JP4324295B2 - ロータの製造方法およびロータ製造装置 - Google Patents

ロータの製造方法およびロータ製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータの製造方法およびロータ製造装置に関し、一層詳細には、ロータシャフトの外周面にリング磁石を直接形成することができ、しかも、ロータシャフトとリング磁石とを互いに強固に接合せしめるロータの製造方法およびロータ製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロータシャフトの外周面にリング磁石が接合されてなるロータは、例えば、以下のようにして製造されている。
【0003】
まず、磁粉と熱硬化性樹脂からなる混合粉末を磁場内で圧縮成形することによってリング状成形体を形成する。後述するように、熱硬化性樹脂はバインダーとして作用し、5重量%以上の割合で混合される。
【0004】
次に、前記リング状成形体を加熱炉内で加熱処理して該リング状成形体中の熱硬化性樹脂を硬化せしめることにより、該リング状成形体中の磁粉を互いに強固に接着せしめる。これにより該リング状成形体が硬化せしめられ、リング磁石が得られる。
【0005】
次に、ロータシャフトの外周面に前記リング磁石を嵌合し、両者を接着剤等により接合せしめれば、ロータシャフトの外周面にリング磁石が接合されてなるロータが得られるに至る。
【0006】
このようなロータは、例えば、モータに好適に採用されるものであって、接合されたリング磁石の磁気的特性が優れているほど高性能となる。近年ではロータの一層の高性能化が図られており、そのため、他のリング磁石より磁気的特性が優れるリング磁石、例えば、Sm−Fe−N合金からなるリング磁石をロータシャフトの外周面に接合してロータとすることが試みられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術に係るロータの製造方法においては、リング磁石をロータシャフトの外周面に嵌合した後、両者を接合せしめるという煩雑な作業を行う必要がある。また、そのためにロータの製造に長時間を要している。したがって、ロータの生産効率が低いため、製造コストを低減することが困難であるという不都合がある。
【0008】
そこで、ロータシャフトの外周面にリング状成形体を直接形成し、これらをともに加熱処理することにより該リング状成形体をリング磁石とし、かつ該リング磁石を前記ロータシャフトの外周面に接合せしめれば、上記作業が不要となるので製造時間が著しく短縮され、その結果、ロータの生産効率が向上せしめられるとともに製造コストが低減されよう。
【0009】
すなわち、まず、ロータシャフトの外周面に、磁粉と熱硬化性樹脂からなる混合粉末を圧縮成形することによってリング状成形体を形成する。次いで、これらをともに加熱炉内で加熱処理し、前記リング状成形体中の熱硬化性樹脂を硬化せしめる。熱硬化性樹脂がこのように硬化することにより前記リング状成形体中の磁粉同士および磁粉とロータシャフトとが互いに強固に接着され、該リング状成形体が硬化せしめられるとともに該リング状成形体が前記ロータシャフトに次第に接合される。
【0010】
この場合、リング状成形体の硬化は、該リング状成形体の外周面側から開始され、該リング状成形体とロータシャフトとの接触界面側に指向して進行する。前記外周面は高温の雰囲気に曝露されているので、曝露されていない前記接触界面よりも高温となるからである。
【0011】
そして、硬化の終了に伴って上記接合も終了し、前記リング状成形体はリング磁石となる。すなわち、ロータシャフトの外周面にリング磁石が接合されてなるロータが得られると考えられる。
【0012】
しかしながら、リング状成形体が上記したように硬化せしめられる場合には、ロータシャフトの構成材料として一般に使用される無方向性ケイ素鋼板と熱膨張係数に差がある磁粉、例えば、Sm−Fe−N合金を原料としてリング磁石を形成しようとすると、加熱処理の際にロータシャフトとリング状成形体との間に間隙が生じ、その結果、ロータシャフトとリング磁石との接合強度が低く、リング磁石がロータシャフトから容易に離脱するおそれのあるロータが製造されてしまうという不都合がある。結局、リング磁石がロータシャフトから離脱した場合には、必然的にロータとしての作用を営むことができなくなる。
【0013】
このように、Sm−Fe−N合金からなるリング磁石等、ロータシャフトと熱膨張係数に差があるリング磁石を該ロータシャフトの外周面に直接形成および接合することには著しい困難が伴うため、結局、高性能ロータの生産効率の向上および製造コストの低減を達成することも困難となっている。
