JPH10298253A - 硬化性組成物およびその製造方法 - Google Patents

硬化性組成物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH10298253A
JPH10298253A JP10603597A JP10603597A JPH10298253A JP H10298253 A JPH10298253 A JP H10298253A JP 10603597 A JP10603597 A JP 10603597A JP 10603597 A JP10603597 A JP 10603597A JP H10298253 A JPH10298253 A JP H10298253A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
acrylate
curable composition
silica
polyfunctional
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10603597A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Yanagase
昭 柳ヶ瀬
Terushi Ueda
昭史 上田
Yukio Watanabe
幸夫 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP10603597A priority Critical patent/JPH10298253A/ja
Publication of JPH10298253A publication Critical patent/JPH10298253A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多官能(メタ)アクリレート中にシリカ微粒
子が均一分散し、透明性、硬度、耐摩耗性に優れた硬化
物を与える硬化性組成物等を提供する。 【解決手段】 平均粒子径1-100nmのコロイダルシリカ
の存在下、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン等(a-1)とフェニルトリメトキシシラン等(a-
2)の二段階の加水分解、縮重合で得たシリカ系縮重合体
(a)と、多官能(メタ)アクリレート(d)、開始剤(e)を
配合した硬化性組成物、および、各反応を、45-100℃、
3-24時間で行う硬化性組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性組成物およ
びその製造方法に関し、さらに詳しくは、多官能(メ
タ)アクリレート中のシリカ微粒子の分散性が良好で、
かつ透明性、硬度、耐摩耗性に優れた硬化物を与える硬
化性組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機物に無機物を配合して複合化
することにより、両者の特徴を生かして高性能化を図る
複合材料の研究が、種々の工業分野で試みられている。
この様な複合材料においては、例えばシランカップリン
グ処理やグラフト化等の手法により、有機物と無機物と
の界面を制御して無機物を均一分散させている。
【0003】しかしながら、透明性に優れた複合材料を
得ようとすると、有機物と無機物の屈折率を合わせる必
要があり、またナノメートル(以下nmと記す)オーダ
ーの無機微粒子を分散させようとすると、無機微粒子が
高次凝集するので流動性が著しく悪化し(チキソトロピ
ー性)、高充填化できない等の制約があり、実用化は難
しいのが現状である。
【0004】これら課題を解決する技術として、例え
ば、特開平5−209027号公報には、シラン化合物
を用いて、コロイダルシリカをメチルメタクリレート中
に均一分散させた透明性と剛性に優れた硬化性組成物が
記載されている。しかし、このシラン化合物は、極性の
異なる有機マトリックス[例えば疎水性の高い多官能
(メタ)アクリレート等]に対する作用効果の点でまだ
不十分である。すなわち、コロイダルシリカの分散性が
良好で、かつ透明性、硬度、耐摩耗性に優れた硬化物を
与える硬化性組成物は、未だ得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、疎水
性の高い多官能(メタ)アクリレート中にnmオーダー
のコロイダルシリカが均一分散し、かつ透明性、硬度、
耐摩耗性に優れた硬化物を与える硬化性組成物、およ
び、その硬化性組成物を簡易かつ良好に製造できる方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、極性と反応性を考慮し
たシラン化合物の選択や、表面改質の手法および反応条
件の特定などにより、初めて疎水性の極めて高い多官能
(メタ)アクリレート中にシリカ微粒子を均一にかつ良
好に分散でき、同時に上記各物性に優れた硬化物を与え
る硬化性組成物が得られることを見い出した。
