JP2011015571A - ロータの製造方法、モータおよびそれを備えた電子機器 - Google Patents

ロータの製造方法、モータおよびそれを備えた電子機器 Download PDF

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弘紀 浅井
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浩司 植田
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正彦 小林
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Abstract

【課題】加熱処理することなく、かつ接着剤なしで、ボンド磁石をロータフレームに固定することができるロータの製造方法を提供するものである。
【解決手段】リング状のボンド磁石を非加熱で圧縮するボンド磁石圧縮工程と、圧縮されたボンド磁石をロータフレームに挿入するボンド磁石挿入工程とを備える。ボンド磁石圧縮工程は、ボンド磁石の外径寸法を、当該ボンド磁石の外径寸法の0.2〜0.8%の範囲で常温環境下で圧縮する。ボンド磁石挿入工程は、先のボンド磁石圧縮工程で圧縮したボンド磁石を、同じく常温環境下でロータフレームに挿入する
【選択図】図2

Description

本発明はモータに関し、特に、ロータフレームにボンド磁石が配置されたロータの製造方法及びその製造方法によって製造されたロータを備えたモータ、並びにそのモータを備えた電子機器に関する。
近年、電子機器の小型化が進むとともに、複写機やプリンタなどの電子機器に搭載されるモータにおいても小型化が進んでいる。また、このような電子機器に搭載されるモータとして、容易に回転制御ができるブラシレスDCモータが一般的となっている。そして、近年、ブラシレスDCモータは低騒音、低振動などの要求が厳しくなる傾向にあり、その対策にはより一層の技術革新が必要とされる。
ブラシレスDCモータは、ロータ、ステータ及び制御用IC等で構成されており、その内のロータ部分は金属性のロータフレームとモータ駆動用の永久磁石とからなっている。
モータ駆動用の永久磁石(駆動用マグネット)として用いられている磁石の中で代表的なものは焼結磁石やボンド磁石がある。焼結磁石は、磁性粉末材料を成形後、200℃以上の高温で焼成し樹脂分をほとんど残さないものであり、高い磁気特性を得ることが可能であるが、焼結時に生じる寸法変化により、高精度な磁石を作製するには後加工が必要とされ、特にリング形状の形成には生産性に乏しい。一方、ボンド磁石は、バインダー成分である樹脂を一定比率で磁石内に含み、この樹脂を硬化させることにより得られるものであり、この樹脂硬化を200℃未満の低温で実施できることから、生産性が高く、高精度品が形成できるという特徴がある。
従って、従来、ブラシレスDCモータの小型化を図る場合は、ボンド磁石を駆動用マグネットとして用いることが多かった。この駆動用マグネットはロータフレームに固着されるものであるが、アウターロータ型のブラシレスDCモータでは、駆動用マグネットとロータフレームの固着手段としては接着剤が利用されていた。
しかしながら、接着剤の硬化前後における体積変化などにより厚みが場所によって不均一となりやすく、これによってロータの真円度や同軸性の低下や回転むらが生じるという問題があった。この問題は、ロータが小型になればなるほどその影響が大きくなる。
このため、接着剤を用いずに駆動用マグネットをロータフレームに直接固定する技術も提案されている。
このように接着剤を用いずに駆動用マグネットをロータフレームに接合する製造方法として、駆動用マグネット、治具あるいはその接合時の雰囲気などを高温に保つことによって製造する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、ボンド磁石からなる駆動用マグネットをロータフレーム内に固定する際、ガラス転移点以下でボンド磁石を加熱するという技術が提案されている。この技術は、ボンド磁石を加熱することにより樹脂の伸び率を増大させて、これにより、ボンド磁石をロータフレームに圧入するのに十分な変形を可能とするものである。
また、特許文献2には、表面にめっき等の金属層が形成され、かつロータフレームの内径よりも少し大きな外径を有するボンド磁石を、180〜220℃の高温による熱カシメによって、ロータの支持部材に固定する技術も提案されている。
特許第3918874号公報 特開2003−259581号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されている方法では、ボンド磁石をロータフレームに固定する際、ボンド磁石等を高温にする工程が必要であったため、生産性が著しく低下するという問題があった。
また、駆動用マグネットとしてボンド磁石の内側を多極着磁したものを用いる場合は、高温加熱によって当該多極着磁されたボンド磁石の磁気特性が劣化するという問題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、加熱処理することなく、かつ接着剤なしで、ボンド磁石をロータフレームに固定することができるロータの製造方法を提供するものである。また、そのロータの製造方法によって製造されたロータを備えたモータおよびそのモータを備えた電子機器を提供するものである。
本発明に係るロータの製造方法は、ロータフレームの内面にリング状のボンド磁石を配置するロータの製造方法であって、非加熱で前記ボンド磁石の外径が0.2〜0.8%の範囲で圧縮するボンド磁石圧縮工程と、圧縮された前記ボンド磁石を前記ロータフレームに挿入するボンド磁石挿入工程と、を備えたものである。
本発明は、上記構成により、非加熱環境下、すなわち常温にて、接着剤なしでボンド磁石をロータフレームに安定して圧入固定することができる。また、加熱処理が不要であるため、駆動用マグネットとしてボンド磁石の内側を多極着磁したものを用いる場合であっても、当該多極着磁されたボンド磁石の磁気特性が劣化するといった問題も生じない。
