度(RH)50%、室温40℃に設定されると共に、磁性混合体の加湿室内の放置時間は最大2時間に設定される。このようにして加湿工程(II)において、加湿室内で適度な水分を添加された磁性混合物は、プレス工程(III)運ばれることとなる。
【0027】
次に、プレス工程(III)では、図2に示すように、磁性混合物がプレス機5でプレスされてロータマグネット1の原形となる図3に示すようなロータマグネット部品6に成形される。このプレス機5は、ロータリー式の連続プレス機となっており、材料を貯えておく材料タンク7と、ロータマグネット1の原形となるロータマグネット部品6の形状に形成された複数の型を有する金型8と、この金型8に充填された材料に対して加圧するために金型8に対して上下動する加圧ダイ9とからなっている。なお、本実施の形態では、ロータリー式のプレス機5を用いたが、プレス機の構造としてはこれに限定されるものではない。
【0028】
そして、加湿工程(II)で適量の水分が添加された磁性混合物は、プレス機5の材料タンク7に投入され、この材料タンク7から金型8の複数の型内に充填されて加圧ダイ9により加圧されることとなる。このときの加圧ダイ9による磁性混合物の加圧時間は、約0.7秒となっている。これによって、磁性混合物は、ほぼ瞬時にロータマグネット部品6となり、金型8の型内から取り外される。なお、図3に示すように、この状態のロータマグネット部品6は、加湿工程(II)で添加された水分が残存していると共に、バインダーとなる樹脂が完全に固まっていない状態となっている。そして、この状態でロータマグネット部品6は、硬化工程(IV)に運ばれる。
【0029】
次に、硬化工程(IV)では、プレス工程(III)で形成されたロータマグネット部品6を加熱し硬化させる。すなわち、図4に示すように、ロータマグネット部品6は、温風乾燥室内に設けられていてロータマグネット部品6の各部位に万遍なく温風を当てるための回転装置10に固定され、回転装置10で回転させられながら温風乾燥機11によって温風が当てられる。この温風乾燥機11からの温風の温度は、約200℃となっており、ロータマグネット部品6に対して、約20分間どの部位にも均等に温風が当てられる。なお、回転装置10を使用せず単にロータマグネット部品6を温風乾燥室内に置くようにしてもよい。その場合、ロータマグネット部品6の過剰な温度上昇を防止する意味で、ロータマグネット部品6の山積みをしないようにするのが好ましい。
【0030】
このようにしてロータマグネット部品6に温風が当てられると、図5に示すように、まず約10分経過した時点で、ロータマグネット部品6の温度が約100℃に上昇する。そして、さらに約10分、すなわち温風を当て始めて約20分経過すると、ロータマグネット部品6の温度は、約200℃に上昇する。なお、ロータマグネット部品6内に含まれるバインダーとなる樹脂は、約100℃で完全に固まる熱硬化樹脂のエポキシ系樹脂で構成されているが、このようにロータマグネット部品6の温度を約200℃に一旦上昇させると、このロータマグネット部品6の発錆を防止する効果があるので、本実施の形態ではロータマグネット部品6の温度を約200℃まで上昇させることとする。また、上述した約200℃の温風を約20分以上にわたって、ロータマグネット部品6に当てても、ロータマグネット部品6の温度は約200℃より上には上昇しない。
【0031】
上述したようにロータマグネット部品6に温風が当てられると、10分経過後、すなわちロータマグネット部品6の温度が約100℃になったときに、ロータマグネット部品6中に接着剤として含まれているバインダーとなる樹脂が、完全に硬化して固まり磁粉末を凝固・接着することとなる。またこの間に、加湿工程(II)で添加された水分は、ロータマグネット部品6からほとんど蒸発してなくなってしまうので、成形されたロータマグネット部品6には余分な水分は含まれないこととなる。さらに10分間、すなわち合計20分間ロータマグネット部品6は、温風を当てられることとなる。これによって、ロータ部4中のロータマグネット1の発錆や磁粉剥離等を防止するのに効果を有している。このように、ロータマグネット部品6は、熱硬化性樹脂のエポキシ系樹脂で構成されているバインダーを硬化させることによって、磁粉末を接着し固めてロータマグネット部品6を形成する。
【0032】
