JP2004296873A - 異方性希土類ボンド磁石と磁界中圧縮成形装置、およびモ−タ - Google Patents

異方性希土類ボンド磁石と磁界中圧縮成形装置、およびモ−タ Download PDF

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Abstract

【課題】メルトスパンリボンを粉砕したR−TM−B系急冷粉末を樹脂で固定した磁気的に等方性のボンド磁石よりも高(BH))max化される材料の具体化。
【解決手段】すなわち、小型モ−タのための磁石形状を満足する高(BH)max希土類ボンド磁石を作製するため、磁気的に異方性の多結晶集合型希土類磁石粉末と結合剤とのコンパウンドを、前記結合剤の熱硬化温度以下で配向磁界を印加しながら圧縮成形する際、塑性変形による緩衝作用によって磁石粉末相互の機械的損傷を抑制しながら緻密化を促進し、加熱硬化した後も温間塑性変形能を維持した結合剤を必須成分とした環状、円弧状に形状変換可能な(BH)max150kJ/mの異方性希土類ボンド磁石を提供する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンピュ−タ周辺機、プリンタなどの制御用、駆動用として幅広く使用され、小型軽量化・高出力化を中心に技術革新が活発な、所謂永久磁石回転子型、或は永久磁石界磁型のブラシレスモ−タや直流モ−タに関し、更に詳しくは、それらに搭載する希土類ボンド磁石、並びに磁界中圧縮成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非特許文献1:J.J.Croat,J.F.Herbst,R.W.Leeand F.E.Pinkerton:J.Appl.Phys.,Vol.55,2078(1984)により、R−Fe−B(RはNd,Pr)系合金をメルトスパンしたリボンがHci>1200kA/m,残留磁化(Mr)800mT、最大エネルギ−積(BH)max112kJ/mの磁気特性が明らかになった。同時に非特許文献2:M.Sagawa,S.Fujiwara,H.Yamamoto and Y.Matsuura:J.Appl.Phys.,Vol.55,2083(1984)によって、Nd−Fe−B系合金を出発原料とし、粉末冶金学的手法によって(BH)max304kJ/mの焼結磁石が得られることも明らかになった。1986年には、非特許文献3:J.F.Herbst,R.W.Lee and F.E.Pinkerton:Ann.Rev.Mater.Sci.,Vol.16,467(1986)によって、J.J.CroatらやM.SagawaらのNd−Fe−B3元系合金の主相がNdFe14B金属間化合物であることが明らかにされた。この希土類−鉄系磁石の作製法としては、その後、メカニカルアロイング法、熱間鋳造法なども提唱されてきた。しかし、1980年代後半から現在に至るまで新市場を創製し、拡充し得た代表的希土類−鉄系磁石はM.Sagawaらの粉末冶金学的手法による常圧焼結磁石と、J.J.Croatらのメルトスパンリボンを出発原料とする急冷磁石の2系統に区分される。
【0003】
まず、粉末冶金学的手法による常圧焼結磁石であるが、この磁石の作製は既に工業的規模で生産されていた1−5,2−17型Sm−Co系焼結磁石の作製方法を利用できる利点があることから、いち早く工業的規模での生産技術が確立されたと思われる。また、Dy添加で結晶磁気異方性を高めて熱安定性を改善したり、VやMo添加で熱安定性と耐食性の両者を改善する研究、表面処理による耐食性向上が進展し、(BH)max216〜296kJ/mの焼結磁石としてMRI、VCM、FAやEVなど機械出力数百W〜数十kWに至る比較的大型のモ−タなどへ広く普及した。
【0004】
一方、J.J.Croatらのメルトスパンで得られる材料形態はリボンなどの薄帯や、それを粉砕したフレ−ク状の粉末に制限される。このため、一般に使用されるバルク状の永久磁石とするには材料形態の変換、つまり何らかの方法で薄帯や粉末を特定のバルクに固定化する技術が必要となる。粉末冶金学における基本的な粉末固定手段は常圧焼結であるが、メルトスパンリボンは準安定状態に基づく磁気特性を維持する必要があるため常圧焼結の適用は困難である。そのため、もっぱらエポキシ樹脂のような結合剤で薄帯や粉末を特定形状のバルクに固定化することが行われた。非特許文献4:R.W.Lee,E.G.Brewere and N.A.Shaffel:IEEE Trans.Magn.,Vol.21,1958(1985)では、(BH)max111kJ/mのメルトスパンリボンを樹脂で固定すると(BH)max72kJ/mの等方性ボンド磁石ができるとした。
【0005】
1986年、本発明者らは、上記メルトスパンリボンを粉砕したR−TM−B系急冷粉末を樹脂で固定した(BH)max〜72kJ/mの小口径環状等方性ボンド磁石が小型モ−タに有用であることを見出し、特許文献1:特開昭62−196057号公報,(特許願 特願昭61−38830号)にて明らかにした。その後、前記小口径環状等方性ボンド磁石とSm−Co系ラジアル異方性ボンド磁石との小型モ−タ特性を比較検証し、前者が有用であるとした非特許文献5:(T.Shimoda,SUPPLEMENTARY MATERIAL,”PERMANENT MAGNETS 1988 UPDATE”Wheeler Associate,INC(1988))。さらに、小型モ−タに有用であるという報告が、非特許文献6:W.Baran,The European Business and Technical Outlook forNdFeB Magnets”Nov.(1989),非特許文献7:G.X.Huang,W.M.Gao,S.F.Yu,:”Application of Melt−Spun Nd−Fe−B Bonded Magnet to the Micro−motor”,Proc.of the 11th International Rare−Earth Magnets and Their Applications,Pittsburgh,USA,pp.583−595,(1990)などによって明らかにされ、1990年代からOA,AV,PCおよびその周辺機器、情報通信機器などの駆動源として使用される各種小型高性能モ−タに広く普及したのである。
【0006】
以下に、従来の技術の説明にて示した特許文献及び非特許文献を記載する。また、発明が解決しようとする課題にて引用する特許文献及び非特許文献を記載する。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−196057号公報(特許願 特願昭61−38830号)
【特許文献2】
特開昭57−170501号公報
【非特許文献1】
J.J.Croat,J.F.Herbst,R.W.Lee and F.E.Pinkerton:J.Appl.Phys.,Vol.55,2078(1984)
【非特許文献2】
M.Sagawa,S.Fujiwara,H.Yamamoto andY.Matsuura:J.Appl.Phys.,Vol.55,2083(1984)
【非特許文献3】
J.F.Herbst,R.W.Lee and F.E.Pinkerton:Ann.Rev.Mater.Sci.,Vol.16,467(1986)
【非特許文献4】
R.W.Lee,E.G.Brewere and N.A.Shaffel:IEEE Trans.Magn.,Vol.21,1958(1985)
【非特許文献5】
(T.Shimoda,SUPPLEMENTARY MATERIAL,“PERMANENT MAGNETS 1988 UPDATE”Wheeler Associate,INC(1988))
