JP3630506B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
空気入りタイヤ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3630506B2 JP3630506B2 JP21510496A JP21510496A JP3630506B2 JP 3630506 B2 JP3630506 B2 JP 3630506B2 JP 21510496 A JP21510496 A JP 21510496A JP 21510496 A JP21510496 A JP 21510496A JP 3630506 B2 JP3630506 B2 JP 3630506B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rubber
- bead
- chafer
- rubber chafer
- axial direction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B60—VEHICLES IN GENERAL
- B60C—VEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
- B60C15/00—Tyre beads, e.g. ply turn-up or overlap
- B60C15/06—Flipper strips, fillers, or chafing strips and reinforcing layers for the construction of the bead
- B60C2015/0614—Flipper strips, fillers, or chafing strips and reinforcing layers for the construction of the bead characterised by features of the chafer or clinch portion, i.e. the part of the bead contacting the rim
Landscapes
- Tires In General (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、特定組成のゴム組成物をゴムチェーファーに用いた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気入りタイヤとしては、例えば図3に示すように、一対のビードコア11と、一方のビードコア11から他方のビードコア11まで延びるとともに、両端部に前記ビードコア11の回りに折り返された折返し部12を有し、内部に多数本のスチールコードが埋設されたトロイダル状のカーカス層13と、該カーカス層13の外側を該カーカス層13に沿ってビードコア11の軸方向内側から軸方向外側まで延びるとともに、内部にスチールコードが埋設された一対のビード補強層(通常、ワイヤーチェーファーと呼ばれている)14と、該ビード補強層14の外側を該ビード補強層14に沿ってビードコア11の半径方向内側からビードコア11の軸方向内側まで延びるとともに、ビードトウ部15全体に広がり、抗破壊性に優れたゴムから構成された内側ゴムチェーファー16と、前記折返し部12、ビード補強層14の外側をこれらに沿ってビードコア11の半径方向内側からビードコア11の軸方向外側まで延び、耐摩耗性に優れたゴムから構成されるとともに、外側面の一部がリムフランジ17に接触する外側ゴムチェーファー18と、内側ゴムチェーファー16より半径方向外側に配置されるとともに、ビード補強層14の軸方向内側部14aの半径方向外端を覆い、スチールコードに対する接着性が良好であるゴムから構成された内側補助ゴム層19と、前記外側ゴムチェーファー18と折返し部12、ビード補強層14との間に配置されるとともに、これら折返し部12およびビード補強層14の軸方向外側部14bの半径方向外端の双方を覆い、スチールコードに対する接着性が良好であるゴムから構成された外側補助ゴム層20とを備えたものが知られている。
【0003】
ここで、前述のようにビードコア11の周囲に内側、外側ゴムチェーファー16、18、内側、外側補助ゴム層19、20の4種類のゴム層を配置しているのは、これらゴム層が配置されている位置においてゴムにそれぞれ異なった性能が要求されているため、即ち、内側ゴムチェーファー16が配置されている位置(ビードトウ部15)においてはビードトウ欠けを抑制する必要から抗破壊性が、また、外側ゴムチェーファー18が配置されている位置においてはリムフランジ17との摩擦による摩耗を抑制する必要から耐摩耗性が、さらに、内側、外側補助ゴム層19、20が配置されている位置においては折返し部12、ビード補強層14の半径方向外端に露出しているスチールコードの切断端が基となって発生するセパレーションを抑制する必要から、スチールコードに対する接着性が要求されているため、これら内側、外側ゴムチェーファー16、18、内側、外側補助ゴム層19、20に前記要求をそれぞれ満足するゴム、即ち、内側ゴムチェーファー16に抗破壊性に優れたゴムを、また、外側ゴムチェーファー18に耐摩耗性に優れたゴムを、さらに、内側、外側補助ゴム層19、20にスチールコードに対する接着性が良好なゴムを用いているからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようにそれぞれの位置に要求される性能のゴムを配置するようにすると、ゴムの配置作業が面倒となって(具体的にはゴム層の貼付け回数が増加して)作業能率が低下してしまうが、複数の位置において要求される複数の性能を兼ね備えたゴムが存在すれば、ゴム層の貼付け回数を減少させることができる。このため、従来においては、複数の性能、例えば抗破壊性およびスチールコードに対する接着性が共に優れたゴムが待望されていた。
