JP2011089190A - 圧粉体用粉末 - Google Patents
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Abstract
【課題】透磁率が高い圧粉体が得られる圧粉体用粉末を提供する。
【解決手段】圧粉体用粉末は、軟磁性の鉄基粒子1からなる粉末に潤滑剤2の粉末が混合されたものであり、この潤滑剤2は、ずり速度:6(rpm)における粘度をη6(Pa・s)、ずり速度:60(rpm)における粘度をη60(Pa・s)とするとき、粘度η6が100Pa・s以上であり、かつ粘度η60に対する粘度η6の比η6/η60が3以上となる温度域を有する。このようなチクソ性を有する潤滑剤2を含有することで、成形時にせん断力が加わった状態では、鉄基粒子1間に挟まれて液状化した潤滑剤2が鉄基粒子1に囲まれた空間(三重点部1s)に移動することで、鉄基粒子1間の間隔が狭い箇所が生じる。従って、この圧粉体用粉末を用いて得られた圧粉体は、透磁率が高い。
【選択図】図1
【解決手段】圧粉体用粉末は、軟磁性の鉄基粒子1からなる粉末に潤滑剤2の粉末が混合されたものであり、この潤滑剤2は、ずり速度:6(rpm)における粘度をη6(Pa・s)、ずり速度:60(rpm)における粘度をη60(Pa・s)とするとき、粘度η6が100Pa・s以上であり、かつ粘度η60に対する粘度η6の比η6/η60が3以上となる温度域を有する。このようなチクソ性を有する潤滑剤2を含有することで、成形時にせん断力が加わった状態では、鉄基粒子1間に挟まれて液状化した潤滑剤2が鉄基粒子1に囲まれた空間(三重点部1s)に移動することで、鉄基粒子1間の間隔が狭い箇所が生じる。従って、この圧粉体用粉末を用いて得られた圧粉体は、透磁率が高い。
【選択図】図1
Description
本発明は、圧粉磁心といった圧粉体の原料に利用される圧粉体用粉末、この粉末を用いて製造した圧粉体、及びこの圧粉体の製造方法に関する。特に、透磁率が高い圧粉体が得られる圧粉体用粉末に関するものである。
電磁弁、モータ、電源回路などを有する電磁部品(例えば、DC-DCコンバーターなどに利用されるリアクトルやチョークコイル)などの磁心として、磁性材料からなる粉末(例えば、軟磁性材料からなる鉄基粉末)から形成される圧粉磁心がある。圧粉磁心は、代表的には、上記鉄基粉末を成形用金型に充填してから加圧して成形体を作製し、この成形体に適切な熱処理を施すことで製造される。鉄基粉末は、その表面に絶縁被覆を具えるものが代表的である(特許文献1〜3)。
上記成形用金型と成形体との間の摩擦や鉄基粉末を構成する鉄基粒子間の摩擦が大きいと、金型からの成形体の離型が困難になったり、鉄基粒子間の摩擦により上記絶縁被覆が破損したりする恐れがある。そこで、鉄基粒子の最表面に潤滑剤を被覆したり(特許文献1)、鉄基粉末に潤滑剤の粉末を混合させる(特許文献1の0003)ことが行われている。特許文献3は、粘度が温度に依存する液体状の潤滑剤を提案している。特許文献2は、抗折強度の向上に寄与することができる粒子状の潤滑剤を提案している。
上記磁心には、透磁率が高いことが望まれる。しかし、従来の圧粉体用粉末は、成形時の面圧(加圧力)を大きくしないと、圧粉体の透磁率を高められない。そのため、複雑な形状の成形体を成形できなかったり、成形できても成形用金型の寿命が短いという問題がある。
鉄基粒子間の間隔が可能な限り狭い箇所を設ける、好ましくは、鉄基粒子間に潤滑剤が存在せず、絶縁被覆のみが介在した状態となるようにして鉄基粒子間の磁気抵抗を小さくすると、圧粉体の透磁率を高められる。しかし、粒子状の潤滑剤を含有する従来の圧粉体用粉末を用いて成形する場合、鉄基粒子間に潤滑剤が介在することから、圧粉体の透磁率を高めるためには、上記粒子間の潤滑剤を押し潰す必要がある。すると、成形時の面圧を大きくしなければならず、成形用金型の寿命が短くなる。
特許文献3に記載されるような所定の温度以上で液体状となる潤滑剤を用いた場合、液体状になった潤滑剤に面圧が静水圧的に作用するため、鉄粉粒子間に均一的な厚さの液体状の潤滑剤が存在し得る。この液体状の潤滑剤により成形体内部に外気が流入する経路が閉じられた状態となり、この状態の成形体に熱処理を加えても、潤滑剤を含むバインダの気化が進み難く、潤滑剤の一部が不完全燃焼の残滓となって鉄粉粒子間に残留し易い。この潤滑剤の残滓成分の介在により鉄粉粒子間の間隔を狭くできず、圧粉体の透磁率を高め難い。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、面圧を過剰に大きくしなくても、透磁率の高い圧粉体を製造することができる圧粉体用粉末を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記圧粉体用粉末を用いた圧粉体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、チクソ性を有する潤滑剤を含有することで、上記目的を達成する。即ち、本発明圧粉体用粉末は、軟磁性の鉄基粒子と、この鉄基粒子の表面に接触して存在する潤滑剤とを具える圧粉体用の原料粉末であり、この潤滑剤がチクソ性を有することを特徴とする。