【0014】
さらに、上記従来技術に係るロータの製造方法では、混合粉末中の熱硬化性樹脂の割合を5重量%よりも小さくすると、リング磁石の強度が低くなり、実用に耐えうることができないという不都合がある。実用に耐えうる強度のリング磁石を得るには、混合粉末中の熱硬化性樹脂の割合を5重量%以上とすればよい。しかしながら、この場合、必然的に混合粉末中の磁粉の割合が低下するため、リング磁石の磁気的特性が低下するという不具合を招く。
【0015】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、ロータシャフトと該ロータシャフトの外周面に形成されたリング状成形体との熱膨張係数の差が大きい場合や、該リング状成形体中の熱硬化性樹脂の割合が5重量%よりも小さい場合であっても、該リング状成形体が硬化されてなるリング磁石と前記ロータシャフトとが互いに強固に接合せしめられたロータを製造することができ、しかも、ロータの製造時間を著しく短縮せしめることができ、これによりロータの生産効率を向上せしめるとともに製造コストを低減することが可能なロータの製造方法およびロータ製造装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、ロータシャフトの外周面に、磁粉と熱硬化性樹脂からなる混合粉末を圧縮成形してリング状成形体を形成し、次いで、前記ロータシャフトを加熱し、前記ロータシャフトから伝達された熱で前記リング状成形体を昇温せしめることによって前記リング状成形体中の熱硬化性樹脂を前記ロータシャフトと該リング状成形体との接触界面側から該リング状成形体の外周面側に指向して硬化せしめ、前記ロータシャフトに該リング状成形体を接合するとともに該リング状成形体をリング磁石とすることを特徴とする。
【0017】
このように、リング状成形体をロータシャフトの外周面に直接形成することにより、リング磁石をロータシャフトの外周面に嵌合および接合せしめるという煩雑な作業が不要となる。したがって、ロータの製造時間が著しく短縮される。また、リング状成形体をロータシャフトとの接触界面側から外周面側に指向して硬化せしめることにより、該リング状成形体の主成分である磁粉がSm−Fe−N合金からなる場合等、ロータシャフトと熱膨張係数に差があるリング状成形体を硬化せしめてリング磁石とする場合でも、該リング状成形体とロータシャフトとの間に間隙を生じせしめることなく両者を良好に接合することができる。さらに、熱硬化性樹脂の割合を従来よりも低減することができるので、リング磁石の磁気的特性が向上する。したがって、高性能なロータを効率よく生産することができるので、ロータの製造コストを低減せしめることができる。
【0018】
なお、ロータシャフトの加熱は、例えば、中空部を有するロータシャフトを用いて該ロータシャフトの外周面にリング状成形体を形成した後、前記中空部に加熱ヒータを挿入して、この加熱ヒータを加熱源とすることにより行うことができる。
【0019】
また、Sm−Fe−N合金からなるリング磁石を形成する場合、前記磁粉としてSm−Fe−N合金粉末を使用し、前記混合粉末中の熱硬化性樹脂の割合を3〜5重量%としてリング状成形体を形成すればよい。
【0020】
ロータシャフトの加熱は、前記リング状成形体の昇温速度が20℃/分以上となるように行うことが好ましい。このような条件下では、優れた強度を有するSm−Fe−N合金からなるリング磁石が得られる。
【0021】
さらに、本発明は、ロータシャフトまたは該ロータシャフトの外周面に形成された磁粉と熱硬化性樹脂からなる混合粉末が圧縮成形されてなるリング状成形体の温度を検知する温度検知器と、前記温度検知器に接続された加熱制御手段と、前記加熱制御手段に接続され、前記ロータシャフトの軸の内部に挿入される加熱ヒータとを備えることを特徴とする。
【0022】
このような構成のロータ製造装置により、ロータシャフトの外周面に形成されたリング状成形体を、前記ロータシャフトとの接触界面側から該リング状成形体の外周面側に指向して硬化せしめることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るロータの製造方法につきこれを実施するロータ製造装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
本実施の形態に係るロータの製造方法のフローチャートを図1に示す。図1に示されるように、この製造方法においては、ロータシャフトの外周面にリング状成形体が形成され(工程S1)、次いで、前記ロータシャフトが加熱され、この加熱により前記リング状成形体が前記ロータシャフトと該リング状成形体との接触界面側から外周面側に指向して硬化される(工程S2)。