【非特許文献6】
W.Baran,The European Business and Technical Outlook for NdFeB Magnets”Nov.(1989)
【非特許文献7】
G.X.Huang,W.M.Gao,S.F.Yu,:”Application of Melt−Spun Nd−Fe−B Bonded Magnet to the Micro−motor”,Proc.of the 11th International Rare−Earth Magnetsand Their Applications,Pittsburgh,USA,pp.583−595,(1990)
【非特許文献8】
M.Tokunaga,N.Nozawa,K.Iwasaki,M.Endoh,S,Tanigawa and H.Harada:IEEE Trans.Magn.,Vol.25,3561(1989)
【非特許文献9】
H.Sakamoto,M.Fujikura and T.Mukai:J.Appl.Phys.,Vol.69,5382(1991)
【非特許文献10】
M.Doser,V.Panchanacthan,and R.K.Mishra:J.Appl.Phys.,Vol.70,6603(1991)
【非特許文献11】
T.Takeshita,and R.Nakayama:Proc.ofthe 11th International workshop on Rare−earth Magnets and Their Applications,Pittsburh,PA.,Vol.1,49(1990)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、1980年代半ばから現在に至るまでメルトスパンリボンの磁気特性の改良研究は継続的、かつ活発に行われてきたものの、リボン自体の(BH)maxは160kJ/m程であり、当該リボンを粉砕したR−TM−B系急冷粉末を樹脂で固定した磁気的に等方性のボンド磁石の(BH))maxは工業的には〜80kJ/mである。したがって、1985年当時から最近に至るまで、メルトスパンリボンを粉砕したR−TM−B系急冷粉末を樹脂で固定した磁気的に等方性のボンド磁石の高(BH))max化は、さほど進展していない。
【0009】
上記に拘らず、本発明が対象とするコンピュ−タ周辺機、プリンタなどの制御用、駆動用として幅広く使用され、所謂永久磁石回転子型、或は永久磁石界磁型のブラシレスモ−タや直流モ−タに関しては電気・電子機器の高性能化・高付加価値化の背景のもと、小型磁石モ−タの更なる小型軽量化・高出力化に対する要求が絶えない。したがって、本発明者らが1986年に見出したメルトスパンリボンを粉砕したR−TM−B系急冷粉末を樹脂で固定した小口径環状等方性ボンド磁石は、もはや小型モ−タの進化に有用であると言い切ることはできない。
【0010】
一方、1980年代後半より、NdFe14B化学量論組成より、高Nd組成のメルトスパンリボンを出発原料とした磁気的に異方性の磁石粉末の研究が活発に行われた。従来のSm−Co系ボンド磁石ではインゴットを微粉砕することにより、大きな保磁力Hciが得られるのに対し、NdFe14B系合金インゴットやNdFe14B系常圧焼結磁石を粉砕しても小さな保磁力Hciしか得られない。このため、磁気的に異方性のNdFe14B系磁石粉末の出発原料としては、メルトスパンリボンが、先ず検討された。1989年、TokunagaらはNd14Fe80−XGa(X=0.4〜0.5)を熱間据え込み加工(Die−up−set)して得たバルクを機械粉砕して保磁力Hci1.52MA/mの異方性NdFe14B系磁石粉末を作製し、これを樹脂で固めて(BH)max127kJ/mの異方性希土類ボンド磁石を得ている[非特許文献8:M.Tokunaga,N.Nozawa,K.Iwasaki,M.Endoh,S,Tanigawa and H.Harada:IEEE Trans.Magn.,Vol.25,3561(1989)]。また、1991年、T.MukaiらはNd14Fe79.85.2Cuを熱間圧延して、保磁力Hci1.30MA/mの異方性NdFe14B系磁石粉末を作製している[非特許文献9:H.Sakamoto,M.Fujikura and T.Mukai:J.Appl.Phys.,Vol.69,5382(1991)]。このように、GaやCuなどの添加は熱間加工性を向上させ結晶粒径を概ね500nm以下に抑制できる。結晶粒成長が抑えられると粉末粒子径が概ね100μm以上の粉末であれば保磁力Hciの低下が抑えられた磁石粉末となる。1991年、M.Doser,V.Panchanathanらは、それら熱間加工後のバルクを粉末化する方法として粒界から水素を侵入させNdFe14BHとして崩壊させ、その後真空加熱により脱水素したHD(Hydrogen Decrepitation)異方性磁石粉末を樹脂で固めて(BH)max150kJ/mの異方性希土類ボンド磁石を得ている。[非特許文献10:M.Doser,V.Panchanacthan,and R.K.Mishra:J.Appl.Phys.,Vol.70,6603(1991)]
しかし、上記メルトスパンリボンを熱間据え込み、或いは熱間圧延した異方性NdFe14B系磁石粉末は結晶粒界にNd−rich相が存在し、粒界腐食に基づく永久減磁を引起こし易い欠点があった。この欠点を克服する方法として、Ga,Zr,Hf,などの元素を添加したNd−Fe(Co)−B系合金インゴットを水素中で熱処理しNd(Fe,Co)14B相の水素化(Hydrogenation,Nd[Fe,Co]14B Hx)、650〜1000℃での相分解(Decomposition,NdH+Fe+FeB)、脱水素(Desorpsion)、再結合(Recombination)する、いわゆるHDDR処理が提案された[例えば、非特許文献11:T.Takeshita,and R.Nakayama:Proc.of the 11th International workshop on Rare−earth Magnets and Their Applications,Pittsburh,PA.,Vol.1,49(1990)]。この方法で作製された異方性NdFe14B系磁石粉末は0.5μm以下の結晶粒の集合組織のみから構成され、結晶粒界にNd−rich相が存在しない。このHDDR現象のメカニズムに対する研究も精力的に行われ、Dy添加や脱水素条件などによりNdFe14B化学量論組成に近い粉末を樹脂で固めたボンド磁石と同等の熱安定性が期待される保磁力Hci1.20MA/m以上の異方性NdFe14B系磁石粉末も開発された。
【0011】
