JP5257137B2 - 圧粉磁心の製造方法 - Google Patents
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3Fe2O3+H2→2Fe3O4+H2O
すなわち、窒素ガス雰囲気下において窒素ガスの露点が−40℃を超えた場合には、上述した鉄酸化物の生成により、圧粉磁心の電磁気特性が悪化する傾向にある。
図1は、本実施形態に係る圧粉磁心の製造方法を説明するための図であり、図1(a)は、本実施形態に係る圧粉磁心用粉末の模式図を示しており、図1(b)は、圧粉磁心に成形する工程を説明するための図であり、図1(c)は、圧粉磁心の表面に赤錆層を形成する工程を説明するためも図であり、図1(d)は、圧粉磁心を焼鈍する工程を説明するための図である。
3Fe2O3+N2→2Fe3O4+N2O
(実施例1)
Fe−3%Siアトマイズ粉(平均粒径100μm)を準備し、所定量(1mass%)の市販のシリコーン系樹脂をエタノール等を含む有機溶媒で希釈化した溶液に、このアトマイズ粉を添加して、攪拌して混合し、乾燥させて、シリコーン樹脂が被覆された圧粉磁心用粉末を製作した。
実施例1と同じようにして、圧粉磁心を製造した。実施例1と相違する点は、赤錆層を形成しなかった点である。そして、この圧粉磁心に対して、実施例1と同様の錆試験を行い、実施例1と同じようにして試験後の交流抵抗を測定した。この結果を図2に示す。
実施例1と同じようにして、圧粉磁心を製造した。実施例1と相違する点は、赤錆層を形成しなかった点である。そして、この圧粉磁心に対して、実施例1と同様の錆試験を行わずに、実施例1と同じようにして試験後の交流抵抗を測定した。この結果を図2に示す。
実施例1は、参考例と同じ交流抵抗値であった。すなわち、実施例1の圧粉磁心は、錆試験を行っても、圧粉磁心の表面には、赤錆の発生は認められなかった。一方、比較例1の圧粉磁心の表面には、赤錆の発生が認められ、赤錆の発生した圧粉磁心の交流抵抗値は、実施例1のものに比べて高かった。このことから、実施例1の圧粉磁心は、黒錆層が形成されたことにより、この黒錆層が、圧粉磁心の防錆性を向上させたことにより、参考例と同等の交流抵抗値となったと考えられる。
実施例1と同じようにして、圧粉磁心の製造を行った。実施例1と相違する点は、露点が−60℃以下の窒素ガスに水分を付与して、炉内における窒素ガス雰囲気下で、露点が−40℃以下(−40℃、−50℃、−60℃)にした点である。
実施例1と同じように、圧粉磁心用粉末の製作工程、成形工程、焼鈍工程を経て圧粉磁心を製作した。実施例1と相違する点は、焼鈍工程における露点温度を、−40℃よりも大きく(−30℃、−20℃、−5℃)した点である。
図4(a)に示すように、実施例2のインダクタンスは、基準範囲にあるのに対して、比較例2のものは、基準範囲から外れていた。また、図3(b)に示すように、実施例2の交流抵抗は、基準範囲にあり、比較例2のものは、基準範囲から外れていた。
実施例1と同じように、圧粉磁心用粉末の製作工程、成形工程、焼鈍工程(露点−40℃以下)を経て圧粉磁心を製作した。実施例1と相違する点は、熱処理温度を600℃以上900℃未満(具体的には、650℃、700℃、750℃、850℃)とした点である。そして、実施例1に示す方法と同様にして、鉄損を測定した。この結果を図5に示す。
実施例1と同じように、圧粉磁心用粉末の製作工程、成形工程、焼鈍工程(露点−40℃以下)を経て圧粉磁心を製作した。実施例1と相違する点は、熱処理温度を900℃以上(具体的には、900℃)とした点である。そして、実施例1に示す方法と同様にして、鉄損を測定した。この結果を図5に示す。
図5に示すように、実施例3は、比較例3の鉄損に比べて、基準範囲内にあった。これは、比較例3の如く加熱温度(熱処理温度)が900℃以上の場合には、シリケート化合物が破壊されてしまい鉄損が増加したと考えられる。
Claims (3)
- 鉄系の磁性粉末に絶縁層が被覆された圧粉磁心用粉末からなる磁性粉を加圧成形して圧粉磁心に成形する工程と、
前記圧粉磁心の表面を酸化させて、該表面にFe2O3を含む赤錆層を形成する工程と、
前記赤錆層のFe2O3がFe3O4になるように、前記赤錆層を黒錆層に変質させながら、前記圧粉磁心を焼鈍する工程と、を含むことを特徴とする圧粉磁心の製造方法。 - 前記焼鈍工程は、窒素ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法。
- 前記絶縁層はシリコーン樹脂からなり、前記焼鈍工程は、前記窒素ガスの露点を−40℃以下にして、500℃以上900℃未満の加熱条件で前記圧粉磁心を加熱することにより行うことを特徴とする請求項2に記載の圧粉磁心の製造方法。
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