【0025】
リング状成形体を形成するための磁場成形装置の全体概要を図2に示す。この磁場成形装置10においては、Fe系合金等の磁性体からなる底板12a、側板12bおよび天板12cによりダイセット12が構成されている。そして、前記天板12cには、金型14が設置されている。
【0026】
金型14は、内側に配置された筒状のインサート部材16と、該インサート部材16を囲繞するリング部材18とを有する。インサート部材16は、後述するリング状成形体の作製時に変形を起こさない程度の強度を有し、かつ耐摩耗性に優れる磁性体、例えば、WC−Co合金からなる。また、リング部材18は、リング状成形体の作製時に前記インサート部材16を支持するもので、この支持の際に変形を起こさない程度の強度を有し、かつ耐摩耗性に優れる磁性体、例えば、SKD61(JIS規格;中炭素中合金超強靱鋼)からなる。このリング部材18は、フランジ部18aと該フランジ部18aに接合された管状部18bとからなり、フランジ部18aが前記天板12cに図示しないボルトによって締結されることにより、金型14全体がダイセット12の上部に固定位置決めされている。なお、フランジ部18aと管状部18bとは一体成形物であってもよい。
【0027】
図2に示すように、インサート部材16の内部には、磁性体からなるマンドレル20の上端部20aが該インサート部材16から所定間隔離間して挿入されている。そして、この上端部20aには凹部22が形成されており、この凹部22には、無方向ケイ素鋼板等の磁性体からなるロータシャフト24の軸26の一端部26aが嵌合されている。この嵌合により、ロータシャフト24がマンドレル20の上端面に戴置される。なお、後述するように、このロータシャフト24の軸26には、その一端部26aから他端部26bにかけて貫通する孔部が形成されている。
【0028】
さらに、インサート部材16とマンドレル20との間には、非磁性体からなる筒状体の下側パンチ28aの上部が挿入されている。これにより、キャビテイ30が形成される。すなわち、キャビテイ30の内部には、インサート部材16の内壁、ロータシャフト24の外周面、および下側パンチ28aの上端面が露出されている。
【0029】
この下側パンチ28aは、前記マンドレル20の外周壁に固定されている。そして、該下側パンチ28aの下部には、マンドレル20を囲繞する磁性体からなるガイド部材31が設置されており、リング状成形体の作製時には、下側パンチ28aは該ガイド部材31によって支持される。
【0030】
また、下側パンチ28aは、昇降装置32により上下に変位せしめることが可能である。すなわち、マンドレル20の下端部は前記昇降装置32に接続されており、昇降装置32のロッド34が上昇あるいは下降付勢されることに伴ってマンドレル20が上下に変位する。その結果、マンドレル20に固定された下側パンチ28aが上下に変位せしめられるに至る。
【0031】
一方、下側パンチ28aに対向する上部には、非磁性体からなる筒状体の上側パンチ28bが配置されている。この上側パンチ28bもまた、前記昇降装置32に準ずる構成の昇降装置(図示せず)によって上下に変位せしめることが可能である。この上下への変位により、上側パンチ28bは、キャビテイ30へ挿入または離脱せしめられる。
【0032】
この上側パンチ28bの内部には押止部材36が挿入されており、この押止部材36の上端面は図示しないコイルスプリングにより保持されている。さらに、このコイルスプリングの上端は上側パンチ28bの上端面の内壁に保持されている。
【0033】
また、ロータシャフト24上には、該ロータシャフト24の軸26の他端部26bに嵌合されたダミー38が載置されており、上側パンチ28bがキャビテイ30に挿入された際には、ロータシャフト24はダミー38とともに押圧される。
【0034】
また、ダイセット12の底板12aの上面には電磁コイル40が設置されており、マンドレル20はこの電磁コイル40内を貫通している。さらに、この電磁コイル40は、図示しない電源に接続されている。
【0035】
以上のような構成において、リング状成形体をロータシャフト24の外周面に形成する際には(工程S1)、まず、図2に示すように、該磁場成形装置10のキャビテイ30に磁粉および熱硬化性樹脂の混合粉末42を充填する。この際、ロータシャフト24上にはダミー38が載置されているので、混合粉末42の積層高さをロータシャフト24の外周面よりも高くすることができる。
【0036】
