JPH0845724A - 圧粉コア - Google Patents

圧粉コア

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JPH0845724A
JPH0845724A JP6195860A JP19586094A JPH0845724A JP H0845724 A JPH0845724 A JP H0845724A JP 6195860 A JP6195860 A JP 6195860A JP 19586094 A JP19586094 A JP 19586094A JP H0845724 A JPH0845724 A JP H0845724A
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JP
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core
powder
silicone resin
loss
alloy powder
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JP6195860A
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Gakuo Tsukada
岳夫 塚田
Teruo Mori
輝夫 森
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 保磁力が低く、損失が小さく、しかも飽和磁
化が大きい圧粉コアを提供する。また、このような圧粉
コアの機械的強度を向上させる。 【構成】 P含有率が0.5〜1.5重量%であるFe
−P合金粉末の圧粉コア。バインダとしてシリコーン樹
脂と有機チタンとを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種電気・電子機器に
用いられる圧粉コアに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子機器の小型化がすす
み、小型で高効率の圧粉コアが要求されている。小型化
のためには強磁性金属粉末を圧粉したコア、特に、飽和
磁化の高い純鉄粉末を圧粉したコアが好ましい。しか
し、純鉄粉末を圧粉したコアは保磁力が大きいため、ヒ
ステリシス損失が大きくなり、抵抗率が低いため渦電流
損失も大きくなる。一方、Fe−Si粉末やセンダスト
(Fe−Al−Si)粉末を圧粉したコアは、保磁力が
低く抵抗率が高いが、飽和磁化が小さいためコアの小型
化が難しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、保磁
力が低く、損失が小さく、しかも飽和磁化が大きい圧粉
コアを提供することであり、他の目的は、このような圧
粉コアの機械的強度を向上させることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(3)のいずれかの構成により達成される。 (1)P含有率が0.5〜1.5重量%であるFe−P
合金粉末が圧粉されたものであることを特徴とする圧粉
コア。 (2)Fe−P合金粉末とシリコーン樹脂と有機チタン
との混合物が圧粉されたものである上記(1)の圧粉コ
ア。 (3)圧粉後に、450〜800℃で焼鈍処理が施され
たものである上記(2)の圧粉コア。
【0005】
【作用および効果】Fe−P粉末を圧粉したものである
本発明のコアは、純鉄粉末を圧粉したコアよりも保磁力
が小さく、また、抵抗率が高い。そして、Fe−Si粉
末やセンダスト粉末を圧粉したコアよりも飽和磁化が高
い。
【0006】本発明の好ましい態様では、Fe−P粉末
を圧粉する際に、絶縁剤およびバインダとしてシリコー
ン樹脂を用い、シリコーン樹脂の架橋剤として有機チタ
ンを用いる。シリコーン樹脂は絶縁性に優れ、耐熱性が
高い。このため、圧粉後に、Fe−P粉末のストレスを
十分に解放して保磁力を低下させるために高温の焼鈍処
理を施した場合でもFe−P粒子間の絶縁が十分に保た
れ、渦電流損失の増大および透磁率の周波数特性の劣化
が抑えられる。シリコーン樹脂は焼鈍処理により硬化す
るため、コアの機械的強度が高くなり、有機チタンを添
加することにより、コアの機械的強度はいっそう高くな
る。
【0007】なお、特開平3−53506号公報には、
継電器、磁気スイッチなどのコアや、ドットプリンター
用のヘッドヨーク材に適用されるFe−P合金軟質磁性
焼結体の製造方法が記載されている。しかし、同公報記
載のFe−P合金は焼結体なので、渦電流損失が著しく
大きくなってしまう。
【0008】また、特開昭61−154014号公報に
は、電気的絶縁体である無機高分子を結着剤とした磁性
粉の圧縮成形体からなる圧粉磁心が開示されている。同
