JP3631878B2 - 硬化性複合体組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性複合体組成物の製造方法に関し、さらに詳しくは、優れた透明性、剛性、靱性、および耐熱性を有する硬化性複合体組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、有機重合体は、剛性、硬度、耐熱性が低い。このような点を克服する試みの一つとして、従来より無機物との複合化が多く検討されている。例えば、アクリル系樹脂溶液に、アルコキシシラン類の重縮合により得られるシリカ系化合物やコロイダルシリカを分散させたものを表面硬化用の塗膜として用いる方法が提案されている(特開昭53−11952号公報、特開昭53−11989号公報等)。
【0003】
しかしながら、汎用のプラスチック基材にこのようなコーティングを行った場合、高硬度、高耐摩耗性の塗膜は得られるが、剛性の向上はほとんど望めない。また、数十μm程度の塗膜厚であれば透明性は良好であるが、それ以上の膜厚とすると、透明性は著しく悪くなる。
【0004】
一方、J.Mater.Res., vol.4,p1018 (1989) には、孔径を調節した多孔質シリカゲルにメチルメタクリレート単量体を含浸させた後、重合させることにより、透明性に優れたシリカゲル−ポリメチルメタクリレート複合体が得られるという記載がある。しかしながら、この方法は工程が繁雑であり、工業的製法としては不向きであり、後加工が困難であるという問題点を有している。
【0005】
一方、コロイダルシリカを、シラン化合物を用いてラジカル重合性ビニル化合物に均一に分散させることにより、透明性と剛性に優れた複合体組成物が得られることが、特開平5−209027号公報に開示されている。しかし、この複合体組成物は、得られたコロイダルシリカ分散単量体をそのまま重合に供しているものであり、この単量体を出発物質としてさらに別の単量体を合成する硬化性複合体組成物の製造方法を何ら示唆するものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ナノメートルオーダーのコロイダルシリカを均一分散させた透明性、靱性、剛性、耐熱性に優れた硬化性複合体組成物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、コロイダルシリカ存在下で特定のシラン化合物を用いて加水分解、重縮合させて得られるシリカ系重縮合体を、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物中に均一分散させた後に、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を付加反応させてウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物とすることによって、優れた硬化性複合体組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物(a)中に、平均粒子径が1〜100nmであるコロイダルシリカの存在下で下記一般式(1)
【0009】
【化3】
(式中、R1およびR2は各々独立して、エーテル結合、エステル結合、炭素−炭素二重結合またはメルカプト基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素残基、R3は水素原子、または、エーテル結合、エステル結合もしくは炭素−炭素二重結合を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素残基、aおよびbは各々独立して0〜3の整数、cは1〜4の整数を表し、a+b+c=4である。)
で表されるシラン化合物を加水分解、重縮合させて得られるシリカ系重縮合体(b)を分散させたのち、前記ヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物(a)と、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(c)とを付加反応させてウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)とすることを特徴とする硬化性複合体組成物の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明に用いるヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物(a)としては、ラジカル重合可能な公知の各種ヒドロキシル基含有単量体が使用できる。例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を示す。
【0012】
本発明に用いられるシリカ系重縮合体(b)は、平均粒子径が1〜100nmであるコロイダルシリカの存在下で、前記一般式(1)で表されるシラン化合物を加水分解、重縮合させて得られるシリカ系重縮合体である。このシリカ系重縮合体(b)は、主として、コロイダルシリカ表面の一部または全部にシラン化合物の加水分解物が保持された状態にあり、これによりコロイダルシリカの表面特性が疎水性に改質された構成を含む重縮合体である。この表面改質は、コロイダルシリカ存在下に特定のシラン化合物の加水分解と重縮合反応を生じせしめることにより、容易に行うことができる。
【0013】
シリカ系重縮合体(b)を得る為に用いるコロイダルシリカとしては、主として、平均粒子径が1〜100nmのシリカ微粒子が分散媒中でコロイド状に分散している状態のものが使用できる。ここでいう「コロイド状」とは、シリカ微粒子が液体(分散媒)中に均一に安定して分散している状態を意味する。
【0014】
この分散媒は特に限定されないが、通常、イソプロピルアルコール等のアルコール類、セロソルブ類、ジメチルアセトアミド、キシレン、水等が使用できる。特にアルコール類、セロソルブ類、水が好ましい。
【0015】
シリカ系重縮合体(b)を得る為に用いる一般式(1)で表される各種シラン化合物の中でも、下記一般式(2)〜(7)
【0016】
【化4】