【0005】
この発明は、抗破壊性およびスチールコードに対する接着性が共に優れたゴム組成物をゴムチェーファーに用いることで製造作業が簡単・容易となった空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、第1に、一対のビードコアと、一方のビードコアから他方のビードコアまで延びるとともに、両端部に前記ビードコア回りに折り返された折返し部を有し、内部に多数本のスチールコードが埋設されたトロイダル状のカーカス層と、該カーカス層の外側を該カーカス層に沿ってビードコアの軸方向内側から軸方向外側まで延び、軸方向内側部の半径方向外端がビードトウから半径方向外側に10mmだけ離れた点Pより半径方向外側に位置するとともに、軸方向外側部の半径方向外端が前記折返し部の半径方向外端より半径方向外側に位置し、かつ前記軸方向内側部と軸方向外側部との間に設けられた境界部がビードトウ部全体に広がっている第1ゴムチェーファーと、第1ゴムチェーファーの軸方向外側部の外側を該第1ゴムチェーファーに沿って延びるゴムから構成されるとともに、外側面の一部がリムフランジに接触する第2ゴムチェーファーとを備え、前記第1ゴムチェーファーとして、天然ゴムに硫黄を 2.5から 5.5重量部だけ配合するとともに、有機金属コバルト塩を、金属コバルト含有量として0.02から0.25重量%となる重量部だけ配合することで構成したゴム組成物を用いた空気入りタイヤにより、第2に、一対のビードコアと、一方のビードコアから他方のビードコアまで延びるとともに、両端部に前記ビードコア回りに折り返された折返し部を有し、内部に多数本のスチールコードが埋設されたトロイダル状のカーカス層と、該カーカス層の外側を該カーカス層に沿ってビードコアの軸方向内側から軸方向外側まで延びるとともに、内部にスチールコードが埋設された一対のビード補強層と、該ビード補強層の外側を該ビード補強層に沿ってビードコアの軸方向内側から軸方向外側まで延び、軸方向内側部の半径方向外端がビード補強層の軸方向内側部の半径方向外端より半径方向外側に位置するとともに、軸方向外側部の半径方向外端がビード補強層および前記折返し部の半径方向外端のいずれよりも半径方向外側に位置し、かつ前記軸方向内側部と軸方向外側部との間に設けられた境界部がビードトウ部全体に広がっている第1ゴムチェーファーと、第1ゴムチェーファーの軸方向外側部の外側を該第1ゴムチェーファーに沿って延びるゴムから構成されるとともに、外側面の一部がリムフランジに接触する第2ゴムチェーファーとを備え、前記第1ゴムチェーファーとして、天然ゴムに硫黄を 2.5から 5.5重量部だけ配合するとともに、有機金属コバルト塩を、金属コバルト含有量として0.02から0.25重量%となる重量部だけ配合することで構成したゴム組成物を用いた空気入りタイヤにより達成することができる。
【0007】
ビード補強層(ワイヤーチェーファー等と呼ばれている)が配置されていない公知の空気入りタイヤにおいては、ビードコアの周囲に内、外側ゴムチェーファーおよび外側補助ゴム層のみが配置されている(内側補助ゴム層は配置されていない)が、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいては、このような内側ゴムチェーファーと外側補助ゴム層とを一体化して第1ゴムチェーファーとし、これにより、空気入りタイヤ製造の際のゴム層貼付け回数を1回減少させ、タイヤ製造作業を簡単・容易としている。ここで、この第1ゴムチェーファーに用いられているゴムは硫黄および有機金属コバルト塩が配合された天然ゴムであるが、この天然ゴムは伸長結晶性を有することからポリブタジエンゴム等の合成ゴムに比較して抗破壊性に優れており、しかも、硫黄の配合によって接着性に寄与する ZnSが形成し易くなるとともに、有機金属コバルト塩の配合によって接着層の形成が促進される。このようなことから第1ゴムチェーファーを構成するゴムはスチールコードに対する接着性および抗破壊性に優れており、この結果、折返し部の半径方向外端を覆っている軸方向外側部は該折返し部の半径方向外端に露出するスチールコードの切断端に確実に接着してセパレーションを効果的に抑制することができ、また、ビードトウ部全体に広がっている境界部はリム脱着時に容易に変形してビードトウ欠けを効果的に抑制することができるのである。
【0008】
また、請求項2に記載の空気入りタイヤにおいては、従来技術で説明した内側ゴムチェーファーと内側、外側補助ゴム層とを一体化して第1ゴムチェーファーとし、これにより、空気入りタイヤ製造の際のゴム層貼付け回数を2回減少させてタイヤ製造作業を簡単・容易としている。そして、この第1ゴムチェーファーに用いられているゴムも硫黄および有機金属コバルト塩が配合された天然ゴムであるため、折返し部の半径方向外端およびビード補強層の軸方向外側部の半径方向外端の双方を覆っている軸方向外側部は、いずれの半径方向外端に露出するスチールコードの切断端にも確実に接着してセパレーションを効果的に抑制し、また、ビード補強層の軸方向内側部の半径方向外端を覆っている軸方向内側部は前記半径方向外端に露出するスチールコードの切断端に確実に接着してセパレーションを効果的に抑制し、さらに、ビードトウ部全体に広がっている境界部はリム脱着時に容易に変形してビードトウ欠けを効果的に抑制することができるのである。
