JPH10335128A - 圧粉コア用強磁性粉末、圧粉コアおよびその製造方法 - Google Patents

圧粉コア用強磁性粉末、圧粉コアおよびその製造方法

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JPH10335128A
JPH10335128A JP10092848A JP9284898A JPH10335128A JP H10335128 A JPH10335128 A JP H10335128A JP 10092848 A JP10092848 A JP 10092848A JP 9284898 A JP9284898 A JP 9284898A JP H10335128 A JPH10335128 A JP H10335128A
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powder
dust core
sol
ferromagnetic
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JP10092848A
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Shinji Endou
真視 遠藤
Gakuo Tsukada
岳夫 塚田
Masaaki Kanasugi
将明 金杉
Kazuhiro Okada
和弘 岡田
Eiji Moro
英治 茂呂
Norishige Yamaguchi
紀繁 山口
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高磁束密度、低保磁力、低損失であって、機
械的強度の高い圧粉コア、そのための強磁性粉末、およ
びその製造方法を実現する。 【解決手段】 強磁性金属粉末に対し、酸化チタンゾル
および/または酸化ジルコニウムゾルが、0.1〜10
vol%添加されている圧粉コア用強磁性粉末を用い、圧
粉コアを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トランスやインダ
クタ等の磁心、モーター用コア、その他の電磁部品に用
いる圧粉コアと、この圧粉コア用の強磁性粉末と、この
圧粉コアの製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子機器用インダクタンス素子の
コアとして、珪素鋼板の抜板を積層した積層珪素鋼板コ
アが多用されている。しかし、積層型のコアでは、生産
の自動化をはかることが難しく、特に、モーター等の駆
動機器用のコアは形状が複雑であるため、打ち抜きによ
る材料歩留まりが著しく低くなってしまい、また、3次
元形状のものを作製するためには加工工数が多くなって
しまう。
【0003】これに対し、軟磁性金属粉末を水ガラス等
のバインダを用いて結着したいわゆる圧粉コアが知られ
ており、上記軟磁性金属粉末としては鉄粉、パーマロイ
粉、センダスト粉等が用いられている。圧粉コアは、複
雑な形状であっても一体的に成形加工でき、また、材料
歩留まりは実質的に100%となるので、積層型コアの
代替品としての用途が期待されている。
【0004】しかし、上記したパーマロイ粉やセンダス
ト粉等の強磁性合金粉末は、保磁力は低いものの磁束密
度が低いので、駆動機器に従来用いられている積層珪素
鋼板コアの代替品として使用することはできない。
【0005】一方、鉄粉に関しては、電解鉄粉や水アト
マイズ鉄粉等の各種製法によるものが市販されている
が、いずれも保磁力が2 Oe 以上と珪素鋼板に対抗でき
るほど低くなく、また1 Oe 程度の保磁力が得られるガ
スアトマイズ鉄粉は極めて高価で、積層珪素鋼板コアの
代替用途には適合しない。
【0006】前者の軟磁性合金粉末に関しては、合金で
あるために本質的に粉体の硬度が高く、圧粉体にした場
合に圧縮率が低くなって珪素鋼板と同等の磁束密度が得
られないと考えられるのに対し、後者の鉄粉末に関して
は、粒径150μm 程度の場合、磁性体ハンドブック
(朝倉書店発行)記載の純鉄板材の保磁力(約0.4 O
e )近くまで低くできる可能性があり、低保磁力と高磁
束密度とを両立できると考えられる。
【0007】圧粉コアの特性改善については種々の提案
がなされている。
【0008】例えば、特開昭62−72102号公報に
は、酸素量0.15〜0.5重量%、平均粒径40〜1
70μm 、平均アスペクト比4〜25の圧粉磁心用鉄粉
