JP3883138B2 - 樹脂ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プレス成形によ磁気特性に優れた樹脂ボンド型永久磁石を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂ボンド型永久磁石(以下、樹脂ボンド磁石という)は、ハードフェライトや希土類合金などの磁性粉末を、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂、またはポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などの熱可塑性樹脂をバインダーとして結合、賦形して製造される磁石である。
【0003】
ハードフェライトや希土類合金などの磁性粉末を焼結して製造される従来の焼結磁石に比べ、樹脂ボンド磁石は、磁性を発現しない樹脂分を含むため磁気特性は劣るが、焼結による収縮がないため寸法精度が良く、種々の形状の磁石が簡単に得られるという特徴がある。そのため、一般家庭の各種電気製品から大型コンピューターの周辺端末機器に至るまで広く応用されており、特にスピンドルモーター、ステッピングモーター等の小型モーターに近年多く用いられている。
【0004】
この樹脂ボンド磁石の成形方法としては、射出成形、押出成形、プレス成形などが可能である。
射出成形と押出成形では熱可塑性樹脂をバインダーとして用いる。通常、このバインダーを加熱溶融状態にし、磁性粉末をその中に混合、混練した後、この混合物を成形機に供給できる粒 (ペレットと呼ばれる) 状に粉砕または造粒し、このペレットを射出成形機または押出成形機に供給して成形を行う。成形温度はバインダーの種類により異なるが、ポリプロピレン樹脂の場合で 200〜250 ℃、ポリアミド樹脂の場合では 250〜300 ℃であり、プレス成形に比べて高い。
【0005】
成形に用いる金型は、原料粉末が超急冷法により得たNd−Fe−B系などの磁気異方性のない磁性粉末である場合には一般的な金型であるが、原料粉末が磁気異方性を有する磁性粉末である場合には、磁場コイルなどを付設し磁気回路を形成させた金型を用いる。それにより、異方性磁性粉末に磁場を印加し、その磁化容易方向 (後述する) を揃えることで、特定方向に極めて高い磁気特性を示す樹脂ボンド磁石を得ることができる。
【0006】
射出成形や押出成形では、磁性粉末とバインダーとの混合物が成形温度で流動する必要があるため、通常、磁性粉末の混合割合がプレス成形に比べて少なくなり、製品の磁気特性が低いという欠点がある。
【0007】
他方、プレス成形では熱硬化性樹脂をバインダーとして用いる。通常、予め磁性粉末とバインダーとを複合化させた原料粉末 (磁性粉末を熱硬化性樹脂で被覆した「コンパウンド」と呼ばれる材料) を作製し、それを金型内に投入し、パンチで加圧することによりプレス成形を行う。その後、加熱してバインダー樹脂を熱硬化させると樹脂ボンド磁石が得られる。バインダーを熱硬化させて製品の最終強度を付与するので、プレス後の成形体 (圧粉体と呼ばれる) の強度は、加熱設備への搬送に必要なハンドリングが可能な程度であればよい。そのため、プレス成形の温度は通常は室温である。
【0008】
成形に用いる金型は、前記の射出成形などの場合と同様、磁気異方性の有無により使い分けされる。磁気回路により形成される金型内の磁場の方向は、プレスの圧下方向に平行の場合と垂直の場合とがあり、前者を平行磁場 (または、縦磁場) 、後者を垂直磁場 (または、横磁場) という。
【0009】
プレス成形では、射出および押出成形に比べて、磁性粉末の充填率を大きくすることができ、より高い磁気特性を得ることが可能となる。しかし、この成形法では、上下のパンチにより金型内で磁性粉末を圧密するので、圧下力の伝達機構から粉末粒度は大きい方が充填率増大には有利であるが、他方で不可避である成形後の空孔のサイズが大きくなるため、塗装やメッキなどの表面処理に対して問題を生じている。
【0010】
プレス成形に対しては、磁性粉末の充填率の増大による磁気特性のさらなる向上を目的として種々の改良が加えられてきた。