公報の実施例では、無機高分子としてポロシロキサン樹
脂を用い、これを溶解した溶液に非晶質合金粉末を浸し
た後、リング状コアに成形し、150℃で20分、25
0℃で30分熱処理を行なって溶剤をとばし、420℃
で60分間の硬化処理を施している。同公報記載の方法
は、無機高分子を用いる点でシリコーン樹脂と有機チタ
ンとを用いる本発明とは異なる。このため、同公報記載
の方法で製造されたコアは、本発明によるコアよりも機
械的強度が劣る。
【0009】特開昭62−247004号公報には、金
属圧粉磁心の製造に際して、金属磁性粉末の表面を絶縁
性酸化物を形成し得る金属を含有する有機金属カップリ
ング剤にて被覆処理し、該処理粉末に結着剤としての合
成樹脂を混合してから、加圧成形した後、熱処理を施す
ことによって絶縁性金属酸化物被膜を生成せしめる方法
が開示されている。同公報には、有機金属カップリング
剤として、SiO2 のように絶縁性の酸化物を形成し得
る金属を含有するシラン系、チタン系、クロム系等のカ
ップリング剤が開示されている。また、結着剤として、
カップリング剤分子中の有機官能基反応性のある樹脂を
用いることにより、金属粉末への樹脂の均一被覆がなさ
れ、成形性が向上する旨と、成形ひずみを除去するため
の熱処理の際に、加熱途上の200〜300℃で官能基
がとび、耐熱性に優れた絶縁酸化被膜が形成され、絶縁
抵抗を維持しつつ従来より高い温度での熱処理によって
より透磁率が高められる旨の記載がある。同公報の実施
例では、合金粉末をガンマアミノプロピルトリエトキシ
シランの水溶液で処理、乾燥した後、エポキシ樹脂を均
一に混合し、圧粉成形の後に500〜900℃で熱処理
している。この方法は酸化被膜を形成するものなので、
シリコーン樹脂と有機チタンとを用いる本発明とは異な
り、粒子間の絶縁性とコアの機械的強度の双方を共に向
上させることはできない。
【0010】特開昭62−247005号公報には、金
属圧粉磁心の製造に際して、金属磁性粉末の表面をテト
ラヒドロキシシランSi(OH)4 にて被覆処理した
後、さらにこれを加熱してSiO2 被膜を生成する方法
と、このようにしてSiO2 被膜を生成した後、結着剤
として合成樹脂を混合してから加圧成形、熱処理する方
法とが開示されている。同公報には、SiO2 被膜が圧
粉成形時にも粒子間絶縁抵抗の劣化が少なく、成形性が
あり引き続き施される熱処理の温度を上昇させて透磁率
を高めても周波数特性が劣化しない旨が記載されてい
る。同公報の実施例では、まず、Si(OH)4 のアル
コール溶液に合金粉末を浸漬した後、250℃にて加熱
し、粉末表面にSiO2 の被膜を生成している。そし
て、この粉末を直接圧粉成形するか、エポキシ樹脂を混
合した後に圧粉成形し、さらに、500〜900℃で熱
処理している。この方法は粒子表面にSiO2 被膜を形
成し、その後に圧粉成形するものであり、シリコーン樹
脂と有機チタンとを用いる本発明とは異なる。したがっ
て、同公報記載の方法では、本発明のように粒子間の絶
縁性とコアの機械的強度の双方を共に向上させることは
できない。
【0011】特開平3−291305号公報には、形状
異方性軟磁性合金粉末の製造方法が開示されている。こ
の方法では、合金粉末を機械的粉砕し、得られた合金粉
末にシリコンオイルを0.5〜5.0重量%混合した
後、熱処理する。この方法において、シリコンオイル混
合後に熱処理を施すのは、シリコンオイルからケイ素酸
化物被膜を生成させて合金粉末相互の結着を防ぎ、後工
程における解砕、粉砕工程を短縮するためである。同公
報の実施例では、まず、粗粉砕粉末を、ステンレスボー
ルおよびエタノールを用いて湿式でボールミル粉砕し、
平均直径が約40μm で厚さが1μm の円板状粒子から
なる偏平化粉末を作製している。そして、トルエンに溶
解したシリコンオイルと前記粉末とを混合して乾燥した
後、空気中で470℃まで昇温し、さらに最高温度50
0〜900℃で熱処理を施している。この実施例では空
気中で470℃まで昇温する際に、シリコンオイルから
ケイ素酸化物被膜を生成していると考えられる。同公報
には、このようにして製造した形状異方性軟磁性合金粉
末を圧粉コアに適用する旨の記載はない。同公報記載の
方法は、ケイ素酸化物被膜を形成するものであり、その
効果が合金粉末相互の結着を防ぐというものであること
から、たとえこの粉末を圧粉コアの製造に適用したとし
ても、圧粉コアの機械的強度の向上に寄与しないことは
明らかである。
【0012】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0013】本発明の圧粉コアは、Fe−P合金粉末と
バインダとを混合し、混合物を圧粉した後、焼鈍処理を
施して製造される。
【0014】本発明で用いるFe−P合金粉末は、P含
有率が0.5〜1.5重量%、好ましくは0.6〜1.
