JP3151604B2 - ラジアル異方性ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石 - Google Patents
ラジアル異方性ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石Info
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- H01F41/02—Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
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- H01F41/028—Radial anisotropy
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性粉末をラジア
ル配向させたラジアル異方性ボンド磁石の製造方法およ
びこの方法により製造したボンド磁石に関する。
ル配向させたラジアル異方性ボンド磁石の製造方法およ
びこの方法により製造したボンド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子デバイスの小型化に伴い、高
い磁気特性を有する希土類ボンド磁石の利用が拡大する
傾向にあり、中でも磁性粉末を配向させた希土類異方性
ボンド磁石は、特に高い磁気特性を有するため用途が拡
大しつつある。現在、希土類異方性ボンド磁石に使用さ
れている磁性粉末としては、Sm2Co17 化合物系磁性粉
末、Sm2Fe17 N3 化合物系磁性粉末を始め、Nd2Fe
14 B化合物系磁性粉末に水素処理(HDDR)を施したHDDR
粉末などがある。そして、前記Sm2Co17 化合物系磁性
粉末およびSm2Fe17 N3 化合物系磁性粉末を使用した
場合は、アキシャル配向(横磁場配向)の角型異方性ボ
ンド磁石で最大エネルギー積BHmax 16MGOeの高い磁気
性能が、HDDR粉末を使用した場合は、同配向の角型異方
性ボンド磁石でBHmax 18MGOeの高い磁気性能がそれぞ
れ得られることが確認されている。
い磁気特性を有する希土類ボンド磁石の利用が拡大する
傾向にあり、中でも磁性粉末を配向させた希土類異方性
ボンド磁石は、特に高い磁気特性を有するため用途が拡
大しつつある。現在、希土類異方性ボンド磁石に使用さ
れている磁性粉末としては、Sm2Co17 化合物系磁性粉
末、Sm2Fe17 N3 化合物系磁性粉末を始め、Nd2Fe
14 B化合物系磁性粉末に水素処理(HDDR)を施したHDDR
粉末などがある。そして、前記Sm2Co17 化合物系磁性
粉末およびSm2Fe17 N3 化合物系磁性粉末を使用した
場合は、アキシャル配向(横磁場配向)の角型異方性ボ
ンド磁石で最大エネルギー積BHmax 16MGOeの高い磁気
性能が、HDDR粉末を使用した場合は、同配向の角型異方
性ボンド磁石でBHmax 18MGOeの高い磁気性能がそれぞ
れ得られることが確認されている。
【0003】ところで、円筒状異方性ボンド磁石を製造
する場合は、磁性粉末をラジアル配向させる必要があ
る。磁性粉末をラジアル配向させるには、電磁石により
発生させた直流磁界を、磁性体ヨークやコアに誘導する
吸引方式でラジアル磁界を形成し、このラジアル磁界内
に磁性粉末をおく方法、あるいは対向電磁コイルにより
発生させたパルス磁界を反発させる反発方式にて形成し
たラジアル磁界内に磁性粉末をおく方法があり、従来、
これら方法のうちの何れかが採用されていた。
する場合は、磁性粉末をラジアル配向させる必要があ
る。磁性粉末をラジアル配向させるには、電磁石により
発生させた直流磁界を、磁性体ヨークやコアに誘導する
吸引方式でラジアル磁界を形成し、このラジアル磁界内
に磁性粉末をおく方法、あるいは対向電磁コイルにより
発生させたパルス磁界を反発させる反発方式にて形成し
たラジアル磁界内に磁性粉末をおく方法があり、従来、
これら方法のうちの何れかが採用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
方式で形成したラジアル磁界内で圧縮成形を行って、実
際に円筒状ラジアル異方性ボンド磁石を製造してみる
と、上記した磁気特性に優れた希土類合金粉末を用いて
も、アキシャル配向の角型異方性ボンド磁石並みの高い
磁気性能を得ることは困難で、例えばSm2Co17 化合物
系磁性粉末を用いた場合でも、14MGOe程度の最大エネル
ギー積しか得られないのが現状であった。
方式で形成したラジアル磁界内で圧縮成形を行って、実
際に円筒状ラジアル異方性ボンド磁石を製造してみる
と、上記した磁気特性に優れた希土類合金粉末を用いて
も、アキシャル配向の角型異方性ボンド磁石並みの高い
磁気性能を得ることは困難で、例えばSm2Co17 化合物
系磁性粉末を用いた場合でも、14MGOe程度の最大エネル
ギー積しか得られないのが現状であった。
【0005】この原因としては、上記吸引方式によりラ
ジアル磁界を形成する方法では、所望の強度のラジアル
磁界を得ようとすると、使用する電磁石が大型となって
成形装置への装備が実質困難になること、磁性体ヨーク
は断面積が小さくなるほど磁気的に飽和し易いため、成
形型との関係でその大きさに制約を受けることなどが挙
げられる。
ジアル磁界を形成する方法では、所望の強度のラジアル
磁界を得ようとすると、使用する電磁石が大型となって
成形装置への装備が実質困難になること、磁性体ヨーク
は断面積が小さくなるほど磁気的に飽和し易いため、成
形型との関係でその大きさに制約を受けることなどが挙
げられる。
【0006】また、上記パルス反発方式でラジアル磁界
を形成する方法では、パルス電流の通電時間が数msと
短いため、磁性粉末が充分に回転すなわちラジアル配向
する余裕がないことが原因として挙げられる。また、圧
縮成形過程で無磁場状態となるため、一度、放射状に配
向した磁性粉末が、粉末粒子同士の磁気的反発、あるい
は圧縮時における粉末粒子同士の摩擦や粉末粒子と金型
面との摩擦により配向乱れを起こしてしまうことも原因