が記載されている。同公報では、鉄粒子の酸素被膜が粒
子間の絶縁を担い、渦電流損失を低減するが、約1MHz
程度以上の高周波帯域を対象とするため、酸素量を比較
的多くしている。同公報ではエポキシ樹脂をバインダと
して用いて圧粉磁心を作製しているため、保磁力低減の
ための高温の焼鈍処理ができず、ヒステリシス損失が大
きくなってしまう。
【0009】また、特開昭61−824027号公報に
は、実施例として平均粒径54μmの鉄粉と平均粒径
0.3μm の酸化チタン粉末、あるいは平均粒径1μm
の酸化ジルコニウム粉末とを混合する点、および前記酸
化チタン粉末を添加して加圧成形して鉄心を得る点が記
載されている。また、特開昭63−260005号公報
には、−200メッシュの鉄粉に、粒径が1μm 以下の
酸化シリコンを添加して磁心を得る点が記載されてい
る。しかし、これらの圧粉コアは、(1)コアロスが高
い。(2)絶縁に必要な絶縁材の量が多いため高い磁束
密度が得られない。(3)高温でアニールできないた
め、成型時に生じた歪みが十分緩和できず、保磁力を低
下することが困難である等の問題があった。また、この
出願の発明者はこれらの出願をもとに、同様な圧粉コア
を作製しているが、この場合も損失の点で不十分であ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高磁
束密度、低保磁力、低損失であって、機械的強度の高い
圧粉コアとそのための強磁性粉末、圧粉コアの製造方法
を実現することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、
(1)〜(7)のいずれかの構成により達成される。 (1) 強磁性金属粉末に対し、酸化チタンゾルおよび
/または酸化ジルコニウムゾルが、0.1〜10 vol%
添加されている圧粉コア用強磁性粉末。 (2) 酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムゾ
ルの平均粒径が0.01〜0.1μm である上記(1)
の圧粉コア用強磁性粉末。 (3) さらに耐熱性樹脂を強磁性金属粉末に対し0.
1〜10 vol%添加した上記(1)または(2)の圧粉
コア用強磁性粉末。 (4) 前記強磁性金属粉末が鉄である上記(1)〜
(3)のいずれかの圧粉コア用強磁性粉末。 (5) 上記(1)〜(4)のいずれかの圧粉コア用強
磁性粉末を加圧成型した圧粉コア。 (6) 加熱処理後樹脂が含浸されている上記(5)の
圧粉コア。 (7) 加圧成型した後、400〜700℃で加熱処理
して、上記(5)または(6)のコアを得る圧粉コアの
製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の圧粉コア用強磁性粉末は、
酸化チタンゾルおよび/または酸化ジルコニウムゾル
を、それぞれTiO2、ZrO2に換算して、強磁性金属
粉末に対し0.1〜10 vol%添加したものである。
【0013】酸化チタンゾル、酸化ジルコニウムゾルの
ように微少粒子で、しかもゾルのように溶媒中に均一に
分散された態様のものを強磁性金属粉末に添加すること
により、少量で均一な絶縁被膜ができ、高い磁束密度を
有しながら高い絶縁性を有することができる。
【0014】酸化チタンゾル、酸化ジルコニウムゾル
は、負に帯電した無定形酸化チタン、酸化ジルコニウム
粒子が水中または有機分散媒中に分散してコロイド状を
なしているものであり、その粒子表面には−TiOH
基、−ZrOH基が存在している。
【0015】ゾル中に含まれる酸化チタン粒子、酸化ジ
ルコニウム粒子の大きさは、好ましくは平均粒子径が
0.01〜0.1μm 、より好ましくは0.01〜0.
08μm 、特に0.02〜0.06μm が好ましい。こ
れらの粒子のゾル中の含有量は15〜40wt%程度であ
る。
【0016】強磁性金属粉末に対する酸化チタンゾル、
酸化ジルコニウムゾルの固形分換算の添加量、すなわ
ち、酸化チタン、酸化ジルコニウム粒子の添加量は、
0.1〜10 vol%、好ましくは0.1〜5.0 vol
%、特に0.1〜2.0 vol%である。酸化チタン、酸
化ジルコニウムゾルの固形分換算の添加量が少なすぎる
と、圧粉コア中において強磁性金属粉末間の絶縁性が不
十分となり、酸化チタン、酸化ジルコニウムゾルの固形
分換算の添加量が多すぎると、圧粉コア中においてTi
2 、ZrO2 等の非磁性分が多くなって磁束密度が低
くなってしまう。これらは、それぞれ単独で用いてもよ