さらに、前記ボンド磁石に含有する樹脂の重量比率が1.5〜3.0%であることが好ましい。
これにより、ボンド磁石にクラックが発生することなく、ボンド磁石を圧縮させることができる。
また、本発明のロータの製造方法は、ロータフレームの内面にリング状のボンド磁石を配置するロータの製造方法であって、前記ロータフレームを受ける受台と、前記ボンド磁石を前記ボンド磁石の径方向に圧縮する圧縮治具と、前記圧縮治具に配置された前記ボンド磁石を前記フレームに押し出す押し出し治具とを備え、前記ロータフレームを前記受台に配置するロータフレーム配置工程と、前記ボンド磁石を前記圧縮治具に配置するボンド磁石配置工程と、前記圧縮治具に配置された前記ボンド磁石を前記押し出し治具によって前記ロータフレーム側に押し出し、前記ボンド磁石の外径が前記ロータフレームの内径よりも小さくなるように前記ボンド磁石を非加熱で圧縮するボンド磁石圧縮工程と、前記押し出し治具をさらに前記ロータフレーム側に押し出すことにより圧縮した前記ボンド磁石を前記ロータフレームに挿入するボンド磁石挿入工程と、を備えるものである。
本発明は、上記構成により、非加熱環境下、すなわち常温にて、接着剤なしでボンド磁石をロータフレームに安定して圧入固定することができる。また、加熱処理が不要であるため、駆動用マグネットとしてボンド磁石の内側を多極着磁したものを用いる場合であっても、当該多極着磁されたボンド磁石の磁気特性が劣化するといった問題も生じない。
さらに、前記圧縮治具は、内面がテーパ状に形成されたテーパ部を有することが好ましい。
これにより、径方向からボンド磁石に圧縮応力を付与することができる。
さらに、前記圧縮治具の前記テーパ部と前記圧縮治具の前記ボンド磁石が押し出される側の端部との間がストレート状に形成されていることが好ましい。
これにより、ボンド磁石の軸方向においてボンド磁石に均等に圧縮応力を付与することができる
さらに、前記圧縮治具の前記ボンド磁石が押し出される側の端部の内径は、前記ロータフレームの内径よりも小さいことが好ましい。
これにより、ロータフレーム内面に配置した際に、収縮したボンド磁石に付与されている圧縮応力を開放することができる。
さらに、前記ボンド磁石圧縮工程において、前記ボンド磁石の外径が0.2〜0.8%の範囲で圧縮することが好ましい。また、前記ボンド磁石に含有する樹脂の重量比率が1.5〜3.0%であることが好ましい。
これにより、ボンド磁石にクラック等を生じさせることなく、ボンド磁石を圧縮させることができる。
さらに、前記圧縮治具の前記ボンド磁石が押し出される側に、前記圧縮治具の内径を大きくする凹部が形成されていることが好ましい。
これにより、ロータフレームの開口部からボンド磁石が突出するような構成のロータを容易にかつ高精度で製造することができる。
さらに、前記ロータフレームの開口部から前記ボンド磁石が突出するように前記ボンド磁石を前記ロータフレームに挿入することが好ましい。
さらに、前記ロータフレームの開口部分の内側がテーパ形状となっていることが好ましい。さらに、前記テーパ形状は0.27°〜0.9°の範囲内であることが好ましい。
このように、ロータフレームの開口部の内側をテーパ形状とすることにより、このテーパがボンド磁石挿入時のガイドの役割を果たし、ボンド磁石のロータフレームへの挿入を容易にするとともに、ロータフレームへの挿入時にボンド磁石の割れやクラックの発生を防止することができる。また、テーパ形状により、ロータフレームの開口部からボンド磁石の一端部を突出させた構成の場合には、ロータフレームの底部から開口部に向かって、ボンド磁石の圧縮力はテーパ形状に沿って徐々に分散されながら弱まるので、テーパ形状のない構成に比べて、ボンド磁石の割れやクラックの発生を防止することができる。
また、本発明に係るモータは、上記のロータの製造方法によって製造されたロータを備えたものである。
また、本発明に係る電子機器は、上記のモータを備えたものである。
本発明のロータの製造方法によれば、ボンド磁石を加熱処理することなく、ボンド磁石を接着剤なしでロータフレームに安定して圧入固定することができる。また、加熱処理が不要であるため、駆動用マグネットとしてボンド磁石の内側を多極着磁したものを用いる場合であっても、当該多極着磁されたボンド磁石の磁気特性が劣化するという問題は生じない。
さらに、本発明のモータによれば、接着剤が不要であるため、高い回転精度を有する小型化モータを実現することができる。また、本発明の電子機器によれば、回転精度が高く、低騒音、低振動で小型化に適したモータを備え、省エネルギーの電子機器を実現することができる。
本発明の実施形態に係るロータを備えたモータの断面図 本実施形態に係るロータの製造方法の工程フローを示す工程フロー図 本発実施形態に係るロータの製造方法に用いられるロータの製造装置の断面図 本発実施形態に係るロータの製造方法に用いられるロータの製造装置の変形例の断面図 本実施形態に係るロータについてマグネットとロータフレームとを分離した状態の斜視図 バインダーの違いによるボンド磁石の収縮率と固着力との関係の関係を示す図 樹脂重量比率の違いによるボンド磁石の収縮率と固着力との関係の関係を示す図
以下、本発明の実施の形態に係るロータの製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の実施形態に係るロータは、例えば、電子機器の一例としてレーザプリンタに組み込まれた紙送り用としてのモータに搭載されるものである。このモータは、レーザプリンタの本体ケース内に配置された基板上に各種電子部品とともに載置されたものである。