混合粉末42としては、例えば、Sm−Fe−N合金粉末(磁粉)とエポキシ樹脂粉末とを混合したもの等を用いることができる。なお、熱硬化性樹脂としては、液状樹脂を使用することもできる。ここでいう混合粉末とは、磁粉と液状樹脂の混合物を含めていうものとする。
【0037】
エポキシ樹脂粉末のような熱硬化性樹脂の割合は、3〜5重量%とすることが好ましい。3重量%より小さいと、接合強度が低いリング磁石となることがある。また、5重量%よりも大きいと、磁粉の割合が低下するため、リング磁石の磁気的特性が低下する。
【0038】
次いで、前記電磁コイル40に通電すれば、該電磁コイル40内に磁場が発生し、これによりマンドレル20が励磁されて磁気を帯びる。これに応じ、インサート部材16およびロータシャフト24も励磁されて磁気を帯びる。その結果、例えば、ロータシャフト24がN極となり、インサート部材16がS極となる。この場合には、ロータシャフト24からインサート部材16へ指向する磁場が発生する。すなわち、磁場の方向は遠心方向である。このような磁場が発生する結果、キャビテイ30に充填された混合粉末42中の磁粉の磁区の方向が遠心方向に揃う。すなわち、磁区が遠心方向に配向される。
【0039】
この状態で、図3に要部を拡大して示すように、図示しない前記昇降装置のロッドを下降付勢することにより上側パンチ28bをキャビテイ30に挿入する。この際、押止部材36はダミー38とロータシャフト24とを押圧する。さらに該上側パンチ28bを下方へ変位せしめる場合には、図示しない前記コイルスプリングが収縮することにより、押止部材36が上側パンチ28b内で上方に変位せしめられる。したがって、押止部材36が上側パンチ28bの下方への変位を妨げることはない。
【0040】
上側パンチ28bをキャビテイ30に挿入した後、さらに下方へ変位せしめる際には、下側パンチ28aを確実に固定位置決めせしめる。この固定位置決めは、前記昇降装置32のロッド34を停止位置決めすることにより達成される。
【0041】
この際に、混合粉末42が下側パンチ28aおよび上側パンチ28bから押圧されることにより該混合粉末42が圧縮成形され、図3に示すように、ロータシャフト24の外周面にリング状成形体44が形成される。なお、前記圧縮成形の際には、ロータシャフト24は押止部材36およびマンドレル20により堅牢に支持される。また、下側パンチ28aはガイド部材31によって堅牢に支持されているので、この圧縮成形の最中に下方へ変位することはない。
【0042】
次いで、図示しない前記昇降装置のロッドを上昇付勢して上側パンチ28bを金型14から離脱せしめる。これによりロータシャフト24が解放され、金型14の内部から取り出すことが可能となる。
【0043】
このようにしてロータシャフト24の外周面に形成されたリング状成形体44中の熱硬化性樹脂を、次いで、加熱処理することにより硬化せしめる(工程S2)。これによりリング状成形体44を硬化せしめ、ロータシャフト24に接合せしめるとともにリング磁石とする。
【0044】
この加熱処理の際には、ロータシャフト24を加熱し、該ロータシャフト24から伝達された熱でリング状成形体44を昇温せしめることが好ましい。このように昇温せしめることにより、該リング状成形体44は、ロータシャフト24との接触界面側から該リング状成形体44の外周面側に指向して硬化される。
【0045】
ロータシャフト24の加熱は、例えば、図4に示すように、本実施の形態に係るロータ製造装置46によって、ロータシャフト24の昇温速度等を制御せしめながら行うことができる。
【0046】
このロータ製造装置46は、熱電対48と、加熱制御機構50と、加熱ヒータ52とを備え、熱電対48と加熱制御機構50とはリード線54aを介して接続されており、かつ、加熱制御機構50と加熱ヒータ52とはリード線54b、54cを介して接続されている。また、加熱制御機構50は、図示しない電源に接続されていることは勿論である。この電源から加熱制御機構50に通電せしめることにより、該加熱制御機構50が付勢される。
【0047】
図4に示すように、加熱ヒータ52はロータシャフト24の軸26に形成された孔部26cに挿入されている。また、熱電対48はロータシャフト24とリング状成形体44との接触界面近傍のロータシャフト24側に当接されており、この箇所の温度を検知する。そして、この熱電対48により検知された温度に基づいて、加熱制御機構50が、該加熱制御機構50に設定された加熱処理条件(昇温速度や加熱処理温度、保持時間)に従うように加熱ヒータ52を制御しながら発熱せしめる。
【0048】