例えば、11 ton/cm2以上の高い加圧力で圧縮成形する高圧プレス法 (特開昭60−207302号公報) 、磁性粉末の表面を潤滑剤でコーティングする等の手法で潤滑剤を添加して、プレス成形中における磁性粉末間および磁性粉末とバインダー樹脂との間の摩擦を低減させる方法 (特開昭60−220920号、特開昭62−264602号、特開平3−74810 号各公報) 、常温で液状のバインダーを用いる方法 (特開平2−262303号公報) 、および常温で固形の樹脂を用いて高温でプレスすることでバインダーを溶融し、潤滑性を高める高温プレス法 (特開平4−80901 号公報) などの方法が提案されている。
【0011】
また、磁性粉末の磁気特性向上についても近年盛んに研究され、Sm2Co17 合金系やNd−Fe−B合金系の磁性粉末では、どの方向に磁化しても同じ磁気特性を発現する従来の等方性磁性粉末に比べて磁気特性に優れている磁気異方性を示す磁性粉末 (以下、異方性粉末という) が開発されている。しかし、この異方性磁性粉末はある決まった特定方向 (磁化容易方向) にのみ磁気特性が極めて高いので、磁性粉末を樹脂により結合させる際には磁化容易方向を揃える必要がある。従って、この異方性磁性粉末を用いる場合には、磁化容易方向を揃える (配向度を向上させる) 工夫が不可欠である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、プレス成形で得られる樹脂ボンド磁石の磁性粉末充填率の向上法として、金型を高温に加熱し、成形温度をバインダーの融点以上の温度とする高温プレス法は大きな効果があるが、生産性が極端に低下するという問題があった。
【0013】
すなわち、金型を加熱した高温プレスでは、1回のプレス成形の後、次回の原料 (コンパウンド) 粉末を金型に供給する前に、金型を樹脂の融点以下に冷却するという対策を講じないと、金型に接触した次回のコンパウンド粉末の樹脂が溶融し、金型に付着して、金型内に均一に充填できなくなるという問題を生じる。従って、金型の加熱・冷却がプレス1回毎に不可欠であり、1回の成形に要する時間 (プレスサイクルタイム) が長くなる。すなわち、単位時間当たりの生産個数が著しく減少するのである。
【0014】
別の対策として、温度が樹脂の融点以下である予め準備された別の金型を順次交換するロータリープレス方式も知られている。この方式の場合、磁場コイルを用いない等方性磁石では金型構造が簡単であり、工業生産に適用可能であるが、磁場コイルを用いて磁場中で成形する必要のある異方性磁石では、金型構造が複雑になるなど種々の問題があり、工業生産には適用が困難である。また、いずれにしても特殊なプレス設備が必要であり、設備的制約が大きいか、または設備が大きくかつ高価になる。
【0015】
11 ton/cm2以上の高い加圧力でプレス成形する場合、プレスの大型化は避けられず、コストが高くなるうえに、高圧をかけることによってパンチやダイの摩耗、損傷が著しいという問題が生じている。また、パンチなどの強度の点から、プレス圧力をさらに上げることは困難であるので、圧力を従来以上に高くすることなく、磁性粉末充填率を上げる方法が望まれている。さらに、磁性粉末の種類によっては、プレス圧下により磁気特性が低下することがあるため、高い圧力で成形できない場合もある。
【0016】
潤滑剤を混合した場合、磁性粉末のバインダーである熱硬化性樹脂の中に硬化に寄与しない潤滑剤成分が混入するため、潤滑剤を用いない場合と比較して磁気特性は優れるものの、機械的強度が低下するという問題がある。
【0017】
本発明は、上記の従来技術に存在する問題点を解決し、磁気特性に優れた樹脂ボンド磁石を製造することが可能な、成形性、生産性が向上した樹脂ボンド磁石のプレス成形による樹脂ボンド磁石の製造方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、樹脂ボンド磁石のプレス成形時に、特定の超音波振動を一定の条件で金型および/またはパンチに付与することによって、金型を加熱せずにコンパウンド粉末のみを加熱でき、同時に金型内に投入されたコンパウンド粉末の金型内での均一充填が達成されることを見出し、本発明を成すに至った。
【0019】