(式中、R4およびR5は各々独立して、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素残基、R6は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素残基、R7は水素原子またはメチル基、R8は炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基、aおよびbは各々独立して0〜3の整数、cは1〜4の整数を表し、a+b+c=4であり、nは0〜2の整数、pは1〜6の整数を表す。)
で表されるシラン化合物を好ましいものとして挙げることができる。
【0017】
一般式(2)で表されるシラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メトキシエチルトリエトキシシラン、アセトキシエチルトリエトキシシラン、ジ(エトキシエチル)ジエトキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン等、およびこれらの部分加水分解物が挙げられる。
【0018】
一般式(3)で表されるシラン化合物としては、例えばテトラキス(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、テトラキス(メタクリロイルオキシエトキシ)シラン、メチルトリス(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メタクリロイルオキシエトキシ)シラン等が挙げられる。中でも、テトラキス(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、テトラキス(メタクリロイルオキシエトキシ)シランが好ましい。これらは、例えばテトラクロルシランと2−ヒドロキシエチルアクリレート、または2−ヒドロキシエチルメタクリレートから合成される。
【0019】
一般式(4)で表されるシラン化合物としては、例えばβ−アクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0020】
一般式(5)で表されるシラン化合物としては、例えばビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0021】
一般式(6)で表されるシラン化合物としては、例えばγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0022】
一般(7)で表されるシラン化合物としては、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
本発明において、一般式(2)〜(7)で表されるシラン化合物の好ましい使用態様として、以下の五つの態様が例示される。
【0024】
第1の態様は、一般式(2)で表されるシラン化合物(一種または複数種)を用いる態様である。一般式(2)において、R4、R5、R6が炭素数1〜4の炭化水素残基であるシラン化合物を用いるのが好ましい。R4、R5、R6が炭素数1〜4の炭化水素残基であると、立体的な障害が小さいため、加水分解、重縮合速度が速くなり、コロイダルシリカ粒子同士を結合させ、シリカ骨格を形成させることが容易となる。特に好ましいシラン化合物は、一般式(2)において、cが4であるテトラアルコキシシラン類である。テトラアルコキシシラン単独で、または重合前の安定性を考慮してテトラアルコキシシランにトリアルコキシシランもしくはジアルコキシシランを混合したものを使用することが好ましい。
【0025】
第2の態様は、一般式(3)で表されるシラン化合物(一種または複数種)を用いる態様である。一般式(3)で表されるシラン化合物を加水分解、重縮合した際、加水分解されずにシリカ系重縮合体(b)中に残った(メタ)アクリロイルオキシエトキシ基は、重合時にヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物(a)と分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(c)との付加反応物であるウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)と共重合し、化学的に結合する。このため、ウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)の重合体とシリカ系重縮合体(b)との界面の補強に寄与することとなる。また、加水分解されずに残った(メタ)アクリロイルオキシエトキシ基が、ウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)との重合の際にさらなる重縮合のために脱離した場合でも、脱離基はウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)と共重合するので揮発分とはならず、得られる複合体組成物は、発砲、クラック、割れを生じない。
【0026】
第3の態様は、一般式(2)で表されるシラン化合物と一般式(3)で表されるシラン化合物とを併用する態様である。これらのシラン化合物を併用した場合には、それぞれのシラン化合物を単独で使用した場合の上述した各効果に加え、一般式(3)で表されるシラン化合物のケイ素原子の周りが立体的に混み合っているので加水分解されにくく、シリカ系重縮合体(b)を重合操作まで安定に保つという効果も発揮される。
【0027】
第4の態様は、一般式(4)〜(7)で表されるシラン化合物の少なくとも一種を用いる態様である。これらシラン化合物およびその加水分解生成物は、ウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)の重合時に共重合性単量体あるいは連鎖移動剤としても働くので、ウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)の重合体とシリカ系重縮合体(b)との界面の補強に寄与し、複合体組成物の物性を良好なものにする。
【0028】
第5の態様は、一般式(2)で表されるシラン化合物と一般式(4)〜(7)で表されるシラン化合物の少なくとも一種とを併用する態様である。これらシラン化合物を併用した場合には、上述した一般式(2)で表されるシラン化合物から生成するシリカ骨格中に一般式(4)〜(7)で表されるシラン化合物が共に組み込まれる形となるので、ウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)の重合体とシリカ系重縮合体(b)との間により強固な結合を生じさせ、得られる複合体組成物の物性を良好なものにする。
【0029】
なお、シラン化合物の加水分解、重縮合反応に際しては、反応系中に水を存在させることが必要である。反応系中における水の存在割合が反応速度に及ぼす影響は一般には特に著しいものではないが、極端に少ない場合には加水分解が緩慢すぎて重縮合体が得られない。
【0030】
シリカ系重縮合体(b)を得る為の加水分解、縮合反応を行う際の触媒として、無機酸または有機酸等を使用できる。無機酸としては、例えば塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸や、硫酸、燐酸等が挙げられる。有機酸としては、例えばギ酸、酢酸、シュウ酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。中でも、0.01規定以上の塩酸水溶液を用いることが特に好ましい。
【0031】
また、加水分解縮合反応系には、反応を緩和し、かつ均一にするために、溶媒を使用できる。溶媒としては、反応物であるシラン化合物、水、および触媒との相溶性がよいものが好ましい。具体例として、水、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。また、前述したコロイダルシリカの分散媒をそのまま用いてもよく、または新たに必要量加えてもよい。溶媒の使用量は、反応物を均一に溶解できる量であれば特に制限は無い。反応物の濃度が希薄になり過ぎないように、すなわち反応速度が著しく遅くならないように適宜調整すればよい。
【0032】
シラン化合物の加水分解と重縮合反応は、室温〜120℃程度の温度で30分〜24時間程度の反応条件が好ましく、室温〜溶媒の沸点程度の温度で1〜10時間程度の条件がより好ましい。
【0033】
一般式(1)で表される化合物の使用量は、コロイダルシリカ固形分(シリカ分)100重量部に対し、シラン化合物0.1〜2000重量部が好ましく、1〜1000重量部がより好ましい。第1の態様の場合、一般式(2)で表される化合物の使用量は、5〜2000重量部が好ましく、10〜1000重量部がより好ましい。第2の態様の場合、一般式(3)で表される化合物の使用量は、1〜2000重量部が好ましく、5〜1000重量部がより好ましい。第3の態様の場合、一般式(2)で表されるシラン化合物の使用量は、5〜2000重量部が好ましく、10〜1000重量部がより好ましく、一般式(3)で表されるシラン化合物の使用量は、0.1〜2000重量部が好ましく、1〜1000重量部がより好ましい。第4の態様の場合、一般式(4)〜(7)で表されるシラン化合物の使用量は、1〜2000重量部が好ましく、5〜1000重量部がより好ましい。第5の態様の場合、一般式(2)で表されるシラン化合物の使用量は、5〜2000重量部が好ましく、10〜1000重量部がより好ましく、一般式(4)〜(7)で表されるシラン化合物の使用量は、0.1〜2000重量部が好ましく、1〜1000重量部がより好ましい。
【0034】
本発明において、シリカ系重縮合体(b)の使用量は、使用目的に応じて選択され、特に限定されるものではないが、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物(a)と分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(c)とを付加反応させて得られるウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)およびシリカ系重縮合体(b)の合計量100重量部中、成分(b)が5〜70重量部の範囲内となることが好ましい。
【0035】
本発明で用いる分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(c)としては、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の脂肪族、芳香族または脂環族のポリイソシアネート類が挙げられる。中でも、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
【0036】
ヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物(a)と、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(c)との付加反応は特に制限されず、公知の各種方法、例えばポリイソシアネート化合物存在下にヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物と触媒、例えばジラウリン酸ジ−n−ブチル錫との混合物を50〜90℃の条件下で滴下することにより製造できる。
【0037】
この成分(a)と成分(c)との使用比率は、ヒドロキシル基の数、イソシアネート基の数により好適な比率が異なるが、例えば、1個のヒドロキシル基を有する成分(a)と2個のイソシアネート基を有する化合物(c)とを使用する場合は、成分(c)1モルに対して、成分(a)2モル〜3モル程度の比率で使用することが好ましい。
【0038】
さらに、本発明においては、材料としての必要に応じて、例えば、平均粒子径100nmを越えるシリカ粉体、石英粉体、ガラスビーズ等の無機フィラー;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸エステル構造を主な繰返し単位として含む共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル系ポリマー;等の充填材を配合できる。
【0039】
また必要に応じて、酸化チタン、酸化鉄等の顔料、エタノール、酢酸エチル等の溶媒、ハイドロキノン、フェノール類等の重合禁止剤、ゴム、着色剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、酸化安定剤等の添加剤を添加することもできる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。なお、以下の記載において「部」は、特記のない限り「重量部」を意味する。
【0041】
<実施例1>
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカ(シリカ含有量30重量%、平均粒子径10〜20nm、商品名:スノーテックスIPA−ST;日産化学(株)製)1000部に、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン120部、0.01規定の塩酸水溶液30部を加えて、70℃で1時間撹拌した。その後、2−ヒドロキシエチルメタクリレート460部を加え、減圧下で揮発分をすべて留去して、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含むコロイダルシリカ分散液(A)を得た。このコロイダルシリカ分散液(A)は、コロイダルシリカが一次粒子の状態で系中に均一分散しており、透明性に優れ、かつ流動性を有していた。
【0042】
コンデンサー、窒素導入口、温度計、滴下漏斗および撹拌機を備えたフラスコに、コロイダルシリカ分散液(A)640部、ジラウリン酸ジ−n−ブチル錫0.3部を入れ、撹拌しながら70℃に昇温した。そこに、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート250部を4時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で3時間保持して、ウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物を含むコロイダルシリカ分散液(B)(SiO2 含量:30重量%)を得た。このコロイダルシリカ分散液(B)は、コロイダルシリカが一次粒子の状態で系中に均一分散しており、透明性に優れ、かつ流動性を有していた。
【0043】
このコロイダルシリカ分散液(B)10部に、光重合開始剤としてカンファーキノン0.03部、還元剤としてp−ジメチルアミノ安息香酸エチル0.2部を加え溶解させて硬化性複合体組成物とした。これを、下面に厚さ0.1mmのカバーグラスを付けたステンレス製金型(長さ25mm、高さ2mm、厚さ2mm)に充填し、上面に同じカバーグラスを密着させた後、可視光照射器(商品名:α−ライト;(株)モリタ製)で上面から3分間光照射を行い硬化物を得た。
【0044】
この硬化物について、JIS T6514に準じて曲げ試験を行ったところ、曲げ強度1700kg/cm2 、曲げ弾性率37000kg/cm2 を示した。この値は、コロイダルシリカ分散液(A)の調製時に用いた2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代えて、ジ(メタクリロキシエチル)2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート710部を用いて得られるコロイダルシリカ分散液(C)(SiO2 含量:30重量%)について同様の評価を行った場合に得られた結果と同等であった。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、種々のウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物に、ナノメートルオーダーのコロイダルシリカを均一分散することが可能であり、優れた透明性、耐熱性、剛性および靱性を有する硬化性複合体組成物が製造できる。この硬化性複合体組成物は、種々の工業用途に有用である。
Claims (9)
- ヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物(a)中に、平均粒子径が1〜100nmであるコロイダルシリカの存在下で下記一般式(1)
で表されるシラン化合物を加水分解、重縮合させて得られるシリカ系重縮合体(b)を分散させたのち、前記ヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物(a)と、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(c)とを付加反応させてウレタン結合含有ラジカル重合性ビニル化合物(d)とすることを特徴とする硬化性複合体組成物の製造方法。 - 前記一般式(1)で表されるシラン化合物として、前記一般式(2)で表されるシラン化合物を用いる請求項2記載の硬化性複合体組成物の製造方法。
- 前記一般式(1)で表されるシラン化合物として、前記一般式(3)で表されるシラン化合物を用いる請求項2記載の硬化性複合体組成物の製造方法。
- 前記一般式(1)で表されるシラン化合物として、前記一般式(2)で表されるシラン化合物と、前記一般式(3)で表されるシラン化合物とを併用する請求項2記載の硬化性複合体組成物の製造方法。
- 前記一般式(1)で表されるシラン化合物として、前記一般式(4)〜(7)で表される少なくとも一種のシラン化合物を用いる請求項2記載の硬化性複合体組成物の製造方法。
- 前記一般式(1)で表されるシラン化合物として、前記一般式(2)で表されるシラン化合物と、前記一般式(4)〜(7)で表される少なくとも一種のシラン化合物とを併用する請求項2記載の硬化性複合体組成物の製造方法。
- ヒドロキシル基含有ラジカル重合性ビニル化合物(a)が、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである請求項1〜7の何れか一項記載の硬化性複合体組成物の製造方法。
- 分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(c)が、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートである請求項1〜8の何れか一項記載の硬化性複合体組成物の製造方法。
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