JP2019186558A - 圧粉磁心用混合粉末および圧粉磁心 - Google Patents

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【課題】内部潤滑成形を採用しても、成形体密度を高くすることができ、磁気特性に優れた圧粉磁心を製造することができる圧粉磁心用混合粉末、およびその圧粉磁心用混合粉末を用いて作製される圧粉磁心を提供する。【解決手段】絶縁皮膜で被覆された軟磁性粉末と、滑剤および固体潤滑剤が混合されてなる圧粉磁心用混合粉末であって、前記滑剤の含有量が、0.1質量%以上0.8質量%以下であり、前記固体潤滑剤の含有量が、0.01質量%以上0.2質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、表面に絶縁皮膜が形成された軟磁性粉末および潤滑剤が混合されてなる圧粉磁心用混合粉末と、その圧粉磁心用混合粉末を用いて圧縮成形されてなる圧粉磁心に関するものである。
ノイズフィルタ、リアクトルなど交流磁場で用いられる電磁機器の鉄心には、電磁鋼板、圧粉磁心およびソフトフェライトなどが使用されている。いずれも交流磁場で鉄心に発生する渦電流を抑制する必要があるが、電磁鋼板は板面に、圧粉磁心は粉末表面に、それぞれ絶縁皮膜が形成されることで渦電流を抑制している。また、ソフトフェライトは酸化物であるため材料そのものの電気抵抗が高く、絶縁皮膜を形成する必要がない。
これらの中でも、軟磁性粉末を圧縮成形してなる圧粉磁心を、電磁機器の鉄心として用いることが、近年、特に多くなってきている。圧粉磁心は、表面に絶縁皮膜が形成された軟磁性粉末を圧縮成形してなるものであるが、その磁気特性は成形体密度に依存するところが大きく、高磁気特性を得るためには、粒子間の電気的絶縁を確保しつつ高密度に成形することが必要である。
ここで磁気特性とは、磁束密度、透磁率、鉄損等を指すものであるが、粒子間の電気的絶縁が確保されている場合は粒子間に発生する粒子間渦電流損は抑制され、渦電流損は粒子内部に発生する粒子内渦電流損のみとなり、渦電流損は最低限に抑制される。従って、絶縁皮膜で被覆された軟磁性粉末を圧縮成形した圧粉磁心の特性は、磁束密度と透磁率に代表される直流磁気特性が重要な特性となる。
飽和磁束密度は鉄の量に比例するため成形体の密度に依存する。また、透磁率は初磁化曲線の傾きであって磁束の通りやすさを表す指標であるため、磁気抵抗となる空隙が少ない方が透磁率は高くなり、飽和磁束密度と同様に透磁率も成形体密度が高い方が高くなる。
また、透磁率が高いということは、ある励磁磁場での磁束密度が高いということであり、飽和磁束密度だけでなく磁束密度も、成形体密度を高くすることで向上する。よって、直流磁気特性を向上するためには成形体密度を高くすることが最重要である。
上記の通り、圧粉磁心は、絶縁皮膜が形成された軟磁性粉末を圧縮成形したもので、軟磁性粉末を金型内に充填し加圧圧縮することで得られる。成形の際には金型との焼き付きを防止するため、潤滑剤が用いられている。
圧粉磁心を作製する際の潤滑剤の用い方としては大きく分けて2種類ある。一つめは、軟磁性粉末に潤滑剤を直接混合するか、或いは軟磁性粉末を潤滑剤で被覆する内部潤滑成形(混合潤滑成形)であり、もう一つは、金型内面に潤滑剤を塗布する型潤滑成形である。また、型潤滑成形には複雑形状の成形が困難であるという課題があるため、複雑形状の成形体を作製する場合は、軟磁性粉末に潤滑剤を混合する内部潤滑を併用する方法もある。