いし、両者を組み合わせて使用してもよい。その場合の
量比は任意であるが、添加量は両者の総計が上記範囲内
であることが必要である。
【0017】これらのゾルは通常市販されている〔日産
化学工業(株)NZS−20A,NZS−30A,NZ
S−30B等〕が、pH値が低い場合にはpH7程度に調整
することが好ましい。pH値が低いと、強磁性金属粉末が
酸化することで非磁性の酸化物が増加し、磁束密度が低
下したり保磁力の劣化を生じたりすることがある。ま
た、これらゾルの溶媒には水系と非水系のものとがあ
り、後述する耐熱性樹脂と相溶する溶媒系のものが好ま
しいが、特に、エタノール、ブタノール、トルエン、キ
シレン等の非水系溶媒を用いたものが好ましく、市販の
ゾルが水系溶媒である場合には、必要により溶媒置換を
行ってもよい。また安定剤として、塩素イオンやアンモ
ニア等を含有していてもよい。これらは通常乳白色のコ
ロイド状を呈している。
【0018】強磁性金属粉末としては、特に限定される
ものではなく、例えば鉄、センダスト、ケイ化鉄、パー
マロイ、窒化鉄、鉄アルミ合金等公知の磁性材料粉末か
ら適宜選択して使用すればよく、中でも、現在のところ
積層珪素鋼板を用いて製造されている比較的低周波領域
向けのコアを代替する圧粉コアとするためには、飽和磁
化の高い鉄粉末を用いることが好ましい。鉄粉末の製造
方法は、アトマイズ法や電解法、電解鉄を機械的に粉砕
する方法などのいずれであってもよい。
【0019】鉄粉末を用いる場合、その平均粒子径は、
好ましくは50〜200μm 、より好ましくは75〜1
00μm の範囲が好ましい。平均粒子径が小さすぎると
保磁力が大きくなってくる。また、大きすぎると渦電流
損失が大きくなってくる。なお、前記範囲の粒子径をも
つ鉄粉末は、ふるい等による分級によって得ればよい。
また、他の強磁性金属粉末もこの粒子径に準じたものが
好ましい。
【0020】本発明では上記ゾルに加えて、さらに耐熱
性樹脂を添加してもよい。耐熱性樹脂を添加することに
より、ゾル中の酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子
が強磁性金属粉末の表面に付着し易くなり、表面を均一
に覆うよう付着するのを補助する。また強度の向上にも
効果があるが、強磁性金属粉末の表面が均一に覆われす
ぎると、強磁性金属粉末同士が滑り難くなり、加圧成型
しても所定の密度が得られず、逆に強度の低下を招くこ
とがあるため、使用するゾルの粒子や、強磁性金属粉末
の種類、その粒子径等により適宜好適な樹脂を添加すれ
ばよい。耐熱性樹脂としては、特に限定されるものでは
ないが、例えばシリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等
が挙げられる。熱分解温度は600℃以上のものが好ま
しい。これらの耐熱性樹脂の添加量は、強磁性金属粉末
に対し、好ましくは0.1〜10 vol%、より好ましく
は0.1〜1.0 vol%の範囲が好ましい。耐熱性樹脂
として、例えばシリコーン樹脂の重量平均分子量は、通
常約700〜3300の範囲が好ましく、フェノール樹
脂の数平均分子量は約230〜330の範囲が好まし
い。耐熱性樹脂が少なすぎるとコアの機械的強度の向上
効果が得られない場合があり、耐熱性樹脂が多すぎる
と、コア中の非磁性分の比率が高くなってコアの磁束密
度が低くなってしまう。
【0021】耐熱性樹脂と強磁性金属粉末とを混合する
ときには、固体状または液状の耐熱性樹脂を溶液化して
混合してもよく、液状の耐熱性樹脂を直接混合してもよ
い。液状の耐熱性樹脂の粘度は、25℃において好まし
くは10〜10000CP、より好ましくは1000〜
9000CPである。粘度が低すぎても高すぎても、強
磁性金属粉末表面に均一な被膜を形成することが難しく
なる。
【0022】次に本発明の圧粉コアの製造方法について
説明する。
【0023】本発明では、上記強磁性金属粉末と酸化チ
タンゾルおよび/または酸化ジルコニウムゾルと必要に
より上記耐熱性樹脂とを混合する。強磁性金属粉末に鉄
粉を用いる場合、混合する前に鉄粉に歪取り焼鈍のため
の加熱処理を施すことが好ましい。高温で加熱処理を施
して鉄粉の保磁力を十分に低下させることが好ましい。
鉄粉は、混合する前に酸化処理を施してもよい。この酸
化処理により鉄粒子の表面付近に数十nm程度の薄い酸化
膜を形成すれば、絶縁性向上が望める。この酸化処理
は、空気等の酸化性雰囲気中で150〜300℃で0.