0重量%である。P含有率が低すぎるとFeと同様に低
抵抗となり、また、粉砕しにくくなるので粉末の保磁力
が高くなってしまい、コア損失が大きくなる。一方、P
含有率が高すぎると飽和磁化が不十分となる。
【0015】Fe−P合金粉末の平均粒径は、好ましく
は150μm 以下、より好ましくは100μm 以下であ
る。平均粒径が大きすぎると渦電流損失が大きくなって
しまう。平均粒径の下限は特にないが、通常は10μm
以上であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると圧
縮密度を十分に高くすることができず、高い磁束密度の
コアが得られなくなる。また、粉末が酸化されやすくな
り、酸化膜の形成により応力が発生して保磁力が大きく
なってしまう。なお、この平均粒径は、重量平均粒径D
50である。重量平均粒径D50とは、粉末中の粒子を小径
のものから積算し、粉末全体の50重量%となったとき
の粒径である。粒径はレーザー散乱法により測定する。
【0016】Fe−P合金粉末の製造方法は特に限定さ
れず、焼結体を粉砕する方法、水アトマイズ法、ガスア
トマイズ法等のアトマイズ法や、冷却基体を用いた急冷
凝固法、還元法などから適宜選択すればよい。水アトマ
イズ法では、ノズルから流下させた原料合金の溶湯に高
圧水を噴射して冷却し、凝固・粉末化する。粉末化は、
粉末の酸化を防ぐために非酸化性雰囲気中で行なうこと
が好ましい。
【0017】なお、本発明では、必要に応じてFe−P
合金粒子を偏平化してもよい。トロイダル状のコアや、
E型のコア半体であってすべての足が直方体状であるも
のなどでは、使用時の磁路方向に対し垂直な方向に加圧
して成形するいわゆる横押し成形が可能である。横押し
成形では、圧粉コア中において偏平粒子の主面を磁路と
ほぼ平行とすることが容易であるため、偏平状粒子を用
いることにより容易に透磁率を向上させることができ
る。偏平化手段は特に限定されないが、ボールミル、ロ
ッドミル、振動ミル、アトリションミル等の圧延・剪断
作用をもつ手段を用いることが好ましい。偏平化率は特
に限定されないが、通常、アスペクト比(径/厚さ)で
5〜25程度とすることが好ましい。
【0018】一方、横押し成形が不可能なコア、例え
ば、E型のコア半体であっても足の断面外形の少なくと
も一部が弧状であるものなど(いわゆるEPC型コアや
ER型コアに用いるコア半体など)では、成形時の加圧
方向が足の軸方向(磁路方向)と一致するいわゆる縦押
し成形を用いる。縦押し成形では、偏平状粒子を用いる
利点はないため、水アトマイズ法やガスアトマイズ法な
どで得られる不定形状や球状の粒子をそのまま用いるこ
とが好ましい。
【0019】Fe−P合金粉末とバインダとを混合する
工程において用いるバインダは特に限定されないが、高
温の焼鈍処理に耐えること、また、コアの機械的強度向
上効果が高いことから、シリコーン樹脂を用いることが
好ましい。
【0020】シリコーン樹脂は、オルガノシロキサン結
合を有するオルガノポリシロキサンであり、狭義には、
3次元網目構造を有するオルガノポリシロキサンであ
る。本発明で用いるシリコーン樹脂は特に限定されない
が、狭義のシリコーン樹脂は必ず用いる。ただし、シリ
コーンオイルやシリコーンゴム等の広義のシリコーン樹
脂を併用してもよい。使用する全シリコーン樹脂中にお
ける狭義のシリコーン樹脂の割合は、好ましくは50重
量%以上とし、より好ましくは狭義のシリコーン樹脂だ
けを用いる。シリコーン樹脂は、通常、ジメチルポリシ
ロキサンを主成分とするが、メチル基の一部が他のアル
キル基またはアリール基で置換されていてもよい。
【0021】シリコーン樹脂とFe−P合金粉末とを混
合するときには、固体状または液状のシリコーン樹脂を
溶液化して混合してもよく、液状のシリコーン樹脂を直
接混合してもよいが、溶液化して用いる場合には成形前
に溶媒を乾燥させる必要があるため、好ましくは溶液化
せずに液状のシリコーン樹脂を直接混合する。液状のシ
リコーン樹脂の粘度は、25℃において好ましくは10