【0009】
また、前記カーカス層、ビード補強層のコーティングゴムに、請求項3、4に記載のような量の有機金属コバルト塩を配合することができ、このような量の有機金属コバルト塩を配合した場合には、耐久性を低下させることなくカーカス層、ビード補強層のスチールコードとコーティングゴムとの接着性を向上させることができる。
さらに、請求項5に記載のように構成すれば、長期間走行したときに第1ゴムチェーファーが露出してリムフランジに接触するような事態を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、25は空気入りラジアルタイヤであり、このタイヤ25は一対のビードコア26と、一方のビードコア26から他方のビードコア26まで延びるトロイダル状をしたカーカス層27とを有し、このカーカス層27は少なくとも1枚、ここでは1枚のカーカスプライから構成されている。このカーカス層27は幅方向中央部に両ビードコア26間に位置する本体部29を有し、また、幅方向両端部にビードコア26回りに折り返されることにより、本体部29に沿って半径方向外側に延びる折返し部30を有する。そして、前記カーカス層27の内部にはタイヤ赤道面に直交して(ラジアル方向に)延びるスチールコードが多数本埋設され、これらスチールコードの切断端は前記折返し部30の半径方向外端30aにおいて露出している。31は本体部29の軸方向外側にこれに密着した状態で配置された一対のスティフナーであり、これらのスティフナー31の半径方向内側部は本体部29と折返し部30との間に配置されている。ビード部34におけるカーカス層27の外側には該カーカス層27に沿ってビードコア26の軸方向内側から軸方向外側まで延びるビード補強層35が配置され、これらビード補強層35はその内部に弾性率が2500kg/mm2以上のスチールコードがタイヤ赤道面に対して傾斜した状態で多数本埋設されていることで、一般にワイヤーチェーファーと呼ばれている。この結果、これらスチールコードの切断端は、ビード補強層35のうちビードコア26より軸方向内側に位置する軸方向内側部36の半径方向外端36aおよび軸方向外側に位置する軸方向外側部37の半径方向外端37aにおいて露出している。なお、この実施形態では、ビード補強層35の軸方向外側部37の半径方向外端37aは前記折返し部30の半径方向外端30aより若干半径方向内側に位置している。また、前記カーカス層27の半径方向外側には周知のように図示していないベルト層およびトレッドが配置されている。
【0011】
前記ビード補強層35の外側には該ビード補強層35に沿ってビードコア26の軸方向内側から軸方向外側まで延びる第1ゴムチェーファー40が配置され、これらの第1ゴムチェーファー40は、ビードコア26より軸方向内側に位置する軸方向内側部41と、ビードコア26より軸方向外側に位置する軸方向外側部42と、ビードコア26の半径方向内側に位置するとともに、前記軸方向内側部41と軸方向外側部42との間に設けられた境界部43とから構成されている。そして、これら第1ゴムチェーファー40の軸方向内側部41の半径方向外端41aは前記ビード補強層35の軸方向内側部36の半径方向外端36aより半径方向外側に位置しており、この結果、ビード補強層35の半径方向外端36a、換言すれば該半径方向外端36aに露出しているスチールコードの切断端は第1ゴムチェーファー40の軸方向内側部41によって覆われることになる。また、これら第1ゴムチェーファー40の軸方向外側部42の半径方向外端42aは前記ビード補強層35の軸方向外側部37の半径方向外端37aおよび前記折返し部30の半径方向外端30aのいずれよりも半径方向外側に位置しており、この結果、ビード補強層35の半径方向外端37a、換言すれば該半径方向外端37aに露出しているスチールコードの切断端、および折返し部30の半径方向外端30a、換言すれば該半径方向外端30aに露出しているスチールコードの切断端は、第1ゴムチェーファー40の軸方向外側部42によって覆われることになる。さらに、前記第1ゴムチェーファー40の境界部43はビードトウ部44全体に、即ちビードトウ45まで広がっている。このように第1ゴムチェーファー40は従来技術で説明した内側ゴムチェーファーと内側、外側補助ゴム層とを一体化したものとほぼ同様の形状をしており、この結果、空気入りタイヤ25を製造する際、ゴム層貼付け回数を2回減少させることができ、タイヤ製造作業を簡単・容易とすることができる。
【0012】