1〜2時間程度加熱することにより行えばよい。この酸
化処理を施した場合には、鉄粒子表面の濡れ性を改善す
るためにエチルセルロース等の分散剤等を用いてもよ
い。
【0024】そして、強磁性金属粉末と酸化チタンゾル
および/または酸化ジルコニウムゾルと必要により上記
耐熱性樹脂とを混合する際、ゾルは上記のゾル溶液とし
て添加する。混合はライカイ機等を用い、好ましくは室
温程度で、10〜60分前後混合する。得られた混合物
を、好ましくは100〜300℃程度で10〜60分前
後乾燥を行い圧粉コア用強磁性粉末を得る。
【0025】乾燥後、成形前に、好ましくは圧粉コア用
強磁性粉末に潤滑剤を添加する。潤滑剤は、成形時の粒
子間の潤滑性を高めたり、金型からの離型性を向上させ
たりするために用いられる。潤滑剤には、圧粉コアに通
常用いられている各種のものを選択でき、例えば、ステ
アリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウ
ム等の高級脂肪酸、その塩、あるいはワックス等の常温
で固体の有機潤滑剤や、二硫化モリブデン等の無機潤滑
剤などから適宜選択すればよい。潤滑剤の混合量は種類
によっても異なるが、常温で固体の有機潤滑剤では鉄粉
末に対し好ましくは0.1〜1重量%とし、無機潤滑剤
では圧粉コア用強磁性粉末に対し好ましくは0.1〜
0.5重量%とする。潤滑剤の混合量が少なすぎると添
加による効果が不十分となってくる。また、混合量が多
すぎると、コアの透磁率が低くなってくる他、コアの強
度が低くなってくる。
【0026】成形工程では、所望のコア形状に成形す
る。本発明が適用されるコア形状は特に限定されず、い
わゆるトロイダル型、EE型、EI型、ER型、EPC
型、ドラム型、ポット型、カップ型等の各種形状のコア
の製造に本発明は適用できるが、本発明のコアは圧粉コ
アであるため、複雑形状のコアとすることができ、例え
ば図1に示されるような形状のコアとすることができ
る。図示されるコアは、ハードディスクドライブ等に適
用されるブラシレスモータのステータコアである。この
ステータコアは、スロット2に巻線が巻かれ、磁極3か
らの漏洩磁束を利用する構成である。このため、トロイ
ダルコア等の閉磁路として用いるコアに比べ、巻線によ
る銅損が大きくなってしまう。しかし、本発明により製
造される圧粉コアはコア損失が小さいため、回路全体の
損失を低く抑えることができる。図示されるステータコ
アは、スロット2の高さ方向の寸法を磁極3の高さ方向
の寸法よりも小さく構成してあるので、多数の磁束を利
用することができ、かつ小型化が可能である。このよう
なステータコアの寸法は、適用対象に応じて適宜決定す
ればよいが、通常、内径が3〜20mm程度、径方向に測
定したスロット長さが5〜15mm程度であり、スロット
数は7〜40程度である。
【0027】圧粉条件は特に限定されず、鉄粉末の種類
や粒子形状、寸法、目的とするコア形状やコア寸法、コ
ア密度などに応じて適宜決定すればよいが、通常、最大
圧力は6〜20t/cm2 程度、最大圧力に保持する時間は
0.1秒間〜1分間程度とする。
【0028】圧粉後、好ましくは加熱処理を施し、コア
としての磁気特性を向上させる。加熱処理は、粉末化や
成形の際に鉄粒子に生じたストレスを解放するためのも
のであり、粒子を機械的に偏平化した場合には、それに
よるストレスも解放することができる。また、加熱処理
により耐熱性樹脂が硬化し、圧粉体の密度が増大して機
械的強度が向上する。
【0029】加熱処理の条件は、強磁性金属粉末の種類
や、成形条件、偏平化条件などに応じて適宜決定すれば
よいが、処理温度は好ましくは400〜700℃、より
好ましくは550〜650℃の範囲である。処理温度が
低すぎると保磁力の復帰が不十分となりヒステリシス損
失が大きくなって総損失が大きくなる。処理温度が高す
ぎると、絶縁被膜が熱的に破壊されて絶縁不十分とな
り、渦電流損失が大きくなる。処理時間、すなわち、上
記温度範囲内を通過する時間あるいは上記温度範囲内の
一定の温度に保持する時間は、好ましくは10分間〜3
時間の範囲である。処理時間が短すぎると焼鈍効果が不
十分となりやすく、長すぎると絶縁破壊が生じやすくな
る。
【0030】加熱処理は、強磁性金属粉末の酸化による
磁束密度の低下を防ぐために、窒素等の非酸化性雰囲気
中で行なう。
【0031】加熱処理後、必要によりコアに樹脂等を含
浸させてもよい。樹脂を含浸させることにより、さらに