次に、防錆油工程(V)では、上述したように形成されたロータマグネット部品6の表面に、防錆油12を塗布して、ロータ部4中のロータマグネット1の表面が発錆するのを完全に防止する。すなわち、防錆油工程(V)では、図6に示すように、防錆油12を満たした防錆油槽13の中に漬けてロータマグネット部品6の表面に防錆油12を塗布する。すると、防錆油12は、ロータマグネット部品6の表面に塗布されることとなる。
【0033】
次に、接着工程(VI)では、図7に示すように、上述したように各工程を経て成形されたロータマグネット部品6をまず挿通孔6aより回転軸14に対して圧入する。このときのロータマグネット部品6の圧入位置は、回転軸14の凹部14aがある側の端部より所定距離だけ他端側方向にずらした位置に設定されることとなる。また、ロータマグネット部品6を回転軸14に圧入する際または圧入した後は、ロータマグネット部品6の挿通孔6aの内周面と回転軸14の外周面との境界部分に接着剤を塗布し、ロータ部4としてのロータマグネット1の固定をより強固なものとする。
【0034】
なお、加湿室内の相対湿度は、図8に示すように、加湿時間が1.5時間のとき45%以下となると金型とのハリツキの程度が許容値を超えてしまい、ロータマグネット部品6に「割れ」や「欠け」等が発生してくる。一方、相対湿度が70%以上になると、ロータマグネット部品6がモータ2に組み付けた後に磁粉剥離を生じ始める。このため、加湿室内の相対湿度は45〜70%が好ましい。この範囲は、加湿時間が0.5〜2.5時間の場合においても略同様に好ましいものとなっている。ただし、表1に見られるように、湿度が高くても(90%)、時間が少ないと(1時間)、ロータマグネット6はほぼ良好に仕上がる。よって、相対湿度としては45%以上あればその加湿時間を調節することによって合格品を製造することが可能となっている。
【0035】
この図8に示すもの、すなわち加湿時間1.5時間、加湿温度40度の加湿を行うと、磁性混合物の水分量は、図9に示すようなグラフとなる。すなわち、相対湿度45%のとき100ppmで、相対湿度が70%のとき250ppmとなる。この範囲が図9の合格物となっている。そして、相対湿度が70%を超え始めると急激に水分量が多くなる。また、相対湿度が45%を切り始めると、急激に水分量が少なくなる。
【0036】
図8および図9に示したものは、加湿温度が40度であるが、25℃から45℃の範囲においては、程度の差が若干あるも図8および図9に示すような数値が出現している。
【0037】
このようにして形成されたロータ部4は、図10に示すモータ2のステータ部3の中心部分となる第1ヨーク17の挿通孔17aおよび第2ヨーク18の挿通孔18a内に、ロータマグネット1が第1ヨーク17の極歯17b及び第2ヨーク18の極歯18bに対向配置するように挿入され組み込まれる。
【0038】
図10に示すモータ2の構成は、以下の通りである。まずステータ部3は、軸方向に同軸上に並設された2つのコイルボビンと19,19と、これらのコイルボビン19,19の外側にそれぞれ固定されケースを兼ねている第1ヨーク17,17と、コイルボビン19,19の内側に背中合わせに固定された円盤形状の第2ヨーク18,18と、コイルボビン19に巻回された巻線20,20とから主に構成されている。コイルボビン19は、それぞれ円筒状の巻胴部21と、この巻胴部21の軸方向両端から周方向外側に向かって延出されたフランジ部22とからなる絶縁部材で形成されいる。そして、巻胴部21の外周には、それぞれ所定の巻数に設定された巻線20が巻回されている。この巻線20の両端は、図示しない電源に接続されており、巻線20に電力が供給されるようになっている。
【0039】
また、一方のフランジ部22の外側には、それぞれ第1ヨーク17,17が固着されている。この第1ヨーク17は、導電性の金属部材で形成されており、周方向外側端からは一方のコイルボビン19を包むような壁部17cが延出されている。また、第1ヨーク17の中央付近には挿通孔17aと、この挿通孔17aの縁から巻胴部21の内周側に折曲されて入り込んだ複数の極歯17bが設けられている。
【0040】
また、他方のフランジ部22の外側には、それぞれ第2ヨーク18,18が背中合わせになるように固着されている。この第2ヨーク18は、導電性の金属部材で形成されており、中央付近には挿通孔18aと、この挿通孔18aの縁から巻胴部21の内周側に折曲されて入り込んだ複数の極歯18bが設けられている。そして、フランジ部22,22にそれぞれ固着された第1ヨーク17と第2ヨーク18の極歯17bと極歯18bとは、巻胴部21の内周で千鳥状に並ぶように配置されている。そして、第1ヨーク17および第2ヨーク18は、巻線20に電力が供給されると、励磁されるようになっている。