ここに、本発明の要旨は、熱硬化性樹脂により被覆されたNd Fe −B系磁気異方性磁性粉末を、パンチで加圧するプレス成形用金型に充填し、充填した磁性粉末を磁場中でパンチにより加圧しながら超音波振動を金型および/またはパンチに付与して前記熱硬化性樹脂を粘度低下または溶融させ、次いで超音波振動を停止してから、磁場中でパンチによる加圧力を高めて磁性粉末を賦形し、得られた賦形品を加熱して熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする、樹脂ボンド型永久磁石の製造方法にある。
好適態様において、前記熱硬化性樹脂は、融点45〜90℃の室温で固形の樹脂であり、超音波振動の周波数が10〜40 kHz、振幅が100μm以下であり、この超音波振動を付与する際の加圧が100 kg/cm2以下であり、超音波振動の付与時間が0.5秒以上であり、次の磁性粉末の賦形時の加圧が100 kg/cm2以上である。
【0020】
本発明の方法により、金型を加熱することなく、かつ低圧力で、磁性粉末が高密度に充填された樹脂ボンド磁石のプレス成形を簡便に実施することができるので、高い生産性と成形性で磁気特性に優れた樹脂ボンド磁石を製造することが可能となる。
【0021】
【作用】
本発明の方法で用いる原料粉末は、従来の樹脂ボンド磁石のプレス成形と同様に、磁性粉末をバインダーの熱硬化性樹脂と一体複合化したコンパウンド粉末、即ち、熱硬化性樹脂により被覆された磁性粉末からなる。
【0022】
磁性粉末は特に制限されず、従来より樹脂ボンド磁石に用いられてきたハードフェライトや、Sm−Co系やNd−Fe−B系などの希土類合金の粉末が使用できる。磁気異方性についてもその有無は問わない。磁気異方性の磁性粉末を用いた場合、本発明方法ではプレス成形中の超音波振動の付与により磁性粉末の回転が容易となり、配向度が向上するため、磁気特性が改善される。また、金型の加熱を必要としないので、磁場中プレス成形を容易に実施できる。
【0023】
さらに、本発明方法では従来のプレス成形圧力よりも低圧力で成形できるので、プレス成形時の磁性粉末の損傷・破壊により磁気特性が低下し易い、希土類合金系磁性粉末に対して特に有効である。
【0024】
粉末の粒度も広範囲に適用可能であるが、平均粒径が 0.5〜350 μmの範囲内が好適である。0.5 μm未満であると、加熱に時間を要し、生産性が悪くなり、350 μmを越えると、磁石中の空孔サイズが大きくなり、表面処理に対して問題となる。1〜200 μmの平均粒径が特に好適である。
【0025】
バインダーとして用いる熱硬化性樹脂も特に制限されず、従来より樹脂ボンド磁石に使用されてきたエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂などが使用できる。樹脂の常温での性状は液状でも固形でもよいが、金型への投入のし易さからは固形が好ましい。さらに、固形樹脂の融点が45〜90℃の範囲であることが特に好ましい。融点が45℃未満であると、超音波で加熱されたコンパウンド粉末からの伝熱による金型表面温度の上昇がある程度避けられないため、金型への投入時にコンパウンド粉末が付着しやすく、投入しずらくなる。逆に、融点が95℃を越えると、超音波による加熱に時間を要するため、生産速度の低下が大きくなる。
【0026】
バインダー樹脂による磁性粉末の被覆 (即ち、複合化) は、押出機等を用いた溶融混練法や、溶液法等の慣用の方法が適用できる。磁性粉末に対するバインダーの混合比率は1〜20wt%とするのが好ましい。この混合比率が1wt%未満では、成形された樹脂ボンド磁石内の磁性粉末の結合が不十分となり、成形性が悪く、得られた圧粉体および最終的に得られる樹脂ボンド磁石の機械的強度が著しく低下する。一方、バインダーの混合比率が20wt%を越えると、磁性粉末の割合が低すぎ、磁気特性の低下が著しくなる。バインダーのより好ましい混合比率は2〜10wt%である。
【0027】
原料粉末には、熱硬化性樹脂と磁性粉末の他に、必要に応じて、カップリング剤、潤滑剤などの従来より用いられてきた各種の添加剤を少量であれば添加できる。
【0028】
本発明によれば、原料のコンパウンド粉末を、目的とする形状のプレス成形用金型に充填した後、パンチにより加圧してプレス成形を行う前に、金型および/またはパンチに超音波振動を付与して、コンパウンド粉末を振動させる。その結果、粉末間の摩擦および/またはコンパウンド粉末のバインダーを構成する樹脂の内部摩擦によって、金型を加熱することなく、コンパウンド粉末のみを実質的に加熱することができ、この加熱によりバインダー樹脂が溶融あるいは粘度低下するので、前記の金型加熱により樹脂を溶融させる高温プレス法と同様の潤滑性向上および磁性粉末充填率の向上効果を得ることができる。