まず、本発明の実施形態に係るロータの製造方法によって製造されたロータを備えたモータの全体構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るロータを備えたモータの断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るモータ10は、ステータ20と、ステータ20の外周に回転自在に配置されたロータ30とを備える。このように本実施形態に係るモータ10は、ステータ20の外周側にロータ30が配置された、いわゆるアウターロータ型のモータである。
ステータ20は、複数枚の板状体が積層された積層体として構成されるステータコア21と、ステータコア21の外周部に設けられた複数のティース22とを備える。複数のティース22は、それぞれ磁極として機能し、円周方向に所定間隔で配置されている。各ティースの内側の磁気回路を構成する腕部にはコイル23が巻回されている。
ロータ30は、回転軸40の軸方向の一端側に開口部を有し、他端側に底部を有する円筒状のロータフレーム31と、ロータフレームの31内周側に取り付けられた中空円筒状(リング形状)のマグネット32とで構成されている。マグネット32のステータ20に対向する面は、ステータ20に対向する方向(半径方向)に所定間隔ごとにN極とS極とが交互に(隣接極が異極となるように)着磁(メイン着磁)されている。更に、メイン着磁とは別に、マグネット32の配線基板50に対向する面は、配線基板50に対向する方向(上下方向)に所定間隔ごとにN極とS極とが交互に多極着磁(FG着磁)されている。
配線基板50には、ロータ30のマグネット32と対向する位置にFGパターン60が設けられている。FGパターン60は、メイン着磁の影響を受けにくくするために、ロータの周方向に沿ってジグザグ状に形成されたメインパターンと、メインパターンの内側又は外側に沿って形成された円環状のキャンセルパターンとで構成されている。
なお、ステータ20のステータコア22は、ハウジング70を介して配線基板50に固定されている。また、ハウジング70の内周には、ベアリング80が設けられている。このベアリング80を上下方向に貫通して回転軸40が配置されている。
ロータ30のマグネット32はリング状のボンド磁石からなり、磁石粉末とバインダー成分を有する樹脂材料とで構成されている。このボンド磁石は、磁石粉末表面にバインダー成分を被覆した顆粒をリング形状に圧縮して成型されたものであり、所定の弾性力を有する。すなわち、本実施形態のボンド磁石は弾性変形するものである。なお、本実施形態では、マグネット32としてはボンド磁石を用いており、以下、マグネット32のことを単にボンド磁石とも称す。
マグネット32がロータフレーム31に挿入される際、マグネット32には圧縮応力が付与された状態で挿入される。この状態で挿入した後、マグネット32の圧縮応力を開放する。これによって、ボンド磁石が元の状態に戻ろうとする弾性力(復元力)によって、マグネット32の外側面がロータフレーム31の内側面に当接し、マグネット32とロータフレーム31との固定状態が保持される。 このように、本実施形態に係るロータ30のマグネット32は、マグネット32の中心から放射方向に向かって作用するマグネット32の弾性力により、マグネット32の外側の面をロータフレーム32の内面に密着させ、このマグネット32の弾性力による保持力によって接着剤を使用せずにマグネット32をロータフレーム31に安定して固定するものである。なお、モータの動作中においてもロータフレーム31とマグネット32との固定状態を持続させるためには、ロータフレーム31とマグネット32と間の固定力としては0.55kN程度以上必要である。
なお、本実施形態に係るロータ30は、図1に示すように、ロータフレーム31の開口部からマグネット32(ボンド磁石)の一端部を突出させた構成のものであるが、当該ボマグネット32の一端部の端面とロータフレーム31の開口部の端面とを一致させた構成であっても構わない(不図示)。また、マグネット32の一端部がロータフレーム31の開口端よりもロータフレーム31の内側に位置するような構成のものであっても構わない(不図示)。
次に、本実施形態に係るロータの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係るロータの製造方法の工程フローを示す工程フロー図である。
図2に示すように、本実施形態に係るロータの製造方法は、リング状のボンド磁石を非加熱で圧縮するボンド磁石圧縮工程と、圧縮されたボンド磁石をロータフレームに挿入するボンド磁石挿入工程とからなる。
ボンド磁石圧縮工程は、非加熱環境下で、ボンド磁石の外径が0.2〜0.8%の範囲で、すなわち、ボンド磁石の収縮率が0.2〜0.8%の範囲で圧縮する工程である。言い換えると、ボンド磁石の外径が圧縮前の径の99.2〜99.8%となるように非加熱で圧縮するものである。ここで、非加熱とは、加熱処理をしないことをいい、常温(20〜25°)環境下で処理することをいう。
より具体的には、この工程は、常温環境下で、ボンド磁石の径方向外側からボンド磁石に対して、上記収縮率の範囲内で周方向において均等に圧縮応力を付与するものである。なお、ボンド磁石の圧縮方法は、後述するロータの製造装置を用いて行うことができる。
ボンド磁石挿入工程は、先のボンド磁石圧縮工程で圧縮したボンド磁石を、同じく常温環境下でロータフレームに挿入する工程である。
より具体的には、ボンド磁石に圧縮応力を付与したまま、ボンド磁石を所定の位置までロータフレームに挿入する。挿入後は、ボンド磁石の圧縮応力を開放する。これにより、ボンド磁石が元の状態に戻ろうとする弾性力(復元力)によってボンド磁石の外側面がロータフレームの内側面に当接し、その弾性力によってボンド磁石とロータフレームとの固定状態が保持される。なお、上述のとおり、モータの動作中においてもこの固定状態を安定して維持させるためには、ボンド磁石とロータフレームとの間の固定力は0.55kN程度以上必要である。また、ボンド磁石をロータフレームに挿入する方法については後述するロータの製造装置を用いて行うことができる。
本実施形態に係るロータの製造方法は、ボンド磁石圧縮工程において、非加熱でボンド磁石の外径寸法が0.2〜0.8%の範囲内で圧縮させるものである。これにより、ボンド磁石とロータフレームとの間の固定力が0.55kN程度以上確保することができる。また、ボンド磁石の外径寸法が0.2〜0.8%の範囲内となるように圧縮することにより、ロータフレームへの挿入前後において、またロータフレームに固定された状態においてもボンド磁石にクラックが生じたりボンド磁石が割れたりするという可能性は極めて小さい。
以上のとおり、本実施形態に係るロータの製造方法は、非加熱環境下においてリング形状のボンド磁石が弾性変形する特性を利用したものであり、ボンド磁石の外径寸法が0.2〜0.8%の範囲内でボンド磁石を収縮させた後、ロータフレーム内に挿入し、その挿入されたボンド磁石がロータフレーム内で元の大きさに伸張しようとする力でロータフレーム内に固定するものである。これにより、ボンド磁石が安定して固着されたロータフレームを得ることができる。本実施形態に係るロータの製造方法によれば、ボンド磁石を加熱処理する工程が不要であるとともに、接着剤なしでボンド磁石をロータフレームに固定することができる。従って、ロータの製造方法における製造工程を大幅に簡略化することができる。
また、着磁後の加熱処理が不要であるため、本実施形態のように駆動用マグネットとしてボンド磁石の内側をメイン着磁したものを用いる場合であっても、ボンド磁石の磁気特性が劣化するという問題も生じない。
さらに、本実施形態に係るロータの製造方法によれば、次の効果をも奏することができる。接着剤を用いた従来のロータの製造方法では、接着剤を挿入するためにボンド磁石とロータフレームとの間に接着シロを設けていた。この接着シロによる寸法差によって、接着後にロータフレームとボンド磁石との間で同軸性の劣化が生じていた。しかしながら、本実施形態に係るロータの製造方法によれば、接着シロが不要であり、磁石とロータフレームを密着させることが可能であるために、高い同軸性のロータを得ることができ、ロータの精度を著しく向上させることができる。
なお、図2に示すように、通常は、ロータの製造工程におけるボンド磁石圧縮工程の前に、ボンド磁石を製造するボンド磁石形成工程と、ボンド磁石にモータ駆動用としての着磁(メイン着磁)を行う第1の着磁工程とがある。これらの工程について、以下説明する。
図2に示すように、ボンド磁石形成工程は、磁石成形用顆粒作製工程と、リング状ボンド磁石成形工程と、熱硬化工程とを有する。
磁石成形用顆粒作製工程では、ボンド磁石の形成に必要な磁石粉末、バインダー樹脂及び潜在性硬化剤等を混練することで、所定の混練物を作製し、乾燥させて所定の顆粒を作成する。
なお、本実施形態では、バインダー樹脂としてエポキシ樹脂を主成分としたものを用いた。なお、エポキシ樹脂はその構造でビスフェノールA型やノボラック樹脂型などに分類されるが、本実施形態ではいずれのものであっても構わない。なお、本発明に係るロータの製造方法におけるボンド磁石圧縮工程において、ボンド磁石にクラック等が生じないよう所望の圧縮率でボンド磁石を圧縮させるためには、ボンド磁石に含有するバインダー樹脂の重量比率は1.5〜3.0%の範囲であることが好ましい。
次に、リング状ボンド磁石成形工程では、磁石成形用顆粒作製工程で作製した顆粒を所定の金型に充填し、ポンチ等で圧縮成型することにより、リング形状のボンド磁石を成形する。
次に、熱硬化工程では、リング状ボンド磁石成形工程で成形したボンド磁石を所定の温度で加熱し、ボンド磁石のバインダー樹脂を熱硬化させる。この熱硬化工程により、リング状のボンド磁石に所定の強度をもたせることができる。
この後、第1の着磁工程を経る。第1の着磁工程では、熱硬化工程後のボンド磁石の表面に防錆処理を施した後、ボンド磁石の内側面にS極とN極とを周方向に所定の間隔で着磁する。この着磁は、モータを駆動するための着磁(メイン着磁)である。
第1の着磁工程の後は、上述のロータの製造工程、すなわち、ボンド磁石圧縮工程とボンド磁石挿入工程によって、ボンド磁石がロータフレームに固定されて磁石一体型フレームからなるロータが完成する。
なお、図2に示すように、本発明に係るロータの製造工程の後に、第2の着磁工程を施してもよい。第2の着磁工程では、上記のメイン着磁とは別に、ロータフレームの開口部側におけるボンド磁石の軸方向の端面に、所定間隔ごとにN極とS極とを交互に多極着磁(FG着磁)する。このFG着磁は、回転制御用としての着磁である。
次に、ボンド磁石をロータフレーム内に固定するロータの製造装置と、その装置を用いてボンド磁石をロータフレームに挿入し固定する方法について、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明の実施形態に係るロータの製造方法に用いられるロータの製造装置の断面図である。また、図3(a)は、ロータの製造装置にボンド磁石を配置したときの断面図であり、図3(b)は、ボンド磁石がロータフレームに挿入されたときの断面図である。
図3(a)に示すように、本実施形態に係るロータの製造装置90は、ロータフレーム31を受ける受台91と、ボンド磁石32を径方向内側に圧縮する圧縮治具92と、圧縮治具92内に配置されたボンド磁石32を圧縮治具92から押し出す押し出し治具93と、これら受台91と圧縮治具92と押し出し治具93とを支持する支持治具94とを備える。なお、これらの治具は、全て金属で形成されている。
受台91は、ボンド磁石32が固定されるロータフレーム31を支えるとともに、そのロータフレーム31の位置を決めるものである。受台91は、薄肉円柱状の底板911と当該底板の上に設けられた円筒912とからなり、この円筒912の内部にロータフレーム31が配置される構成となっている。