【0041】
このように構成されたステータ部3の一端側には、モータ2を他の機器に取り付けるための取付板23が固定されている。この取付板23の中央部分には、挿通孔23aが設けられていると共に、この挿通孔23a内にはメタル軸受24が嵌め込まれている。また、ステータ部3の他端側には、一方の第1ヨーク17に嵌着されたステンレス製の軸受プレート25と、軸受プレート25の中央に切起こしにより形成されたバネ部26と、バネ部26に載置された鋼球15と、バネ部26を切起こしにより形成した際の開口を外部側から閉成する蓋体27とを備えている。
【0042】
一方、ロータ部4は、回転軸14と、挿通孔6aを有する円筒状のロータマグネット1とからなっている。すなわち、ロータマグネット部品6が上述した方法により磁性部材として製造された後、挿通孔6a内に回転軸14を挿通させ、ロータマグネット部品6が回転軸14の一端側に接着固定されることにより、ロータ部4とロータマグネット1が構成されている(図7参照)。ロータ部4は、極歯17b,18bにロータマグネット1が対向するようにステータ部3に対して配置されており、極歯17b、18bが励磁されると、ロータマグネット1と極歯17b,18bとの間に発生する磁力による反発力もしくは吸引力により、ロータ部4は回転するようになっている。
【0043】
また、回転軸14の一端には凹部14aが形成されており、この凹部14a付近には軸受オイル16が充填されている。そして、この凹部14aがバネ部26に載置された鋼球15と軸受オイル16を介して当接することによって滑り軸受を構成している。さらに、回転軸14は、バネ部26により他端方向に常に付勢されており、軸方向の移動が可能に構成されている。さらに、回転軸14の途中部分は、取付板23に嵌め込まれたメタル軸受24によってラジアルおよびスラスト方向に軸受けされている。なお、ロータマグネット1の径方向の寸法は、取付板23に設けられた挿通孔23aより大きく形成されており、ロータ部4が取付板23方向に抜けるのを防止するようになっている。
【0044】
なお、ロータ部4がモータ2に組み込まれる際、取付板23及びメタル軸受24は、ステータ部3に対して固定されておらず、ロータ部4をステータ部3に組み込んだ後に、取付板23及びメタル軸受24をステータ部3に対して組み込むようにしている。このような順序でモータ2の組み込み作業をするのは、取付板23に形成されている挿通孔23aよりロータマグネット1の径が大きいので、取付板23を先にステータ部3に固定してしまうとロータ部4がステータ部3内に組み込めなくなるからである。
【0045】
なお、本発明のロータマグネットの製造方法の実施の形態では、上述したような方法により、ロータマグネット1を成形しているが、発明の要旨を変更しない範囲で種々変更可能となっており、例えば、加湿工程(II)をわざわざ設けず、50%以上の湿度を有する部屋で混合工程(I)やプレス工程(III)を行うようにしても「欠け」や「割れ」等の防止の面で一定の効果を発生させることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、モータ2を図10に示すようないわゆるステッピングモータとして構成しているが、特に上述した構成に限定されるものではなく、本発明の製造方法により製造されたロータマグネット1を使用するモータであればモータの種類や構成は限定されない。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の各請求項に記載したロータマグネットの製造方法では、磁粉末とバインダーとなる樹脂とを混合して生成した磁性混合物に水分を添加してからプレスするようにしたので、金型に磁性混合物が張り付かずにロータマグネット部品を成形でき、ロータマグネットに「欠け」や「割れ」や「ひび」等の不良が発生しない。加えて、その水分量を適当に設定することにより、「欠け」や「割れ」等の防止に加え、モータ組込み後のロータマグネットの発錆および磁粉の剥離等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるロータマグネットの製造方法の工程を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるプレス工程を説明するための図で、(A)は、材料タンクおよび金型を示した斜視図で、(B)は、金型と加圧ダイとを示した斜視図である。