前記第1ゴムチェーファー40には、ポリブタジエンゴム等の合成ゴムに比較して伸長結晶性を有することから抗破壊性に優れている天然ゴムをポリマーとして用い、前述のようなスチールコードに対する接着性を向上させるために、硫黄およびナフテン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、ステアリン酸コバルト、コバルトボロバサテート等の有機金属コバルト塩を配合している。このように第1ゴムチェーファー40に用いるゴムは抗破壊性およびスチールコードに対する接着性が共に優れたゴムなのである。この結果、前述のように折返し部30の半径方向外端30aおよびビード補強層35の軸方向外側部37の半径方向外端37aの双方を覆っている第1ゴムチェーファー40の軸方向外側部42は、いずれの半径方向外端30a、37aに露出しているスチールコードの切断端にも確実に接着し、これにより、回転走行時の歪に基づく亀裂発生を抑制してセパレーションを効果的に抑制するのである。一方、ビード補強層35の軸方向内側部36の半径方向外端36aを覆っている第1ゴムチェーファー40の軸方向内側部41は、前記半径方向外端36aに露出しているスチールコードの切断端に確実に接着して前述と同様にセパレーションを効果的に抑制するのである。さらに、ビードトウ部44全体に広がっている第1ゴムチェーファー40の境界部43は、タイヤ25のリムからの脱着時に容易に変形することができ、これにより、劣化に基づくビードトウ欠けが効果的に抑制されるのである。
【0013】
ここで、前述のように硫黄を配合するとスチールコードに対する接着性が向上するのは、接着性に寄与する ZnSが形成し易くなるからであり、一方、有機金属コバルト塩を配合するとスチールコードに対する接着性が向上するのは、接着層の形成を促進することができるからである。そして、前記硫黄は 2.5から 5.5重量部の範囲内で配合する必要がある。その理由は、硫黄の配合量が 2.5重量部未満であると、スチールコードに対する良好な接着性を確保することができないからであり、一方、 5.5重量部を超えると、ゴムの抗破壊性が低下してしまうからである。なお、前記硫黄は 3.0から 4.5重量部の範囲内で配合することが好ましい。また、前記有機金属コバルト塩は、金属コバルト含有量として0.02から0.25重量%となる重量部の範囲内で配合する必要がある。その理由は、有機金属コバルト塩の配合量(重量部)が金属コバルト含有量として0.02重量%未満であると、スチールコードに対する良好な接着性を確保することができないからであり、一方、0.25重量%を超えると、接着性の向上効果が飽和してしまうため、高価になるという欠点が顕著に現れてくるからである。また、第1ゴムチェーファー40に用いるゴムには、接着性、抗破壊性をあまり低下させることなく、練り作業性を向上させるためにポリイソプレンゴムを含有(ブレンド)させることも考えられ、この場合には 2から30重量部の範囲内で含有させることが好ましい。但し、前記ポリイソプレンゴム以外の合成ゴムは、含有させると接着性、抗破壊性が大幅に低下するため、含有は避けるべきである。また、前記ゴムには抗破壊性を向上させるという観点から、融点が 120度C以上でメルトフロートレートが 20g/10min以下であるポリエチレン樹脂を 2から20重量部の範囲内で配合してもよい。なお、前記ゴムには N2SAの値(カーボンの表面積を測定する指標の一つ)が74〜 100m2/gであるカーボンを45から70重量部の範囲内で配合する。
【0014】
ここで、第1ゴムチェーファー40に接している前記カーカス層27、ビード補強層35のコーティングゴムに、内部に埋設されているスチールコードとの接着性を良好とするため、前述と同様に有機金属コバルト塩を配合することができる。この場合の配合量は、第1ゴムチェーファー40に配合されている有機金属コバルト塩の量の1倍から2倍の範囲が好ましい。その理由は、カーカス層27、ビード補強層35のコーティングゴムに配合されている硫黄の量が第1ゴムチェーファー40に配合されている硫黄の量より少ないことから、この硫黄による接着性の向上効果を有機金属コバルト塩で補わなければならず、この結果、その配合量は前述のように1倍以上であることが好ましいのである。一方、その配合量が2倍を超えると、ゴムの耐久性が低下するため、2倍以下とすることが好ましいのである。
【0015】
47は前記第1ゴムチェーファー40の軸方向外側部42の外側に配置された第2ゴムチェーファーであり、これら第2ゴムチェーファー47は前記第1ゴムチェーファー40に沿ってビードヒール46から半径方向外端42aを越えて延びている。そして、これら第2ゴムチェーファー47は外側面の一部、ここでは半径方向内側部がリムフランジ48に接触しているため、走行時におけるリムフランジ48との摩擦に耐えるよう耐摩耗性に優れたゴムから構成されている。また、これら第2ゴムチェーファー47のリムフランジ48に接触している部位における厚さtは0.70mm以上とすることが好ましい。その理由は、0.70mm未満であると、長期間走行したときに第2ゴムチェーファー47が摩滅して第1ゴムチェーファー40が露出し、耐摩耗性が充分でない第1ゴムチェーファー40がリムフランジ48に接触するおそれがあるからである。なお、49はインナーライナーである。
【0016】
次に、この発明の第2実施形態を図2に基づいて説明する。この実施形態においては、第1実施形態におけるビード補強層35を省略している。この結果、第1ゴムチェーファー50の軸方向内側部51は半径方向外側に向かって大きく延びる必要はないが、その半径方向外端51aがビードトウ45から半径方向外側に10mmだけ離れた点Pより半径方向外側まで延びている必要がある。その理由は、タイヤ25のリムからの脱着時にビードトウ欠けが発生する領域がビードトウ45から前記点Pまでの領域であるため、ビードトウ欠けを抑制するには少なくとも領域に抗破壊性に優れたゴムを配置する必要があるからである。なお、前記半径方向外端51aがビードトウ45から半径方向外側に50mm以上離れると、高価となるとともに重量増加を招くので好ましくない。また、第1ゴムチェーファー50の軸方向外側部52は、折返し部30の半径方向外端30aに露出しているスチールコードの切断端を覆うことができればよいので、その半径方向外端52aに要求されるのは、折返し部30の半径方向外端30aより半径方向外側に位置していることだけである。なお、他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