として挙げられる。
を形成する方法では、パルス電流の通電時間が数msと
短いため、磁性粉末が充分に回転すなわちラジアル配向
する余裕がないことが原因として挙げられる。また、圧
縮成形過程で無磁場状態となるため、一度、放射状に配
向した磁性粉末が、粉末粒子同士の磁気的反発、あるい
は圧縮時における粉末粒子同士の摩擦や粉末粒子と金型
面との摩擦により配向乱れを起こしてしまうことも原因
として挙げられる。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、その課題とするところは、磁性粉末がラジ
アル配向し易い条件をつくり出すことにより、そのラジ
アル配向度を高め、もって磁気性能に優れた円筒状のラ
ジアル異方性ボンド磁石を工業的に製造できるようにす
ることにある。
れたもので、その課題とするところは、磁性粉末がラジ
アル配向し易い条件をつくり出すことにより、そのラジ
アル配向度を高め、もって磁気性能に優れた円筒状のラ
ジアル異方性ボンド磁石を工業的に製造できるようにす
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、第1の発明は、ダイスの上下に、磁性コアを挿通さ
せた状態で交流磁界用電磁コイルとパルス磁界用電磁コ
イルとをそれぞれ対向して配置し、前記交流磁界用電磁
コイルによりダイス内に反発方式で放射状に 0.5〜10kO
e の交流磁界を形成してバインダーと混練した希土類磁
性粉末を振動させると共に、前記パルス磁界用電磁コイ
ルによりダイス内に反発方式で放射状に10〜30kOe のパ
ルス磁界を形成して、このパルス磁界を前記交流磁界に
同極性で重畳させ、これら磁界内でバインダーと混練し
た希土類磁性粉末をラジアル配向させて圧縮成形を行う
ようにしたことを特徴とする。
め、第1の発明は、ダイスの上下に、磁性コアを挿通さ
せた状態で交流磁界用電磁コイルとパルス磁界用電磁コ
イルとをそれぞれ対向して配置し、前記交流磁界用電磁
コイルによりダイス内に反発方式で放射状に 0.5〜10kO
e の交流磁界を形成してバインダーと混練した希土類磁
性粉末を振動させると共に、前記パルス磁界用電磁コイ
ルによりダイス内に反発方式で放射状に10〜30kOe のパ
ルス磁界を形成して、このパルス磁界を前記交流磁界に
同極性で重畳させ、これら磁界内でバインダーと混練し
た希土類磁性粉末をラジアル配向させて圧縮成形を行う
ようにしたことを特徴とする。
【0009】この第1の発明では、交流磁界を印加する
ことで、磁性粉末が磁界の極性変化に伴って振動し、粉
末粒子間の摩擦が小さくなり、これに、さらに強度の大
きいパルス磁界を重畳させることで、磁性粉末が容易に
ラジアル配向する。
ことで、磁性粉末が磁界の極性変化に伴って振動し、粉
末粒子間の摩擦が小さくなり、これに、さらに強度の大
きいパルス磁界を重畳させることで、磁性粉末が容易に
ラジアル配向する。
【0010】また、第2の発明は、ダイスの上下に、磁
性コアを挿通させた状態で交流磁界用電磁コイルとパル
ス磁界用電磁コイルとをそれぞれ対向して配置し、前記
交流磁界用電磁コイルによりダイス内に反発方式で放射
状に 0.5〜10kOe の交流磁界を形成してバインダーと混
練した希土類磁性粉末を振動させると共に、前記パルス
磁界用電磁コイルによりダイス内に反発方式で放射状に
10〜30kOe のパルス磁界を形成して、このパルス磁界を
前記交流磁界に同極性で重畳させ、これら磁界内でバイ
ンダーと混練した希土類磁性粉末をラジアル配向させた
後、前記交流磁界用電磁コイルに供給する交流電流を整
流して2倍の周波数を有する電流に切替え、この電流に
よるラジアル磁界を持続しながら圧縮成形を行うように
したことを特徴とする。
性コアを挿通させた状態で交流磁界用電磁コイルとパル
ス磁界用電磁コイルとをそれぞれ対向して配置し、前記
交流磁界用電磁コイルによりダイス内に反発方式で放射
状に 0.5〜10kOe の交流磁界を形成してバインダーと混
練した希土類磁性粉末を振動させると共に、前記パルス
磁界用電磁コイルによりダイス内に反発方式で放射状に
10〜30kOe のパルス磁界を形成して、このパルス磁界を
前記交流磁界に同極性で重畳させ、これら磁界内でバイ
ンダーと混練した希土類磁性粉末をラジアル配向させた
後、前記交流磁界用電磁コイルに供給する交流電流を整
流して2倍の周波数を有する電流に切替え、この電流に
よるラジアル磁界を持続しながら圧縮成形を行うように
したことを特徴とする。
【0011】この第2の発明では、上記した第1の発明
の作用に加え、交流電流を整流してなる電流により形成
したラジアル磁界を持続しながら圧縮成形を行うこと
で、圧縮時における粉末粒子同士の摩擦や粉末と金型面
との摩擦による配向乱れが抑制される。この場合、直流
磁界による静磁場に比べて、同じ消費電力で最大で1.4
倍の磁界強度が得られ、磁性粉末の配向保持に効果的と
なるばかりか、コイル発熱の抑制にも効果的となる。
の作用に加え、交流電流を整流してなる電流により形成
したラジアル磁界を持続しながら圧縮成形を行うこと
で、圧縮時における粉末粒子同士の摩擦や粉末と金型面
との摩擦による配向乱れが抑制される。この場合、直流
磁界による静磁場に比べて、同じ消費電力で最大で1.4
倍の磁界強度が得られ、磁性粉末の配向保持に効果的と
なるばかりか、コイル発熱の抑制にも効果的となる。
【0012】第3の発明は、上記した2つの発明におい
て、交流磁界にパルス磁界を重畳させるタイミングを、
交流磁界の位相角が[nπ+1/2 π]ラジアンのとき
に、同極性にパルス磁界を重畳させるようにしたもので
ある。これは、この位相角のときに交流磁界が最大とな
るため望ましい。
て、交流磁界にパルス磁界を重畳させるタイミングを、
交流磁界の位相角が[nπ+1/2 π]ラジアンのとき
に、同極性にパルス磁界を重畳させるようにしたもので
ある。これは、この位相角のときに交流磁界が最大とな
るため望ましい。
【0013】本発明は、上記したように交流磁界用電磁
コイルにより形成する交流磁界(ラジアル磁界)の強度
を 0.5〜10kOe とすることを特徴とするが、これは、0.