【0007】すなわち、前記目的は、以下に示す本発明
により達成できる。
【0008】工程1として、平均粒子径が、1〜100
nmであるコロイダルシリカの存在下、下記一般式
(I)
【0009】
【化4】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数
1〜3のアルキル基またはフェニル基、R3 は水素原子
または炭素数1〜10の炭化水素残基、pは0〜2の整
数、qは1〜6の整数を表す。)で示される(メタ)ア
クリロイルオキシシラン化合物(a−1)を加水分解、
縮重合させ、さらに工程2として、工程1で得られた縮
重合体の存在下に、下記一般式(II)
【0010】
【化5】 (式中、R4 は炭素数1〜3のアルキル基またはフェニ
ル基、R5 は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素
残基、rは0〜2の整数を表す。)で示されるフェニル
シラン化合物(a−2)を加水分解、縮重合させたこと
により得られるシリカ系縮重合体(a)と、下記一般式
(III)
【0011】
【化6】 (式中、R6 は水素原子またはメチル基、mおよびnは
各々独立して1〜5の整数を表す。)で示されるジ(メ
タ)アクリレート(b)100〜50重量部、および、
アルカンジオールジ(メタ)アクリレートおよびポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレートから成る群よ
り選ばれた少なくとも一種のジ(メタ)アクリレート
(c)0〜50重量部[但し、成分(b)および成分
(c)の合計100重量部]を含有して成る多官能(メ
タ)アクリレート(d)と、重合開始剤(e)とを含有
して成ることを特徴とする硬化性組成物。
【0012】本発明の硬化性組成物を製造するための方
法であって、シリカ系縮重合体(a)を得るための工程
1での加水分解、縮重合を、反応温度45〜100℃反
応時間3〜24時間で行い、工程2での加水分解、縮重
合を、反応温度45〜100℃反応時間3〜24時間で
行うことを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
【0013】一般に、球状微粒子であるコロイダルシリ
カの表面を改質してシリカ系縮重合体を得るには、任意
のシラン化合物をコロイダルシリカ分散液中に混合し
て、系中の水または新たに加える水により加水分解、縮
重合させればよいことが知られている。本発明は、この
種のシリカ系縮重合体として、特定のシリカ系縮重合体
(a)を用いるものであり、これによりシリカ微粒子が
多官能(メタ)アクリレート(d)中に凝集することな
く均一に、低粘度で、良好に分散できるという作用効果
に基づいている。
【0014】シリカ系縮重合体(a)は、コロイダルシ
リカの存在下、まず工程1として、反応性を有し極性の
高い特定のシラン化合物(a−1)を用いて加水分解、
縮重合することにより表面改質し、次いで工程2とし
て、極性の低い特定のシラン化合物(a−2)を用いて
加水分解、縮重合することにより最外層を表面改質して
得たものである。この様な二段階の表面改質で得た二重
構造により、シリカ微粒子が多官能(メタ)アクリレー
ト(e)中に均一かつ良好に分散できる。
【0015】仮に、極性の高いシラン化合物(a−1)
[γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン等]を単独で用いてシリカ系縮重合体を得ようとする
と、系の極性が合わないので、コロイダルシリカが凝集
してしまい、一次粒子の状態で均一分散できない。この
結果、得られる硬化性組成物は、粘度が増大してゲル化
したり、ヘイズがかかって不透明となる。
【0016】また仮に、極性の低い非反応性のシラン化
合物(a−2)[フェニルトリメトキシシラン等]を単
独で用いてシリカ系縮重合体を得たとすると、シリカ微
粒子は均一に分散可能であるが、前記各物性に優れた硬
化物は得られない。
【0017】また仮に、これら極性の異なる二種のシラ
ン化合物(a−1)(a−2)を、任意の割合(1対1
等)で一括併用し、一段階でシリカ系縮重合体を得たと
すると、両者がシリカ表面にランダムに結合する。この
うち、極性の高いシラン化合物(a−1)が結合した部
分では多官能(メタ)アクリレート(d)と極性が合わ
ず、分散性が阻害され、コロイダルシリカが凝集してし
まう。
【0018】すなわち、本発明で用いるシリカ系縮重合
体(a)は、二種のシラン化合物(a−1)(a−2)
を用いて二段階で反応させるという特殊な手法で構成す
ることにより、初めて上述の良好な作用効果を奏するの
である。
【0019】そして、本発明の硬化性組成物は、シリカ
系縮重合体(a)を用いることにより、疎水性の極めて
高い多官能(メタ)アクリレート(d)中に、シリカ微
粒子を凝集することなく均一に分散させているので、組
成物の流動性や透明性に優れる。さらに、これらシリカ