〜10000CP、より好ましくは1000〜9000
CPである。粘度が低すぎても高すぎても、Fe−P合
金粒子表面に均一な被膜を形成することが難しくなる。
【0022】シリコーン樹脂の混合量は、Fe−P合金
粉末に対し好ましくは0.5〜5重量%、より好ましく
は1〜3重量%である。シリコーン樹脂の混合量が少な
すぎると、Fe−P合金粒子間の絶縁性が不十分とな
り、また、コアの機械的強度も不十分となる。シリコー
ン樹脂の混合量が多すぎると、コア中の非磁性領域の比
率が高くなって透磁率が低くなってしまう。また、シリ
コーン樹脂が少なすぎても多すぎても、コアの密度が低
くなる傾向がある。
【0023】バインダとしてシリコーン樹脂を用いる場
合、架橋剤として有機チタンを添加する。有機チタンを
添加することにより、コアの機械的強度がさらに向上す
る。
【0024】本発明で用いる有機チタンとは、チタンの
アルコキシドおよびキレートから選択される少なくとも
1種であり、シリコーン樹脂の架橋剤として使用できる
ものである。
【0025】アルコキシドは、モノマーであってもオリ
ゴマーないしポリマーであってもよく、これらを併用し
てもよい。アルコキシドとしては、例えば、アルキル基
の炭素数が1〜8のテトラアルコキシチタン、具体的に
は、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブト
キシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタ
ンが好ましく、これらのうち、テトラ−i−プロポキシ
チタン、テトラ−n−ブトキシチタンがより好ましく、
テトラ−n−ブトキシチタンが最も好ましい。特に、下
記化1で表わされるテトラ−n−ブトキシチタンのオリ
ゴマーないしポリマーが好ましい。
【0026】
【化1】
【0027】上記化1において、nは、好ましくは10
以下の整数であり、より好ましくはn=2、4、7、1
0であり、さらに好ましくはn=4である。nが大きい
と架橋反応の速度が低くなる傾向がある。
【0028】キレートとしては、ジ−n−プロポキシ・
ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシ
・ビス(トリエタノールアミナト)チタンが好ましい。
【0029】これらの有機チタンのうち、上記した各種
アルコキシドを用いることが好ましい。上記アルコキシ
ドは、常温で液体であるため混合する際に液状のシリコ
ーン樹脂と共に直接混合でき、また、加水分解速度が適
当であり、入手も容易である。
【0030】有機チタンの混合量は、シリコーン樹脂の
混合量に対し、好ましくは10〜70重量%、より好ま
しくは25〜50重量%である。有機チタンの混合量が
少なすぎると、コアの機械的強度をさらに向上させる効
果が不十分となる。一方、混合量が多すぎても機械的強
度は顕著には向上せず、コアの透磁率が低くなってしま
う。
【0031】なお、シリコーン樹脂以外にも、従来の圧
粉コアに用いられている水ガラス等が使用可能である
が、水ガラスは300℃程度を超える温度では分解して
絶縁性を保てなくなるため、高温の焼鈍処理が不可能で
あり、磁気特性向上が難しい。
【0032】Fe−P合金粉末とシリコーン樹脂と有機
チタンとを混合した後、混合物に乾燥処理を施すことが
好ましい。乾燥処理では、好ましくは50〜300℃、
より好ましくは50〜150℃の温度範囲に保持する。
処理温度が低すぎると、シリコーン樹脂の接着性が弱く
ならないためFe−P合金粉末が凝集しやすくなって成
形性が低下し、処理温度が高すぎると、シリコーン樹脂
の接着性が弱くなりすぎてコアの機械的強度向上効果が
不十分となる。処理時間、すなわち、上記温度範囲内を
通過する時間あるいは上記温度範囲内の一定の温度に保
持する時間は、好ましくは0.5〜2時間とする。処理
時間が短すぎるとシリコーン樹脂の接着性が弱くなら
ず、処理時間が長すぎるとシリコーン樹脂の接着性が弱
くなりすぎる。乾燥処理は比較的低温で行なうので、非