5kOe未満では磁性粉末に十分な振動を与えることが困難
であり、10kOe を越えると使用する電磁コイルが大型と
なって、その設置が困難になるためである。本発明で
は、この交流磁界を反発させてラジアル磁界を形成する
ため、ダイスの上下に対向配置した電磁コイルに通電す
る交流電流を同調させて、同極性の磁界を反発させるよ
うに制御する。この交流磁界用電磁コイルに供給する交
流の周波数は、特に限定するものではないが120 Hz以下
とするのが望ましい。これは、120 Hzを越える周波数と
すると、磁性粉末が極性の変化についていけず、充分な
る粉末振動が得られなくなることに加え、制御が困難に
なるためである。
コイルにより形成する交流磁界(ラジアル磁界)の強度
を 0.5〜10kOe とすることを特徴とするが、これは、0.
5kOe未満では磁性粉末に十分な振動を与えることが困難
であり、10kOe を越えると使用する電磁コイルが大型と
なって、その設置が困難になるためである。本発明で
は、この交流磁界を反発させてラジアル磁界を形成する
ため、ダイスの上下に対向配置した電磁コイルに通電す
る交流電流を同調させて、同極性の磁界を反発させるよ
うに制御する。この交流磁界用電磁コイルに供給する交
流の周波数は、特に限定するものではないが120 Hz以下
とするのが望ましい。これは、120 Hzを越える周波数と
すると、磁性粉末が極性の変化についていけず、充分な
る粉末振動が得られなくなることに加え、制御が困難に
なるためである。
【0014】本発明はまた、パルス磁界用電磁コイルに
より形成するパルス磁界の強度を10〜30kOe とするが、
この磁界強度が10kOe より小さい場合は、保磁力の大き
い希土類磁性粉末を対象にした場合に、高いラジアル配
向度を得るのが困難となり、一方、30kOe を越える強度
とした場合は、連続印加で電磁コイルの発熱が大きくな
り、製造が困難になることに加え、磁界強度が高い割り
に磁気特性の向上効果が小さく、効率的でなくなる。こ
のパルス電流の通電時間は、特に限定するものではない
が、電磁コイルの負担を軽減するために数msのオーダ
ーとするのが望ましい。
より形成するパルス磁界の強度を10〜30kOe とするが、
この磁界強度が10kOe より小さい場合は、保磁力の大き
い希土類磁性粉末を対象にした場合に、高いラジアル配
向度を得るのが困難となり、一方、30kOe を越える強度
とした場合は、連続印加で電磁コイルの発熱が大きくな
り、製造が困難になることに加え、磁界強度が高い割り
に磁気特性の向上効果が小さく、効率的でなくなる。こ
のパルス電流の通電時間は、特に限定するものではない
が、電磁コイルの負担を軽減するために数msのオーダ
ーとするのが望ましい。
【0015】本発明で用いる希土類磁性粉末としては、
R2 Fe14 B(Rはイットリウムを含む希土類元素)化
合物系磁性粉末に水素処理を施したHDDR粉末を始め、S
m2Co17 化合物系磁性粉末、Sm2Fe17 N3 化合物系磁
性粉末を用いることができる。前記HDDR粉末およびSm2
Co17 化合物系磁性粉末の粒度分布は、小粒径の粉末を
使用すると粉末体積率が増大しにくいため、例えばホー
スフィールド型粒度分布に相当するような、やや粗粒径
の粉末を使用するのが望ましい。最大粒径は、特に問わ
ないが、薄肉円筒状ボンド磁石を想定すると 300μm程
度にするのが望ましい。また、Sm2Fe17 N3 化合物系
磁性粉末は、数μmのオーダーでないと永久磁石に必要
な保磁力が得られないので、平均粒径2〜5μmの粉末
を用いるようにする。
R2 Fe14 B(Rはイットリウムを含む希土類元素)化
合物系磁性粉末に水素処理を施したHDDR粉末を始め、S
m2Co17 化合物系磁性粉末、Sm2Fe17 N3 化合物系磁
性粉末を用いることができる。前記HDDR粉末およびSm2
Co17 化合物系磁性粉末の粒度分布は、小粒径の粉末を
使用すると粉末体積率が増大しにくいため、例えばホー
スフィールド型粒度分布に相当するような、やや粗粒径
の粉末を使用するのが望ましい。最大粒径は、特に問わ
ないが、薄肉円筒状ボンド磁石を想定すると 300μm程
度にするのが望ましい。また、Sm2Fe17 N3 化合物系
磁性粉末は、数μmのオーダーでないと永久磁石に必要
な保磁力が得られないので、平均粒径2〜5μmの粉末
を用いるようにする。
【0016】上記希土類磁性粉末に加えるバインダーと
しては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性
樹脂を選択することができ、この場合は、その添加量を
1〜3重量%とする。バインダーの粘度は、粉末体積
率、配向性向に影響するため、10000cP 以下の低粘度樹
脂を用いるのが望ましい。また、同目的のため、バイン
ダーを添加する前に、磁性粉末にオレイン酸等の潤滑剤
を0.01〜0.5 重量%添加し、表面処理することも有効で
ある。
しては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性
樹脂を選択することができ、この場合は、その添加量を
1〜3重量%とする。バインダーの粘度は、粉末体積
率、配向性向に影響するため、10000cP 以下の低粘度樹
脂を用いるのが望ましい。また、同目的のため、バイン
ダーを添加する前に、磁性粉末にオレイン酸等の潤滑剤
を0.01〜0.5 重量%添加し、表面処理することも有効で
ある。
【0017】圧縮成形を行う際の成形圧力としては、49
0MPa( 5トン/cm2)以上必要であるが、980 MPa (10ト
ン/cm2)を越えると、成形型(金型)の耐久性に問題が
あるほか、成形型と磁性粉末との摩擦が大きくなって粉
末配向を乱し、磁気特性を低下させてしまうので、最大
でも10トン/cm2に抑えるのが望ましい。成形方式として
は、通常の圧縮成形やホットプレスが用いられる。ホッ
トプレスを使用すると、バインダーの粘度低下に伴う粉