系縮重合体(a)と多官能(メタ)アクリレート(d)
の良好な状態下での併用により、重合硬化時に良好な架
橋構造が得られ、硬度、耐摩耗性などの特性に優れた硬
化物を与えることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。
【0021】本発明で用いる成分(a)は、工程1とし
て、平均粒子径が1〜100nmであるコロイダルシリ
カの存在下、前記一般式(I)で示される(メタ)アク
リロイルオキシシラン化合物(a−1)を加水分解、縮
重合させ、さらに工程2として、工程1で得られた化合
物(縮重合体)の存在下に、前記一般式(II)で示され
るフェニルシラン化合物(a−2)を加水分解、縮重合
させる二段処理により得られるシリカ系縮重合体であ
る。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイル」
は、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」を示
す。
【0022】この様な加水分解、縮重合させて得られる
シリカ系縮重合体(a)は、主として、球状微粒子であ
るコロイダルシリカ表面の一部または全部にシラン化合
物の加水分解物が保持された状態にあり、これによりコ
ロイダルシリカの表面特性が疎水性に改質された構成を
含む縮重合体である。この表面改質は、コロイダルシリ
カ存在下に特定のシラン化合物の加水分解と縮重合反応
を生じせしめることにより、容易に行うことができる。
【0023】成分(a)を得る為に用いるコロイダルシ
リカとしては、主として、平均粒子径が1〜100nm
のシリカ微粒子が分散媒中でコロイド状に分散している
状態のものが使用できる。ここでいう「コロイド状」と
は、シリカ微粒子が液体(分散媒)中に均一に安定して
分散している状態を意味する。
【0024】この分散媒は特に限定されないが、通常、
イソプロピルアルコール等のアルコール類、セロソルブ
類、ジメチルアセトアミド、キシレン、水等が使用でき
る。特にアルコール類、セロソルブ類、水が好ましい。
【0025】成分(a)を得る為の工程1に用いる一般
式(I)で示される(メタ)アクリロイルオキシシラン
化合物(a−1)としては、γ−メタクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルトリエトキシシラン、β−アクリロイルオキ
シエチルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオ
キシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−メタクリロ
イルオキシエチルメチルジメトキシシラン、γ−メタク
リロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−
メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシ
シラン等が好ましい。中でもγ−メタクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0026】成分(a)を得る為の工程2に用いる一般
式(II)で示されるフェニルシラン化合物(a−2)と
しては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエ
トキシシラン等が好ましい。中でもフェニルトリメトキ
シシランが特に好ましい。
【0027】成分(a)を得る為に用いるシラン化合物
(a−1)とシラン化合物(a−2)の添加量は特に限
定されず、所望に応じて適宜定めればよいが、コロイダ
ルシリカの固形分(シリカ分)100重量部に対して、
シラン化合物(a−1)(a−2)の添加量は、各々1
〜100重量部が好ましく、5〜50重量部がより好ま
しい。また、両者の比率は、シラン化合物(a−1)と
シラン化合物(a−2)の合計100重量部を基準とし
て、(a−1):(a−2)=5〜95:95〜5(重
量部)であることが、硬化性組成物の物性上好ましい。
このようにシラン化合物(a−1)、(a−2)の添加
量を適度に多くすると分散性が良好となり、また適度に
少なくすると物性を阻害し難い。すなわち、上記好適範
囲内にすることにより、分散性と物性の双方共により優
れた硬化性組成物が得られる。
【0028】本発明の製造方法では、シリカ系縮重合体
(a)を製造する際、工程1である一段目の加水分解と
縮重合反応を、反応温度45〜100℃、反応時間3〜
24時間で、工程2である二段目の加水分解と縮重合反
応を、反応温度45〜100℃、反応時間3〜24時間
の条件で行う。特に、工程1、2とも反応温度60〜1
00℃、反応時間3〜10時間の条件で行うのが好まし
い。また、これら反応は撹拌下で行うことが好ましい。
この範囲を外れる様な低温、短時間で縮重合反応を行う
と、加水分解、縮重合反応が不十分となり、シラン化合
物(a−1)(a−2)を用いても、シリカ表面がシラ