なお、本実施形態では、円筒912の内径は、円筒状のロータフレーム31の外径とほぼ同じとなっている。また、本実施形態では、円筒912の高さは、ロータフレーム31の高さよりも大きくしたが、これに限定されるものではない。例えば、円筒912の高さをロータフレーム31の高さと同じとしてもよい。なお、円筒912の高さをロータフレーム31の高さよりも小さくしてもよいが、ボンド磁石32をロータフレーム31から突出させた構成とする場合には、ロータフレーム31の開口部上面が、後述する圧縮治具92の上面と当接しないような工夫が必要となる。
圧縮治具92は、ボンド磁石32をその径方向に均一に機械的に収縮させるものである。圧縮治具92は略円筒形状であり、その外面は外径が一律である。一方、圧縮治具92の内面は内径が一律であって圧縮治具の上側部分に形成された第1のストレート部921と、内径が下方に向かって徐々に狭まるように(テーパ状に)形成されたテーパ部922と、テーパ部922と圧縮治具のボンド磁石が押し出される側の端部924との間に形成されたストレート状の第2のストレート部923とからなる。なお、圧縮治具92の外径は、受台91の外径と同じである。
第1のストレート部921はボンド磁石32を最初に配置する部分であり、ボンド磁石32の形状や寸法、特に外径寸法に応じて設計される。テーパ部922はボンド磁石32に圧縮応力を付与し、ボンド磁石32を所定量収縮させるように構成された部分である。テーパ部922のテーパ形状は、ボンド磁石における最終的に収縮させる収縮量に応じて設計される。第2のストレート部923は、ボンド磁石32の軸方向においてボンド磁石32に均等に圧縮応力を付与する部分である。従って、第2のストレート923の軸方向長さは、ボンド磁石32の軸方向長さ(厚さ)よりも大きいことが好ましい。なお、第2のストレート部923の内径は、後述する押し出し治具93の第2の円柱体の外径とほぼ同じである。
圧縮治具92は、この形状によって、テーパ部922においてボンド磁石32が下方に進むにつれて、ボンド磁石32に対して、ボンド磁石32の径方向外側から応力を付与するものである。ボンド磁石32は、この圧縮治具92からの応力によって、径方向内側方向への圧縮応力が付与される。また、少なくとも圧縮治具92の下側の開口端924の内径は、ロータフレーム31の内径よりも大きい構成となっている。この構成により、ボンド磁石32が圧縮治具92から抜け出したときに、ボンド磁石32に付与されている圧縮応力が開放される。
なお、本実施形態では、ボンド磁石32の外径寸法が0.2〜0.8%の範囲内で圧縮するようにテーパ部922が形成されている。テーパ部922のテーパ角は、ボンド磁石32の急激な収縮を防ぐために1.0°以下であることが好ましい。ボンド磁石32が急激に収縮してしまうと、ボンド磁石32にクラックが生じたりボンド磁石が割れたりする可能性があるからである。
また、本実施形態では、ボンド磁石32をロータフレーム31に挿入したときに、ボンド磁石32の一端部がロータフレーム31の開口部から突出した構成とするために、図3(a)に示すように、圧縮治具92の第2のストレート部923とロータフレーム31との間に所定の間隔を空けた構成となっているが、必ずしもこの構成である必要はない。例えば、第2のストレート部923の下面とロータフレーム31の開口部端とを接触させるような構成としても構わない。
また、図4に示すように、圧縮治具92の第2のストレート部923のボンド磁石32が押し出される側に、第2のストレート部923の内径を大きくするための凹部925を設けた構成であっても構わない。この構成とすることにより、圧縮治具92の下面でロータフレーム31を上から規制することができるとともに、ボンド磁石32の一端部をロータフレーム31の開口部から突出させた構成のロータを容易に製造することができる。
押し出し治具93は、圧縮治具92に配置されたボンド磁石32を下方に押して、ボンド磁石32をロータフレーム31に挿入するものである。押し出し治具93は、外径が圧縮治具92の外径と同じである第1の円柱体931と、第1の円柱体931の下面に設けられた第2の円柱体932とからなる。第2の円柱体932の外径は少なくとも圧縮治具92の内径の最小幅よりも小さい構成となっている。本実施形態では、第2の円柱体932の外径と圧縮治具92の第2のストレート部923の内径とはほぼ同じとなっている。また、第2の円柱体932の高さ(軸方向長さ)は、圧縮治具92の高さ(軸方向長さ)とほぼ同じか、それよりも少しだけ大きい構成となっている。
押し出し治具93によって、第1の円柱体931の上面から下方に向かう応力が付与され、これにより、第2の円柱体932の下面が圧縮治具92の内部に配置されたボンド磁石32の上面に当接し、ボンド磁石32が下方に押し進められる。そして、ボンド磁石32をさらに下方に押し込むことにより、最終的には、ボンド磁石32を圧縮治具92から押し出し、ボンド磁石32をロータフレーム31に挿入する。
支持治具94は、受台91、圧縮治具92及び押し出し治具93の軸方向の位置を規制するものである。支持治具94は、円筒形状であり、その内面において、受台91と圧縮治具92と押し出し治具93とを支持し規制するものである。精度良く圧入固定を実施するためには、各治具の同軸性及び同心性は重要な要素であり、支持治具94によって各治具の同軸性及び同心性が保持される。なお、支持治具94は、受台91、圧縮治具92及び押し出し治具93の同軸性を考慮して設計される。また、本実施形態では、支持治具94の内径は、受台91の円筒の外径、圧縮治具92の外径及び押し出し治具93の第1の円柱体931の外径とほぼ同じとした。
次に、上記ロータの製造装置90を用いて、ボンド磁石をロータフレームに圧入固定するロータの製造方法について説明する。
まず、図3(a)に示すように、ロータフレーム31を受台91に配置する(ロータフレーム配置工程)。具体的には、受台91の円筒912の内部に、ロータフレーム31の開口部が上となるように向けてロータフレーム31を配置する。
次に、受台91の上面に圧縮治具92を配置し、圧縮治具92の中にボンド磁石32を挿入する。これにより、ボンド磁石32が圧縮治具92の第1のストレート部921に配置される。
次に、支持治具94によって受台91と圧縮治具92とを支持し規制する。これにより、受台91と圧縮治具92の中心軸が一致する。
次に、圧縮治具92に配置されたボンド磁石32を、押し出し治具93によってロータフレーム31側に軸方向に沿って押し出し、ボンド磁石32の外径がロータフレーム31の内径よりも小さくなるようにボンド磁石32を非加熱で圧縮する(ボンド磁石圧縮工程)。
具体的には、押し出し治具93をその第1の円柱体931が支持治具94の内面に沿うように支持治具94に挿入する。その後、押し出し治具93の第1の円柱体931の上面に下向に向かう応力を付与し、押し出し治具93の第2の円柱体932の下面をボンド磁石32の上面に当接させる。そして、さらに押し出し治具93に応力を付与しつづけ、ボンド磁石32を圧縮治具92の下方に向けて推し進める。ボンド磁石32は、下方に進むにつれて圧縮治具92のテーパ部922においてボンド磁石32の径方向外側からの応力が増加する。この場合、径方向外側からの応力はボンド磁石32の周方向において均等に付与される。ボンド磁石32は、この圧縮治具92のテーパ部922からの応力によって、径方向内側に圧縮応力が付与された状態となる。さらにボンド磁石32が押し進められて、ボンド磁石32が圧縮治具92の第2のストレート部922に位置するときは、ボンド磁石32には軸方向にも均等に圧縮応力が付与された状態となっている。この圧縮応力が付与された状態では、ボンド磁石32の外径はロータフレーム31の内径よりも小さくなっている。このボンド磁石圧縮工程は、非加熱で、すなわち常温環境下で行われる。また、ボンド磁石32の圧縮は、ボンド磁石32の外径寸法が0.2〜0.8%の割合で圧縮するような圧縮率で行われる。言い換えると、ボンド磁石の外径が圧縮前の径の99.2〜99.8%となるようにボンド磁石が収縮している。
次に、押し出し治具93をさらにロータフレーム31側に押し出すことにより、図3(b)に示すように、圧縮したボンド磁石32をロータフレーム31に挿入する(ボンド磁石挿入工程)。
具体的には、押し出し治具93の第2の円柱体932をさらに下方(ロータフレーム側)に推し進める。これにより、圧縮治具92の第2のストレート部922において圧縮応力が付与された状態のままボンド磁石32は下方に推し進められる。そして、ボンド磁石32が第2のストレート部923を通過して圧縮治具92から抜け出すと同時に、ボンド磁石32に付与された圧縮応力が開放される。これにより、ボンド磁石32は元の状態に戻ろうとし、このときに生じるボンド磁石32の弾性力(復元力)によってボンド磁石32の外側面がロータフレーム31の内側面に当接するとともに、その弾性力によって接着剤なしでボンド磁石32とロータフレーム31との固定状態が保持される。
なお、上述のとおり、モータの動作中においてもこの固定状態を安定して維持させるためには、ボンド磁石32とロータフレーム31との間の固定力は0.55kN程度以上必要である。
また、本実施形態では、図3(b)に示すように、ボンド磁石32の一端をロータフレーム31の開口部から突出させた構成のロータを製造するものである。
以上のとおり、本実施形態に係るロータの製造方法は、非加熱環境下でボンド磁石が弾性変形する特性を利用したものであり、収縮させたボンド磁石をロータフレームに挿入すると同時にボンド磁石に付与される圧縮応力を一度に開放させ、ボンド磁石がロータフレーム内で元の大きさに伸張しようとする力でロータフレーム内に圧入固定するものである。これにより、ボンド磁石が所定の位置に保持されたロータフレームを有するロータを得ることができる。このように本実施形態に係るロータの製造方法は、ボンド磁石を加熱処理する工程が不要であるとともに、接着剤なしでボンド磁石をロータフレームに固定することができる。従って、ロータの製造方法における製造工程を大幅に簡略化することができる。
また、従来のような加熱処理が不要であるために、本実施形態のように駆動用マグネットとしてボンド磁石の内側をメイン着磁したものを用いた場合であっても、ボンド磁石の磁気特性が劣化するという問題も生じない。
さらに、本実施形態に係るロータの製造方法によれば、次の効果をも奏することができる。接着剤を用いた従来のロータの製造方法では、接着剤を挿入するためにボンド磁石とロータフレームとの間に接着シロを設けていた。この接着シロによる寸法差によって、接着後にロータフレームとボンド磁石との間で同軸性の劣化が生じていた。しかしながら、本実施形態に係るロータの製造方法によれば、接着シロが不要であるために高い同軸性のロータを得ることができ、ロータの精度を著しく向上させることができる。
なお、上述したように、通常は、図2に示すように、ロータの製造工程のボンド磁石圧縮工程の前に、ボンド磁石を製造するボンド磁石形成工程と、ボンド磁石にモータ駆動用としての着磁(メイン着磁)を行う第1の着磁工程とがある。第1の着磁工程の後は、上述したロータの製造装置を用いてボンド磁石をロータフレームに圧入固定する。
なお、この後に、図2に示すように、第2の着磁工程を施してもよい。第2の着磁工程では、上記のメイン着磁とは別に、ロータフレームの開口部側におけるボンド磁石の軸方向の端面に、所定間隔ごとにN極とS極とを交互に多極着磁(FG着磁)する。このFG着磁は、回転制御用としての着磁である。
次に、本実施形態に係るロータの製造方法によって製造されたロータの構成について、図面を参照しながら詳述する。図5は、本実施形態に係るロータ30についてマグネット32とロータフレーム31とを分離した状態の斜視図である。
図5に示すように、ロータフレーム31は、内周側に所定の内径寸法diである内側円筒部311と、内側円筒部311からロータフレーム31の開口部に向かって内径が大きくなるテーパ部312とを有している。図5では、テーパ部312により、ロータフレーム31の開口部において、内径寸法diよりも大きい内径寸法dtまで、テーパ幅の寸法wtだけ外周方向に広がった例を示している。
マグネット32は、外径寸法をdoとするボンド磁石である。すなわち、ロータフレーム31とマグネット32とが分離している状態では、マグネット32の外径寸法doは、ロータフレーム31の開口端部の内径寸法dtや内側円筒部311の内径寸法diよりも大きい。一方、マグネット32は弾性力を有したボンド磁石であるため、鉄などの金属磁性体で形成されたロータフレーム31に、このマグネット32を圧入することで、マグネット32はロータフレーム31の内周に直接に密着して固定される。
また、本実施形態では、マグネット32の一部がロータフレーム31の開口部側からとび出すようにして、マグネット32がロータフレーム31に挿入されている。
本実施形態に係るモータのロータ30は、内側円筒部311の内径寸法diやロータフレーム31の開口端部の内径寸法dtよりも大きな外径寸法doを有する中空円筒状のマグネット32を、上記のロータの製造装置90によってロータフレーム31に圧入することにより製造される。すなわち、マグネット32から外側方向に働く弾性力により、マグネット32が収縮した状態で、ロータフレーム31とマグネット32との接合面でそれぞれが直接に密着する。このため、接着剤などを用いることなくロータフレーム31とマグネット32との一体化を図ることができ、製造の簡略化とともにロータの真円度を容易に確保できる。
さらに、ロータフレーム31の開口部分にテーパ部312が設けられているため、マグネット挿入時におけるマグネット32の削れや傷、クラックなどの発生を防止することができる。さらには、マグネット32をロータフレーム31に挿入するとき、このテーパ部312をガイドとしても利用でき、マグネット32に付与される圧縮応力を徐々に弱めることができるとともに、ロータフレーム31に付与するマグネット32からの弾性応力も徐々に高めることができ、製造時におけるロータフレーム31やマグネット32の割れやクラックの発生を防止することができる。このため、本発明に係るモータによれば、高い回転精度で小型化を図ることができる。また、高い回転精度でかつ小型化に適したモータを備える電子機器を提供することができる。
なお、以上の説明では、ロータフレーム31のテーパ部312はテーパ形状であるとして説明したが、テーパ形状に代えて曲面形状としてもよい。
また、マグネット32の強度的な問題がなければテーパ部312を設けないような構成であってもよい。
以上のような構成により、前述したステータ20に巻回されたコイル23に交番電流を通電し、ステータ20の各ティース22からN極とS極の磁界を交互に発生させ、各ティース22とマグネット32のメイン着磁部との間で、吸引力と反発力を発生させる。これにより、ロータ30が回転軸40を中心に回転し、またその回転力は回転軸40を介して紙送り用ローラ等に伝達されるようになっている。
具体的には、本実施形態では、回転軸40の下端は配線基板50の貫通孔を貫通して配線基板50の下にまで伸ばされ、この回転軸40の下部に歯車(図示せず)が装着され、この歯車にギアボックス(図示せず)が連結され、これによってレーザプリンタにおける複数の紙送り用ローラ(図示せず)が回動し、紙送りが行われるようになっている。すなわち、本実施形態に係る電子機器としてのレーザプリンタは、本体ケースと、この本体ケース内に設けた被駆動体としての例えば紙送り用ローラと、この被駆動体に連結した本モータとを備える。
なお、本実施形態では、マグネット32とロータフレーム31の内側円筒部311とが直接に密着したような例を挙げて説明したが、マグネット32の表面上に例えば防錆のためのコーティングを施し、コーティングされたマグネットがロータフレームの内側円筒部311に直接に密着するような構成としてもよい。防錆に用いる材料の一例について説明するとポリシリコン系の防錆剤を希釈剤で希釈したものにアルコールで洗浄を施した磁石を浸漬し、熱硬化させることにより行った。被覆される防錆膜の厚みは数μmである。より高い防錆能を必要とする用途には金属めっきなどを数十μm厚で形成したものを用いてもよい。
また、以上の説明では、マグネット32をロータフレーム31の底部から離した位置に配置した構成としたが、マグネット32がロータフレーム31の底部にまで直接に密着させた構成であっても構わない。
次に、本実施形態に係るロータの製造方法によって製造されたロータに関し、ロータフレームとマグネット(ボンド磁石)との固着力について実験を行ったので、その実験結果について図面を参照しながら説明する。
まず、バインダーの違いによるボンド磁石の収縮率と固着力との関係について説明する。図6は、バインダーの違いによるボンド磁石の収縮率と固着力との関係の関係を示す図である。
なお、この実験では以下の製造条件で行った。ボンド磁石としては、等方性磁粉とエポキシ樹脂と硬化剤を混練機にて混合し、乾燥して顆粒状にしたものに、成形時の金型内への充填性を向上させるために固体潤滑剤を重量比率0.2%加えたものを用いた。ロータフレームとしては、テーパ角が0.9°のテーパ部を設けたものを用いた。製造時の温度は、常温(20〜25℃)で行った。
また、本実験では、エポキシ樹脂と硬化剤との組み合わせを変えた3つのバインダーのパターンで行った。バインダーAは、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用い、硬化剤として、イミダゾール系の硬化剤を用いたものである。イミダゾール系の硬化剤はエポキシ樹脂の硬化時触媒的な作用を生じ、エポキシ基同士を結合硬化させるものである。バインダーBは、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用い、硬化剤として、イソシアネート系の硬化剤を用いたものである。イソシアネート系硬化剤はエポキシ樹脂の水酸基と結合したウレタン結合と、エポキシ基同士の結合で硬化させるものである。バインダーCは、エポキシ樹脂として、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂を用い、硬化剤として、フェノール系の硬化剤を用いたものである。フェノール系の硬化剤はエポキシ樹脂の水酸基と結合することにより硬化結合するものである
なお、固着力としては、ロータフレームに対するボンド磁石の抜強度を測定することによって評価した。
図6に示すように、ボンド磁石の収縮率が0.2〜0.8%の範囲においては、バインダーA、バインダーB及びバインダーCのいずれのバインダーのパターンでも、1.0kN以上の抜け強度があることが分かった。これは、いずれのパターンにおいても、ロータフレームに対するボンド磁石の固着力として必要な0.55kN以上を実現している。なお、ボンド磁石の収縮率が0.2%よりも小さいと必要な固着力が確保できない。また、ボンド磁石の収縮率が0.8%を超えるとボンド磁石にクラック等が生じてしまう。
次に、樹脂重量比率の違いによるボンド磁石の収縮率と固着力との関係について説明する。図7は、樹脂重量比率の違いによるボンド磁石の収縮率と固着力との関係の関係を示す図である。
なお、この実験では以下の製造及び条件で行った。ボンド磁石用の材料としては、等方性磁粉とビスフェノールA型のエポキシ樹脂とイミダゾール系の硬化剤(バインダーB)とを混練機などにて混合し、乾燥して顆粒状にしたものに、成形時の金型内への充填性を向上させるために固体潤滑剤を重量比率0.2%加えたものを用いた。ロータフレームとしては、テーパ角が0.2°のテーパ部を設けたものを用いた。製造時の温度は、常温(20〜25℃)で行った。
本実験では、ボンド磁石の中のエポキシ樹脂の樹脂重量比率を1.5%、2.0%、3.0%と変えて行った。
図7に示すように、エポキシ樹脂の樹脂重量比率がいずれの場合であっても、ボンド磁石の収縮率が0.2〜0.8%の範囲においては、1.0kN以上の抜け強度があることが分かった。これは、いずれのパターンにおいても、ロータフレームに対するボンド磁石の固着力として必要な0.55kN以上を実現している。
本発明によれば、ボンド磁石を加熱処理することなく、ボンド磁石を接着剤なしでロータフレームに安定して固定することができるため、複写機やプリンタ等の電子機器に使用されるモータに好適である。
10 モータ
20 ステータ
21 ステータコア
22 ティース
23 コイル
30 ロータ
31 ロータフレーム
32 マグネット(ボンド磁石)
40 回転軸
50 配線基板
60 FGパターン
70 ハウジング
80 ベアリング
90 ロータ製造装置
91 受台
92 圧縮治具
93 押し出し治具
94 支持治具

Claims (14)

  1. ロータフレームの内面にリング状のボンド磁石を配置するロータの製造方法であって、 非加熱で前記ボンド磁石の外径が0.2〜0.8%の範囲で圧縮するボンド磁石圧縮工程と、
    圧縮された前記ボンド磁石を前記ロータフレームに挿入するボンド磁石挿入工程と、を備えたロータの製造方法。
  2. 前記ボンド磁石に含有する樹脂の重量比率が1.5〜3.0%である請求項1記載のロータの製造方法。
  3. ロータフレームの内面にリング状のボンド磁石を配置するロータの製造方法であって、 前記ロータフレームを受ける受台と、前記ボンド磁石を前記ボンド磁石の径方向に圧縮する圧縮治具と、前記圧縮治具に配置された前記ボンド磁石を前記フレームに押し出す押し出し治具とを備え、
    前記ロータフレームを前記受台に配置するロータフレーム配置工程と、
    前記ボンド磁石を前記圧縮治具に配置するボンド磁石配置工程と、
    前記圧縮治具に配置された前記ボンド磁石を前記押し出し治具によって前記ロータフレーム側に押し出し、前記ボンド磁石の外径が前記ロータフレームの内径よりも小さくなるように前記ボンド磁石を非加熱で圧縮するボンド磁石圧縮工程と、
    前記押し出し治具をさらに前記ロータフレーム側に押し出すことにより圧縮した前記ボンド磁石を前記ロータフレームに挿入するボンド磁石挿入工程と、を備えるロータの製造方法。
  4. 前記圧縮治具は、内面がテーパ状に形成されたテーパ部を有する請求項3記載のロータの製造方法。
  5. 前記圧縮治具の前記テーパ部と前記圧縮治具の前記ボンド磁石が押し出される側の端部との間がストレート状に形成されている請求項4に記載のロータの製造方法。
  6. 前記圧縮治具の前記ボンド磁石が押し出される側の端部の内径は、前記ロータフレームの内径よりも小さい請求項5に記載のロータの製造方法。
  7. 前記ボンド磁石圧縮工程において、前記ボンド磁石の外径が0.2〜0.8%の範囲で圧縮する請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
  8. 前記ボンド磁石に含有する樹脂の重量比率が1.5〜3.0%である請求項3〜請求項7のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
  9. 前記圧縮治具の前記ボンド磁石が押し出される側に、前記圧縮治具の内径を大きくする凹部が形成されている請求項3〜請求項8のいずれかに記載のロータの製造方法。
  10. 前記ロータフレームの開口部から前記ボンド磁石が突出するように前記ボンド磁石を前記ロータフレームに挿入する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
  11. 前記ロータフレームの開口部分の内側がテーパ形状となっている請求項10記載のロータの製造方法。
  12. 前記ロータフレームのテーパ形状は0.27°〜0.9°の範囲内である請求項11記載のロータの製造法。
  13. 請求項1〜12に記載のロータの製造方法によって製造されたロータを備えたモータ。
  14. 請求項13に記載のモータを備えた電子機器。
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