【0017】
【実施例】
次に、試験結果を説明する。この試験に当たっては、従来例、供試例1〜7および比較例1〜9として、以下の表1に示すような組成のゴムおよび該ゴムを内側、第1ゴムチェーファーとして用いた空気入りラジアルタイヤを準備した。ここで、試験に用いたタイヤのサイズは11R22.5 14PRであった。
【表1】
なお、表1におけるポリマーAは天然ゴムに30重量部のポリイソプレンゴムを配合したもの、ポリマーBは天然ゴム 100%のもの、ポリマーCは天然ゴムに50重量部のスチレンーブタジエンゴムを配合したものであり、カーボン、硫黄、加硫促進剤、ポリエチレンについては配合量を重量部で表示し、コバルトについてはナフテン酸コバルトを配合するとともに、その配合量を金属コバルトの重量%で表示している。また、カーボンは従来例では HAF級、供試、比較例ではLS−HAF級のものを用いている。
【0018】
次に、前述した従来、供試、比較例の各ゴムに対し接着性および破断伸び試験を、また、従来、供試、比較例の各タイヤに対しトウ欠け試験、耐久走行試験(タイヤにおける接着性、亀裂成長性の評価のため)、耐セパレーション試験(タイヤにおける接着性、亀裂成長性の評価のため)を行ったが、その結果を以下の表2に示す。
【表2】
ここで、接着性試験は、直方体状の生ゴム内に長手方向に延びる5本のスチールコードを均等に埋設した後、20kg/cm2の面圧を作用させながら 145度Cで60分間だけ加硫して試験片を作成し、その後、前記試験片から3本のスチールコードを引張り試験機により引き抜く試験であり、このようにして引き抜いたコード表面に付着しているゴムの被覆率(%)が試験結果である。また、破断伸び試験は、各ゴムを 100度Cのギアーオーブン内に24時間放置して老化させた後、25度Cで引張試験機により破断するまで引張した試験であり、この破断したときの伸びを測定し、その値を供試例1を 100として指数表示している。さらに、トウ欠け試験は正規内圧を充填した各タイヤに正規荷重を負荷しながらドラム上を時速60kmで7万km走行させた後、リム組み機でタイヤを脱着したときにトウ欠けが発生するか否かの試験であり、その有無が試験結果である。また、耐久走行試験は正規内圧を充填した各タイヤに正規荷重の 200%の荷重を負荷しながらドラム上を時速60kmでビード部に故障が発生するまで走行させる試験で、故障発生時の走行距離を従来例を 100として指数表示している。さらに、耐セパレーション試験は正規内圧を充填した各タイヤに正規荷重を負荷しながらドラム上を時速60kmで7万km走行させて各タイヤのビード補強層の半径方向外端にセパレーションを発生させる試験で、これらセパレーションの長さをセパレーション側および反セパレーション側において周上各4箇所測定し、その測定結果の平均値を従来例を 100として指数表示している。なお、前述の正規内圧、正規荷重とは、JATMA YEAR BOOKに定められたラジアルプライタイヤのサイズに対応する空気圧ー負荷能力対応表に基づくものである。以上の試験結果から明らかなように、天然ゴムあるいは天然ゴム・ポリイソプレンゴムのブレンドゴムに硫黄を 2.5から 5.5重量部、有機金属コバルト塩を、金属コバルト含有量として0.02から0.25重量%となる重量部だけ配合した供試例は従来例、比較例よりも全体的に優れている。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、抗破壊性およびスチールコードに対する接着性が共に優れたゴム組成物を第1ゴムチェーファーに用いたので、空気入りタイヤの製造作業が簡単・容易となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態を示すビード部近傍の子午線断面図である。
【図2】この発明の第2実施形態を示すビード部近傍の子午線断面図である。
【図3】従来の空気入りタイヤの一例を示すビード部近傍の子午線断面図である。
【符号の説明】
25…空気入りタイヤ 26…ビードコア
27…カーカス層 30…折返し部
30a…半径方向外端 35…ビード補強層
36…軸方向内側部 36a…半径方向外端
37…軸方向外側部 37a…半径方向外端
40…第1ゴムチェーファー 41…軸方向内側部
41a…半径方向外端 42…軸方向外側部
42a…半径方向外端 43…境界部
44…ビードトウ部 45…ビードトウ
47…第2ゴムチェーファー 48…リムフランジ
Claims (6)