型潤滑成形は、潤滑剤を成形体内部に含まないため高成形体密度が得られるという利点があるが、金型の内壁面に潤滑剤を塗布するために成形体の形状に制約があり、複雑な形状の成形には適した方法ではない。一方、内部潤滑成形には高成形体密度を得ることができないという課題が残る。このような実情もあり、複雑な形状の成形に適した内部潤滑成形を採用しても、成形体密度が高くなる技術の開発が待ち望まれていた。
圧粉成形体を製造する際に、潤滑剤を用いる事例としては、特許文献1や特許文献2に記載された技術が知られているが、これらの先行技術で用いられる潤滑剤は、有機系潤滑剤のみである。
一方、バルブガイドなど高温で使用する摺動部品を製造する際に、有機系潤滑剤と固体潤滑剤を併用する事例が、特許文献3〜5などで開示されている。しかしながら、これらの技術は固体潤滑剤を焼結後も残すことがポイントとなっており、圧縮性を向上して成形体密度を向上させようというものではない。
特開2012−111987号公報 特開2012−67334号公報 特開2003−183701号公報 特開2008−202123号公報 特開2010−216016号公報
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、圧粉磁心の製造において内部潤滑成形を採用しても、成形体密度を高くすることができ、磁気特性に優れた圧粉磁心を製造することができる圧粉磁心用混合粉末、およびその圧粉磁心用混合粉末を用いて作製される圧粉磁心を提供することを課題とするものである。
本発明の圧粉磁心用混合粉末は、絶縁皮膜で被覆された軟磁性粉末と、滑剤および固体潤滑剤が混合されてなる圧粉磁心用混合粉末であって、前記滑剤の含有量が、0.1質量%以上0.8質量%以下であり、前記固体潤滑剤の含有量が、0.01質量%以上0.2質量%以下であることを特徴とする圧粉磁心用混合粉末である。
また、前記絶縁皮膜は、リン酸系皮膜であることが好ましい。
また、前記滑剤は、炭素数12以上の直鎖構造を有する有機化合物でなる有機系潤滑剤であり、前記固体潤滑剤は、密度が4.0g/cm3以上の無機化合物でなる無機系潤滑剤であることが好ましい。
また、前記固体潤滑剤は、粒子径が20nm以上20μm以下の粉末状であることが好ましい。
また、本発明の圧粉磁心は、前記圧粉磁心用混合粉末を圧縮成形した後、加熱焼鈍することで作製されていることを特徴とする圧粉磁心である。
本発明によると、圧粉磁心の製造において内部潤滑成形を採用しても、成形体密度を高くすることができ、磁気特性に優れた圧粉磁心を得ることができる。
圧粉磁心の成形体密度と圧縮成形時の成形圧力の関係を例示するグラフ図である。 圧粉磁心の成形体密度と透磁率および磁束密度の関係を例示するグラフ図である。 粒子径が様々な固体潤滑剤を混合した圧粉磁心の成形体密度と圧縮成形時の成形圧力の関係を例示するグラフ図である。
圧粉磁心の特性は磁束密度と透磁率に代表される直流磁気特性が重要な特性となると先に説明したが、圧粉磁心の直流磁気特性を向上するためには、単位体積当たりの磁性体の量を増やし、磁気抵抗となる空隙や非磁性の物質を減らすことが必要で、圧粉磁心を高密度に成形することが肝要である。
潤滑剤は成形には必要な物質であるが、磁性体ではないため、高磁気特性を得るためには潤滑剤の量を極力減らすことが有用であり、潤滑剤の低減は成形体の高密度化、すなわち、高磁気特性につながる。尚、潤滑剤を低減せず、成形圧力を高くして空隙を減らすということも考えることができるが、金型にかかる負担が大きくなる等のプロセス上の問題が発生するため、採用することはできない。
このように、潤滑剤は成形時の金型との焼き付きを防止するために必要な材料であるため、低減できる量は限られており、成形性と潤滑剤量の低減を両立することが必要である。