ン化合物で十分に処理されない傾向にある。このため、
反応系は凝集を起こし、透明性が低下するとともに、粘
度が上昇してゲル状となる傾向にある。
【0029】シリカ系縮重合体(a)を得る為の加水分
解、縮合反応を行う際の触媒として、無機酸または有機
酸等を使用できる。無機酸としては、例えば塩酸、フッ
化水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸や、硫酸、
燐酸等が挙げられる。有機酸としては、例えばギ酸、酢
酸、シュウ酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ
る。中でも、0.01規定以上の塩酸水溶液を用いるこ
とが特に好ましい。
【0030】また、加水分解縮合反応系には、反応を緩
和し、かつ均一にするために、溶媒を使用できる。溶媒
としては、反応物であるシラン化合物、水、および触媒
との相溶性がよいものが好ましい。具体例として、水、
イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等
のケトン類、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。
また、前述したコロイダルシリカの分散媒をそのまま用
いてもよく、または新たに必要量加えてもよい。溶媒の
使用量は、反応物を均一に溶解できる量であれば特に制
限は無い。反応物の濃度が希薄になり過ぎないように、
すなわち反応速度が著しく遅くならないように適宜調整
すればよい。
【0031】以上説明したシリカ系縮重合体(a)を、
ジ(メタ)アクリレート(b)およびジ(メタ)アクリ
レート(c)を含有して成る多官能(メタ)アクリレー
ト(d)に均一分散させることによって、硬化性組成物
が得られる。
【0032】ジ(メタ)アクリレート(b)は、前記一
般式(III)で示される疎水性の高いジ(メタ)アクリ
レートである。これは、例えばビスフェノールAから誘
導される。成分(b)の疎水性は、一般式(III)中の
エチレンオキシ基数(m、n)に依存しており、疎水性
がより高いという点では、一般式(III)中のmおよび
nが各々独立して1または2であることが好ましい。ま
た、R4 がメチル基であることも好ましい。特に、成分
(b)は、2、2’−ビス(4−メタクリロイルオキシ
エトキシフェニルプロパン)であることがより好まし
い。
【0033】ジ(メタ)アクリレート(c)は、アルカ
ンジオールジ(メタ)アクリレートおよびポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレートから成る群より選ば
れた少なくとも一種である。中でも、トリエチレングリ
コールジメタクリレートが好ましい。
【0034】本発明で用いる多官能(メタ)アクリレー
ト(d)は、上述したジ(メタ)アクリレート(b)1
00〜50重量部、および、ジ(メタ)アクリレート
(c)0〜50重量部[但し、成分(b)および成分
(c)の合計100重量部]を含んで成る。多官能(メ
タ)アクリレート(d)には、使用目的等に応じて、極
性を著しく高めない範囲内で、成分(b)(c)以外の
多官能(メタ)アクリレートをさらに含有させてもよ
い。成分(b)(c)以外の多官能(メタ)アクリレー
トとしては、ウレタン系多官能(メタ)アクリレート等
を挙げることができる。成分(b)(c)以外の多官能
(メタ)アクリレートは、成分(d)中、40重量%以
下であることが好ましい。
【0035】また、本発明の硬化性組成物には、その架
橋密度を著しく低下させない範囲内で、多官能(メタ)
アクリレート(d)以外に、メチルメタクリレート、ベ
ンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、n−ブチルメタクリレート等の単官能(メタ)
アクリレートを混合して用いてもよい。
【0036】本発明において、多官能(メタ)アクリレ
ート(d)の使用量と、シリカ系縮重合体(a)の使用
量との比率は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜
定めればよい。シリカ系縮重合体(a)の分散効果が発
現し、かつ硬化性組成物の粘度が極端に高くならない点
から、シリカ系縮重合体(a)および多官能(メタ)ア
クリレート(d)の合計100重量部中、成分(a)が
5〜70重量部であることが好ましい。
【0037】本発明で用いる重合開始剤(e)は、硬化
性組成物の用途、目的に適した重合法等に応じて任意に
選択すればよい。熱重合の場合には、各種の過酸化物、
アゾ化合物を用いて、塊状重合、懸濁重合に供すること
ができる。特に懸濁重合においては、コロイダルシリカ
が均一に分散した透明なポリマービーズを得ることがで
きる。可視光や紫外線による光重合の場合には、ベンゾ
フェノン類、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラ
キノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサ
イド類、α−ジケトン類等を用いることができる。光重
合の場合には、第3級アミン等の還元剤を併用してもよ
い。また、過酸化物等の酸化剤とアミン等の還元剤とを
別々に配合して、使用時に混合してレドックス重合を行
わせてもよい。重合開始剤(e)の使用量は、多官能
(メタ)アクリレート(d)100重量部に対して、
0.01〜10重量部が好ましい。
【0038】本発明の硬化性組成物は、上述した各成分
(a)〜(e)を主成分として含有して成るが、用途、
目的等に応じて、さらに、平均粒子径100nmを越え
るシリカ粉体、石英粉体、ガラスビーズ等の無機フィラ
ー;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレ
ート、(メタ)アクリル酸エステル構造を主な繰返し単
位として含む共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル
系ポリマー;等の充填材を配合できる。これら充填材の
配合量は、シリカ系縮重合体(a)、多官能(メタ)ア
クリレート(d)および重合開始剤(e)の合計100
重量部に対して、10〜900重量部が好ましい。
【0039】本発明の硬化性組成物には、さらに、必要
に応じて、酸化チタン、酸化鉄等の顔料、エタノール、
酢酸エチル等の溶媒、ハイドロキノン、フェノール類等
の重合禁止剤、ゴム、酸化安定剤、紫外線吸収剤等も添
加できる。
【0040】また、本発明の硬化性組成物は分散性や流
動性、透明性等に優れるので、例えば光学材料、塗料材
料、歯科材料など各種用途に非常に有用である。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるもので
はない。なお、以下の記載中「部」は、特記の無い限り
「重量部」を表す。
【0042】<実施例1> (コロイダルシリカ分散液の調製)イソプロピルアルコ
ール分散型コロイダルシリカ[シリカ含量30重量%、
平均粒子径10〜20nm、商品名:スノーテックスI
PA−ST;日産化学(株)製]100部に、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン3.6
部、0.01規定の塩酸水溶液3部を加えて、60℃で
3時間撹拌した[工程1]。その系中に、さらにフェニ
ルトリメトキシシラン5.0部を加えて、60℃で5時
間撹拌した[工程2]。
【0043】その後、2、2’−ビス(4−メタクリロ
イルオキシエトキシフェニル)プロパン88部とトリエ
チレングリコールジメタクリレート22部の混合物を加
え、減圧下で揮発分をすべて留去して、コロイダルシリ
カ分散液を得た。このコロイダルシリカ分散液は、コロ
イダルシリカが1次粒子の状態で系中に均一分散してお
り、透明性に優れ、かつ流動性を有していた。
【0044】(硬化性組成物の調製)このコロイダルシ
リカ分散液10部に、光重合開始剤としてカンファーキ
ノン0.03部、還元剤としてp−ジメチルアミノ安息
香酸エチル0.2部を加えて溶解させて、硬化性組成物
を得た。
【0045】(硬化物の形成)この硬化性組成物を、下
面に厚さ0.1mmのカバーグラスを付けたステンレス
製金型(内径10mm、厚さ1mm)に充填し、上面に
同じカバーグラスを密着させた後、両面より可視光照射
器(商品名:GCライト;(株)ジーシー製)で60秒
ずつ光照射を行い硬化物を得た。
【0046】得られた硬化物に関し、全光線透過率
(%)をJIS K6714に準拠して測定し、ヌープ
硬度(Hk)をJIS Z2251に準拠して測定し
た。また摩耗試験として、ブラシ(商品名:プロスペッ
ク;(株)ジーシー製)を用いて、水中で荷重100g
で5万回のストロークを行ない、摩耗した深さ(μm)
を測定し、耐摩耗性を評価した。結果を表1に示す。
【0047】<実施例2>実施例1における多官能(メ
タ)アクリレート混合物に代えて、2、2’−ビス(4
−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン1
10部を用いたこと以外は実施例1と同様にして硬化性
組成物を調製し、硬化物を形成した。結果を表1に示
す。
【0048】<比較例1>実施例1における工程1の反
応条件を、反応温度50℃、反応時間1時間、工程2の
反応条件を、反応温度50℃、反応時間1時間としたこ
と以外は実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、
硬化物を形成した。結果を表1に示す。
【0049】<比較例2>実施例1における工程1と工
程2の反応を、二種類のシラン化合物を一括で添加し、
60℃、8時間の条件で行ったこと以外は実施例1と同
様にして硬化性組成物を調製し、硬化物を形成した。結
果を表1に示す。
【0050】<比較例3>実施例1における工程1のシ
ラン化合物に代えて、フェニルトリメトキシシラン5.