すなわち、加熱制御機構50は、所定時間当たりのロータシャフト24の温度差を実昇温速度に換算し、例えば、実昇温速度が設定された昇温速度よりも速い場合には、加熱ヒータ52の発熱の度合いを小さくする。そして、ロータシャフト24の温度が設定された加熱処理温度に到達した際には、設定された保持時間の間、この加熱処理温度が保持されるように加熱ヒータ52の発熱の度合いを制御し、以後は加熱ヒータ52の発熱を停止せしめる。
【0049】
このように、ロータシャフト24の昇温速度や加熱処理温度、保持時間等を加熱処理条件として加熱制御機構50に設定することにより、加熱ヒータ52の発熱は、設定された昇温速度でロータシャフト24が昇温され、加熱処理温度に到達した際にはその加熱処理温度を保持し、保持時間終了後は加熱を終了せしめるように制御される。
【0050】
なお、ロータシャフト24が昇温された場合、熱は速やかに該ロータシャフト24からリング状成形体44に伝達される。したがって、ロータシャフト24の昇温速度や加熱処理温度は、実質的にはリング状成形体44の昇温速度や加熱処理温度とみなすことができる。
【0051】
ロータシャフト24の昇温速度、すなわち、リング状成形体44の昇温速度は20℃/分以上とすることが好ましい。このような昇温速度でリング状成形体44を昇温した場合、熱硬化性樹脂量の割合が3重量%程度であっても、優れた強度を有するリング磁石が得られる。20℃/分よりも遅いと、強度が低いリング磁石となることがある。
【0052】
また、リング状成形体44の加熱処理温度は、混合された熱硬化性樹脂が硬化する温度に設定すればよい。例えば、エポキシ樹脂粉末が混合されている場合には加熱処理温度を200℃とし、保持時間を5分程度とすればよい。
【0053】
上記したように、この加熱処理の際には、リング状成形体44は、ロータシャフト24との接触界面側から該リング状成形体44の外周面側に指向して硬化される。このため、加熱処理の際に、ロータシャフト24とリング状成形体44との間に間隙が生じることがない。したがって、加熱処理に伴って該リング状成形体44がロータシャフト24に接合されるとともに該リング状成形体44がリング磁石となることにより得られたロータにおいては、ロータシャフト24とリング磁石とが互いに強固に接合されている。
【0054】
このように、リング状成形体44を、ロータシャフト24との接触界面側から外周面側に指向して硬化せしめることにより、該リング状成形体44中の熱硬化性樹脂の割合が低い場合であっても、ロータシャフト24とリング磁石とが互いに強固に接合され、該リング磁石の強度が優れたロータが製造されるに至る。
【0055】
なお、上記した実施の形態においては、ロータシャフト24の加熱を、該ロータシャフト24の軸26に形成された孔部26cに挿入された加熱ヒータ52により行ったが、加熱方法は特にこれに限定されるものではない。
【0056】
また、磁場成形装置10による混合粉末の圧縮成形の際に、ロータシャフト24やマンドレル20をN極とし、インサート部材16をS極としたが、ロータシャフト24やマンドレル20をS極とし、インサート部材16をN極としてもよい。
【0057】
【実施例】
磁粉としてのSm−Fe−N合金粉末とエポキシ樹脂粉末とを種々の割合で混合し、図1に示した磁場成形装置10を使用して、ロータシャフト24の外周面にリング状成形体44を形成した。そして、前記ロータシャフト24の軸26の孔部26cに、加熱制御機構50に接続された加熱ヒータ52を挿入し、この加熱ヒータ52により種々の昇温速度で200℃までロータシャフト24を昇温せしめ、昇温後は60分保持してロータを製造した。そして、これらのロータについてせん断試験を行い、各ロータのせん断強度を測定した。結果を図5に示す。なお、図5において、●はロータシャフト24とリング磁石との接合強度が充分でなくせん断強度が測定できなかったもの、○は15.0MPaのせん断強度を示したもの、◎は20.2MPaのせん断強度を示したものを表している。
【0058】
図5から、エポキシ樹脂粉末の割合が3重量%未満である場合や、熱硬化性樹脂の混合割合が多い場合であっても昇温速度が5℃/分以下である際には、ロータシャフト24とリング磁石の接合強度が充分でないことが分かる。また、昇温速度が速くなるほどロータのせん断強度が高くなり、20℃/分以上であるときには、熱硬化性樹脂の混合割合が3重量%程度であっても著しく高いせん断強度を有するロータであることが明らかである。
【0059】
なお、130℃までロータシャフト24を昇温せしめた以外は上記と同様にしてロータを製造した後にせん断強度の測定を行ったところ、図5と略同様の結果が得られた。このことから、昇温速度を速くすることによってせん断強度の高いロータが得られることが諒解される。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るロータの製造方法によれば、リング状成形体をロータシャフトの外周面に直接形成するので、リング磁石をロータシャフトの外周面に嵌合および接合せしめるという煩雑な作業が不要となる。したがって、ロータの製造時間を著しく短縮することができる。