酸化雰囲気中で行なう必要はなく、空気中で行なってよ
い。
【0033】乾燥処理後、圧粉前に、前記混合物に潤滑
剤を添加することが好ましい。潤滑剤は、成形時の粒子
間の潤滑性を高めたり、金型からの離型性を向上させた
りするために用いられる。潤滑剤には、圧粉コアに通常
用いられている各種のものを選択でき、例えば、ステア
リン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム
等の高級脂肪酸、その塩、あるいはワックスなど、常温
で固体の有機潤滑剤や、二硫化モリブデン等の無機潤滑
剤などから適宜選択すればよい。潤滑剤の混合量は種類
によっても異なるが、常温で固体の有機潤滑剤ではFe
−P合金粉末に対し好ましくは0.1〜1重量%とし、
無機潤滑剤ではFe−P合金粉末に対し好ましくは0.
1〜0.5重量%とする。潤滑剤の混合量が少なすぎる
と添加による効果が不十分となり、混合量が多すぎる
と、コアの透磁率が低くなってしまう他、コアの強度が
低くなってしまう。
【0034】なお、潤滑剤は、通常、乾燥処理後に混合
するが、乾燥処理の際の加熱に耐えられる潤滑剤を用い
る場合には、潤滑剤を乾燥処理前に添加してもよい。
【0035】圧粉工程では、所望のコア形状に成形す
る。本発明が適用されるコア形状は特に限定されず、い
わゆるトロイダル型、EE型、EI型、ER型、EPC
型、ドラム型、ポット型、カップ型等の各種形状のコア
の製造に本発明は適用できるが、本発明のコアは圧粉コ
アであるため、複雑形状のコアとすることができ、例え
ば図1および図2に示されるような形状のコアとするこ
とができる。図示されるコアは、ハードディスクドライ
ブ等に適用されるブラシレスモータのステータコアであ
る。このステータコアは、スロット2に巻線が巻かれ、
磁極3からの漏洩磁束を利用する構成である。このた
め、トロイダルコア等の閉磁路として用いるコアに比
べ、巻線による銅損が大きくなってしまう。しかし、本
発明の圧粉コアはコア損失が小さいため、回路全体の損
失を低く抑えることができる。図示されるステータコア
は、スロット2の高さ方向の寸法を磁極3の高さ方向の
寸法よりも小さく構成してあるので、多数の磁束を利用
することができ、かつ小型化が可能である。このような
ステータコアの寸法は、適用対象に応じて適宜決定すれ
ばよいが、通常、内径が3〜20mm程度、径方向に測定
したスロット長さが5〜15mm程度であり、スロット数
は7〜40程度である。
【0036】圧粉条件は特に限定されず、Fe−P合金
粉末の種類や粒子形状、寸法、目的とするコア形状やコ
ア寸法、コア密度などに応じて適宜決定すればよいが、
通常、最大圧力は6〜20t/cm2 程度、最大圧力に保持
する時間は0.1秒間〜1分間程度とする。
【0037】圧粉後、焼鈍処理を施し、コアとしての磁
気特性を向上させる。焼鈍処理は、粉末化や圧粉の際に
Fe−P合金粒子に生じたストレスを解放するためのも
のであり、粒子を機械的に偏平化した場合には、それに
よるストレスも解放することができる。また、焼鈍処理
によりシリコーン樹脂が硬化し、圧粉体の密度が増大し
て機械的強度が向上する。
【0038】焼鈍処理の条件は、Fe−P合金粉末の種
類や、成形条件、偏平化条件などに応じて適宜決定すれ
ばよいが、シリコーン樹脂と有機チタンとを添加した場
合、処理温度は好ましくは450〜800℃、より好ま
しくは500〜800℃、さらに好ましくは600〜7
60℃である。処理温度が低すぎると焼鈍が不十分とな
ってヒステリシス損失が大きくなりやすく、高すぎると
Fe−P合金粉末が焼結しやすくなり、Fe−P合金粒
子間の絶縁性が劣化して渦電流損失が大きくなりやす
い。処理時間、すなわち、上記温度範囲内を通過する時
間あるいは上記温度範囲内の一定の温度に保持する時間
は、好ましくは10分間〜1時間とする。処理時間が短
すぎると焼鈍効果が不十分となりやすく、長すぎるとF
e−P合金粉末が焼結しやすくなる。
【0039】焼鈍処理は、Fe−P合金粉末の酸化を防