本発明者らは、このような背景に鑑み、鋭意、研究、実験等の検討を行い、潤滑剤の体積に着目した。潤滑剤の体積を低減するためには、高密度の潤滑剤を用いることが有効であり、潤滑剤として使用される潤剤の一部を密度が高い固体潤滑剤に置換することで、成形性と潤滑剤量の低減を両立できることを見出し、本発明を完成させることに成功した。
また、軟磁性粉末の表面を被覆する絶縁皮膜についても検討を行った結果、無機系絶縁皮膜、特にリン酸系皮膜には潤滑性があることを知見し、リン酸系皮膜で被覆された軟磁性粉末を圧粉磁心の材料に採用することで、潤滑剤量の低減をより効果的に実現できることも併せて見出した。
本発明の圧粉磁心用混合粉末は、絶縁皮膜で被覆された軟磁性粉末と、潤滑剤として滑剤および固体潤滑剤が混合されて構成される。以下、軟磁性粉末、絶縁皮膜、滑剤、固体潤滑剤の順に、詳細に説明する。
(軟磁性粉末)
軟磁性粉末としては鉄基軟磁性粉末を例示することができる。この鉄基軟磁性粉末は、強磁性体の金属粉末であり、具体的には、純鉄粉、鉄基合金粉末(Fe−Al合金、Fe−Si合金、センダスト、パーマロイなど)、アモルファス粉末などである。
こうした軟磁性粉末は、例えば、アトマイズ法によって微粒子とした後に還元し、その後、粉砕すること等によって得ることができる。本発明においては、原理的に通常の粉末冶金に用いられる粒度であれば、粒度分布に依存せずその作用効果を発揮することが可能である。
但し、本発明は、所定の鉄損に抑えながら、同時に成形体に成形する際の圧縮性を向上させることを意図しているため、用いる鉄基軟磁性粉末は、粒度の大きな成分(例えば、粒度が250μm以上600μm以下)を通常より多少多く含んだ鉄基軟磁性粉末であることが好ましい。例えば、表1に示すような粒度分布の鉄基軟磁性粉末を例示することができる。
尚、表1に示す鉄基軟磁性粉末の粒度分布は、日本粉末冶金工業会で規定される「金属粉のふるい分析試験方法」(JPMA PO2−1992)に準拠して、篩い分けを実施することで得ることができる。具体的には、まず、目開き600μmの篩を用いて篩い分けした後、更に、表1に示す粒度に対応する目開き250μmから45μmの篩を順次用いて、篩い分けを実施すれば得ることができる。
Figure 2019186558
(絶縁皮膜)
軟磁性粉末の表面には渦電流抑制のために絶縁皮膜が形成される。この絶縁皮膜は、無機系絶縁皮膜であることが好ましく、代表的な無機系絶縁皮膜としては、リン酸系皮膜(リン酸系化成皮膜)、クロム系化成皮膜等を例示することができる。特に、リン酸系皮膜は、軟磁性粉末に対する濡れ性が良く、軟磁性粉末の表面を均一に被覆することが可能であり、また潤滑性があることから、本発明において、絶縁皮膜として用いることにより適している。
尚、絶縁皮膜はシリコーンなどの有機材料による有機系絶縁皮膜であっても良く、また、シリコーンなどの有機材料による有機系絶縁皮膜と、リン酸系皮膜などの無機系絶縁皮膜の、二重皮膜であっても良い。
リン酸系皮膜は、例えば、水:1000質量部、H3PO4:193質量部、MgO:31質量部、H3BO3:30質量部を混合して、更に水で20倍に希釈してリン酸系皮膜用処理液とし、軟磁性粉末100質量部に対して、この処理液を5質量部混合し、大気中200℃で乾燥させることで、軟磁性粉末の表面に形成することができる。尚、このリン酸系皮膜の厚みは10〜100nmとなる。
(滑剤)
圧粉成形の際に混合する潤滑剤のうち滑剤としては、例えば、炭素数12以上(−CH2−)の直鎖構造を有する有機化合物でなる有機系潤滑剤を挙げることができる。ステアリン酸亜鉛などステアリン酸金属塩のほか、炭化水素系、脂肪酸系、高級アルコール系、脂肪族アミド系、金属石鹸系、エステル系などの有機系潤滑剤などを例示することができ、具体的には、以下の有機系潤滑剤を挙げることができる。