強度が向上する。含浸に用いられる樹脂としては、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル
樹脂等が挙げられ、中でもフェノール樹脂等が好まし
い。これらの樹脂は、エタノール、アセトン、トルエ
ン、ピロリドン等の溶媒に溶解して用いてもよい。
【0032】コアに樹脂を含浸させる方法としては、コ
アをパット等の容器上に載置し、この容器内に樹脂と溶
媒との混合溶液〔例えばフェノール樹脂10%エタノー
ル溶液〕を流し込み、コアが完全に隠れるようにする。
そのままの状態で1〜30分程度保持した後、コアを取
り出し、周囲に付着した樹脂溶液をある程度排除し、加
熱処理を行う。加熱処理は、先ず、オーブン等を用い
て、大気雰囲気下、80〜120℃前後に昇温して1〜
2時間程度保持する。さらに、130〜170℃前後に
昇温し、1.5〜3時間程度保持し、その後100〜6
0℃前後に降温して0.5〜2時間程度保持する。
【0033】加熱処理後、または樹脂含浸後必要に応
じ、巻線との絶縁性を確保するための絶縁膜形成、巻
線、コア半体同士の組み付け、ケース装入などを行な
う。
【0034】なお、圧粉コア中の強磁性粉末の粒度分布
は、原料粉末のものとほぼ同じである。
【0035】このような圧粉コアは、トランスやインダ
クタ等の磁心、モーター用コア、その他の電磁部品に好
適に使用される。
【0036】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 <実施例1>焼鈍済みの市販のアトマイズ鉄粉末(ヘガ
ネス社製、商品名ABC100.30)に、日産化学
(株)製ZrO2ゾル(NZS−30A):平均粒径6
2nm、TiO2ゾル(TA−15):平均粒径5〜50n
mを先ずpH7に調整し、水溶媒からエタノール溶媒に置
換した分散物を添加したものを、それぞれ表1に示すよ
うに秤量し、ライカイ機を用いて室温で30分間混合し
た。次いで、大気雰囲気下200℃で30分間乾燥をお
こない圧粉用強磁性粉末を得た。この圧粉用強磁性粉末
中に、潤滑剤として日東化成工業(株)製ステアリン酸
亜鉛を0.2wt%加え、Vミキサーにて15分間混合
し、15トン/cm2 で、外径:17.54mm、内径:1
0.195mm、高さ約6mmのトロイダル形状に成型し
た。また、比較例として、前記ゾルに変えて第1希元素
化学工業(株)製ZrO2粉末(HSY−3.0B):
平均粒径0.53μm 、東邦チタニウム(株)製TiO
2粉末(気流粉砕品):平均粒径1μm をそれぞれ用
い、各コアサンプルを得た。得られた各コアサンプル
を、窒素雰囲気中、600℃で1時間加熱処理を行っ
た。
【0037】また、各コアサンプルについて、100 O
e の磁界を印加したときの磁束密度{B(100) }、保磁
力(Hc )、それぞれ1000mTにおけるヒステリシス
損失(Ph)、渦電流損失(Pe)およびコア損失(P
c)を求めた。なお、損失は、450Hzおよび1000
Hzで測定した。磁束密度および保磁力は横河電機(株)
直流BHトレーサー3257型、コア損失は岩崎通信機
(株)BHアナライザーSY−8232を用いて測定し
た。これらの結果を表1に示す。
【0038】また、外径17.54mm、内径10.19
5mm、高さ6mmのトロイダル状のサンプルを上記と同様
にして作製し、成形体(熱処理前)の強度を求めた。強
度は、青木エンジニアリング製の机上デジタル荷重試験
機を用いてサンプルの圧環強度試験を行い評価した。そ
の結果、本発明のサンプルはいずれも圧環強度16MPa
以上と良好な値を示した。
【0039】
【表1】
【0040】上記表1に示される結果から、本発明の効
果が明らかである。すなわち、本発明範囲のゾルを使用
したコアサンプルはジルコニウム粉末、チタニウム粉末
を使用したコアサンプルよりもコアロスが格段に低下し
ている。
【0041】<実施例2>実施例1において、耐熱性樹
脂として、信越化学(株)製シリコン樹脂(KR15
3)〔重量平均分子量2600、熱分解温度600℃付
近、減量分約30%〕、昭和高分子(株)製フェノール
樹脂(ELS572)〔数平均分子量250、熱分解温
度600℃付近、減量分約30%〕を用意し、絶縁材お
よび耐熱性樹脂を表2に示すように秤量し、実施例1と
同様にしてコアサンプルを得、実施例1と同様にして評
価した。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】<実施例3>表3に示すように、比較例と