しかし、上記、異方性NdFe14B系磁石粉末を用いた高(BH))max希土類ボンド磁石は円柱や立方体で試作されたものであり、実際には一般的な小型モ−タには使用されていない。その理由は、本発明が対象とする小型モ−タに搭載する磁石の形状は、かつて試作された高(BH))max希土類ボンド磁石のような単純な円柱や立方体ではなく、例えば直径25mm以下の環状、或いは肉厚1mm以下の円弧状磁石だからである。例えば前記環状磁石の場合には、半径方向に磁気異方化したラジアル異方性の希土類ボンド磁石が必要となる。このような、ラジアル配向磁界の発生手段としては、例えば、特許文献2:特開昭57−170501号公報に記載されているように、図1中、環状成形型キャビティMCを取り囲んで磁性体ヨ−ク01a,01bと非磁性体ヨ−ク02a,02bとを交互に組み合わせ、且つ外側に磁化コイル03a,03bを配置した成形型を用いる。かかる方法は環状成形型キャビティMCに所定の強さのラジアル配向磁界(FLUX)を発生させるため、高電圧電流型の電源を用い、且つ起磁力を大とすることが行われる。しかし、環状成形型キャビティMCの外周から磁性体ヨ−ク01a,01bにより磁化コイル03a,03bで励磁した磁束(FLUX)を環状成形型キャビティMCに有効に集束させるには、磁性体ヨ−ク01a,01bの磁路を長くせざるを得ず、とくに環状成形型キャビティMCが小口径(或いは、長尺)になると、起磁力のかなりが漏洩磁束として消費される。その結果、環状成形型キャビティMCの配向磁界(FLUX)が減少する課題があり、例えば、直径25mm以下、肉厚1〜2mm、長さと直径の比(L/D=0.5−1)程度の環状磁石では磁石粉末の配向度の低下により、希土類ボンド磁石の高(BH)maxの減少が避けられなかったのである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以上のように、本発明が対象とするコンピュ−タ周辺機、プリンタなどの制御用、駆動用として幅広く使用され、所謂永久磁石回転子型、或は永久磁石界磁型のブラシレスモ−タや直流モ−タに関して、電気・電子機器の高性能化のもと、当該小型磁石モ−タの更なる小型軽量化・高出力化に対する要求に応えるため、高(BH))max化が、さほど進展しないメルトスパンリボンを粉砕したR−TM−B系急冷粉末を樹脂で固定した磁気的に等方性のボンド磁石に換え、異方性NdFe14B系磁石粉末を用いて小口径化しても希土類ボンド磁石の(BH))maxが減少しない技術の開示に関する。
【0013】
例えば、小型モ−タに適用し得る任意の環状、或いはア−クセグメント形状で、例えば、150kJ/m以上の高(BH))max希土類ボンド磁石が容易に作製することができれば、近年の電気電子機器の高性能化を促す、新規な高出力・省電力の小型モ−タを提供することができる。何故ならば、従来のメルトスパンリボンを粉砕したR−TM−B系急冷粉末を樹脂で固定した等方性希土類ボンド磁石の(BH)maxは前述のように80kJ/mである。これに対し、任意の環状、或いは円弧状で150kJ/m以上の高(BH)max希土類ボンド磁石が作製できれば、モ−タ磁石と鉄心との空隙磁束密度は略(BH)maxの比の平方根となるから、当該小型モ−タの設計思想によるが、約1.4倍の高出力化、30%の小型化が見込まれるのである。
【0014】
上記、小型モ−タのための磁石形状を満足する高(BH)max希土類ボンド磁石を作製するため、本発明は、磁気的に異方性の多結晶集合型希土類磁石粉末と結合剤とのコンパウンドを、前記結合剤の熱硬化温度以下で配向磁界を印加しながら圧縮成形する際、塑性変形による緩衝作用によって磁石粉末相互の機械的損傷を抑制しながら緻密化を促進し、加熱硬化した後も温間塑性変形能を維持した結合剤を必須成分とした異方性希土類ボンド磁石を骨子とする。
【0015】
ここで、高(BH)max希土類ボンド磁石の作製には、周知のように、当該磁気異方性希土類磁石粉末を高配向、かつ高密度化する技術が基本となる。先ず、希土類ボンド磁石の高密度化に関しては射出成形や押出成形に比べて圧縮成形が有利であることは言うまでもない。他方、一般の磁界中圧縮成形における磁石粉末の配向磁界発生に関しては、1.電磁石、2.パルス磁場、3.永久磁石を埋設した成形型による方法が知られている。ここで、高保磁力希土類磁石粉末で高配向を実現するには高い配向磁界(静磁界)が必要で、電磁石1を配向(脱磁)磁界に用いることは周知である。その際、圧縮方向と磁界方向が直交する横配向磁界、圧縮方向と磁界方向が同一の縦配向磁界、ラジアル配向磁界、極配向磁界など多くの配向磁界中圧縮成形が知られているが、高配向の観点からは圧縮方向と磁界方向が直交する横配向磁界、圧縮方向と磁界方向が同一の縦配向磁界がラジアル配向磁界、極配向磁界よりも有利である。よって、本発明の配向磁界の印加は横配向磁界、または縦配向磁界を採用する。
【0016】
本発明は、希土類磁石材料充填工程A1、磁界配向圧縮工程B1、脱磁工程B2、グリ−ンコンパクト取出工程A2を必須工程とした磁界中圧縮成形において、工程A1A2と工程B1B2とを隔離し、当該ダイセットが工程A1A2と工程B1B2間を移動する磁界中圧縮成形装置を用いる。また、前記成形型、並びにダイセットの全ての部材を非磁性材料で構成することによって、磁界配向用電磁石の磁極間で複数の成形型キャビティにより多数個同時成形を行うことができる。これにより、磁気的に等方性の希土類ボンド磁石のような多数個同時成形など生産性の向上を図ることができる。また、高(BH)maxの希土類ボンド磁石を得るために、ダイセットの成形型キャビティが常用150℃の温度制御機能を有する磁界中圧縮成形装置を仕様する。本発明で、斯様に成形型キャビティを熱するのは、磁界配向の際、結合剤による異方性希土類磁石粉末の拘束力を減少させることが目的である。多くのエポキシ樹脂組成物や不飽和ポリエステル樹脂の熱重合開始温度は150℃以下であるため、成形型キャビティは常用150℃の温度制御機能があればよい。
【0017】
次に、本発明における工程B1が、成形型キャビティに充填した希土類磁石材料を加熱下で配向磁界を印加する工程B11、配向磁界を印加しながら所定圧力まで希土類磁石材料を圧縮してグリ−ンコンパクトとする工程B12、成形型キャビティ中のグリ−ンコンパクトを脱磁する工程B13とから成り、前記工程B11において、磁界強度が1.4MA/m以上とすることが好ましい。なお、工程A1A2と工程B1B2とを、ダイセット2基にて交互に繰返す機構を付与すると生産性の向上に繋がり、工程A1と工程B1との間に、成形型キャビティから漏洩した希土類磁石材料を帯磁させることなく回収する工程C1を介し、工程C1にて回収した希土類磁石材料を再利用すると材料の歩留まりを改善することができる。
【0018】
上記、工程A2により得たグリ−ンコンパクトを加熱硬化する工程D1において、工程D1の雰囲気が不活性ガス、または減圧下とすると、本発明にかかる希土類ボンド磁石の高(BH)maxを維持するために効果的である。
【0019】
以上のような、磁界中圧縮成形装置に供する希土類磁石材料は平均粒子径50−150μmの異方性NdFe14B系磁石粉末と熱硬化性樹脂組成物とのコンパウンド、或いは、平均粒子径1〜5μmの異方性SmFe17(x≒3)系磁石粉末と平均粒子径50〜150μmの異方性NdFe14B系磁石粉末と熱硬化性樹脂組成物とのコンパウンドとすることが好ましく、磁界中圧縮成形装置によって作製したグリ−ンコンパクトを加熱硬化した希土類ボンド磁石の(BH)maxは150kJ/m以上であることが好ましい。このような磁石は、必要に応じて適宜熱間にて圧延、圧縮などの塑性加工を施こし、巻付けて所望の環状形状としたり、或いは円弧状の最終形状に賦形した高(BH)max希土類ボンド磁石とする。そして、高(BH)max円弧状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモ−タや流モ−タ、或いは高(BH)max環状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモ−タや直流モ−タとすることができる。
【0020】
(作用)
以下、本発明を更に詳しく説明する。
【0021】
本発明は、小型モ−タのための形状を満足する高(BH)max希土類ボンド磁石を作製するため、磁気的に異方性の多結晶集合型希土類磁石粉末と結合剤とのコンパウンドを、前記結合剤の熱硬化温度以下で配向磁界を印加しながら圧縮成形する際、塑性変形による緩衝作用によって磁石粉末相互の機械的損傷を抑制しながら緻密化を促進し、加熱硬化した後も温間塑性変形能を維持した結合剤を必須成分とした異方性希土類ボンド磁石を骨子とする。
【0022】