炭化水素系の潤滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックスなどを挙げることができ、脂肪酸系、高級アルコール系の潤滑剤としては、比較的安価且つ低毒の、ステアリン酸やステアリルアルコールなどを挙げることができる。
また、脂肪族アミド系の潤滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドの脂肪酸アミドと、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドのアルキレン脂肪酸アミドなどを挙げることができる。
また、金属石鹸系の潤滑剤としては、金属石鹸のうち、主にステアリン酸金属塩が用いられ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウムなどを挙げることができる。
また、エステル系の潤滑剤としては、アルコールの脂肪酸エステルの、ステアリン酸モノグリセリドなどを挙げることができる。
本発明では、滑剤として、前記したような有機系潤滑剤から1種以上を選択して用いることができる。
本発明の圧粉磁心用混合粉末中に占める、これら滑剤の含有量は、0.1質量%以上0.8質量%以下とする。含有量が0.1質量%未満であると、圧粉成形時に金型との焼き付きが発生してしまう。一方、0.8質量%を超えると、成形体密度が低くなり、磁気特性に優れた圧粉磁心を得ることができなくなる。
(固体潤滑剤)
圧粉成形の際に滑剤と共に混合する固体潤滑剤としては、例えば、密度が4.0g/cm3以上の無機化合物でなる無機系潤滑剤を挙げることができる。具体例としては、二硫化モリブデン(MoS2)、酸化亜鉛(ZnO)などである。本発明では、固体潤滑剤として、前記したような無機系潤滑剤から1種以上を選択して用いることができる。
潤滑剤のうち滑剤の密度は2.0g/cm3以下であるが、固体潤滑剤の密度が滑剤の2倍以上の密度でなければ、滑剤量の低減を有効に図ることができない。このような理由から、固体潤滑剤の密度は4.0g/cm3以上とする。
また、固体潤滑剤の粒子径は、20nm以上20μm以下であることが好ましい。固体潤滑剤の粒子径が20nm未満であると、固体潤滑剤が軟磁性粉末の表面の凹凸や軟磁性粉末間の隙間に入り込み、潤滑機能を発揮できなくなる。一方、固体潤滑剤の粒子径が20μmを超えると、固体潤滑剤の粒子の数が少なくなり、軟磁性粉末間の摩擦低減や、軟磁性粉末の金型との摩擦低減に寄与できなくなる。
本発明の圧粉磁心用混合粉末中に占める、これら固体潤滑剤の含有量は、0.01質量%以上0.2質量%以下とする。含有量が0.01質量%未満であると、滑剤の固体潤滑剤への置換が不十分となり、直流磁気特性の向上を図れない。一方、0.2質量%を超えると、抜き出し性を維持するために添加する潤滑剤総量が多くなるため成形体密度が低下し、飽和磁束密度が低下する。
(圧粉磁心)
また、本発明の圧粉磁心は、絶縁皮膜で被覆された軟磁性粉末と、滑剤および固体潤滑剤が混合されてなる圧粉磁心用混合粉末を用いて、金型内で圧縮成形した後、加熱焼鈍することで作製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
軟磁性粉末として純鉄粉(神戸製鋼所製:マグメル(登録商標)ML35N)を用い、その表面に絶縁皮膜となるリン酸系皮膜を形成した。このリン酸系皮膜の形成には、リン酸系皮膜用処理液として、水:1000質量部、H3PO4:193質量部、MgO:31質量部、H3BO3:30質量部を混合して原液とし、電気抵抗を変化させるために水で20倍まで適宜希釈して濃度を変えた処理液を用いた。純鉄粉100質量部に対して前記処理液を5質量部混合して、大気中200℃で乾燥させることにより、純鉄粉の表面にリン酸系皮膜を形成した。
この後、表面にリン酸系皮膜を形成した純鉄粉と、滑剤(ステアリン酸アミドまたはラウリン酸アミド)、そして発明例のみ固体潤滑剤(粒子径が0.5μmのZnOまたはMoS2)を、表2に示すように、含有量をそれぞれ変えて混合し、内部潤滑成形による圧粉成形を行うことで圧粉磁心を作製した。
作製した様々な圧粉磁心の、成形体密度、抜き出し圧力、透磁率、磁束密度を測定により求めた。
成形体密度は、成形まま(熱処理前)の直方体試験片の質量と寸法を測定し、体積と質量から算出した。直方体試験片のサイズは、12.7mm×31.75mm×厚さ約5mm、充填する粉末質量(単重量)は15gである。
直方体試験片の厚さを「約」としたのは、成形圧力により厚さが変わってくるためであるが、表2に示す成形体密度は、成形圧力を900MPaとした時の成形体密度である。尚、以後説明する円柱状成形体の高さ、リング状試験片の厚さも「約」とするが同じ理由である。
抜き出し圧力は、直径25mm×高さ約25mm、単重量:83gの円柱状成形体を、成形圧力:588MPaで3個作製し、抜き出しを行った際の圧力を測定した時の平均値である。この抜き出し圧力は30MPa以下でなければならない。
透磁率および磁束密度は、外径45mm×内径33mm×厚さ約5mm、単重量31gのリング状試験片を作製し、大気で350℃×20分保持後、空冷を行った後、メトロン技研製磁気測定器を用いて測定した。ここで示す透磁率とは最大透磁率のことであり、1次巻き線数200、2次巻き線数50、最大励磁磁場10000A/mで測定した。また、磁束密度とは励磁磁場10000A/mの時の磁束密度のことである。
これら測定により求めた成形体密度、抜き圧、透磁率、磁束密度を、表2および図1〜3に示す。尚、表2に示す成形体密度は、成形圧力を900MPaとした時の成形体密度である。また、表2に示す試験データと図1〜3に示す試験データは、試験のバッチが異なるため、多少のばらつきがある。
Figure 2019186558
(成形体密度と、透磁率および磁束密度の関係)
表2および図1によると、潤滑剤の総質量が0.3質量%で同じ比較例4と発明例1を比較すると、潤滑剤の一部を、滑剤から密度が高い固体潤滑剤に置き換えた発明例1の方が、成形体密度が高くなっている。
また、表2および図2によると、潤滑剤の総質量が0.3質量%で同じ比較例4と発明例1を比較すると、潤滑剤の一部を、滑剤から密度が高い固体潤滑剤に置き換えた発明例1の方が、透磁率および磁束密度が高くなっている。この試験結果から、成形体密度を高くすると、透磁率および磁束密度が向上することが分かる。
(固体潤滑剤の粒子径の影響)
図3には、発明例1における固体潤滑剤(酸化亜鉛)の粒子径が成形体密度に及ぼす影響を示す。図3によると、潤滑剤の全てを滑剤とした比較例4と比べると、酸化亜鉛の粒子径が何れの場合も成形体密度が高くなっていることが分かる。
特に、酸化亜鉛の粒子径が20nm(0.02μm)、0.5μm、11μmのものは、全ての成形圧力で、比較例4より成形体密度が高くなっており、それらの中でも、酸化亜鉛の粒子径が0.5μm程度のものが最も好ましいと言うことができる。
尚、酸化亜鉛の粒子径は、レーザー回析を用いた測定器(例えばマイクロトラック)で測定することができる。上記粒子径は生産度数で50%の粒子径D50を示す。
(リン酸系皮膜による抜き出し圧力低減効果)