本発明圧粉体用粉末に具える潤滑剤は、チクソ性(チクソトロピー)を有することから、粘度が主としてせん断力に依存する。従って、成形用金型に本発明圧粉体用粉末を充填して加圧圧縮すると、図1に示すように鉄基粒子1間に存在する潤滑剤2は、鉄基粒子1に挟まれて押されることで大きなせん断力が加わる。このせん断力により、上記鉄基粒子1間に介在する潤滑剤2が一度に液状化(ゾル化)して、容易に移動可能となり、せん断力が実質的に加わらない又は小さい鉄基粒子で囲まれる空間(三重点部1s)に押し出されるように移動する。三重点部1sは上述のようにせん断力が小さいことから、押し出された潤滑剤2は、三重点部1s内でゲル化してそこに留まる。つまり、潤滑剤2は、上記三重点部1sに集中して存在する。そのため、鉄基粒子の表面に潤滑剤を実質的に存在させないようにすることができ、隣接する鉄基粒子間の距離を狭められ、磁気抵抗を小さくすることができる。また、成形用金型から成形体を抜き出して、成形体中の加圧力が消滅した状態、即ち、せん断力が実質的に無くなった状態とすると、三重点部でゲル化した潤滑剤は、そのままゲル化状態を維持して、成形体内を移動しない。従って、鉄基粒子の表面に潤滑剤が介在しない状態を維持可能である。例えば、鉄基粒子が絶縁被覆を具える場合、絶縁被覆のみが介在した状態を維持可能であり、このような成形体を熱処理することで、透磁率の高い圧粉体が得られる。このように本発明圧粉体用粉末を用いれば、鉄基粒子間に挟まれて生じるせん断力により、鉄基粒子間に存在した潤滑剤を三重点部に移動可能なため、従来のように面圧を大きくしたり、液体状の潤滑剤を用いなくても、圧粉体の透磁率を高められる。また、本発明圧粉体用粉末は、潤滑剤に加わるせん断力が低い状態においてゲル状となり、せん断力が高い状態において液体状となることから、所望の潤滑性を有することができ、複雑な形状の圧粉体をも製造することができる。
チクソ性を有するとは、成形時に潤滑剤が取り得る温度域において、成形に伴うせん断力が加わっているとき(或いは大きいとき)に液状化し、せん断力が加わっていないとき(或いは小さいとき)にゲル化する程度の粘度を有することをいう。より定量的には、潤滑剤が、ずり速度:6(rpm)における粘度をη6(Pa・s)、ずり速度:60(rpm)における粘度をη60(Pa・s)とするとき、粘度η6が100Pa・s以上であり、かつ粘度η60に対する粘度η6の比η6/η60が3以上となる温度域(以下、この温度域をチクソ性発現温度域と呼ぶ)を有することをいう。
上記粘度の比η6/η60は、塗料などの分野でチクソトロピーインデックス(TI)として一般的に利用されているチクソ性を示す指標である。ずり速度が6rpm、即ち、潤滑剤に加わるせん断力が低い状態にあるとき(例えば、成形用金型から抜き出した成形体中の潤滑剤)、潤滑剤の粘度η6が100Pa・s未満といった低粘度であると、自重などにより潤滑剤が鉄基粒子間に移動し易い。この移動により、例えば、成形体中に潤滑剤が偏在する恐れがあり、局所的に過剰な潤滑剤が存在することで所定の密度の成形体や圧粉体にならなかったり、圧粉体用粉末を保管する保管容器の中で潤滑剤が偏在した場合、このような粉末を用いて連続的に成形すると、重量や密度がばらついた成形体が製造され、所定の重量や密度の成形体を経時的に安定して製造できない、といった問題が生じ得る。
一方、ずり速度が60rpm、即ち、潤滑剤に加わるせん断力が高い状態にあるとき(例えば、成形用金型によって加圧圧縮された状態にあるとき)、潤滑剤が高粘度であると、鉄基粒子間に存在する潤滑剤を三重点部に十分に移動させることができず、鉄基粒子の表面に潤滑剤が過剰に残存する。従って、このような潤滑剤を含有する粉末により圧粉体を作製すると、圧粉体の透磁率を高め難い。また、ずり速度が60rpmのときに潤滑剤が高粘度であると、十分な潤滑性も得られず、離型性が低くなる。η6≧100Pa・s、かつη6/η60≧3を満たす潤滑剤は、離型に必要な潤滑性を確保しながら、圧粉体の透磁率を高められる。粘度η6及び比η6/η60は高い方が好ましいと考えられるため、いずれの値も上限は特に設けない。
上記チクソ性を有する潤滑剤は、例えば、層状物質、直径1μm以下の超微粒子、増粘多糖類、及び脂肪酸金属塩から選択される1種以上の物質を、潤滑剤全体に対して合計で50質量%未満の範囲で含有するものが挙げられる。上記物質は1種でもよいし、2種以上の物質を混合して含有していてもよいし、無機材料でも有機材料でもよい。特に、上記物質を1種以上含有する場合、即ち、上記物質の含有量が潤滑剤全体に対して0質量%超である場合、ベース潤滑剤として、従来の潤滑剤、例えば、アミドワックス、エステルワックス、パラフィンワックスなどのワックス類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの飽和脂肪族や不飽和脂肪酸、及びそれらのアミド化合物やエステル化合物、鉱物油、シリコーンオイルなどを利用することができる。即ち、従来の潤滑剤に上記のような物質(添加物)を適宜添加することで、チクソ性を有する潤滑剤を容易に製造することができる。これら物質の含有量は、上記チクソ性を発現し得る範囲で適宜調整することができる。また、これらの物質を含む潤滑剤は、成形時の熱によりベース潤滑剤の融点以上になっても、せん断力が加わらなければ粘度が低くならないため、離型後のせん断力が消失した状態において、成形体内で過度に移動することがない。なお、上記物質を含んでいなくても(含有量が0質量%でも)、上記チクソ性を有する潤滑剤は、適宜利用することができる。
上記層状物質として、例えば、グラファイト、金属カルコゲン化物、金属酸化物・金属オキシハロゲン化物、金属リン酸塩、粘土鉱物・ケイ酸塩、複水酸化物が挙げられる。金属カルコゲン化物は、例えば、(M)(X)2((M)=Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W、(X)=S,Se)、(M)P(X)3((M)=Mg,V,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Cd,In、(X)=S,Se、P:リン)が挙げられる。金属酸化物・金属オキシハロゲン化物は、例えば、(M)x(O)y(MoO3,Mo18O52,V2O5,LiNbO2,LixV3O8)、(M)O(X)O4((M)=Ti,V,Cr,Fe、(X)=P,As、O:酸素)、(M)O(X)((M)=Ti,V,Cr,Fe、(X)=Cl,Br、O:酸素)、(Ln)OCl((Ln)=Yb,Er,Tm)、ニオブ酸塩(K[Ca2Nan-3NbnO3n+1]、3≦n<7)、チタン酸塩(K2Ti4O9,KTiNbO5)が挙げられる。金属リン酸塩は、例えば、(M)(HPO4)2((M)=Ti,Zr,Ce,Sn)、Zr((R)OPO3)2((R)=H,Rh,Me:メチル基)が挙げられる。粘土鉱物・ケイ酸塩は、例えば、スメクタイト族(モンモリロナイト、サポナイトなど)、カオリン族(カオリナイトなど)、パイロフィライト-タルク、バーミキュライト、雲母群、脆雲母群、緑泥石群、セピオライト-パリゴルスカイト、イモゴライト、アロフェン、ヒシンゲライト、マガディアイト、カネマイトが挙げられる。複水酸化物は、例えば、[(M2+)1-x(M3+)x(OH)2][An-]x/n・zH2O((M2+)=Mg,Zn、(M3+)=Al,Fe)が挙げられる。
また、上記層状物質の含有量は、せん断力下において所定の粘度を維持するために、潤滑剤全体に対して50質量%未満が望ましい。特に、層状物質の含有量を10質量%以上30質量%以下とすると、成形時における鉄基粒子の移動に短時間で追随することができ、粉末を移動し易くすることができる。
また、上記層状物質を含むことでチクソ性を有する潤滑剤において、鉄基粉末と潤滑剤との合計質量に対する当該潤滑剤の混合割合を0.1質量%以上3.0質量%以下とすると、金型に対する離型性と、鉄基粒子間に残存ずる潤滑剤量の低減との両立を効果的に図ることができて好ましい。特に、潤滑剤の混合割合は、0.2質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。
直径1μm以下の超微粒子としては、金属粒子、セラミックス粒子、カーボンナノチューブといった無機材料からなる粒子が挙げられる。金属粒子は、例えば、Au,Ag,Ptが挙げられる。セラミックス粒子は、例えば、SiO2,Al2O3,CaCO3が挙げられる。これら超微粒子は、小さい方が好ましく、100nm以下、更に30nm以下が好ましい。超微粒子の好ましい含有量は、鉄基粉末と潤滑剤との合計質量に対して0.001質量%以上0.1質量%以下である。また、高周波用磁心の構成材料に利用する場合、上記超微粒子のうち、電気抵抗の高いセラミックス粒子を利用すると、磁心(圧粉体)の絶縁特性の劣化を防止することができて好ましい。
増粘多糖類は、例えば、デンプン、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)が挙げられる。増粘多糖類の好ましい含有量は、鉄基粉末と潤滑剤との合計質量に対して、0.001質量%以上0.1質量%以下である。
脂肪酸金属塩は、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、ペンタコサン酸、セロチン酸、ヘプタコタン酸及びモンタン酸といった脂肪酸と、Mg,Ca,Zn,Al,Ba,Li,Sr,Cd,Pb,Na,Kといった金属とからなる脂肪酸金属塩、及びそれらの混合物(複合体)が挙げられる。脂肪酸金属塩の好ましい含有量は、鉄基粉末と潤滑剤との合計質量に対して、0.001質量%以上0.1質量%以下である。
軟磁性の鉄基粒子は、純鉄(Fe)、又は鉄合金から構成される。鉄合金は、例えば、鉄-シリコン(Fe-Si)系合金、鉄-窒素(Fe-N)系合金、鉄-ニッケル(Fe-Ni)系合金、鉄-炭素(Fe-C)系合金(鋼)、鉄-ホウ素(Fe-B)系合金、鉄-コバルト(Fe-Co)系合金、鉄-リン(Fe-P)系合金、鉄-ニッケル-コバルト(Fe-Ni-Co)系合金、鉄-アルミニウム-シリコン(Fe-Al-Si)系合金が挙げられる。
上記鉄基粒子は、その表面に絶縁被覆を具えることが好ましい。絶縁被覆を具えることで、圧粉体の電気抵抗を高めて、中高周波数領域で使用される場合に渦電流損を低減できる。絶縁被覆の構成材料は、例えば、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムといった酸化物絶縁材料が挙げられる。このような酸化物絶縁材料からなる絶縁被覆を具える鉄基粒子を用いることで、透磁率、飽和磁束密度、及び電気抵抗の三者が高い圧粉体が得られる。
上記絶縁被膜の厚さは、10nm以上1000nm以下が好ましい。10nm未満であると、トンネル効果により電子が通過して、絶縁特性が十分に得られない恐れがあり、1000nm超では、磁性体の体積分率が下がって、圧粉体の飽和磁束密度や透磁率の低下を招く傾向がある。上記絶縁被膜の厚さは、10nm以上300nm以下がより好ましい。
上記潤滑剤は、粉末状であり、鉄基粉末と共に混合された状態で存在してもよいし、鉄基粒子の表面(上記絶縁被覆を有する場合、絶縁被覆の表面)を覆う被覆層として存在してもよい。前者の混合状態で存在する場合、潤滑剤の少なくとも一部は、鉄基粒子の表面に接触した状態で存在するため、鉄表面に存在する自然酸化層や上記絶縁被膜と潤滑剤との接触摩擦が低く、粉末の流動性が高くなることから、金型への充填性に優れ、成形体の生産性を向上することができる。後者の被覆層として存在する場合、鉄基粉末の全体に亘って均一的に潤滑剤が存在するため、潤滑剤のパスが斑無く均一に形成され、潤滑剤が成形体内に閉じ込められ難いことから、粉末の自己潤滑の機能を発現し易く、潤滑剤の添加量を低減できる。
なお、圧粉体用粉末の保管や成形が高温下で行われる場合、潤滑剤の粘度が低下し、粒子同士がタッキングして粉末の流動性が損なわれることが考えられる。このような場合に対して、上記圧粉用粉末に、適宜、固体潤滑剤を添加して鉄基粒子の表面を当該固体潤滑剤で被覆しておくことで、上記流動性の低下を低減することができる。上記固体潤滑剤は、例えば、微粒の金属石鹸や、h-BN、MoS、MnSなどからなる微粒子粉末が挙げられる。
本発明圧粉体用粉末を成形用金型に充填してから加圧して、成形体を作製する工程と、この成形体に熱処理を施して、圧粉体を作製する工程とを具える本発明圧粉体の製造方法により、圧粉体が得られる。得られた本発明圧粉体は、鉄基粒子間の間隔が狭い箇所(好ましくは鉄基粒子間に潤滑剤が介在しない箇所)が存在することで、透磁率が高い。
本発明圧粉体の製造方法において、上記チクソ性発現温度域の上限温度をTmax、下限温度をTminとし、この下限温度Tminよりも20℃低い温度をTmin-20とするとき、成形用金型の温度は、Tmin-20℃以上Tmax℃以下とすると、チクソ性を発現させ易い。成形用金型の温度がTmin-20℃であれば、金型に充填された圧粉体用粉末は、金型により、Tmin-20℃に温められ、更に、成形時の摩擦熱などにより加熱されて、チクソ性発現温度域に達することができる。成形用金型の温度をTmin-20℃以上とするには、加熱手段を適宜用いて金型を加熱してもよいが、Tmin-20℃が連続成形に伴う発熱により自動的に達する温度である場合、金型の温度を厳密に管理する必要がない上に、加熱手段なども不要である。但し、成形用金型の温度がTmax℃超となると、せん断力に関わらず潤滑剤が液状化するため、上述のように鉄基粒子間に均一的な厚さで液状化した潤滑剤が存在し得る。この状態では、上述した鉄基粒子間の間隔が狭い箇所を十分に形成することが難しい。従って、成形用金型の温度は、Tmax℃以下が好ましい。
本発明圧粉体の製造方法において、成形体は、特定の面圧で加圧して作製すると、潤滑剤に確実にチクソ性を発現させて、上述した鉄基粒子間の間隔が狭い箇所を形成できるため、高透磁率の圧粉体が得られる。具体的には、上記潤滑剤が上記圧粉体用粉末全体に対して占める体積割合をVとするとき、上記成形体における鉄基粉末の真密度に対する相対密度が90%以上(100-V×1.5)%以下となるような面圧とすることが好ましい。得られる成形体の相対密度が90%未満となるような面圧であると、潤滑剤にほとんど圧力が加えられない状態であるため、チクソ性を発現するようなせん断力が得られず、潤滑剤が固まった状態を維持して金型の表面に移動しなくなる。その結果、成形体の内部(特に、鉄基粒子と鉄基粒子との間)に過剰に潤滑剤が残存することで、圧粉体の透磁率を十分に向上できない。一方、得られる成形体の相対密度が(100-V×1.5)%を超えるような面圧であると、高密度な圧粉体が得られるものの、面圧が高くなることで摩擦熱などの加熱により、潤滑剤自体の温度がTmax℃超に昇温されて潤滑剤が完全に液状化する恐れがある。潤滑剤が液状化することで、上述した鉄基粒子間の間隔が狭い箇所を十分に形成できず、透磁率の低下を招く。このような透磁率が高い圧粉体を得るにあたり、種々の面圧で成形体を作製し、各面圧と得られた成形体の相対密度との関係データを予め求めておき、得られた関係データから、上記特定の範囲の相対密度となるような面圧を適宜選択して成形体を製造するとよい。
本発明圧粉体用粉末は、透磁率が高い本発明圧粉体が得られる。本発明圧粉体の製造方法は、上記圧粉体を製造することができる。
[試験例1]
圧粉体用粉末に混合する潤滑剤を作製し、粘度及びチクソ性を調べた。
圧粉体用粉末に混合する潤滑剤を作製し、粘度及びチクソ性を調べた。
この試験では、ベース潤滑剤としてアミドワックスを用いた。具体的には、ステアリン酸アミド複合潤滑剤(大日化学工業株式会社製 WSA75、融点:70〜80℃)を用意した。このベース潤滑剤を90℃に加熱して融解状態とし、この溶融したベース潤滑剤に、表1に示す添加物を表1に示す含有量(ベース潤滑剤+添加物=100質量%)となるように添加した。表1中の有機ベントナイト(主成分:モンモリロナイト)は、株式会社ホージュン製エスベンN400を用い、ステアリン酸アルミニウムは、日油株式会社製アルミニウムステアレート#300を用いた。この添加物を添加したベース潤滑剤をミキサーにより撹拌混合し(700rpm×1時間)、混合溶液を得た。なお、有機ベントナイトを添加して撹拌する際、極性添加剤として、ベース潤滑剤(100質量%)に対して3質量%のイソプロパノールを添加した。比較として、添加物を添加していないベース潤滑剤のみを用意した。
得られた混合溶液及び比較のベース潤滑剤を加熱して、種々の温度状態とし、各温度における粘度を測定した。粘度は、市販のB型粘度計を使用し、ローターの回転速度が6rpm(この速度をずり速度:6rpmとする)のときの粘度η6(Pa・s)、ローターの回転速度が60rpm(このずり速度を60rpmとする)のときの粘度η60(Pa・s)を測定した。その結果を表1に示す。この試験では、成形体の製造性を考慮して、150℃を上限とした。
また、粘度η60に対する粘度η6の比η6/η60(TI)、η6≧100Pa・sを満たす温度範囲、及びη6/η60(TI)≧3を満たす温度範囲を求めた。その結果も表1に示す。
なお、表1において「※」は、測定対象が凝固して粘度の測定が不能であったことを示し、「×」は、η6≧100Pa・sを満たさない、TI≧3を満たさないことを示す。
表1に示すように、ベントナイトといった添加物を適宜添加することで、η6≧100Pa・s、かつη6/η60(TI)≧3を満たす温度域を有する潤滑剤が得られることが分かる。即ち、チクソ性を有する潤滑剤が得られることが分かる。
[試験例2]
試験例1で用意した潤滑剤を粉末状に加工し、絶縁被覆を有する鉄基粒子からなる粉末にこの潤滑剤の粉末を混合した混合粉末を用いて圧粉体を作製し、圧粉体の透磁率を調べた。
試験例1で用意した潤滑剤を粉末状に加工し、絶縁被覆を有する鉄基粒子からなる粉末にこの潤滑剤の粉末を混合した混合粉末を用いて圧粉体を作製し、圧粉体の透磁率を調べた。
潤滑剤の粉末は、以下のように作製した。図2に示すように、ホットプレート10に載置した容器11にベース潤滑剤2bを投入して、90℃に加熱して溶融状態とし、この溶融したベース潤滑剤2bに添加物2fを添加して、ミキサー12により撹拌混合して(700rpm×1時間)、混合溶液を作製する。添加物2fには、有機ベントナイト(株式会社ホージュン製エスベンN400)を使用し、試験例1の試料No.Eと同様の組成の潤滑剤となるように添加物2fの添加量を調整した(潤滑剤全体に対して15質量%の有機ベントナイトを含有)。なお、撹拌する際、試験例1と同様の極性添加剤を添加している。得られた混合溶液を室温に冷却した後、液体窒素中で冷凍して粉砕し、平均粒径30μmの粉末状に加工して、図2(C-2)に示すように、ベース潤滑剤2b中に添加物2fが分散した潤滑剤2の粉末を得る。
<試料No.1,2>
この潤滑剤2の粉末と、絶縁被覆(図示せず)を有する鉄基粒子1からなる鉄基粉末1AとをV型混合機20にて1時間撹拌混合し(図2(B))、混合粉末を作製した。ここでは、鉄基粉末1Aとして、ヘガネスAB社のSomaloy(登録商標)500を用いた。絶縁被膜の厚さは約20nmである。また、潤滑剤2の粉末の含有量が混合粉末全体に対して0.3質量%(2.2体積%)となるように、鉄基粉末と潤滑剤の粉末とを混合した。混合粉末を構成する粒子の少なくとも一部は、図2(C-2)に示すように鉄基粉子1の表面に潤滑剤2の粉末が分散して付着している。得られた混合粉末を成形用の金型30に充填する。具体的には、固定ダイ31及び可動ダイ32がつくる空間に混合粉末を充填し、パンチ33を可動ダイ32側に移動して、可動ダイ32とパンチ33との間に存在する混合粉末を押圧して、成形体3を得る。ここでは、外径34mm、内径20mm、厚さ5mm〜25mmの中空円筒状の成形体を作製した(図2(C-1),(D)に示す成形体3の形状は一例)。
この潤滑剤2の粉末と、絶縁被覆(図示せず)を有する鉄基粒子1からなる鉄基粉末1AとをV型混合機20にて1時間撹拌混合し(図2(B))、混合粉末を作製した。ここでは、鉄基粉末1Aとして、ヘガネスAB社のSomaloy(登録商標)500を用いた。絶縁被膜の厚さは約20nmである。また、潤滑剤2の粉末の含有量が混合粉末全体に対して0.3質量%(2.2体積%)となるように、鉄基粉末と潤滑剤の粉末とを混合した。混合粉末を構成する粒子の少なくとも一部は、図2(C-2)に示すように鉄基粉子1の表面に潤滑剤2の粉末が分散して付着している。得られた混合粉末を成形用の金型30に充填する。具体的には、固定ダイ31及び可動ダイ32がつくる空間に混合粉末を充填し、パンチ33を可動ダイ32側に移動して、可動ダイ32とパンチ33との間に存在する混合粉末を押圧して、成形体3を得る。ここでは、外径34mm、内径20mm、厚さ5mm〜25mmの中空円筒状の成形体を作製した(図2(C-1),(D)に示す成形体3の形状は一例)。
成形体の成形にあたり金型の温度は、添加物を含有する潤滑剤がチクソ性を発現する温度域(ここでは、60〜150℃)の下限温度Tmin(ここでは、60℃)よりも20℃低い温度Tmin-20(ここでは、40℃)以上の温度とした。また、成形時の面圧は、試料No.1:8ton/cm2、試料No.2:12ton/cm2とした。得られた各成形体の密度をアルキメデス法により求めた。また、求めた密度から相対密度(鉄基粉末の真密度(7.87g/cm3)に対する相対量)を求めた。その結果、試料No.1の密度は、7.53g/cm3であり、相対密度は、95.6%であり、90%以上(100-V×1.5)=96.7%以下を満たす(但し、V=2.2)。一方、試料No.2の密度は、7.65g/cm3であり、相対密度は、97.2%であり、(100-V×1.5)=96.7%超である(但し、V=2.2)。
得られた成形体3を搬送手段41により、加熱手段40に導入して熱処理(400〜550℃×30〜120分)を施し、圧粉体4が得られる。加熱時間は、成形体のサイズに応じて、所定の性能を得られるように適宜選択することができる。また、潤滑剤の気化及び分解を促進するために、熱処理の昇温過程において200℃〜400℃で一旦保持してもよい。
<試料No.101,102>
比較として、添加物を添加していない潤滑剤(試料No.1,2のベース潤滑剤に用いたステアリン酸アミド複合潤滑剤)を用いた試料を作製した。添加物を含有しない潤滑剤を用いた点以外の点は、試験例1,2と同様にして成形体及び圧粉体を得た。成形時の面圧は、試料No.101:9ton/cm2、試料No.102:13ton/cm2とした。試料No.1,2と同様にして成形体の密度及び相対密度を求めたところ、試料No.101は、密度:7.55g/cm3、相対密度:95.9%であり、試料No.102は、密度:7.66g/cm3、相対密度:97.3%であった。
比較として、添加物を添加していない潤滑剤(試料No.1,2のベース潤滑剤に用いたステアリン酸アミド複合潤滑剤)を用いた試料を作製した。添加物を含有しない潤滑剤を用いた点以外の点は、試験例1,2と同様にして成形体及び圧粉体を得た。成形時の面圧は、試料No.101:9ton/cm2、試料No.102:13ton/cm2とした。試料No.1,2と同様にして成形体の密度及び相対密度を求めたところ、試料No.101は、密度:7.55g/cm3、相対密度:95.9%であり、試料No.102は、密度:7.66g/cm3、相対密度:97.3%であった。