【0061】
また、リング状成形体をロータシャフトとの接触界面側から外周面側に指向して硬化せしめるので、該リング状成形体がSm−Fe−N合金からなる場合等、ロータシャフトと熱膨張係数に差があるリング状成形体を硬化せしめてリング磁石とする場合であっても、該リング状成形体とロータシャフトとの間に間隙を生じせしめることなく両者を良好に接合することができる。したがって、ロータが効率よく生産されるとともにロータの製造コストが低減される。
【0062】
さらに、本発明に係るロータの製造方法によれば、従来技術に係るロータの製造方法よりも、リング磁石の原料である熱硬化性樹脂の混合割合を低減せしめることができる。すなわち、磁粉の混合割合を高めることができるので、リング磁石の磁気的特性が向上する。したがって、高性能のロータが得られるという効果を奏する。
【0063】
また、本発明に係るロータ製造装置によれば、ロータシャフトの外周面に形成されたリング状成形体を、前記ロータシャフトとの接触界面側から該リング状成形体の外周面側に指向して硬化せしめることができる。これにより、該リング状成形体とロータシャフトとが互いに接合する際に、間隙が生じることを回避することができる。したがって、リング磁石がロータシャフトに強固に接合されてなるロータが得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るロータの製造方法のフローチャートである。
【図2】ロータシャフトの外周面にリング状成形体を作製する際に使用される磁場成形装置の概略縦断面図である。
【図3】図2の磁場成形装置によりロータシャフトの外周面にリング状成形体が形成された状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図4】本実施の形態に係るロータ製造装置を使用してロータシャフトを加熱している状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図5】昇温速度および熱硬化性樹脂の混合割合と、ロータのせん断強度との関係を説明するグラフである。
【符号の説明】
10…磁場成形装置 14…金型
20…マンドレル 24…ロータシャフト
26…軸 26c…孔部
28a、28b…パンチ 30…キャビテイ
40…電磁コイル 42…混合粉末
44…リング状成形体 46…ロータ製造装置
48…熱電対 50…加熱制御機構
52…加熱ヒータ

Claims (5)

  1. ロータシャフトの外周面に、磁粉と熱硬化性樹脂からなる混合粉末を圧縮成形してリング状成形体を形成し、
    次いで、前記ロータシャフトを加熱し、前記ロータシャフトから伝達された熱で前記リング状成形体を昇温せしめることによって前記リング状成形体中の熱硬化性樹脂を前記ロータシャフトと該リング状成形体との接触界面側から該リング状成形体の外周面側に指向して硬化せしめ、前記ロータシャフトに該リング状成形体を接合するとともに該リング状成形体をリング磁石とすることを特徴とするロータの製造方法。
  2. 請求項1記載のロータの製造方法において、
    ロータシャフトとして中空部を有するものを用い、かつ、前記中空部に加熱ヒータを挿入し、前記加熱ヒータにより前記ロータシャフトを加熱することを特徴とするロータの製造方法。
  3. 請求項2記載のロータの製造方法において、
    前記加熱ヒータに加熱制御手段を接続し、前記加熱制御手段により前記リング状成形体の昇温速度を20℃/分以上に制御しながら前記ロータシャフトを加熱することを特徴とするロータの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロータの製造方法において、
    前記磁粉としてSm−Fe−N合金粉末を使用し、かつ、前記混合粉末中の熱硬化性樹脂の割合を3〜5重量%とすることを特徴とするロータの製造方法。
  5. ロータシャフトまたは該ロータシャフトの外周面に形成された磁粉と熱硬化性樹脂からなる混合粉末が圧縮成形されてなるリング状成形体の温度を検知する温度検知器と、
    前記温度検知器に接続された加熱制御手段と、
    前記加熱制御手段に接続され、前記ロータシャフトの軸の内部に挿入される加熱ヒータと、
    を備えることを特徴とするロータ製造装置。
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