軟磁性粉末と、潤滑剤としてステアリン酸アミドを0.3質量%混合し、600MPaの成形圧力で圧縮成形して直径25mm×高さ約25mmの円柱状成形体を作製し、成形体の抜き出し時の圧力と成形体密度を測定した。試験に用いた軟磁性粉末は、表面に皮膜を形成していないNo.1と、水処理を行い表面に酸化皮膜を形成したNo.2、表面にリン酸系皮膜を形成したNo.3の3種類である。試験結果を表3に示す。
Figure 2019186558
表3によると、軟磁性粉末の表面に皮膜を形成していないNo.1の抜き出し圧力は30MPaであったのに対し、軟磁性粉末の表面に水処理により酸化皮膜を形成したNo.2は、抜き出し圧力を50MPaとしても成形体を抜き出すことができなかった。一方、表面にリン酸系皮膜を形成したNo.3の抜き出し圧力は21MPaであり、リン酸系皮膜を軟磁性粉末の表面に形成することで、抜き出し圧力の低減に効果があることが分かる。
一般に、焼結部品などの成形を行う際には、軟磁性粉末に、通常0.5質量%以上、好ましくは0.75質量%以上の潤滑剤を混合するが、リン酸系皮膜等の無機系絶縁皮膜には潤滑性があるため、潤滑剤を0.3質量%以下に低減しても抜き出し圧力は低く、成形体密度の向上が可能である。
固体潤滑剤は、滑剤として用いられる有機系潤滑剤よりも融点が高く、圧縮成形時に溶融しないため潤滑性に劣ると考えられるが、リン酸系皮膜等の無機系絶縁皮膜には潤滑性があるため、表2の発明例4のように、潤滑性に劣る固体潤滑剤を0.2質量%添加しても抜き出し圧力の増加につながっていない。
(固体潤滑剤の含有量の影響)
表2によると、潤滑剤の総質量が0.28質量%で同じ比較例5と発明例5〜9を比較すると、0.01質量%を滑剤から固体潤滑剤に置き換えても、成形体密度、透磁率および磁束密度が向上していることが分かり、0.1質量%を固体潤滑剤に置き換えた場合も、抜き出し圧力は許容範囲の30MPa以下で、成形体密度、透磁率および磁束密度が向上していることが分かる。
成形体密度、透磁率および磁束密度の向上には、固体潤滑剤を0.2質量%添加しても効果がある。酸化亜鉛の密度は5.6g/cm3で、ステアリン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの滑剤の密度である約1.2g/cm3の4〜5倍であるため、滑剤0.1質量%に対して少なくとも0.4質量%までは添加しても効果はあると考えられるが、既に説明したように潤滑剤の総質量は少ない方が良いため、0.2質量%以下の添加が望ましい。

Claims (5)

  1. 絶縁皮膜で被覆された軟磁性粉末と、滑剤および固体潤滑剤が混合されてなる圧粉磁心用混合粉末であって、
    前記滑剤の含有量が、0.1質量%以上0.8質量%以下であり、
    前記固体潤滑剤の含有量が、0.01質量%以上0.2質量%以下であり、
    前記滑剤と前記固体潤滑剤との合計の含有量が、0.28質量%以上であることを特徴とする圧粉磁心用混合粉末。
  2. 前記絶縁皮膜は、リン酸系皮膜である請求項1記載の圧粉磁心用混合粉末。
  3. 前記滑剤は、炭素数12以上の直鎖構造を有する有機化合物でなる有機系潤滑剤であり、
    前記固体潤滑剤は、密度が4.0g/cm3以上の無機化合物でなる無機系潤滑剤である請求項1または2記載の圧粉磁心用混合粉末。
  4. 前記固体潤滑剤は、粒子径が20nm以上20μm以下の粉末状である請求項1乃至3のいずれかに記載の圧粉磁心用混合粉末。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の圧粉磁心用混合粉末を圧縮成形した後、加熱焼鈍することで作製されていることを特徴とする圧粉磁心。
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