0部を用い、その反応条件を、反応温度60℃、反応時
間5時間とし、工程2のシラン化合物に代えてγ−メタ
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン3.6部
を用い、その反応条件を、反応温度60℃、反応時間3
時間としたこと以外は実施例1と同様にして硬化性組成
物を調製し、硬化物を形成した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】 表1に示す結果から明らかな様に、本発明で規定する特
定のシラン化合物、特定の反応手順、特定範囲の反応温
度および反応時間を採用した実施例1、2は、表面改質
されたコロイダルシリカが1次粒子の状態で多官能(メ
タ)アクリレート中に均一分散し、他の条件等を採用し
た比較例1〜3に比べて、コロイダルシリカ分散液の透
明性、流動性が高く、さらに硬化物の全光線透過率が格
段に高く、硬度、耐摩耗性にも優れていた。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の硬化性組
成物は、特定の二種の反応成分の使用により疎水性の高
い多官能(メタ)アクリレート中にnmオーダーのシリ
カ粒子が均一分散し、流動性に優れ、かつ透明性、硬
度、耐摩耗性に優れた硬化物を与える組成物である。
【0053】また、本発明の硬化性組成物の製造方法
は、特定の反応条件により、十分な加水分解、縮重合反
応、十分な処理を実現し、簡易かつ良好に本発明の硬化
性組成物を製造できる。
【0054】本発明の硬化性組成物は分散性や流動性、
透明性に優れるので、例えば光学材料、塗料材料、歯科
材料など各種用途に非常に有用である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工程1として、平均粒子径が1〜100
    nmであるコロイダルシリカの存在下、下記一般式
    (I) 【化1】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数
    1〜3のアルキル基またはフェニル基、R3 は水素原子
    または炭素数1〜10の炭化水素残基、pは0〜2の整
    数、qは1〜6の整数を表す。)で示される(メタ)ア
    クリロイルオキシシラン化合物(a−1)を加水分解、
    縮重合させ、さらに工程2として、工程1で得られた縮
    重合体の存在下に、下記一般式(II) 【化2】 (式中、R4 は炭素数1〜3のアルキル基またはフェニ
    ル基、R5 は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素
    残基、rは0〜2の整数を表す。)で示されるフェニル
    シラン化合物(a−2)を加水分解、縮重合させたこと
    により得られるシリカ系縮重合体(a)と、下記一般式
    (III) 【化3】 (式中、R6 は水素原子またはメチル基、mおよびnは
    各々独立して1〜5の整数を表す。)で示されるジ(メ
    タ)アクリレート(b)100〜50重量部、および、
    アルカンジオールジ(メタ)アクリレートおよびポリエ
    チレングリコールジ(メタ)アクリレートから成る群よ
    り選ばれた少なくとも一種のジ(メタ)アクリレート
    (c)0〜50重量部[但し、成分(b)および成分
    (c)の合計100重量部]を含有して成る多官能(メ
    タ)アクリレート(d)と、重合開始剤(e)とを含有
    して成ることを特徴とする硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 成分(a−1)がγ−メタクリロイルオ
    キシプロピルトリメトキシシランであり、成分(a−
    2)がフェニルトリメトキシシランである請求項1記載
    の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 一般式(III)中のR6 がメチル基であ
    り、mおよびnが各々独立して1または2である請求項
    1または2記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 ジ(メタ)アクリレート(c)が、トリ
    エチレングリコールジメタクリレートである請求項1〜
    3の何れか一項記載の硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の硬化性組成物を製造する
    ための方法であって、シリカ系縮重合体(a)を得るた
    めの工程1での加水分解、縮重合を、反応温度45〜1
    00℃、反応時間3〜24時間で行い、工程2での加水
    分解、縮重合を、反応温度45〜100℃、反応時間3
    〜24時間で行うことを特徴とする硬化性組成物の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 シリカ系縮重合体(a)を得るための加
    水分解、縮重合の反応触媒として、0.01規定以上の
    塩酸水溶液を用いる請求項5記載の硬化性組成物の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 シリカ系縮重合体(a)に多官能(メ
    タ)アクリレート(d)を加えた混合物の揮発分を留去
    する工程を含む請求項5または6記載の硬化性組成物の
    製造方法。
JP10603597A 1997-04-23 1997-04-23 硬化性組成物およびその製造方法 Pending JPH10298253A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10603597A JPH10298253A (ja) 1997-04-23 1997-04-23 硬化性組成物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10603597A JPH10298253A (ja) 1997-04-23 1997-04-23 硬化性組成物およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10298253A true JPH10298253A (ja) 1998-11-10

Family

ID=14423394