【0029】
金型は、コンパウンド粉末からの伝熱による多少の表面温度の上昇は起こるものの、樹脂の溶融を生ずるほどには昇温しないので、次回の成形までに冷却を行う必要は一般になく、ロータリープレスの使用も必要ないので、異方性磁性粉末の場合の磁場中成形にも容易に適用できる。
【0030】
超音波としては、周波数10〜40 kHz、振幅1〜100 μmのものが適用できる。周波数が10 kHz未満か、40 kHzを越える超音波あるいは振幅1μm未満の超音波では、超音波振動によるコンパウンド粉末の加熱に時間を要しすぎる。振幅が100 μmを越える超音波では、超音波振動により誘発される磁粉の破壊が著しくなり、樹脂ボンド磁石の磁気特性が低下する。好ましくは、周波数が15〜35 kHz、振幅が5〜50μmの超音波を適用する。
【0031】
超音波振動の付与は、上パンチ、下パンチ、金型の少なくとも1つに超音波ホーンを取り付け、それを超音波振動させることにより行うことができる。また、リング形状のボンド磁石では、コア (リング状磁石の成形時に、その内径部に相当する位置に配置した円柱状の部材で、リング状の下パンチの中央にある) を超音波振動させてもよい。
【0032】
超音波振動の付与中は、金型内に充填されたコンパウンド粉末に負荷する加圧力を100 kg/cm2以下とする。この時の加圧力が100 kg/cm2を越えると、磁性粉末の破壊による磁気特性の低下が生じ易く、また振動が制限されるためコンパウンド粉末の加熱に要する時間も長くなる。超音波振動付与中の加圧力の下限は特に制限されないが、超音波振動エネルギーの伝播を達成するためには、通常は1kg/cm2以上の加圧力が必要である。超音波印加中の好ましい加圧力は、5〜50 kg/cm2 、より好ましくは10〜30 kg/cm2 の範囲内である。なお、超音波振動の付与前に、コンパウンド粉末を上記の加圧力で予備加圧しておくことは、磁性粉末の充填率、すなわちボンド磁石の密度を向上する上で好ましい。
【0033】
超音波振動の付与時間は0.5 秒以上とする。0.5 秒より短い時間では、所定の発振条件への立上がりが急激となり、超音波発振の制御が困難で実際的ではない。この付与時間は、コンパウンド粉末のバインダー樹脂が固形樹脂である場合には、これが溶融するのに必要な時間とすることが好ましい。このための超音波振動付与時間は、周波数、振幅、バインダー樹脂の種類と混合比率などの条件に応じて変動するが、通常は 0.5〜10秒、好ましくは 0.5〜5秒の範囲内である。
【0034】
超音波振動を付与して100 kg/cm2以下で短時間の加圧を行った後、超音波振動を停止し、金型内のコンパウンド粉末をさらに加圧して、プレス成形による賦形を行う。このプレス成形圧力は、次の加熱硬化設備までのハンドリングに必要な強度を持った圧粉体が得られるように選択すればよく、特に制限されないが、一般に100 kg/cm2以上である。本発明によれば、超音波振動の付与によって、コンパウンド粉末が振動して粉末の充填度が増大し、またバインダー樹脂が溶融しているため、従来のプレス成形より低い加圧力で賦形することができる。具体的には 100 kg/cm2 〜3ton/cm2 の範囲内、好ましくは200 kg/cm2〜2.0 ton/cm2 の範囲内の加圧力でプレス成形を行うことにより、十分な強度の圧粉体を得ることができる。
【0035】
磁性粉末が磁気異方性を有する粉末である場合、従来と同様に、磁場コイルなどを付設した金型を用いて、プレス成形中に金型内のコンパウンド粉末に所定の横磁場または縦磁場を印加し、磁性粉末の磁化容易方向が揃うようにコンパウンド粉末を回転させる。この磁場の印加は、超音波振動の付与中も行うことが好ましい。超音波振動の付与中に磁場をコンパウンド粉末に印加することで、磁性粉末を磁化容易方向に揃え易くなり、配向度、従って、磁気特性が向上する。
【0036】
本発明の方法により成形された圧粉体を加熱設備に移して、好ましくは不活性ガス雰囲気中加熱し、バインダー樹脂を硬化させると、樹脂ボンド磁石が得られる。加熱条件はバインダー樹脂の種類や磁石の寸法に応じて当業者が適当に選択することができる。得られた樹脂ボンド磁石には、必要により、常法に従って塗装やメッキなどの表面処理を施す。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明の効果を例証する。
実施例および比較例で用いた磁性粉末は、下記の方法により作製したNd異方性磁性粉末およびSm異方性磁性粉末である。
【0038】
Nd 異方性磁性粉末
原子分率で13%のNd、12%のCo、1%のGa、6%のB、残部がFeとなるNd−Fe−B合金を 970〜1170Kの水素ガス中に保持して、Nd水素介在物、Fe2B、Feに分解した。次に、この温度領域で水素圧を下げ、Nd水素化物から水素を解離させ、微細なNd2Fe14B結晶体の磁性粉末を得た。得られた磁石粉末をさらに機械的に粉砕して、平均粒径150 μmの磁性粉末を得た。
【0039】
本実施例では、上記の方法で作製したNd2Fe14B系異方性磁性粉末を用いたが、Nd2Fe14B合金を後方押出することにより得られる、例えばGM社から市販されているMQ-3磁性粉末などを使用することもできる。
【0040】
Sm 異方性磁性粉末
Sm(Co0.59Cu0.07Fe0.22Zr0.02)8.3 で表されるSm2Co17 系金属間化合物合金を溶解、鋳造し、これをアルゴンガス雰囲気炉中にて1160℃で4時間加熱した後、約200 ℃まで毎分35℃の速度で急冷して析出硬化処理を行った。常温まで冷却された鋳塊を、アルゴンガス雰囲気炉中にて800 ℃で2時間、740 ℃で3時間の2段加熱により時効処理し、常温まで毎分65℃の速度で冷却した。その後、この鋳塊を機械的に粉砕して平均粒径50μmの磁性粉末を得た。
【0041】
上記の方法で作製したNdまたはSm異方性磁性粉末を、熱硬化性樹脂で被覆してコンパウンド粉末とし、次いで本発明の方法によりプレス成形し、加熱硬化させて、樹脂ボンド磁石を作製した。各工程の詳細を次に説明する。
【0042】
コンパウンド粉末の作製
バインダー樹脂として、常温で固体のエポキシ化合物 (クレゾールノボラック型エポキシ樹脂) に硬化剤としてポリアミン系化合物を配合した熱硬化性エポキシ樹脂 (融点57℃) を用いた。
この熱硬化性エポキシ樹脂をメチルエチルケトンに溶解して樹脂液を調製し、得られた樹脂液と上記のNdまたはSm異方性磁性粉末とを混合した後、メチルエチルケトンを蒸発させ、次いで乳鉢で解砕して、原料のコンパウンド粉末を得た。配合割合は、磁性粉末100 重量部に対して樹脂が3重量部の割合とした。
【0043】
樹脂ボンド磁石の作製
プレス成形は、図1に示す磁場中プレス成形機を用いて、10 mm 立方の成形体を得るように行った。このプレス成形機では、図1からわかるように、超音波振動子2からブースター3、ホーン4を介して上パンチ5に超音波振動を付与でき、また金型9内の原料粉末6に対しては、磁化コイル7から圧下方向に垂直な横磁場を印加できる。
【0044】
まず、上記の原料コンパウンド粉末を金型内に投入した後、表1に示した周波数、発振時間、振幅の超音波振動を上パンチに付与しながら、この上パンチを下降させて、表1に示した加圧力および時間だけ、13 kOe (Nd異方性磁性粉末の場合) または15.5 kOe (Sm異方性磁性粉末の場合) の横磁場中で圧下した。その後、超音波振動を停止し、横磁場を保持しながら、直ちに表1に示す 0.2〜1ton/cm2 の範囲内の加圧力でプレス成形を行った (圧力保持時間3秒) 。
【0045】
このプレス成形時の成形体温度と金型温度を、超音波加振の停止直後の時点で測定した。続いて、脱型後、成形体をArガス雰囲気中で150 ℃に60分間加熱してバインダー樹脂を硬化させ、10 mm 立方の樹脂ボンド磁石を得た。
【0046】
従来例として、従来の高温プレス法に従って、上記の原料コンパウンド粉末を常温の金型内に投入した後、超音波振動を付与せずに、金型を熱媒により80℃に加熱し、表1に示す加圧力で横磁場中にてプレス成形を行い、脱型後に加熱して樹脂を硬化させ、樹脂ボンド磁石を作製した。ここに記載した以外の条件は、上記と同様であった。
【0047】
得られた樹脂ボンド磁石について、下記の方法により、(1) 磁気特性と、(2) 密度を測定した。試験結果も表1に併せて示す。
(1) 磁気特性