先ず、本発明にかかる磁界中圧縮成形装置について図面を用いて説明する。図2は本発明にかかる磁界中圧縮成形装置の要部構成図である。図中A1は希土類磁石材料充填工程、B1は磁界配向圧縮工、B2は脱磁工程、A2はグリ−ンコンパクト取出工程であり、それらA1,B1,B2,A2が当該順序で必須工程となる。このような、磁界中圧縮成形において、本発明では図のように工程A1A2と工程B1B2とを隔離し、当該ダイセットDSが工程A1A2と工程B1B2間を移動する磁界中圧縮成形装置が特徴となる。また、前記成形型、並びにダイセットDSの全ての部材を非磁性材料で構成することによって、磁界配向用電磁石の磁極間で複数のダイセットDS成形型キャビティMCにより多数個同時成形を行うことができる。これにより、磁気的に等方性の希土類ボンド磁石のように多数個同時成形など生産性の向上を図ることができる。また、高(BH)maxの希土類ボンド磁石を得るために、ダイセットDSの成形型キャビティMCが常用150℃の温度制御機能を有する磁界中圧縮成形装置を使用する。本発明で、斯様に成形型キャビティを熱するのは、磁界配向の際、結合剤による異方性希土類磁石粉末の拘束力を減少させることが目的である。多くのエポキシ樹脂組成物や不飽和ポリエステル樹脂の熱重合開始温度は150℃以下であるため、成形型キャビティは常用150℃の温度制御機能があればよい。
【0023】
次に、本発明における工程B1が、成形型キャビティMCに充填した希土類磁石材料を加熱下で配向磁界を印加する工程B11、配向磁界を印加しながら所定圧力まで希土類磁石材料を圧縮してグリ−ンコンパクトとする工程B12、成形型キャビティ中のグリ−ンコンパクトを脱磁する工程B13とから成り、前記工程B11において、磁界強度が1.4MA/m以上とすることが好ましい。なお、工程A1A2と工程B1B2とを、ダイセット2基にて交互に繰返す機構を付与すると生産性の向上に繋がり、工程A1と工程B1との間に、成形型キャビティMCから漏洩した希土類磁石材料を帯磁させることなく回収する工程C1を介し、工程C1にて回収した希土類磁石材料を再利用すると材料の歩留まりを改善することができる。なお、図2(a)に示す工程C1のように、配向磁界に影響されない位置で、異方性希土類磁石粉末を帯磁させることなく回収することが望ましく、回収手段としては集塵機等の周知の設備を利用することができる。
【0024】
以上のような磁界中圧縮成形装置において、工程A2により得たグリ−ンコンパクトを加熱硬化する工程D1において、工程D1の雰囲気が不活性ガス、または減圧下とすると、本発明にかかる希土類ボンド磁石の高(BH)maxを維持するために効果的である。
【0025】
以上のような、磁界中圧縮成形装置に供する希土類磁石材料は平均粒子径50−150μmの多結晶集合型異方性NdFe14B系磁石粉末と結合剤とのコンパウンドであり、或いは、平均粒子径1〜5μmの異方性SmFe17(x≒3)系磁石粉末と平均粒子径50〜150μmの多結晶集合型異方性NdFe14B系磁石粉末と結合剤とのコンパウンドであり、本発明にかかる磁界中圧縮成形装置で作製したグリ−ンコンパクトを加熱硬化した希土類ボンド磁石の(BH)maxとしては150kJ/m以上であることが好ましい。このような磁石は、必要に応じて適宜熱間にて圧延、圧縮などの塑性加工を施こし、所望の環状形状に巻き、或いは円弧状の最終形状に賦形した高(BH)max希土類ボンド磁石とする。そして、高(BH)max円弧状希土類ボンド磁石を搭載した高出力小型ブラシレスモ−タや直流モ−タ、或いは高(BH)max環状希土類ボンド磁石を搭載した高出力小型ブラシレスモ−タや直流モ−タとするのである。
【0026】
次に、本発明にかかる多結晶集合型異方性希土類磁石粉末としては熱間据込加工(Die−Up−Setting)によって準備されたNdFe14B系粉末(例えば、M.Doser,V.Panchanathan;”Pulverizing anisotropic rapidly solidified Nd−Fe−B materials for bonded magnet”;J.Appl.Phys.70(10),15,1993)。HDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のNdFe14B系磁石粉末、すなわち、Nd−Fe(Co)−B系合金のNd(Fe,Co)14B相の水素化(ydrogenation,Nd[Fe,Co]14BHx)、650〜1000℃での相分解(ecomposition,NdH+Fe+FeB)、脱水素(esorpsion)、再結合(ecombination)するHDDR処理(T.Takeshita and R.Nakayama:Proc.of the 10th RE Magnets and Their Applications,Kyoto,Vol.1,551 1989)で作製した磁気的に異方性のNdFe14B系磁石粉末である。なお、前記磁石粉末の表面を予め光分解したZnなど不活性化処理した粉末など(例えば、K.Machida,K.Noguchi,M.Nushimura,Y.Hamaguchi,G.Adachi,Proc.9th Int.Workshop on Rare−Earth Magnets andTtheir Applications,Sendai,Japan,II,845 2000,或いは、K.Machida,Y.Hamaguchi,K.Noguchi,G.Adachi,Digests of the 25th Annualconference on Magnetcs in Japan,28aC−6 2001)を挙げることもできる。また、それらの多結晶集合型異方性希土類磁石粉末の4MA/mパルス着磁後の20℃における保磁力は1.1MA/m以上のものが望ましい。さらに、異方性希土類磁石粉末としてはRD(酸化還元)処理によって準備された磁気的に異方性のSmFe17系磁石粉末、或いは前記粉末の表面を予め不活性化処理した粉末を必要に応じて適宜併用することもできる。
【0027】
図3は本発明にかかる多結晶集合型異方性希土類磁石粉末の模式図である。図において、1は磁石粉末、1Gは磁石粉末を構成する一つ一つのNdFe14B結晶粒を示しており、それらの結晶粒1Gの磁化容易軸1(006)は、ほぼ一定方向に揃った構造の粉末が主原料となる。
【0028】
上記、本発明にかかる多結晶集合型異方性希土類磁石粉末は結合剤との結合力を強固にし、耐候性を確保するため、予めエポキシオリゴマ−で図4のような表面被覆することが望ましい。ただし、図4中、1は異方性磁石粉末、12は表面被覆したエポキシオリゴマ−である。
【0029】
前記、多結晶集合型異方性希土類磁石粉末へのエポキシオリゴマ−の被覆方法としては、先ず、当該エポキシオリゴマ−を有機溶媒に溶解し、当該有機溶媒溶液と異方性希土類磁石粉末とを湿式混合し、溶媒を除去する。なお、エポキシオリゴマ−の架橋密度を高めるためには分子鎖内にもエポキシ基を有するノボラック型エポキシやエピクロルヒドリンとビスフェノ−ル類との縮合物であるジグリシジルエ−テル型エポキシが好ましい。また、前記エポキシオリゴマ−と架橋する粉末エポキシ硬化剤としてはジシアンジアミドおよびその誘導体、カルボン酸ジヒドラジド、ジアミノマレオニトリルおよびその誘導体のヒドラジドの群より選ばれた1種または2種以上などを挙げることができる。これ等は一般に有機溶媒に難溶の高融点有機化合物であるが、粒子径を数ないし数十μm以下に調整し、異方性磁石粉末や他の熱硬化性樹脂組成物と物理的に付着性が強いものが好ましい。なお、ジシアンジアミド誘導体としては、例えばo−トリルビグアニド、α−2・5−ジメチルビクアニド、α−ω−ジフェニルビグアニド、5−ヒドロキシブチル−1−ビグアニド、フェニルビグアニド、α−,ω−ジメチルビクアニドなどを挙げることができる。更に、カルボン酸ジヒドラジドとしてはコハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、p−アキシ安息香酸ヒドラジドなどを挙げることができる。これらのエポキシ樹脂硬化剤はコンパウンドに乾式混合によって添加することが望ましい。なお、コンパウンドの成形型への移着を防ぐには成形型キャビティの設定温度よりも高融点の高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属石鹸類から選ばれる1種または2種以上を0.2wt.%以下コンパウンドに乾式混合によって添加することが望ましい。
【0030】
一方、本発明にかかる希土類ボンド磁石の結合剤成分となる熱硬化性樹脂組成物としては、熱圧着機能と熱硬化性官能基を有する粉末状樹脂成分を用いる。するとコンパウンドは当該成分の粘着力によって異方性希土類磁石粉末を統合し、圧縮成形まえの結合剤と異方性希土類磁石粉末の機械的分離を防ぐ役割を付与することができる。その具体的手段として、結合剤は少なくともエポキシオリゴマ−と粘着性を付与した熱圧着性ポリアミドまたは/およびポリアミドイミド粉末、および必要に応じて適宜加える粉末状の潜在性エポキシ硬化剤から構成することが好ましい。
【0031】
なお、本発明にかかるポリアミドまたは/およびポリアミドイミド粉末の粘着性と熱圧着性とは、粘着付与剤などを添加し、圧縮成形するまえのコンパウンドで異方性希土類磁石粉末と結合剤とを、その粘着力によって固定する。次に、コンパウンドを圧縮してグリ−ンコンパクトを成形する際、ポリアミドまたは/およびポリアミドイミドの熱軟化による塑性変形の促進、接合面間の濡れ性を改善することによってポリアミドまたは/およびポリアミドイミド、或いはエポキシオリゴマ−の熱圧着性を高めるものである。さらに、可塑剤のような他の成分は適宜必要に応じて本結合剤成分に併用することは差支えない。例えば、可塑剤は粘着剤を含むポリアミドまたは/およびポリアミドイミドの全粘度を減少させ可撓性および湿りを促進する。好ましく使用される可塑剤として、例えばジベンジルトルエン類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、ベンゼンスルホンアミド類など比較的ポリアミドまたは/およびポリアミドイミ/との相溶性の良好な化合物を挙げることができる。
【0032】
上記、コンパウンドの異方性希土類磁石粉末の含有量は97wt.%以上、圧縮成形圧力は0.6GPa以上、グリ−ンコンパクトの熱硬化樹脂組成物の加熱硬化は当該エポキシオリゴマ−と潜在性硬化剤との反応開始温度以上とする。すると、図5で示すように成形型キャビティに充填した異方性磁石粉末1a,1bを含むコンパウンドに熱間で配向磁界Hを印加すると、先ず、磁化容易軸方向に異方性磁石粉末1a,2aが配向する(工程B11)。続いて、配向磁界中でコンパウンドを圧力Pによって圧縮する。するとポリアミドまたは/およびポリアミドイミド粉末3a,3bは熱と圧力によって塑性変形しながら互いに接合しつつ、異方性磁石粉末1a,1b粒子間に集積する。他方では、ポリアミドまたは/およびポリアミドイミド粉末3a,3bは異方性磁石粉末1a,1bの圧迫を緩衝し、エポキシオリゴマ−12a,12bは潤滑作用によって異方性磁石粉末1a,1bの緻密化を助長する(工程B12)。そして、加熱硬化時にエポキシオリゴマ−12a,12bのエポキシ基は、ポリアミドまたは/およびポリアミドイミド粉末3a,3bのアミノ基(−NH)、並びに潜在性硬化剤2a,2bによって互いに化学結合した連続相を形成するのである。なお、この構成の希土類ボンド磁石は密度6〜6.3Mg/mであっても、温間での塑性変形能を有している。
【0033】
上記によって連続相を形成した結合剤成分は塑性変形能が発現し、所望の円弧状、或いは環状磁石に仕上げることができる。例えば、図6のようなダイスDと下パンチLPとで形成した円弧状成形型キャビティMCに本発明にかかる板状希土類ボンド磁石01を装填し、上パンチUPを用いて温間塑性加工(スタンピング加工)すると例えば肉厚1mm以下のラジアル異方性円弧状希土類ボンド磁石02を作製することができる。なお、ここで言うスタンピング加工とは一般には熱可塑性シ−トを加熱・軟化し、プレス成形する方法で、板金プレスと同様のシステムで成型加工するためスタンパブルシ−ト成形とも呼ばれる(斎藤進六監修、新材料成型加工辞典、p775,産業調査会材料情報センタ−,1988)。本発明にかかる結合剤はエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂組成物であるが、成形加工法から言えば、引用のスタンピング加工が最も類似な方法と考えられるのでスタンピング加工とした。一方、環状に形成する場合には、図7(a)のように板状磁石を圧延し、圧延して可撓性を付与した磁石を、図7(b)のように所望の径に巻き付けることでラジアル異方性環状希土類ボンド磁石とする。なお、最終的に用いる小型モ−タのコギングトルク低減のためにはグリ−ンコンパクトを不等幅としたり、或いは不等肉厚とすることができるが、かかる施策は当該モ−タの設計思想に委ねるところである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。ただし、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0035】
(実施例の説明1、原料)
本実施例では、2種類の形態の異なる希土類磁石粉末を使用した。すなわち、HDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された異方性の平均粒子径80μmのNdFe14B系磁石粉末(Nd12.3Dy0.3Fe64.7Co12.36.0Ga0.6Zr0.1)、RD(酸化還元)した平均粒子径3μmのSmFe17系磁石粉末である。また、結合剤の構成成分としては室温で液体のジグリシジルエ−テルビスフェノ−ルA型エポキシオリゴマ−、粒子径15μm以下の粉末状潜在性エポキシ硬化剤、粘着剤を含み予め100μm以下に冷凍粉砕したポリアミド粉末、並びに粒子径10μm以下の滑剤が、この実施例で使用された。なお、ジグリシジルエ−テルビスフェノ−ルA型エポキシオリゴマ−(化1)、粉末状潜在性エポキシ硬化剤(化2)の化学構造は以下の通りであった。
【0036】
【化1】
Figure 2004296873
【0037】
(NHNHCOCHCHN(CH11CONHNH・・(化2)
【0038】
(実施例の説明2、希土類ボンド磁石の準備)
本発明は希土類磁石粉末の1種または2種以上から磁気特性が形状に依存しない高(BH)max希土類ボンド磁石を、図2で説明した構成の磁界中配向圧縮成形装置を用いて作製し、新規な高出力小型モ−タを提供するためになされた。例えば、環状の異方性高(BH)max希土類ボンド磁石は磁化の前後にシ−トからフィルムに至る磁石をフレ−ムまたはマンドレルに巻きつけることによって得られる。当然ながら、ラジアル配向磁界のように、小口径化に伴う配向度の低下、すなわち(BH)maxの減少という困難な課題を克服することができる。
【0039】
図8(a)はエポキシオリゴマ−、そして、粉末状潜在性エポキシ硬化剤、および粘着剤を含むポリアミド粉体構成された本発明にかかる異方性希土類ボンド磁石を準備するための工程を示すブロック図である。また、図8(b)は、従来のメルトスパンリボンを粉砕した磁気的に等方性のNdFe14B系磁石粉末(Nd12Fe77Co)をエポキシ樹脂とともに圧縮成形した磁石を準備するための工程を示すブロック図である。図8(b)は、例えばF.Yamashita,Y. Sasaki,H.Fukunaga,Isotropic Nd−Fe−B Thin Arc−shaped Bonded Magnets for Small DC Motors Prepared by Powder Compacting Press with Metal Ion−implanted Punches“J.Magn.Soc.Japan,Vol.25,No.4,pp.683〜686(2001).に記載されている。図8(a)、(b)のブロック図から明らかなように、本発明では従来法に比較して希土類磁石粉末と結合剤成分のミキシングによってコンパウンドが準備できる。また、コンパウンドの圧縮成形と硬化条件は、ほぼ同じであり、本発明では異方性希土類ボンド磁石を最終形態とするための塑性加工、すなわち圧延または/およびスタンピング工程が必須工程として存在する。
【0040】
図8(a)の本発明例の製造工程に従ってコンパウンドの調整を説明する。60℃に加温したΣブレイドミキサ−に所定量の希土類磁石粉末を5kg仕込み、前記粉末を攪拌しながら、室温で液体のエポキシオリゴマ−の50%アセトン溶液50gを滴下した。攪拌を続けて凡そ5min後、前記エポキシオリゴマ−を表面被覆した希土類磁石粉末に対して4wt.%以下の粘着剤20%含有ポリアミド粒子、粉末状潜在性エポキシ硬化剤、および潤滑剤(粒子径10μm以下のステアリン酸カルシウム)を添加してコンパウンドとした。それらの粉末状のコンパウンドは本発明にかかる磁界中圧縮成形装置に供することが可能な粉末流動性を持っていた。
【0041】
次に、本発明にかかる磁界中圧縮成形装置のフィ−ダ−カップにコンパウンドを投入し、移動可能なダイセットDSに組み込まれた成形型キャビティMCにコンパウンドを充填した。ただし、成形型の上下パンチとキャビティは150℃以下、この場合は潜在性硬化剤の反応開始温度110℃程度に加熱されている。成形型キャビティMCに充填された異方性希土類磁石粉末を含むコンパウンドは1.4MA/m以上の磁界中で配向したのち、上下パンチによって0.6〜1.1GPaの圧力で圧縮され、脱磁され、グリ−ンコンパクトとなった。このグリ−ンコンパクトを160℃、20min加熱硬化し、本発明にかかる異方性希土類ボンド磁石とした。
【0042】
一方、図8(b)にしたがって、従来のメルトスパンリボンを粉砕した磁気的に等方性のNdFe14B系磁石粉末をエポキシ樹脂とともに圧縮成形した希土類ボンド磁石を比較のために準備した。
【0043】
(実施例の説明3、希土類ボンド磁石の密度)
図9は本発明にかかる異方性希土類ボンド磁石の密度を結合剤含有量に対してプロットした特性図である。ただし、密度はアルキメデス法で測定した。図から明らかなように、磁石密度は結合剤含有量の減少によって増加する。しかしながら、結合剤含有量が2.5wt%付近を境に圧力依存性が異なり、結合剤含有量が少ない場合に密度は強く圧力に依存することを示している。また、0.6GPaで圧縮した場合には結合剤含有量が1〜2.5wt%の範囲で極大が観測される。この現象は図5で説明したように、結合剤が緩衝作用、潤滑作用をしながら、それ自体の塑性変形によって異方性磁石粉末の粒子間に移動する。1.1GPaで圧縮した場合は、むしろ異方性磁石粉末が物理的に破壊され、生成した微粉末が異方性磁石粉末粒子間に充填して行くと説明することができる。異方性のNdFe14B系磁石粉末は図3で説明したように多結晶集合型磁石粉末であり、高温暴露による表層NdFe14B金属間化合物の磁気特性の劣化が、実使用上、しばしば問題となる。すなわち、結合剤量2.5wt%以下、0.6GPaで圧縮すれば、異方性のNdFe14B系磁石粉末の物理的損傷を抑制しながら6Mg/m3以上の密度が得られることが判る。なお、従来のメルトスパンリボンを粉砕した磁気的に等方性のNdFe14B系磁石粉末を2.5wt%のエポキシ樹脂とともに定法に従って0.8〜1.0GPaで圧縮成形した希土類ボンド磁石の密度は5.8〜6.0Mg/m3であることからも、本発明にかかる異方性希土類ボンド磁石が0.6GPaという低圧で、高密度化できる効果を認めることができる。
【0044】
(実施例の説明4、希土類ボンド磁石の磁気特性)
図10(a)(b)(c)は本発明にかかる異方性希土類ボンド磁石の(BH)max、残留磁化Ms、保磁力HcJを結合剤含有量に対してプロットした特性図である。ただし、異方性希土類ボンド磁石の磁気特性は4MA/mのバルス磁化したのちにVSMで測定した。
【0045】
図10(a)から明らかなように、(BH)maxは結合剤含有量2.5wt%以下の領域で150kJ/mを越えている。また、結合剤含有量2±0.5wt%の範囲では、圧縮圧力0.6、1.1GPaの差はなく、両者共に155kJ/mが観測された。この(BH)max値は、TokunagaらはNd14Fe80−XGa(X=0.4〜0.5)を熱間据え込み加工(Die−up−set)して得たバルクを機械粉砕して保磁力Hci1.52MA/mの異方性NdFe14B系磁石粉末を作製し、これを樹脂で固めて(BH)max127kJ/mの異方性希土類ボンド磁石[M.Tokunaga,N.Nozawa,K.Iwasaki,M.Endoh,S,Tanigawa and H.Harada:IEEE Trans.Magn.,Vol.25,3561(1989)]。M.Doser,V.Panchanathanらは、それら熱間加工後のバルクを粉末化する方法として粒界から水素を侵入させNdFe14BHとして崩壊させ、その後真空加熱により脱水素したHD(Hydrogen Decrepitation)異方性磁石粉末を樹脂で固めて(BH)max150kJ/mの異方性希土類ボンド磁石を得ている[M.Doser,V.Panchanacthan,and R.K.Mishra:J.Appl.Phys.,Vol.70,6603(1991)]を上回るものである。一方、図10(b)において、圧縮圧力1.1GPaと0.6GPaとで残留磁化Msを比較すると、図9の密度と同様な傾向を示し、図10(c)において、圧縮圧力1.1GPaと0.6GPaとで保磁力HcJを比較するとほぼ同等の値が観測されている。すなわち、結合剤含有量2±0.5wt%の範囲では留磁化Msの差ほど、(BH)maxに差が生じないことからも、本発明にかかる異方性希土類ボンド磁石は異方性のNdFe14B系磁石粉末の物理的損傷を抑制しながら150kJ/m以上の高(BH)maxが得られることが判る。
【0046】
(実施例の説明5、異種希土類磁石粉末混合希土類ボンド磁石の磁気特性)
次に、液体のジグリシジルエ−テルビスフェノ−ルA型エポキシオリゴマ−を被覆した平均粒子径3μmのSmFe17系磁石粉末を上記コンパウンドに混合した異方性希土類ボンド磁石の4MA/mパルス着磁後の磁気特性をVSMで調べた。
【0047】
図11はSmFe17系磁石粉末の割合に対する希土類ボンド磁石の(BH)maxの関係を示す特性図である。図から明らかなように、磁石の(BH)maxはSmFe17系磁石粉末の割合が約15wt%以下であれば減少することはないが、割合が約15wt%を越えると減少する。本発明にかかる希土類ボンド磁石は図5、或いは図10で説明したように、NdFe14B系磁石粉末粒子間にはNdFe14B系磁石粉末緻密化の際に、緩衝作用を行うポリアミドまたは/およびポリアミドイミド粉末が介在するのでSmFe17系磁石粉末を多量に含ませることはできない。しかしながら、図10から、SmFe17系磁石粉末の割合の最適化により、コンパウンドの粉末流動性などの成形性が改善されると共に、その(BH)maxは約160kJ/mに達する。
【0048】
以上、多結晶集合型の異方性NdFe14B系磁石粉末は平均粒子径が80μmと大きい。したがって、平均粒子径が3μmのSmFe17系磁石粉末がNdFe14B系磁石粉末粒子間を埋めることで、磁石の高密度化、高(BH)max化が期待される。しかしながら、図12に示すSmFe17系磁石粉末の割合と密度の関係を示す特性図のように、SmFe17系磁石粉末の割合が増すと密度は低下する。よって、本発明にかかるSmFe17系磁石粉末の混合割合は15wt%以下である。
【0049】
(実施例の説明6、塑性加工による賦形とモ−タの基本性能)
上記、多結晶集合型の異方性NdFe14B系磁石粉末と結合剤含有量2wt%とのコンパウンドを、本発明にかかる磁界中圧縮成形装置(配向磁界1.6MA/m)で作製した板状グリ−ンコンパクトを加熱硬化し、(BH)max155kJ/m、厚さ0.97mmの板状希土類ボンド磁石を作製した。続いて、前記板状希土類ボンド磁石を図6のようなスタンピング加工によって内半径3.55mm、外半径3.65mm、最大肉厚0.88mm、長さ10mmの薄肉円弧状磁石とした。ただし、当該塑性加工条件は温度120℃、圧力0.5GPa、圧力保持時間0.1secである。このような条件で最終形状に賦形された本発明にかかる薄肉円弧状磁石は亀裂発生することなく、所望の寸法精度が確保されていた。
【0050】
一方、比較例として、図8(b)示したメルトスパンリボンを粉砕した磁気的に等方性のNdFe14B系磁石粉末(Nd12Fe77Co)をエポキシ樹脂とともに内半径3.55mm、外半径3.65mm、最大肉厚0.88mm、長さ10mmの薄肉円弧状に圧縮成形したボンド磁石を作製した。
【0051】
上記2種類の円弧状磁石を4MA/mでパルス着磁したとき、両者の磁束を比較すると本発明にかかる高(BH)max希土類ボンド磁石は等方性NdFe14B系圧縮成形ボンド磁石の1.5〜1.7倍であった。次いで、前記2種類の薄肉円弧状希土類ボンド磁石を図13に示すような外径16mm、軸方向長さ19mmの小型直流モ−タの永久磁石界磁とし、そのトルク定数Ktを求めた。その結果、本発明にかかる高(BH)max希土類ボンド磁石を界磁とした直流モ−タのKtは0.0015mN・m/mAを示し、等方性NdFe14B系圧縮成形ボンド磁石を界磁とした直流モ−タのKtに対して1.35倍であった。
【0052】
ところで、モ−タの効率ηは機械出力P、損失をWとすると
η=[P/(P+W)]・・・(式3)
である。
【0053】
したがって、等方性NdFe14B系圧縮成形ボンド磁石を界磁とした代表的な小型高性能直流モ−タに対して、本発明の目的のひとつである高出力化によるモ−タの高効率化が実現できると結論づけることができる。
【0054】
つぎに、多結晶集合型の異方性NdFe14B系磁石粉末と結合剤含有量2wt%とのコンパウンドから、本発明にかかる磁界中圧縮成形装置(配向磁界1.6MA/m)で作製した板状グリ−ンコンパクトを加熱硬化し、板厚方向の(BH)max155kJ/m、厚さ1.05mmの板状希土類ボンド磁石を作製した。続いて、前記板状希土類ボンド磁石を図14のような温間圧延で厚さ0.98mmに塑性加工した。図14において、1は130℃に加熱した等速圧延ロ−ル、2は厚さ0.98mmに圧延した板状希土類ボンド磁石である。なお、当該磁石は圧延方向に可撓性が発現するため、常温で図14中、3のように任意の直径を持つ環状形状に賦形することができる。当該磁石は環状に賦形したとき、言うまでもなく図7(b)のように半径方向に155kJ/m級の(BH)maxを有する所謂ラジアル異方性希土類ボンド磁石に他ならない。そこで、図15(a)のように前記磁石151をフレ−ム枠152の内壁に巻き付けて図15(c)155kJ/m級の(BH)maxを有する直径24mmの環状ラジアル異方性希土類ボンド磁石とした。さらに4MA/mのパルス磁界で永久磁石界磁とし、電機子153を挿入した図15(d)のような本発明にかかる直径25mm、軸方向長さ13mmの直流モ−タとした。この直流モ−タのトルク定数Ktは0.0153mN・m/mAであり、等方性NdFe14B系圧縮成形ボンド磁石を界磁とした直流モ−タのKtに対して1.40倍であった。
【0055】
したがって、ラジアル磁界配向が困難となる小口径における等方性NdFe14B系圧縮成形ボンド磁石を界磁とした代表的な小型高性能直流モ−タに対して、本発明の目的のひとつである高出力化によるモ−タの高効率化が実現できると結論づけることができる。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明が対象とするコンピュ−タ周辺機、プリンタなどの制御用、駆動用として幅広く使用され、所謂永久磁石回転子型、或は永久磁石界磁型のブラシレスモ−タや直流モ−タに関して、電気・電子機器の高性能化のもと、当該小型磁石モ−タの更なる小型軽量化・高出力化に対する要求に応えるため、高(BH))max化が、さほど進展しないメルトスパンリボンを粉砕したR−TM−B系急冷磁石粉末を樹脂で固定した磁気的に等方性のボンド磁石に換え、異方性NdFe14B系磁石粉末を用いて小口径化(或いは長尺化)しても希土類ボンド磁石の(BH))maxが減少しない技術の開示に関する。
【0057】
上記、小型モ−タのための形状を満足する高(BH)max希土類ボンド磁石を作製するため、本発明は、磁気的に異方性の多結晶集合型希土類磁石粉末と結合剤とのコンパウンドを、前記結合剤の熱硬化温度以下で配向磁界を印加しながら圧縮成形する際、塑性変形による緩衝作用によって磁石粉末相互の機械的損傷を抑制しながら緻密化を促進し、加熱硬化した後も温間塑性変形能を維持した結合剤を必須成分とした異方性希土類ボンド磁石を骨子とする。
【0058】
本発明は、希土類磁石材料充填工程A1、磁界配向圧縮工程B1、脱磁工程B2、グリ−ンコンパクト取出工程A2を必須工程とした磁界中圧縮成形において、工程A1A2と工程B1B2とを隔離し、当該ダイセットが工程A1A2と工程B1B2間を移動する磁界中圧縮成形装置を用いる。また、前記成形型、並びにダイセットの全ての部材を非磁性材料で構成することによって、磁界配向用電磁石の磁極間で複数の成形型キャビティにより多数個同時成形を行うことができる。これにより、磁気的に等方性の希土類ボンド磁石のような多数個同時成形など生産性の向上を図ることができる。また、高(BH)maxの希土類ボンド磁石を得るために、ダイセットの成形型キャビティが常用150℃の温度制御機能を有する磁界中圧縮成形装置を仕様する。本発明で、斯様に成形型キャビティを熱するのは、磁界配向の際、結合剤による異方性希土類磁石粉末の拘束力を減少させることが目的である。多くのエポキシ樹脂組成物や不飽和ポリエステル樹脂の熱重合開始温度は150℃以下であるため、成形型キャビティは常用150℃の温度制御機能があればよい。
【0059】
次に、本発明における工程B1が、成形型キャビティに充填した希土類磁石材料を加熱下で配向磁界を印加する工程B11、配向磁界を印加しながら所定圧力まで希土類磁石材料を圧縮してグリ−ンコンパクトとする工程B12、成形型キャビティ中のグリ−ンコンパクトを脱磁する工程B13とから成り、前記工程B11において、磁界強度が1.4MA/m以上とすることが好ましい。なお、工程A1A2と工程B1B2とを、ダイセット2基にて交互に繰返す機構を付与すると生産性の向上に繋がり、工程A1と工程B1との間に、成形型キャビティから漏洩した希土類磁石材料を帯磁させることなく回収する工程C1を介し、工程C1にて回収した希土類磁石材料を再利用すると材料の歩留まりを改善することができる。
【0060】
上記、工程A2により得たグリ−ンコンパクトを加熱硬化する工程D1において、工程D1の雰囲気が不活性ガス、または減圧下とすると、本発明にかかる希土類ボンド磁石の高(BH)maxを維持するために効果的である。