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10603597A Pending JPH10298253A (ja) 1997-04-23 1997-04-23 硬化性組成物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10298253A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004041888A1 (ja) * 2002-11-08 2004-05-21 Mitsubishi Chemical Corporation 放射線硬化性樹脂組成物及びその硬化物
JP2004196841A (ja) * 2002-12-16 2004-07-15 Konica Minolta Holdings Inc 透明フィルム、透明導電性フィルム、液晶ディスプレイ、有機elディスプレイ、タッチパネルおよび該透明フィルムの製造方法
JP2010503232A (ja) * 2006-09-05 2010-01-28 キャボット マイクロエレクトロニクス コーポレイション 水に可溶性酸化剤を使用する炭化ケイ素の研磨方法
JP2010150341A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Nitto Denko Corp シリコーン樹脂組成物
JP2013241515A (ja) * 2012-05-21 2013-12-05 Showa Denko Kk 硬化性組成物およびその硬化物
KR20160068750A (ko) 2013-09-27 2016-06-15 다이이치 고교 세이야쿠 가부시키가이샤 경화성 수지 조성물, 및 경질 코팅용 조성물

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004041888A1 (ja) * 2002-11-08 2004-05-21 Mitsubishi Chemical Corporation 放射線硬化性樹脂組成物及びその硬化物
US7569619B2 (en) 2002-11-08 2009-08-04 Mitsubishi Chemical Corporation Radiation-curable resin composition and cured product thereof
JP2004196841A (ja) * 2002-12-16 2004-07-15 Konica Minolta Holdings Inc 透明フィルム、透明導電性フィルム、液晶ディスプレイ、有機elディスプレイ、タッチパネルおよび該透明フィルムの製造方法
JP2010503232A (ja) * 2006-09-05 2010-01-28 キャボット マイクロエレクトロニクス コーポレイション 水に可溶性酸化剤を使用する炭化ケイ素の研磨方法
JP2010150341A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Nitto Denko Corp シリコーン樹脂組成物
JP2013241515A (ja) * 2012-05-21 2013-12-05 Showa Denko Kk 硬化性組成物およびその硬化物
KR20160068750A (ko) 2013-09-27 2016-06-15 다이이치 고교 세이야쿠 가부시키가이샤 경화성 수지 조성물, 및 경질 코팅용 조성물
US9982162B2 (en) 2013-09-27 2018-05-29 Dai-Ichi Kogyoseiyaku Co., Ltd. Curable resin composition, and composition for hard coat

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5167582B2 (ja) ジルコニア透明分散液及び透明複合体並びに透明複合体の製造方法
JP5466640B2 (ja) 硬化性組成物及びその硬化物
JP2902525B2 (ja) 透明性に優れた複合体組成物およびその製法
EP0534753B1 (en) Composite composition having high transparency and process for producing same
JP3631878B2 (ja) 硬化性複合体組成物の製造方法
US5391647A (en) Composite composition having high transparency and process for producing same
JPWO2006035646A1 (ja) シリカ含有シリコーン樹脂組成物及びその成形体
JPH10279886A (ja) コーティング組成物、親水性膜、及び親水性膜を有する被覆物品
JP5022553B2 (ja) 重合性組成物、その硬化物および複合材料
JPH10298252A (ja) 硬化性組成物およびその製造方法
JP2713760B2 (ja) 高分子分散剤およびエポキシ樹脂組成物
JP3437881B2 (ja) 硬化性組成物、複合充填材、及び歯科用修復材料
JP3859737B2 (ja) 歯科用複合材料
JPH10298253A (ja) 硬化性組成物およびその製造方法
JP5082814B2 (ja) 無機酸化物含有透明複合体及びその製造方法
EP0295627B1 (en) Photopolymerizable dental composition
WO2016182007A1 (ja) 酸化ジルコニウム粒子と(メタ)アクリレート類を含む重合性組成物とその製造方法
JPH10298254A (ja) 硬化性組成物およびその製造方法、並びに歯科用修復材料
JPH10231339A (ja) 硬化性組成物
JP4291574B2 (ja) 重合性歯科用組成物の製造方法
JP2004510015A (ja) コーティング組成物
JP2000226488A (ja) 硬化性組成物およびそれからなる歯科用修復材料
EP0289990B1 (en) Photopolymerizable dental composition
JPH04254406A (ja) 重合性シリカゾル、これに用いるアダマンタン誘導体およびこれを用いた硬化樹脂
JP2004099351A (ja) 人工大理石充填剤用の表面処理剤