ぐために非酸化性雰囲気中で行なうことが好ましい。シ
リコーン樹脂と有機チタンとを添加し、焼鈍処理を非酸
化性雰囲気中で行なった場合、コア中には、通常、シリ
コーン樹脂および有機チタンが存在する。これは、FT
−IR(フーリエ変換赤外分光)透過法等の分析方法に
より確認することができる。
【0040】焼鈍処理後、必要に応じ、巻線との絶縁性
を確保するための絶縁膜形成、巻線、コア半体同士の組
み付け、ケース装入などを行なう。
【0041】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0042】平均粒径45μm のFe粉末と平均粒径3
2μm のFe−P粉末(P含有率25重量%)とを、P
/(Fe+P)が0.85重量%となるように混合し、
メカニカルアロイイング法により合金化した後、圧縮成
形した。得られた成形体を水素ガスを含む窒素ガス雰囲
気中において1300℃で5時間加熱し、焼結反応によ
り合金化を進めた後、ジョークラッシャーミル、ブラウ
ンミルおよび振動ミルを使用して粉砕し、平均粒径D50
が75μm のFe−P合金粉末を得た。
【0043】このFe−P合金粉末に、シリコーン樹脂
と有機チタンとを自動乳鉢により混合し、100℃で1
時間乾燥した。シリコーン樹脂には、無溶剤型シリコー
ン樹脂(トーレ・シリコーン社製SR2414、25℃
における粘度2000〜8000CP)を用い、有機チ
タンには、前記した化1の化合物でn=4のもの(日曹
社製TBTポリマーB−4)を用いた。Fe−P合金粉
末に対するシリコーン樹脂の混合量は2.4重量%と
し、シリコーン樹脂に対する有機チタンの添加量は33
重量%とした。
【0044】乾燥後、潤滑剤を混合した。潤滑剤には、
Fe−P合金粉末に対し0.4重量%のステアリン酸亜
鉛を用いた。
【0045】次いで、乾燥物を加圧成形し、トロイダル
状(外径17.5mm、内径10.2mm、高さ6mm)の圧
粉体を得た。成形圧力は、10t/cm2 とし、加圧時間は
10秒間とした。
【0046】この圧粉体に、Ar雰囲気中において75
0℃で0.5時間の焼鈍処理を施して、トロイダルコア
No. 3とした。
【0047】また、P含有率の異なるFe−P合金粉末
を用い、その他はトロイダルコアNo. 3と同様にして、
表1に示すトロイダルコアを作製した。さらに、比較の
ために、Fe−P合金粉末に替えてFe粉末(平均粒径
5075μm 、水アトマイズ法により製造)またはFe
−Si粉末(平均粒径D50100μm 、Si含有率6重
量%)を用い、その他はトロイダルコアNo. 3と同様に
して表1に示すトロイダルコアを作製した。
【0048】各トロイダルコアについて、100Hzにお
ける初透磁率(μi)、100 Oeの磁界を印加したと
きの磁束密度(B100 )、保磁力(Hc )、10kHz 、
100mTにおけるヒステリシス損失(Ph)、渦電流損
失(Pe)およびコア損失(Pt)を求めた。結果を表
1に示す。なお、表1では、Pt=Ph+Peとしてあ
る。
【0049】
【表1】
【0050】表1に示されるように、Fe−P合金粉末
を用いた本発明のコアは、Fe粉末を用いた比較コアよ
りも保磁力が低く、ヒステリシス損失Phが著しく低く
なっており、しかも、B100 の低下は小さく、Fe−S
i粉末を用いた比較コアよりも著しく高いB100 が得ら
れている。B100 が高いと、モータのステータコアに適
用した場合に高トルクが得られる。なお、トロイダルコ
アNo. 1に用いたFe−P合金粉末は、P含有率が低い
ために粉砕が困難であった。このため、保磁力が高くな
って損失が大きくなっている。
【0051】比較のために、絶縁作用をもつバインダと
して水ガラスとガラス粉末との混合物を用いたトロイダ
ルコアも製造した。水ガラスとガラス粉末との混合物
は、水ガラス単独よりも耐熱性が高い材料である。ガラ
ス粉末には、平均粒径3μm のPbO−SiO2 −B2
3 (軟化点430℃)を用い、水ガラスおよびガラス
粉末の添加量は、Fe−P合金粉末に対しそれぞれ1.
5重量%とした。まず、ガラス中にガラス粉末を分散し
てバインダ液を調製した。次に、表1のトロイダルコア
No. 3に用いたFe−P合金粉末と前記バインダ液とを
混練した後、乾燥し、解砕を行なった後、上記と同様に
して潤滑剤添加、成形および焼鈍を行なってトロイダル
コアを製造した。この結果、焼鈍温度を500℃以上と
したときには全損失が680kW/m3 以上となり、Fe−
P合金粒子間の絶縁が破壊されていることが明らかであ
った。
【0052】なお、表1に示すトロイダルコアNo. 3を
粉砕し、粉砕物について、クロロホルムを用いてソック
スレー抽出を行なった。抽出液の蒸発乾固物を、FT−
IR透過法により分析した。この結果、有機チタンの特
性吸収帯である2960cm-1、2930cm-1および28
70cm-1(以上はC−H伸縮振動)ならびに1460cm
-1および1370cm-1(以上はC−H変角振動)が認め
られた。また、1120〜1030cm-1にブロードなピ
ークが認められたが、これはシリコーン樹脂がさらに高
分子化したものと推定される。この結果から、焼鈍処理
後のコア中には、シリコーン樹脂および有機チタンが含
まれていることがわかる。
【0053】<ブラシレスモータにおけるコア損失の解
析>図1に示す形状で図2に示す寸法をもつブラシレス
モータ用ステータコアを作製した。形状および寸法以外
は、表1のトロイダルコアNo. 3およびNo. 5とそれぞ
れ同様とした。
【0054】これらのステータコアをブラシレスモータ
に適用したときのコア損失を、以下に示すスピンダウン
測定法を用いて近似的に求めた。
【0055】まず、真空チャンバ内に、実際のモータと
同様な位置関係となるように、12極の内周着磁円筒状
磁石の内部にステータコアを配置した。そして、真空チ
ャンバ内を1×10-1Torr以下まで減圧した後、ステー
タコアを固定した状態で円筒状磁石を回転させ、回転数
が10000rpmに達したところで駆動力の伝達を停
止し、自然に減速させた。このときの減速率から、この
システムの全エネルギー損失を求めた。この全エネルギ
ー損失は実質的に、円筒状磁石回転機構の軸受による摩
擦(軸受損)、真空チャンバ内の気体による摩擦抵抗
(風損)およびコア損失(ヒステリシス損失+渦電流損
失)からなる。この実験では、軸受損は、ステータコア
を取り付けない状態で上記と同様にして円筒状磁石を回
転・減速させて、そのときの減速率を測定することによ
り求めた。また、風損は無視した。そして、軸受損を全
エネルギー損失から減じることにより、コア損失を求め
た。7200rpm、5400rpmおよび3600r
pmのそれぞれにおけるコア損失を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2から、本発明をブラシレスモータのス
テータコアに適用した場合、損失低減効果が極めて高
く、また、回転数が高いほど損失低減効果が顕著となる
ことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータのステータコアの一例を示す斜視図であ
る。
【図2】実施例に用いたステータコアの寸法を示す平面
図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 P含有率が0.5〜1.5重量%である
    Fe−P合金粉末が圧粉されたものであることを特徴と
    する圧粉コア。
  2. 【請求項2】 Fe−P合金粉末とシリコーン樹脂と有
    機チタンとの混合物が圧粉されたものである請求項1の
    圧粉コア。
  3. 【請求項3】 圧粉後に、450〜800℃で焼鈍処理
    が施されたものである請求項2の圧粉コア。
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