得られた各試料について、磁界H(エルステッド(Oe))を変化させて、各磁界における磁束密度B(テスラ(T))を測定した。その結果を図3に示す。ここでは、上記中空円筒状の成形体(外径34mm、内径20mm、厚さ5mm)を熱処理して得られた圧粉体に、1次巻線を300巻き、2次巻線を20巻きした電磁部品を作製して試料とし、各試料に対して最大印加磁界100 Oe(≒100×79.58 A/m)における磁束密度曲線をBHトレーサ(理研電子株式会社製DCBHトレーサ)を用いて測定した。
図3に示すように、チクソ性を有する潤滑剤を含有する混合粉末を用い、かつ面圧を小さくした試料No.1の圧粉体は、従来の潤滑剤を用い、かつ面圧を大きくした試料No.101,102の圧粉体と同じ磁界H(Oe)とした場合、試料No.101,102の双方よりも磁束密度B(T)が大きい、即ち、透磁率が高いことが分かる。従って、チクソ性を有する潤滑剤を含有する混合粉末を用いることで、面圧を低減して、高透磁率の圧粉体が得られると言える。また、面圧を低減できることから、成形用金型の長寿命化を図ることができる。
試料No.2は、高密度であるが、試料No.1よりも磁束密度が低い、即ち、透磁率が低い。試料No.2は、面圧を高くしたため、液体状になった潤滑剤が、鉄基粉末の三重点部などの狭い隙間に一旦移動したものの、鉄基粒子間に押し戻されて、鉄基粒子間に均一的に潤滑剤が存在することで、鉄基粒子間の間隔が狭い箇所が形成されず、透磁率が低くなったと考えられる。
なお、この例では、加熱手段を用いて成形用金型を加熱して成形体を作製したが、連続成形に伴う発熱により自動的にチクソ性を発現する温度域になる場合、上記加熱手段は不要である。或いは加熱手段の使用頻度を少なくすることができる。また、成形時の粉末自体の温度は、摩擦熱により成形用金型の温度よりも高温であると考えられる。
[試験例3]
添加物の含有量が異なる混合粉末を試験例2と同様にして作製し、これらの混合粉末を用いて、面圧を種々変化させて成形体を作製した。また、得られた成形体を用いて、圧粉体を作製した。そして、上記面圧と得られた圧粉体の透磁率との関係を調べた。
添加物の含有量が異なる混合粉末を試験例2と同様にして作製し、これらの混合粉末を用いて、面圧を種々変化させて成形体を作製した。また、得られた成形体を用いて、圧粉体を作製した。そして、上記面圧と得られた圧粉体の透磁率との関係を調べた。
この試験では、潤滑剤として、試験例1で作製した試料No.Eを用意し(潤滑剤全体に対して15質量%の添加物を含有)、試験例2と同様にして粉末状に加工した。鉄基粉末として、試験例2と同様のもの(Somaloy(登録商標)500)を用意し、試験例2と同様にして、作製した潤滑剤の粉末と混合し、混合粉末を作製した。混合粉末は、潤滑剤の粉末の含有量が、当該混合粉末全体に対して0.2質量%(1.5体積%)、0.3質量%(2.2体積%)、0.4質量%(3.0体積%)となるように潤滑剤の粉末の添加量を調整した。作製した各混合粉末を用いて、表2に示す面圧で成形体を作製した。
作製した成形体の密度及び相対密度を試験例2と同様にして求めた。その結果を表2に示す。また、作製した成形体の相対密度から算出される空隙率を潤滑剤の体積割合Vで除した値R(=空隙率/体積割合V)を求めた。その結果を表2に示す。なお、相対密度Drは、上記値Rと上記体積割合Vを利用してDr=100-V×Rで求められる。
得られた各成形体を試験例2と同様にして熱処理を施して圧粉体を得た。得られた圧粉体の比透磁率:μ5は、印加磁界が5 Oe(≒5×79.58 A/m)のときの磁束密度:B5ガウス(G)(=B5×10-4テスラ(T))を用いて算出した(μ5=B5(G)/5(Oe))。その結果を表2に示す。
図4に示す成形体の相対密度と圧粉体の透磁率とのグラフから、成形体の相対密度の増加に従い、圧粉体の透磁率が増加していき、特に、相対密度が95%を超えると増大度合いが大きくなることが分かる。しかし、潤滑剤の含有量が1.5,2.2,3.0体積%のいずれの試料においても、ある相対密度で最大値をとった後、圧粉体の透磁率が低下することが分かる。
また、図5に示す値Rと圧粉体の比透磁率μ5とのグラフから、潤滑剤の含有量が1.5,2.2,3.0体積%のいずれの試料においても、R<1.5であると、圧粉体の透磁率が急激に低下することが分かる。従って、値Rは、1.5以上が好ましい、即ち、R=(100-Dr)/V≧1.5が好ましいと言える。つまり、成形体の相対密度Drは、Dr≦100-1.5×Vを満たすことが好ましいと言える。
以上から、相対密度が90%以上、特に95%以上(100-1.5×V)%以下を満たす成形体となるように面圧を調整して成形体を作製することで、透磁率が高い圧粉体が得られることが分かる。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、鉄基粒子の組成、潤滑剤に添加する添加物の材質や含有量、圧粉体用粉末に対する潤滑剤の含有量などを適宜変化させることができる。また、鉄基粒子の最表面にチクソ性を有する潤滑剤を被覆してもよい。
本発明圧粉体は、電磁弁、モータ、電源回路などを有する電磁部品などの磁心に好適に利用することができる。本発明圧粉体用粉末は、この圧粉体の原料に好適に利用することができる。本発明圧粉体の製造方法は、上記本発明圧粉体の製造に利用することができる。
1 鉄基粒子 1A 鉄基粉末 1s 三重点部 2 潤滑剤 2b ベース潤滑剤
2f 添加物 3 成形体 4 圧粉体
10 ホットプレート 11 容器 12 ミキサー 20 V型混合機 30 金型
31 固定ダイ 32 可動ダイ 33 パンチ 40 加熱手段 41 搬送手段
2f 添加物 3 成形体 4 圧粉体
10 ホットプレート 11 容器 12 ミキサー 20 V型混合機 30 金型
31 固定ダイ 32 可動ダイ 33 パンチ 40 加熱手段 41 搬送手段
Claims (8)
- 軟磁性の鉄基粒子と、この鉄基粒子の表面に接触して存在する潤滑剤とを具える圧粉体用粉末であって、
前記潤滑剤は、チクソ性を有することを特徴とする圧粉体用粉末。 - 前記潤滑剤は、ずり速度:6(rpm)における粘度をη6(Pa・s)、ずり速度:60(rpm)における粘度をη60(Pa・s)とするとき、粘度η6が100Pa・s以上であり、かつ粘度η60に対する粘度η6の比η6/η60が3以上となる温度域を有することを特徴とする請求項1に記載の圧粉体用粉末。
- 前記潤滑剤は、層状物質、直径1μm以下の超微粒子、増粘多糖類、及び脂肪酸金属塩から選択される1種以上の物質を合計で50質量%未満の範囲で含有することを特徴とする請求項2に記載の圧粉体用粉末。
- 前記鉄基粒子は、その表面に絶縁被覆を具えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧粉体用粉末。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧粉体用粉末を成形用金型に充填してから加圧して、成形体を作製する工程と、
前記成形体に熱処理を施して、圧粉体を作製する工程とを具えることを特徴とする圧粉体の製造方法。 - ずり速度:6(rpm)における前記潤滑剤の粘度をη6(Pa・s)、ずり速度:60(rpm)における前記潤滑剤の粘度をη60(Pa・s)とするとき、粘度η6が100Pa・s以上であり、かつ粘度η60に対する粘度η6の比η6/η60が3以上となる温度域の上限値をTmax、下限温度をTminとし、この下限温度Tminよりも20℃低い温度をTmin-20とするとき、前記金型の温度は、Tmin-20℃以上Tmax℃以下とすることを特徴とする請求項5に記載の圧粉体の製造方法。
- 前記潤滑剤が前記圧粉体用粉末全体に対して占める体積割合をVとするとき、
前記成形体は、鉄基粉末の真密度に対する相対密度が90%以上(100-V×1.5)%以下となるような面圧で加圧して作製することを特徴とする請求項5又は6に記載の圧粉体の製造方法。 - 請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られたことを特徴とする圧粉体。
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JP2016076517A (ja) * | 2014-10-02 | 2016-05-12 | Ntn株式会社 | 磁心用粉末および圧粉磁心 |
CN106409495A (zh) * | 2015-06-24 | 2017-02-15 | 株式会社捷太格特 | 磁铁的制造方法以及磁铁 |
JP7020602B1 (ja) * | 2021-01-21 | 2022-02-16 | 昭和電工マテリアルズ株式会社 | 圧粉磁心用コンパウンド、成形体、及び圧粉磁心 |
WO2022158003A1 (ja) * | 2021-01-21 | 2022-07-28 | 昭和電工マテリアルズ株式会社 | 圧粉磁心用コンパウンド、成形体、及び圧粉磁心 |
-
2009
- 2009-10-26 JP JP2009245560A patent/JP2011089190A/ja active Pending
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