してSiO2ゾルを添加したものを用意し、実施例1と
同様にしてコアサンプルを作製して評価した。結果を表
3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】表3から明らかなように、本発明のサンプ
ルはSiO2ゾルを用いたものと比較して、コアロスが
低い値を示し、さらに低損失化されていることがわか
る。
【0046】<実施例4>実施例1において、焼鈍済み
の市販の鉄粉末をアトマイズ粉(ABC100.30)
から電解鉄粉(古河機械金属社製)に代えて、実施例1
と同様にしてZrO2ゾル(添加量0.5vol%)と、T
iO2ゾル(添加量0.5vol%)のコアサンプルを得、
以下のようにして樹脂を含浸させた。
【0047】フェノール樹脂(ELS−572)10%
エタノール溶液を用い、上記コアサンプルをパット上に
ならべて、前記フェノール樹脂溶液をコアサンプルが完
全に隠れるまで注ぎ込んだ。そのまま3分間放置し、そ
の後コアサンプルを取り出して網状の台に置いて余分な
樹脂溶液を除去した。次いで、オーブン内に移し、大気
雰囲気下100℃に昇温して1.5時間保持した後、さ
らに150℃まで温度を上げて2時間保持した。次い
で、温度を80℃にまで下げて1時間保持し、樹脂を含
浸させたコアサンプルを得た。
【0048】得られたコアサンプルについて、樹脂を含
浸する前のサンプル(熱処理後)とともに、実施例1と
同様にして圧環強度について評価したところ、以下に示
すような結果を得た。
【0049】 ZrO2ゾル:熱処理後16.17(MPa) ;含浸後8
4.03(MPa) TiO2ゾル:熱処理後30.51(MPa) ;含浸後8
6.84(MPa)
【0050】上記結果から明らかなように、圧環強度は
樹脂含浸前のサンプルと比較して、2.8〜5倍程度向
上していた。また、コアロス等他の特性は実施例1とほ
ぼ同様の結果を得た。
【0051】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、高磁束密
度、低保磁力、低損失であって、機械的強度の高い圧粉
コア、そのための強磁性粉末、およびその製造方法が実
現可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータのステータコアの一例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】 2 スロット 3 磁極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B22F 3/26 B22F 3/26 H (72)発明者 岡田 和弘 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 茂呂 英治 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 山口 紀繁 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性金属粉末に対し、酸化チタンゾル
    および/または酸化ジルコニウムゾルが、0.1〜10
    vol%添加されている圧粉コア用強磁性粉末。
  2. 【請求項2】 酸化チタンおよび/または酸化ジルコニ
    ウムゾルの平均粒径が0.01〜0.1μm である請求
    項1の圧粉コア用強磁性粉末。
  3. 【請求項3】 さらに耐熱性樹脂を強磁性金属粉末に対
    し0.1〜10 vol%添加した請求項1または2の圧粉
    コア用強磁性粉末。
  4. 【請求項4】 前記強磁性金属粉末が鉄である請求項1
    〜3のいずれかの圧粉コア用強磁性粉末。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの圧粉コア用強
    磁性粉末を加圧成型した圧粉コア。
  6. 【請求項6】 加熱処理後樹脂が含浸されている請求項
    5の圧粉コア。
  7. 【請求項7】 加圧成型した後、400〜700℃で加
    熱処理して請求項5または6のコアを得る圧粉コアの製
    造方法。
JP10092848A 1997-03-31 1998-03-20 圧粉コア用強磁性粉末、圧粉コアおよびその製造方法 Withdrawn JPH10335128A (ja)

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