【0061】
以上のような、磁界中圧縮成形装置に供する希土類磁石材料は平均粒子径50−150μmの異方性NdFe14B系磁石粉末と熱硬化性樹脂組成物とのコンパウンド、或いは、平均粒子径1〜5μmの異方性SmFe17(x≒3)系磁石粉末と平均粒子径50〜150μmの異方性NdFe14B系磁石粉末と熱硬化性樹脂組成物とのコンパウンドとすることが好ましく、磁界中圧縮成形装置によって作製したグリ−ンコンパクトを加熱硬化した希土類ボンド磁石の(BH)maxは150kJ/m以上であることが好ましい。このような磁石は、必要に応じて適宜熱間にて圧延、スダンピング加工などの塑性加工を施こし、巻付けて所望の環状形状、或いは円弧状の最終形状に賦形した高(BH)max希土類ボンド磁石とする。そして、高(BH)max円弧状希土類ボンド磁石を搭載した高出力小型ブラシレスモ−タや直流モ−タ、或いは高(BH)max環状希土類ボンド磁石を搭載した高出力ブラシレスモ−タや直流モ−タとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジアル配向磁界の成形型構成図
【図2】(a)磁界中圧縮成形装置の工程A1,A2,C1の構成図
(b)磁界中圧縮成形装置の工程B1,B2の構成図
【図3】多結晶集合型異方性希土類磁石粉末の模式図
【図4】多結晶集合型異方性希土類磁石粉末へのエポキシオリゴマ−被覆模式図
【図5】塑性変形能を有する希土類ボンド磁石の構成図
【図6】(a)塑性変形による工程61の円弧状磁石作製模式図
(b)塑性変形による工程62の円弧状磁石作製模式図
(c)塑性変形による工程63の円弧状磁石作製模式図
【図7】(a)板状磁石を示すラジアル異方性磁石作製模式図
(b)環状磁石を示すラジアル異方性磁石作製模式図
【図8】(a)本発明の磁石作製工程図
(b)従来のメルトスパンリボンを粉砕した磁石作製工程図
【図9】結合剤含有量と密度の関係を示す特性図
【図10】(a)結合剤含有量と磁気特性(BH)maxの関係を示す特性図
(b)結合剤含有量と残留磁化Msの関係を示す特性図
(c)結合剤含有量と保磁力HcJの関係を示す特性図
【図11】異種希土類磁石粉末混合量と(BH)maxの関係を示す特性図
【図12】異種希土類磁石粉末混合量と密度の関係を示す特性図
【図13】円弧状永久磁石界磁を使用した高出力小型直流モ−タの外観図
【図14】環状磁石作製の外観図
【図15】(a)磁石をフレ−ム枠の内壁に巻き付けを説明する環状永久磁石界磁を使用した高出力小型直流モ−タの外観図
(b)磁石をフレ−ム枠の内壁に巻き付けられた環状永久磁石界磁を使用した高出力小型直流モ−タの外観図
(c)電機子が挿入された状態の環状永久磁石界磁を使用した高出力小型直流モ−タの外観図
(d)環状永久磁石界磁を使用した高出力小型直流モ−タの完成品状態の外観図
【符号の説明】
1a,1a 異方性磁石粉末
12a,12b エポキシオリゴマ−
2a,2b 潜在性硬化剤
3a,3b ポリアミド粉末
H 配向磁界
P 圧縮圧力

Claims (24)

  1. 磁気的に異方性の多結晶集合型希土類磁石粉末と結合剤とのコンパウンドを、前記結合剤の熱硬化温度以下で配向磁界を印加しながら圧縮成形する際、塑性変形による緩衝作用によって磁石粉末相互の機械的損傷を抑制しながら緻密化を促進し、加熱硬化した後も温間塑性変形能を維持した結合剤を必須成分とした異方性希土類ボンド磁石。
  2. 希土類磁石材料充填工程A1、磁界配向圧縮工程B1、脱磁工程B2、グリ−ンコンパクト取出工程A2を必須工程とした磁界中圧縮成形において、工程A1A2と工程B1B2とを隔離し、当該ダイセットが工程A1A2と工程B1B2間を移動する磁界中圧縮成形装置。
  3. 成形型、並びにダイセットの全ての部材を非磁性材料で構成した請求項2記載の磁界中圧縮成形装置。
  4. 磁界配向用電磁石の磁極間で複数の成形型キャビティにより多数個同時成形を行う請求項2、請求項3記載の磁界中圧縮成形装置。
  5. ダイセットの成形型キャビティが常用150℃の温度制御機能を有する請求項2記載の磁界中圧縮成形装置。
  6. 工程B1が、成形型キャビティに充填した希土類磁石材料を加熱下で配向磁界を印加する工程B11、配向磁界を印加しながら所定圧力まで希土類磁石材料を圧縮してグリ−ンコンパクトとする工程B12、成形型キャビティ中のグリ−ンコンパクトを脱磁する工程B13とからなる請求項2記載の磁界中圧縮成形装置。
  7. 希土類磁石材料に配向磁界を印加する工程B11において、磁界強度が1.4MA/m以上である請求項2、請求項7記載の磁界中圧縮成形装置。
  8. 工程A1A2と工程B1B2とを、ダイセット2基にて交互に繰返す機構を付与した請求項2記載の磁界中圧縮成形装置。
  9. 工程A1と工程B1との間に、成形型キャビティから漏洩した希土類磁石材料を帯磁させることなく回収する工程C1を介し、工程C1にて回収した希土類磁石材料を再利用する請求項2記載の磁界中圧縮成形装置。
  10. 工程A2により得たグリ−ンコンパクトを加熱硬化する工程D1を有する請求項1、請求項2記載の磁界中圧縮成形装置にかかる希土類ボンド磁石。
  11. 工程D1の雰囲気が不活性ガス、または減圧下である請求項10記載の磁界中圧縮成形装置にかかる希土類ボンド磁石。
  12. 希土類磁石材料が平均粒子径50〜150μmの多結晶集合型異方性NdFe14B系磁石粉末と熱硬化性樹脂組成物を主成分とする結合剤とからなる請求項1、請求項10記載の希土類ボンド磁石。
  13. 希土類磁石材料が平均粒子径1〜5μmの異方性SmFe17(x≒3)系磁石粉末、平均粒子径50〜150μmの多結晶集合型異方性NdFe14B系磁石粉末と熱硬化性樹脂組成物を主成分とする結合剤とからなる請求項1、請求項10記載の希土類ボンド磁石。
  14. 平均粒子径1〜5μmの異方性SmFe17(x≒3)系磁石粉末が15wt%以下である請求項1、請求項10、請求項13記載の希土類ボンド磁石。
  15. 結合剤を構成する熱硬化性樹脂組成物が、少なくとも室温で液体のエポキシオリゴマ−と室温で粘着性を付与した熱圧着性ポリアミドまたは/およびポリアミドイミド粉末、および必要に応じて適宜加える粉末状潜在性エポキシ硬化剤、滑剤からなる請求項1記載の希土類ボンド磁石。
  16. 希土類磁石粉末が、予め室温で液体のエポキシオリゴマ−で表面被覆されている請求項1記載の希土類ボンド磁石。
  17. 希土類ボンド磁石の最大エネルギ−積(BH)maxが150kJ/m以上である請求項1記載の磁界中圧縮成形装置、並びに希土類ボンド磁石。
  18. 希土類ボンド磁石を塑性加工する請求項1、請求項10記載の希土類ボンド磁石。
  19. 塑性加工がスタンピング加工であり、板状を円弧状に形状変換した請求項1、請求項18記載の希土類ボンド磁石。
  20. 塑性加工が圧延であり、然る後、巻きつけて環状形状に形状変換した請求項1、請求項16記載の希土類ボンド磁石。
  21. 請求項17、請求項18、請求項19記載のラジアル異方性円弧状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモ−タ。
  22. 請求項17、請求項18、請求項19記載のラジアル異方性円弧状希土類ボンド磁石を搭載した直流モ−タ。
  23. 請求項17請求項18請求項20記載のラジアル異方性環状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモ−タ。
  24. 請求項17、請求項18、請求項20記載のラジアル異方性環状希土類ボンド磁石を搭載した直流モ−タ。
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