末配向度や粉末充填率の増大が見られ、磁気特性の向上
に有効である。
0MPa( 5トン/cm2)以上必要であるが、980 MPa (10ト
ン/cm2)を越えると、成形型(金型)の耐久性に問題が
あるほか、成形型と磁性粉末との摩擦が大きくなって粉
末配向を乱し、磁気特性を低下させてしまうので、最大
でも10トン/cm2に抑えるのが望ましい。成形方式として
は、通常の圧縮成形やホットプレスが用いられる。ホッ
トプレスを使用すると、バインダーの粘度低下に伴う粉
末配向度や粉末充填率の増大が見られ、磁気特性の向上
に有効である。
【0018】なお、磁性粉末にHDDR粉末、あるいはSm2
Fe17 N3 化合物系磁性粉末などの酸化され易い粉末を
使用する場合は、真空中または不活性ガス中でキュアー
処理をするの望ましく、これにより、酸化に伴う磁気性
能の劣化を抑制することができる。
Fe17 N3 化合物系磁性粉末などの酸化され易い粉末を
使用する場合は、真空中または不活性ガス中でキュアー
処理をするの望ましく、これにより、酸化に伴う磁気性
能の劣化を抑制することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
する。
【0020】図1は、本実施の形態で用いる成形装置を
示したものである。本実施の形態で使用する成形型は、
ダイス1と、このダイス1の軸心上に配置された上コア
2および下コア3と、ダイス1と上・下コア2、3との
間に挿入された上パンチ4および下パンチ5とを備えて
いる。また、ダイス1の上、下方向には、上・下コア
2、3を挿通させた状態で交流磁界用上・下コイル(電
磁コイル)6、7が対向して配置され、また、ダイス1
の上・下面には、同じく上・下コア2、3を挿通させた
状態でパルス磁界用上・下コイル(電磁コイル)8、9
が対向して配置されている。
示したものである。本実施の形態で使用する成形型は、
ダイス1と、このダイス1の軸心上に配置された上コア
2および下コア3と、ダイス1と上・下コア2、3との
間に挿入された上パンチ4および下パンチ5とを備えて
いる。また、ダイス1の上、下方向には、上・下コア
2、3を挿通させた状態で交流磁界用上・下コイル(電
磁コイル)6、7が対向して配置され、また、ダイス1
の上・下面には、同じく上・下コア2、3を挿通させた
状態でパルス磁界用上・下コイル(電磁コイル)8、9
が対向して配置されている。
【0021】成形に際しては、ダイス1と、下コア3と
下パンチ4とで囲まれた成形空間にバインダーと混練し
た希土類磁性粉末を充填した後、上コア2と上パンチ4
とを下降させ、上コア2はその下端が下コア3に当接す
る位置で、上パンチ4はその下端部がダイス1内にわず
か入り込む位置で下降停止させる。この時、上パンチ4
と一体的に交流磁界用上コイル6とパルス磁界用上コイ
ル8も下降し、対応する下コイル6、9に対してダイス
1を挟んで位置決めされる。
下パンチ4とで囲まれた成形空間にバインダーと混練し
た希土類磁性粉末を充填した後、上コア2と上パンチ4
とを下降させ、上コア2はその下端が下コア3に当接す
る位置で、上パンチ4はその下端部がダイス1内にわず
か入り込む位置で下降停止させる。この時、上パンチ4
と一体的に交流磁界用上コイル6とパルス磁界用上コイ
ル8も下降し、対応する下コイル6、9に対してダイス
1を挟んで位置決めされる。
【0022】その後、前記交流磁界用上・下コイル6、
7に所定の低周波交流電流を供給してダイス1内に反発
方式で放射状に 0.1〜10kOe の交流磁界を発生させる。
そして、この交流磁界により成形空間内の希土類磁性粉
末を振動させながら、前記パルス磁界用上・下コイル
8、9によりダイス1内に反発方式で放射状に10〜30kO
e の強度のパルス磁界を発生させ、このパルス磁界を前
記交流磁界に同極性で重畳させ、これら磁界内でバイン
ダーと混練した希土類磁性粉末をラジアル配向させて圧
縮成形を行う。これにより円筒状の成形体10が得ら
れ、この成形体10を所定の温度でキュアー処理するこ
とで、ラジアル異方性ボンド磁石が完成する。
7に所定の低周波交流電流を供給してダイス1内に反発
方式で放射状に 0.1〜10kOe の交流磁界を発生させる。
そして、この交流磁界により成形空間内の希土類磁性粉
末を振動させながら、前記パルス磁界用上・下コイル
8、9によりダイス1内に反発方式で放射状に10〜30kO
e の強度のパルス磁界を発生させ、このパルス磁界を前
記交流磁界に同極性で重畳させ、これら磁界内でバイン
ダーと混練した希土類磁性粉末をラジアル配向させて圧
縮成形を行う。これにより円筒状の成形体10が得ら
れ、この成形体10を所定の温度でキュアー処理するこ
とで、ラジアル異方性ボンド磁石が完成する。
【0023】本実施の形態では、圧縮成形中も磁性粉末
の配向を持続させるため、図2の(A)に示すように、
圧縮成形の昇圧終了時点まで交流磁界の印加を継続する
と共に、その昇圧開始付近であって、交流磁界の位相角
が[nπ+1/2 π]ラジアンになるタイミングで、前記
交流磁界にパルス磁界を同極性で重畳させる方法、また
は、図2の(B)に示すように、前記したタイミングで
パルス磁界を交流磁界に同極性で重畳させると同時に、
交流電流を整流(全波整流)して2倍の周波数を有する
電流に切替えて、この電流によるラジアル磁界を圧縮成
形の終了まで継続させる方法を採用することができる。
の配向を持続させるため、図2の(A)に示すように、
圧縮成形の昇圧終了時点まで交流磁界の印加を継続する
と共に、その昇圧開始付近であって、交流磁界の位相角
が[nπ+1/2 π]ラジアンになるタイミングで、前記
交流磁界にパルス磁界を同極性で重畳させる方法、また
は、図2の(B)に示すように、前記したタイミングで
パルス磁界を交流磁界に同極性で重畳させると同時に、
交流電流を整流(全波整流)して2倍の周波数を有する
電流に切替えて、この電流によるラジアル磁界を圧縮成
形の終了まで継続させる方法を採用することができる。
【0024】
実施例1 Nd2Fe14 B化合物系HDDR粉末をピンミルにより粉砕し
て、45〜300 μmの粉末を得、続いてこの粉末に粘度 3
000cP の一液性エポキシ樹脂を 2.5重量(wt)%添加し
てよく混合し、この混合粉を、前出図1に示した成形装
置内の成形空間に充填した。
て、45〜300 μmの粉末を得、続いてこの粉末に粘度 3
000cP の一液性エポキシ樹脂を 2.5重量(wt)%添加し
てよく混合し、この混合粉を、前出図1に示した成形装
置内の成形空間に充填した。
【0025】その後、先ず交流磁界用電磁コイル6、7
に通電する周波数50Hzの交流電流を調整して、ダイス1
内に反発方式で放射状に0〜10kOe の交流磁界(ラジア
ル磁界)を印加して磁性粉末を振動させ、続いてパルス
磁界用電磁コイル8、9に電圧1300Vに充電された容量
1000μFのコンデンサーからパルス電流を供給し、ダイ
ス1内に反発方式で放射状に25kOe のパルス磁界(ラジ
アル磁界)を形成し、このパルス磁界を前記交流磁界に
重畳して磁性粉末をラジアル配向させる。また、このパ
ルス磁界の印加と同時に、交流磁界用電磁コイル6、7
に通電する交流電流を整流して2倍の周波数を有する電
流に切替え、この電流によりダイス1内に同じ強度0〜
10kOe のラジアル磁界を持続しながら、980MPa(10トン
/cm2)の成形圧力で圧縮成形を行い、外径21.5mm,内径
19mm,長さ5mmの円筒状成形体を得た。そして、得られ
た成形体について、真空中で 100℃に1時間保持するキ
ュアー処理を行い、ラジアル異方性ボンド磁石を完成さ
せた。
に通電する周波数50Hzの交流電流を調整して、ダイス1
内に反発方式で放射状に0〜10kOe の交流磁界(ラジア
ル磁界)を印加して磁性粉末を振動させ、続いてパルス
磁界用電磁コイル8、9に電圧1300Vに充電された容量
1000μFのコンデンサーからパルス電流を供給し、ダイ
ス1内に反発方式で放射状に25kOe のパルス磁界(ラジ
アル磁界)を形成し、このパルス磁界を前記交流磁界に
重畳して磁性粉末をラジアル配向させる。また、このパ
ルス磁界の印加と同時に、交流磁界用電磁コイル6、7
に通電する交流電流を整流して2倍の周波数を有する電
流に切替え、この電流によりダイス1内に同じ強度0〜
10kOe のラジアル磁界を持続しながら、980MPa(10トン
/cm2)の成形圧力で圧縮成形を行い、外径21.5mm,内径
19mm,長さ5mmの円筒状成形体を得た。そして、得られ
た成形体について、真空中で 100℃に1時間保持するキ
ュアー処理を行い、ラジアル異方性ボンド磁石を完成さ
せた。
【0026】なお、比較例として、交流磁界用電磁コイ
ル6、7に通電する周波数50Hzの交流電流を、最初から
整流して2倍の周波数を有する電流に切替え、この電流
によりダイス1内に形成した5kOe のラジアル磁界に上
記パルス磁界を重畳させると共に、その後も前記整流電
流によるラジアル磁界を持続しながら同じ圧力(10トン
/cm2)で圧縮成形を行い、上記したものと同じ寸法形状
の成形体を得、さらに同様のキュアー処理を行ってラジ
アル異方性ボンド磁石を完成させた。
ル6、7に通電する周波数50Hzの交流電流を、最初から
整流して2倍の周波数を有する電流に切替え、この電流
によりダイス1内に形成した5kOe のラジアル磁界に上
記パルス磁界を重畳させると共に、その後も前記整流電
流によるラジアル磁界を持続しながら同じ圧力(10トン
/cm2)で圧縮成形を行い、上記したものと同じ寸法形状
の成形体を得、さらに同様のキュアー処理を行ってラジ
アル異方性ボンド磁石を完成させた。
【0027】そして、上記のようにして得た各ボンド磁
石から2mm角で厚さ1mmの試験片を切り出し、60kOe の
パルス磁界で着磁した後、それぞれについて振動試料型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性の測定を行い、併せ
て密度の測定を行った。これらの測定結果を表1に示
す。
石から2mm角で厚さ1mmの試験片を切り出し、60kOe の
パルス磁界で着磁した後、それぞれについて振動試料型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性の測定を行い、併せ
て密度の測定を行った。これらの測定結果を表1に示
す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示す結果より、残留磁束密度Br お
よび最大エネルギー積BHmax 共に、最初に印加する交
流磁界の強度の増大に従って増大し、交流磁界強度10kO
e で、これまで報告例のないBHmax 18MGOeが得られて
いる。これに対して、最初から整流電流によるラジアル
磁界を印加した比較例のものでは、交流磁界を全く印加
しなかった(交流磁界0)ものに比べて磁気特性は向上
しているが、同じ磁界強度(5kOe )を印加した本発明
と比べれば、その向上程度は小さく、最初に印加する交
流磁界が、磁気特性の向上に寄与することが理解でき
る。
よび最大エネルギー積BHmax 共に、最初に印加する交
流磁界の強度の増大に従って増大し、交流磁界強度10kO
e で、これまで報告例のないBHmax 18MGOeが得られて
いる。これに対して、最初から整流電流によるラジアル
磁界を印加した比較例のものでは、交流磁界を全く印加
しなかった(交流磁界0)ものに比べて磁気特性は向上
しているが、同じ磁界強度(5kOe )を印加した本発明
と比べれば、その向上程度は小さく、最初に印加する交
流磁界が、磁気特性の向上に寄与することが理解でき
る。
【0030】実施例2 純度99.9%のサマリウム、コバルト、電解鉄、銅および
ジルコニウムを所定の比率で配合し、高周波溶解して、
重量%でSm23.4%−Co53.5%−Fe16%−Cu5.3% −Zr
1.8% の組成を有するSm2Co17 化合物系合金のインゴ
ットを製造した。次に、この合金インゴットに、アルゴ
ンガス雰囲気下で1175℃に24時間保持する均質化処理を
施し、その後、これをジョークラッシャ、ピンミルによ
り粉砕して粒径 210μm以下の希土類磁性粉末を得た。
次に、この磁性粉末に 0.1%のオレイン酸をヘキサンで
分散させた溶液を混合し、十分に攪拌して均一分散させ
た後、 100℃に60分間保持する表面処理を行い、さらに
この粉末に粘度 3000cP の一液性エポキシ樹脂を 2.5wt
%加え、十分に混練した後、この混合粉を、前出図1に
示した成形装置内の成形空間に充填した。
ジルコニウムを所定の比率で配合し、高周波溶解して、
重量%でSm23.4%−Co53.5%−Fe16%−Cu5.3% −Zr
1.8% の組成を有するSm2Co17 化合物系合金のインゴ
ットを製造した。次に、この合金インゴットに、アルゴ
ンガス雰囲気下で1175℃に24時間保持する均質化処理を
施し、その後、これをジョークラッシャ、ピンミルによ
り粉砕して粒径 210μm以下の希土類磁性粉末を得た。
次に、この磁性粉末に 0.1%のオレイン酸をヘキサンで
分散させた溶液を混合し、十分に攪拌して均一分散させ
た後、 100℃に60分間保持する表面処理を行い、さらに
この粉末に粘度 3000cP の一液性エポキシ樹脂を 2.5wt
%加え、十分に混練した後、この混合粉を、前出図1に
示した成形装置内の成形空間に充填した。
【0031】その後、先ず交流磁界用電磁コイル6、7
に通電する周波数5Hzの交流電流を調整して、ダイス1
内に反発方式で放射状に5kOe の交流磁界(ラジアル磁
界)を印加して磁性粉末を振動させ、続いてパルス磁界
用電磁コイル8、9に電圧1300Vに充電された容量1000
μFのコンデンサーからパルス電流を供給し、ダイス1
内に反発方式で放射状に5〜25kOe のパルス磁界(ラジ
アル磁界)を形成し、このパルス磁界を前記交流磁界に
重畳して磁性粉末をラジアル配向させ、このパルス磁界
と同極性に交流磁界を1周期維持している間に10トン/c
m2の成形圧力で圧縮成形を行い、外径22mm,内径20mm,
長さ5mmの円筒状成形体を得た。そして、得られた成形
体について、真空中で 100℃に1時間保持するキュアー
処理を行い、ラジアル異方性ボンド磁石を完成させた。
に通電する周波数5Hzの交流電流を調整して、ダイス1
内に反発方式で放射状に5kOe の交流磁界(ラジアル磁
界)を印加して磁性粉末を振動させ、続いてパルス磁界
用電磁コイル8、9に電圧1300Vに充電された容量1000
μFのコンデンサーからパルス電流を供給し、ダイス1
内に反発方式で放射状に5〜25kOe のパルス磁界(ラジ
アル磁界)を形成し、このパルス磁界を前記交流磁界に
重畳して磁性粉末をラジアル配向させ、このパルス磁界
と同極性に交流磁界を1周期維持している間に10トン/c
m2の成形圧力で圧縮成形を行い、外径22mm,内径20mm,
長さ5mmの円筒状成形体を得た。そして、得られた成形
体について、真空中で 100℃に1時間保持するキュアー
処理を行い、ラジアル異方性ボンド磁石を完成させた。
【0032】なお、比較例として、パルス磁界用電磁コ
イル8、9を直流磁界用として転用し、この電磁コイル
によりダイス1内に反発方式で放射状に6kOe の直流磁
界を形成して磁性粉末をラジアル配向させ、この直流磁
界を持続しながら同じ圧力(10トン/cm2)で圧縮成形を
行って、上記したものと同じ寸法形状の成形体を得、さ
らに同様のキュアー処理を行ってラジアル異方性ボンド
磁石を完成させた。
イル8、9を直流磁界用として転用し、この電磁コイル
によりダイス1内に反発方式で放射状に6kOe の直流磁
界を形成して磁性粉末をラジアル配向させ、この直流磁
界を持続しながら同じ圧力(10トン/cm2)で圧縮成形を
行って、上記したものと同じ寸法形状の成形体を得、さ
らに同様のキュアー処理を行ってラジアル異方性ボンド
磁石を完成させた。
【0033】そして、上記のようにして得た各ボンド磁
石から2mm角で厚さ1mmの試験片を切り出し、60kOe の
パルス磁界で着磁した後、それぞれについて振動試料型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性の測定を行い、併せ
て密度の測定を行った。これらの測定結果を表2に示
す。
石から2mm角で厚さ1mmの試験片を切り出し、60kOe の
パルス磁界で着磁した後、それぞれについて振動試料型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性の測定を行い、併せ
て密度の測定を行った。これらの測定結果を表2に示
す。
【0034】
【表2】
【0035】表2に示す結果より、残留磁束密度Br お
よび最大エネルギー積BHmax 共に、パルス磁界の強度
25kOe 程度までは磁界強度の増大に従って増大し、それ
以上パルス磁界強度が増大してもほとんど変化しないこ
とが分かった。これは、パルス磁界強度25kOe 付近で磁
性粉末の配向度が飽和に達することを意味しており、効
率(エネルギー消費)の面からみれば、このパルス磁界
の強度は最大で30kOeに抑えるのが望ましいといえる。
また、パルス磁界強度が5kOe では十分満足する磁気特
性が得られず、パルス磁界の強度は最低でも10kOe に抑
えるのが望ましいといえる。なお、比較例のように直流
磁界のみを印加した場合も、磁気特性が低く、本願発明
ほどの粉末配向度が得られないことは明らかである。
よび最大エネルギー積BHmax 共に、パルス磁界の強度
25kOe 程度までは磁界強度の増大に従って増大し、それ
以上パルス磁界強度が増大してもほとんど変化しないこ
とが分かった。これは、パルス磁界強度25kOe 付近で磁
性粉末の配向度が飽和に達することを意味しており、効
率(エネルギー消費)の面からみれば、このパルス磁界
の強度は最大で30kOeに抑えるのが望ましいといえる。
また、パルス磁界強度が5kOe では十分満足する磁気特
性が得られず、パルス磁界の強度は最低でも10kOe に抑
えるのが望ましいといえる。なお、比較例のように直流
磁界のみを印加した場合も、磁気特性が低く、本願発明
ほどの粉末配向度が得られないことは明らかである。
【0036】実施例3 純度99.9%のサマリウムおよび電解鉄を所定の比率で配
合し、高周波溶解して、重量%でSm24.1%−Fe75.9%の
組成を有しかつTh2Zn17 型結晶構造の合金インゴット
を製造した。次に、この合金インゴットに、アルゴンガ
ス雰囲気下で1100℃に12時間保持する均質化処理を施
し、続いて、これをジョークラッシャ、ピンミルにより
粉砕して平均粒径20〜30μmの粉末を得た。その後、こ
の粉末に7気圧の窒素ガス中で450 ℃に32時間保持する
窒化処理を施してSm2Fe17 N3 化合物系磁性粉末を
得、さらにジェットミルにより微粉砕および分級して平
均粒径3μmの磁性粉末を得た。その後、この磁性粉末
に 0.3%のチタネート系カップリング剤をヘキサンで分
散させた溶液を混合し、十分に攪拌して均一分散させた
後、 100℃に60分間保持する表面処理を行い、さらにこ
の粉末に粘度 3000cP の一液性エポキシ樹脂を3wt%加
え、十分に混練した後、この混合粉を、前出図1に示し
た成形装置内の成形空間に充填した。
合し、高周波溶解して、重量%でSm24.1%−Fe75.9%の
組成を有しかつTh2Zn17 型結晶構造の合金インゴット
を製造した。次に、この合金インゴットに、アルゴンガ
ス雰囲気下で1100℃に12時間保持する均質化処理を施
し、続いて、これをジョークラッシャ、ピンミルにより
粉砕して平均粒径20〜30μmの粉末を得た。その後、こ
の粉末に7気圧の窒素ガス中で450 ℃に32時間保持する
窒化処理を施してSm2Fe17 N3 化合物系磁性粉末を
得、さらにジェットミルにより微粉砕および分級して平
均粒径3μmの磁性粉末を得た。その後、この磁性粉末
に 0.3%のチタネート系カップリング剤をヘキサンで分
散させた溶液を混合し、十分に攪拌して均一分散させた
後、 100℃に60分間保持する表面処理を行い、さらにこ
の粉末に粘度 3000cP の一液性エポキシ樹脂を3wt%加
え、十分に混練した後、この混合粉を、前出図1に示し
た成形装置内の成形空間に充填した。
【0037】その後、先ず交流磁界用電磁コイル6、7
に通電する交流の周波数を5〜400Hz に調整して、ダイ
ス1内に反発方式で放射状に5kOe の交流磁界(ラジア
ル磁界)を印加して磁性粉末を振動させ、続いてパルス
磁界用電磁コイル8、9に電圧1300Vに充電された容量
1000μFのコンデンサーからパルス電流を供給し、ダイ
ス1内に反発方式で放射状に20kOe のパルス磁界(ラジ
アル磁界)を形成し、このパルス磁界を前記交流磁界に
重畳して磁性粉末をラジアル配向させた。また、このパ
ルス磁界の印加と同時に交流磁界用電磁コイル6、7に
通電する交流電流を整流して2倍の周波数を有する電流
に切替え、この電流によりダイス1内に同じ強度(5kO
e )のラジアル磁界を持続しながら、10トン/cm2の成形
圧力で圧縮成形を行い、外径21.5mm,内径19mm,長さ5
mmの円筒状成形体を得た。そして、得られた成形体につ
いて、真空中で 100℃に1時間保持するキュアー処理を
行い、ラジアル異方性ボンド磁石を完成させた。
に通電する交流の周波数を5〜400Hz に調整して、ダイ
ス1内に反発方式で放射状に5kOe の交流磁界(ラジア
ル磁界)を印加して磁性粉末を振動させ、続いてパルス
磁界用電磁コイル8、9に電圧1300Vに充電された容量
1000μFのコンデンサーからパルス電流を供給し、ダイ
ス1内に反発方式で放射状に20kOe のパルス磁界(ラジ
アル磁界)を形成し、このパルス磁界を前記交流磁界に
重畳して磁性粉末をラジアル配向させた。また、このパ
ルス磁界の印加と同時に交流磁界用電磁コイル6、7に
通電する交流電流を整流して2倍の周波数を有する電流
に切替え、この電流によりダイス1内に同じ強度(5kO
e )のラジアル磁界を持続しながら、10トン/cm2の成形
圧力で圧縮成形を行い、外径21.5mm,内径19mm,長さ5
mmの円筒状成形体を得た。そして、得られた成形体につ
いて、真空中で 100℃に1時間保持するキュアー処理を
行い、ラジアル異方性ボンド磁石を完成させた。
【0038】そして、上記のようにして得た各ボンド磁
石から2mm角で厚さ1mmの試験片を切り出し、60kOe の
パルス磁界で着磁した後、それぞれについて振動試料型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性の測定を行い、併せ
て密度の測定を行った。これらの測定結果を表3に示
す。
石から2mm角で厚さ1mmの試験片を切り出し、60kOe の
パルス磁界で着磁した後、それぞれについて振動試料型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性の測定を行い、併せ
て密度の測定を行った。これらの測定結果を表3に示
す。
【0039】
【表3】
【0040】表3に示す結果より、交流周波数が高いほ
ど残留磁束密度Br、最大エネルギー積BHmax 共に低
下する傾向にある。これは、交流磁界の周波数が高い
と、その極性の変化に磁性粉末がついていけず、粉末振
動が不充分になるためである。なお、Sm2Fe17 N3 化
合物系磁性粉末では、一般に粉末の凝集や摩擦が問題と
なるが、上記結果より、このような磁性粉末を対象とし
た場合に、特に交流磁界の印加が効果的となることが分
かった。
ど残留磁束密度Br、最大エネルギー積BHmax 共に低
下する傾向にある。これは、交流磁界の周波数が高い
と、その極性の変化に磁性粉末がついていけず、粉末振
動が不充分になるためである。なお、Sm2Fe17 N3 化
合物系磁性粉末では、一般に粉末の凝集や摩擦が問題と
なるが、上記結果より、このような磁性粉末を対象とし
た場合に、特に交流磁界の印加が効果的となることが分
かった。
【0041】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、交流磁界とパルス磁界との併用で磁性粉末を容
易にラジアル配向させることができ、アキシャル配向の
角型ボンド磁石と同等以上の優れた磁気特性を有する円
筒状のラジアル異方性ボンド磁石を製造できる。
よれば、交流磁界とパルス磁界との併用で磁性粉末を容
易にラジアル配向させることができ、アキシャル配向の
角型ボンド磁石と同等以上の優れた磁気特性を有する円
筒状のラジアル異方性ボンド磁石を製造できる。
【図1】本発明の方法を実行する成形装置の構造を模式
的に示す断面図である。
的に示す断面図である。
【図2】本発明における印加磁界と圧縮成形サイクルと
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
1 ダイス 2、3 コア 4、5 パンチ 6、7 交流磁界用電磁コイル 8、9 パルス磁界用電磁コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−211567(JP,A) 特公 昭52−15800(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 41/02 B22F 3/00 H01F 1/08
Claims (4)
- 【請求項1】 ダイスの上下に、磁性コアを挿通させた
状態で交流磁界用電磁コイルとパルス磁界用電磁コイル
とをそれぞれ対向して配置し、前記交流磁界用電磁コイ
ルによりダイス内に反発方式で放射状に 0.5〜10kOe の
交流磁界を形成してバインダーと混練した希土類磁性粉
末を振動させると共に、前記パルス磁界用電磁コイルに
よりダイス内に反発方式で放射状に10〜30kOe のパルス
磁界を形成して、このパルス磁界を前記交流磁界に同極
性で重畳させ、これら磁界内でバインダーと混練した希
土類磁性粉末をラジアル配向させて圧縮成形を行うこと
を特徴とするラジアル異方性ボンド磁石の製造方法。 - 【請求項2】 ダイスの上下に、磁性コアを挿通させた
状態で交流磁界用電磁コイルとパルス磁界用電磁コイル
とをそれぞれ対向して配置し、前記交流磁界用電磁コイ
ルによりダイス内に反発方式で放射状に 0.5〜10kOe の
交流磁界を形成してバインダーと混練した希土類磁性粉
末を振動させると共に、前記パルス磁界用電磁コイルに
よりダイス内に反発方式で放射状に10〜30kOe のパルス
磁界を形成して、このパルス磁界を前記交流磁界に同極
性で重畳させ、これら磁界内でバインダーと混練した希
土類磁性粉末をラジアル配向させた後、前記交流磁界用
電磁コイルに供給する交流電流を整流して2倍の周波数
を有する電流に切替え、この電流によるラジアル磁界を
持続しながら圧縮成形を行うことを特徴とするラジアル
異方性ボンド磁石の製造方法。 - 【請求項3】 交流磁界の位相角が[nπ+1/2 π]ラ
ジアンのときに、同極性にパルス磁界を重畳させること
を特徴とする請求項1または2に記載のラジアル異方性
ボンド磁石の製造方法。 - 【請求項4】 交流磁界用電磁コイルに供給する交流の
周波数が120Hz以下であることを特徴とする請求項1
乃至3の何れか1項に記載のラジアル異方性ボンド磁石
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25540796A JP3151604B2 (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | ラジアル異方性ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25540796A JP3151604B2 (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | ラジアル異方性ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1083926A JPH1083926A (ja) | 1998-03-31 |
JP3151604B2 true JP3151604B2 (ja) | 2001-04-03 |
Family
ID=17278343
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25540796A Expired - Fee Related JP3151604B2 (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | ラジアル異方性ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3151604B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102479599A (zh) * | 2010-11-29 | 2012-05-30 | 湖南吉瑞斯材料科技有限公司 | 永磁体的制作方法 |
CN103128286B (zh) * | 2013-03-13 | 2015-03-04 | 黄可可 | 各向异性烧结稀土永磁材料辐射状取向装置及其取向方法 |
CN114042916B (zh) * | 2022-01-13 | 2022-04-22 | 绵阳和一磁电有限公司 | 一种多极磁环渐进式的取向模具以及其取向方法 |
-
1996
- 1996-09-05 JP JP25540796A patent/JP3151604B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1083926A (ja) | 1998-03-31 |
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