- 一対のビードコアと、一方のビードコアから他方のビードコアまで延びるとともに、両端部に前記ビードコア回りに折り返された折返し部を有し、内部に多数本のスチールコードが埋設されたトロイダル状のカーカス層と、該カーカス層の外側を該カーカス層に沿ってビードコアの軸方向内側から軸方向外側まで延び、軸方向内側部の半径方向外端がビードトウから半径方向外側に10mmだけ離れた点Pより半径方向外側に位置するとともに、軸方向外側部の半径方向外端が前記折返し部の半径方向外端より半径方向外側に位置し、かつ前記軸方向内側部と軸方向外側部との間に設けられた境界部がビードトウ部全体に広がっている第1ゴムチェーファーと、第1ゴムチェーファーの軸方向外側部の外側を該第1ゴムチェーファーに沿って延びるゴムから構成されるとともに、外側面の一部がリムフランジに接触する第2ゴムチェーファーとを備え、前記第1ゴムチェーファーとして、天然ゴムに硫黄を 2.5から 5.5重量部だけ配合するとともに、有機金属コバルト塩を、金属コバルト含有量として0.02から0.25重量%となる重量部だけ配合することで構成したゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 一対のビードコアと、一方のビードコアから他方のビードコアまで延びるとともに、両端部に前記ビードコア回りに折り返された折返し部を有し、内部に多数本のスチールコードが埋設されたトロイダル状のカーカス層と、該カーカス層の外側を該カーカス層に沿ってビードコアの軸方向内側から軸方向外側まで延びるとともに、内部にスチールコードが埋設された一対のビード補強層と、該ビード補強層の外側を該ビード補強層に沿ってビードコアの軸方向内側から軸方向外側まで延び、軸方向内側部の半径方向外端がビード補強層の軸方向内側部の半径方向外端より半径方向外側に位置するとともに、軸方向外側部の半径方向外端がビード補強層および前記折返し部の半径方向外端のいずれよりも半径方向外側に位置し、かつ前記軸方向内側部と軸方向外側部との間に設けられた境界部がビードトウ部全体に広がっている第1ゴムチェーファーと、第1ゴムチェーファーの軸方向外側部の外側を該第1ゴムチェーファーに沿って延びるゴムから構成されるとともに、外側面の一部がリムフランジに接触する第2ゴムチェーファーとを備え、前記第1ゴムチェーファーとして、天然ゴムに硫黄を 2.5から 5.5重量部だけ配合するとともに、有機金属コバルト塩を、金属コバルト含有量として0.02から0.25重量%となる重量部だけ配合することで構成したゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層のコーティングゴムに有機金属コバルト塩を配合するとともに、その配合量を第1ゴムチェーファーにおける配合量の1倍から2倍の範囲内とした請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビード補強層のコーティングゴムに有機金属コバルト塩を配合するとともに、その配合量を第1ゴムチェーファーにおける配合量の1倍から2倍の範囲内とした請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記リムフランジに接触している部位における第2ゴムチェーファーの厚さtを0.70mm以上とした請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1ゴムチェーファーとして用いたゴム組成物にポリイソプレンゴムを含有させた請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21510496A JP3630506B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21510496A JP3630506B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 空気入りタイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1035230A JPH1035230A (ja) | 1998-02-10 |
JP3630506B2 true JP3630506B2 (ja) | 2005-03-16 |
Family
ID=16666825
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21510496A Expired - Fee Related JP3630506B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3630506B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4535536B2 (ja) * | 1999-10-18 | 2010-09-01 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP2002166710A (ja) * | 2000-12-04 | 2002-06-11 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りタイヤ |
JP5394415B2 (ja) | 2011-01-26 | 2014-01-22 | 東洋ゴム工業株式会社 | 空気入りラジアルタイヤ |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58112808A (ja) * | 1981-12-28 | 1983-07-05 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 空気入りタイヤ |