【図3】図2に示したプレス工程により成形されたロータマグネット部品を一部切り欠いて内部構造を示した全体斜視図と、一部切り欠いた部分を拡大した拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態における硬化工程を説明するための図である。
【図5】図4に示した硬化工程においてロータマグネット部品を硬化させるために温風を当てるのに要する時間と、温風を当てることにより上昇するロータマグネット部品の温度との関係を示したグラフである。
【図6】本発明の実施の形態における防錆油塗布工程を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態における接着工程を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるロータマグネットの製造方法において、加湿時間を1.5時間とし、加湿温度を40℃としたときの金型とのハリツキ程度と相対温度との関係および磁粉剥離と相対湿度との関係を示すグラフである。
【図9】図8に示したものの相対湿度と磁性混合物の水分量との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態におけるロータマグネットの製造方法において製造したロータマグネットを使用したモータの断面図である。
【図11】従来の製造方法によって製造されたロータマグネットを使用する従来のステッピングモータと同種の電動機を示した断面図である。
【図12】従来のロータマグネットの製造方法の工程を示した図である。
【符号の説明】
1 ロータマグネット
6 ロータマグネット部品

Claims (9)

  1. 磁粉末とこの磁粉末を接着し固めるためのバインダーとなる樹脂を混合させて磁性混合物を生成する混合工程と、上記混合工程で生成した上記磁性混合物に適量の水分を添加する加湿工程と、上記加湿工程で添加された適量の水分を含む磁性混合物を金型に充填してプレスしロータマグネット部品を成型した後、上記金型から上記ロータマグネット部品を外すプレス工程と、上記プレス工程で成形した上記ロータマグネット部品を硬化させる硬化工程とを有していることを特徴とするロータマグネットの製造方法。
  2. 前記加湿工程において、前記磁性混合物に添加する水分量を、前記磁性混合物の重量に対して100〜250ppmとしたことを特徴とする請求項1記載のロータマグネットの製造方法。
  3. 前記加湿工程において、前記磁性混合物に添加する水分量を、前記バインダーとなる樹脂の略2重量%としたことを特徴とする請求項1または2記載のロータマグネットの製造方法。
  4. 前記加湿工程において、前記磁性混合物を加湿室内に所定時間放置して、前記磁性混合物に水分を添加するようにしたことを特徴とする1,2または3記載のロータマグネットの製造方法。
  5. 前記加湿室内は、湿度が45%〜70%、温度が25℃〜45℃に設定され、前記所定時間を0.5〜2.5時間としたことを特徴とする請求項記載のロータマグネットの製造方法。
  6. 前記磁粉末は、Nd(ネオジウム)−Fe(鉄)−B(ボロン)からなる希土類磁石粉末であることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載のロータマグネットの製造方法。
  7. 前記バインダーとなる樹脂は、熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載のロータマグネットの製造方法。
  8. 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ系樹脂であることを特徴とする請求項記載のロータマグネットの製造方法。
  9. 前記硬化工程では、前記ロータマグネット部品を所定時間、所定温度で加熱して前記バインダーとなる樹脂を硬化させることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載のロータマグネットの製造方法。
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