得られた10 mm 立方の樹脂ボンド磁石を用いて、BHトレーサーにより残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc) ならびに最大エネルギー積 (BHmax)を測定した。
(2) 密度
得られた樹脂ボンド磁石の重量と体積を測定し、その密度を算出した。
【0048】
【表1】
Figure 0003883138
【0049】
表1から明らかなように、本発明によれば、プレス成形前にパンチに超音波振動を付与することで、金型をさほど昇温させずに、原料のコンパウンド粉末を選択的に加熱することができる。その結果、超音波振動付与時の加圧力、周波数、振幅を本発明の範囲に制限した場合には、3秒以下というごく短時間の超音波振動の付与によってバインダー樹脂を融解させることができ、プレス成形と加熱・硬化後に、磁気特性に優れ、かつ高密度に充填された樹脂ボンド磁石を得ることができる。
【0050】
また、従来例として示す金型加熱による従来の高温プレス法に比べて、極めて低いプレス圧力で高い磁性粉末充填率が得られるので、プレス成形時の磁性粉末の損傷とそれによる磁気特性の劣化が抑制される。従って、特に損傷し易いNd異方性磁性粉末の場合に、従来の高温プレス法に対する磁気特性の向上効果が大きくなった。
【0051】
超音波振動を付与しても、条件が本発明の範囲外である比較例では、BHmax が本発明例の実施例に比べて低く、またBrおよび磁石密度か、或いはiHc の一方も低下した。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、次のような効果を得ることができる。
(1) 超音波振動を付与することで、金型を加熱することなくコンパウンド粉末を選択的に加熱できるので、金型加熱によりバインダー樹脂を融解させる高温プレス法と同じ潤滑性向上効果を、金型を加熱せずに得ることができる。従って、生産効率と設備的制約の障害のため従来は困難であった、磁場中での樹脂ボンド磁石の高温プレス成形 (温間磁場中プレス成形という) が工業的に可能となる。
【0053】
(2) 樹脂の加熱・融解に伴う、高温プレス法と同様の潤滑性向上効果に加えて、超音波振動の機械的作用によりコンパウンド粉末の充填率および配向度の向上という効果が同時に得られるので、従来の金型加熱による同じ温度での温間磁場中プレス成形に比べて、相対的に高い磁気特性を示す磁気異方性樹脂ボンド磁石が得られる。
【0054】
(3) 超音波振動を予め付与することで、プレス成形前にコンパウンド粉末の充填率が向上する結果、従来の高温プレス法に比べて、極めて低いプレス圧力でプレス成形を行うことができ、プレス成形時の磁性粉末の損傷とそれによる磁気特性の劣化が抑制される。従って、特に高圧成形で損傷し易い希土類合金系磁性粉末では、高温プレス法に比べて磁気特性の向上が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いた磁場中プレス成形機の略式断面図である。
【符号の説明】
1:プレス用ラム 2:振動子
3:ブースター 4:ホーン
5:上パンチ 6:コンパウンド粉末 (金型ホール)
7:磁化コイル 8:下パンチ
9:金型

Claims (3)

  1. 熱硬化性樹脂により被覆されたNd Fe −B系磁気異方性磁性粉末を、パンチで加圧するプレス成形用金型に充填し、充填した磁性粉末を磁場中でパンチにより加圧しながら超音波振動を金型および/またはパンチに付与して前記熱硬化性樹脂を粘度低下または溶融させ、次いで超音波振動を停止してから、磁場中でパンチによる加圧力を高めて磁性粉末を賦形し、得られた賦形品を加熱して熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする、樹脂ボンド型永久磁石の製造方法。
  2. 前記熱硬化性樹脂が、融点45〜90℃の室温で固形の樹脂である、請求項1に記載の樹脂ボンド型永久磁石の製造方法。
  3. 超音波振動の周波数が10〜40 kHz、振幅が100μm以下であり、この超音波振動を付与する際の加圧が100 kg/cm2以下であり、超音波振動の付与時間が0.5秒以上であり、次の磁性粉末の賦形時の加圧が100 kg/cm2以上である、請求項1または2に記載の樹脂ボンド型永久磁石の製造方法。
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