JPS6042440A (ja) * | 1983-08-18 | 1985-03-06 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | スチ−ルコ−ド接着用ゴム組成物 |
JPS632708A (ja) * | 1986-06-24 | 1988-01-07 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 重荷重用空気入りラジアルタイヤ |
-
1996
- 1996-07-26 JP JP21510496A patent/JP3630506B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1035230A (ja) | 1998-02-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100284471B1 (ko) | 레이디얼플라이공기타이어 | |
JP4271766B2 (ja) | サイドウオールカーカス強化材を有するタイヤ | |
JP4812383B2 (ja) | 耐パンク性サイドウオールを有するタイヤ | |
EP0924108B1 (en) | Heavy duty pneumatic radial tires | |
US20040182486A1 (en) | Agricultural or industrial tire with reinforced rubber composition | |
CN105358338B (zh) | 包含改进胎面的轮胎 | |
US20080115871A1 (en) | Tire having a sidewall component containing a dispersion of adhesive coated short carbon fiber reinforcement | |
JP6006735B2 (ja) | 改良型ビード付きタイヤ | |
JPH10138720A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6006229B2 (ja) | 改良型ビード付きタイヤ | |
US20130292027A1 (en) | Tire, the carcass reinforcement of which is reinforced with a layer of reinforcing elements in the bead region | |
JPH07205613A (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
US20140008003A1 (en) | Tire, the carcass reinforcement of which is reinforced with a layer of reinforcing elements in the bead region | |
JP3630506B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5009572B2 (ja) | 重荷重用ラジアルタイヤ | |
US20100006200A1 (en) | Pneumatic tire | |
JP4187990B2 (ja) | 重荷重用空気入りタイヤ | |
CN109982866B (zh) | 轮胎 | |
JPH11342709A (ja) | ラジアルタイヤ | |
EP0824080B1 (en) | Pneumatic tire | |
JP3650188B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
WO2018038173A1 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP3262350B2 (ja) | チューブレス空気入りタイヤ | |
JP2019055623A (ja) | 重荷重用空気入りタイヤ | |
JPH07237405A (ja) | 空気入りラジアルタイヤ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041101 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041109 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041112 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041214 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071224 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081224 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081224 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091224 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101224 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |